ときどき日記 02/11(後)

2002年11月29日 金曜日

 テレビ放送を録画しておいた『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃(特別編集版)』を見る。
試写会で見て以来、見直すのは初めて。
 ええと、どの辺が「特別編集」だったんだろうか?
エンディングがカットされてる所?
ラストの、より一層『13日の金曜日』不死身のジェイソンっぽくなってしまったテロップは、上映時にもあったんだっけ?

 最初に見た時にも書いた気がするけど…
 とにかくゴジラの凶悪さ、悪辣さが非常に良く出ており、「怖い」ので、そういう面では満足のいく出来だろう。
というか、それ以外は物足りない所ばかり。

 日本人の敵であるゴジラと戦う聖獣達が、必ずしも人にとって「良いもの」ではなく、人間や公共物の存在は意に介していないらしく結構な被害を出しながら移動していくのが、ちょっと。
金子監督、特に『ガメラ3』で「超絶に巨大な生物はただそこに存在するだけでも人間にとって脅威である」という視点を得て以降、どうしてもそこから脱却できないみたいだなあ。
 モスラなんかは、意図的に人間を襲って(食べて?)いる訳で、とてもじゃないが「人間の味方」では、ない。

 そいで何が困るかというと、見ている方が、ドラマの流れとしてどちらへの肩入れも出来ない事。
どっちが勝っても負けても構わないんだよね。
知らない馬ばかり出ている競馬を、お金も賭けずに見ている気分。
オレ達には関係ない、というか。
 まあ、登場怪獣は みんなお馴染みさんだけど。
 だからこそ、ドラマの強いフォローがないとつい「キングギドラ=悪役」と思って見てしまい、混乱させられる部分も。

 戦いの組み立て方も良くない。
意味不明な「奇跡」みたいな物をやたら連続して見せられてもなあ。
 人間ドラマの柱である「父娘の確執」の描き方が酷く安っぽい。
 ただのレポーターから、報道精神に目覚めたジャーナリストへと変わってみせた娘が、最後まで戦いの実況を続けると言い放った瞬間、ベイブリッジが破壊され展望台から振り落とされかけて中継どころじゃなくなってしまう所は、ギャグとして笑うべきだったのか?
米『Godzilla』のお馬鹿さんヒロインもジャーナリストだったが、彼女の方がもう少し「成長」を感じさせてくれたぞ。

 うーん、演出やら画面の作り方は面白かったのだから、あとはお話が何とかなればなー…『ガメラ』脚本の伊藤 和典は偉大だった、という事になるのか?
 とりあえず もうじき公開の『メカゴジラ』がエンターテインメントであるよう、願いたい。



『灰羽連盟』06.「夏の終わり・雨・喪失」07.「傷痕・病・冬の到来」

 2本で一つの話、と言っても良い内容だったので、連続放送はありがたい。
…制作側にとっては、スケジュールが厳しくなるばかりで嬉しくないかも知れないが。

 ずーっとそうなんだけど、とにかく作家性が強いアニメ。
急場しのぎで集めただけのスタッフに この作品の概要を説明しても、世界観や主題に沿った脚本や演出作業が出来るかどうか、疑問。
「萌え美少女の大サービス」とか「巨大メカのバトル」といった、分かり易い「売り」がある内容ではないので、どこを面白いと思ってもらえるべく作れば良いのかさえ分からないだろう。

 今回、厳しい・寂しい巣立ちの儀式が、灰羽達には待っている、という事が明らかになった。
それは「成長」を意味するのか、「終わり」なのか。
「生きる」ための旅立ちなのか、「死」に向かう彷徨なのか。
まだ、分からないなあ。
 でも、別離の悲しみに打ちのめされ、羽に黒い染みが広がっていく事に恐れを抱くラッカの心情は、細やかな演出のお陰でジンジンと伝わってきた。

 見ている間、何故か、安倍 吉俊氏キャラクターデザインの前作、『NieA_7』のエンディングテーマ「ヴィーナスと小さな神様」の歌詞、
「みんな大きくなって やがて死んでも ここに また 生まれてくるから賑やか」
という部分が頭の中にエンドレスで流れていた。

 どこへ行く話なのかなあ?


2002年11月28日 木曜日

『シスター・プリンセス Re Pure』09.「そばにいるよね…アニキ」「春歌」

 前半。
 それぞれの妹に合わせた理想の姿として常に存在する、「兄」の謎に切り込んだお話。
とゆーか、こんなのやっちゃっていいのか?
それを無視する事で成り立っているシリーズだと思うが。
 元々は、公式設定はどうだか知らないが、「兄と妹が一対一で存在する」関係が、主人公(プレイヤー自身)を中心に、12、パラレルワールドのように重なり合っている事になっていた。
 だからまあ、それぞれの妹が理想とする12の兄の姿がある訳で、実態を調べてしまうと、「いくつもの矛盾し合った顔を持つ兄が存在する」もしくは…「兄など、最初から存在していない」という押井 守ワールドに突入してしまう(笑)。
思えばこの物語は、「お兄ちゃんが好き!」という所から一歩も踏み出さないで、同じ一日を永遠に繰り返している『ビューティフル・ドリーマー』だとも言えるし。
 兄は、廃工場(倉庫街?)で誰と、もしくはナニと話していたのだろうか?
落ちてきた妹を受け止めたのは、ただの大きな木?
 まるで設定が違うはずの前作のキャラクターを何気なく出してみたりで、兄と12人の妹しか居ない この世界の不安定さを殊更に描いて見せた。
兄と妹達だけを乗せ、暗闇を走っていく電車が象徴的。
 アニメスタッフは、確信犯的に世界を「謎」に見せようとしているなあ。
というか、楽しんでるだろ(^ ^)?

 後半。
 以前、6話後半で非常にクオリティーの高い演出と作画を見せてくれた柴田 由香氏の作品に並ぶほど美麗な作画。
 今回の演出・作画は、『彼氏彼女の事情』『アベノ橋魔法☆商店街』のキャラクターデザインで有名な平松 禎史氏。
 描くのが難しい着付けをわざわざ見せる作画の手間や、浴衣で階段を下りる際に ちょっと裾をつまみ上げる細かさがイイねえ。
 浴衣姿で兄に逢う事に対する期待感と、一転 雨で何もかも台無しになってしまいそうな失望感、やってきた兄が手渡す傘を受け取って(ここでの、傘を持つ兄の手に触れようとするが、瞬間ためらって傘の柄に指を落とす彼女の「指先の演技」には唸る)パンッと開き、高揚する気持ちが突き抜ける勢いで雨雲を吹き飛ばすダイナミックさ。
 細かな感情の動きを的確に捉え、伝えてくるのが巧い、巧い
 こういう話が時折入るから、このアニメは見逃せないんだよなー。


2002年11月27日 水曜日

『キディ・グレイド』07.「Trial/Child」

 また、人間をどこかに運んでいく任務かと思ったが、メインとなったのは到着後に2人がお節介を焼く事。
 今回は、強く・美しく・優しいエクレールにほのかな憧れ(母親に似ている、という気持ち?)を抱く少年の視点がきちんと感じられた。
ゲストはこのぐらいに扱ってくれると嬉しいな。
 レースがちょっと、エクレールに助けられすぎなのが不満ではあったが。

 協力してくれた男・シザーリオと幼女・ヴァイオラのESメンバーは…
本当のところ、物語としては いつも通り居ても居なくても良かった2人だと思うけども、おごってもらうメニューを中華にするかイタリアンにするかでモメる辺りはなかなか面白く、脇役として出しゃばりすぎない程度のキャラクター付けが出来ていて巧い。
 しかし、ワガママ幼女と無口・無表情な男、という取り合わせはイイねえ。
下手すると本来の主役よりも、こちらを主人公に据えていた方が面白くなったかも(^ ^)。
 最後に食べていたのは、イタリアンのナポリタンに見えたが、結局男の方が折れたのかな?

 主人公達が属する「GOTT」というのは、公式ページの説明によると、
「銀河通商関税機構 Galactic Organization of Trade and Tariffs 通称GOTTは、銀河宇宙に広がる人類の惑星国家群相互の関税と貿易を監視し、それら相互の不公正や諸問題を取り締まる、 宇宙惑星連合の実行機関である」
という事になっている。
 んー?その定義からは外れたお仕事が多かった気がするけども…
「超法規的対犯罪機関」とか「惑星連合総帥の私的組織」で、「あらゆる揉め事 一切解決致します」ってぐらいなアバウトさで良かったかと。

 で、主人公達は「GOTT」のESメンバーな訳だが、金融管理局、というセクションにもESメンバーが居る?
 そうすると、法務局にも文部科学局にも厚生労働局にも農林水産局にも、それぞれメンバーが居るのだろうか?
国土交通道路公団局なんかがあるなら強そうだなあ、何となく(薄〜い社会ネタ)。

 最終的な敵は、同じ政府機関、という事になるのだろうか?
各話バラエティーで終わらず、ラストにシリーズとしてのクライマックスを設けるつもりなら、の話だけど。


2002年11月26日 火曜日

 わあ、エニックスとスクウェアが合併?
 新名称はスクウェアエニックスかあ。
 実態としては、
エニックススクウェア
エニックスズ
エニックスその他
エニックスと愉快な赤字企業
 なんていう名前にしてもオッケーだったと思うが。

 ふーむ、セガバンダイは結局 成らなかったというのに、イキナリ青天の霹靂とも言うべき大合併。
そんなに困ってたんだ…
 スクウェアの技術があれば、泣きたくなる程ショボいCGムービーを見せてしまった『ドラクエ』最新版のような物が作られる事はなくなるかな。
 あ、いや、もの凄く制作費を費やすスクウェア技術陣をクビにし、『ドラクエ』レベル(程度の低いアマチュア並み)のムービーが全編に溢れる『FF』を作ってしまう最悪の選択もあり得る…(汗)

 『ドラクエ』『FF』夢の合体ゲームが出来る可能性も。
まあでも、堀井 雄二・坂口 博信 両氏に対し、昔ほどの期待やら信頼が持てなくなっているからなあ……
 今後の『FF』から、映画で壮絶な赤字を出してしまった坂口氏を完全に排除してしまうって選択もアリ?
実際、『FFX-2』では外してる訳だし。
 ああ、「ガンガン」誌上に『FF』漫画が載るようになるかもね。


2002年11月25日 月曜日

『超重神グラヴィオン』08.「超重戦場」

 もっと早い時期に操縦場所は変えられると思ったが、主役扱いであろう男の子がこれまでずっと「足」パーツに乗ったまま、ってのが斬新だった。
彼に出来るのは、とりあえずミサイル撃つ事だけで。
 それでもそんなに不満に感じなかったのは、メインパイロットにも魅力を付加していく見せ方が巧いせいか、意外にもこのアニメにおいて戦闘シーンの占める重要性が低かったせいか。

 で、ようやく中核メカのコックピットにエイジが乗り込む。
 メカ自体のパワー、というより、それに乗り込んだ各パイロットが内在する力によって その戦闘力が決まる、という設定がスラッと語られた。
 戦闘時にかかるパイロット負担への限界が、そのまま合体・戦闘時間の限界となっている。
 ははあ、なるほど。
メインパイロットである斗牙を、辛い・苦しいなどの感情をほとんど顕わにしないキャラに設定していたからこそ成り立った設定。
 この辺は、別段「謎」として扱う気はなかったみたいだなあ。
謎・謎・謎を積み重ね、説明を入れるタイミングを逸し続けた結果「ワケ分からん」状態にしてしまうアニメも多い中、適宜 説明していこうという姿勢は清々しい。

 どうせなら斗牙とエイジの違いを際立たせるべく、エイジの戦い方は暴走時のエヴァンゲリオン並みにエゲツない、乱暴者のケンカ程 ムチャな物にし、司令室で見守る人々の口から、
「何と下品な戦い方だ」
「ひどーい」
「あたし、初めてゼラバイアを可哀想だと思った」
というセリフを発せさせれば、彼の個性が浮き出てカタルシスが深くなった…かも。
 斗牙にとっての稼働限界時間を過ぎても、エイジは「根性(秘めた力)」で戦いを続けて見せる、ってのはまだ先に用意されている展開?

 作画は少々崩れ気味な所も見受けられたが、本当に意外な事に、このアニメは「絵が少しばかり良くなくても、内容が面白いからオッケー」な作品になってきた(^ ^)。



『りぜるまいん』20.「ふれあう柔肌 !? はふはふはつ初夜」

 やりすぎ(笑)。
 何というかもう、テレビベースで出来る下ネタギャグの限界に挑戦しているようなアニメ。
馬鹿馬鹿しくて下らなくて頭がやられそうで、爆笑の連続。
凄い、凄いよ!

「私は信じてるわよ。友紀がりぜるちゃんを泣かせたりするような息子じゃないって」
「うん!ゼッタイ喜ばせてくれるよね?ダンナ様の息子さん!
という、噛み合っているようなそうでもないような友紀母とりぜるの会話。

「ああっ!いけないわ!イケナイんだけど、イクぅ〜っ!……ハアハア 妄想で果ててしまいました」
という響子のセリフ。

 寝ぼけて友紀の股間に顔を埋めたりぜるの、
「ダンナ様、パクってしていい?」「やだー、おっき過ぎてアゴがはずれそうよ」
ってえ余りと言えばあまりな寝言(実は大きなサンドイッチを食べようとしている夢を見ていたのだ、という下らなさ)。
「パクってして飲んじゃっておいしかったってナニ?」
と妄想で、言ってない事まで付け加えてしまっている響子。

 ギターを弾きながらの龍之介のキカイダー的登場から、マジンガー兜甲児のようなコスチュームに着替え、響子と乗り込む戦隊(『サンバルカン』?)ロボのような2体のマシンには、心が一つにならないと合体できない『コンバトラーV』システムが搭載されている(りぜるの「全身、アワワ〜」というセリフに2人が過剰反応して心が一つになる下らなさには爆笑)。
 やりたい放題の同人誌ノリ・パロディーも一杯。

 りぜるママ達の考える「オトナのC」ってのは、どうやらヤッてしまう事ではなさそうだなあ。
 その謎の解明と、合体成功したロボットが光子力研究所型バリアーに挑むシーンは、次回のお楽しみかな。
 いやあ、面白い。
というか、イイのかこんなの地上波で流して?
 目が離せない(笑)。


2002年11月23日 土曜日

『機動戦士ガンダムSEED』08.「敵軍の歌姫」

 今回、ラクスが登場した事でだいぶ、気楽に見られるようになった。
それは、何というか、この作品の「リアルさのレベル」が分かってきたから。

 ラクスは、現状把握能力に欠ける のほほんとしたお姫様。
 乗船していた宇宙船が襲撃を受け、脱出させられ、拾われた船が敵軍のものであった事を知ってもなお動じる様子が無い程に、のほほん
 これから、彼女がどれだけ世界から乖離した「異常な」存在であるかが執拗に描かれていくならともかく、のんきな理由が「お嬢様育ちで世間知らずだったから」程度では、この戦時下に…リアルに考えるととても納得できない。

 彼女を巻き込む事に抵抗を感じるマリュー大尉も、かなり「嘘」。
 ブリッジで指摘されていたが、コロニー内で、ガンダムの秘密を守ろうと民間人である主人公達にさえ銃口を向け、利用しているのだ。
突然のザフトの襲撃を受け、軍の同僚達も大勢死んで感情的に鬱屈があるはずだし、ラクス収容時点でもまだ搭乗員達の生命が危険にさらされている状態。
 彼女もまた「異常者」であるなら別だけど、「お人好しの理想主義者だったから」抵抗を示した、というぐらいの理由付けでは納得できない。
 ホワイトベースがもしかガルマを捕虜に出来たなら、「直に憎しみをぶつけようとする者」「彼を盾にすれば敵陣突破もたやすいと、利用価値の高さに喜ぶ者」「かえってジオン軍中の注目と憎しみを集めてしまいそうで逆効果と反対する者」ぐらいは出てきそうだが、捉えておく事、いずれ連邦に引き渡す事に抵抗を示すような余裕のある者は…居ないだろう。
いやま、ガルマは軍人だけどね。

 ラクスを入れておいたキャビンに施錠さえしていなかった事も含め…
このアニメが「戦争」だとか「コーディネーターとナチュラルの確執」を描こうとしている、と考えるのは間違いで、リアルさのレベルの非常に低い、少々お馬鹿さんな作品にしようとしている、と思うべき。
 だったらまあ、「見たところ大して役に立たないガンダムを巡っての戦い」「さほど優れて見えないコーディネーター」も、リアルに考えるとおかしいとか言わず、それはそれとして受け入れるべきなんだろう。

 でも、ラクスを投げ込んだ事でアークエンジェル内に波風が立ち、一応はキャラクターそれぞれのリアクションが見られたのは、非常に良かった。
 みんなフレイに何故か優しいもんで、彼女とぶつかって摩擦を起こす事によってキャラを立たせるのは無理みたいだから。
 「のほほん」ラクス対「バカ女」フレイのバトルが楽しくなりそうだなあ。
誰でも予想できるだろうが、多分じきにフレイの父親が戦死して、その怒りを込めてラクスに更に辛く当たるようになるのだろう。

 かみ合っているような そうでないようなハロのセリフが、変におかしかった。
 ファーストのハロと違って、きちんとした音声認識機能は積んでないみたい。
アホなオウムのようだ。
 「オマエモナー」はどうかと思うが(笑)。



『奇鋼仙女ロウラン』02.「正義の戦い」

 えーと、前回はどんな話だったんだっけ?というか話なんかあったっけ?
何だか今回、キャラが説明も無く一気に増えたような気がするんだけど。
 正義だ悪だと、前提になるドラマもナシにいきなりテーマ(であろうモノ)を語り始めるのは どうだろうか。
會川脚本の悪い部分が最初から出てしまっているような。

 ロボットの搭乗者である少年、あるいはロウランと名乗る少女に、何らかの意味で魅力を感じさせる事が出来れば取っ掛かりとしてはオッケーだが…
少女の方に「イクサー1そっくりで懐かしい」という価値付けが出来る以外には、特に興味を感じない。

 でもまあ、巨大ロボの腕を引き裂く、ロウランのパワー表現はなかなか面白かった。
 とりあえず演出と作画を楽しみに継続視聴。
 「コレを潰して、30分枠全部『チュチュ』に返せ」とか言われないように、頑張って欲しいな。



『オーバーマン キングゲイナー』11.「涙は盗めない」

 むう、嫌でもファンにならざるを得ない程、アナ姫が可愛らしく、誇り高く、賢く、しかし幼くか弱く描けていた話。

 「盗む」力を持ったオーバーマンが登場。
ちょっと馬鹿馬鹿しいぐらいにバリエーションに富ませた個別の機体能力が、ますます『ジョジョ』。
 この作品自体はオーバーマンなどロボット類が無くても成り立つと思うが、その突き抜けた能力の発現やアクションがある事で、本来悲惨な話にもなりかねないエクソダス話を陽気なテイストに保つ機能を果たしている。
 また、昨今のロボット物ではなかなか見られないぐらい、面白い見せ方も成されているし。
自分の身を盗ませたと見せて、爆弾を仕掛けたマネキンと入れ替わり、オーバーマンの腕を吹き飛ばすゲインの機転アイディアなんか、素晴らしいの一言。

 その敵オーバーマンに捉えられたアナ姫。
パイロットのアスハムに対し、
「卑怯にも女2人を盗み取り、その身を盾にする事で何が叶うとお思いですか?あなたもオーバーマンに乗る程の武士(もののふ)なら、恥を知りなさい!そんな卑屈な行為でピープルの心が変えられるものではありません!」
と大見得を切る。
 いやー格好イイ、惚れるね(^ ^)。
 ヤッサバといい暴走忍者・ガウリといい、キャラの一人ずつにスポットを当てて、魅力的に描き出すのが巧いなあ。

 そして、「家」と父親の窮地に通信を送るアナと、彼女のためを思い冷たく突き放す父親、傍観者としてその父親の態度を非難するゲイナーとは違い、正しく父親の心情を察知して大粒の涙をこぼすアナ。
 巧い巧い。凄い凄い。


2002年11月21日 木曜日

『超重神グラヴィオン』07.「渚のドリル少女」

 2話連続放送だったのだが、前半は痛恨の録画失敗。

 なぜだかこの土地にこだわる大張監督らしい、沖縄話。
 背景の力に加えて演出効果で海がキレイに見えたり、町の食べ物屋がそれらしかったり、タクシーで走る背景が「ああ、ココは空港から市街への道かなあ」と分かるものであったりで、少なくともエセ沖縄好きのオレ「には」納得できるモノであった。

 お話的にも、故郷を守ろうと必死の戦いを見せるのは琉菜であり(当たり前のようだけど、ココをぼやかしてしまう作品が多い)、海辺で過ごす搭乗員一行の様子も楽しげに描け、冒頭で出てきたクッキーのネタをラストで繰り返す小技も効かせる余裕ぶりなど、実に良い感じ。
 超重合神!ゴーッド・グラーヴィオン!…一度言ってみたかったのだ」、そしてミチミチなビキニパンツでビーチに登場と、馬鹿馬鹿しさで笑わせてくれるサンドマンも好印象。
笑いを伴わない状態のサンドマンみたいな男こそ大張アニメのスタンダードだったような気がするが、それを「笑っちゃうよね」という見せ方にしてしまえるようになったのは、監督の成長か。

 バンクシーンも含め全てを「水着着用」の絵に描き直してあった努力に感心。
 「エライ人は、なにかっつーとこの島で平和会議やりたがるでしょ?それがね、嫌なんですよ」
という沖縄タクシー運ちゃんの言葉が、何気なくも心に残る。
 敵の目的とか行動様式が分からないけど…まあそんなのどーでもイイな(笑)。
 いやあ、面白いやコレ。
これだけの物語・演出・作画のテンションを保っていけるなら、かなり商品価値の高いシリーズになりそう。



『キディ・グレイド』06.「Twin/Star」

 「?」と思うシーンは多かったけど、全体には分かり辛い事もなく、このシリーズにしてはずいぶんと見易いお話だった。

 今回は「エクレールの正体を知らないままに行動するパドゥーシカ」というのがメインのネタになっていたのだが…前回もあったように、エクレールって自分の身分をナイショにしているの?
単に「受付嬢」と周囲は考えているようだけど。
 何のための偽装?
対外的にならともかく、同組織内の人間にまで秘密にしているのは「敵を欺くには まず味方から」の原則に沿って?
それにしては、今回ラストで旦那さんがパドゥーシカに何気なく秘密を明かしていたりで、どういう機密レベルになっているのか分からない。

 今回のような話は、『ドラゴンボールZ』のサタンと悟空達のように、自分がメインだと思いこんでいる方が いかにそれに気が付かず(周囲に気が付かれず)に過ごし、サポートする無能者(実は超絶の実力者)が どれほど苦労するか、が見所。
 途中までは良かったんだけど、最後のバトルではパドゥーシカの視点がほとんど無くなってしまい、普通にエクレール視点で活躍を見せるだけだったため物語の面白さにブレが生じてしまい、若干物足りない印象を残してしまった。
 パドゥーシカが持つエクレールへの評価の変化(どこをもって「ESメンバーにもなれるかも」という見解に移行したのか?)、彼女に花を持たせるべく苦心惨憺するエクレールの奮闘ぶり、ここいらをもっと見たかったなあ。

 更に言えば、主人公達 以外のESメンバーの存在は、今回も無駄だったような。
彼ら彼女ら、出てきても物語中で有機的に活かされる事がない。
 何話続くシリーズなのか知らないが、それほど長くないのなら、他のメンバーは一切出さなくても良いと思う。
 大きくヒネるなら、ダメダメに見えたパドゥーシカの方が実はESメンバー最上位クラスのエージェントで、エクレールこそ彼女の掌の上で踊らされていただけ、ってのはどうか(^ ^)。


2002年11月20日 水曜日

『機動戦士ガンダムSEED』07.「宇宙の傷跡」

 内容が面白かったなら、気にならなかっただろう程度の事なんだけど…
 多数の死者を出した、破壊されたコロニーのモノとはいえ、水は水。
生活排水・汚水の類でさえ浄化循環させて使っているのであろう宇宙世代の子供達が、回収にそんなに抵抗を示すかなあ?
 そりゃあ、「死人に水は必要ないもんな」などと言いつつ嬉しげに回収へと向かわせる訳にはいくまいが。
 ザフト側だったけども、スペースが限られているコロニー内だというのに広大な敷地を取って墓地を構えていた所を見ると、「死」に対する畏敬の念が現在よりずっと強くなっているのかね?

 偵察モビルスーツを撃破してしまった事に動揺を示す主人公。
 …コロニー内でザクもどき一機を破壊した時には、何の感慨もなかったようだが?
 今回見せたのは、「他者の命を奪ってしまった」事によるショックではなく、「コーディネーターである自分と、自分たちのために戦っているという友人を、こうして裏切っていく」事に対しての抵抗と後悔、だったのか。

 歌姫の登場は、オリジナル『ガンダム』からの大きな乖離。
ここから、独自色を強めてくれるといいなあ。
 どうにも唐突に出てきたため、「マチルダがミデア輸送機でホワイトベースに補給に来た際、コンテナ内にガルマが密航しており、しかもイキナリ歌い出した」みたいな据わりの悪さは感じてしまったが。
 登場の理由、そしてアークエンジェルでの彼女の扱われ方のリアリティー(もしくはドラマティックさ)で、納得させてくれれば文句ないけども。



『ギャラクシーエンジェル』07.「激レアフォーチュンクッキー」「激辛お子さまランチ」

 前半。
 久々にミルフィーユが持つ「幸運の遺伝子」が強力に発動する、いかにもSFモノ好みなお話。
 遭難した星で悲惨なサバイバル…とはならず、ミルフィーユのお陰でそこは、美味しいモノいっぱい、居住環境も良い「地上の楽園」と化しており、うっかり順応してしまうエンジェル隊の面々がおかしい。

 諍いを起こして惑星に居続ける事を嫌にさせるのが目的の、フォルテ・蘭花の馬賊的行動。
ミルフィーユの力があれば、「みんな仲良くしたい」という望みを叶えるべく、2人に天罰を与えて反抗心を無くさせる事も出来たはずだが、そういうマイナス方向には思考が向かない所が何とも。
 どうせなら、2人の首をラッキーの真綿で絞めるがごとく、住環境を際限なく良く(必ずしも2人の求める通りの「良さ」ではなくとも)して行く事で反抗心を失わせてしまうオチでも良かったかなあ。

 そういう、人智を越えたような ぬるま湯(適温の湯?)に満たされてミルフィーユはずっと生きてきた、そうなると人間は、「発狂する」「悪意ゼロのお人好し(現ミルフィーユ)になるしかない、という事に気が付いて、それは本当にラッキーな人生と言えるのかどうか疑問を投げかけて終わっても…いや、それじゃ理屈っぽいだけで全然面白くならないや(笑)。



『りぜるまいん』19.「オトナのC 幼な妻に何が起こったか!?」

 りぜると「オトナのC」をするように要請される友紀。
普通のアニメなら、「C」とは言っても想像したような内容ではなく、実は…というオチがあるものだが、暴走を始めたこのアニメに そんなもなァ無い!
聞いたまま、そのまんま(笑)。

 抵抗する友紀をその気にさせるべく立てられたプラン。
これがねー、なんかこう、えっち漫画家が頭の中で考えている事って大体こうじゃないの?とでも言いたげなモノで、そいでまたそれがオレに限っては実際その通りだったりして、笑いながらも何か、痛い
 裸エプロンで「ダンナ様の愛の調味料をかけて、いっぱいいっぱい、かけて」
 ナース姿で「ダンナ様のお注射をちょうだい」
 ネコ娘風で「ダンニャ様〜のどが渇いたニャ〜、りぜる、ダンニャ様のミルクが飲みたいニャ」
 うわ、もう痛いイタイ。
なんというか、自分の漫画のセリフを目の前で声に出して読まれているような辛さ( ^_^;)。

 更に、上セーラー服で下ブルマを縄で緊縛という、コンビニ売りのえっち漫画誌でやったら「あからさまに未成年を表しており、規制に引っかかる可能性が高い」、平たく言うと「こんなもん描くなバカ、本が無くなるだろうが!」という事で間違いなく編集さんから描き直しを命じられるコスチュームも登場。
いいなあ、いいなあ、アニメならやってもいいんだなあ。

 とどめは…
同時間枠後半の作品である『くるみ』のパロか。
 コスチュームを見た友紀の「引きこもるぞ」という呟きが、やたらにおかしい。
 取って付けたような、響子と半裸でハアハア言ってたけど実はプロレスしてただけです、というギャグは要らなかったような…まあ、おかげで年長者の色気シーンを入れられた訳だが。

 いやあ、凄いや。
加速が激しすぎて一般的なお客様を置いて行ってるんじゃないかという不安はあるが、オレは辛さ恥ずかしさに煩悶しながらも、全編大笑いの連続で最高に楽しかった。
 この強烈なテンションをどこまで維持できるか、だなあ。


2002年11月19日 火曜日

『ぷちぷり*ユーシィ』07.「ニャンと?魔界はネコばかり」

 ここここここここんなの、テレビで放送する内容じゃないぞ!
見流しではもったいなさ過ぎる!
 細かなネタとかキャラのリアクションとか、全編に渡り こだわって描かれているので、見返す事に耐えうると言うか見返さないと把握しきれない所が多い。
塔をワンカットで登って行きながらのユーシィ・グレンダ組 対ニャーゴ1世の追っかけっこなんか、アイディア詰め過ぎ。

 絵コンテは、『彼氏彼女』『フリクリ』、近作では『アベノ橋魔法☆商店街』の3話、12話で強烈な演出と作画を見せてくれた今石 洋之。
 いつもよりは暴走を多少押さえ気味にしていたのは、NHK女児向けアニメという限界を理性的に考えての事か、予算・枚数等 制作状況の制限によるものか。

 魔界のヒネくれ王女・グレンダの魅力が全開!
ここまで何という事もなくこの作品を見てきた人でも、この1話だけで彼女のファンにしてしまう程のパワーがあった。
 ネコに変えられてしまい泣いている犬人村の子供を前に、彼女は、入念に辺りを見回し、他に誰も居ない事をしっかり確認してから、ようやく抱きしめて優しくなだめる。
「魔界の王女」である事に誇りを持っているため、そのイメージにそぐわない「優しい・可愛い・良い子」な本質を知られないよう無理に覆い隠そうとしているが、どうしても隠しきれずに溢れてきてしまうのだ(だからこそ、臣民に愛され慕われている)。
 「ヒネくれキャラ好み」なオレの琴線に触れまくる描写で、口元ゆるみッ放し。

 こういう「心の壁」が崩れて素直な内面を見せる一瞬は、もう少しシリーズの後の方に回しても良かったと思うが、視聴対象はオレのようなオタ野郎ではなく子供向けである事と、何しろその出来が良かった事で、全然オッケー。
 まー子供向けにしては、今回はずいぶんとグレンダのボディーラインがエッチな感じに描かれていたけども(^ ^)。

 グレンダをサポートするユーシィ猫をペロに見立てれば、高い塔に登りながらのアクションも含め、往年の東映名作映画『長靴をはいた猫』を思い起こさせる内容。
 瞬きするのも勿体ない、楽しいお話だった。



『プリンセスチュチュ〜雛の章〜』14.「大鴉 前編」

 前章最終話からどうやって続かせるのかと思ったが、拍子抜けするほど「普通」に、その後を描いた話。
 元々、30分あっても見足りない内容の作品だったため、15分で「今回は終わり、次回に続く」にされてしまうフラストレーションには凄いモノが。
 新章 第1話では、まだ事件といえるような事は何も起きていず、どういうパターンで続けていくつもりなのかは読めない。
今度こそ、物語の創作者に逆らい、運命を乗り越えていくお話になるのだろうか?

 既にキャラクター達の紹介が済んでいる、という強味があるため、30分枠で 残り半分を占める『ロウラン』より作りやすかったかと思う。
 それでも、一応は前章を受けて、軽いレギュラー・キャラクターの紹介(確認)の形から入るのは、さすが。

 1話・15分に一度は必ずネコ先生が出てくる構成にしてくれると、お得な感じになって嬉しいなあ(笑)。



『奇鋼仙女ロウラン』01.「鋼仙、出撃す」

 監督・平野俊弘(あれ?しばらく「俊貴」名に変えていたように思ったが公式ページの記述は…元に戻したの?)、ストーリーエディター・會川昇 という、『戦え!イクサー1』『鋼の鬼』『破邪大星ダンガイオー』など多数の作品でコンビを組んできた2人による、最新作。
 2人で作る作品にはバラツキがあって、『イクサー1』にはとにかく熱い情熱が溢れており楽しく見られたが、『鋼の鬼』『ダンガイオー』は不完全燃焼感が残り感心せず。
 特に、會川昇 氏の方は作風にクセが強く、ツボにはまって「最高!」と思う人と、感性が合わず「なんだコリャ?」としか思えない人とに、視聴者を二分化させてしまう事も。

 本編。
 何よりも、15分しかない(実質的には10分以下だろう)時間的制約が痛い。
ただでさえ説明すべき事が多いロボット物の第1話、この時間内では基本設定を無理なく理解してもらうのは不可能。
 それにしてはポンポンとお話を進め、「見せたかったモノは全部見せた」形にはなっていたが…
大急ぎな、ストーリー・ダイジェストのような内容になってしまったため、見終わってかえって不満が残る。

 15分では、強力な「引き」を見せて、次はどうなる?という気持ちを抱かせて終わった方が良かったと思う。
ロボットアクションも一応は終わっており、イクサー1に似てるなあ、と、タライで来日したの?以外には特に何の感慨も抱けない少女の行動で引いては、弱い。
 頑張って半分の時間しかないのにきちんと「第1話」を見せた事が、逆に充実感も次回への期待感も弱くする、皮肉な結果に。

 まあとにかく、まだ何を見せたい作品なのかも分からないので、見続けるしか。



 更新 休んですいませんでした。
 ううう〜もう、こんなスケジュールで仕事するのは体力的にも気力的にも無理だって。
無理しないと上がらない状況に追い込んだのは自分だけども(;´д⊂)
 年末にかけて、更に忙しくなりそうで
 『バイオハザード0』やってる暇はあるだろうか?
それ以前にそもそも、予約し損ねてしまったんだけど、ソフトの入手は出来るんだろうか?


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