ときどき日記 2012/07


2012年07月31日 火曜日

『織田信奈の野望』04.「風雲!桶狭間!」

 一話目を見た時点では、最近割とありがちな武将女性化もの…「信長が女の子だったら」というのは本来トンデモないネタのはずだけど、似た内容の作品がいくつもある現在、「信長」が女性名だとする設定にさほど違和感を持たなくなってきた。
 この作品で「信奈」と女性っぽい名前にしたのは、親切か迷いか、いや「信長の野望」じゃそのまま過ぎて版権的に問題となる可能性を考慮したのか(それ以前にパロディー狙いのタイトルかな)。

 信奈周辺は美少女キャラで固められており、その中に男性主人公が一人入ることで、ふわふわしたハーレム展開を予想。
しかし、意外とその辺はしっかりしていて、主人公にとって信奈との主従…対等の友情・まだほのかな愛情関係が最も重要なものとして描かれ、他のキャラからは「そ ういう意味で信奈に必要な男」と見られ、犬千代や五右衛門にとっては「付いていけるだけ中身のある男(将?)」と思われているのだろうことから、無秩序に モテモテで困っちゃうストーリーではない。
 時に命懸けの行動を見せ、好かれるだけの価値は主張できているし。
 未来の歴史知識を背景にして、服部半蔵を説得する機転は、なかなか。
 これだけの知識があれば、信奈の戦いをもっと有利に進められそうな気はするけど、「桶狭間が山である」など、ゲームなどの知識だけでは埋めきれてない部分があり、過信は危険。
そもそも、信長が女の子だという時点で、歴史の流れは既知のモノと大きく変わっているのだし。

 舌足らずだが強い五右衛門が可愛い。
 今川義元は、あんなツンデレみたいな降伏の承認でお家まで潰してしまい、良かったのかなあ。
あの状況では徹底抗戦しても殺される恐れがあり、メンツを保って戦いを終えるには適当な切っ掛けでもあったのか。
 武将らは史実と姿形が変わりすぎていて、時々「これ誰だっけ?」と思ってしまうことも。
その辺は、頭の中でマッチングしようとしなくて良い、というか余り考えない方が素直に見られそう。

 そういえば、主人公はどうやって時間移動してきたのか、まだ説明されてないような。
よくあるパターンで理解しておけば、別に支障を感じないけれど。
 ここまでの流れから、当然、本能寺も全く別の様相を呈するはず…しかしアニメではそこまでいかないんだろうな(原作でも未到達か)。



2012年07月30日 月曜日

『機動戦士ガンダムAGE』42.「ジラード・スプリガン」

 ううう〜ん…このアニメ、もう描くことが無くて困ってるの?
 月基地攻略戦がなかなか終わらず、延々会話劇を繰り広げたりして大丈夫かなあと思っていたけど、今回は視聴者にとって思い入れも何も無いゲストキャラが連邦を裏切ったのは何故か、ということを、ほぼ一話丸ごと使う長〜い回想を交えて説明。
 シリーズの残り話数も少ないはずで、その中、アスノ家三世代が抱く思いの決着とか、ヴェイガン憎しみの帰結、EXA-DBの捜索、ゼハートとアセム、キオと軍に入隊したのだろうルウ兄のドラマ展開、描くことは色々あるんじゃなかろうか。
まだしも、フリットに嫁いだエミリーの苦労話を聞かされる方が興味を持てそう。

 ジラードの悲しい過去にしても…
 テストパイロットは、酷い言い方をすれば宿命的に欠陥を抱える新機体の問題をあぶり出すため「死ぬ」ことも仕事のうちな訳で、前線に出なくて済むし温かい家庭を築けそうなどと夢を持つのは勝手だけど、それが破れたからといって……
 無理な実験をさせられた、失敗をパイロットの責任にされた、それらが不満だったのか。
なら、怨んでいる相手の食事に毒でも仕込めよ。
 ジラード「実験に関わった上官ら数名が憎いから、連邦を裏切り非人道的攻撃を続けるヴェイガン側に付く」、キオ「セカンドムーンで出会ったイゼルカント もルウ兄妹も良い人達だったから、戦争は止められる」…割と似たもの同士、事態を近視眼的にしか見ない思考範囲の狭さが。
 ジラード、もうちょっとドラマの中核を担う過去を背負っているものと期待したのに、聞いた限りどうでもいい、次回死んでも問題ないキャラだなあ。
これから重要な存在になる?

 呪われた月基地攻略戦は、まだ続く。
 もしかして、ここでの戦いがシリーズの最終決戦…ルウ兄が戦場に投入され、セカンドムーンごと移動してきたイゼルカントも自ら出撃し、EXA-DBだって月面のどこかに隠されている、ということで何もかも片付ける気だったり。



2012年07月29日 日曜日

『うぽって!!』04.「うたって きそって!!」

 どうして「女の子が銃」なのか、「銃を使う普通の女の子」ではダメなのか、疑問だったけど…
 見ていると、作者は「銃を持っている・撃っている女の子は勿論好き」だけれど、それよりも「銃を女の子のように好き」なんだなあ、というのが分かってくる。

 単に銃を使う女の子では、真剣な殺し合いではない環境下で、実弾を使った射撃を描くのが難しい。
当たれば大ケガか死ぬ訳だし、そんな銃を躊躇いもなく使う女の子に対しては、人格の破綻を感じてしまい感情移入が阻害される。
 模擬弾・ペイント弾を用いれば良いけれど、それじゃ「本当の撃ち合い」にならない。
描きたいのは、サバイバルゲームではないのだろうから。
 そこで、「銃が女の子になっている」ファンタジーというか不可思議な設定。
人間がいない、銃同士の撃ち合いで模擬弾を使うなど無意味。
銃とはいえ柔らかそうな女の子の体であり、弾丸が当たるとどうなるのかは分からないが、まあ当たらないから。

 銃自体が女の子であることにより、機能の長所短所を性格付けに用いられる。
延々続く銃の成り立ちや特性の説明など、興味がない人間には本来苦痛なぐらいであろうが、女の子の内面と直結しており、折々ガッカリしたり得意そうだったりのリアクションが見られるので、比較的飽きずいられる。
 例えば「銃器製造会社の娘」という設定でも同じようなことは出来ると思うけど、しかし現実にも有り得るキャラ付けにすると、「人を殺す武器を作って儲けている親をどう思っているのか」などといった余計なことを考えてしまいそう。
 「女の子が銃」という無理を最初に受け入れると、あんまりリアルなことは思わなくなる、というかまあ、今更そんなこと言っても仕方ないというか。

 二話の銃撃戦が面白かったなあ。
「殺傷力のある銃による真剣な撃ち合い」と「可愛い女の子(姉妹も)同士のじゃれ合い」といった本来混ぜ合わせられないものを、無茶な設定を介在させることで楽しく一つにして見せてしまう、ああ、こういうのをやりたい作品なんだ、というのが分かり易い。
 今後も、各銃器の個性を生かしつつ、単にパンパンやるだけでないドラマとアイディアを乗せた銃撃戦が見られると、嬉しい。
呑気な日常話も、それはそれで良いけど。



2012年07月27日 金曜日

『人類は衰退しました』04.「妖精さんたちの、さぶかる」

 次第に衰退し、滅びへの道をよたよた歩んでいく人類だけれども、焦ったり怒ったり泣いたり喚いたり自暴自棄になったりすることなどなく、ヒロインに代表 される如く飄々と、淡々と、何かに追い立てられるような現代より余程ゆったり、精神的には幸せそうなぐらいで生きている。
 それと、恐ろしく高度な科学技術(魔法に近い?)を持っていながら、見た目アホっぽく、大きく企むでもなく、小さな親切 大きなお世話みたいなチョッカイを人類に掛ける妖精の関係性。
こんな設定でどういうストーリーを展開するのか、自分が考えろといわれてもすぐ途方に暮れてしまいそうだが、早くも?漫画楽屋ネタを展開(アニメは原作の並び通りじゃないらしい)。
ああ、こういうのもアリなのか。

 ホモ…もといボーイズラブで人気を博する同人誌ネタが可笑しい。
 ここから、漫画のコマ内に人間を閉じこめる、SF方向へと意外な展開。
 一コマ(一作品)ごとに面白く見せなければならない制約や、シビアなアンケート順位争いがあり、一瞬も気が抜けない。
「引き」が強ければアンケートは取れる、っていうの、一部の編集さんなら本当に言いそうだなあ。
しかし、誠実でない漫画の作り方に読者が愛想を尽かし順位急落…というのもありそう。
 じゃあまともな内容にすればアンケートが取れるかというとそうはいかず、例えしっかりした物語があろうと、華のない地味な語り口で小難しいストーリーを見せてはダメダメ。

 せっかく可愛い子達がキャストに揃っているのだから、パンチラ・シャワーシーン・水着や温泉回の多用により、男の子向けお色気路線で人気を狙う手もあったような。
読者層にもよる…ここでの読者って妖精?なら、人間が脱いでもあんまり興味ないか。
 妖精は食べ物に弱いみたいなので、グルメ・料理勝負物にしちゃうとかね。
 誰に対し、どんな題材を、どのようにして提示するか考え抜く、優秀な編集者視点の欠如が敗因。

 人気が落ちてくると、漫画のハシラ文章がめっきり適当になっており、大笑い。
『ギャグマンガ日和』ソードマスターヤマトを思い出してしまう。
 打ち切りになったらどうなるのか?という質問への答え、「漫画家潰しきかぬです」「公務員目指すには遅すぎて」には、笑った後、ちょっと考え込む。
そうだよねー、公務員目指すには遅いも遅いも遅すぎる。
諦めるなら遅くとも二十代のウチにすべき…いや、年寄りの嘆きとか書かれても困るか(笑)。
 ネーム状態での掲載は凄いなあ、最低でも下描きぐらい入れないと、読者以前に編集さんがブチ切れるぞ。
 打ち切りのペナルティーは「家業を継ぐこと」。
公務員になれない年齢まで夢を追い、結果 挫けた者にとって、継げば生きていける家業があるなら救い。
ウチはそういう商売がないから潰しなんて……あ、また年寄りの嘆き。


2012年07月25日 水曜日

 WOWOWで映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』を見る。
レンタルで一度見ていたけど、結構楽しかったので再見。
 地球に進行してきたエイリアンとの戦いを、ロサンゼルス市街に舞台を絞り、海兵隊員を主人公に据えて撮ったもの。

「海兵隊はっ最高だっ!」「オー!」
「海兵隊はっ最高だっ!」「オー!」
「海兵隊はっ最高だっ!」「オー!」
「行くぞ海兵隊の勇者達!くそったれエイリアン共にキツイのをブチ込んでやれ!」「サー、イエッサー!」
ばんばん死ぬ。

 …というタイプの映画。
 恋だの人間ドラマだのを「余計」としてかなり切り捨ててあり、だから見易い。
ちょっとだけ入れた「二等軍曹が抱える心の傷と、かつて死なせた部下の弟との間に生じる確執」「結婚を間近に控えた兵士と、友人の関係」なんて要素は、案の定、余り上手く処理できておらず、無い方がスッキリするぐらいのモノなので、ここに拘泥しなかったのは正解。
 バンバン撃って、撃たれて、殺して死んで、米軍とエイリアン双方が次々披露する頭の悪さを堪能。

 米軍はまだしも、恒星間飛行してきて地上攻撃能力を持つ航空兵器もありながら、弱点を撃たれたら死ぬ程度の装甲・弱い携帯火力で歩兵を多数、地上に降ろしてしまうエイリアンがアホで楽しい。
逆『スターシップ・トルーパーズ』かな。
 電波の届く範囲が短いのか、無人機のコントロールを行うユニットを、分かり易く地上に配置するエイリアンの親切さが嬉しい。
宇宙船に積んだままなら地球人は手の打ちようがなかったろうに…いや、巨大母船的なモノは登場してないので、そもそも宇宙で自由に行動は出来ない状態なのだろうか。
 「現実の米軍がバリバリ撃って対抗できる」ことから逆算して作られたエイリアン軍。
そのため無理は多々あるけど、まあそういう映画だし。
 エイリアンでなく、侵略者を中国軍やロシア軍に設定変更しても、同様の内容に出来そう。

 米兵は、攻撃を受けた痛みにのたうち回るようなことなくサッパリ死ぬし、英雄的行動も多々示すので、『スターシップ…』と違って厭戦気分を煽らず、軍入隊勧誘映画としても有効か。
 バカバカ死んでいくザコエイリアン兵は、第一次攻撃のため、『スカイライン -征服-』のように現地調達した素材で作った使い捨て兵器であり、エイリアンの本隊は画面に登場してさえ居ない、と考えると色々納得できる。
 …とか考える必要など無く、脳を使わずヘラヘラ見られる映画。


2012年07月24日 火曜日

『トータル・イクリプス』04.「朧月の群れ」

 二話目までのハードな展開は、凄かった。
 恐ろしい数と強さの敵に追われ、少しずつ人数を減らしていくヒロイン所属部隊の緊張感。
 敗走する機体を狙い撃たれ、いかなる対抗策も効果がない恐怖。
 生きたまま喰われる仲間と、それをただ見続けるしかないヒロインの絶望。
 飛び去る戦術機が掠めただけで民家の屋根が大きく破損し、衝撃で停めてある乗用車が震える、巨大なロボットを描こうとする細かな配慮もあり、見応えのあるシーンが連続した。

 BETAに対して有効な戦法はごく限られており、人類側の消耗は激しく、希望の持てない戦局。
 どうにか生き延びたヒロインは、これからどうなっていくのか…という期待を持って三話以降を見ているが…

 スーパーロボット物っぽい展開だなあ。
絶滅へと追いやられようとする世界が背景となっていることを、各国パイロットの対応から伺うのは難しい。
まあ、『ストライクウィッチーズ』だって相当シビアな背景を持ちつつ、少女達がパンツ(違うんだっけ)見せて飛び回る様を受け入れ、楽しんで見ていた訳で、ずっと正当にシリアスなこの作品にゴタゴタ言うのは何だけど。
 漫画版『ゲッターロボ號』のアラスカ戦線を思わせるところもあり、本来なら好みなぐらいの舞台設定。
 しかし…抵抗を感じるのは、二話までの重い絶望感に比べると、何もかも軽く感じてしまうから。
ここから物語が始まっていれば、普通に見ていられたと思う。

 悲劇のヒロインだった唯依が脇のキャラ扱いになり、ユウヤをメインで描いているのも、ちょっと距離を感じる理由。
 いかにもツンデレな態度を取っているので、いずれ彼女とユウヤの垣根が取れて接近し、負った心の傷が癒される展開になるのだろう。
 最初が強烈すぎた分、今の流れに馴染むまでもう少し時間を必要としそう。


2012年07月23日 月曜日

『ソードアート・オンライン』03.「赤鼻のトナカイ」

 一話のラストで期待した展開とは、違うなあ。
 参加者がバタバタと死んでいる訳で、もうちょっと恐怖や絶望、不信が蔓延している世界になりそうに思うけど、アニメの中では呑気なモノ。
 集団でのボス攻略を訴えるお兄ちゃんが変に陽気だったり、まだ公平なんてものを求めていたり。
 ゲーム中で倒される=死ぬ、という事実に実感が持てないのか、最期の瞬間まで緩い表情なのも物足りない。
 『カイジ』エスポワール号での限定ジャンケンみたいに、何のリアリティも感じないままヘラヘラ笑って落ちていく愚かな犠牲者、という突き放した描き方でもないみたいだし、どうにもこう、「ゲーム感覚」。

 主人公の行動・態度も、既にこのゲームをある程度知っており、いち早く事態の恐ろしさに気付いた人間のものとは思えず、残念。
 いつでもログアウトでき、ゲーム中の死は持ち金や経験値を少々減らされるぐらいのペナルティーしか科せられない、本当によくあるゲーム世界であれば、このぐらいの空気感で問題ないと思うが。
 この辺は、無い物ねだりというか、最初から作品で描こうとしていないものを勝手に期待して、勝手に失望しているだけなのかな。

 ボス攻略戦で、主人公と相棒少女が見せたアクションの出来は、凄い。
 クラブ活動ギルドがトラップに引っ掛かった時の絶望感も、なかなか。
 やがて必ず来るだろう死を覚悟し、諦観している少女が残した遺言。
彼女のため、死にものぐるいで手に入れたRPGならではの超便利アイテムが突きつける、冷たい現実。
 ズキッと来る、優れたところもあるんだけど……


2012年07月22日 日曜日

『機動戦士ガンダムAGE』41.「華麗なフラム」

 何だか回想シーンが多いなあ。
それも、凄く有効な使われ方だということもなく。
 制作状況が逼迫してるのか?それにしてはMS戦闘など良く動いてたけど。
 ストーリーは、月面基地攻略の続きであり、勝利も敗北もない途中経過のため、余り語ることはないなあ。
 不殺を貫こうとする余り、自分や連邦の仲間を窮地に追いやってしまうキオが、夢を実現しようとする厳しさに晒され呆然、なんてところをちょっと入れても良かったろうに。

 サブタイトルにも入っているが、ゼハートの副官・フラム初出撃。
 彼女の正体が何気なくゼハートにバレているのに拍子抜け。
別に隠そうとはしてなかったのか…軍に所属しながら経歴詐称も出来まいし、調べればすぐ分かることか。
 ゼハートは部下のことをいつも考えている、という風に彼女は受け取ったようだけど、第二部ではアセムのことばっかりで部下の死など大して気にしなかったような。
 魔法少女の如く、ステッキ?新体操リボン?を振り回す専用MSが可笑しい。

 特別なMSに乗っているから指揮階級なのだろう、と判断してなのか…フラムに対し急に「戦いを止めよう」などと呼びかけるキオに唖然。
実戦に出てくる程度の、しかも初対面の兵士にそんな理想論呼びかけても(普通なら)意味が無い。
いや、イゼルカント自らもMSを駆って戦いに出るし、どれだけエライ人間が乗っているのか分からない世界だが。
 背後ではゼハートMSに味方が苦戦してるというのに…
「AGEはアスノ家の私用MSみたいなものなので、本来、戦力にカウントされない」「子供だから仕方ない」など言い訳できなくもなかろうが、感情移入するのは難しい。

 ジラード・スプリガンって誰だっけ?と思い検索したら…以前にも名前だけ登場してた?
とはいっても連邦の天才パイロットだったって伏線などなく、急に出てこられたところでワクワクもハラハラもしない。
 あの時死なず、逃げ延びたシャナルアが、専用MSを得、強化されたXラウンダー兵士になって再登場してくる、とかの方が盛り上がったような。
 ジラード・スプリガンが何故連邦を裏切ったのか、その理由付けによってはキオの考え方に大きな影響を及ぼすのかなあ。
フリットに処断された連邦高官の娘とか…「父は自らを汚職高官・連邦の裏切り者に堕としても、ヴェイガンと和平交渉する可能性を懸命に探っていた、それをあなたの祖父は無慈悲に断罪した!この戦争を終わらせる最大の障害はフリット・アスノだ!」などと。



2012年07月21日 土曜日

『機動戦士ガンダムAGE』40.「キオの決意 ガンダムと共に」

 時間が飛んだところから始まっているので、先週分を見逃したかと思ってしまった。
 今回から第四部「三世代編」に入ったのか。
キオ編で最後まで行くものかと…ここからは「キオが主人公の話」とは限らず「アスノ家三世代それぞれが人生・戦いの決着を付ける話」になっていくのかな。

 セカンドムーンでの体験から、戦いに疑問を持つキオ。
それを洗脳でもされたかのように扱うフリット。
友好…和平か、殲滅か、二人の望む方向は交わらない。
 そこにアセムの「両陣営の戦力を均衡させ、大規模な衝突を回避する」中庸の?考えが加わる。
 三者三様、三世代家族の関係なのに、考え方がまるで違ってしまうのは面白い。
 ただ…全員問題があるような。

 フリットの「ヴェイガン皆殺しだぁ!」は、困った考え方ではあるモノの、人生に照らし合わせると無理がない。
 アセムは…まあゼハートとの関係からも戦いを望む訳でないのは理解できるにせよ、海賊は『ガンダム00』ソレスタルビーイングのように兵器類を壊滅させてしまうほど決定的な戦力を持たないため、限定的介入に留まってしまう。
そうなると、「戦いの規模を小さくしている」とも言えるけど、「両陣営に大勝利も大敗北も無いのでズルズル戦いを続かせている」とも考えられ、それは正しい行いかどうか…
 ヴェイガンに関しては、イゼルカントさえ居なくなれば、地球への移住(帰還)を受け入れる・連邦を挙げて病気治療に当たるなど条件次第で停戦交渉の可能性があり、それまで時間を稼げれば良いと思っている?
 セカンドムーン潜入時にイゼルカントを殺害、同時に、連邦に対する海賊による攻撃の実体も明らかにし、自分達を両陣営共通の「敵」として憎しみを引き受けることで、一時的にせよ手を組ませるとか。
 アセム、せめてゼハートとは連絡を取り合い、共に歩める可能性は模索してるかなあ。
ゼハートがちょっとイゼルカント信者っぽいので、それだと協調は無理だけど。

 キオの不殺、これが一番問題。
 まず…それを可能とするぐらい彼のパイロット能力は高かったっけ?
ザナルドに捕まり、イゼルカントに二度も無茶苦茶やられた印象ばかり強く、天才パイロットだって気は余りしないんだけど。
 ガンダム新兵装の高機能に頼っている、というなら分かる。
AGEシステムの進化は、「戦い」そのものだけでなく、「パイロットの戦い方」からより多くデータ収集を行っており、「パイロットの望む戦い方が出来る機体」へと進化する、ってことだと面白いなあ。
 不殺はキオ・ガンダムへの負担が大きく、効率的でないため、敵は死ななくとも自軍・民間人に本来必要でない被害を出す危険性がある。
また、作戦行動には参加していることで、戦い自体を止める役には立っていない。
 その選択に、「『自分は』殺さない、殺したくない」以外の意味はないんだけど、その辺はどう考えて…まあ無謀な自覚はあるようだが。

 キオの採る道は……連邦で出世してフリットのように権力を持ち、ヴェイガンと和平交渉をする。
もしくはイゼルカントの元に戻り、気に入られて彼の後継者となり、ヴェイガン指導権を継いだ時点で停戦する。
長い目で見れば、手を汚しつつも、これらの方が有効。
 アセムの元へと走り、本当にソレスタルビーイングのように両陣営の戦力を大きく削いで、戦争の続行を不可能にする極端な手も。
 狂ったイゼルカントの目的をヴェイガン市民に広く知らせ、連邦民には火星移住計画の非道とヴェイガンの困苦を訴え、あとはフリットを隔離して大人しくさせれば終戦の道が見えてきそうなもの。
いや、イゼルカントと、彼の採った手段が生み出した鬼子・フリットを一つ場所に閉じこめ、互いの思想やら憎悪を吐き出させながらジジイ同士、気が済むまで殴り合いさせるとか。
それをテレビ中継すれば、両陣営とも戦いにウンザリするだろう。

 イゼルカントが向かったカプセルに入っているのは、何?誰?
 コールドスリープ中の息子か…と思ったけど、キオへの生まれ変わりを望んでいることから死亡はしてるんだろう。
 記憶も持たせたイゼルカントクローン、あるいは体だけ培養して「魂」は自分のを移し替える予定、とかすると、世代交代が出来ないヴェイガン、という図式がよりハッキリするなあ。
脳死状態の息子の体に、イゼルカント脳を移植すれば、気持ち悪さが最大。



2012年07月13日 金曜日

『しろくまカフェ』15.「真夏の雑草取り」「ペンギンさんのロマンス」

 真面目な…というか他が不真面目すぎるだけで普通な?ペンギンさんが頑張る前半は、いつも通りの面白さ。
 しかし今回は、後半の話が凄い。
以前から引っ張っていたペンギンさんの片思い相手・ペン子さん。
デートに誘うべく彼女が働くパン屋に彼が一週間通い、懸命のアタックを繰り返す、という内容だったけれど…
 衝撃的な展開に、「うわぁ」と声が出てしまった。

 確かに、視聴者からするとパンダ君も常勤パンダさんも見分けが付かず、他種族の動物も、ヤヤコシくなるのを避けるためか大体一匹(一人?)ずつしか画面 に出ていないけれど同様に他個体との差が分かり辛いんだろうと思え、しかし同種族であれば個性は知覚できると思ってたなあ。
いや、ペンギンさんは照れ屋で相手の顔をじっと見られないだろうし、また大きく抜けている部分もあるので、これを例として動物全体には当て嵌められないか。
 どう考えても嫌われて終わりのパターンだけど、意外とモテているペンギンさんが可笑しい。
あれはあれで、彼にとっては辛い状況なのかな。

 あと、毎度毎度、調子外れの会話で笑わせてくれる次回予告が好き。
「五十倍でお送りします」は、何かのイベント合わせか、このために作ったのか。



2012年07月12日 木曜日

『ソードアート・オンライン』01.「剣の世界」

 原作未読。
 意識没入型・大規模ネットワークゲームの世界を舞台とした作品。
本来「ゲーム」として安全に・割り切って楽しめば良いはずなのに、何かを切っ掛けとして本当の生死を賭け、戦わなければならない場へと変容してしまう。
十年ほど前からメディア展開している『.hack』シリーズや、海外ドラマ含む多くの作品で見られる、非常にスタンダードな設定。
 現在ではゲームのハード性能が大きく上昇しており、昔は夢でしかなかった「実写とも見まがう広大で美麗な世界」「生活をも可能とするプレイヤー自由度の高さ」「ネットを通し世界中の人間とゲーム世界で関わることが出来る」これらは、既に実現。
 手持ち・ボタン押し型の伝統的コントローラーパッドを介さないゲームプレイ環境にしても、WiiコントローラーやXbox360のKinect、PS3のモーションコントローラなどにより、進化が見られる。
さすがに「脳に直接アクセス」は実現が難しそうだけど、より体感的にゲーム世界へと没入させるハード的な工夫は、今後も成されていくだろう。

 そういう時代に始まった、今作。
 ゲーム世界の基本的情報提示、そこで出来た友人との関わり、ログアウトできない緊急事態の勃発…辺りまでは、全くもう既知のストーリーパターンで、破綻はないが新鮮味もなく。
若い世代に向けた入門編的な作品なのかな、と思っていたが…
 危機的状況に主人公が即座に対応、「プレイヤー全員を助ける」理想的行動でなく、「自分が生き残るのに効率的な方法」を採ろうとするところから、俄然面白くなる。
いや、そこで第一話は終わってしまうんだけど。

 一度ゲーム世界を体験しているが故の優位、他プレイヤーは目的が同じであっても仲間・味方とは限らないという割り切り、与えられた目的クリアのための理性的な計画立案、これらが「ゲーム的に」大変面白い。
 限定条件下で生き残りを求められる、ソリッド・シチュエーション・スリラーを思わせる筋立て。
 ここから、仲間が出来てパーティを組み、レベルアップしつつ上の階層を目指していくことになるのだろうが…
漫然とぬるくせず、「命が掛かっている」危機感を漂わせた内容で、『DEATH NOTE』『カイジ』といった作品のようにギリギリ脳を絞った知能戦を見せてくれると嬉しい。
 どう転がっていくのか、様子見。



『DOG DAYS′』01.「勇者見参!」

 約一年の期間を置いて、第二期の開幕。
 一期は、かなり好きな内容だったので嬉しい。

 前期ラストで約束していた通り、主人公が異世界・フロニャルドへと帰還(再来訪?)するところから始まる。
一人ではなく、今度は現実世界の少女、レベッカと七海を伴って。
 ミルヒオーレ姫様、親衛隊隊長エクレール、ちびっ子リコッタ、忍者ユキカゼ…は真意が分からないから置いとくとしても、既に十分ハーレムというかヤヤコシく危うい関係が築かれているというのに、二人の美少女の参戦を自ら招くとは迂闊だぞシンク!
面倒な話になりそうだなあ(笑)。
 とはいっても、前期がそうだったように、彼と彼女らの「好き」はまだ「独占欲に欠ける、子供の『好き』」なので、大した問題にはならないのか。
年月の経過と共に、多少は成長した?

 誰も死なないスポーツ競技に似た戦争、国を超えお互いを思い合う王族、邪念が無く真っ直ぐな主人公、一生懸命な少女達…心地良い異世界を形作っていた要素は健在。
 もう一国を加え、三カ国それぞれにシンクと少女二人が分散することになるのかな。
七海は確かに強い戦闘力を持っているようだけど、レベッカは未知数。
体術ではなく、自らの内に潜む魔法・超能力類に目覚めるパターンだろうか。
知性に優れているなら天才的軍師となる手も。
 頭を撫でられ素直に嬉しさを表しシッポを振るミルヒオーレ、躊躇いなくシンクに飛びつくリコッタとユキカゼ、冷静に振る舞おうとするが堪えきれずシッポを揺らしてしまうエクレール、再会の最初から全開でみんな可愛い。
 シンドイ話はそこそこに、「ぬるい」と悪くも言えるけれど、「癒しと優しさに満ちた作品世界」をこそ、最後まで楽しませてくれると嬉しい。



2012年07月11日 水曜日

『探検ドリランド』01.「ハンターになりたい!」

 携帯のゲームが原作で、未プレイ。
 ゲームの方はTVCMをガンガン流しており、ちょっと食傷気味な上、コンプガチャなど宜しくない話題もあり、良いイメージを持てないまま視聴。

 あれ、しっかり出来てる。
 正統派の子供向けファンタジー作品、といった体裁で、変わったことは特にやっていないけれど、分かり辛いところ・嫌なキャラや展開もなく、第一話として、ごくまっとうな出来。
 アクティブな姫様は、その行動故に迷惑を掛けてしまうが、その責任をしっかり取った頑張りが見られ、好印象。
 姫が巨大な敵相手に必死の攻撃でぶつかり、そのまま敵の体をコロコロと転げ落ちてしまうのがコミカルで可愛い。
予算があるのか画面はよく動いて、目に楽しい仕上がり。

 しかし、この健全さなら深夜枠で放送する意味が薄いような。
夕方か日曜朝の時間帯こそふさわしい。
 これは継続視聴の必要ないだろう、という予断を持っていたのに、見続けたい気分。



『じょしらく』01.「普段問答」「ふく違い」「叫び指南」

 原作未読。
 冒頭の落語シーンを見て、ああ、落研の女の子達が今はたどたどしいけれどいつか客席を沸かせるような噺を出来るようになりたい!と思いつつ仲間と共に精進したり青春したりする作品なのかな、と思えば大違い。

 そうか、原作(漫画作画は別の人)が『絶望先生』の久米田康治なのね。
それらしく、一つの取っ掛かりから、妄想というか言い掛かりというか…的に、わーっと話題を広げるパターン。
 といっても、「女の子達の可愛さを楽しんで頂くため、会話は差し障りのないものを」が名目上テーマらしいので、久米田先生の他作品ほどは脳をギリギリ絞らず、少しゆる〜くして、その分、確かに見易くなっており、キャラ同士の他愛もない会話劇、と思える部分も。
 しかし、各話後半に入ると本気になるのか暴走が始まり、特に「海に向かって叫ぶ言葉」は大笑い。
もうちょっとダークに突っ込んで欲しい気持ちもありつつ、ここまでだって怒られてしまう可能性はあると考えれば、名目テーマに沿っては既に「やりすぎ」かな。

 最初からアニメ化の意義にキャラクター達が疑問を呈するヒネくれ方が、可笑しい。
それをギャグに昇華すべく、ほとんど無駄に細かく動かしてみせる余裕もイイなあ。
 油断無くネタを聞いていないと流れを見失ってしまう、というほどタイトな作りではないので(今のところは)、気楽に見られる。
 ズルズルと最後まで見続ける予感。



『カンピオーネ!〜まつろわぬ神々と神殺しの魔王〜』01.「はじまりの物語」

 原作未読。
 見知らぬ異国…イタリアの街、言葉も分からずお使いで訪れた主人公は、巨大な「神」と出会う。
ちょっと馴染み辛い冒頭部だけど、「突然、刃物を突きつけてお使いの要件である石版を渡せと迫る美少女」が登場した途端、一気に分かりやすくなる。
取りあえず難しい事柄の理解は詳細を説明されるのだろう次回以降に回し、主人公と彼女の関係性を中心に見れば良い、ということが。

 半裸のサービスカットを披露し、泥酔した醜態まで晒すエリカが楽しい。
酔っぱらうのは単にコメディー要素かと思ったが、耐え難い任務の重責・意外な内面の脆さも同時に表現させているのが上手い。
 強大な力を持つ神々の戦いを頑張った作画で表しており、迫力あり。
しかし、油断し、余裕を見せすぎて主人公の一撃を喰らう少年姿の神は、ちょっと間が抜けている。
まあ、こういう神話上の神々は、人間の悪癖を極端にした形で体現していたりするモノだけど。

 これから面白くなりそう…かは、まだ判断できないが、ヒロインだろう戦う少女は魅力的に描けていると思う。
 しばらく様子見で。



2012年07月10日 火曜日

『この中に1人、妹がいる!』01.「見知らぬ妹からの声」

 原作未読。
 以前、「父親の死によって膨大な遺産を相続した主人公の元に、『自分は幼い頃に離縁されたあなたの母親だ』と名乗る女性数人が現れ、誰が本当の母で、誰が遺産目当ての虚偽申告なのか分からない」というお話を考えたことがあるけれど、なるほど、そりゃ妹の方が一般向け。
 妹の存在を学校内に混ぜて分からなくし、在学中にそのうち誰かと結婚しなければならないという条件付けで、タイムリミットとサスペンス?要素を入れられる、なかなか上手いアイディア。

 最初に出会う心乃枝が、もうイキナリ積極的で、誘えば(誘いに応えれば)ドコまででも行けそうな危うさを披露。
ゴミ捨て場前や風呂での行動など、発情過多に思え、草食系男子は若干引いてしまいそう。
 妹だとしても違うとしても、心乃枝より僅かな接触時間しかないのにキスを迫る雅だって、相当なモノ。
 もう少し…夢シチュエイションに移るまでのタメがあった方が良いような気もするけど、「お客様の願望充足」をテーマに据える作品としては、出し惜しみせず妄想実現サービスを重ねるべきなのかな。

 トラックにはねられそうになった心乃枝を主人公が助けるシーン、当然突き飛ばしたのだろうが、肝心の瞬間が描かれておらず、駆け寄って突き飛ばしたにしては直後の主人公の挙動もおかしいし、うーん。
劇的であるべき、高い窓越しに交わす妹との初(久しぶり?)会話も、何気なく演出されていてドラマティックさが足らず、印象に弱い。
 ストーリー性は重視せず、少女達の可愛さと妄想的お色気サービスでのアピールのみを狙う、対象層が分かり易い、一話に反発を感じた人はもう二話目以降見る必要のない、潔いとも言えるアニメ。
 もうちょっと見て、盗めるモノなら優れたアイディアを盗みたい。



『もやしもん リターンズ』01.「もやしども起つ」

 原作未読。
 第一期は2007年の放送だったのか、結構時間が経ってしまっているので、大筋はともかく細かいことを忘れてしまった。
菌の見える男が主人公、ヒロインは結城、これは間違いないだろう。
 しかしホントに結城、「普通(中性的ではあったが)の男性が急に女装して可愛くなった」特異性を除いても、どうにも危なげな、気掛かりになるキャラクターで、大抵はしっかりしているこの作品の他女性キャラよりずっとヒロインっぽい。

 コミカルな雰囲気は楽しく、菌が可愛く、情報部分は勉強になる。
変わらず面白い内容。
 結城が菌に醸され、膨らんじゃったり一部取れちゃったりして本物の女の子になるとイイんじゃなかろうか。
いや、そうすると逆に危険な魅力が落ちてしまうのかな?
 今期も最後まで見続けたい。
余程変わった展開がない限り感想を書かないタイプの作品。



2012年07月09日 月曜日

『恋と選挙とチョコレート』01.「廃部!」

 原作ゲーム未プレイ。
 朝方、眠っている主人公を美少女が起こしに来るところから始まる、由緒正しい萌え作品。
…なんだけど、冒頭で謎の少女がヤバげな取引を撮影、気付いた犯人の?車に跳ねられて血の海に沈む、といった不穏なシーンが入れられているのは異色。
 事件の真相に迫るサスペンスも柱にし、単に美少女ハーレムでは終わらせまいとする姿勢の表れか。

 といっても、本編は「お菓子ばかり食べている、美少女だらけ部活の存続をかけ、生徒会長選挙に挑むことになる主人公」なので、緊張感が持続する訳も無く、弛緩。
 女教師が部室内で飲んでいるビール状の液体、てっきり「実は炭酸入りオレンジジュースだよ〜」ぐらいに温い真相があると思ったのに、見たまんまビール。
自堕落な女教師は漫画・アニメによく登場するけど、学校で朝から飲酒する剛の者はさすがに珍しい。

 主人公だけに見えるらしい、他男子生徒の「頭で回るタケコプター」や「覆面」は、今後の展開に影響してくるのだろうか。
 まだ女の子達の見分けは付かないものの、可愛いデザインに出来ていると思う。
 萌えとサスペンスのバランスは取れるのか……
視聴継続か終えるかは、三話目ぐらいまで見ての判断で。




『機動戦士ガンダムAGE』39.「新世界の扉」

 セカンドムーン周辺宙域でヴェイガンと海賊達の激戦が繰り広げられる中、長々と語るイゼルカントにより、彼が目指すものが明らかになった。
 「人類社会から戦いを根絶する」…それは立派なお題目だけど、そのために取った手段が、連邦コロニーのみならずヴェイガン居住地に対しても行ったらしい破壊活動による住民殺戮。
 ???そこからどういう理屈で戦いのない世界が出来るというの?
 奇跡的な確率で生き延びた人が居たとして、それは『ボトムズ』異能生存体…死なない兵士の素材に近いというだけで、戦いを無くすることとは関係ない。
ああ、「どんな武器でどれだけ攻撃しても、お互い決して死なない人間だけの世界」が出現したなら、労力の無駄にしかならない戦いなんてしていられないかも。
しかし、そういう人間は恐ろしく個体数が少なく、種の維持を困難にしそう。

 どんな危機に見舞われても生還するフリットは、この異能生存体っぽいのかな。
 ただ、彼もそうであるように、ヴェイガンの攻撃により愛する者・故郷を破壊された被害者は、憎しみを募らせ復讐を考える可能性が高い。
平和な世界を作りたい目的とは、正反対の反応を引き出しそう。
 限りなく続く戦いと無差別殺戮…膨大な戦死者による人類絶滅への危機感、それらによっては、現実でもそうであるように「短期間の平和」なら実現できるかも知れないが。

 そもそも、銀の杯条約により兵器が撤廃され(マフィアやMS鍛冶が何気なく所持していたけど)、根絶…は無理でも、大量の死者を出す戦いは、かなり長い間起こっていない設定じゃないの?
そこに波乱を起こして憎しみの種を播いて、何をしたいのか理解不能。

 イゼルカント自身が銀の杯条約の提唱者(この頃からコールドスリープを使用)→年月の経過と共に条約の穴をぬって違法武器所有が横行→火星移民計画を主 導、「失敗」「(本当は起きていない)地球側からの非情な切り捨て」を喧伝して移民者の怒りを煽る→ヴェイガンを興し、戦端を開き、強力な武器による戦い の恐ろしさを宇宙に知らしめる→双方が戦いに厭いた頃、停戦条件としてより厳格な「新・銀の杯条約」を締結、今度こそ宇宙から武器を撤廃
……とか?
 でもなあ、それならグズグズしてないで、戦力差の大きいウチに地球を占拠、人類社会のトップに自分が立って、独裁的に兵器撤廃を推し進めれば良いような。

 イゼルカントは劇中で「救いようのない狂人」として描かれているのか、制作者が精一杯考えた動機付けがこの程度なのか。
 言動も行動もオカシイだろうに(真意を糊塗したニセのお題目に照らしても変)、こんなアホに長い間従っているヴェイガンの民も、何だかなあ。
それは現実世界の某国も、そうか。
 この物語は、狂った独裁者を倒して終わりになる、あるいはザナルド辺りがクーデターを起こしてもっと単純に連邦全滅を企んだところで撃破か。
 イゼルカントといいフリットといい、「思い込みが激しくて他人の言うことを聞かないジジイって迷惑だよね」をテーマとしている?

 レギルスに、AGEが最初四肢を破壊されるのはともかく、ボディーを換装した後もう一度同様に(シーン使い回しかと思うほど)破壊されると、ギャグのようだ。
 海賊が逃亡の交渉に使った巨大岩塊は、もっと(演出的に)早く出すべきじゃなかったろうか。
セカンドムーン宙域で、急襲による動揺も収まったろう頃にヴェイガンが出してきた迎撃戦力を、海賊達だけでマトモに戦ってそこそこの時間持ち堪えてしまうと、やっぱり連邦なんか必要ない気分になってしまう。
 キオはこれからどうするのかなあ?
「ヴェイガンの悲惨な現状(付随して連邦の非道さ)」を広く語れば、連邦の結束に影響しそう。
「イゼルカントの狂った妄想」をヴェイガンの民に聞かせれば、体制の激変が起こるだろう。
 …でも「さしたる動きを見せない」というのが一番ありそう。



2012年07月08日 日曜日

『うぽって!!』01.「にぎって たもって」

 原作未読。
 新番組…ではあるけれど、Wikipediaで見ると、ニコニコ生放送で既に公開された十話分をこれから順次テレビでも放送、ということらしい。
 現実とそう変わらない世界、唯一違うのは、少女達が通う学校でごく当たり前のように銃器の取り扱い方を教えていること。
 第一話では、そんな授業が成されている理由は不明。
他国やエイリアンなどと戦わなければならない必要から、とか、『咲-Saki-』での麻雀のように銃器に対するテクニックが広く競われている、なんて背景があるんだろうか。

 …などと思いながら見ていたが、えええ?登場する少女達自身が銃だってのはどういう意味?
「弱き者達を守り、悪を滅ぼす一挺の『銃』になれ」といった気分的なモノでなく、「実際の銃が少女の姿をとっている」らしいけども。
銃の形状・特徴が少女の下着に反映されていたりするし。
 モビルスーツの外装を着込んだ(一体化してる?)MS少女や、『びんちょうタン』『ヘタリア』みたいな擬人化キャラクターだということか。
 しかし、銃少女が銃を持って撃ってくるのは何なんだ?
自分自身が銃じゃないの?
 まあ、人間大MS少女がモビルスーツのコックピットに座っている絵は有り得る、そんな理解で良いのかな。
 銃だとは言いつつ少女達自身に弾丸を撃ち出す能力があるのかは分からない訳だし。
 年月を経た銃の付喪神化、銃の妖精、銃を原材料として魔法的に作られたホムンクルス、あるいは心を病んだ男性教師が学校を模した病院で見ている幻覚…こ れもWikipediaによれば銃の外見が少女になっている理屈は原作でも描写がないらしいので、好きなように受け取れば良いか。

 作画は頑張っていて、女の子達が可愛い。
 男性教師の顔に黒いグラデーションが掛けられており、「これは第三者キャラではなく、あなた自身です」とするゲーム風。
 第一話は設定インパクトと微エロ、軽いコメディー調で楽しく見られたけど、この後は…?
どう面白くなる作品なのか、興味を持ちつつ視聴継続。



『ゆるゆり♪♪』01.「帰って来た主人公」

 原作未読。
 第一期は、録画してあるけどまだ最後まで見ていなかったような…
そのため、最初の方で無用なぐらいモテモテになっているヒロインの姿を目にしても、夢や妄想を展開しているのか、本当にこういう内容(ギャグにならないけれど、萌えハーレム物の男子主人公ならこれに近い境遇も珍しくない)になってしまったのか、判断が付きかねてしまった。

 第一期を途中までしか見ていないのは何故か、その理由も忘れていたけれど、一話を見て…
女の子達は可愛いし、掛け合いもキツイ毒など無くて嫌な気分にさせず、ぼんやり眺めるには悪くないアニメ。
しかし、「ならでは」の魅力に欠けてしまい、少女達のファン的な立場を取ったり、ふわっとした作品世界の雰囲気を心地良く感じない限り、最後まで見続けたい!と思わせる吸引力を弱く感じてしまう。
 気負わず、時間が取れれば見る、ぐらいの姿勢で。



 WOWOWで放送されたOVA『アップルシードXIII』01.「楽園の終わり」を、ちょっとだけ見る。
 原作は何度もアニメ化されている人気作で、その全てを見ている訳ではないが…
 これは、3DCGのレベルが低い!
動きも悪いし、貼り付けてあるテクスチャーの荒さには驚く。
初期プレイステーション・ゲームのオープニングCG程度…去年の作品だよね?
よほど予算の締め付けが厳しいのか。
 ストーリーの流れも良くないけれど、とにかく画面が注視に耐えないものなので、早々に視聴終了。



2012年07月07日 土曜日

『人類は衰退しました』01.「妖精さんの、ひみつのこうじょう」

 原作小説未読。
 原作の最初から順番にアニメ化される訳ではない、ということらしいけど、そのため、当たり前のように通常でない事態が示されて戸惑う。
ヒロインが髪を切ることになる何らかの出来事が、この第一話より前の時点であったらしい、とか。

 種としての力を失いつつあり(失ってしまった?)、豊かではないが、食糧や資源を奪い合い弱肉強食・悪夢のような風景が出現して「いない」ゆるやかな人類社会は、『ヨコハマ買い出し紀行』を思わせる。
 この作品を最も強く特徴付けるのは、妖精の存在。
 てっきり「ヒロインだけが交渉を持つことが出来る秘密の存在」かと…誰でも知ってるのね。
 人類より高い技術力を持ち、基本的に穏やかで(ボーッとしていて)友好的。
地球の次の覇権を賭けて人類を滅ぼそうと企む、なんてことは考えもしないんだろう。
いや、あんまりは美味しくないけど一応腹がふくれる食べ物を提供することで、人間の勤労意欲や危機感、食事の楽しみを削ぎ、絶滅へのプロセスをゆるやかに加速する計画かも。
もう、そんな必要も無い状態なのか。

 妖精の有り様と同じく、のほほ〜んとした作品。
 食べやすい形に加工された生きた?鶏を発見し、「みんなでかかれば大丈夫(捕まえられる)!」と他の少女達を焚き付けながら、それが自分の方に来るや「うわ」と体をかわし逃がしてしまう、イイ性格したヒロインが可笑しい。
 まだ、ガッチリ心を掴まれた、とまで言えないが、特徴的な作画と、諦念から来るのだろう穏やかな世界観は悪くない。
 視聴継続で。



『トータル・イクリプス』01.「帝都燃ゆ(前編)」

 大元はゲームが原作、このアニメはそこからのスピンオフ小説を原作としているらしい、どちらも知らず。
 少女ばかりがロボット操縦を教える学校に通っているのは『トップをねらえ!』調だけど、絶望的な戦況など作品世界の雰囲気は『ガンパレード・マーチ』を思い起こさせる。

 恐ろしい敵の侵攻に対し、人類側にはまだ新兵器・有効な攻撃方法などが存在せず、敗戦に次ぐ敗戦…という所からのスタート。
ダークだしヘビーだが、嫌いじゃないなあ。
 ヒロイン達も、都合良く「天才パイロット」ではないようだし。
 前線の、まだしも戦いに慣れているのだろう戦力が呆気なく敵に敗れ、彼女達の待機場所が最前線に。
…勝てる理由が見つけられない。
次回どうなるのか、素直に楽しみだなあ。
 何の戦果も上げることが出来ず、少女達の守ろうとした拠点は壊滅したものの、どうにか生き延びて次の防衛線まで後退。
そこでは、ある程度善戦したが、戦線そのものは崩壊して後退。
こうして北海道辺りまで転戦を続ける物語にするのも、変わってて面白いかな、いや見続けるのがシンドくなりそうか。

 珍しいまっとうな巨大ロボット物なので…なんだよね?…頑張って欲しいところ。
 視聴継続。



2012年07月06日 金曜日

『アルカナ・ファミリア』01.「La notte del compleanno」

 原作ゲーム未プレイ。
 見始めてすぐ分かる、基本的に女性向けの作品。
視聴本数を余り増やせない現状、対象層から大きく離れているアニメについては、それだけで継続が厳しい。
 内容の出来が良いなら話は別だけれど…
いや、一話の最後までも見ていない作品に何か言う資格も、必要もなく、視聴終了。


2012年07月05日 木曜日

『TARI TARI』01.「飛び出したり 誘ったり」

 タイトルを「タタリ」みたいに読んでしまい、ちょっとホラーなのかと。
音楽を題材に据える、流行りと言えば流行りの作品。
一話見終わって、コレなら『たり☆たり』とかアリガチなタイトルの方が内容を想像しやすくないかなあ。
 原作未読…と思えばアニメオリジナル企画なのか。
『ガンガン』など月刊少年誌辺りに掲載されていそうな内容だけど。
 『つり球』が終わったばかりで、偶然にもまた湘南・江ノ島が舞台になっており、変な気分。

 登場少女三人のウチ二人、髪型や色、顔立ちの雰囲気が似ており、最初混乱。
酷くそっくりな訳ではなく途中から見分けが付いてくるけれども、せめて髪の色を明確に変えた方が取っつきは良かったような。
 転校生を入れ、彼に説明する形を取ることで、学校の若干特殊な編成が分かり易くなっている。
 非情な(…ように現段階では見える)女教師の言葉に、机上破壊工作と絶叫で立ち向かう「妄想をする」少女が可笑しい。
トイレの手洗い場に水を溜めて顔を漬けるのは、潔癖症ではとても無理だろう。

 広場で一人歌う少女の歌が、ちゃんと上手いのは好印象。
 作画レベルは高く、女の子は可愛く描けている。
 メインになるのだろう男女が全員、たまたま集まったところで第一話は終わり。
 視聴継続するに問題のない出来。
面白くなると良いなあ。



 劇場で『宇宙戦艦ヤマト2199 第二章 太陽圏の死闘』を見る。
 第一章は、テレビで見たためか、不満を感じる内容ではなかったものの「絶賛!」とまで個人的に行かなかったが、ワープ、波動砲、対反射衛星砲ミッション と次々大きなイベントが起こり、まだ違和感のあった新規女性キャラが少しずつ馴染んできたこともあり、大変に面白く見られた。
 反射衛星砲については、役割から攻略法まで相当変えてあり、ガミラス・ヤマト双方の知略戦を見せてくれたのが素晴らしい。
「都合良く進めている」部分は、そりゃあるんだけど、このぐらい考えてくれてれば充分に満足。

 古代に優しくない森雪、機械のように硬質な真田さん(声からも『スター・トレック・ネクスト・ジェネレーション』データのようだ)、面白味のないロボット・アナライザー…見知ったキャラクター達もアプローチを変えると新鮮。
 「意見具申して宜しいでしょうか」「撃ち方始め!」、波動砲の正確な名称を「次元波動爆縮放射機」とするなど、オリジナルにない言葉遣いや単語が耳に残る。
 ヤマトの艦載機発進シーンで、BGM「新コスモタイガー」が流れたのが個人的にポイント高い。
好きな曲なので…新しい画面でまた聞けるとは思わなかった、感動。

 次回が楽しみになる出来。
 ずーっと面白いと良いなあ。



2012年07月04日 水曜日

『夏色キセキ』最終12話.「終わらないナツヤスミ」

 結構な長文を書いていたのが飛んでしまい、心ポッキリ。
 同じ時間を繰り返し続けるところから、『うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー』…いや、多くの人が心にトラウマを作った『涼宮ハルヒ』エンドレス夏休みを思い出してしまう。
少女達の記憶は残り、次こそは!と失敗しないよう頑張って、螺旋階段を上っていくような有様から、映画『恋はデジャ・ブ』の方が近いか。
 どうせ夜中でリセットが掛かり世界状況から心身まで元通りなのだから、もっと無茶すれば良かったのに……
と考えるような欲望ギトギトの少女達なら、御石様への願い事で恐ろしい事態を招いていたろうし、それ以前に願い事が聞き入れられたか疑問かな。

 最終的にオーディションは思い通りに終えられたようだが、結果は分からず。
 ラストは紗季の引っ越しを見送るシーンかと…
 これは、「紗季が去ろうとする直前、オーディション合格通知が届き、四人は別れずに済んだ」という奇跡の可能性を残したものか。
そこまで都合良くなく、「住むところは離れ、アイドルは夢に終わったが、いつまでも友達で居られた」だけでも充分に奇跡。
 どのレベルまで最後の奇跡が起きたのか、あるいは起きなかったのか、それは最後まで見てきた視聴者の心に描かれた軌跡から想像して下さい、かな。

 一話目で少女らが天空に舞い上がった時は「何だコレ?」と思ったものだけど、四人のキャラクターとそれぞれが抱く互いへの気持ち、起こされる御石様絡み のドタバタコメディーで笑わせ、しかしそれが彼女らの過去・現在・未来を描き出すため無駄になっておらず、別れの現実と夢に向かって頑張る少女達を素直に 応援する気持ちにさせてくれる、気持ちの良い作品だった。
 高校生になり、再会した彼女達を追いかける第二部もアリか。
学業との両立が難しい新人アイドルとしての生活を中心にしても良いし。
 どうやら母親達も御石様により何かあった…?と思われ、若い頃の親世代をヒロインに据える『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』ライクな物語にする手も。
 まあ、これで終わるのが最もキレイな形ではあろうが。



2012年07月03日 火曜日

『シャイニング・ハーツ〜幸せのパン〜』最終12話.「幸せのパン」

 漂流人として現在地に流れ着くまでの自分は…とか、そこでの因縁がある?キャラ同士の関係、侵攻者の存在とバトル、この辺りが全く無駄。
時間を費やしてしまった割に、全然描けてないし。
 「ここはどうでもいい」と思って構成した可能性もあるけど、それならもっともっと軽く扱うべき。
 真の決着は第二期で?
いや……別に興味がない。

 三人娘に外見以外の個性が無く、リックを巡る恋愛絡み・女同士友情のアレコレが、ほぼ皆無なのは肩透かし過ぎ(原作ゲームでは三人から一人を選ぶシステムで、性格付けに差異がないらしい、とはいえ)。
それだけでいくらでもエピソードを作れたと思うのに。
 城のドジっ子メイドや、怪盗ネコ娘、酒場の女主人など、彫り込めばずっとキャラとしての魅力が増したと思え、せっかくの外見デザインが勿体ない。
 メインの舞台となったパン屋でも、色々にストーリー・バリエーションを繰り出せたろうに。
「パン屋で毎日パンを焼いてます」「パンは何故か、とにかく美味しいです」「誰が食べても美味しいと言います」これだけで最後まで行ってしまった(最後、言い訳のようにパン作りの壁にぶつかり適当に越えるが)。
パンについて下調べや取材をしていない…それ以前にまるで関心・愛情がないんだろうな。

 「ファンタジー世界でパン屋が主人公」「ありがちなバトルやお使いイベント無し、穏やかな日常を描く」という、シリーズ当初の見せ方に、パターンから外れた面白さを期待したが、それだけではどうやって十二話もたせれば良いのか分からなかった模様。
 毎回エンディングで披露される三人娘の踊りが楽しく、彼女達の魅力を次第に伝えてくれる作品だと思っていたため、結局メインヒロインが誰だったかも疑問な内容で残念。
 うーん、勿体ないなあ。



『つり球』最終12話.「さよならのフィッシング」

 問題を抱える家族関係や、組織との対立、友情の行く末を、クライマックスの大物釣りに向けて揃え、盛り上げる構成…だったとは思うんだけど、何だかちょっとずつズレていて、必ずしも一つの像へとお約束通り結実して「いかない」のが、変だったこのアニメらしくて可笑しい。
 もう少しこう…と物足りない部分は多々ありつつ、それら全部ひっくるめて独自の世界を作り上げていたので、まあ。
 長く伏線としてきた、ハルとケイトの「ちゃんとサヨナラをする別れ」を、上空(UFOも見えない)と駅ホームで実にアッサリと、しかしケイトの穏やかな表情で心地良く描いてみせるのが上手く、ジーン。
「婆ちゃんと永遠の別離」が訪れるかと覚悟していたけれど、そういう内容じゃなかったな、まあそれはそれで。

 愛恋沙汰とほとんど縁がない作品だった。
最終話ラストの教室は恋が始まる予兆を感じさせつつ。
 風変わりで考え無しで勢い任せでデタラメな、学生時代に男同士が結ぶ友情なんかこんな感じのモノだなあ、と思わせる関係が楽しかった。
 CGを使いつつ、リアルでなくオリジナルな景観を作り出した海・波の表現が美しい。
 アッケラカンとしたラストシーンは評価の分かれるところかな…「やると思った」かも。


2012年07月02日 月曜日

『機動戦士ガンダムAGE』38.「逃亡者キオ」

 ヴェイガンの本拠地・セカンドムーンで過ごす、キオ。
 親しくなった兄妹を助けたい一心…とはいえ、AGEデバイスの解析に手を貸す迂闊さにはビックリ。
まあ、爺ちゃんに言われるままガンダムには乗っているが、まだ子供だし、軍人、軍属?だという認識は薄いのか。
 ヴェイガンがガンダムを制作中、などとは夢にも思うまいし、多少の技術流出は問題ないと考えた?
 行動の自由は保障されているようだし、イゼルカントにさえ親しみを感じているストックホルム症候群的心理状態から、危機感が無くなっていたかも。
 チラリとぐらい、ヴェイガンの「非道」により死亡したシャナルアのことを思い出して上げて良いような。

 苦しい生活を続けている兄妹との交流・悲しい別れは、パターンながら、未来まで描いてしまう絵日記という効果的なアイテムを使い、破綻なく出来ていたと思う。
 何で収入を得て、食料はどこから手に入れているか、ちょっと気になってしまったが。
死なない程度には配給があったり、親が戦死した軍人だとすると遺族補償金が出ていたり?
 「王宮で毎日ご馳走を出され、メイド付き部屋のふかふかベッドで眠る自分」が「貧民街でボロ屋に住み食料も乏しい兄妹」の元を訪れることに、疑問は感じなかったんだろうか。
「戦争する国力があるなら、国民の生活を楽にするため使うべきだ」と訴えるとか。
 そうはいってもキオだって名家出身のボンボン。
死が近い難病への同情心は持ち得ても、貧富の差に対する感覚は鈍いのかな。

 それにしても、死を賭して救出に来てくれたオヤジを無為に待たせ、兄妹に薬を届け・お別れを言いに行くノンビリしたキオの考え方に、愕然。
子供とはいえ、さすがにコレは…
 俯く兄の姿を見て、「やっぱり全体が罠だったのか?『キオ…お前をこのまま逃がす訳にはいかない、最初に言われただろう?お前には監視を付けてある…って』とか言って銃口を向けてくるハードな展開か」と期待したけれど、そんな訳なく、普通に妹の死。
 「子供向けアニメ」テイストを強調するなら、キオを拘束しようと駆けつけた兵士達の前にディーンと不良少年達が立ちはだかり、「ここは俺達に任せてお前は行け!」パターンに持ち込むとか、もっと盛れたなあ。
 ディーンは、いずれXラウンダーとしてMSパイロットになり、キオと戦場で再会する予想。
次回、ヴェイガン・ガンダムに乗っているのはさすがに早過ぎか。

 セカンドムーンへと潜入する宇宙海賊。
ヴェイガンの技術を流用して近づき、たった三機のMS…王宮に堂々と赴いたのはキャプテン・アセムの一機のみ…で守備隊を手玉に取り、システムをハッキングし、貴重な時間を恐ろしく浪費するキオを呑気に待ち、それでも被害無く脱出する。
連邦の必要性が……
 ついでに超強力な爆弾をいくつか持ち込んで起爆させれば、戦争は終わったんじゃあ?
 今回は「息子救出」のためこういう行動を取ったが、海賊達は必ずしも「ヴェイガンの敵」でなく、「連邦の味方」でもない、第三勢力を目指しているとか。
どこかの勝利を望まず、天下三分の計、宇宙の安定と調和が目的、というなら、まあ。
 ヴェイガン技術流用・システムハッキングの順調さから、実は海賊構成員の半数近くは、敗戦し瀕死で宇宙を漂っていたヴェイガン兵士。
海賊船に拾われて戦場を離れ、客観的に状況を見ることで、母国・連邦、どちらの考え方にも疑問を抱いた、なんてのはどうだろ。

 爆弾については…次回、ヴェイガン・ガンダムと守備隊の猛追を受け、海賊が危機に陥った際、アセムが「我々を無事に帰さないと、セカンドムーン内十二カ所に仕掛けた爆弾を起爆させるぞ」とハッタリで脅迫する手も使えそう。
 ヴェイガン・ガンダムのパイロットが誰なのか、気になるところ。
ザナルドは強力な専用機を持ってるし、ゼハートも。
イゼルカントが自ら乗り出してきてると面白いかな、あるいはそのヨメが「本当、好きだったよ、坊や」と言いつつ。
 海賊になってなきゃ、ここは絶対、敵パイロットとなったアセムの劇的再登場シーンだったろうが。



2012年07月01日 日曜日

『さんかれあ』最終12話.「あの瞬間…俺は…」

 再びゾンビっぽい行動を取ってしまう、礼弥。
このまま千紘が喰われるのでは…とはさすがに全然思わないけど(彼ならそれはそれで満足な死に様なのかも)、窮地をどうやって切り抜け、正気に戻った礼弥がどういう反応を示すか、次回が気になる。

 …え、これで最終回なの?
 放送の都合で1話ずれてしまい、本来流すはずの最終話がDVD・Blu-rayのみの収録になってしまった、という話らしいけど。
 うううーん、好きなアニメだったため、消化不良を感じさせる終わり方は残念。
続きは原作単行本を読む、あるいは映像ソフトで、もしくは衛星等で放送される際は本当の最終話まで流されるかも知れないからそれをチェック、ということになるか。
 第二期があるなら、そのアタマで見られる…可能性も。

 狂った偏愛ぶりを発揮していた礼弥オヤジ。
しかし、そうなるに到った経緯を知ると、理解できないでもない。
 礼弥母以外に正しく好意を寄せた相手が存在せず、その彼女を急に「取り上げられた」ため、人の愛し方や、距離の取り方がサッパリ分からないんだろうなあ。
妻を亡くしたことから死を憎み、娘の生…その証としての成長や健康な体(裸)に執着する、千紘と対照的な立場なのか、死後も自分の側に居続けている、妻の身代わり…存在を継続していく者として娘を見ているなら、千紘と同じく「死を経た相手を愛している」ことになるのか。
 あの狂いっぷりから相当厄介な相手だと思っていたが、割合早く理解を示してくれ、身を引く形を取ったのが意外。
まあ、この後も、娘復活への厄介な方法(千紘をイケニエにせねばならないとか)を持ち帰り、面倒を起こす可能性はあるけど。

 ゾンビ、といっても、魂の損失・脳の致命的な損傷がなく、肉体的にも腐敗を迎えないことで、ちょっと青白い普通の少女だとも捉えられ、礼弥に拒否反応を起こす人は、そう多くなかったかと思う。
 ゾンビ好きとしては、漫画『アイアムアヒーロー』で見せた主人公彼女の悲惨な変貌ぐらい凄い絵面も欲しかったところだけど、そんな企画が少年誌で通るわけ無く、そんな彼女じゃヒロインにはなり得ない。
 蘭子も萌路も可愛く、小さくネタを詰め込んだ予告編まで楽しかったので、作品への満足度は高い。
 第二期を期待したいような、礼弥が悲しい運命を辿っていくのなら見たくないような、でも「生命活動を再起動させる方法が見つかった」とするヌルい展開だと不満を感じてしまいそうな、複雑な気持ち。



『坂道のアポロン』最終12話.「オール・ブルース」

 高い演出力と作画のクオリティーを保ち、完走したシリーズ。
 意表を突く設定や展開、あざとい視聴者サービス、人気が見込める萌えキャラなど、深夜アニメとして面白がってもらえそうな要素を入れず。
王道とも言える昔ながらの友情と恋の青春物語を、血の通うキャラクターへの共感と、それをベースにして彼らの運命を気掛かりにさせる…次回を楽しみに思わせるドラマの作り方がとても上手く、すっかり引き込まれてしまった。

 もっと高校時代を見たかったなあ。
千太郎が居ないままでは火が消えたような学園生活にしかなり得ず、彼の生き方と人生へのオトシマエから復学はなかなか難しい、とは思うんだけど。
 学園祭での「伝説的」ジャズセッション。
演奏そのものもだけど、楽しげな二人の表情と、不器用な男の子達の気持ちが言葉に寄らず音楽で通い合う、この嬉しさが格別だったので、もう一度、分かってくれる相手を最も必要とする高校時代に体験して欲しかったから。
 それが叶えられないフラストレーションがあって、だから成長した後の、互いの永い不在を埋めるような奇跡的、しかし必然的音楽対話が胸に染みる訳だけど。

 僅かのことで、もっとずっと楽に生きられそうなものなのに、そうできない男の子・女の子達が愛しい。
 胸に刺さる痛みと、心を癒す優しさに満ちた、魅力的な作品。
 好きだなあ。



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