2003年3月14日 金曜日 |
映画『007/ダイ・アナザー・デイ』を見る。
ピアース・ブロスナン主演のジェームズ・ボンドとしては4作目。
監督はリー・タマホリ…『スパイダー』とかの監督だったらしいけど、知らない。
冒頭、北朝鮮に潜入し悲惨な目に遭う辺りは、これまでの脳天気気味なシリーズとは違う、シリアスな展開を目指しているのかと思ったが…
いやー、その後は いつも通りのバカ映画に。
ちょっと考えると様々な疑問が湧いてくるが、見ている間は楽しませてくれるので、頭カラッポにして見る娯楽作品としては問題なし。
アクションにかけたアイディアが良く出来ているのが嬉しい。
このシリーズに期待するのは、ボンドの格好良さとアクションの面白さだけだから。
以下、少々ネタがばれるので背景色に。
ホバークラフト・チェイスが楽しかったし、大津波の上でサーフィンするシーンの迫力(CGの安っぽさだけは残念)も良い。
相変わらず仕掛けだらけのボンドカーとまともに張り合える敵車との一騎打ちが大迫力!だったけども、「あれー?こうすればトドメ刺せるのに」という手を何故か使わない馬鹿馬鹿しさもアリ。
透明ボンドカー、パワードスーツ(力は増してない?腕の装置はパワーグローブ
by PAXの仕業みたい)、光学兵器と、相変わらず現存のテクノロジーに合わせる気があるのか無いのか疑問な新発明が満載。
14ヶ月も監禁・拷問されていたボンドの体力が全く衰えておらず、爪を剥がされる・歯を抜かれるなどのダメージも与えられていない辺り、実に大馬鹿(
^_^ )。
前述したように007を格好良く見せる事がこのシリーズのキモだから、良いんだけど。そういうバカさがファンには愛しいのだし。
今回の敵は一応「北朝鮮」になっているが、実質、架空の国家と言ってもいいぐらい適当な扱い。
映画好きらしい国家主席様なら、こんなモノに怒ってはイケナイな(笑)。
ブロスナン・ボンドとしては、前々作『トゥモロー・ネバー・ダイ』と並ぶ出来。
ロジャー・ムーア時代の、スカーンと抜けた陽気な馬鹿馬鹿しさが帰ってきたようで、嬉しい限り。
何故かブロスナンの007作品は、不出来・良い出来・不出来・良い出来と交互に来ているので、次回作は「不出来」の回りになっているのが、ちと不安。
映画『マトリックス』を題材にしたアニメ『アニマトリックス』のうち2話がネット上で公開。
「The Second Renaissance Part1」は映画『ガメラ』デザインと『青の6号』の前田
真宏監督。
「Program」は傑作『妖獣都市』『獣兵衛忍風帖』『バンパイアハンターD』の川尻
善昭監督。
予告編のイメージ通り、非常にクオリティーの高い仕上がり。
「Program」の方の、実写で驚かされたマシンガン撮影(人の周りをぐるりとカメラが回り込むアレ)をアニメーションで再現したシーン、「和風」にこだわっていて大変に格好良いが、余りに見事に決まり過ぎていて ちょっと笑ってしまう部分も。
お話は『マトリックス』の設定を完全に踏まえており、映画を見ていないとよく分からないかも…でもまあ、各映像作家のイマジネーションを楽しませるのが本質の作品だろうから、それでも構わないかな。
確かに、どのカットを取り出しても「絵」になっている。
他のエピソードも全部見たいなあ。
DVDの発売は6月3日という事。
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2003年3月13日 木曜日 |
『ボンバーマンジェッターズ』24.「電撃サンダーボンバー!」
このアニメ、実は最近になるまで見ていなかった。
第1話は流して見たんだけど、「ボンバーマン」という題材と、いかにも子供向けな雰囲気に、無理して見続ける事もないかなあ、と、それっきりだったので。
が、「面白いよ」と教えて下さる方がおり、他のアニメ感想系サイトでも大変に好評を得ている事から、数話前からようやくまた見始めた。
ああ、ホントだ、面白いや。
ギャグっぽいキャラクターデザインなのになあ。
もちろん、見た目通りにお笑いも演じるが、シリアスな芝居もこなしてしまうとは。
シロボンなんか、鼻も口も見えないのに。
逆に言うと、顔で変化が付けられるのは「目」だけだというのに、豊富な表情を演出できているのに驚くべきだろう。
本当、「ギャグ」と「シリアス」、「笑い」と「泣かせ」のバランスの取り方は絶妙。
非常に高い脚本と演出の力があって、初めて成し得る事。
感心しつつ見ていたモノの…とにかくかなりな話数を見ておらず、「ヒゲヒゲ団」って何なのかも分からないテイタラクだもんで、感想を書くのを控えてきた。
しかし今回は、それでも何か書きたくなるぐらいに凄かったなあ。
シロボンの兄の死を告げるシャウト。
それは、非情とさえ思える行為だったが…彼女自身、母親の死を受け容れようとして容れきれず苦しんできた経緯から、「死を知らされず(知ろうとせず)い続ける」事が最も残酷であり不幸でもあるという判断なんだろうなあ。
何だか、とても深い。
シロボンとサンダーボンバーの死闘、そして他者を圧倒する程に強く、冷たいMAXの恐ろしさ。
「俺は、同じ間違いを繰り返す奴は嫌いだ」とシロボンに告げるMAX。
「もう一度だけ言ってやる」のセリフの後、もう何も言おうとせず、ただただ相手を仕留めようとする冷酷非情さが凄い。
そう言いながらも、なんだかんだ会話をしてしまうのがアニメのセオリーなんだけど、問答無用だもんなあ。
「死んだ」「殺した」という言葉を戦いに使う「覚悟」も大したもの。
とにかく、見逃した話の多さが痛い。
パーフェクTVのどこかで最初から放送してくれるのを待つしか。
『キディ・グレイド』21.「Nouvlesse/Arc」22.「Demolition/Titan」
かなりなアニメが作画的には苦しい状態を見せてしまっているのに、この作品は高いレベルをキープ、どころか、上がってさえいるような。
今回は…
前回までの話が(能力を失ったままのリュミエールを除き)一段落したものとして、新しい事件、宇宙最大の脅威に挑んでいく。
恐らくはアニメ史上最大の宇宙船が登場してくる驚き。
ロシュの限界を超えて変形する機体の迫力と、醸し出す不思議な懐かしさ。
『マクロス』というより、変形に「インパクト」以上の意味がない辺り、凄く良くできた特撮を用いながら全体で3回ぐらいしか笑えない所が好きだった、メル・ブルックス監督『スペース・ボール』の巨大メイド型宇宙船を思い出してしまった。
明らかになっていく2つの親子関係の相似と相違。
一生懸命作ってある事は、とても良く伝わってくる。
ただ…
超巨大宇宙船・デュカリオンが重要な役割を果たすのなら、これまでの事件の中でそれに関係するものがあっても良かったかなあ。
巨大エンジンが奪われたのを取り返すとか、異常な量の物資が集められている事で各惑星に弊害が起きる、ぐらいでもいい。
イキナリ出してこられると、暴走したデュカリオンを止めるべくハイパー・ノーブルズが作り出した超々弩級巨大戦艦が登場しても、伏線の無さでは同じ、という事になってしまうから。
親子関係にしても同じく。
ちょっと唐突。
エクレールを救いたかった、という割には、これまで追っ手をかけられ、命の危険に見舞われた際に何の手も打ってなかった様子なのが納得できないし(次回以降に説明が?)。
エクレールに育てた子供が居たのなら、記憶を失っていたとはいえ、子供が関係する事件には普段よりも遙かに強い怒りを持って当たっていたとか、伏線らしきモノが欲しかった。
「年上のオジサマに甘える娘」のように思える所はあったが、「子供誘拐事件」では…普段通りの正義感しか発揮していなかったような。
某ペアが親子だった、というのも唐突。
他のESメンバー、どのペアにしても、同じぐらいの説得力で急に「実は親子でした」に出来てしまうのはマズいだろう。
大量に作ったのであろう設定の存在、その一生懸命さがかえってネックに。
ドラマの中で自然に消化する事はもう不可能で、だからといってナレーションで強引に説明を突っ込む形にもしたくない様子では、「??」な部分が出てしまうのも仕方ない。
とにかく、残り話数も少ないので、どうまとめてくれるのか見守りたい。
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2003年3月12日 水曜日 |
『十二国記』39.「風の万里 黎明の空 終章」
静かに胸に染みる、良い終わり方だった(しばらくのお休みを経て、シリーズはまだ続くようだけど)。
余りにも不幸な境遇にあった2人の少女への救い。
「不幸」の描写が延々と続けられ、簡単に「良かったね」には出来ないほどその辛さが彫り込まれており、きちんとした救いが示せるかどうかと思っていたが、段階を踏んで彼女達の成長を描く事で、非常に納得がいく形になっていた。
そして何よりも、主人公・陽子の成長。
以前に「王様であろうとすると、シンドイ事ばかり多そうだ」と書いたけど、王である事から逃げない、重責を背負える強い自分、王であるに足る自分へと変わっていこうとする事そのものが、「良き王となる資質」なのかも知れないなあ。
領民全てが「己という領土を納める唯一無二の君子」になって欲しい、と語り、伏礼を廃する事を宣言する陽子の姿は、まさしく「王」そのもの。
本当、面白い物語だった。
まだ続くシリーズでは、何を描いていくのかな?
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2003年3月10日 月曜日 |
『ぷちぷり*ユーシィ』23.「妖精界へ…… 輝け、五つの心!」
妖精界からエネルギーを吸い取るディアボロスとの激闘。
優勢・劣勢・逆転・また逆転とめまぐるしく立場を入れ替え、キャラクターそれぞれに見せ場を与え、有効に動かしてあって(地割れに落ちてなかなか戻って来なかったグレンダとエルミナが実は…という辺りなど「おお!」と声が出るほど)非常に見応えがあった。
執事軍団も活躍するし…途中からは出なくなるけど(笑)。
最終決着手段として、「子供のケンカに親が出る」手もあったと思うが、子供達の成長を描こうという作品内容には沿わないか。
思わず拳に力が入ってしまうパワーに溢れた今回のコンテは、『エヴァンゲリオン劇場版
DEATH』の摩砂雪氏と、『太陽の船ソルビアンカ』の越智 博之氏が2人で担当。
作画的に、動きは大変良かったけども、キャラの表情が今ひとつ魅力に欠けていたのは残念。
『爆竜戦隊アバレンジャー』04.「完成!アバレ秘密基地」
弱虫だった少年の成長が、今回のメインテーマ。
大変分かり易く、力強く描かれており、正しい「東映戦隊シリーズ」だなあと感心。
CG技術が安く手軽に使えるようになったためか、主人公達がバイクではなく恐竜型マシンに乗るという、今までは不可能だったようなシーンが作れ、新たな商品展開も可能に。
今回はまた、CGに頼らないライブにも見所が。
タンク車の上に乗った少年とアバレイエローに対し、結構 危ないくらい至近距離で着弾の煙が上がったり、何より勇気を出して河を飛び越そうとした少年がバランスを崩し、水に落ちてしまう所。
恐らくは撮影はかなり寒い時期に行われたと思うが…よくやったなあ。
顔まできちんと見せており、スタントマンに変わってはいない様子。
シーンそのものも感動的だったが、この少年の役者根性にも感じ入ってしまった。
お話の最初と最後に、この事件から20年後の少年の姿が示される。
戦隊に細かい事言うな、というのは承知で…
これは、やらない方が良かったなあ。
学校で、いじめっ子達と対等になって遊ぶ少年を見せる事により、十分換えられると思うし。
20年後の世界を見せてしまう、という事は、「アバレンジャーは最終的に負けない、敵の侵攻は食い止められる」と確定した未来を見せてしまう事。
子供も含み、誰一人主人公達が負けるなんて思っていないけど( ^_^ )、それでも制作者側だけは「もしかしたら負けるかも知れない戦いをしているんだ」という気持ちであって欲しいな。
花粉症。
昨日・一昨日と、風もあったし かなりな量の花粉が飛んでいたと思うのに外出しても全然症状が出ず、「もしかして体に耐性が」などと懲りもせずに喜んでいたのもつかの間、今日は朝から泣きたい程ヒドい発症ぶり。
何だろうなあ、この断続的に悪くなるのは。
体内に吸収した花粉の量が一定値を超えると発症し、その爆発によって一時的に症状が治まり、また蓄積が限界を超えると発症しているような感じ。
いや、科学的に正しい分析じゃないのは分かってるけど(笑)。
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2003年3月8日 土曜日 |
『機動戦士ガンダムSEED』23.「運命の出会い」
どうしたんだ?
前回もまずまずだったが、今回なんかアチコチ面白いじゃないか!
「面白い」事で驚くのもナニかぁ(笑)。
戦いの見せ方が良い。
海中からの攻撃に対し、360度回転しながら甲板上部にある強力な砲で反撃する、今回キモのアイディアが素晴らしい。
更に、「そんな事したら船酔いでグロッキー状態にあるフレイはどうなってしまうんだろう?」という、キャラクターのドラマを絡ませる事で(ヒドい目に遭わせる対象を、困りもののフレイにして若干「ざまあみろ」的カタルシスを生じさせるのも巧い)、単なるアイディアを、もう一段階 面白く見せる事に成功している。
非常に有能に戦うフラガもイイし、キラとサイの微妙な関係を僅かに彫り込んでくれたのも良い。
寝込んでしまったフレイのワガママが、今回は可愛く見えたなあ。
誰も船酔いしていないのに彼女だけ、ってのには…ご懐妊じゃないかと思ってしまった。
もしかそうだとすると、時期的にはサイの子になるんだろう。
おー泥沼ドロヌマ、ますます子供に見せられない(笑)。
いや、いっそそこまで行ってくれた方が個人的には面白いんだけど。
今回も、突っ込もうと思えば穴は色々あるが、これぐらい楽しませてくれれば言う事はない。
もしかしてこの勢いのまま、シリーズ後半はググッと盛り上がってくれるのでは…
期待して見守りたい。
映画『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』を見る。
大ヒットしたピーター・ジャクソン監督による『指輪物語』映画化作品の2作目。
前作よりも数段パワーアップした画面の迫力が素晴らしい。
地平線の彼方から大地を埋め尽くすように攻めてくる悪の軍勢。
絶望的な状況の中、凄まじい迫力で展開していく城攻めの攻防戦。
ファンタジー小説を読んでいて、こういう場面を想像した事は何度もあったけど、実際にこの目で、ここまで圧倒的な画面になったものを見られる日が来るとは思わなかった。
この人達ダレ?とか、この人は何故こんな所にいるの?とか不思議に思う所もあるが…
そんな事、怒濤の勢いで押し寄せてくる「これでもかこれでもか!」のサービス精神の前には、どーでも良くなってしまう。
ここまでされちゃあ、「面白かった!」としか言い様が無いじゃないか!
主人公達のパーティーが強すぎて、彼らがあと10人もいれば、出てきた敵
全部打ち破れるんじゃないかと思ってしまうけども、エンターテイメントなんだから弱すぎてストレスが溜まるよりはずっと良い。
劇場に足を運んで損がない、大スクリーンで見ておくべき映画。
あー、これもDVD買うぞ。
早く3作目が見たい。
しかし…週末に仲間内で集まってはチョコチョコと、『バッド・テイスト』なんて大馬鹿アマチュア悪趣味映画を自分も出演しながら撮って喜んでいた監督が、こんな凄いモノを撮れるようになるとは…
爪楊枝ケースのフタを胸にくっつけてカラータイマーに見立て、自らウルトラマンになって『帰ってきたウルトラマン』を撮っていた大学生が、巨大ムーブメントを巻き起こした『エヴァンゲリオン』を作り上げたみたいなもんか。
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2003年3月7日 金曜日 |
『魔法遣いに大切なこと』09.「ユメと少女と夏の種」
東京タワーを曲げてしまうというインパクトのあった前回と比べると、地味な話で
そういう期待(笑)には応えられていない印象。
途中までは、「無難に収まった普通の話かな」と思っていたが、仕掛けの部分への説明不足や事件の解決してなさ加減で、やっぱりトンデモ系になってしまった。
タワー曲げ、局長がマスコミを抑えてくれた、という事で割に問題なく済んでしまった様子。
えー?
現象は多数の人に目撃されているし、電波障害に関してはもっと大勢が実害を被った訳で、「大事になりませんでした」という訳にはいかないような…
魔法局が超法規的な力を行使し、うるさいマスコミには「魔法遣いが居るこの世界に不満のある方は、ご家族揃って月面に移住させて上げても構いませんよ」というような脅しも並行して行う事で、無理矢理に事件をもみ消しているのだろうか。
行方不明になった父親を捜して欲しいというオバサンが、今回の依頼者。
鏡を使って過去の部屋内の様子を映し出す、というのは、まー魔法なんだから疑問を表しても仕方ないとして。
これで分かった事って、要は「父親は自分で荷造りをして出て行ったのであり、犯罪性は無さそう」という事実のみ。
…小山田が、よく思いついたとか何とか誉めていたが、依頼内容にはプラスに働いていないように思う。
「持っている列車の切符が見えた」とか「電話をかけている、電話番号が見て取れて…」とか、何とでも「魔法のお陰で捜査が進んだ」事実は表せただろうに。
途中、ユメの頭から3本みょんみょんと生えているクセ毛(寝グセ?)が消えてしまう。
どうやら座敷童らしい幼女に奪われていたようなのだが、童がそうした理由は不明。
最後に返してくれる理由も不明。
「座敷童」は、ユメの出身地である岩手県を始めとする東北地方に伝わる伝承を元にしており、その辺で関連づける事は十分可能だったと思う。
また、座敷童なら、一般的(?)に、居続ける限り家には幸福をもたらす事になっているはずで、いつから居たのか知らないが、家屋の維持が大変なのでマンションに建て替えた、というのでは余り幸福をもたらしていたとは言えないような。
マンションの部屋にもまだ住んでいた様子から、家というより今回出たジイサン個人に憑いていたのかも知れない。
それにしても娘と大ゲンカ、家出の後は転んでケガ、と、やっぱり幸せを呼んでいるとは思えない。
必ずしも座敷童の伝承に沿わずとも、自作品内でだけの独自設定を設けたって構わない訳だが、その場合にはそれなりの説明が必要。
今回、作品内では「座敷童」という名前は一度も使われていないので、単に霊的な存在だったとも取れるけど…何にせよ説明不足すぎ。
ケガしたジイサンの前で、ユメが用いた魔法は何だったのか?
傷を治しているのかと思ったが、救急車は別に呼んでいたみたいだし…謎。
応急手当?
どうせなら、病院まで移動させてやればいいのに。
一番大きな問題は…
今回の依頼に内包されている問題が、何ら解決しないままお話が終わってしまった事。
ジイサンは、娘と同じ場所に住み続けるよりも奥に引っ込み一軒家で暮らす事を選んでいる。
娘は、行方不明の父親よりも土地の権利書(財産)の方が気掛かりそう。
この、感情の行き違いのようなモノは全く解消されていない。
そりゃまあ、ジイサンは結局 一軒家に引きこもる、娘は権利書をもらい受ける代わりに生活費ぐらいは父親に仕送りする、という事で、ビジネスライクな解決は付くけども。
両者がもうちょっと分かり合う事が、気持ちの良い物語として締めるには必要だったかな。
今回は、とくに幼女周りが全体に謎ばっかりなので、試しに、アクロバティックな解釈をしてみる。
実は、座敷童のような幼女はジイサンの家に元々居たのではなく、ユメを守る存在で、ユメに付いて岩手からやってきた。
今回起きたジイサンの家出事件のようなモノは、特に魔法局から厳しい目で見られているユメを「幸福」にするため、座敷童が仕組んだ。
娘との間に問題を孕んでいた参事官の兄の感情バランスを崩して家出させ(靴下を渡したりなど、家出を手伝っている様子が見える)、その依頼がユメに行くように計らい、ケガをして座り込んでいるジイサンの居所をユメに教えて発見させる。
ユメのポケットに突っ込んだヒマワリの種を示させて、参事官のノスタルジーを刺激し、更に彼女への印象を良くさせる小細工まで労して、ちょっと理不尽な程に皆から誉められるように全てを調整し、ユメを「幸福」の絶頂へと導く。
恐るべき策士ぶり。
座敷童は「私も、あんなマンション(ユメが暮らすマンション)はイヤ」と言っており、都会が肌に合わなかった様子で、もしかしてこの計略を最後に、岩手に帰ろうというのかも知れない。
そうなると、ユメの「不可解な幸運」を守り続けてくれた存在が居なくなってしまう訳で、次回以降、怒濤の不幸…というか「常識的に考えて、そんな魔法使ったらそうなるだろう」という目に遭うようになるのではないか。
………………いやゴメン、これ以上はもう無理無理無理無理。
普通に見ると、「マンションの座敷童が、家出してケガした爺ちゃんを見つけて欲しくてユメに協力した」話の余り良くできてないバージョンという事になるんだろうが。
ああ、ここでの座敷童の設定を「家に憑くので自分では外出できない」として、クセ毛に象徴されるユメの魔法力の一部を借りる事で、一時的に行動の自由を得、近所のネコの目を借りてジイサンの行方を捜し出し、ユメに伝えた、というのはどうか。
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2003年3月6日 木曜日 |
3月に入ってからは、晴れた日でもほとんど花粉症の症状が出なかったため、「体質改善が効いたんだ(甜茶とヨーグルトを取る以外は何もしてないが)、もう克服できたに違いない」などとアホみたいに喜んでいたのもつかの間、昨日、今日と無惨な程に発症。
なかなか治らないモノだなー(;´д⊂)。辛い。
そんな中、三鷹の森ジブリ美術館へと出掛ける。
去年一度 行ってるんだけど、新しい見せ物(といっても去年10月から始まっており、もうじき入れ替えになるみたい)が出来た、というので。
館内に入っても、鼻水でクシャミで目が真っ赤で、マスクをして血走った目で不機嫌そうに歩き回っているため、子連れのお母様方は我が娘の身の危険を感じたのではないだろうか。
大丈夫ですよこう見えても意外といい人ですよ多分。
企画展示室での新規イベントは、「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」。
実物大グライダー型フラップターを目玉として、空想上の飛行機械の図解など色々なモノが飾られてあった。
そこではショートフイルムを随時上映している。
恐らくは宮崎 駿の手によるモノ…だと思う。ナレーション担当も御大。
『ラピュタ』のフィルムを織り交ぜながら、空想上の機械達を紹介する。
最後にチラッと出てくるフラップターに乗る少年(成長したパズー?)のイメージは、これと展示してあった「海賊ひみつ基地図解」みたいな図の設定を組み合わせて、一本の長編作品にして欲しい程に心引かれるイメージ。
同展示室内のモニターで、庵野 秀明が手掛けたという短編フィルム「空想の機械達の中の破壊の発明」が流されていた。
これは実に短くて、ストーリー性もなくただ色々な空想兵器を見せる作品なので面白いとか何とか言える内容ではないが、色合いとか画面の見せ方とか、久々に庵野
秀明らしいアニメーションだなあ、とは思った。
そして、メインディッシュである短編映画『めいとこねこバス』。
閉館間際に行ったんだけど、映画館内のキャパを超えて階段部分に座る人が出るほどの盛況。
映画の内容は、タイトルから想像できる通り『となりのトトロ』の世界に連なるモノ。
というか、時間が短いため食い足りない部分こそ残るものの、『トトロ2』と言ってもいいだろう作品。
ねこバスの子供と出会った めいの小さな大冒険を描く。
「大体このぐらいなお話になってるんだろう」という予想と、後半かなり違うモノになっていくのが面白かった。
全体に愉快な内容だったけど…ラストはもしかしたら寂しい事だったのかな?とか勝手に思う。
作画的に、劇場公開されるジブリ映画よりは少々落ちるような気がするのは残念だが、『トトロ』が大好きな人間なら、これを見るためだけに美術館まで足を運んでも恐らくは後悔無いぐらいの出来。
…しかしアレだね。
何の展示室よりも、一番混み合っているのが「グッズ売り場」だというのは良いのか悪いのか。
当然ながら どれもコレも「お祭り価格」で高いのになあ、と、オレは土産物を買う習慣を持っていないので、他人事のように眺めながら、思う。
まあ、おかげで美術館もジブリも潤っている訳だろうから、冷やかしの客がウダウダ言う事じゃないか。
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2003年3月5日 水曜日 |
『キディ・グレイド』19.「Take/Revenge」20.「Lost/Days」
19話。
困ったなあ…
「ぢゃっぢゃ〜ん」と格好良く正体を現した新生エクレール・リュミエールだったが、いきなり偽二人組によって吹き飛ばされ地面に転がって苦痛の声を上げる。
???
笑う所?
せめてもう少し優位な所を見せてくれないと…
ここは大きなカタルシスを期待されているシーンなのに。
キャラ同士の強さの関係をどう設定しているのか知らないが、とにかくコレでは客をガッカリさせてしまい、見続ける気力をさえ萎えさせてしまう恐れが。
『ドラゴンボールZ』で、読者の期待を背負って風雲急を告げるナメック星に到着した悟空が、そのままギニュー特戦隊に袋叩きにされる、みたいなもんで。
「重力の差によって、体が上手く動かせなかった」とか何とか負ける理由は付けられるにしても、エンターテイメントとしては、さっぱりダメになってしまう。
エクレール達も、「新しい体に馴染んでなかった」ようで、本来はまだ決戦に望むつもりはなかった様子も見えるんだけど、それでもコレは、やってはイケナイ事。
そういうシーンを見せたというのに、彼女達、次のカットでは元気いっぱいに立ち上がって軽口を叩いている、というのも激しく違和感。
何故かさしたるダメージも無さそうな彼女達を置きざりに、量産型が偽二人組に攻撃を開始するのもまた、唐突な行動なので疑問符。
自分たちの創造命令を出した(のでは?)偽二人組に、ここまであからさまな反旗の翻し方をする量産型の気持ちが理解出来ないし。
突然にエネルギー切れを起こす偽二人組…アールヴとドヴェルグ。
本部崩壊の際、吸い取ったエクレール達のエネルギーが、ここでようやく切れたのだろうか?
これから戦闘に臨もうというのに、何らかの形でチャージをして来なかったのか?
これは演出的な問題なのか何なのか…
山道を登って逃げていくエクレール達一行の歩みが、ハイキングのように のんびりしていて、緊張感ゼロ。
もっと必死さを見せてくれ〜。
一行のすぐ後ろ、10メートルも離れずに、アールヴ達がまた、トロトロと歩いて追いかけて来ているに至っては、もう何が何だか。
戦う気があるのか無いのか、疑問に感じてしまう。
そして、エネルギー吸収には時間的制限がある、と言われるアールヴ達の能力(ならなおさら、急いで決着を付けたいはずでは?)。
エクレール達から吸収した力は かなりもったのに、量産型からのモノは数分で切れてしまう。
エネルギーの質が悪いから?に、しても情けなさ過ぎ、「恐るべき強敵」には全然 見えない。
量産型から力を吸い取った後は、髪の色もそれに合わせて変わる、とかだと細かかったかなあ。
ノーブルズへの復讐を目論んでいたアールヴ。
それなら、ノーブルズに対して反抗した事によって追われる身になったエクレール達とは、同じ方向を向いていたようなもんだけど。
戦闘マシンの攻撃に、逃げまどうエクレール達一行。
更に二人のESメンバーが彼女達の戦力に加わっている訳で、量産型の力も合わせれば、エネルギー切れのアールヴ達ぐらい倒せそうなモノ。
要は、局長を含む戦力の登場による逆転のカタルシス、を見せたいがための逃走なんだろうけど、アールヴ達の絶対的パワーが見えない(どころか、結構弱っている)ため、巧く演出できていない。
アールヴ達の最期がまたアッサリしすぎていて面白味に欠ける(多分、死んでないんだろうな)。
量産型を自由にするため、気前よく戦艦を何隻も与え、宇宙に放つエクリプス。
彼女達を最終決戦で再登場させるための展開なんだろう、というのは容易に想像が付くが…
これなら、危機感を描き出すために、一組ずつアールヴ達に吸収されて死んでいく、ぐらいの扱いにしても良かったのでは?
とにかく、全編 違和感と意図の空回りばかりが目立ち、気持ち良くなれなかった。
ここまでの鬱展開を吹き飛ばす、カタルシスに満ち「見続けていて良かった!」話になるはずだった・十分出来たプロットだと思うのに…
料理の仕方ではこんなにも印象が変わってしまうものか。
20話。
芝生の上でのランチで、何度もお弁当を落としてしまうエクレールの姿で、新しい体に馴染んでいない様子を見せるのは巧かったけど…
反逆者であったはずの彼女達の、余りにも波乱がない復帰。
局長の復職もだけど、ノーブルズはどう考えているんだろうか?
自分たちを「殺す」指令を出していた局長とエクレール達との、わだかまりの無い仲直り。
突然のよく分からない回想(本当に不親切で物語から阻害されているように感じられ…伏線的扱いなんだろうが、これなら、いつかきちんと説明してくれる場面まで全然
見せない方がイイとさえ思う)。
そして、前回、前々回と取り立てて問題なく過ごせているように見えたリュミエールの、突然の不調。
死さえあり得る最悪の事態の到来。
何というか、この事態は新しい体に移った事から起きたはずだが、その「体の移転」は視聴者の望んだ事ではなく、本部崩壊の際に元の体は使用不可能になっていた、という事実も急に知らされた事なので、「悲しむべき可哀想な状況なんだろうなあ」とは想像できるけど、気持ちは入れられない。
コレは言ってはイケナイんだろうけど…
外見こそ幼いモノの実質は数十年だか数百年だかの年月を、体を乗り換えながら既に生きて来たんだから、エクレールの気持ちさえ考えなければ、そんなに悲劇的な事だろうか?とも思えるし。
物語にもっと入り込めて・入り込ませてくれていれば、「リュミエールがんばれ!」という気持ちで、細かい事は不問に出来るのだろうが…
ちょっと、乗れなくなっているみたい。
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2003年3月4日 火曜日 |
セイラ・マスことアルテイシア・ソム・ダイクンは、『機動戦士ガンダム』一番の「華」だったんだよね。
美しく、誇り高く、人を容易く寄せ付けない所がありながら、しかし優しく、どこか寂しそうな陰を引きずる。
そんな難しい役を誰でも演じきれる訳がなく、役柄にぴったり合った声の質を持っておられ、人を魅了する演技を成される井上
瑤 さんだからこそ見事に命を吹き込め、長く愛されるキャラクターに育てられたのだろう。
他の人で置き換えがきく、居なくなっても構わない人間など存在しないが、それにしても大きな、大きな損失。
涼やかで凛とした、誰にも真似できない美しい声の方だった。
もう、過去形でしか語れないのが悲しい。
合掌。安らかに。
「あなたなら出来るわ」
「人がそんなに便利になれる訳、ない…」
残された多くのセリフは、耳にした者の心に残り、決して忘れ去られる事はないだろう。
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2003年3月3日 月曜日 |
『明日のナージャ』05.「星の夜・二人だけのワルツ」
細田 守演出回。
…だけども、『どれみ』ほど各話の完結性が強くない作品なため、この話だけでどうにか出来る部分が少なく、シリーズ全体の低調さに引っ張られて「フツー」な印象が残ってしまう。
「身分の違い」を絵として示す広大な屋敷の様子や、後半のダンスシーンの効果と繋げるバラ園の印象に残る扱い、横パンでそのままフランシスの回想に入っていくトリッキーな演出など、やっぱり巧いんだけど。
庭で背中合わせに話をするナージャ達のシーンでも、ぺたりと座り込む彼女の動きなんかを細かく見せて、単調で退屈になりそうな画面に緊張と緩和を加え、飽きさせないようにしていたし。
フランシスは明るい豪勢なお屋敷側を向き、ナージャはその光の陰になった側に居続ける、象徴的な場面の作り方も見事。
でも…やっぱりここまでのキャラ・物語の積み重ねが全然足りていないのが激しくネック。
ナージャがフランシスにナニガシか好意を寄せていた、としないと「身分違い」への落胆は生きないんだけど、最初に助けられて以降は取り立てて思い出す事さえなかったように思うので見ていて気持ちが乗れない。
再会までの間に怪盗のお兄ちゃんと会わせてしまった事で、視聴者のフランシスへの印象も薄くなってるしね。
詰め込みすぎ、色んな事をやろうとしすぎ、整理出来ていなさすぎ。
で、海を渡るのかあ。
フランシスとか、怪盗とか、またしばらく出てこないんだろうか?
これから面白くなる話に出来てるかなあ?
『オーバーマン キングゲイナー』22.「アガトの結晶」23.「復活のオーバーデビル」
22話は、もうともかく、アスハム役・子安 武人氏の異常なテンションでの芝居が堪能出来る内容だった。
その怨念さえ感じさせる絶叫には、ゾクゾクさせられる程。
演出・作画としても、アスハムとキッズ・ムントが殴り合いをするシーンが特に凄まじい迫力で、アスハムの拳が自分の顔面にメリ込むのをモノともせず自らも拳で反撃するキッズが、至近距離から銃撃を加えるまでの鬼気迫るアクションの流れには圧倒された。
物語としては色々と唐突で、「?」と思わせられる所もあるんだけど、それを乗り越えて見ている人間に届いてくる、「エンターテイメントの魂」とでも呼びたいようなモノが込められているなあ。
23話。
うーーん、ちょっとテンションが落ちたような…
恐ろしい存在だったはずのキッズが、自機から追い落とされヤーパンの天井に助けられて、悪びれるでもなく平然と飲み物など飲んでおり、ケジナン達もなし崩しにヤーパン側に協力している。
本当、「敵」とか「味方」という区分で物語を見ていない作りで、妙に可笑しい。
ボチボチ物語としては締めに入るんだろうか。
気が付けば250万回ものご来場を頂いておりました。
引っ越したり激重だったり繋がらなくなったりまた引っ越したりと、非常に不親切なHPだと思いますのにお付き合い下さってます皆様には、誠にありがとうございますっ!以外に申し上げようもありません。
飽きっぽくて面倒くさがりのぼくが、ここまで続けて来られましたのもひとえに皆様のお陰。
深く感謝しつつ、相変わらずのマイペースで無理せず更新を続けて参りたいと思います。
時折にふと思うのは、ウダウダ文句を書く部分については最初にこのHPから独立させて、全く別の名前で、あるいはヴァーチャル・ネット・アイドルという最近流行りの(笑)架空キャラクター形式を用い、「飛龍
乱」という名前には咎(とが)の及ばない形で行く方法もあったなあ、という事。
でも、場末の漫画描きとはいえ、一応は世に出している名前で文を書く事により、無記名の感想よりはいくらか価値を認めて下さっている方もおられるだろう、と考えれば、今のままで良かった、とも思っております。
えー、まあ、そんなこんなで、これからもボチボチとよろしくお願い致します。
えええええ!
声優の井上 瑤さんが亡くなったって?
『ダイターン3』三条レイカの?
『ガンダム』セイラ さんの?
『うる星やつら』ランの?
『イデオン』フォルモッサ・シェリルの?
『パトレイバー』香貫花クランシーの?
そんな馬鹿な!
ショックが大きすぎて、何と言ったらいいのか…
あの凛と澄んだ気高さを感じさせる声が、もう聞けない?
うそ、ウソ、嘘だあ……
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2003年3月2日 日曜日 |
『爆竜戦隊アバレンジャー』03.「子連れヒーローアバレ系」
イキオイだね、勢いがある、この番組。
第1話での、ネタだけのために(?)途中まで変身パターンを作ったジジイレンジャーには、「戦隊初のお年寄りヒーローか?後楽園遊園地で、お爺ちゃんと握手!か?」と驚かされたし。
今回も、「初の子持ちヒーロー?」と思ってしまったけど、さすがにそんな訳はなく。
まだ3話目だというのに「幼稚園の参観日」に心を奪われて、主軸であろう敵モンスターとの戦いどころじゃない心境に主人公を追いやるのは、本来
危険だと思うんだけど…
ティラノに弾き飛ばされて幼稚園に直撃で帰って来たり、玉乗りで出撃していく馬鹿馬鹿しさ、敵のミサイルを逆誘導するアイディアと、ラストではドミノ倒しへの妨害に責任を取る細かさまで見せ、親子(?)関係のちょっといい話系でまとめ上げる力業は、さすが脚本・荒川 稔久と感心させられる(玉乗りとかは演出の暴走かな?)。
しかし、「爆弾」と「タンポポ」と「ライオン」で「バクダンデライオン」という無茶苦茶なネーミングには笑ってしまった。
毎回、これぐらいのバカ駄洒落を見せてくれると凄いな。
『仮面ライダー555』06.
車上ドロを目論む主人公達。
…ヒーロー物史上初めてじゃないかなあ、こんなの。
教育上、とっても悪そう(笑)。
おまけに、捕まった後は大嘘だらけの泣き落とし戦術だし。
スーパーで万引きして捕まったオバハンと行動が一緒だぞ。
ここまでバラバラに進行してきた物語が、一つにまとまり始める面白さを見せた。
キャラクター達が、互いの真の姿を知らずすれ違い、出会い、因縁を深めていく。
思えば、同じ井上 敏樹氏 脚本による『アギト』もこういう構造を持っていた。
今回オルフェノクに変わった兄ちゃんの、何も考えていない様子が凄い。
彼に「血の匂いがする」と言われた、たまたま嫁さんを保険金殺人していた(笑)町工場のオッサンとか、よくまあこんなにロクでもない人間像を創造出来るもんだ。
クリーニング屋の「世界中を白くしたい」お兄ちゃんは、オルフェノクが近づくとクシャミが出る体質なんだろうか?以前からそうだっけ?
これが、広い東京でオルフェノクに遭遇する理由付けになっていくのかな。
『機動戦士ガンダムSEED』22.「紅に染まる海」
そもそも、「砂漠の虎」はどういう理由があってアークエンジェルを襲ってきてたんだっけ?
「ザフトは鉱山が欲しいんだ」というセリフからすると、そういう理由であの辺りに駐留していたんだろうに。
通りすがりの戦艦なんか放っておけば良いようなモノ。
ガンダム等も既に入手しており、テクノロジー研究の必要などもうあるまい。
ファースト『ガンダム』で相当するキャラであろうランバ・ラルは、「ガルマの仇討ち部隊」という理由付けがあったから執拗に襲ってきた訳だけど。
そのガルマも、まだ謎に包まれていた連邦の技術を入手し、自らのザビ家での面目を保つためという個人的理由もあって、攻撃を仕掛けていたのだし。
虎は…何だろう?
途中、「酔狂」かとも思ったんだけど、最後は悲壮な覚悟を見せたからなあ。
まあ、死んだ人間に、今更か。
今回襲撃をかけてきたモビルスーツ達も分からない。
たった数機ばかりの戦力でアークエンジェルを落とせるとでも?もっと遙かに大部隊でも全然敵わないというのに?
ザフト側の情報伝達が不徹底なのかなあ。
今回、彼らの僅かなアドバンテージは「水中戦用モビルスーツを擁している」という点、それだけであり、そんなモノはストライクのプログラム書き換えの必要もなく、キラの頭で種が割れる事すらなく打ち破られてしまう。
アークエンジェルとストライク・キラは、笑ってしまうほど無敵。
無敵すぎるため、見ていて緊張感が全然無いんだけど、それで良いのかどうか。
カガリは、ゲリラ達と共に頑張らなければならない所なはずで、アークエンジェルに乗り込んでる場合じゃないはずだが。
また、要救助者でもない民間人を、押し切られる形で乗せてしまう艦長の判断力もどんなもんか。
サイの心情が置いて行かれっぱなし。
もっとドロドロ三角関係になっていくのかと思ったが…既に彼は「その他大勢」扱い。
等々、疑問点不満点いっぱいあるんだけど、今回は、甲板でカガリと仲良く話しているキラを目撃し、対抗上 上着を脱いで薄着になり胸を押しつけ、キラの関心をつなぎ止めると共にカガリに対し「アンタが入る余地なんか無いのよ!」という事を見せつける、なかなかに恐いやら可愛いやら(カガリを追い払った時の「勝った!」表情は激怖)な行動を示すフレイが良かったから、イイや(笑)。
水中での、「装甲にナイフを突き立てる事に寄る圧壊」「至近距離からの射撃」という工夫した戦闘様式の見せ方も面白かったし。
特に年少者にとっては「圧倒的に、緊張感を無くすほど強い」というのも「魅力」に繋がるかも知れないので、前回・今回ぐらいの戦闘レベルをキープしていくならオモチャが売れても納得なんだけどな。
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