2004年6月30日 水曜日 |
『爆裂天使』13.「血戦!浪速愚連隊」
大阪三部作、完結。
お土地柄を活かし、「籠城線は大阪夏の陣以来のお家芸や!」というセリフや、弾き飛ばされ道頓堀グリコの看板に「一粒300メートル」と同じポーズで張り付くロボット、巨大カニ看板を用いての逆襲など、笑わせた上に物語に勢いを付けるネタを仕込んだ作りが上手く、面白く見られた。
前回、妙な事を口走りながら敵に突っ込んでいったオッサン、死んだんだなあ。
「あー、死ぬかと思ぅたで」などと言い頭を掻きつつ帰ってきても構わないぐらいのリアリティーだと思うが。
この「死」をタメとして、クライマックスで関西弁少女刑事の超人的大アクションに繋げ、カタルシスを生み出しているので、悪い事など何も無いけど。
だんじり祭りの勢い。
毎年 家の軒先を壊されながら文句を言わない大阪人の心意気。
しかし、巨大ロボットに踏みつぶされてはかなわない(笑)。
気合いでロボットの足を押し戻そうとする、『じゃりン子チエ』テツのような(名前もテツ?)大馬鹿オヤジがおかしい。
「この街を自分らで守るんや!」という考え方は、他のどの都市でのドラマでも「そんな風に思うかなあ?」と疑問に感じてしまいそうだが、こと大阪だと納得できてしまうのが不思議。
この三部作で付いた勢いを、シリーズ後半でも活かして欲しい所。
いっそ、メグをリストラして、大阪少女をチームにスカウトしてはどうか。
ジョウと張り合い、しかし互いに認め合いつつ事件に臨む、という構成の方が面白く出来そうに思うんだけど。
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2004年6月29日 火曜日 |
『LOVE・LOVE?』最終話.「嵐の中で輝いて」
三部作、堂々の完結。
単に可愛い女の子達に囲まれた主人公が、取り立てて理由もなくモテモテで困っちゃう〜願望充足型アニメかと思ったが……
大きなヒネり。
主人公が、製作されている特撮番組の原作者、という事で、出演者の女の子達にとって彼の好意を得られれば利益が生じる関係である。
そして、女の子達は、そういう認識の元に行動している。
テーマになっている「萌え」を帳消しにしてしまいそうな危うい綱渡りで、どうなる事かと思ったが、ポジティブな方向への昇華で何だか上手く誤魔化されてしまったような。
いや本当、上手いんだけど。
最終話。
打ち切りになった番組の再開を呼びかけるべく、屋外ステージでのイベントが開催される。
作品内理解として、主演した女の子達の際どいコスチュームや倒錯的なシチュエイションが売りの特撮番組…だったのだと思う。
イロモノ番組という評価しか得られていなかったんだろうが、それでも、出演者や制作スタッフは作品に対し、情熱も愛情も抱いている。
それは何だか実感的によく分かり過ぎてしまい、泣けそうに。
そいでもって、雨に祟られたイベント・ステージで、ずぶ濡れになり、観客も居ないまま歌い出すヒロイン達の元へと、雨上がりと共に番組を応援するファン達が大挙して押し寄せ、放送再開を求める大きなエールを送……らない。
結局、ファンなど一人も やって来ないのだ。
雨が降ってるし、面倒臭いし、そうまでして再開を求めたい番組でもないしー。
客は、シビア。
夢のような「萌え」の中に、苦い「リアル」を持ち込んできた この作品。
男の子がモテるには、理由がある。
女の子達が頑張っていようと何だろうと、視聴者は、面倒臭いのを押して雨の中
出掛けるだけの理由がなければ、来てくれない。
それが、「リアル」。
結局は番組が再開される事になるのだが、それは必ずしもヒロイン達の頑張りによる物では、ないと思う。
それも、無くてはならないモノであったろうが、それだけでは現実は動かない。
放映されているイベントの様子を見守っているのは、番組に関わった人間ばかり。
一般ファンの姿など、その中に無い。
この辺りの捉え方が、実に「シビア」。
そういった、夢と現実を織り交ぜるサジ加減が面白いシリーズだったと思う。
3シリーズで一つの話になる変則的な構成で、それぞれが補完しあっている……とはいえ、短さ故に物足りない所も色々とあった。
それでも、安定した作画で出来る限りサービスをしようとする姿勢といい、見ていて飽きない作品であったのは確か。
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2004年6月28日 月曜日 |
『真月譚 月姫』10.「朱の紅月」
相当な年月を生きてきたはずのアルクェイドが、余りにもフツーの世間知らず
お姉ちゃんのような行動を取るのに違和感を覚えてきたが、生きた期間そのものは長くても、ほとんどは眠って過ごしていた訳か。
起きて活動した総時間は、見た目の年齢時間と そう変わらない?
それにしても、彼女が主人公に惹かれていく理由付けは弱い気がするけど。
吸血鬼として他者の犠牲の上に生きていく事に、痛みを感じ続けていたアルクェイド。
いつしか死による解放を求め始める。
しかし最強の力を持ち不死身の彼女を「楽」にして上げられる者など居らず。
そんな時に出逢い、渇望していた「死」へと限りなく近付け、いつか本当に殺してさえくれるかも知れない希望を抱かせたのが主人公。
しかし彼は同時に、アルクェイドの心の中に「生きる喜び」をも生じさせていた。
……といったフクザツさが細やかに描き出せていると、もっと とてつもなく魅力的なキャラクターに出来たと思うんだけど。
今のところやっぱり、「世間知らずの お姉ちゃん」以上ではないなあ。
シエルの秘密をペラペラと喋ってしまうアルクェイド。
てっきりシエルは、ヴァチカン第13課イスカリオテ機関所属(笑)だと思っていたのだが。
かつてロアの宿主だった…と言われても、余りにも唐突で。
なのに、驚くほどアッサリとそれを受け入れてしまう主人公。
ちょっとは疑問とか混乱を表せよ!
謎を明かす前には、伏線とかタメとか必要だと思う…
これなら、「実はシエルはロアが死体をつなぎ合わせて作り出したフランケンシュタイン」でも「闇の生物を抹殺すべく、神が送り込んできた天使」でも、同じぐらいの物語中説得力があり、同じくらいに唐突で受け入れ難いだろう。
『火の鳥』最終話.「未来編 2」
全体に、酷くつまらなかったり出来が悪かったりした訳ではないが、原作を超える面白さを発揮する事もなかったアニメ。
話数の都合でやむを得なかったにせよ、原作の印象深かったエピソードをバサバサと、特に意図を感じられない形でカットしてあるのが目に付き、素直に楽しめなかった事も多々。
今、『火の鳥』をアニメにする、という事に、製作者自身が意味を見いだせてないのでは?
『ボトムズ』『レイズナー』など、近年はともかく過去には傑作を生み出してきた高橋
良輔監督の最新作、という事で、個人的に特別の期待もあったのだが…
それはそれとして。
この最終話を見ながら思った事。
不死の(不老、ではないようだが)体を持つマサトが、有機物の塊としての自分を惑星上に投げ出し、それが分解し分裂して
やがて数多くの命となり、ついには現在の我々に到ったとするなら。
我々も皆、「不死のマサト」の一部。
千々に分かれた細胞の一片としては、いずれ寿命を迎えて形を崩してしまう時が来るが、分け与えられた
その命は、元の大きな「マサト」の中へと還るだけで、やっぱり「不死」なのかも。
そう考えると、死さえ超えていけるような、やっぱりイヤなような(笑)。
『せんせいのお時間』最終話.「夏・湘南・さよならは言わないでの巻」
格別に構える事もないまま、何となく終わってしまった。
こちらの姿勢としても、構えたり熱中したりする事はなく、何とな〜く見ていたモノなので、この終わり方は実に腑に落ちる。
『あずまんが』の先生達も相当に先生っぽくなかったが、そんなモノより桁違いに先生っぽくない、というよりまるっきり幼児の
みか先生が取るリアクションが、時折ツボで笑ってしまった。
DVDを買い揃えたり、続編を熱望したり、という対象ではないけれども、再度アニメ化される事があったら、また何とな〜く見てしまうんだろうな。
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2004年6月27日 日曜日 |
レンタルで映画『フォン・ブース』を見る。
監督は、『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』から『セント・エルモス・ファイアー』『依頼人』『8mm』まで、何でも撮ってしまう職人監督ジョエル・シューマカー。
電話ボックスを舞台とする限定サスペンス劇、という題材に興味があり、ショウビズなどで紹介されてから
ずっと見たいと思っていたもの。
ロードショウでは見逃したが、ようやく見られた。
うん、なかなか面白い。
企画・脚本の力が大きいかな。
危機的状況を次々と設け、画面的には さしたる変化も起こさないままで、最後まで物語を引っ張っていく手腕は見事。
主演のコリン・ファレルの熱演も素晴らしい。
何しろ電話の相手である犯人は姿を見せないため、ほとんど彼の表情や演技で画面を持たせなければならないのだから。
ラスト、自分を覆っていた鎧を全て剥がされた彼が、隠すことなく内面の全てを吐露する所など、感動的ですら、ある。
難点としては。
大事に至る取っ掛かり、最初に電話を受けた時の対応が、ちょっと弱く感じられる事。
切ってしまえばそれまでじゃないか、と思えて。もっとも、切ったら殺されていたのだろうが。
全体的に緊張感が、僅かに不足して感じられたのも残念。
メイキング・オブを見ると、この映画は10日間というハイ・スピードで撮影されたそうだ。
それが故…という訳ではないかも知れないが、カット割りや演出、役者の演技などに
ほんの少しの緩み、選択する余地の不足、のようなものが出てしまっているような。
笑福亭鶴瓶によく似ている黒人警官、フォレスト・ウィテカーが余りにも「善い人」然としており、彼が出て以降は見ている側に、「もう大丈夫だろう」という気持ちを生じさせてしまうのも拙い。
…「もっと、もっと」を言い出すと果てはないが、ラストシーンまで画面から目を離させない緊迫感があるのは確かで、娯楽作として見るに十分な中身と言える。
スケールダウンし、シナリオを撮影可能な規模に直せば、アマチュア映画としても撮れただろう題材だなあ。
『CUBE』でも思ったけど、大金を掛けなくても、アイディア次第では面白い映画が作れる。
『デイ・アフター・トゥモロー』のように、とにかく巨大なスケール・莫大な制作費を費やした画面で、見る者を圧倒する映画も好きだけど、それ以前の段階に全力を投入して作る映画も、大好きだ。
優れたアイディアや それを面白くまとめる脚本力というものは、お金さえかければ出てくる、ってモノではないので、どちらの方向の映画を作るのが
より難しいのかは、意見が分かれるだろう所。
『それいけ!ズッコケ三人組』13.「ズッコケ大追跡!怪盗Xを追え !!」
やっぱり怪盗らしく、どんな姿にでも変装できるんだ、X。
だとすると、前回 変装した刑事の姿がリサーチ不足でいい加減なモノになっていた、その盗みに対する不誠実さは、責められてしかるべき(笑)。
今回は、「ちびっ子探偵モノ」としてのアイディアが そこココに見られ、結構楽しめた。
Xからの電話を録音するハカセ、それを見越しているX、あくまでトボケて逆探知までの時間を稼ごうとするハカセ…という丁々発止のやり取りなど。
Xが余りにも いい人過ぎるので どうしても緊張感には欠けてしまうが、かといって対象年齢を考えると、子供を殺す事さえ何とも思わない凶悪犯罪者を好敵手扱いする訳にも行かないだろうし、難しい所。
今回で終わらなかった、という事は、このアニメは最低でも2クール、26話ぐらいは放送する予定なのか。
友情・努力・勝利の描き方は裏の『ガッシュベル』の方が強烈だと思うが、オタク層はともかく、子供達の反応は
どうなんだろう?
生徒会長選のように、子供達の生活に根ざした力強いメッセージを含むドラマを作るなら価値はあるが、「事件」メインで
しかも原作を30分で消化するためであろう細やかさの不足が見えるとなると、ちょっと厳しくなってしまうような……
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2004年6月26日 土曜日 |
『北へ。〜Diamond Dust Drops〜』12.「ダイヤモンド ダスト ドロップス」
登場した女の子達が その後どうなったか、を描く後日談。
とは言っても、大抵のキャラクターについては放送された自エピソードの中で完結しているため、まあ「オマケ」ぐらいの扱い。
映研所属の朝比奈は、まだ挫けず映画を撮ろうとしているようで、安心。
部員達への対応が、反省を経る前の厳しさに戻っていて、これじゃまた孤立するんじゃないかとか思ったり。
アニメで作る意味、というモノを余り強力に打ち出さない、実写ドラマとして撮られていても不思議無い内容が多かったシリーズ。
シナリオの完成度はかなり高く、毎回きっちりとしたストーリーを見せてくれた。
北の地を舞台にしている意味を、何とか物語に絡ませようとする努力も、評価に値する。
が…とにかく地味なので、見てみれば面白くは感じられると思うが、良くも悪くも「絶対に見なければならない理由」というようなモノに欠けてしまう。
恐らくは「そういう作品を作る事」が製作者の第一目標だったのだろうから、それは完璧に達成できているけれども。
『KURAU Phantom Memory』01.「広い世界へ…」
前半15分は、月面での日常、実験中の事故、乗っ取られてしまった娘・クラウと父親の、葛藤と交流を描いた。
物語は このまま静かに進行し、人とは異質の生き物(エネルギー生命体?)でありながら、少女の体に入り、その記憶と思考形態を受け継ぐ事で「人間側」に引き寄せられる事になった「モノ」と父親との生活を、『フィギュア17』のように描いていくものかと予想したが……
いきなり、「10年後」に話はスッ飛び、成長したクラウは自らの体能力を最大限に活かせる危険な何でも屋稼業に就いていた…という所を見せられ、コケる。
いや、襲来したロボットに乗っかったクラウのアクションなど、面白く演出できていたとは思うんだけど。
こういう話にするのなら、経緯の説明である前半部は後回しにして、30分丸ごと大人クラウのバトルアクションで始める、という手もあったと思うが……ただ、そうすると本当によくある「美少女凄腕 何でも屋モノ」になってしまい、『MEZZO』や『爆裂天使』などと差別化が図れなくなってしまうか。
考えられる、独自の見所は…
少女の体に閉じこめられた異生物の「異質さ」と「人間性」。
消失した(?)オリジナル・クラウの行方と復活時期。
娘を心配し、異生物を忌避しつつ、クラウの姿をした異生物の「クラウらしさ」に父性愛を呼び起こされ、心を引き裂かれてゆく父親。
対になって存在するらしい異生物の片割れのキャラクター性と、その登場後、各キャラクターに生じるであろう変化。
後はまあ、各話で見せる事件のバラエティー性かな。
まだ面白くなるとも何とも言えないが、先行きを期待して、視聴継続。
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2004年6月25日 金曜日 |
レンタルで映画『バッドボーイズ 2バッド』を見る。
『ザ・ロック』『アルマゲドン』『パール・ハーバー』のマイケル・ベイ監督作品。
『デイ・アフター・トゥモロー』ローランド・エメリッヒ監督と似た傾向の、とにかくハデな見せ場を連ねた映画を撮るベイだが、両者の違う所は、エメリッヒが一応はテーマやストーリーを描こうとするのに対し、マイケル・ベイは そんなモノにこだわっている様子が無く、内容が非常に…良く言うと軽やか、悪く言うと「全く何も無い」作品に仕上がっているケースが多い事。
気持ち良い「何も無さ」が発揮できている時は、大衆娯楽作品として一級の映画になる。
『ザ・ロック』『アルマゲドン』、そして『バッドボーイズ』の1作目も そう。
しかし、生理的に苛つくような描写を含む「何も無さ」が現れてきてしまうと、途端に三流の映画に堕ちてしまう。
『パール・ハーバー』や、この『バッドボーイズ 2バッド』が そうだ。
語るべき何物かが映画中に表されているなら、それを巡ってどうだこうだと言う事が出来るけど、何しろスカーンと何も無いモノで、評価はもう「好き・嫌い」や「派手で良かった・もう飽きた」という基準以上には行かない。
そういう評価として、今回の映画は ちと弱い。
アクションシーンだけなら、一作目を大きく上回るスケールで、大金を投入したのであろう銃撃戦やカーチェイスや爆発が切れ目なく見られるのだが。
それらを繋ぐストーリーが弱すぎ。
アクションだけ先に撮って、その間を適当なストーリーで繋いだようにさえ見えてしまう。
まあ、そんなのは いつもの事と言えばそうなんだけど(笑)。
特に終盤、救出作戦に入ってからは、無理矢理引き延ばして 何とか派手なシーンを挿入しようとしているようで、上映時間が147分と長い事もあり、集中力が途切れがち。
キャラクターに面白い所はあるし、死体を使った悪趣味なギャグにも笑ったが。
もう一度見たいかと言われると、そうでもない。
あと少しだけでも、アクションに必然性を持たせて欲しかった所。
この映画は、劇場の大スクリーンで、大音響に圧倒されつつ見てナンボなのだろう。
小さなテレビで、ボリュームを抑えつつ見ても、狙ったのであろう演出意図の半分も受け取れない。
決して嫌いな監督ではないので、次回作は やっぱり映画館で見たいかな。
『銀河鉄道物語』最終話.「遥かなる想い」
うーん…この作品のクライマックスに期待していたのは、装備した砲を撃ちまくりながら列車が敵に突っ込んでいくような描写だったかなあ……
などと ちょっと引いた所から内容を見てしまったのは、通常放送と、この最終2話が放送されるまでに
かなりのブランクがあったから、か?
実際、以前の話を忘れかけていて、このキャラは何故こんな所に?とか、敵は誰?とか、基本的な所から記憶が怪しくなった状態での鑑賞になってしまった。
この変則的な放送形態のお陰で、スタッフが視聴者に受け取って欲しかったのであろうメッセージや感動の、半分も伝わらなかったと思う。
途中には かなり面白いエピソードもあり、松本 零士調・熱い男の世界が展開できていただけに、こんな理由で作品評価を下げなければならないのは残念。
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2004年6月24日 木曜日 |
『爆裂天使』12.「通天閣は涙に濡れて」
大阪の汎用イメージ(偏見?)に乗っ取った、関西弁刑事(正確には刑事じゃないみたいだが)の大活躍。
漫画『こち亀』でも、こんな刑事達、出ていたな。少女刑事が中心になっているのも同じ。
正味の話、前回・今回と、先行きに期待を持っていた第一話以来じゃないかと思うが、「面白い」と感じている。
ゲストキャラが生きていると、それと絡むレギュラーも生き生きとしてきて。
前回、ジョウが依頼主と対面、女かと侮られ依頼を反古にされかかる、そこで天井裏に潜む賊に銃撃、実力を示す事で依頼主に見直される、という、「何でも屋」物の基本パターンではあるが これまでは全く気を遣っていなかった部分を抑えて見せてくれた。
繰り返すけど、コレは別に凄い事ではなく、基本。
この上に応用を積み重ねて作品を作って行くもの。
足元が不安定で非常にバランスが悪いアニメになっていたため、遅まきながらも
そこを固めようという姿勢が見られるようになったのは、喜ばしい。
男前だの何だの喚き散らしながら敵に突っ込んでいくオッサン刑事に、大笑い。
悪ノリであっても、「ノリ」が感じられるようになったのは結構。
これまでのように、無理に事件を起こし、無理にキャラを動かして対応して行くのではなく、いくらかでも「自分の意志で動いている」所が見えれば、グッと面白くなる内容であり、キャラも輝きを放つようになるのではないかと思う。
次回、関西三部作完結編(?)に期待。
東京に戻ってからも、このノリは失わないで欲しいな。
『鉄人28号』12.「ブラック博士の憂鬱」
珍しく一話だけで完結した話であり、戦争の傷跡、という事でまとまってもいたが……
「戦争」というテーマが余りにも強烈なため、どのエピソードも似通った印象になってしまってるような。
前回のように、焼け付く宇宙への憧れを描くなどして、傷跡パターンから踏み出していく部分があればイメージが
かなり変わるんだけど。
映画『デイ・アフター・トゥモロー』を見る。
『ユニバーサル・ソルジャー』『インデペンデンス・デイ』『Godzilla』など、いかにもハリウッド・エンターテイメントでございといった体裁の映画を作り続ける所がお気に入りの、ローランド・エメリッヒ監督作品(本人は西ドイツ出身)。
事前に聞かされていた通り、人間のドラマは弱い。
父と子の絆、が主軸になっているのだが、大した葛藤がある訳で無し。
何も出来ないほど小さくはない息子が、ただただ親父を信じて待ち続けるだけ、って行動を取るのもどうか。
親父と、仕事上の部下二人。
この信頼関係がもっと描けていれば、非常事態下で発揮する友情に説得力が出せていたかと。
自らの職務に殉じる老学者と職員達も、同じく。
息子と彼女、その友達と、クイズ会でのライバル。
この辺りも、もう少し深い所が見たかった。
ガールフレンドの純真さ、線の細さは、なかなかに好みだったけれども( ^_^ )。
しかし、実際の所、この映画にとって人間の彫り込みなど大して重要視されていないのはあきらか。
高度に進化したCGを用いて、圧倒的なイメージで展開される巨大災害、それこそが描きたい物の全て。
その出来は素晴らしく、竜巻、津波、寒冷化からオオカミ(笑)まで、手を変え品を変え襲ってくる事態の面白さに、画面へと釘付けにさせられる。
でもアレだねえ、ローランド・エメリッヒ。
『インデペンデンス・デイ』では、ビルの谷間をエイリアンの超兵器攻撃による爆発火炎が押し寄せてきて車がバンバン跳ね上げられるシーンを見せ、『Godzilla』では、ビルの谷間を走ってくるゴジラに車がバンバン跳ね上げられるシーンを、この『デイ・アフター・トゥモロー』では大津波で車がバンバン(以下略)
お前はそればっかりか!(笑)好きだけど。
凄まじい寒冷波の襲来だって、ドアを閉めたら割と大丈夫でした、って脳天気気味の描き方など、どうか。
同じく大災害が日本を襲う『日本沈没』では、愛する(までは行ってない?)女性と離ればなれになった主人公が取る行動は、ひたすら彼女を捜し求める、ではなく、沈み行く国土に最後まで残って人々を助ける、という「公」なものだった。
『デイ・アフター…』の場合、とにかく家族の絆こそ至上。
世界が大変な時だけど自分の仕事は放り出し、仲間が少々犠牲になっても、家族を守ろう、ってのがハリウッド(アメリカ?)的常識だから、仕方ないのかな。
『日本沈没』は、国宝級の品物を各国要人に献上し、ゴキゲンを取って、何とか日本人避難民を受け入れてもらおうと必死だった。
アメリカは、「お前ら途上国の債務をチャラにしてやるから、それでイイだろ」という尊大な態度で受け入れを交渉。
気楽なもんだな、オイ。
各国国土に溶け込み、子供を残す事で どうにか「日本人」の血を残したい、とする悲壮な『日本…』と比べ、『デイ…』は、ちゃっかりメキシコに臨時アメリカ政府を置いて、終いには国を乗っ取りかねない図々しさ。
双方で目指す方向が違うのは分かっているし、そういうアメ公の お気楽さも、決して嫌いではないが。
そういえば『日本沈没』もリメイクの話があったんだっけ。
『デイ…』までは無理でも、進歩したCGを用いてスペクタクルを強化し、何よりも現代の国際状況を踏まえてリアルにシミュレートするなら、面白くできるのかも。
……いや、今 作ると やっぱり家族愛とか、その辺りに重きを置く映画になってしまうかな。
話が脱線。
とにかく、大画面で見て初めて価値が生じるイベント・ムービーとしては、なかなか良い出来だったと思う。
可能なら、可動するイスに座り、画面内容に応じて客席に水しぶきを吹きかけてきたり冷やしたり、という場内イベント込みで見られれば、最も楽しめたはず。
どこかテーマパークに新アトラクションが出来ないかな。
最後には場内にタンカーの舳先が突っ込んでくるようなヤツ。
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2004年6月23日 水曜日 |
『ウルトラQ〜dark fantasy〜』12.「夢みる石」
う〜ん、『クレしん・オトナ帝国』?
大人が子供に返る事に、本人達にとってだけでも深い満足や幸福感が描かれていないと、そもそも子供の姿へと変えてしまう事に余り意味がないような。
無責任な子供時代に戻れる幸せと、責任は重いが大人になる幸せ、この間の葛藤があれば…いや、それだと
まるっきり『オトナ帝国』か。
現実の子供達をカットして、ジジババばかりの村から村人が消えていく、という風にすると、映画『トワイライトゾーン』か、『コクーン』になるなあ。
口からウネウネした物を出してくるオジサンは、『ヒドゥン』?
ちょっと不気味なイメージとか良い所もあったけど、見終わってみると内容がほとんど記憶に残っていない。
もう少し内容を詰めるか、あと一捻りあれば…と思ってしまう話だった。
『花右京メイド隊 La Verite』
11.「強行突破」
先代当主、花右京北斎邸を強襲する太郎たち一行。
キャラ表とは違うかなー、と思いつつも とにかく驚異的な頑張りを発揮した作画には、圧倒されるばかり。
テレビで見せるレベルを超えてる。
ゆらりと体を倒し、床と並行になる所まで行った時点で足を踏み出して、神速の居合いを見せるコノヱ。
赤色王旗を相手取り、自分よりもコノヱの誇りを守るために、決死の戦いぶりを見せる八島。
この二人が作画の華か。
圧倒的な強さで迫る姉に対し、気圧されるコノヱを、命を賭けて示した信頼の情で勇気づける八島が素晴らしい。
今回のアニメ化で、最も印象に残るキャラクターになったのは彼女だろう。
太郎を想いつつ、彼がマリエルと共にある事だけは認めるリュウカの健気さにホロリ。
リュウカに対し、太郎からもらった変な形のイヤリング(小道具の使い方、巧いなあ)を見せつけた後、「戦友」として思いを共有すべく
その片方を投げ渡すイクヨもいい。
グレースらエレベーターホール居残り組は、もうちょっと活躍させても良かったように思うけど…まあ、時間的制約がある事だし、やむを得ないかな。
慈悲王家の飛行船(飛空挺?)に乗るシズカが一瞬見られたのは、嬉しいオマケ。
オリジナル要素を巧く絡めた脚本、細かな所まで神経を配った演出など、シリーズのクライマックスを飾るにふさわしい完成度の高い話だった。
最終話.「本当の笑顔」
壮絶な盛り上がりを見せた前回からすると、拍子抜けするほど日常な話。
でも、それで良いのだと思う。
この作品は、「メイド達と過ごす、シンドイけど楽しい毎日」を描くのが主眼。
その魅力を増すためのアクセントとして前回のようなテンションの高い話が存在している、と考えても、酷い間違いではあるまい。
潔く身を引いた……と思ったリュウカが、再度 太郎に迫ったのは意外。
慈悲王家を正統に継ぎ、更なる隆盛を目指すと誓いつつ、太郎に別れの言葉を呟く…というように「男前」な終わり方をさせて上げても良かったような。
いや、諦めの悪い お馬鹿さんリュウカも、それはそれでコメディーとしては悪くないけど。
いくらでも続編が作れる終わり方だな。
全体に。
不満な所も無い訳ではないが、かなり頑張って、原作の精神を忠実に再現しようとしたアニメだったと思う。
オリジナル要素の出来にしても悪くなく、世界を広げる役に立っている事が多かった。
安定して作画が良かったのは嬉しい所。
このレベルをキープ出来るなら、もう一シーズン、続編を期待したい。
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2004年6月22日 火曜日 |
『GANTZ〜the first stage〜』最終話.「死んで下ちい」
問題になるシーンをバサバサとカットした結果、話数が詰まってしまい、11話で終わる変則的なシリーズになってしまった。
放送開始当初はアラばかりが目に付いたが、次第に…強力な原作の魅力に寄る所が大きいのは当然だが、それなりの面白さを醸し出せていたのではないかと思う。
田中星人エピソードでは、あちこち結構 迫力のある場面を作れていたし。
もっと規制の緩い場所で、あるいは厳しい規制をかいくぐる したたかさをスタッフが持ち得た状況下で、安定した作画の元、作られていたなら、このアニメへの評価はずっと上がっていただろう。
原作自身がそうなのだから当然ではあるが、アニメも全くの未完。
「何となく終わったっぽい雰囲気」にすらしていない。
独特の緊張感と、予想と食い違う「変」な展開が売りの作品だったので、必ずしも納得のいく結末が求められている訳ではないけれども。
タイトルの「the first stage」という文句からすると、今回の放送が好調であればsecond
stageを製作する予定もアリ?
しかし……そこまでするほど視聴者の心を掴めていたかどうかは、疑問。
あらゆる意味で、原作を超える内容になっては いなかったからなあ。
昨日、大雨の中、ヨメと買い物に外出。
風が強いからと、二人とも新しい頑丈そうな傘を下ろしたのだが、予想を遙かに超える大風の前には脆く、一撃で骨が曲げられ繋ぎ目を壊されてしまった。
新品が、一日でボロ傘に(泣)。
こんな事なら最初から、捨ててもいいようなボロ傘で行けば良かったぁ〜…今更、後の祭り。
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2004年6月21日 月曜日 |
スカパー!放送時に録画しておいたOVA『破邪大星ダンガイオー』を、01.「クロス・ファイト!!」02.「涙のスパイラルナックル」03.「復讐鬼ギル・バーグ」と続けて見る。
発表当時 見ただけなので、87年に出された一巻目については ほぼ17年ぶりの鑑賞になる。
ああ、意外に面白い。
初見当時は、とにかく主人公ロボット・ダンガイオーが弱く、アクションに爽快感を感じられない事を不満に感じていたように思う。
今見ると…いや、今見ても、宇宙最強のロボットという売り文句にしてはダンガイオーが強くないんだけど(OP並の無敵さが本編でも見たかった)、苦心の末に勝つ構成が破綻している訳でもなく、要は、当時自分が求めていたモノと、作品内で表されたモノとの間に開きがあった事が不満を生んだ原因か。
同時期(88年から)に発表された『トップをねらえ!』での、ガンバスターの圧倒的な強さをこそ、求めていたので。
名前以外の記憶を持たない3人の少女と男の子が、襲いかかってくる武装ロボット群を訳も分からず倒しながら、何者かのメッセージに従い、迫る自爆時間までに基地からの脱出を計る。
導入部の構成はとにかく良く出来ていて、感心させられた。
説明抜き、強力な危機感のみで有無を言わせず客を物語内に取り込んでしまう手法は、当時、アニメーションとして
かなり画期的なモノではなかったか。
強大な武力を有する宇宙海賊・バンカーが敵。
ストーリーは、それらとの戦いと、4人が記憶を取り戻していく過程で起こる因縁のドラマが、牽引力となる。
取り立てて「謎」などの仕掛けはなく、誰でも見ればすぐ分かるスッキリとした構成。
当時はその引っかかりの弱さが不満だったかも知れないが、今見ると、「策士、策に溺れる」事例を多く生んでしまった凝りすぎの設定や仕掛けが無い分、作画の良さと各話の趣向を純粋に楽しめ、ストレス無く見られて結構、とさえ思えてしまう。
ミア・アリスの地球での過去、パイがバンカーに抱く思い、など、描き込めば物語に深みを与えただろう要素が軽く扱われているのは不満。
全3話のOVAでは、時間的制約から やむを得ない所かな。
バンカー内での地位を昇っていく復習鬼・ギル・バーグは、もっと話数があれば更に面白くなったキャラクターだろう。
最後には、大船長を殺してバンカーを乗っ取る事すら企みそうだし。
作品として、「第一部・完」で終わっており、しかもダンガイオーが再起不能になる悲惨なラストシーンのため、見終えてのフラストレーションは
かなりなモノ。
やっぱり、きちんと終わっていないと、一本の作品としての評価は し辛い。
一応はその続編が、テレビシリーズの『破邪巨星Gダンガイオー』だ、という事になっているのだろうが。これまた未完なのは因縁めいてるな。
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2004年6月20日 日曜日 |
『それいけ!ズッコケ三人組』12.「ズッコケダイエット講座」
太りすぎのモーちゃんを心配しての、ダイエット作戦。
まあ、だいたい予想通りに お話は進むんだけど、後半出てくる怪しげなダイエットスクールだけはパターン外れ。
そこに通う事で見る見る痩せていくモーちゃん、という事なので、てっきり薬物投与でも行っているのかと思ったが(子供向け子供向け)、イメージ療法と満腹感を得られるクッキーの併用、といった割にフツーのダイエット法で、拍子抜け。
栄養素のない満腹クッキーを悪者のように言ってたけど、強い効き目があるなら、欲しいと思う人、多いんじゃなかろうか。
通常の食事量を半分程度に抑え、空腹感をそのクッキーで満たせば良い訳で、取り立てて問題があるとは思えない……劇中では、ダイエットスクールに警察の捜査が入ると言ってたが。
生徒への指導に不十分な部分があったにせよ、警察沙汰にする程?
素直に効果が出る子供と違い、どうしてもクッキー以外の食べ物を求めてしまう大人の生徒達に対しては、やっぱり精神汚染と薬物投与をやってたとか(笑)?
これだけ効果のあるスクールなら、授業料もそれなりに取ると思うんだが、そのお金はどうやって工面していたんだろう。
まあ、そんなリアルに考える作品じゃないかな。
「欠点も含めて個性」なのは確かだけど、過度の肥満は病気の原因にもなってしまうので、個人の自由、と放置するのが本当の友情なのかどうか。
結局、「太っている方がモーちゃんらしい」という無責任な認識で物語を終えてしまったが、もう少しテーマへの斬り込みが見たかった所。
『真月譚 月姫 』09.「死。」
うーん…とにかく唐突で。
前回、秋葉の髪が赤く染まっていたのも、今回、実は主人公宅は元々3人兄妹だったと言われるのも、余りに唐突。
だから、「なるほど、そうだったのか」等とは感じようもなく、急に作り出された設定にすら思えてしまう。
主人公は昔、兄弟を殺していた?
……と言われても。
ここは、衝撃を受けるべき真相なんだろうけど、第一話でアルクェイドを殺した事に現在まで何のフォローも成されていない訳で、主人公を感情移入対象とは
まるで思っていないから、どんな過去があろうと、驚くには到らない。
見ていると、「謎」にしようという意図がある部分、「まだ説明をしていないだけ」の部分、「構成や演出が下手なので意味不明になってしまった」部分、これらが整理もなく全体に播かれているため、非常に分かり辛く、物語に入り込めない。
かなり複雑で繊細な内容の原作ゲームだと想像するので、一本のアニメにまとめ上げるのは大変だったろうが。
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2004年6月19日 土曜日 |
『MADLAX』11.「異国 -object-」
ここしばらく、中核に斬り込むための前段階、というより、油断すると すぐ終わってしまう程度のストーリーを長持ちさせるように、回りくどく、余分なエピソードを出来る限り挟みながら、語られているような印象。
キャラクターが面白ければ それでも見ていられるのだが、電波お嬢様・変わり者メイドの愉快コンビが全面に出てこないと、他はあんまり…
『ウルトラQ〜dark fantasy〜』11.「トーテムの眼」
どんな願いでも三つ叶えるが、その代償はとてつもなく高く付く、という、「悪魔との契約」「猿の手」パターンのお話。
古典的題材を無難に料理してあるため、斬新さやオリジナリティーなど望むべくもないものの、破綻は無く
まとめられていた。
最後の願い、映像的にはもっとインパクトを大きく出来たと思うが…
還ってきた姿が余りにも大人しいモノだったので、さほど恐ろしくなく、かといって哀しさの盛り上げも足らずで、中途半端になってしまった。
この辺りを上品な処理にしてしまう辺りが「ウルトラQ」テイストだと言われると、そうかも知れないけれど。
オチである、深刻さのカケラもないアホ女子高生が馬鹿な願いを口にする所は、面白かった。
いっそ、呪いの力を脳天気なパワーで跳ね返してしまう女子高生をヒロインに据えた話にすれば、オリジナリティーが出せたかも。
人間が居るからこそ存在意義を持つトーテムが、ヒロインの「試しに人類を絶滅させて」「いたずらに宇宙を消滅させて」などという無茶苦茶な願いに対し、音を上げてしまって、「そんな生き方でいいのか!」「発作的にではなく、よく考えてから願いを言え!」と意見するとか(笑)。
『恋風』最終話.「陽炎」
実にこの作品らしい、派手さが無い、地味で じわっと染みてくる最終回。
鈍感な親父と違い、僅かの時間で兄妹の変化に何かしら気が付いた様子?の母親。
少しでも関係を気取られる事があれば、もう兄妹でいられず、母子でさえもいられなくなるであろう微妙で脆弱で、危険な仲。
「子供は沢山がいいです」と、結婚の夢を書き記した小さい頃の七夏。
世界で唯一、その夢が叶えられない「恋」の相手。
七夏は、友達からも、迎えたその変化により忌避される存在へと変わってしまう。
公園で、互いを汚しあって無邪気に喜ぶ兄妹。
常識の体現として、その姿を唖然とした顔で見つめる周囲の人々。
動き出す事のない観覧車。
変わる(進んでいく)事の出来ない二人の関係。
それは、初めて出逢った あの日の風景はもう眺められない、という事でもあり。
それでも、動き出す幻のようなものを共有する事で、幸せになれてしまう二人。
変わらない、変われないからこそ、「恋」を「恋」のままで留めておけるのかも知れない。
心中を「どっちでもいいよ」と認める七夏。
グラグラとしてダメダメな兄と違い、しっかりとした覚悟を妹が持ち得ているのに、妙に納得してしまったり。
理想(理念)に殉じようとする男と、現実に生きようとする女の違いかな。
この先、兄妹はどうなっていくのだろうか?
原作には描いてある?でも、ここまでで止めておくのが良い判断なのかも。
余り逃げずに(厄介な所に触れないようにしているのは分かってしまうが)、兄妹であるからこそ成り立つ純愛を、最後まで追い続けた作品。
兄の方なら、可愛い妹が 冴えない自分の事を好いてくれている、となれば どう心が動くか分かるので、妹の心理変化をこそ、細やかに描いて欲しかった所。
それがあったなら、もっと女性の鑑賞にも耐える内容になったかと思うので、惜しい。
命である「妹の可愛さ」でさえ描き表せていない作画レベルの回が あったのは残念だが、面白い、興味深い、先が気になる作品であったのは確か。
心は後悔で一杯。
あと一日、いや半日あればもっと……
などと今更言っても意味無いので、せめてこの教訓を今度こそ次回に生かそうとするのみ。
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2004年6月12日 土曜日 |
『恋風』11.「春雷」
驚いた。本当に驚いた。
こういう商売をしながら何だけど…まさか深夜枠とはいえ地上波で、ここまで
あからさまな近親相姦描写を、アニメで見られるとは……
「やりそうでやらない」まま(少なくともアニメは)終わるかと思っていたもので。
いい時代になった……?
作画が乱れ気味だったのが残念。
キャラクター達の感情がピークを迎える回だったので、表情なども繊細に捉えて欲しかった所。
『鉄人28号』10.「謎の超人間ケリー」
「戦争の傷跡」を描く…のが、割に、毎度お馴染み、という展開になっているため普通に見ていたが…超人間ケリーが海上を突っ走り、追いすがる鉄人を質量・重量の差をものともせずにブンブン振り回し投げ飛ばす展開は、いかにも『ジャイアントロボ』『Gガンダム』の今川監督作品カラーで、嬉しくなってしまう。
これだけ強力な敵を どうやって鉄人が倒すのか。
自決したり、肉体機能の限界が来て自壊、といった決着は、テーマとしては有効かも知れないけど大きくカタルシスに欠けてしまうので、出来れば……もう少しサービスして欲しいな。
『クロノクルセイド』最終話.「クロノ」
途中、かなりの回を見逃しているため、細かな感想は書けない。
しかしラストの重さには驚いた。
サテラなど、どうせ死んでないのだろうと思っていたけれども、ご都合主義など一切無く、再登場無し。
ロゼットの運命も、まあファンタジーな漫画であり設定をどうとでもいじれるので、「世界中のみんな、オラにちょっとだけ命を分けてくれ」は極端としても(笑)解決策を講じて、生き残ってのハッピーエンドを迎えるものかと……
創造された世界の「神」である製作者が、キャラクターの命を どのように取り扱うか。
・「死」は「死」であり、介入は許されるべきではない。
・いくらでも介入できる以上、「死」を取り除いてキャラクターを幸せにして上げるべき。
どちらが正しい訳でも、もちろん間違ってる訳でもない。
このアニメでは、前者の考えが貫かれた。
個人的には、もう少し陽気に終わっても良かったんじゃないかと思うんだけど……
戦争に向かう暗鬱な世界状況まで描き、「負のカタルシス」さえも生み出していたので、徹底していたという意味では不満無い。
ぼちぼち修羅場が参りますので、また更新は不定期になるかと。
平常に戻るのは19日以降になる予定です。
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2004年6月10日 木曜日 |
業務報告。
長い間 描かせて頂いてました雑誌「ペンギンクラブ」(辰巳出版)の表紙が、この度、作家交代の運びとなりました。
今月末に出る号が ぼくの最後の表紙になり、その次からは他の作家さんの絵に換わります。
今月の表紙を入稿した後、編集部から告げられた事で、何しろ急なため、「自分が描く最後の表紙は こういうものにしたい」、という目論見が ずっとあったのですが、残念ながら果たせず。
あ、別に表紙の評判が最悪だったとか締め切りをブッちぎり過ぎたとか、そういう理由での交代じゃありません。念のため。
この辺りの影響が……
読者様と関係各位様、長い間ありがとうございました。
…と言っても、まだしばらく本誌でマンガの連載は続けられる…と思いますので、引き続いての御愛顧を。
25日発売の単行本「HA-HA」も、よろしくお願い致します。
『真月譚 月姫』07.「蒼い咎跡」
主人公(オマケで友人)と女性4人の遊園地デート。
同級生 弓塚を除く女性3人は、お互い激しくにらみ合って火花を散らしており、その陰険漫才ぶりが なかなか楽しかった。
シエルの存在を「我慢できない」という秋葉に対し、にこやかな顔で「私は何とか我慢できます」と応えるシエル。
んー、こんな胃痛がしそうな場にだけは同席したくないもんだ(笑)。
これは単に、小姑・秋葉が、兄と一緒に居るにふさわしくないと考える女性を牽制しようとしているのか、と思ったが…もっと根深い対立?
シエルは、秋葉から「人とは違う匂い」を嗅ぎ取る。
アルクェイドが追う「敵」は、弓塚の姿を取っているのではないかと予想したが、実は秋葉?
ああ なるほど、永遠を生きる能力を持つに到った自分、だからこそ「人」であった記憶と共にある兄が愛しい…そうであれば兄への感情に大きな説得力が。
兄にもその「命」を分け与えたいが、それは兄を別のモノに変えてしまうというジレンマ。
面白いなあ…想像だけど。
弓塚には、自分は主人公の恋愛対象にはならないと告げるアルクェイド。
本心からか、気弱で素直そうな弓塚に対する気遣いか。
アニメ『シスタープリンセス』のように、登場女性キャラクター達が互いに干渉せず、ライバルを排除しようともしない「美しすぎる」関係に馴染めないモノで、今回の本性を剥き出した
ぶつかり合いの方が心にしっくり来る。
漫然と青春を送っているのではなく、ダークなストーリーが存在する強味。
対立関係に恋愛感情以外の必然性も介在させられる。
ようやっと、面白くなって来た。
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2004年6月9日 水曜日 |
報告遅れましたが、夏コミケ、受かりました。
8月15日、東地区・Y-07 です。
『花右京メイド隊 La Verite』10.「青き沈黙の鐘」
面白い。
事件を前に、レギュラーキャラクターが皆 立ち上がる展開は、理屈抜きに燃える。
屋敷に侵入してきた赤色王旗一団は、穏便にではなく、殊更に大きな騒ぎを起こし反発を感じさせる事で、太郎とメイド達に「問題提起」をして見せた?
そもそも「上」の考えは 分からない事だらけであり、マリエルを そこまで作り込んで太郎に仕えるようにした意図も「喜んでもらえるかと思って」だけではないとすると、何もかも大きな計画の一部、とも考えられる。
その説明が成されるかどうかは分からないが。
武装(?)兵士の一団と渡り合う早苗が格好イイ。
コノヱの前ではフニャフニャしているが、決して無能ではなく、それどころかコノヱに次ぐ戦闘能力を持っているのかも。
マリエル救出を決心する太郎。
その行動の結果として、帰還時には彼が自分たちの「主人」では無くなっている可能性すらあるのだが、それでも帰りを待つと告げるメイド達。
上から決められた「ご主人様」ではなく、自分たちが選び認めた「主人」に、太郎が変わった瞬間なのだろう。
ヘリで飛び立とうとする太郎達一行を、微妙な立ち位置で見送るリュウカ。
美味しい所を持って行きそうだなあ( ^_^ )。
『ウルトラQ〜dark fantasy〜』10.「送り火」
謎めいた雰囲気や、事件の追い方、ゲストキャラクターと仲良くなってしまう涼(見知らぬ男の子にイキナリご飯をおごって上げるフレンドリーさが愉快)などは楽しかった。
が…
やっぱり、アイディアが出た時点で終わってしまい、その活かし方が巧くないと感じてしまう。
何を描きたいのか、絞り込み不足。
怪奇な事件、自分の正体への自覚も足りないまま「生業」として人を送り続ける少年の内面、彼を信じ弟のように思って交流を深める涼の心の推移、どれか一つにギュギュッと限定しなければ、30分ぐらい、何も描かないままですぐ終わってしまう。
少年の「孤独」「恐ろしさ」「強さ」「背負ったものの重さ」「未来の捉え方」、これらをちょっと深く描くだけでも、時間は全然足りなくなるだろう。
だから、漫然と状況を描いている暇など1分もないはず。
惜しい、イメージやキャラクター造形の基本は面白かったのだから、もう一押しあればもっと…
わあ、『忘却の旋律』録画失敗!
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2004年6月8日 火曜日 |
『それいけ!ズッコケ三人組』10.「ズッコケ三人組 対 怪盗X」
うーん、随分と緩くなった『名探偵コナン』。
「謎は全て解けた」とか、故意に言わせたのであろうセリフが、それっぽさをより強調している(別にコナンの専売特許じゃないが)。
子供向けなんだから余り凝ったトリックを使うのも どうか、という所はあるのだと思うが…
怪盗Xって、今回登場した丸顔赤鼻の あの顔なの?
謎の怪盗としては必須習得技能である「変装」が出来なかった?
それだったら元々、実在する警官の名前を名乗らなければ良かったような…
バラエティー豊かな構成にするには こういう話も必要なのだろうが、どちらかというと、もっと主人公達の友情とか男気とか、そういうモノをメインにした物語が見たいなあ。
生徒会長選とか、あんな感じの。
事件がハデ目になると、その辺りに手が回らなくなる傾向にあるのが残念。
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2004年6月7日 月曜日 |
『ゆめりあ』01.「バースデイ・16」
キッズステーションで放送が始まったので、見る。
原作ゲームは未プレイ。
んー…これって、佐々木 淳子先生の名作漫画『ダークグリーン』だよね。
別に、似ていて何が悪いとも思わないけど。
第一話は、ちょっと中途半端な印象。
キャラの「萌え」も、ストーリーの「燃え」も同時に追おうとして、どちらの魅力も完全には出し切れなかったような。
キャラ配置は まあ普通であり、夢世界で起こる事件にしても割に良くあるバトル物の域を出る程ではないので、次回も必ず見なければ!と思わせる動機付けが弱くなっている。
「萌え」で行くのなら、夢世界でのバトルは置いておき、同居している従姉、同級生少女のキャラを彫り込み、夢世界少女は今回ラストで
ようやく顔を見せる、ぐらいで良かったろう。
「燃え」を強力に押すなら逆に、日常生活は撫でる程度に留め、夢世界で襲い来る強烈な危機と、そこで出逢った少女の不思議さ強さを中心に描くべき。
両方のバランスを取り、夢世界の少女は現実世界に抜け出て来、現実世界の同級生少女はラストで夢世界への侵入を果たす。
これでは…どちらも公平に描く事で、どちらも弱く…どこかで見た事のある内容になってしまったような。
かなり強引なストーリー進行に沿わせるべく、主人公の少年は常人離れしたポジティブ思考を持つ。
怒濤のごとく現れてくる設定・キャラクター・展開に対し、一々「何?」「誰?」「何故?」そんな疑問を持つような「普通」の人格にしてしまうと、30分間 疑問符だけで番組が埋まってしまうから。
彼個人への「負担」を軽減するため、作品は全体にコミカルなトーンで統一されている。
それは、「萌え」方向には特に問題ないものの、「燃え」方向に進もうとする場合に足を引っ張りそうな気が…
ああ、でも井上 喜久子声で喋る従姉が、透けるピンクのネグリジェの下には何も付けずに平然と主人公と会話しているのには、笑った。
この やりすぎ感は、馬鹿馬鹿しくて気持ち良い(笑)。
進行と共にテンションが上がる事を信じて、継続視聴。
『レジェンズ〜甦る竜王伝説〜』10.「話せば長〜い物語」
引っ越していこうとするメグを、体を張った泣き騒ぎぶりで留めてしまうシュウ。
凄い、確かに凄いや。これは、簡単そうで真似できない必殺技。
ハンバーガーに託して、マックとシュウの友情が語られる。
自信を持って「好き」を口に出来ないマックの気持ちを、力強く肯定してくれるシュウ。
何か しょーもない どーでもいい事なんだけど、気持ちが結びつく瞬間って割とそんなモノだよね。
街角に咲く花を掘り出し、自宅へと植え替えるマックとディーノ。
これまた取り立てて意味のない行動で、大人になって振り返ると「ガキだったなあ」としか思えない行為だろうが、そういう事を一生懸命に出来る事が「子供」である意義。
馬鹿みたいな事を一緒にやれるのが、友達、か。
登場各キャラのエピソード・ゼロが語られ、とても心地の良い お話だった。
こういう話があると無いとで、作品に対する思い入れ度は全然違ってしまう。
しかし…バトルは一瞬も無し。
毎度 思うけど、よく怒らないなスポンサー(笑)。
『特捜戦隊デカレンジャー』17.「ツインカム・エンジェル」
酔拳(?)を使い予測不可能な攻撃を仕掛けてくるエイリアンに対し、自信を失ったウメコが取った対策は…
まあ、酒瓶を銃撃して爆破する、ぐらいが妥当かと思えば、奪い取ってガブガブと飲み、酔っぱらって己の行動も予測不可能にするという、意表を突く対応(笑)。
それだけではなく、後フォローとして、酔っぱらいウメコのマシンを運転代行するデカマスターを見せ、いかなる事情があろうとも飲酒運転は許さない「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」を実行してみせる、警官としての筋の通しぶりが素晴らしい。
そこいらの問題警官にも見せてやりたい気分。
女性キャラメインのエピソードではこれからも使うのか、きっちり作り直したエンディングにも手間が掛かっており、スタッフの乗りと情熱を感じられて心地良い。
楽しいねえ。
『仮面ライダー剣』20.
レンゲルのベルトを手放そうとしない、「強くなりたい」願望に取り憑かれた睦月に対し、自らもその思いのために一度は誤った道に進みかけた橘は、気持ちが分かりすぎるために強く出られない…
心情的には分からないでもないんだけど、1対1の関係性だけで考えて良い事じゃなくて、レンゲルが解放したアンデッドにより一般市民にエライ迷惑が掛かっている事まで考えるべきだと思うな。
ただ闇雲に「ベルト返せ」ばかりじゃなく、「お前が変身した後、レンゲルの意識に乗っ取られてやった事により、死人が出てる(?)んだ!」と告げれば良いようにも。
この辺りの「『正義』を行使する義務」のあやふやさは、彼らが現在「単なる好意、ボランティアで戦っている」という立脚点の不確かさにも寄っているのだろうか。
剣崎達も、虎太郎に家賃を払えない状態にあるようで、やっぱりどこからも給料が出ていない・戦う事を「義務」づけられていないのだろう。
ベルトを持っている「権利」で戦っている訳だ。
それでも、橘は心の内に戦いに向かう動機が付けられているが、剣崎は…特に何も考えず反射的に戦っているとしか。
肉親を見捨てた(助けられなかった)心の傷を抱える剣崎と、肉親に見捨てられた哀しみ怨みを抱える睦月、正反対でありながら
どこか似た不安定さを持つ二人を、対比しながら彫り込んでいくのが定石だろうと思うが。
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2004年6月5日 土曜日 |
『ケロロ軍曹』10.「決戦!第三大臼歯 であります」
発進風景からビームライフルを用いた戦闘の構図、効果音まで、徹底して『ガンダム』をパロディーにした…というか、似たシーンがギャグとしては必ずしも機能していないので、キャラクターをケロロ達に置き換えてみました、という内容。
オールドファンとしては懐かしくて楽しくて嬉しいんだけど、コメディーアニメとして何となく見ている若い層にはどうだったんだろーか?
まあ、原作からしてガンプラのコアな話題を やたらに振ってきてたりするので、「置いて行ってしまう層」については心配しなくて良いのかな。
元ネタを知らないと意味不明、という訳でもなかったのだし。
『サムライチャンプルー』02.「百鬼夜行」
自らを臆病なダメ剣士に見せながら、その実 恐るべき暗殺者である冴えないオッサンが面白かった。
道場であれば負けたかも知れないが…と、戦場に撰んだ竹林で地の利を活かした臨機応変の戦いぶりを見せる…というシーンなんだろうけど、主人公側は前回、狭い茶屋での斬り合いを難なくこなしていたのだから、そう不得手な状況とは思えない。
林のアチコチに汚い仕掛けを施してある、ぐらいの周到さ・老練さも見たかった所。
落とし穴掘ってるとかね(笑)。
それでは、再度登場してくるキャラなのだろうに、恐怖感が無くなってコミカルな印象になってしまうか。
剣劇は相変わらず面白い。
毒にやられ、次第に力を奪われていく状態でのムゲンの必死の戦いなど、作画への深い信頼がなければ作れないシーン。
このクオリティーが最後まで維持できれば、『ビバップ』並の偉業になるけども…どうかなあ。あの頃よりも制作状況は厳しくなっているはずなので。
化け物のような自分をフウが怖がらなかった事で、命を賭け彼女を助ける大男。
…別に悪いエピソードではないんだけど、同じ過去劇の『犬夜叉』でも見た事があり
割に良くあるパターンなので、ちょっと尖った作風を目指していくのなら使わない方が良かったかも。
『無人惑星サヴァイヴ』32.「急げ !!」
容赦が無く厳しかったシリーズ前半部の、環境との戦いや仲間内の心理的葛藤に比べると、悪者3人組との対立に入ってからは、どうにも ぬるく感じられてしまう。
死ぬか生きるか、という切実感が伝わってこなくて。
そりゃまあ、実際に死人を出してしまう事は、シビアさが限度を超えてしまう結果となり、躊躇われるだろうが。
だから、「人」を敵として扱わない方が良かったんじゃないか…今更だな。
ぼちぼちクライマックス?まだ もう一山ある?
上手く盛り上げてくれる事を期待。
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2004年6月4日 金曜日 |
「少年ジャンプ」で連載されている、大場 つぐみ・小畑 健先生による漫画『DEATH NOTE』。
少年誌に連載される内容としてはかなり異色で、ダークであり、知恵を絞った頭脳戦がエキサイティング。
で、ふと思ったけども、これは「変身しない仮面ライダー」ではないか、と。
ライダーは「悪」の処断を、個人的感情の赴くままに行う。
警察や裁判所に、許可を求めたり共闘したりしない(平成ライダーは警察と協力関係になったりは
するけど)。
そして、何よりも正体を知られてはならない。
超絶の力を行使する代償として、その正体が自分である事を徹底して秘匿する事が求められている(これも平成シリーズは違うが)。
大抵は、行使に当たって若干不自然な行動を取っていたとしても、「おい、どこへ行ってたんだ?」「イヤー、急にお腹が痛くなって」「あっはっは、間の抜けた奴だなあ」ぐらいで許してもらえるけども、全然許してもらえないタイプの。
「正義」を行う障害となる相手や、正体を探ろうとする者は、所謂「悪」ではなくても、自分にとって都合の悪い存在である事に違いないので、容赦なく処断。
厳しすぎる「仮面ライダー」…大義名分を持った「ゴルゴ13」に近い?
誰も知らない知られちゃいけない〜で、自身「悪」側に手を染めていく辺りは『デビルマン』とも言えるか。
あと、この漫画は熱血格闘のジャンプ・パターンから余りに縁遠いなあ、と思ったので、こーゆーのはどうか。
ノートは、死ぬ前 数時間の行動を操れる。
だからねえ、ノートに、「これから死ぬまでの数時間、自分は超パワーを発揮する」などと書いておき、バットマンかスパイダーマン並みの衣装を身につけ正体を隠した「デス・ノートマン」(最悪!)になり、直接 町に出て行って悪いヤツらをドツキ倒すのだ!
「潜在筋力の全てを解放できる」ぐらいなら、条件下で実行可能なのでは?
「デス・ノートマンの地上での活動時間は、『ここで死ぬ』と書いた時点までの数時間である。それを過ぎると、本当に死んでしまい二度と立ち上がれなくなってしまうのだ。早く片を付けて、ノートの記述を消せ!デス・ノートマン!」
ウルトラマンだと少々時間を過ぎていても視聴者は大目に見てくれたが、死の時間は厳密だろうから大変だ。
というのを さっきヨメに話したら、変に優しい目で「イイから、お仕事してね」と言われた。
『花右京メイド隊 La Verite』09.「初めてのデート」
楽しげな太郎とマリエルのデート模様を目にし、潔く身を引く決意をする(元々太郎に
そういう意味では相手にされてなかったけれど)リュウカが切なくて愛しい。
マリエルよかリュウカと暮らした方が、人生楽しそうだと思うけどなあ。
それはオレがヒネくれキャラ贔屓だからか。
前回は、好意を抱いている太郎に幸せになって欲しいと願うコノヱ、彼女を敬愛するが故に幸せになって欲しい早苗、という重なったキャラクターの心理描写が実に巧く、胸に染みた。
ここでは早苗が美味しい所を持っていった感じだろうか。
コノヱがガツーンと女を上げて見せるのは、まだこの後?
「ご主人様の喜ぶように行動するのが、自分自身の喜び」というマリエルは、「メイド萌え」認識の極端になったモノがキャラの形を取った?
ご主人様に全面依存し、「自分」を何も主張しないマリエルの言葉には、ゾッとさせられてしまう。
その強固な殻を破って、「ぼくが消えろと言ったら消えるのか?」と問う太郎に、叫び返してしまうマリエル。
「メイド萌え」の範疇から一歩踏み出す行為?
確かにそれは、「メイド」として作られたキャラクターに取り、自我の崩壊にすら繋がりかねない危険な意識変革かも知れない。
『鉄人28号』09.「宇宙ロケット殺人事件」
内容としては、何話か続く話の発端であり どうこうと言えない段階だけども、作画レベルが
かなり落ちてしまったのが気になる。
演出と作画の頑張りこそ、このリメイクの大きな強味であり特色なので、酷く大変そうではあるんだけど何とか、クオリティーを保って欲しい。
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2004年6月3日 木曜日 |
『機動新撰組・萌えよ剣 』01.「見参!壬生狼の娘たち」
OVAとして制作されたモノを、アニマックスで放送していたので、見る。
原作が広井 王子だけあって、内容は…まあ、新撰組版『サクラ大戦』。
街を騒がす怪異な事件を解決すべく数人の少女が、時代背景に比してはオーバーテクノロジーな乗り物で出動、人型マシン(ここではパワードスーツ)で悪を斬る…と。
コミカルさの度合いが『サクラ』よりも強くなっているのが、僅かな差別化?
キャラの立て方、お話の作り共に、教科書に忠実で決して悪くはないが、特に引き付けられる独自の面白さも無く。
無難な出来。
『ウルトラQ〜dark fantasy〜』09.「午前2時の誘惑」
さとう珠緒が、いい歳になったヒステリックで太めのOLを演じる所に無理があるような。
取り立てて特殊メイクが施されている訳でも無さそうで、普通に見て、ファッションは確かにダサイものの素材は全然悪くないお姉ちゃんに見えてしまう(
^_^ )。
外見の劇的な変化が このお話のキモなんだから、もうちょっと気を遣って欲しかったな。
まあ、コミカルな話だから、「あんまり変わってねーじゃん!」という視聴者からの突っ込みも予想して・誘って作られているのかも知れないが。
ストーリー。
たまたま受信してしまった宇宙の通販番組で購入した若返りの薬によって…というアイディアの取っ掛かりは悪くない。
後は それをどうやって膨らませ、何を描いてまとめていくか。
メリットの裏側に隠された、恐るべきデメリットを見せるのがパターンだろう。
凄まじい薬の副作用が出るとか、購入代金として割に合わないほど価値の高いモノを要求される(「猿の左手」風に)とか。
もうちょっと柔らかくしても、薬のお陰で成り立っていた恋愛関係なのに、その薬が切れ、通販番組も受信できなくなってしまった
その時ヒロインは…?とか、周り中みんなが同じ薬を買い求め、世界は次第に…とか。
この手の物語は既に多数存在しているので、(オリジナリティーはともかく)展開やオチなら
いくらでも考えられる。
しかし実際に画面になったモノは…
えー、それだけ?
オチが弱すぎ。
片思いの相手が実は…というアレがオチ代わり?会社で実際のOLが「○○さんってね、……らしいのよー」などと喋り合う噂話の題材としては
これでも結構ショッキングかも知れないが、ドラマとしては、それで?というレベル。
「起承」ぐらいまでは ほとんど定型である こういうストーリーでは、「転結」をどう見せるかが一番大事になる。
そこに工夫が足りないと、見終わった印象が弱くなってしまうのは、当然だろう。
街頭でキレイな おねーちゃんに声を掛けている、スカウトの男二人組の一人が金子
修介監督だった。
アレは何のスカウト?芸能界ならまだしもだけど、アダルトビデオか風俗っぽかったな(笑)。
で、しまいには少女にさえ声をかけ始める辺り、ロリコンだと呼ばれる事(監督日記の2004年05月17日)に開き直っているようで、おかしかった。
『MADLAX』09.「残香-scent-」
うーん…意味がない事はない話だったんだろうけど、それがどうにも薄く感じられてしまう。
それは今回だけではなく、これまで全体的に、そう。
ストーリー自体の進行が遅い事もあり、欠かさず見続ける気力が萎え気味。
楽しいのはマーガレットとエレノアの調子っ外れ二人組なんだけど、それも今回は、マーガレットの電波度が弱かったため、不満足。
メイド服の下に ちゃっかりと水着を着用してきていたエレノアが面白い所?
どうせなら もうちょっとキワドイ、あるいは馬鹿っぽい水着であった方が、普段の姿とのギャップが出て面白くなったのでは。
テレ東 規制もあろうが。
この進行状況だと、全26話になるのかな?
全部付き合えるかどうかは…
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2004年6月2日 水曜日 |
ふらふらと映画『キューティーハニー』を見に行く。
今更 説明の必要もない庵野 秀明が監督。
以下、内容に触れるので、余り詳細に書かないようにはしたつもりだけど なるべく情報を仕入れない状態で鑑賞したい方は、御注意下さい。
冒頭アクションの、凄まじい疾走感と徹底した悪ノリは最高に楽しい。
ここだけでも入場料分の価値はあると思えるぐらい。
が、そこから映画のテンションは徐々に落ちていき、面白い部分、無意味としか思えない退屈な部分を交互に繰り返しつつ、余り盛り上がらないクライマックス(一部…及川光博パートを除き)になだれ込む。
全体的に見ると、「まあまあ面白かった」ぐらいの評価に落ち着くかな。
演技が不安だった佐藤 江梨子は、やっぱり上手いとは言えないものの一生懸命に演じている事が伝わって来るので、見終わって悪い印象は残っていない。
嘘っぽい程のスタイルの良さは、アニメキャラクターのよう。
…変に不細工な表情をカメラが捉えている事が多く、もうちょっと気を遣って上げてはどうかスタッフ、とは思った。
「バカ映画」にしようと頑張ってバカな画面を作っているんだけど、それにしては終盤、テーマっぽいモノを描こうとする姿勢が見え、それが安っぽい割には重く、スッカラカンのアクションやノリの楽しさとは相容れなくなってしまっている。
生真面目な人間にとっては、何も内容が無いままで作品を終わらせる事こそ最もシンドイ、負荷が掛かる事なのかも知れない。
そう考えると、『フリクリ』は凄かったのか。
原作は…何度もアニメ化されておりメジャーではあるが、知らない人間には「パンサー・ゾラ」とは何者なのか分からなかったのでは?
名前だけの存在なのだし、いっそ劇中では全く言及しないぐらいの方が良かったかと。
そして原作を知っている人間には、シスター・ジルの設定変更が馴染めない。
彼女(?)の立脚点の不確かさが、クライマックスの説得力を より薄くしている。
不満な所は沢山あるが、罪が無く憎めない、可愛らしい映画であったのも確か。
もっと、客が喜ぶ・求める要素だけで全編 隙なく構成すれば、文句なく面白くなったろうに…ってのは『エヴァンゲリオン』でも思った事だな。
『真月譚 月姫』06.「白い夢」
主人公とアルクェイドの仲が近づく話。
アルクェイドに、800年という長い年月を、同族(眷属?)を狩り出しつつ生きてきた、その凄絶な人生の重みが
まるで感じられない(演出できていない)事が引っかかる。
そういった凄みや恐ろしさ、影になる部分と対比する事で初めて、まるで無邪気な少女のような振る舞いとの間にアンバランスな魅力が生じてくる訳で、それが何も無い現状では…
敵の手に落ちた者は、主人公にとり、普通の人間の体に見える「壊れやすい線」とは違った線がある事が、掲示板・メールで教えて頂く事によって、理解できた。
…アニメ本編だけ見ていては、今回も分からなかったろう。
主人公を、「殺人鬼」と捉えていたアルクェイド。
見知った人間を殺した動揺によって震え、吐き気すら催してしまう主人公の弱さ・人間っぽさを目の当たりにした事により、認識にズレを感じる。
「最初から言ったろう、俺は普通の人間だって」という主人公のセリフと、第一話でいきなり
アルクェイドを切り刻んで殺してしまった彼の行動との間に、溝が開きすぎており、どう思えば良いのか、戸惑ってしまう。
殺された当事者である彼女が何となく納得しているのだから、視聴者もそうすべき?(笑)
これも、教えて頂いた原作での主人公の設定を重ね合わせれば理解できるんだけど…とにかくアニメでは
それらに全く触れられて居ないので…
テレビ放送では描けない、規制されるエリアに入っている?
仮にそうだとするなら、原作ファンからは不評を喰らうだろうが、アルクェイドとの出会いから
まるで変えてしまうべきだったと思う。
今のままでは、原作のファンには不満を、アニメで初めて触れる人間には本来
感じ取ってもらえるはずの魅力を大きく減じる効果を 生み出しているだけで、どこにも得が無いような。
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2004年6月1日 火曜日 |
『ふたりはプリキュア』18.「ドキドキ!中間テストは恋の迷宮」
お話そのものもテンポ良く、なぎさがテストの話になる度に、きっぱりと正義を行うかのような厳粛な顔で「その話は、今したくない!」と言い切る繰り返しギャグが効果的。
加えて、変身してからの派手なアクションの組み立て、空中で敵を捕らえ、ブラック・ホワイトが呼吸を合わせて回転し勢いを付けた状態で相手を鏡に叩き付けるシーンなども実に面白く、見応えがあった。
『それいけ!ズッコケ三人組』09.「ズッコケ学校の怪談」
勝手に学校の七不思議を作ってしまう主人公達。
いかにも不条理な怪談話の中で、一人だけ四次元とか空間の歪みといったSFっぽい・怖くない設定を絡めた話を作り出し、皆を引かせてしまうハカセが
おかしい。
それらが、実は昔から存在した七不思議と全く同じ物であり、眠っていた怪異が目覚め、生徒達が襲われ始める辺りは、結構ドキドキ。
随分 抑えた表現になってはいるが、一人で番組を見ていた小さい子供は、怖く感じてしまったかも。
しかし…怪奇現象の復活が言霊による物だとし、七不思議がまとめて登場して、その撃退方法が「北校舎に帰れ」では……何というか拍子抜け。
児童文学でもあり、霊能力や お札など除霊グッズでの撃退方法を無自覚に描く事は、ためらわれたのかも知れないが。
もう少し、知恵と勇気で事態を解決して欲しかったかな。
『仮面ライダー剣』19.
レンゲルに変身し、睦月がまるっきり意識を乗っ取られてしまった程の その力を自在にコントロールして見せ、「悪」の魅力を生み出しかけた桐生、退場。
早い、早いよ。
最初のライダー候補であり、挫折の経験を持ち、それでも個人で悪人を捌き続ける(続けずには居られない)強烈な「心の傷」を抱え、だからこそ中途でライダーを降りようとする橘が許せない、桐生。
活かしようも突っ込み所( ^_^ )も豊富な、どうにでも面白く展開できるキャラだったのに、惜しい。
単純に睦月とベルトの奪い合いをするだけでも、ドラマに緩急が付けられたと思うのだが。
しかし復帰した橘は、強い強い。
生身でアンデッドと格闘、ベルトに飛びついて高所から落下しつつ変身する、その格好良さには痺れる。
平成ライダーシリーズでも屈指のヒーローっぷりだったかと。
彼のこれまでの弱々しさ、情けなさで視聴者に溜まったストレスが、やりすぎの格好良さで全て昇華され、カタルシスに変わってしまった。
桐生・レンゲルと相対しては、「ダメだ、俺には撃てない!」と葛藤を見せるかと思ったが、容赦なく、徹底した銃撃を加える。
橘を この状態へと導く事が、桐生が願う事の一つだった(自らが力を持つ事もまた、本心から希求していたと思える)から、撃たれて本望でもあったろうか。
睦月は「コインロッカー・ベイビーズ」?
意識の底にあり続ける「暗闇」の恐怖から解放されるために、力を求め続ける。
彼は彼で、カノジョとの関係を含めて展開させられそうではあるが、「ライダーになりたくてなれなかった」オッサンとしては、桐生にこそ頑張って欲しかった所。
アナザー・アギト・木野のように、そういう世代からは熱い支持を得られたろうに。
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