ときどき日記 03/10(前)

2003年10月15日 水曜日

 悲惨なお仕事スケジュールに突入。
書きたい感想もあるけど、余裕が全然無い。
 あとしばらく、不義理をご容赦。
 うー眠い……


2003年10月13日 月曜日

『銀河鉄道物語』01.「旅立ち」

 松本 零士節バキバキの新作。
 松本的には特に破綻など無い話だけど、息子の、弟の方が やたらストーリーの足を引っ張るのは ちょっと。
特に密航。
銀河鉄道・鉄の掟に照らし合わせれば、密航者は誰であろうと宇宙に放り出して藻屑になってもらわなきゃイケナイんじゃないのか?いやまあ、時々 驚くぐらい融通がきく鉄の掟だったけども(笑)。
 ただ邪魔者にせず、その一途さと純粋さが事態を切り抜ける鍵になる、とか何とか、今後を楽しみに思わせる伏線を引いても良かったような。
 松本作品での子供は、やっぱり「子供」なんだけどね。
その魂に大人が価値を認めていく、という風には扱われても、ストレートに戦力になる訳ではない。

 お父ちゃんが敵に突っ込んでいく所で、銀河鉄道のエライさん(?)が『さらば宇宙戦艦ヤマト』テレサのように現れて、一緒に行くのに笑ってしまった。
何か役に立ったのか?
 そもそも、アンタが操縦系を制御してやれば、必ずしも人が車両に乗っている必要はなかったんじゃない?

 作画は良好。
お母ちゃんを演じる麻上 洋子の声が、とにかく懐かしくて染みる。
 兄が乗る999号の車窓に一瞬、メーテルと鉄郎らしき人影が見える遊び(?)が楽しい。あー、時代が『999』以前だとしたら、メーテルが連れていたのは「ネジ」にされてしまう運命の男の子だったのかも。

 お父ちゃんはもしかして、SF的処置によって ずっと後に無事な姿で…黒騎士とかハーロックになって( ^_^ )帰ってきたりしないだろうか。
 お兄ちゃんも、本当に死んだのかなあ?
 別に今、ブームが再燃したとも思わないのに、同時期に松本アニメが2本も放送される状態を不思議に思いつつ、でも割と楽しみに見続けたい。



『藍より青し〜縁〜』01.「桜春」

 主人公の事を、周りの女の子達が どのぐらい好きで、どういう位置関係にあるのかを緩やかに描いた第1話。
無難な出だしだろう。
 ここから初めて見る人のためには、もう少し詳しく説明が成されても良かったように思うが…
まあ、別に入り組んだ設定がある作品ではないので、構わないだろうか。

 作画はこれも良好。
女の子が可愛く描けているし、キー局で放送しない強味か、前よりも少々お色気を増量。
 ドラマとしてのクライマックスは前作で既に終わっていると思えるが、この先は何を描いていくの?
 可愛いキャラクター達のドタバタした日常、だけでも、十分楽しく見られる…かな。
 見続けるけど、感想は、よっぽどトンデモない展開にならない限り書かないと思う。


2003年10月12日 日曜日

『ギルガメッシュ』01.02.

 原作は、ずっと昔に読んだはずだけど、すっかり忘れてしまっている。
 1話2話の連続放送、という形を取った、かなり異例の開幕。
お馴染み、フジの無茶な編成による物だろうが。
 でも、ケガの功名というか何というか、これを1話だけ見せて、来週も見てもらえるかというと…それは厳しかっただろう。
2話まで一気に見せて、普通のアニメの1話分もストーリーが進んでいないのだから。
 でも、一度に2本も見せた事で、視聴を「負担」と感じさせてしまった可能性がある点では、マイナスに働く編成かも知れないか。
 それはまあ、放送形態より内容の問題だな。
『藍より青し』なんかは連続放送されても、全然 負担にならなかったので。

 何はともあれ、キャラの見分けが付きにくい!
こんなに似通った印象を与える美形キャラばっかり揃えては、誰一人 浮いてくる事もないので逆効果では。
 なんか、Gacktとか そのへんのビジュアル系バンドお兄ちゃん達をキャスティングして、オシャレな雰囲気を目指してみました、という感じに見える。
 あと、このデザインは、作画レベルが高く保てる場合にのみ大きな効果を上げるように出来ており、ちょっとでも崩れるとそれはそれは悲惨な画面になっていくと思う。
シリーズ開幕から さほど良い絵だとは言えないものを見せられてしまったが…今後は大丈夫なのだろうか?
 あと、作画的には、せっかく出したモンスターが「出来の悪いぬいぐるみ」のように動かなかったのも不満。

 お話。
 うーん、主人公であろう姉妹が借金取りに追われて逃げ回り、たまたまあった(?)屋敷に入ってみれば化け物に変身できる美形お兄ちゃん達が たむろして居て、そこに彼女達を狙う これまたキレイな三人組が来襲、戦いの末に姉妹は来襲組の手に落ちる…という構成は無駄にゴチャゴチャしているような。
 借金取りは出さず、姉妹が暮らす屋敷に美形お兄ちゃん達が訪れて来る事にし、警告を発する彼らの話を聞き終わる時間もなく襲撃者が…という形にでもすれば、ずっと短く切りつめられるのでは?
 なんかこう、ダラダラと話を流しているように思え、画面への集中力を途切れがちにさせられてしまう。
 それでも、もっとケレン味溢れる演出が成されているなら耐えられただろうが、これが実に凡庸。普通。
 時間帯のせいもあり、すっかり眠くなってしまった。

 とにかく、「続きを見たい!」と強く思わせられる内容には出来ていないと思う。
見ていられない程 酷い、という訳ではないにせよ。

 今期始まったアニメに限った事ではないけど、どうも視聴者を引き付け、その作品固有の魅力をアピールし、「来週も見よう」という動機付けをしてくれない作品が多い。
 「必死でやっているけど上手く行っていない」のはまだしも、「それがそんなに大事とは思わない」制作者が居るようで。
 普通にアニメを見ている視聴者の目は、ここでこんなゴタクを並べているオレなどより遙かに鋭く、とてつもないぐらい厳しいのに!

 ところで、冒頭の黒服の人間が集まっているシーンは、指導者らしい人の背景に据えられた巨大な顔のオブジェを含み映画『ダークシティー』で、世界中のデジタル文明が一発でパアになってしまうのはテレビシリーズ『ダークエンジェル』だよね。
 パクリとは言わず、オマージュと呼ぶけど(笑)。



『瓶詰妖精』02.「5月〜May〜」

 おー、2話目に入っても全く内容が無い
中身が無い無いと言われていた『まおちゃん』でさえ、コレに比べると かっちりストーリーを語っていたと思える程。
 見ていると、無理矢理 脳のシワを伸ばされているような苦痛と快感を味わえる(笑)。
いや、ぼちぼち笑わされたりもするんだけどね。

 作画が崩れたら価値が無くなるアニメなので、現在のレベルを絶対的にキープしなければならないだろう。



『BPS(バトルプログラマーシラセ)』02.「登場のBPS!イ-mode VS スーパーコンピューター アメリカ王も登場!その2」

 何となく、この後 面白くなりそうな予感はするんだけど、やっぱりこれだけブツ切れに短くされては正しく鑑賞できないな。
 依頼人のオジサンが、主人公が小学生を押し倒している!と誤解して起こす葛藤なんか、30分枠の中では「バカな事 考えてるなあ、あはは」で済むが、10分弱の時間内でやると「いつまで下らねえ事 考えてやがる。時間がないんだから さっさと話を進めろよ」という苛立ちさえ感じさせかねない。

 しかし、たいてい、こういう作品の主人公は「子供は相手にしない」事で、ハッカー(プログラマー)という異常性を相殺する「正常さ」を示すものだが、コイツは例外的に真正面からロリコンみたい。
小学生のスカートの中を覗き込もうと床の上を這い回る所なんか、笑ったけども、大丈夫かよオイとも思った(笑)。
 また、小学生の方もワザとスカートが持ち上がるポーズを取り、誘惑の意図を表す。
 求め、求められ、で、幸せなのかもね。



『君が望む永遠』02.

 うあー、来たー!これか、これが鬱シナリオの始まりか?
 悲惨さとのギャップを増すために、嫌になるほど(笑)幸せなカップルの姿を延々と描いているのが何とも。

 前回、ラストで突然に遙の気持ちを受け容れる…というか、自ら積極的に告白する気持ちになった主人公の心の変化については、今回、フォロー無し。
うーん、確かに遙は、男が付き合いたいと思って不思議の無いキャラクターに描かれているけど、急に積極的な態度を取るに到った内的要因は理解できない。
 また、遙を放って置いても水月を優先してしまう行動が、今回だけで2回も描かれるのは、その最後が悲惨な事故の様子で締められるせいもあって、よほど上手く持って行かない限り「視聴者が、主人公を醒めた(お前が悪いんじゃ、という)目で見るようになってしまう」原因にもなりかねないんだけど…

 事故の描写。
あんなに血ぃ出さなくてもいいような(笑)。客に引かれかねないぞ。
悲惨さは良く伝わってくるけどね。
 あの流血量からすると、死…いや、それではドラマとして割り切れすぎてしまうから、昏睡植物状態にして、キャラの行動を縛る枷にする?


2003年10月11日 土曜日

『プラネテス』02.「夢のような」

 非常に多層的に構成された物語で、とてもじゃないが一度見ただけでは情報を整理しきれない(多分、今でも読み切れていない)。
…といっても全然 難しくはなく、普通に見て ただ面白い話なんだけど。
 ハチマキが駆け出しの頃、自分のミスで体を衝突させてしまい、取り逃がした衛星に雪辱戦を仕掛けるのが今回の主題。

 「宝くじを当てる まじないの踊り」が、馬鹿馬鹿しくもリズミカルで楽しい。
妙に耳に残る旋律。しかし、胸にバミりのテープまで貼り付けて、一体どういう起源のまじない なんだか(笑)。
 主人公、単に金が欲しい、というのではなく、「自分の宇宙船を持つ」夢に近づく資金にしたかったようだ。
 リアリティー・ゼロの計画ばかりを並べた「マイ宇宙船獲得構想ノート」。
昔は周囲に見せていたが、今は嫌がる。現実とぶつかり、否応なしに成長してしまい、絵空事だとは思い知らされているんだろうな。

 中心を捉えて噴射する事で回転せずに移動する事が出来る、宇宙作業の訓練をするタナベ。
 これが後に、衛星を移動させる際に使われるテクニックへの伏線になっている。

 主人公と同期入社し、エリート街道を突き進む青年・チェンシン。
 素直に彼の出世を喜んで上げたい気持ちと、上手く行かない自分の現実と比べて焦る気持ちが入り交じり、複雑な心理状態に置かれる主人公。

 軌道が逆行している事でランデブーし辛く、推進剤も残っている、小惑星の探査機。
これは、目指した道から外れながらも、夢に向かう気持ちだけは強く残っている主人公を象徴する物だろう。
 接触による失敗を因縁に、3年の年月を経た彼は再び探査機…「駆け出しの頃の自分」と対面する。

 「本当、3年前と何も変わっちゃいねえ、お前(探査機)も、オレも」
探査機を前に、一人呟く主人公。
 タナベによって起こされる、かつて自分がしたのと同じ失敗。
 そのために、探査機が親友の乗るシャトルとの衝突コースに入った事を知った彼は、命を賭けて軌道変更を試みる。

 人生において彼の「上」を行っていると思われたチェンシンだが、衝突の寸前には怯えて目をつぶってしまう。
 最後の最後まで目を開いて諦めず、チャンスに賭けたハチマキは、同じ3年間を宇宙で過ごしながらも 「宇宙の男」として、親友よりずっと強く、高く成長していたのかも知れない。
 それを象徴するかのように、邪魔者の探査機は、奇跡のようなタイミングを捉えた噴射をもって、シャトルの「上」を乗り越えて行く。
 デブリ回収の厳しい作業で培った技術とド根性は、決して無駄ではなかったのだ。

 彼が備える強い「幸運」は、これら実作業で使い果たしており、宝くじに回す余剰分なんて無いのかも(笑)。
 それはラッキーかアンラッキーか。

 「焦るなよ、ゆっくりでいい、ゆっくり、ゆっ…くりだ」
新人時代の大きな失敗に対し、先輩は一言も叱らず、優しく こう語りかけてくれた。
 そして今、あの頃の先輩の位置に立つハチマキは、タナベの失敗を責めず、
「そんなに焦るなよ、新入り。まだまだ始まったばっかりだ。焦んなくていい。ゆっくり、ゆっくり積み上げていけばいいって。だろ?」
と言葉を掛ける。
 これは全く、自分に向けて言ったもの。
ようやく彼は、不本意であると思い続けてきた自分の「今」を認める事が出来たのだ。

 何だかもう、シリーズの一本と言うよりも、独立した一つの作品を見たような充実感。
 1話目もそうだったが、これだけ入り組んだプロットを混乱無く捌くストーリー構成の手腕には、呆然とするばかり。
 面白い。


2003年10月10日 金曜日

『GUNSLINGER GIRL』01.「兄妹 - fratello -」

 原作は未読。
 少女と武器、というのは、恐らくは一昔前の同人誌を発端に連綿と描き続けられてきた題材(絵としてはもっと昔からあっただろうが、ストリームにはなってなかった)。
 非力な者が持つ強力な破壊力を備えた物、暖かく柔らかな者と冷たく硬質な物、といった対比がフェティッシュな魅力を放ち、多くの人達が惹き付けられた。
 この作品も、その題材に挑んだものと思われる。

 重量があり発砲時の反動も大きい銃器を、か弱い姿をした少女が軽々と扱ってはリアリティーを失ってしまうため、人工的な肉体強化を必要とした。
 人を殺すたび一々ナイーブに悩み苦しませなくするには、常識を消去し任務を機械的に遂行させる教育(洗脳?薬物投与とか)を。
 後腐れを無くし、より少女を追い込むべく、肉親の喪失と、改造無しでは生きていけない少女の設定が付加される。
 全ては、「少女と武器」という絵のために。

 努力して土台を固めた上に乗せた第1話のガンアクションは、非常に迫力があり、少女が驚くべき有能さを見せ大のオトナを撃ち倒していく痛快感と、何か大きな物を失いメカニックと化したような恐ろしさを、十分に感じさせてくれた。
 アニメ上の表現としては、最大限リアルにも描けていたと思う。

 壊れ行く少女達に救いは訪れるのか?
『NOIR』に似た部分があるけど、こちらの方がズシリと重くなりそうな予感。
 これから何が描かれていくのか、期待して見続けたいと。



 恐るべき新番組ラッシュも一段落。
まだ この後で始まる物もあるんだけど、それはそれとして一段落。
 どれを取っても、酷く悪い、見る価値がない、という事ではないと思う。
それだけでも、倒れるほど大量の新作が始まったにしては、望外の出来の良さ、アニメ業界の頑張りではないだろうか。

 取りあえず現在までのイチオシは、順当に『プラネテス』。
次いで『ゴーダンナー』『ポポロクロイス』『君が望む永遠』『GUNSLINGER GIRL』という所かな。
 気楽に見られるものでは、『円盤皇女ワるきゅーレ』『魁!!クロマティ高校』がある。
 …って、この中で地上波で見られるのは『ポポロクロイス』と『GUNSLINGER GIRL』『魁!!クロマティ高校』だけか(!)。

 録画失敗により途中までしか見られなかった『ロックマンエグゼ・Axess(アクセス)』を除き、意地になって見られる限りの新作を見、感想を書いてきたけど、いやあ、大変。
お仕事日程が酷い事になってしまった(汗)。
 こんなにも本数があって、ちゃんとみんな採算が取れているのだろうか。
余計なお世話であり、大儲け出来ているのであれば、結構な事なんだけど。


2003年10月9日 木曜日

『PEACE MAKER 鐵』01.「桜」

 幕末の時代、新撰組に、一人の男の子が入隊を希望した事から物語が始まる。
 市村鉄之介という主人公は、土方歳三の小姓として実在した人物。
 その男の子の目から見た、新撰組の栄光と終焉を描いていくのかな。
 もうちょっと理想化した内容になるのかと思えば、殺陣のシーンでは やたらに血が噴き出したりで「人殺し」を感じさせられ、ビックリ。
「壬生浪」として、決して「正義」ではない戦いを繰り広げた彼らを、シビアに捉える?

 作画も演出も悪くないし、主人公のキャラと行動動機の基本を説明し、他キャラも顔見せをする事で、第1話としては手際の良いスタートだったと思う。
 ただ…少々 女性視聴者に向けて作られている匂いはするな。
 無理しない程度に見続けるかも知れないけど…多分、感想は書かないだろう。



『SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK』01.「はきだめのブルース」

 OVA展開されていたもののテレビ放送だけあり、作画クオリティーの高さには目を見張る。
 結城 信輝による松本 零士キャラクターが、世界を見事に再現していて。今更言う事でもないだろうが、この人は本当に上手いなあ、と溜息。

 物語。
 有紀螢がハーロックから独立して、自分の海賊船を率いている所からすると、テレビシリーズの正統な続編かと思ったが…
 台羽正の父親はまだ健在(二度も父親を殺される正は可哀想だな)。しかも、彼が研究しているジャンルが全然違うし、正の設定も違う。
という事は、パラレルワールドの話になっていくのか。

 ハーロック登場のシーンにもっとカタルシスが演出できていれば、第1話としては大成功だったと思うけど、その辺ちょっと弱い気が。
 次回は派手そうなので、そこに期待しよう。
 敵が抽象的な存在になりそうな予感があり、それだとアルカディア号の強さとか活かせるのかどうか若干 不安に。
いや、悪い霊体を、正しい「男の魂」が打ち破っていくのか?( ^_^ )

 りんたろう監督の最近の作品を、ことごとく面白く思えなかったのだが、これは、非常に良かった旧テレビシリーズ『キャプテンハーロック』や傑作映画『銀河鉄道999』に通じる世界観の作品。
 今後とも、さすが!と感心させ続けて くれると嬉しいな。



『Avenger』02.「DOLL」

 …これは…
相変わらず設定がよく分からず、ヒロインのキャラクターにも まだ魅力がない(ドール・ブリーダーのお兄ちゃんはまだしも)。
物語は地味で爽快感に欠け、引き込まれる程の緊張感も、面白味も感じられない。
 何より、所々のシーン、特に見せ場になったのではないかと考えられる部分が「飛んで」いる事は、わざと「面白くない形で見せよう」「分かり辛くして客をウンザリさせてやろう」と目論んでいるのか、とさえ勘ぐってしまう。

 「面白くしたい」気持ちが強くあるなら、作画レベルが高くなくても、演出にふらつきがあっても、これほど吸引力が弱いものは出来ないだろう。
 見切れないぐらいアニメが放送されている現状で、ツカミからいきなり突き放しても なお視聴者は付いて来ると考えているのなら、随分と甘い見通し。
 もう、いいかな。



『フルメタル・パニック?ふもっふ』05.「純で不純なグラップラー」「善意のトレスパス」

 宗介が空手同好会の猛者達と戦うのに、「実戦」格闘技を謳う相手に対し、本当の「実戦」さながら持っている武器を有効に使って倒していくのに大笑い。
そーだよね、本物の戦場で相手に遠慮して手持ちの武器を使わない奴は、アホだよね。
 「素手のみ?そんな実戦、聞いた事もないぞ」という宗介のセリフ、納得。
 『レイダース』で、自慢げに太刀を振り回して笑顔で勝負を挑んでくる敵に対し、インディーが面倒臭そうに拳銃を抜いて一発で撃ち倒すのを思い出した。

 後半、用務員のジイサンの声を青野 武があてている事で、ブチ切れて暴走を始めた時の「狂気」が非常に良く伝わって来る。
さすがベテラン、上手いなあ。


2003年10月8日 水曜日

『スクラップド・プリンセス』最終話.「守りし者たちの交響曲」

 あちこちに納得し切れない所がある。
あともう一回あれば、と思った所も。
 それでも、これは とても良い最終回だった。

 命が失われ行くパシフィカを抱きかかえたラクウェルの、縋るような視線。
その先に居たのは よりによって無力なレオで(笑)。しかし彼ならずとも、ただのヒトに こんな状況をどうにか出来るものではない。
 ここでの、「もう自分たちにはどうしようもない」事を悟るラクウェルの表情の変化は、素晴らしいの一言。
 この表情の変化があって初めて、「敵」であるマウゼル神にまで救いを求める心情に説得力が生まれる。
 また、パシフィカが還ってきた時のラクウェルと、堪えきれず涙を落とすシャノンの表情も、感情がズシリと乗せられており、ジンと来るほど良く描けていた。

 ピースメイカー達とドラグーン勢の戦いは、もっと、最終戦争を思わせる程に苛烈を極めて欲しかったなあ。ちょっと、あっけない。
セーネス達の乗機は、三体中二体ぐらいまでは破壊されても構わなかったと思うんだけど。
 シーズが、どうして突然に死を望む行動を見せるのかも分かり辛い。
パシフィカの発動によって、力が抑えられていたので どうせ負けだった?本来ならば その発動と共にマウゼルは滅んでいるはずなので、自分の役割は終わったと考えた?
それとも、マウゼルの支配から離れる事で、もう一つの人格であるスィンの方が表に出てきたがための変化とか?
 スィンの声で死の直前に伝える「ごめんなさい」の言葉が、とにかく切ない。
 あと一押しで、ポロポロ泣かせられる名シーンにも なったと思うんだけどな。

 仮想現実世界での、パシフィカとマウゼルの対話。
 その死をもって初めて発動するパシフィカの力。
これは、誕生日にはDNA的な仕掛けなどで死ぬ事になっていたのだろうか?それとも、プロヴィデンス・ブレイカーとして世界の敵になる事で、その時には必ず死ぬ(殺される)事を見越して立てられた冷たいプラン?
どちらにしても、ひでー話だ。

 封じられた世界をどうすれば良いのか、パシフィカに判断を求めるマウゼル。
 「始めから選ぶ事が出来ない世界は、やっぱり間違っていると思う」
それがパシフィカの答え。
 単純で力強い この言葉で、マウゼルは納得する。
「世界を滅ぼす猛毒」として、「始めから選ぶ事が出来ない」人生を運命づけられ、迷い苦しみながら それでも逞しく生きてきたパシフィカが言うからこそ、マウゼルの心に届いたのだろうか。

 マウゼルから贈られる、全人類への別れの挨拶。
 人類は確かに束縛から解き放たれ、自由を手にした。
しかしそれは同時に、道を示してくれる(その道が正しいかどうかは知らず)頼るべき存在の喪失を意味し、いずれまた襲い来るかも知れない脅威から地球を守れる者は、もうヒト自身以外には あり得ない辛い現実をも意味する。
 神の絶対的管理下にある楽園・エデンを追放されたアダムとイブ、そしてその子孫からは、「永遠の命」が奪われてしまい、代わりにいつか訪れる「死」を与えられたのだ。
 ハッピーエンドかどうかは分からない。
これからの全ては、その世界の人間達がどう生きるかによってのみ、決まっていく。

 エピローグで示されるパシフィカ達の、驚くほど地に足が着いた日常生活を見ている限り、世界もきっと何とかなっていくんだろうと思えるな( ^_^ )。
 自分が幸せだったかどうかは死ぬ時に決めれば良い、と言い、辛かった廃棄王女としての日々さえ肯定してみせるパシフィカの言葉が爽やか。
 どんな過去をも人は踏み越え、明るく笑って、未来へと進んで行く事が出来る。
 最終回を見終わった気持ちは、非常に心地良いものだった。

 全体に。
 開始当初はドラマにさほどの深みが感じられず、イマイチな出来になるかと思った事もあったが、途中からグイグイとテンションを上げ、大事に大事に描かれるキャラクターの魅力もあって、すっかり物語に引き込まれてしまった。
 キャラについては、最終回のモブで これまでに登場した人々を見せ、ラストでは、哀しい最期を遂げたフューレの形見である下足箱の鍵が、パシフィカのお守りに変わってみせる。
未熟なレオは未熟なプロポーズを行い、やっぱり受け容れられない(でも、希望はあるかな)。
異質な者だったゼフィリスを日常に紛れ込ませてあげる優しさも含め、とても強い愛情と、人間への理解が感じられる描き方。
 生き生きとキャラクターが動く作品は、それだけでも見る価値がある。
 また、生きた人間の描き方があったからこそ、「世界を滅ぼす脅威」と、「パシフィカ一個人の命」を等価なものとして視聴者が見られ、「それでも、生きる」というテーマを感じ取る事が出来たのだと思う。
 面白かった!
 スタッフの皆様、良い作品をありがとうございました。



『おねがい☆ツインズ』11.「あなたに好きと伝えたい」

 うーーーん。今回の話に より説得力を持たせるには、「血縁者による恋愛の禁忌」の甘さと苦さを ここまでにもっと描き込まなくては。
 「妹だった」という事実の提示が どうにも絵空事っぽいのに、だから恋愛できない、それが当然、と言われても。『シスプリ』やら何やらで その辺の常識にヒビが入っている視聴者(オレ)には、「そんなものですか」としか思えず。
 職業柄、その辺のリミッターがブチ壊れているという部分もあるが(笑)。

 とりあえず次回、最終回待ち。


2003年10月7日 火曜日

『GUNGRAVE』01.「黄昏の破壊者」

 う〜ん、第1話としてのツカミは弱いような。
 ゲームの内容からすると、アニメも、ガンアクションの派手さ、迫力、格好良さで引き付けるのが正道だと思う。
が、今回見せられたものは思いの外、見せ場としての爽快感に欠けていた。
 「アニメのガンアクションって、大体こんなものだよね」という水準には達しているのだが、それだけでは「次回も必ず見よう!」と思わせる魅力とするに足りない。
 主人公・ビヨンド・ザ・グレイヴが「静」から「動」へと移る所に、カタルシスが生じるような構成になっていれば、もっと面白く見せられたと思うんだけど…いや、言うのは簡単でも作るとなると至難のワザなのは分かった上で。

 過去を含む、ヒロインのキャラクター性がまだ不明なため、それも次回を見せる動機付けにするには弱い。
 舞台設定などの詳しい説明はナシ。
ゴチャゴチャする恐れがあるので 後回しで構わないと思うけど、そうなると余計に「キャラクター」か「アクション」で引き付ける必要があるかと。

 キャラクターデザインが同じ内藤 泰弘先生であり、ガンアクションが双方共に見せ場なため、どうしても『トライガン』と比べてしまう。
その第1話での、殺伐とした世界観に のほほんとした主人公というギャップの面白さ、いくら撃たれても動ずる事なく相手の残弾数を数えられる様子で示す超絶の能力、といった主役キャラの「立たせ方」は、とにかく圧倒的に上手かったんだなあ…と、今更ながらに思い知る。

 まあ、もうしばらく見てから、改めての判断に。



『PAPUWA』02.「猛毒注意!?ドクツルタケのコモロくん登場」

 最初の原作は読んでいて、強烈なキャラクター、独特の間と、リズムが考えられたセリフ運びの生み出すギャグに、ずいぶんと笑わせてもらったもの。
 アニメとしては…前作はギャグを面白く演出する事が出来ていず、最初だけしか見ていない。

 で、新しく始まった漫画版を原作とする、第二期アニメシリーズがこれ。
第1話を見逃したため、2話目からの鑑賞となったが…うーん、やっぱりギャグの間が悪い。
全然笑えなかった。
 バックには、前作と同じくシリアスな設定もあるようで、そちらに楽しみを見出す事も出来る…かな?

 シリーズ構成が『555』の井上 敏樹であり、各話脚本には浦沢 義雄もクレジットされている事からすると、脚本的には今後、弾けた笑いや脱線する物語のパワーを作り出して行く可能性があるけれど……
 新作が多すぎる今期、まあこれはココまで。



『F−ZEROファルコン伝説』01.「伝説・スタート!!」

 任天堂がハードを跨いで出し続けているゲーム、『F−ZERO』を元にするアニメ。
好きなゲームで、特にスーパーファミコン版のラップタイムを削るのには必死になっていた事があり、アニメ中に同じBGMが流れると ちょっと嬉しい( ^_^ )。

 売りであろうレースシーンは、昨今の例に漏れず3DCG。
しかし…キューブ版のゲーム画面の方が余程 華やかでギミックに満ち、情報量も多いような。
 お話。
現代(近未来?)生まれの主人公が事故にあってコールドスリープされ、2201年の世界に目覚める。
『バックロジャース』か『デモリションマン』か。
 変化した社会を分かり易く見せるには、何も知らない人間の目を通すのが有効ではある。
…今と比べて、そんなに変化していないような気もするけど(笑)。

 悪くない出来だとは思いつつも、『サイバーフォーミュラー』ほどレーシング物として盛り上がる事も無さそうに思え、ここまでに。


2003年10月6日 月曜日

『君が望む永遠』01.

 男の子、女の子達の心のふれあいと すれ違いを描いた第1話。
リアルな日常会話と挙動(「アニメとしての」リアル。現実に即したリアルではない)を通じ、絵空事で終わらないキャラクターの息吹が伝わる。
 そういえば、ここまで日常に沿った恋愛アニメは珍しいような。
たいていSFやファンタジー(妹12人や女教師5人がママに、も十分ファンタジー)の要素が絡んでしまうから。

 主人公は仲良しグループの女の子・水月に ほのかな好意を抱いている。
しかし、彼女が紹介してくれた内気な女の子・遙に告白され、なし崩しに付き合う事になってしまう。
 水月もまた、いつか主人公に好意を抱くようになっていたのだが、そもそもは遙に主人公を紹介するのが目的で近づいた事もあり、親友の喪失を賭けてまで自分の想いを伝える事が出来ない。
 驚くほど独創的な関係ではないが、お互いの気持ちの中から生じてくる「切なさ」を感じ取れ、見ていて制作者の狙い通りに感情がコロコロと転がされてしまう。
 主人公宅に夜半、かかってきた遙からの電話で、「私のこと好きですか?」と問いかけられる辺りの緊張感と、他人事なのに(笑)追い詰められてしまうような感情の誘導は素晴らしい。

 きちんと内向的で良い子に描かれている遙、活動的に見えながら健気な水月、という描き分けと魅力の付加。
 遙と、マトモに付き合う宣言をしてしまった主人公。
唐突な方向転換に思えるが…ここから どう話を展開するのか、楽しみに見せてもらおう。
 あんまり悲惨な話にならないとイイなあ。



『ポポロクロイス』01.「竜の祠の冒険」

 監督を、真下耕一から越智一裕に移して、前作のネクストジェネレーション物語が始まった。

 レベルの高い演出と作画があり、前作を見ていた人間には「ああ、ピエトロとナルシアは結婚したんだ」「ピエトロ、立派な王様になったなあ」という興味の引きもある事で、第1話としてのツカミは巧く行っていたと思う。
 偉大すぎる父王と比べられるプレッシャーに、すっかり萎縮して内向的になってしまったピノン王子の気持ちが丁寧に綴られ、感情移入もし易い。
また、ピノンが魔法実験をしている女の子・ウララの実験材料にされたために大広間の天井をブチ抜いてしまったのだが、それを「自分が望んでしてもらった事」と言って彼女を庇い、「王子」たる資格を示すのも非常に良かった。

 王と比べられるピノンを庇い、彼からの好意に応える友情(わずかに愛情?)を見せるウララが可愛い。
大きく身分違いではあろうけど、彼女がヒロインでイイんじゃないかと思う程。
 しかし、現れた不思議生物を「初めての友達」と呼ぶピノンはヒドいな(笑)。
彼女を何だと思っていたのだろう。単に「臣下」?

 アクションシーンの演出にも迫力があり、次回以降も見続けようという気持ちに十分させてくれる第1話だった。
 崩れると辛いキャラクターデザインだと思うので、難しいとは思うけど、出来るだけこの作画クオリティーを維持していって欲しい。



『ヤミと帽子と本の旅人 』01.「葉月」

 出てくる女の子は、繊細で耽美でコミケ壁際サークル的に美しい。
作画レベルも、1話目だから気合いを入れた側面もあろうが高いし、女の子同士の「百合」なドキドキシーンなどサービスも多く、目には楽しい印象。
 でも…
昨今珍しくはないけど、これまた視聴者に世界を説明する気がない、非常に不親切な始まり方。

 どういう関係かは分からないが同居している美少女2人。
お互いヤバイ感情を抱き合っていると思っていたのに、一方…口をきけない方には どうやら男が出来、それをきっかけに気持ちの行き違いが起きる。
そして、これまた どうなっているのかは分からないが、喋れない女の子はある日、目の前で忽然と姿を消してしまう。
 ここまでは、「一週間前」だの「1時間前」だの 時系列に沿わず並べられた事象が分かり辛いけど、それはそれで、お耽美な百合世界での、消えた女の子を巡るアレコレが展開されていくものと思っていたが…

 突然に世界観が違うような不思議ギャグ系生物が乱入。
 よく分からない内に第二次大戦当時かな?のシベリア鉄道に舞台が移動。
大勢のキャラクターが登場し、事件が起きているらしいけども、とにかく面食らうばっかりで どうにも。

 「そろそろ、次の本への旅の時間です。世の中には、自分の思った通りに物語が進まない事がよくあります。問題は、そんな時 何をするか。例えば、こんな物語は如何ですか?」
というナレーションが、後半の冒頭でなされた所を見ると、どうやら「本から本へと旅をする」のがこの作品の基本スタイルで、シベリア鉄道は、百合世界とは違う「本の世界」らしい。
 いや、百合世界は「現実」である可能性もあるけど、現時点では判断不可能。

 うーん、とにかく不親切な第1話。
ナレーションであった「世の中には、自分の思った通りに物語が進まない事がよくあります」を表現すべく、画面の視点が、視聴者が喜び易いであろう百合世界から、オッサンが大挙して出てくる色気には欠けたシベリア鉄道世界へと移動する事で、「自分の思った通りに物語が進まない」という概念を表したモノか?(笑)

 「どうなっているんだろう?この物語はどこへ行こうとしているんだろう?」という興味を視聴者に持たせる第1話を狙ったのだろうが、分かりづらさが興味を上回っており、正直な所 可愛い少女キャラクター以外には「来週も見る」理由が薄い。
 監督が『勇者王ガオガイガー Final』『あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ』の山口祐司であり、シリーズ構成が『魔法の天使クリィミーマミ』『海がきこえる』の監督だった望月智光である事からすると、もしかして面白くなっていくのかも知れないけれども。(監督には、ちょっと不安があるか…)
 この始まり方で、殺人的に多数のアニメが放送されている今日、どれだけの視聴者が着いて来てくれるかは分からないな。


2003年10月5日 日曜日

『おもいっきり科学アドベンチャー そーなんだ!』01.「おどろきの始まり」

 子供向け科学解説アドベンチャーアニメ。
第1話目では、「雷」について説明が成された。
 ドラマとしては、ゲームプログラムの世界に引き込まれてしまった子供達が、現実に帰るため、与えられるミッションを次々に果たしていく事を求められる、という筋立て。
今回は、雷を消去するのが使命。

 同年代の子供達が主人公となって課題に取り組んでいく姿を通す事と、その子供達を2チームに分けて競い合わせる「ゲーム」要素(勝ち負けで食事に差が生まれる罰もアリ)を入れる事で、「教育番組」然としたイメージを薄めたい意図が感じられる。
 これなら子供も見ていられる…と、オトナは考えるんだけど、他にも色々なアニメを放送している日曜日、「コレを見たい!」と子供が考えてくれるかどうかは、分からないな。
 PTAとか文部科学省のご推奨は受けられそう。
 出てくる子供達が可愛い事で、「その方面」が好きな大きなお友達が喜んで見てくれるかも(笑)。

 う〜ん、決して悪くはないが、録画してまで毎回見たい内容ではないな。



『円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲』01.「時の鍵」

 前シリーズの続き。
 軽快なキャラクターの魅力と、彼ら彼女らが動く事で生まれるコメディーとしての楽しさが、この作品の良い所。
それは前作からそのまま受け継がれている。
…というか、まるで前作が終わって すぐに始まった続編のようで(実際はかなり期間が空いている)、設定の説明なんか何にも やりゃしない思い切りの良さ。
 変身のシステムぐらいは、新規、あるいは前作を忘れてしまった視聴者のために説明しても良かったような。

 ワるきゅーを偏愛する真田さんは相変わらず愉快。
子供ワるきゅーの無責任な子供っぽさも可愛く、楽しいキャラクター達と再会できたのが、単純に嬉しい。

 巨大化したシロを捉えるショット。
きちんと大きさが感じられる、迫力あるレイアウトが成されており、夕暮れが迫る背景美術の美しさと相まって、コメディーには勿体ないぐらいの(そのギャップが可笑しいのだが)画面作り。
 第1話だからか、作画もレベルが高く、細かい所まで良く動いていた。
 あとは、このテンションをどこまで維持できるか、かな。
 前作と同じぐらいに面白くなってくれれば、個人的に十分満足。



『幻影闘士バストフレモン』01.「それはレモンの香りだった」

 純韓国産のアニメ、らしい。
 そんなに酷く悪い訳でもないが、取り立てて良い所も見あたらず。
 日本人にはちょっとキツイ顔立ちをしたキャラが、どうやらレギュラーであるらしいのはネックだろうか。
割と可愛い顔立ちをしたヒロインも、驚いた時やショックを受けた時に見せる崩れた顔のセンスは、少々 辛く感じられる(平気で女の子に鼻水を流させたり…)。

 ネットワーク内でのバトル、をメインで描いていく事になってるのかな?
 まあ、これはここまで。



『最遊記 RELOAD』01.「弾は再び込められた」

 前作は途中で視聴を脱落してしまったのだが、再開されるという事なので見てみた。
 ああ、面白いや。
さすが、単行本がドカッ!と売れ、2度もアニメ化されるだけの事はある。
 主人公の男の子達のキャラが、非常に分かり易く、個性豊かに描けているのが最大の強味だろうな。
ファンが付くのも当然。

 しかし、「西遊記」は遊び甲斐がある元ネタだね。
この作品での、「凶暴で、容赦なく銃をブッ放す三蔵」という性格付けは、原典のキャラクター性を真反対にしたモノだろう。
 見られる限り、見て行く事にしようかな。
ただ、感想は余り書かないと思う。



『瓶詰妖精』01.「4月〜April〜」

 原作は篤見 唯子先生。
同人誌などの作品が好きで、よく読ませて頂いていた。
 ほえほえ〜、とした可愛いキャラクターで、ほのぼのしていたり意外と毒があったりする漫画を描かれる方。

 アニメは…うーん、これが1話目なの?
妖精登場編、基本設定紹介編を経た、第3話に当たるような話をイキナリ見せられた気分。
 能書き並べちゃいられねえ、グダグダ言わずに、詰め込んだ「可愛さ」を喰らいやがれこの野郎!という狙いだろうか。
 本当、「可愛い」以外には何も無く、「萌え」だけを突出させて一点突破を狙った作品。
だから、「萌え」攻撃が通用しなかった視聴者には、「なんだコレ?論外」と言われて玉砕するしかないだろう。
 ある意味、非常に潔い。

 監督、岩崎 良明の前作は『陸上防衛隊まおちゃん』。
 シリーズ構成はスタジオオルフェと白根秀樹。文芸監修として、同じく『まおちゃん』の黒田 洋介が参加。
 キャラクターデザインも、同アニメの柳沢まさひで。
 ああ、何となく、なるほど。

 「名作落語全集」みたいな本を参考に、妖精が「立派な酔っぱらいの家は、グルグル回るから息子が継ぎたくないらしい」と、勘違いしたセリフを言うのに笑ったけど、「親子酒」って元ネタの落語は誰でも知ってる程メジャーだろうか?
いや、そんな事はこの際どーでもいいな(笑)。
 脳が溶かされていく気分を楽しめる人向け。



『BPS(バトルプログラマーシラセ)』01.「登場のBPS!イ-mode VS スーパーコンピューター アメリカ王も登場!その1」

 上の『瓶詰妖精』とパックで、「動画大陸」の30分枠を15分ずつ分け合っている作品。
 この第1話目では、事件のホンの発端だけしか描かれておらず、面白いとかつまらないとかの判断すら不可能。
 これは…一回15分という放送形式がネックになっていきそうな気がするなあ。
第1話の終わり方は、引きも何も無く、「CMを挟んで後半をお楽しみ下さい」という程度の静かな続き方で、まだ興味を引くようなナニモノも出てきていない事により、「次回も見なければ!」と思わせる仕掛けは弱い。
 15分枠の作品として作られたのでは、ない?30分1単位で作られたアニメを、無理矢理ぶった切って放送しているのか?という疑問すら浮かんでくる程。
(掲示板で頂いた情報により公式ページを見てみると、「この作品は30分番組として企画されたものを放送枠の都合上、三分割してお届けしております」と書いてある。あー、やっぱりそうだったんだ。という事は、放送形式さえ未定のまま制作を進めていた訳か。鶴丸 さん、情報ありがとうございました)

 見ていけば面白くなっていきそうな予感はするんだけど…
とにかく酷い物足りなさを感じさせ、「もっと見たい」より「もういいよ、ブツ切れでイライラするから」と視聴者に思わせかねない放送形式は、不利。
スタッフの責任ではないが…どうにかならなかったモノか。
 取りあえず続けて見よう。



『高橋留美子劇場・人魚の森』01.「人魚は笑わない」

 前回までの、陽気な読み切り作品を映像化し、たまたま夜中まで起きていた おじさんオバサン層が笑って見ていられた作品群とはまた、まるっきり趣を異にする内容。
 高いレベルの作画、という訳ではないが、原作の雰囲気を残した絵であり、息苦しささえ感じさせる重い「不死」に憑かれた者達のドラマが、上手く再現されていると思う。

 とりあえず継続視聴。
ただ、感想はもう書かないかも。



『鋼の錬金術師』01.「太陽に挑む者」

 作画はキレイだし、アニメ化されるだけあって面白さを感じられる設定・キャラクター・ドラマ運びになっている。
 ただ…うーん、個人的には先行きに大きな期待を持つ内容では無いかな。
大体分かってしまうというか。
どこにも破綻無く、しっかりと作ってある事で、余計に予想が付きやすくなっている。

 取りあえず、見て損のない内容だと思うので、しばらく見てから。



『超星神グランセイザー 』01.「目覚めよ!星の戦士」

 雑誌に載っていたスチルを見ていた時には、主人公格を9人に増やした平成『ライダー』になるのかと思ったが、出来たモノを見ると、ノリは『戦隊シリーズ』に近い。
 最近の『仮面ライダー』(『戦隊』でさえも)が巧妙に避けている、「垢抜けなさ」「古色蒼然たるヒーロー物の匂い」が強く感じられる。
 円谷系の人が監督を務めているという事で、平成ウルトラを思い出すと納得できる部分も。

 特撮は、川北 紘一。
 第1話であり、お金がかけられるせいもあってか、なかなかに迫力のある画面が見られた。

 主人公であろうバイク便のお兄ちゃんに、キャラとして引き付けられる程の魅力が感じられなかったのはネックかな。
 物語としても、特に目新しい要素が無く、「だいたいこんな感じの話になるんだろう」というのが読めてしまうため、興味が薄れがち。
 でも、『555』も最初の数話は、腹立たしいぐらい つまらないとか思っていたからなあ。
 とりあえず、もうちょっと見てみないと。


2003年10月4日 土曜日

『プラネテス』01.「大気の外で」

 原作は未読。
 うわー、面白い。
何というか、「第1話」のお手本のような…いや、それ以上に出来が良いお話。
 性格のプラスとマイナス、それら含めて「魅力」をしっかりとアピールしてくるヒロイン。
 そんな彼女の視点を通し、「衝突し合う先輩」という事で主人公(第1話では、サブのようだけど)の、これまた良い所 悪い所を、見ている者にきっちり分からせてくれる構成の巧さ。
 舞台設定と、主人公達の目的の基本的な説明も非常に丁寧に なされ、科学・SFに弱い視聴者にも問題なく理解してもらえたろう(例えば宇宙のゴミを指す「デブリ」という言葉に何の説明もしないアニメ、多いからね)。

 「デブリの処理」など、地味すぎて扱い方によっては つまらなくなってしまう恐れが十分にある題材だと思うが…
 そのデブリに、「子供達の平和を祈念するプレート」、と、「大国による欺瞞」という2つの意味を持たせ、「軍事衛星」をその衝突コースに乗せて葛藤を生み、プレートを単純に処分せず せめてもの「抵抗」として、祈念された相手国の上空を横切って落ちるルートに乗せる「プロフェッショナルの凄み」と「人間性」の合体技、そして、主人公が どこまで本気で考えていたのか疑問に思わせるオチ。
 よく考えたなあ。
 しかも、ただでさえ様々な情報を紹介しなければならず、負担が厳しい第1話にして、これだけ複雑なイベントのプロットを混乱無く処理できてしまう「腕力」には、ただただ圧倒されるばかり。

 間違えて管制課に入室してしまったヒロインが、配置図を確認しようとして手に持った書類の束を落としかけ、慌てて抱え上げようとする事で かえって広範囲に書類をまき散らしてしまう動き。
スゲエ。
「ああ、やるやる こういう失敗」と納得させられる日常動作 表現の巧さ。
 全編、テレビで見せるモノじゃない、というレベルの高い作画。
 科学的にも、これ以上は望めない確かさだと思う。多分。

 才能のある人達が、力を尽くして創った作品独特の手応えが、歯応えが、見終わっての充実感が、ある。
 これが、毎週見られるとは、幸せ。
 願わくは最後まで、作画が崩れないといいなあ…



『美少女戦士セーラームーン』01.

 放送されるまでは冗談としか思えなかった、実写版セーラームーン。
 見た感想は…あー、予想したよりはマトモ。
どんな程度の出来を予想してたんだという話もあるけど(笑)。

 マトモと言っても、一番印象が近いのは昔懐かしい『月曜ドラマランド』。
アイドルを主演に据えて、えー加減なドラマをスペシャル形式で放送していたアレ。
 女の子達の演技は…そんなモノ問うてはイカンよね。
出てくる女の子達は皆 可愛いし、そこはかとなくアニメ版と似ている気がしないでもない。
変身とか妖魔とか、変なモノが絡んだ「中学生日記」だと思えば、こんなもんだろう。

 お話も実にセーラームーンっぽく(というか、大筋そのまま)。
 妖魔をCGで表現しているのは努力かな。…でも予告を見ると妖魔が着ぐるみになっており、最初だけらしい。
 変身シーン、必殺技の画面効果にパワーが足りず、カタルシスにならないのは残念。
女の子はこういう所には余り興味を持たないものではあろうけど。

 「セーラームーン」という企画そのものが持っていた力は、本来、最大限この辺までだったのだと思う。
 それを、佐藤 順一、幾原 邦彦ら 超絶の才能を持つ人間達が、よってたかって「凄い作品」の位置まで押し上げ、大ヒットさせ「伝説」にしてしまった。
 「セーラームーンならヒットする」訳ではない。
「セーラームーンをヒットさせられる」人達が居ただけ。
 だから、彼らが居ない事で本来の形が現れた作品としては、これで別に問題ないと思う。

 可愛い女の子達のコスプレ姿を愛でるための30分。



『神魂合体ゴーダンナー!!』01.「戦場のウェディングベル」

 あー、「神魂(しんこん)」で「新婚」ね。新婚さんが2人で合体!そして無敵の巨大ロボが完成!ね。
 …企画そのものは、「合体ロボ」という枠の中、様々なネタを出し合う企画会議で、大抵一回ぐらいは出され、「それはダメ」って事で落とされるモノだと思う。
なので本来なら驚くような内容ではないが、それを本気で物語の中に組み込み、ブラッシュアップして十分に見られる作品に仕上げた努力には、素直に感心してしまう。

 「結婚は戦いだ。ガツンと一発喰らわしてやりな!家庭の平和も世界の平和も、最初が肝心なのは同じだからね」
という、ヒロイン母の、嫁ぐ娘を送る言葉。
 緊急事態のため教会から走り去る車の後ろに、くくりつけられた空き缶(「Just Married」という文字も欲しかったなあ。いや、結婚式は完了してないのか)。
 ヒロインのロボット搭乗を母が認める「なぁに、初体験には丁度いい頃さ」という意味深(笑)なセリフ。
 合体後、旦那の足の間、「抱っこ」の位置に上がってくるヒロインのシート。
旦那の股間の位置に現れる、波動砲発射トリガーのような、まあ どー見てもムニャムニャの象徴を両手で握りしめ、「発射」をコントロールするヒロイン。
 『愛天使伝説ウェディングピーチ』が、女の子の視点から見た(?)憧れとしての結婚をモチーフとしていたのに比べ、こちらは もっとリアルなというか即物的なというか、野郎視点バリバリの描き方。

 ずるいのはアレだよね。渡辺 宙明の音楽。
オールドファンの弱点で、あの独特の旋律が流れると、無条件で血圧を上げねばならないような義務感やら強迫観念に襲われてしまう( ^_^ )。
 木村 貴宏による艶っぽい、華のあるキャラクターデザインもズルい。
決して下品にならない色気があるからなあ。
 脚本の川崎ヒロユキは、個人的に余り好みでない作品に関わっている事が多い(『銀装騎攻オーディアン』とか『テイルズ オブ エターニア』)けど…『機動新世紀ガンダムX』以上の代表作にすべく頑張って欲しい。
上記のようにセリフ回しなど巧く、「ノリ」を感じさせてくれているので、期待。
 監督の長岡 康史は、驚くべきハイテンションさで圧倒してくれたOVA『アイドルプロジェクト』、非常に真面目に作ってあった『星界の紋章』などを手掛けた方。
 とりあえず、期待しても大丈夫そうなメンツではないだろうか。

 次回以降は、旦那のかつての恋人が現れた事での「結婚の危機」と、「地球の危機」を重ね合わせながら展開していくのかな。


2003年10月3日 金曜日

『魁!!クロマティ高校 』01.

 少年マガジン連載の漫画を原作とするアニメ。
 独特の すっとぼけた「間」と、畳み込んでくる説得力があるような無いようなセリフが面白い所なので、何よりも演出の力が必要とされる作品だと思う。
 その監督を、桜井 弘明が手掛けると聞き、それならば…と期待して見た。

 いやあ、期待通り( ^_^ )。
上手いなあ、さすがに。
 タイミングの良さに、そこそこ笑ってしまう。
「爆笑」ほどではないけど、それは原作も そういうテイストで通されているから。
 監督の代表作であろう『デ・ジ・キャラット』は、当初こそ「萌え美少女キャラクター」という破壊・おちょくりに値する対象があり、可愛い女の子が酷い言葉を吐いたり非常識な行動を取る事でのギャップの笑いを演出していた。
 しかし、「壊す」笑いを長くもたせるのは至難。
既に壊し終わっているのに、まだ作品を続けさせられているのが現在の『でじこ』の辛さだろう。

 で、『クロマティ』。
そうかー、今度は「不良」な訳だな。
不良はイイ素材だよね。見た目の悪さと裏腹にお人好しでも、間が抜けていても、見た目通り悪くあってさえ、「笑い」に出来る。
 原作が、壊していくギャグの漫画だから、監督とのベクトルは合うだろう。
合いすぎて、変な方向に逸れていくのが心配だけど…第1話を見た限りでは大丈夫そう。
 毎回、楽しませてくれる作品になってくれる事を期待。



『一騎当千』01.「壱」

 AT-Xで放送されていたものが、地上波に。
 塩崎雄二先生による漫画が原作(未読)。
 「三国志」をベースに、学園で格闘をメインにしたストーリーが展開する。

 パンツを「パンツ」という以上に描こうとする意志が皆無だった『エアマスター』に比べると、桁違いに気合いを入れられた色気のあるパンツが、もう結構、と言いたくなる程にサービスされた。
 逆に、主題であろうバトルのシーンでは…
戦いの組み立てに異様な程のアイディアがかけられていた『エアマスター』と比べて、この作品の戦い方はアニメとして「ごく普通」であり、目新しい要素が見あたらない。
それなりの枚数を使っており、つまらない訳ではないが。

 ヒロインの、ポジティブで おバカさんなキャラクターは楽しく、周辺のキャラ配置もハッキリしていて分かり易い。
 「三国志」という事で、学園的な群雄割拠の時代、のフリをしながら、実のところトラディショナルな「番長モノ」にも似た内容を、戦闘目的の鮮明化、強烈なライバルの登場、そして何よりバトルそのもののグレードアップによって、どこまで面白くしていけるかが勝負だろうか。

 ところで、これは「三国志」をモチーフにしているのだが、以前、『銀河英雄伝説』を学園に置き換えたパロディーを考えてね。
 帝国学園と、自由同盟高校、という二つの巨大学校勢力が激流の川を挟んで向かい合う。
 その川には、異是流論(イゼルローン)と、不栄残(フェザーン)いう橋が架かっている。
異是流論橋の途中には帝国学園側が築いた要塞ヤグラがあり、学校をサボった奴等が常に中でたむろ。自陣への侵入を阻みつつ、敵陣突入のための前線基地ともなる。
不栄残橋はそれ自体が商業地域となっており、ファーストフード店や定食屋などが狭い橋の上に軒を連ね、両校への付け届けや経済的援助によって、大きな発言権を持つ。
 そういう状況下で、両校に2人の、ケンカの天才が現れ…
 という辺りまで話した所で、聞かされていた友人は例外なく「分かった分かった」「面白いねーキミは凄いねー(抑揚無く)」という冷たい反応を示したモノなので、もう止めとくか(笑)。



『カスミン』最終話.「霞家の人々」

 キレイにまとまった…んだろう、多分。
 どうも、この作品では本筋なのであろう、鍵で扉を開いて どうこう、というのが絡んだ話に興味が持てなくて。
 各話完結バラエティー形式の中に、好みの面白い話や、狂った話(流砂に飲まれようとするカスミンを助けようとせず、ただその最期に向けてシャッターを切り続けるデジガメとか)があり、それを楽しみに見続けていたシリーズだった。
 いや、100パーセント子供向けのアニメなので、ヒネくれた視聴者に向けた話など、少ない方が正しいんだけど。

 結局カスミンが毎度間違われていた「ベチャポンテン」は画面に登場せず。
長〜い伏線として、クライマックスで使われるかと思ったんだけど。
 霧の者に追われて危機一髪のカスミンが、ベチャポンテンの群れ(笑)に遭遇し、どれが本物だか分からなくさせる事で逃げ切るとか。その姿は、実際によく似ていてもイイし、腹が立つほど似て無くても楽しい。
 最後にそれを示しておく事で、再放送を見る際、「ベチャポンテン」という言葉が出るたびに、本放送当時とはまた変わった面白さを感じさせられたのではないだろうか。


2003年10月2日 木曜日

『AVENGER』01.「DOME(ドーム)」

 第1話を作るのに大事なことは、視聴者に、この作品を見続ける事で どんな面白さを味わえるのか、を しっかりと提示する事だと思う。
 「強烈な吸引力のある主人公」「興味をそそる舞台設定」「目が覚めるようなアクション」など。
あるいは、「とにかく頑張って動かした作画」でも「萌える女の子が一杯」でも良いだろう。
 で、このアニメの第一話からは…失礼ながら、どれも感じ取る事は出来なかった。
 まるで何も無い訳ではなく、どの要素も少しずつ入っているのだが、どれを取っても水準を超えていないような。

 真下 耕一監督の作品は、前作『.hack//SIGN』も途中で見なくなってしまったし、どうも個人的に合わない事が多いらしい(昔の『ウラシマン』とか、近作でも『ポポロクロイス物語』は好き)。
 前作に引き続き、今作でも、主人公が不機嫌で陰気あり、ポジティブな魅力を振りまくタイプではない。
では その分、主人公を取り巻くキャラクターが個性豊かで見る者を引き付ける力を持たされているかというと…後々は分からないが、第1話時点では さほどでもないだろう。

 魅力のないキャラクター達が暮らす世界を、魅力的に感じさせるのは大変。
 どうやら、妙な社会システムを持つようになった世界が舞台らしい(公式ページに書いてあることは読んでおいた方が、理解しやすい。というか、読まないと1話時点では設定を理解できない)。
妙、といっても、既存のSF作品などの枠から大きく出るものではなく、どこかで見たような印象さえ。

 性格などでは魅力をアピールし辛いヒロインが、唯一 自己主張できるのであろう、戦いの演出。
 そこそこ動いてはいるのだが、彼女が凌駕して見せた相手の実力が感じ取れない事もあり、地味で、面白味に欠けるシーンになってしまった。
これをもって次回への興味を繋ぐ事は難しい。

 子供の姿を模したアンドロイド達が、作品の行く末を決めていくのだろうか。
でもアンドロイド達にも、1話では特に興味を持てないからなあ。
 最初に「だいたいこんな程度のアニメかな」と思わせておいて、回が進むに連れてスピードを乗せ、驚くような展開を見せる事で、ギャップの面白さを大きく出す方法もあると思うけど、とにかく見切れない程のアニメが放送されている現状、発端が弱い作品は厳しいと思う。
 大半のお客様は、文句を言う事さえ無く、黙って視聴リストから当該番組を消してしまうだけ。

 今の時点で、個人的に期待しているのは、シリーズ構成を きむらひでふみ先生がなさっているという事。
恐らくは、大変に考えられた設定や構成が用意されているのだろう…
 しかし、先生の前作『キディ・グレイド』では、それが上手く機能せず かえって良くない結果を生み出す事にもなってしまっており、難しい所。

 とりあえず、しばらく見続けよう。



『エアマスター』最終話.「飛べ!相川摩季」

 イキナリにもイキナリな展開で終了。
何か色々と内面にかかえているっぽい、恐ろしく強い相手は、ラストバトルの相手として悪くないけど…
 以前敗北した、ランキング内のお姉ちゃんと再戦して勝つ、あるいはまた負ける、という程度でも良かったような。
その方が まとまりよく終われたのではないかという気さえ。
 でもまあ、パワー全開の崎山香織は相変わらず 面白かったし、どこか爽やかささえ残って、悪い終わり方ではなかった。

 イロモノ格闘アニメ然として始まった今作。
 どうなる事かと思ったが、回が進むに連れてバトルのテンションも、登場キャラクターの異常性( ^_^ )もヒートアップして行き、すっかり目が離せない作品になってしまった。
 正直な所、キレイキレイな作画を見慣れた目には、「崩れ気味」と認識されてしまうような絵が散見されたが…
とにかく動く事と、視聴者を引き付ける脚本・演出のレベルの高さ(特に、メチャクチャなのにどこか説得力を感じさせるアクション!)は それを補って余りある。いや、上品にまとまろうとしなかった事が かえって噴き出すパワーに感じられ、良い結果を生み出した、とさえ感じられてしまう。

 登場キャラは どいつもコイツも強烈で、「もっと見ていたい」と思わせる奴ばかり。
特に、北枝金次郎と長戸のカップル(笑)は今後どうなっていくのか興味深い。
坂本ジュリエッタの再戦も是非見たい所だし、修行に行ったままの伸之助も これじゃ可哀想。
何より、恐らくは作者の思惑を遙かに超えた自己主張を始めている崎山香織が、もう見られないのは、寂しい。
 いや、原作を読めば良いんだけどね。
アニメで出逢った以上、アニメで再会させて欲しいとも思う。
 でも、『はじめの一歩』と違って、この お行儀の悪い( ^_^ )作品では、金曜ロードショー枠でスペシャルを放送、という訳にもいかないかなあ。

 毎回の内容に しっかりとした充実感があり、無心に次回を楽しみに出来る、面白い作品だった。
 スタッフの皆様お疲れ様でした、ありがとうございました。
 出来る事なら続編を!



 ほんの一部の身内にだけ評判が良かったので(笑)、もう一回 食玩写真。
 「FiguAx ダイナミックゲームブロック 永井豪」の半壊ゲッターロボ。


 これまた ちょっとだけ加工。
 つい手にとって眺めてしまう、ゲッター好きでも納得してしまうほどに出来が良いフィギュア。


2003年10月1日 水曜日

『スクラップド・プリンセス』23.「限りあるものの聖譚曲」

 世界を破滅に導く者・パシフィカ。
そういう彼女が生きていく「価値」を示すのに、あえて真正面から「命」や「死」を描こうとしている。
 要領よく重苦しさから逃げ回り、あるいは形式上のものとして扱う事で薄っぺらになっていくアニメが多い中、馬鹿正直に、真摯にテーマに向かう姿勢には驚かされるばかり。

 幼い頃の誕生日の夢を見るパシフィカと、彼女を守るため仲間が キャンプに近づく兵士を斬り殺す現実。
生まれた祝福と、ただ生きて行こうとするだけで周囲に及ぼす呪い。
そして、迫る翌日の、「世界を滅ぼす猛毒」に変わると言われる誕生日。
 自分は生き続けて良いのかどうか、という疑問を、また つい口にしてしまうパシフィカ。
本来、答えようのない問いかけだが、それにシャノンは簡潔に力強く「俺が許す」と返す。
望みうる最上の答えが得られた事に、パシフィカは微笑む。

 最後の時を前に、それぞれのキャラクターが「生きていく価値」と、「死さえ受け容れる理由」を、短く確かに示していく。
 莫迦な男の子であるレオが、精一杯の心遣いでパシフィカの悩みを聞こうとするが、彼女は「レオと話していると、なんだか悩んでるのがバカらしくなる」と応える。
そんな皮肉混じりの言葉にも、彼は「そうですか、それは良かったです」と心底嬉しそう。
 苦悩を打ち明けるには もの足らなく思えるレオだが、そう感じさせてしまう程の素直さと純朴さが既に彼女の苦しみを和らげている、という 持って行きようの巧さには感心。

 教会に運び込まれ、苦しむ、ピースメイカーの攻撃による被災者達。
心優しい兄・フォルシス王子は、彼らのため、上に立つ者として、重大な決断を迫られる。

 再会(初対面と言っても)する兄妹の、余りの立場の違い。
兄姉のためにも生き続けたいパシフィカと、民のために妹を、そしてその責を負って自らも殺さなければならないと追いつめられたフォルシス。

 倒れたパシフィカに駆け寄る兄姉。
いつも のほほんとしている姉・ラクウェルが見せる、驚愕と「妹を喪う」恐怖の表情に、緊迫感が高まる。

 …という所で次週、最終回に続く。
「予告の方も残すところあと32文字になって参りました」という、人を食った次回予告の締め方に爆笑。
余裕があるなあ。
 さて、この作品は どういう終わり方を見せてくれるのだろうか。



『LAST EXILE』最終話.「Resign」

 非常に色々と分かり辛い終わり方で、最初に見て不明だった部分は、見返す事と あちこちのサイトで書かれている考証を読ませてもらう事で、ほぼ理解できたと思うけれども…
 それでも、余り好きな終わり方ではなかった。
不出来だ、というのには当たらないと思うけれども、個人的には。

 クラウスとラヴィが命を賭けて超えてきたグランドストリーム。
しかし、既に仲間達の乗る戦艦群が そこで戦いを繰り広げ、ほぼ終了してさえいた。
 うーん…アルを乗せて来るという大きな意味があったのだし、父親達と同じく「ヴァンシップで」ここに来る事自体が目的だったのだ、というのは理解できるんだけど…
カタルシスには欠けてしまう。
 やっぱり、クラウスが切り開いたグランドストリーム中の「道」を、戦艦群が続いて通り抜ける事で ようやく戦いに入る事が出来た、とか。
まさかストリームを抜けてくるとは思っていなかったディルフィーネ艦隊の間隙を突く事で、戦力的には遙かに劣るソフィア達は ようやく勝利する事が出来た、とか。
ここに もっと強い意味があって欲しかった。

 ディーオの死。
 …結局、クラウス達は彼を元に戻してあげる事が出来なかったんだなあ。
迷惑をかけられただけで、これなら姉と共に死なせてやった方が まだドラマティックだったような。
 ルシオラが自らの命を投げ出して逃がしたディーオ。
その結果が この死に方で、ルシオラは(そしてルシオラの忠心と友情に溢れた戦いぶりに感動を覚えた視聴者は)満足できただろうか。
 もしかすると彼の死を、クラウス達は知ってさえ居ない という扱われ方なのだが。
それも含めて「悲劇」と考えるべきなのかな。

 ディルフィーネの最期。
これも、かつて 死に行こうとする自分たちをあざ笑って見ていた彼女に復讐してやりたい、という気持ちが人生の糧となっていたアレックスに取っては、自らの手で絞め殺てやった訳で 満足だったのかも知れないが、その「満足」「人生の目的の達成」が、クラウス達と同じく、そしてディーオの死と並んで、ドラマに大きな影響を与えていない。
 ディルフィーネが居なくなった事によって大きく戦力を落とした艦を、ソフィアはようやく撃破する、といった形になっていれば良いが、見たところ、どのみち艦は沈む運命にあり、彼女はどうせそこで死んだのだろう、と思えて。

 ちょっと唐突だったけれども予想通りモランは生きており、結婚して子供まで作っていた様子なのは、嬉しい救い。
 皆がその後どうなったのか、を、時間を取って見せるエピローグ。
ブチ切れたようにイキナリ終わる最終回でなかったため、好印象を持って見る事が出来た。

 CGを駆使した戦闘場面は毎回、重量やスケールを感じさせてくれ、空間の広がりも演出できており、非常に見応えがあった。
 物語に面白い部分が多く、キャラにも それぞれ輝く瞬間があり、決して悪いアニメではない、出来としては 良い作品と言えると思う。
 ……でも、この最後に来ての展開が胸にしっくり来るものではなかったため、「凄く良かった」とまでは言えない。
なんとなく見ていては、あのラストで起きた事は理解不可能だったろうし。
 何にせよ、キレイに締めるのは難しい、と思うんだけども。


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