ときどき日記 04/07

2004年7月31日 土曜日

『KURAU Phantom Memory』05.「迷い子」

 やっぱり ちょっと分かり辛くて…
クラウ、クリスマスに対する色々な疑問がまだ ほとんど明かされていない時点で、クラウの中に入り込んだリナクスが他のリナクスを呼び出すゲートになっているらしい、というような更に理解が難しい概念を出されても、混乱するばかり。
 アクションは なかなか頑張っていると思うし、卵を割る失敗を繰り返してしまうクリスマスも可愛い。
 二人の絆や、毎回の話の面白さだけでも十分 視聴者は引っ張っていけると思うので、伏せている設定を早めに公開し、キャラクターへの感情移入度を上げた方が良いように思うんだけど。



テレビスペシャル16弾
『ルパン三世・盗まれたルパン〜コピーキャットは真夏の蝶〜』

 どこか誉めようと思っても、容易には誉めるべきポイントを見いだせない程の つまらなさ。
 新ルパン(2ndシリーズ)風の作画とサブタイトルの出方が懐かしい、とか、そんな所ぐらい?

 問題点は、ほぼ全編に渡って大小様々な形で存在しており、一々突っ込むのも面倒になってしまう。
 セリフがダメ、キャラクターの捉え方がダメ、敵キャラに魅力が無さ過ぎ、盗みのアイディアは皆無(モン・サン・ミッシェル調の面白い舞台だったのに)、戦いにも見せ方の工夫が足りない。
脚本・演出に、テレビシリーズの一本・30分程度ならまだしも、長丁場を上手く構成し、緩急を付けて見せられるような力が感じられず。
 ルパンが、事情を話さずに次元と五ヱ門を裏切り、しかもそれを大したドラマも理由も無しに二人が許す、という下りは、何のために入れたのか?
 船で暮らすベッキーをルパンが訪れる下り。
真面目な話をしている最中、ずっとルパンの顔が投げつけられたオムレツでベトベトなのは、彼の陽気さと人なつこさの表れ、と取れなくもないが、ベッキーに忠告をして船内から出ていったルパンが、船と船着き場の間に はまり、落ちないよう両足を広げて何とか全身を支えながら、「た、た、助けてぇぇ〜!」と叫んでいるシーン、これは何のためにある?
ここで間抜けさを見せてベッキーを安心させる(自分を侮らせる)理由など無く(その前に彼女を脅してさえいるのだから、暗黒街の恐ろしさを残して去るべき)、ただドジのために こうなったのだとすると、子供でも やらないような失敗であり、ルパンの、いや、こんな無意味なシーンを作ってしまったスタッフの幼児性を表すだけの効果しか、生み出していない。

 誰が作っても、割と同じようにダメなルパンスペシャルが出来てしまうというのは、もしかするとマニュアル(制作にあたっての絶対条件)が存在している?
「ルパンはとにかく陽気な『馬鹿』として描くべし」
「銭形は徹底して無能であれ」
「不二子は必ず一度 ルパンを裏切ること。そして、裏切って付いた悪党の側からは逆に裏切られること」
「無用に思えても、無理してでも新ヒロインを登場させよ」
……こんな無茶な条項が一杯あるんだったら、面白いモノを作るのは困難を極めると思うけど。

 「アクション」で連載されていた、漫画版『ルパン』。
あれの広げられそうな話を原案として使えば良いのではないかと。

 ルパンと、彼を護送する銭形を乗せた小型飛行機が、数人の乗客、そして輸送中の宝と共に海に墜落。
生き残り、無人島に辿り着いたルパンらの中で殺人が。
犯人は誰なのか?宝の行方は?新型手錠で銭形に拘束されたルパンの運命は?
 …とか。

 ルパンのアジトを訪れる少女と双子の少年。
彼らは自ら、「ルパンの子供」だと名乗る。
ルパンから無断で採取された精液を元に、人工的に作られた子供達なのだと。
真相を確かめるため、少女を連れ、彼女が誕生した施設を目指すルパン。
その道中で、二人の心中には、本当の「親子」のように通い合うものが。
果たして、事の真相は?
 …とか(今回のスペシャルも、ルパンとベッキーは親子なのか?という部分がクローズアップされると思ったんだけどなあ)。

 派手にするなら、仮想現実・ゲーム空間でモンスターと戦いつつ、そこに移植された現実の老婦人のデータと対峙して宝のありかを聞き出そうとする話でも良い。
 どのネタも、非常に面白かったんだけどページ数の関係か食い足りない部分があり、それを補完・強化していけば、十分 面白いアニメになると思う。

 一話で2時間スペシャルを埋めるのが無理なら、オムニバス形式、1時間2本立てか、30分強3本立てでの放送を。
その方が、毎度お馴染み「○○の秘宝」などといった大風呂敷を広げなくて済み、バラエティーに富んだ話が出来そう。

 来年もスペシャルを作るなら、是非 頑張って、シリアスでもギャグでもハードボイルドでも、どんなルパンでも良いから、とにかく「面白いもの」を見せて欲しい。
それが無理なら、もう作らない決断も必要かと。
 放送される限り、見てしまうのがファンの「業」だから。


2004年7月30日 金曜日

『ギャラクシーエンジェル 4th』07.「わざわざコトコト煮込んだスープ」08.「哀しみ憎しみ凍み豆腐」

 前半。
 ことわざが現実になっているのだ、という事に最初 気が付かず。
相変わらず理不尽なロスト・テクノロジー能力だなあ。
 ネタの転がし方は なかなか面白く、山火事を消せるような ことわざって何かなあ?とか一緒に考えてしまった。
「我田引水」?「バケツの底が抜けたような雨」とか…これは ことわざじゃないか。
 カッパにされっぱなしで、ずっとカッパーカッパー言ってるミントが ちょっと可愛い。
 一心同体にされてしまうオチは、オチに使うより、このネタで一話引っ張った方が良かったような。
『美鳥の日々』調に、朝 起きたらミルフィーユの両手・両足にエンジェル隊メンバーが生えている、って無茶な所から始まるドタバタなんて どうだろ?などと考えてみたり。

 後半。
 最初の方では、『うる星やつら』98話「そして誰もいなくなったっちゃ !?」を彷彿とさせる、シリアスな連続殺人が起きる。
 このまま人数が減っていって、最後にミルフィーユあたりが残り、真犯人と対峙するシーンをクライマックスに持ってくるつもりか?と思ったが…
 途中から、肉親関係をメタメタに入り乱れさせた馬鹿展開に。
推理モノのラストでイキナリ、この人と この人が兄弟姉妹だっただの、実母かと思えば義母で優しいオバサンかと思った方が実母だっただの、謀殺された生き別れの父親の怨みを…だの、ややこしい事を言われて頭がこんがらがり「ほとんど伏せておいた情報を最後にまとめて出すのはアンフェアだ!」などと言った経験は割と誰しもあると思うが、そういうモノのパロディーかな?
 「ごっこ遊び」のような事をやっていただけ、というオチを付けるのは、このアニメとしては逆に珍しいような。
死んだキャラクターへのフォローなど気にせず終わるケースが多いもので。


2004年7月29日 木曜日

『鉄人28号』17.「黒龍丸事件」

 おー、「ビッグファイア」博士だって、アニメ『ジャイアントロボ』見てると その落差につい笑ってしまう。
声優は中村 正。この人の声が凄く好きで。
贅沢な声優さんの使い方をするよなあ、このアニメ。監督の趣味だろうな。
 マッドサイエンティスト・敷島が何か言ってるぞ、わはははは。
え?この時が二人の別れだった、って?それはどういう…?
 カニロボット、目が可愛すぎ。
 オックス、弱っ!というか正太郎の操縦スキルが上がらなさすぎなのか?
 大塚署長、更迭?
 敷島博士、自殺、ええーっ?いや死んでないって絶対 何か悪辣な形で蘇ってくるって、ヤツは あっさりと死んでくれる程度のマッドサイエンティストじゃないったら!

 …と、かなり詰め込まれた怒濤の内容で、シリーズのクライマックスを飾るのであろうエピソードの開幕を感じさせる。
 出来る事なら、「ロボットアニメとして」面白い内容になってくれる事を期待。



『この醜くも美しい世界』02.「あなたが初めて」

 コミカルに、テンポ良く押して強引に「ヒカリが同居する」事を視聴者に認めさせてしまうのは、上手い。
しかし…科学者であるジェニファーが同居する所まで一気に納得させようとするのは、やりすぎ。
 割に偉い立場にいるらしい彼女が、何も無い田舎町で下宿する理由については、これから説明が成されるのだろうか?(異様な事件の現場を調べ続けるため?しかしホテル・旅館も無い田舎なのか?)
 風呂上がり、ビールをグイグイと飲んでプハーと息を吹き出し、「この瞬間のために生きている」的な姿を見せる彼女は、どう見ても『エヴァ』ミサトの性格とリツコの職業を合わせた存在。
だから視聴者に受け入れてもらいやすく、今後ストーリーの中で果たしていくのであろう役割も予想しやすいが、そのために新鮮味には欠けてしまう。

 ヒカリの葛藤が ちょっと分かり辛いかな。
実感として「気持ち、分かる」にならないため、ヒカリの家出と発見、心の交流が、段取りっぽく見えてしまう。
 いや、「段取り」であっても ここでこういうイベントを入れるのは正しく、主人公の心の中にヒカリを受け入れるに足る「欠けた」部分がある事まで見せる持って行きようも、悪くないとは思うんだけど。



 『トリビア』ルパン三世ネタ。
 ああ、ルパンと銭形って同じ大学だっけ?
原作を読んだはずだけど、覚えてないなあ。

 それなら こういうのはどうだろうか?

「ルパン三世は変装の名人だが、変装を解いた時に現れる素顔、実はあれすらも変装であり、本当の顔は これまでに一度も見せていない」

 これは、原作でルパン本人の口から語られた事実。

 原作では度々 重要な小道具として登場し、アニメのファースト・シリーズ第20話「ニセルパンを捕えろ!」でも使われた、アルセーヌ・ルパン著「盗術」。
 この三十三条に「いかなる時も素顔を晒すな」という文があり、御先祖様の教えを忠実に守ったルパンは、見慣れたモンキー面の「変装」を常に自分に施している。
 いつもの顔をめくると、その下には何の表情もない変装用素地があり、更にその下に ようやく本当の顔があるモノと思われる。
 変装を溶解させる装置や、レントゲン状の機械による透過、銭形の厳しいチェックでも その下まで到達した事がない所からすると、かなり特殊な素材であり容易に剥がれない細工が施されているらしい。
 だから、銭形はもちろん、次元も五ヱ門も不二子さえ、ルパンの本当の顔は、知らないのだ。
極端な話、「男か女か」すら不明だと……

 これ、結構ショッキングな設定で、子供の頃 原作を読んだ際には、「裏切られた」みたいな気持ちになってしまった覚えがある。
今では、「暗黒の世界に生きる厳しさと寂しさを感じさせて、格好イイねえ」と思うけど。
 まあ、そんな事を言いながらアレが素顔(あるいは素顔と同じ変装をしている)なのかも知れないし、モンキー・パンチ先生の原作は一話毎に微妙に設定が違う懐の深さ( ^_^ )を持っているので、これを唯一絶対の真実と考えなくても良いだろうが。


2004年7月28日 水曜日

『ウルトラQ 〜dark fantasy〜』17.「小町」

 真面目なだけで取り得のない、冴えないお兄ちゃんが好きになった、ラーメン屋バイトの女の子。
彼女は実は……という話。

 女の子の正体など、途中のセリフですぐに割れてしまう。
後は その魅力と、主人公との間に生まれる絆の描き方で見せるモノだろうが…
 俳優(ハリケンブルー)のお陰があり、女の子はそれなりに魅力的。
しかし、何故バイトしていたのか、店の主人は正体を知っているようだったが あの世界では彼女は常識的存在?など分からない事も多く(彼女の設定を端的に例える作品・キャラクターを出したいが…今回の露骨なネタバレになるので自粛)。
 主人公がまた…我々視聴者の感情移入対象となるには十分すぎる程にダメダメで結構(笑)なんだけど、肝心の彼女から好感を抱かれるに足る素養が見えなさすぎ。
暴漢に襲われた際 体を張った事ぐらいか。
自分の仕事を放り出して老人介護を手伝うとか、普段からもっと良い所を見せて欲しかったな。

 オチ。
良かった良かった…なのか?と思わせるのが狙いではあるのだろうが。
 こう来るなら、会社の女社長や同僚、ラーメン屋の店主までも含めて、非・人間的な所を強調して見せておいた方が効果的だったろう(あるいは、善い人は皆 彼女と同じ設定に)。
同僚に女性社員を出し、主人公の将来性や収入、性格などを酷評させ「あなたなんて、どんな女性でも結婚の対象には出来ない」と言わせても良かった。
 最後に彼女が現れたのも、どうやら許可を得て、ではなく、脱走してきたとかにして周辺環境の厳しさを示しておけば、「二人で居られる幸せ」が より分かりやすくなったのでは。

 二人、「ファンタジー」としてならともかく、「現実」の夫婦生活を営めるのだろうか?
 女の子の名前が「小町」だからねえ。
絶世の美女だったと言われる小野小町は俗に、「穴無し小町」などとも称されておりまして……下ネタかよ(笑)



『GIRLSブラボー first season』03.「クッキングはブラボー!」

 主人公の男の子が、「意志ある存在」というよりも、「女の子達に奪い奪われる対象」としてのみ在る、「萌え」作品王道の展開。
 新登場の女性キャラクターは、二枚目お金持ち男を兄に持つ異常性格の妹、という訳で『うる星やつら』面堂兄妹に よく似ている。
妖しげな魔導に通じ、精力を付けるべく妙な料理を作る、壊れた性格が楽しい。
キャラクターを補強する、お付きの無表情・乱暴女性もイイ感じ。

 ただ…これはスタッフの責任ではあるまいが、フジの規制がイキナリ厳しくなっており、ヌードシーンで画面がほとんど見えなくなってしまっているのは難点。
裸が見えない事はともかくとしても、今・誰が・何をやっているのか分からない程に画面に施された処理は酷く、作品への没入度を大きく下げられてしまう。
 「DVDでは全部見えますよ」というのがセールスへのポイントになるのかも知れないけれど、テレビだけでしか見ない視聴者としては…サービスシーンは水着程度で抑えて良いから、画面をきちんと見せてくれた方が嬉しいな。
金を出さない視聴者は黙ってろ、って?



 えーっ!作家の中島らもが亡くなったぁ?
なんだか最近、人が亡くなった話ばかり書いているような気がするけど、これはさすがにショック。
 この方の書くエッセイが好きで、多分ほとんど読んでいると思う。
小説『ガダラの豚』は、詰め込まれた蘊蓄と 凝った構成、息詰まる展開に引かれて、全3巻、一気に読み終えた覚えが。

 御本人の飄々とした語り口も面白く、昔、テレビ出演をされていた際、何について語っていたんだったか のついでに、
「これからはディテールの細かい物が受ける訳ですよ。SF映画の乗り物なんかでも、昔はツルッとしたピカピカの物ばかりやったけど、『スター・ウォーズ』やら『ブレードランナー』みたいな表面がゴテゴテして ちょっと汚い感じの物が流行ってるでしょ。だからね、女性でも、いずれはキレイな肌の若い子よりも、シワだらけで情報量が多い老婆の時代が来ますよ。……(3秒ほど沈黙)……来るかあ そんなもん
と言っていたのが、文章だとイントネーションとか絶妙な間を再現できないので面白味が伝わり辛いだろうが、凄く印象に残っている。

 惜しい人であり、「可笑しい人」「面白い人」を亡くしてしまった。
 ご冥福を。
あちらでは、もっと(これまで通り?)自由にやって下さい。


2004年7月27日 火曜日

『ニニンがシノブ伝』03.「音速丸、怒るの巻」「忍、家を出るの巻」

 作画は相変わらず良好。
 前半、前回通り、つまらない訳ではないけども笑えはせず、ギャグに徹した話は こういう時に厳しい、もうちょっとストーリーやらキャラの葛藤やらを仕込んでおけば「ギャグは不発気味だったけどお話が良かった」という評価が出来るんだけど、作る方も辛いよねえ、などと思っていたが。
 いやあ、後半は実に面白かった。
このアニメの極意は、「ここぞという時以外には若本 規夫を使わない」という所にあるんじゃないか、強い薬味の効かせ過ぎは料理本来の味まで損なうんじゃないか、などと思ってみたり。

 「とうとう政界に打って出て、ブルマー廃止なんて馬鹿げた事を止めさせるんですね」という、サスケらが音速丸に向けたセリフ。
気持ちはよく分かるなあ(;´д⊂)。
 体内に「忍袋(しのぶぶくろ)」を持ち、甘ーい水でその中を満たす事が出来るらしい忍。
しかし、楓と風呂に入る事を妄想してドキドキするなんて…女同士だろうに、百合?
自身も可愛い上に胸だってあるんだから、自分の体を触ってればいいような。
いや、それは「自身も格好いいホモなら、己の○○○を触る事で満足できるはず」というような見当違いの意見か?(笑)

 楓の両親によって繰り返される「本当は娘が欲しかった」っちゅーセリフが楽しい。
まあ実際、普通の「萌え」作品であれば、娘である楓の位置には男の子が居るはずであり、その場合このセリフは ごく正常な訳だが。
そういうパターンを逆手に取ったギャグでもあるのかな。



『特捜戦隊デカレンジャー』23.「ブレイブ・エモーション」

 宇宙警察のエリート、テツと、熱血下っ端刑事のバン、二人を中心にした対立と共闘。
実にお約束なんだけど、こういうのは何度見ても楽しい。
 「正義は勝つ!」という信念を何度も口にするバン。
冷静さも そりゃあ必要だと思うけどね。
でも、一番 根本の考え方は これで正しいのだと思う、特に子供に向けた番組が発するメッセージとしては。
 正義であろうが何であろうが負けるケースは多いし、そもそも信じる「正義」自体が あやふやな現在、この考え方は成り立たない…というのは、子供がちょっと大きくなったら、実感として嫌でも理解「してしまう」事。
そうであっても、いや、だからこそ、最初に刷り込まれるのは「正義は勝つ」「友情パワーは無敵」「愛こそ全て」そんな、ヨゴレたオトナからすると、下らない、馬鹿馬鹿しい、絵空事の戯れ言、であって欲しいと思う。

 三兄弟の女性が、結構キレイであり複雑なキャラクターをしていて、イイ感じ。
兄に、デカレンジャーもろとも自分まで殺されようとしたのに、それを怒るよりも まず「正義」に復讐して欲しいと、自分の命をなげうって兄を復活させてしまう強烈さが素晴らしい。

 テツは、『踊る大捜査線』の柳葉かユースケの役回り?そうするとデカレンジャー達は発展著しい「宇宙 空き地署」勤務?
 本店のエリートさんは、平刑事5人分を合わせたよりも高額な強化服を着ており、金にあかせた超絶装備で悪を蹴散らす…ってのでも面白かったかと思うけど、あんまりレンジャーとブレイクの間に「差」を感じさせてしまうと、子供達のオモチャ購買意欲に影響してくるかも知れないので、微妙か。

 思えば警察って、色々遊べる設定だねえ。
配置転換でボスに代わり無能無気力な上司がやって来るとか、デカレンジャー達の失敗により全員がそれぞれ別の辺境小惑星交番に飛ばされてしまうとか。
潜入捜査や、推理ドラマ風エピソードも作れるな。


2004年7月26日 月曜日

『名探偵ポワロとマープル』03.「風変わりな遺言」

 悪くはないけど、やっぱり地味だなあ。
 引き出しの奥に引き出しとか、その中にまだ隠し引き出し、なんて、「そういうのもアリかな」とは思うものの、推理ゲームとしてはアンフェア気味。
 ベイクドハムの作り方、ベーコンと ほうれん草は「ナンセンス」という意味だ、が理解不能。
向こうでは常識的な知識であろう何かに引っ掛けているのだろうが(日本人にとって、てんぷらとスイカ、うなぎと梅干は食べ合わせが悪い、という常識があるように)、何の説明もなくポンと投げ出されても、分かる訳ない。
せめて番組終了後の実写コーナーででも説明してくれればいいのに、不親切だなあ。

 高額な切手に、消印のスタンプを押しちゃって大丈夫?
価値が一気に減らないの?
あれはダミーのスタンプ(切手は未使用のまま)であってすぐ消せる?
押される事で かえって価値が上がる消印(特別な場所や時期の)だとか。



『蒼穹のファフナー』04.「逃航〜ふなで〜」

 うーん…微妙。
新たに、腹が立つほど間が抜けた事をやっている所はないけど、ダメな所が改善された訳ではなく。

 新国連機を助けてしまう一騎。
 まだ自分の能力に確かな自信を感じられる状態ではあるまいに(操縦訓練すらロクに していなそう)、どうして助けたのか、は、まあ「少年 故の正義感」と理解するとして。
…しかし、クラスメートや教師が襲撃によって殺された事に哀しみも怒りも疑問も感じていない様子なのに、見も知らない他人は助けたいのね。不思議な精神状態。
 新国連機をオトリとして敵を島から引き離す作戦(?)だったのなら、もうしばらくファフナーを出撃させなくても良かったような。
 敵は、何だか知らないけど島の関係者を目の敵にしているようなのだし、早くに近づく必要もない。
 せめて、偵察機が撃墜されるまでファフナーを偽装エリアに留めさせるとか。

 それに…そろそろ島を巡る世界状況を子供達に話してやってはどうか?大人。
それを知らせていないためのデメリットが、こうして現れてきている訳で、頑なに話さない理由が分からない。
 何か余程 子供には聞かせられない事情…島の住民達が、ファフナーなど圧倒的な力をもって世界征服を企んでいたとか、その際に他国に膨大な死者を出し「人類の敵」として追われる身だとか、そういう恥ずかしい類のモノがあるなら仕方ないが。
 もっとも、こうなってもまだ子供達が「何故?」を全く感じないようだから、話す切っ掛けも無いのか。
 いや、女教師は戦況を知りたがる生徒達に情報提示を一切拒んでいたな。
あれは、大人達全ての日常的態度?それともあの お姉ちゃんが変わり者なだけ?

 今回は、トイレで一人震えつつ、「戦争」を自覚する子供が出現。
マインド・コントロールが解けてきた?
 それにしては戦闘終了後、陽気に振る舞って友達の戦果を讃え、自分も頑張ると言ってみたり、行動はよく分からないが。
 普通に戦える他の子達に、怯える子が疑問や違和感をぶつけるようになると、理解不可能な子供らの精神状態が「狙い通り」だったと分かるんだけど。

 しかし、敵の姿も能力も一体目と同じでは、イマイチ戦いの面白味が出ない。
コイツは『ガンダム』のザクみたいな、量産機扱い?
 余りに そのままな『エヴァンゲリオン』プログナイフには ちょっと笑う。
 唐突に登場した、島の どこからか出ていったらしい、謎の少女が関与しているモノと思われる、分からない事だらけの支援メカに助けられての勝利、というのは、後々に繋がる設定としては有効かも知れないが、この一話としての達成感や爽快感に欠ける。
ファフナーその物が未だ謎の機体なのに、更に謎を重ねていく構成は、どうかなあ。

 海底からレアメタル?というモノを採取しているらしい描写があった。
エネルギー源なのか機体を構成する特殊金属なのか、両者を兼ねる『マジンガーZ』のジャパニウム的存在か。
それとも、現実と同じくこれ
 「古い船を今動かせるのは、新しい船乗りではない。しかし、新しい航路を見つけるのは いつも無垢な船乗りだった…」
 この妙な、意味不明ポエムは、毎回の約束事なの?(笑)


2004年7月25日 日曜日

『KURAU Phantom Memory』03.「夜を越えて」

 移っていった先でも、相変わらず何でも屋をしているクラウ。
…コンビニでバイトするとか、パチンコ屋とか、肉体労働とか、他にも選択肢はあるんじゃないのかなあ?体の維持に やたら金が掛かるなんて事情も無いようだし。
 前回、逃げ出す時に力を使った事を悔やむクラウだが、テレビ中継のある宇宙船事故の時も、特に意味がないビル屋上からのジャンプの時も、力を使う事に何の警戒心も抱いていなかったのに。
今頃になって、ようやく懲りた、って事?

 放蕩息子達の お遊び凶悪犯罪。
金にあかせて取り揃えた武装と、他者の痛みを知らない残酷さを持っているので、遠慮無く酷い目に遭わせてやれば面白そうな相手だったんだけど…彼ら自身は これで反省する理由も無さそうで、まだ愚挙を繰り返しそうに思え、ちょっと消化不良な印象。
 …まあ、このアニメでの事件解決って、毎度こんな感じではあるが。

 今頃 言うのもナニだけど…
 クリスマスを庇い、仕事に向かう姿から、クラウには「男性」を感じる。
たまたま女の子の体に入っているだけで、その中身は男性か女性か、はたまた そんな区別のない種族なのか、分からないんだった。
 これを「男性」と捉え、「その体の中から取り出されて新たに生まれた女性」の存在から考えると、クラウとクリスマスって、「アダムとイブ」だよね。
思えば、「クリスマス」という名前も、キリストの誕生日にちなんでいる。
名前からすると、マリアの体内から生み出されたキリスト、の方が近い?
 聖書的考え方がベースにあるのかな?


2004年7月24日 土曜日

『月は東に日は西に』02.「楽しい学園生活の予感」

 ええと、第一話を見てから ちょっと時間が経っての鑑賞になってしまったせいか、どういう話だったか、最初は見失ってしまってたり。
 そうかそうか、前も、誰も居なくなった都市を主人公が一人さまよう夢を見てたっけ。
朝は起こしに来てくれる幼馴染みが居て、えーと、この赤い髪の女の子は…確か空から降ってきたような気がしたけど…ああ、やっぱりそうなの?
それにしちゃ、学園生活に溶け込みすぎでは?
カルチャーギャップとか、ちぐはぐな対応とか、全然無いみたいだけど、それはそれで構わないのかな?
 金髪ツインテイルの女の子は、主人公が世話になってる家の娘じゃなかったっけ?
見ていると、全くそんな気はしないのだが…

 確かに、そういったキャラクターの特色をアチコチと描いていると、15分しかない放送枠内ではガチャガチャした内容になるか……
 朝、主人公は同居の女の子に起こされ、幼馴染みの子と学校へ向かいつつ、頭の中は空から降ってきた女の子・美琴の謎で一杯、ミニスカ巨乳の先生に誘惑されながらチビ先生と星の観察など行っていても、美琴の行動が気になり…
うん、かなり厳しいな(笑)。
 本来なら、15分という時間を考え、もうちょっと整理された内容にする所だろうけど、原作がある以上 ムゲにキャラの切り捨ても出来ないのだろうし、難しい所。



『Wind -a breath of heart-』02.「思い出の約束」

 幼馴染みであり、再会の約束を交わした女の子との、邂逅。
もうちょっと、あの子かなー?と思いながらも確信が持てず…という所で引いたりしそうなモノだけど、実にアッサリ。
 という事は、当然この後にまだ、大きなイベントが控えているのか。
妹の存在と、行方不明だったり何かを調査している風である親たちのドラマが、子供達と絡んでくるのかな?



『この醜くも美しい世界』01.「暁は光と闇のわかれめ」

 本放送からは遙か遅れ、アニマックスでの鑑賞。
 んー、『まほろまてぃっく』の雰囲気があるキャラクターで、『デビルマン』をやってみた感じ?
主人公の、一癖ありそうな友達の名前は「飛鳥 了」に倣ってか「リョウ」だし。
 落ちてきた女の子・ヒカリは、デビルマン(アモン)を想うシレーヌ?それともゼノンかサタン、あるいはラストに出てきた天使の一人?

 作画の質は高く、上品であり、演出も悪くない。
大変まっとうに、奇をてらわず、確実な形で組み立てられた第一話なので、感想らしい感想は出てこず。
 もう少し見てみないと。


2004年7月23日 金曜日

『鉄人28号』16.「京都燃ゆ」

 なかなかに辛気(しんき)な、ズシリと重い話。
…ちょっと変に感じる所もあるんだけど、その辺は「狂気の集大成、戦争が起こした悲劇だから」という無敵の理屈で、かな。
 それにしても、いつもながら弱いよ鉄人(笑)。
自身で判断できる機構を搭載する敵に対して、反応速度で劣るとはいえ。
頑丈さやパワーに関しては、鉄人の方が優れていて良いはずでは?
 梅小路博士のロビーに対し、人機一体となり「人の頭脳 加えた時に」最大限の力を発揮する鉄人が勝つ、あるいはせめて互角に渡り合う事で、人工知能に賭けてきた博士にとっての戦争の終わりを知らしめても良かったような。

 敷島博士に、「子殺し」「妻殺し」の罪を背負わせる厳しさと、自らに責任を「取らせてあげる」優しさが入り交じる、ただ無心に「お母さん」と呼び続けるロビーが切ない、何とも言えない終わり方だった。
 まあ、悪いのは全部マッド・サイエンティスト・敷島だって事で( ^_^ )。



 えええええ、映画音楽界の巨人、ジェリー・ゴールドスミスが亡くなった
 『スター・トレック』『トータル・リコール』『ポルターガイスト』『オーメン』『カプリコン・1』『エイリアン』『グレムリン』『インナースペース』『猿の惑星』等々、数多くの、強く印象に残る楽曲を手掛けられていたのに…
 雄大・勇壮で これから始まる冒険を思わせワクワクさせる『スター・トレック』は言うに及ばず、『グレムリン』なども、あの陽気ながら悪辣で、不安であり楽しげなテーマ曲無しだと、映画から受け取るイメージは全然違ってしまっただろう。
 氏の音楽は、映画史と、見た人々の心に残り、忘れられる事はない。
それでも、とても残念。
 ご冥福を。


2004年7月22日 木曜日

 「少年サンデー」の、とても楽しみに読んできた漫画『かってに改蔵』が終わる。
 結構 衝撃的な終わり方であり、賛否両論、内情への推測も含み、物議を醸すかも。

 でも、この先生は、一歩引いた所から世の中を、自作品も、自分自身でさえ見られる人なので、全て自覚的に描いた物だろう。
 「キャラクター達に決着を付けて上げるべく、考え抜いて作ったシリアスな物」なのか、「考え抜いたのは確かだが、『最終回』という事自体を いつもの調子でネタにした物」なのかは分からない。
 『ドラえもん』の都市伝説としてあった、のび太が実は交通事故で植物状態にあり、ドラえもんの存在も何もかも夢だった…というネタを、大真面目に現実化して見せたモノ、とも思える。

 この作品の終わらせ方には、何パターンか考えられたと思うが、その中でも、不思議と これは最も しっくり来る最終回の有り様な気がする。
 「作品」としてよりもなお、「キャラクター」それぞれへの愛情が強く感じられる、胸に染みる終わり方だった。

 漫画は全てそう、とはいえ、その中でも特に、必要とされる膨大なネタのため、命も精神も才能もゴリゴリと削り取り紙上に定着させる事無しには一本も上げられない、そんな過酷な形式の作品を、週間連載で こんなにも長く描き続けてきた事実には、ただ拍手。
 お疲れ様でした。



『ウルトラQ 〜dark fantasy〜』16.「ガラQの大逆襲」

 なんでそんなにガラQを直したいんだ お姉ちゃん。
宇宙人の侵略兵器であった事実を もう忘れたのか?
 姉ちゃんのガラQは、確かに悪さをしてはいなかった様子だが、別段 自意識を持っていたとか、この一台のお陰で地球が助かったとかいう、特に思い入れるべき事情は存在してないと思う。
 各話オムニバスなので、話と話の繋がりは少々おかしくても構わないんだけど、同じくガラQを出す話で こうも矛盾した異常行動があると…
要するに このお姉ちゃんが単に、「ガラQ、私にとっては可愛いんだから、それでいいじゃん」程度の思考しかできない馬鹿女だった、って事?

 で、馬鹿女には相応の罰、アパートでの盗難事件の嫌疑が掛けられる。
普通、すぐさま警察沙汰だよねえ。
「ガラQはそんな悪い事する子じゃありません」じゃないって。
万引きの現行犯で子供が捕まった後も、スーパーの人間を相手に、「うちの子は悪い子じゃない、アンタ達の勘違いよ」と言い続け現実を拒否しようとする馬鹿親みたい。
 で、この盗難事件は、本当にガラQの仕業?それともセミ女が仕掛けた罠?
どちらにしても、草刈教授に嫌疑をかけさせた罠(嫌がらせ?)といい、やる事がショボいよセミ女!
 ガラゴンなんて圧倒的兵器を持ちながら なんでこんな…とりあえずフセイン宅にピンポンダッシュを繰り返す事からイラク戦争を始める米軍、みたいなモノ。

 で、超兵器ガラゴンは、気の迷いのようにガラQに生えてきたアンテナで攻撃を跳ね返され、セミ女と共に消滅。
……笑う所?
 最初のガラQの話は、絵作りを頑張っており、コミカルな面白さもあった事で、それはそれなりに気に入っていたのだが…今回は、良い所無し。
もう一回続きそうな終わり方だけど、もういいよ。


2004年7月21日 水曜日

 ちくわ さんに文中リンクをして頂け、アクセス数がグワッと伸びておりました。
ありがとうございます。
 昨日の ちくわ さん日記(考察記?)で、アニメ『月姫』をぼくが視聴終了した事を契機として、「原作とアニメの関係、主に、原作を台無しにしてしまうアニメ化について」語っておられたのですが、うかうかしている内に新しい日記がアップされ、現在は その文が読めなくなっております(日記過去ログの作成は一ヶ月単位でなさっておられますので、8月に入れば、7月分を読めるようにして頂けると思います。興味深い考察ですから、皆様も是非)。

 せっかくの機会なので、ぼくは浅〜く、思う事を(ちくわ さんへの反論とかではありません)。
 アニメ化に当たり、原作からキャラクター・設定・テーマなどを変えてしまう事を、必ずしも悪とは してないです。
限定された条件下であれば、構わないと。
 映画『うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー』は、もう「うる星」じゃない、という事で原作ファンや原作者から不評でしたが(個人的には、原作世界と大きな祖語を来す内容だとは思わない)、心の「傷」になるほど強く惹き付けられた作品であり、これ以降 押井監督が進んでいく方向を決定づけた、傑作だと思っています。
 それは、原作者は大変に喜んで見た、という話を伝え聞く、原作にほとんどアレンジを加えず忠実に凡庸に映像化したため、漫画を読んでいれば見る必要を感じない映画『完結編』よりも、遙かに。

 ただ、こういった成功例は ごく希であり、ほとんど存在しない事も、勿論 知っています。
 原作と変えても「構わない」の「構わない」は、瀕死の患者が出た医者の居ない離島では、腕に覚えがある限り無免許医が手術をしても「構わない」と考える、というぐらいの意味。
正規の医者と無免許医は同等に扱われるべき、とか、無免許医の方が優れている、等という意図は一切 無く。

 現実には、アニメ化しようとして、何か「変える」時に、良い方向に「変わる」例は ほとんどありません。
 力のある制作者が、原作の魅力を理解した上で伸ばす方向に変え、成功している事はありますが。
 自身、創造する大きな力を持つアニメ制作者であれば、アニメ化されるに到るほど人気を得ている原作が、どれほど考え抜かれた、奇跡的なバランスで成り立っているのか、分かるはず。
 それに浅知恵で何か加えたり、何かを引いたりする事は、全てを台無しにしてしまう事。

 ちょっと手を加えるだけだから簡単、と思うのが、「創造力」欠如の証明で、緻密に組み立てられた作品のバランスを いじるのは、本来、新たに一本 作品を立ち上げるよりも手間も暇もかかり、大きな失敗のリスクを負う行為。
 よく編集さんが、漫画のコンテチェックの際、「ココをちょっとだけ変えて、後はそのままで」と言うけれども、ちょっと変えたら他も全部やり直しなんじゃぁぁ!という事例を聞いたり経験したりするので、体感的に。

 …あー、でも ふと思うけれども、この日記でアニメについて「ココをこう変えた方が面白くなる」なんて事を考え無しに書きまくっている自分が、もしかアニメ制作に回ったら、原作を台無しにするダメ制作者の見本になりかねない(笑)。
まあ、回らない(回れない)から、いいですか。

 スカパー!で、もう3回目ぐらいに『銀河英雄伝説』を見て、やっぱり面白い。
 こう言ってはナニですが、このアニメ、作画は不安定で相当に酷い事があり、演出にも鋭いような所はほとんど見られません。
 ただ原作に忠実に、何も足さず(いや、足してオリジナリティーを主張している部分は あるな)、何も引かず、「文字媒体である原作を、アニメで見てみたい」という客の希望に応え、なお面白さを損なわないためには どうすれば良いのか、そこに全力を注いだ作品。
 しかしコレが面白い。
 そういう作り方は、正解。

 原作と違う事を何かやりたいなら、自身のオリジナルで やるべき。
それは、正しい意見。
 でも、オリジナルでアニメを作れる機会は誰にでも何度も巡ってくる物ではないでしょうし、原作と まるで違う物にしてしまい、大成功する、『未来少年コナン』のような希有な作品も あり得るので、「変える事」については、多分ずーっと、判断保留にしておきたいと思います。
…無神経・無理解な変更を加えて原作を台無しにする個々のアニメを目にした時は、遠慮無く文句を言いますが。
 宮崎駿は、かつて こう言いました。
「原作との関わりについては、僕は、尊重しなければならないほど完成度が高い作品なら漫画映画にはしない方がいいんじゃないか、むしろ、原作は漫画映画の発想の引き金と考える方がいいんじゃないかと思っています」



 同ちくわ さんのHPでの情報より。
 ああ、『宇宙戦艦ヤマト復活編(仮題)』作るんだ。
松本先生の『大ヤマト零号』(未見)とは別に、西崎氏バージョンで。

 氏のHPに掲載されていた原案を読んだけども、まあ、まあ『完結編』ぐらいの内容。
それで良いとするか、そんな物なら作るなとするか、それは個人の考え次第。
 氏が手掛けた今のところ最後の作品である『YAMATO 2520』は、ヤンキーな お兄ちゃん達が その辺の工場でホイホイとシド・ミード・ヤマトを建造してしまう冒頭からして、極度の脱力モノだったが……
 『完結編』は、ファーストシリーズと切り替えてさえ考えられれば、過剰なサービス精神に満ちた作品であり、同時期に劇場公開された『クラッシャージョウ』『幻魔大戦』より好き。
 ただ正直、もう『ヤマト』じゃないような…商売としてはどうなのかな?
安く上げられさえすれば、それなりに?
手を抜いて作るぐらいなら、作ってくれない方が嬉しいんだけど。



 1969年の今日、日本時間で7月21日 午前5時17分39秒、アームストロングが人類初の足跡を、月面に残した。
 当時、父親に呼ばれてテレビでその場面を見せられた記憶があるが、小さいテレビだったし不鮮明な画像であり、しかも「月着陸」の意味や意義がチビに分かる訳など無く、ただぼんやりと、興奮する父親の顔ばかりを見ていた。
 それが、どれだけ凄い事だったのかを知るのは、ずっと、時間が経ってから。

 しかし…まだ「月着陸は捏造」って言う人が居るのね。
本屋には、そういうタイトルの新刊が出ていた(政治経済の専門家らしい人の本で、証明のためだけにもう一度 有人ロケットを月まで飛ばしてみろ、と書いてあるのには呆れる。いくら掛かると思ってるんだろう?)。

 「不安」なのかなあ。
愛飲し続けた乳製品会社のロクでもない製造実体が明らかになり、盤石に思えたブランドが崩壊、会社消滅。
疑いを抱く理由もなく企業名を認識していた自動車会社の、驚くべき無責任な経営実態も引きずり出されつつある。
 経済も政治も、会社も学校も、隣人も親も子供も信用できない。
 ならば、大アメリカ帝国が誇る偉業のアポロ計画・月着陸に、どんな隠された秘密があっても不思議はない、いや、何か自分が知らなかったウソがあるはずだ、あった方がかえって安心できる、無いと不安だ。
そんな気持ちが、この妙なブーム(もう廃れ気味?)を支えているのだろうか?


2004年7月20日 火曜日

 WOWOWで映画『座頭市』を見る。
 北野 武監督・主演の、新作の方。

 ゴタゴタ言う事ァ無い、娯楽時代劇。
 たけしの金髪は、登場時こそ「時代劇で?」という違和感を感じるが、すぐに慣れてしまう。
テレビで、その姿を見慣れているからだろうな。
 勝新が金髪で出て来たら、いくら何でも見てられなかろう(笑)。

 殺陣が面白く撮れている。
面白く…とは言っても、実力の拮抗する者同士が見せる丁々発止の やり合い…という方向ではない。
ブルース・リーやジャッキー・チェンなどによる、たっぷり時間を取った 殴り合いよりも、スティーブン・セガールの「雑魚からラスボスまでマーシャル・アーツで、たぁーっ!一撃決着」という見せ方に近い。

 たけしは確か、よくある「マシンガンなどで相手の足元を撃ち、踊るように飛び跳ねさせる」シーンが嫌いなんだよね。
拳銃は、撃てば当たる。刀は、抜けば相手が斬られる。
そういう理解による殺陣。
 刃を打ち合わせた所から、すすーっと相手の手元に刃先を移動させ、指をスパスパッと切り落とす、なんて小技を効かせた場面もあったけど。
 過剰な殺人数、あり過ぎる刀の威力(石灯籠も真っ二つ)からすると、ジョン・ウー映画や、ロバート・ロドリゲス『デスペラード』のガンアクションを、刀に置き換えた、とも思える。
 座頭市の無敵さ加減は単純に気持ち良いが、もう少しぐらい苦戦する場面もあって良かったような。

 ストーリーは分かりやすい。
「よくある時代劇」だけで説明できてしまうぐらい。
 座頭市が、そんなにまで事件に入っていく理由が弱い気は、する。
たけし監督・主演映画だと登場人物は、全く個人的な事情・動機だけで行動しており、無関係な他者を慮る事など 滅多に無いから。
 いや、「座頭市が個人の考えとして こうしたかったので、しただけ。他者のためではない」とも言えるけど。

 北野映画 独特の、アクやダークさが相当 薄められ、万人に向けたエンターテイメント性が強調されている。
そこが、監督作品を強く好んできたファンには不満を生じさせ、普通に楽しい映画を好きな観客からは好評を得られている要因だろうか。

 素早い刀の動き、耳に残る人斬りの音、デジタル合成により美しく宙を舞う血しぶき、「今」の目に耐えるべくリニューアルされた殺陣の有り様は、見ておいて損が無いと思う。
 予告で お馴染み村祭りのタップダンスも楽しかったけど、物語とは関係なくて ちょっと残念。
ここをクライマックスに絡めて欲しかったな。


2004年7月19日 月曜日

『蒼穹のファフナー』03.「迷宮〜しんじつ〜」

 逆に、誉められる所はないかと考えてみたが、特に思い当たらない有様の第3話。

 謎の敵による襲撃があり、現実と信じていたであろう島は奇怪な姿に変貌を遂げ、子供達に隠されている秘密は数多く、生徒から死者さえ出ているのに、特に動揺することなく普通に学園生活を送っている光景は、違和感、なんて生易しいモノじゃないな。
 子供達は、驚いたり疑問を持ったりしないように、親からマインド・コントロールされている?
『ザンボット3』の主人公達に、知らない内に施されていた、恐怖を取り除く睡眠学習のように。
そうとでも考えないと、これにはとても納得できないのだが。
 もしそうだとしても、親や司令部、支配が解けた子供から、「どうしてみんな平気なんだ?」という疑問や「分かっていても、やはり異様なものだ」という感慨の声が出されないと。
不思議な事態が起きているのか、単に失敗して不思議な物を作ってしまっただけか、それさえ判断できない。
 僅かに、召集令状を受け取る親の側は、動揺したり拒絶の意思を表しているので、「誰にも感情が無いアニメ」ではない事は理解できるけども……

 不思議な少女に導かれるまま、フラフラとその辺を歩き回る一騎。
 許認可レベルはエレベーターに乗れる程じゃーなかったものの、近くの階段を歩いて降りれば目的地にたどり着け、同じ事でした、って拍子抜けの描き方はどうかなー。
その先のドアは勝手に開いてしまうし。
 デザインの違いから、ドア含む少女の部屋周りの装置は、人類とは異質の文明・機構によって動いている?
だから、機械が一騎を特別に認めて、あるいは眠る少女がコントロールして、ドアを開けた?
 それにしても、不可解な状況下にある少女と目を合わせておきながら、特にリアクションを起こす事なく走り去る一騎は、人間とは思えない……
まあ、まあ、彼は強力なマインド・コントロールの下にあるって事で。
 しかし、重要であろう場所に認可を受けていない人間の侵入を許し、その事 自体にも全く気が付かない司令部の皆様の無能ぶりは……

 3話目まで来たが、正直、キャラの見分けが付かない。
ややもすると、母親と少女の見分けさえ危うい。
 「ブリュンヒルド・システム」「ソロモンの予言」……
特に、その意味する所を聞きたくもないオレ様設定用語が続出。
不親切なんだけどな……そんなのは客をドラマやキャラに馴染ませてから、小出しにするモノ。

 今回、個人的に一番のヒット(?)は……漫画を読んでた男の子のオヤジさんが、漫画家?だった事。
 一人で「大人気ロボット漫画」を描いてるの?
あの漫画雑誌全体が、島だけで作られているモノ?そうすると、他にも漫画家を営んでいる親が10人ぐらいは居る?編集者は?
 月一本程度の仕事かも知れないが、子供にまるで気が付かせないまま漫画を描き上げるのは、相当に難しいような。
ってゆーかスタッフ、「漫画を描く」って事を舐めてないか?ちょっとそこ座れ、説教だ説教!(笑)(場末のエロ漫画家は黙っとけ)
 子供達、あの島で生まれ育ち他の世界を知らないなら、漫画なんか、データベースに保存してあった(という設定にして)「ジャンプ」や「サンデー」から、時事ネタの絡まない作品をチョイスして製本すれば、それで済みそうだけど。
 あのオヤジが、自らのアイデンティティーを支えるモノとして、「漫画を描き、発表し続けたい」と望んだとか?あー、それなら分かるなあ。
 あるいは、オヤジの漫画はネットを通じて世界中に有料配信されており、アニメ化、映画化もされている大ヒット作。
その巨額の収入で島の経済は成り立っている、とか(無理あり過ぎ)。

 漫画を親が描いてるという事は、島のテレビ番組も、親たちが総出で作っている?
バラエティーなど、特殊メイクして別人に化けた親が、熱湯に突き落とされていたり。そいで家庭では子供に、「こんな俗悪番組 見てはダメ」「イジメを助長しかねない」とか、思い出し涙目で言ってたりするのか?
 …子供にマインドコントロールが出来るなら、「テレビは見ない、漫画も読まない」、一部PTA様が理想とする人格に調整した方が、簡単だろうに。

 突っ込み放題の内容なので そういう意味では楽しいが、普通に作品として見た場合、難あり過ぎ……


2004年7月18日 日曜日

『ニニンがシノブ伝』02.「忍者、花見で浮かれるの巻」「忍、楓とデートするの巻」

 んー…ギャグアニメとして、頭一つ抜けて出来が良かった第一回と比べると、テンションが落ち、ギャグの空回りも目につく。
お色気やシモネタまで影を潜めてしまった。
 それでもまあ、作画は高品質であり女の子達は可愛く、笑えるネタも数カ所はあったのだから、スタート時の高水準さから来る過度の期待さえ無ければ、「こんなものだ」と言えるかな。



『仮面ライダー剣』25.

 何だか今回は突っ込み所満載。

 どうしてバイクに乗るとパワーアップ出来るんだウルフアンデッド?
そんなアンデッドは今まで居なかったと思うし、コイツ単体にしても何の伏線も無いイキナリな展開なので、戸惑うばかり。
 ブレイドとギャレンを正面から倒す圧倒的強さを発揮しながら、殺そうという意志は見せずに走り去るウルフアンデッド。
それなのに、ちょっと行った先では、わざわざ人間の姿に変身して剣崎を待ち伏せ、不意を突いて殺そうとする(あの不自然な展開に騙される剣崎も剣崎)。
 2対1で戦ってさえ勝てたアンデッドが、どうしてまた そんな小細工を?

 前回、初登場して バイクを作るだけで全滅した慌ただしいアンデッドハンター・チーム、結局アレはどういう人達だった?
 ボードの生き残りが作った組織?ボード職員やアンデッド被害者の家族による復讐団体?ウルフアンデッドが自分の配下を集めて作ったウソ集団?新たに作られた公的機関の中にアンデッドが入り込んでいたもの?
 みんな死んだんだから どーでもイイと言えばイイんだけど。

 女性アンデッドを助ける虎太郎。
しかし信頼関係が生まれる事はなく、カリスにより彼女は倒されてしまう。
 助けた動機は、「始を信じたかったから、同じアンデッドである彼女を信じられれば始も信じられると思った」。
メチャメチャな言い分であり、「ある凶悪犯が信じられるかどうか、他の無関係な凶悪犯と仲良くしてみる事で確かめようと思った」みたいな行動。
 それで結局、始は好きになれない、という結論に達されても……
 製作者は、虎太郎を どう捉えて欲しいのだろうか?
見たところ、「お人好し、と言うより、勝手な事ばかり ほざく行き当たりばったりの馬鹿」なんだけど。

 サーキットに現れるウルフアンデッド。
……何をしに?他のアンデッドを倒すんじゃなかったの?
 ただただ走るのが好きだから、速いバイクレーサー達と真っ向 熱血勝負をしてみたかった…のかと思えば、あんまり効き目のない妨害衝撃波を連発してコケさせる。
 一度倒れながら、根性でアンデッドを追いかける生身のバイク乗りは、何を考えて そんな行動を取った?追いかけて どうしようっていうんだろ?
 アンデッドが発する衝撃波を、バイクのスリップ・ストリームに入る事で無効化するレーサー。この秘策を教えたかったのかな?
 しかし「スリップ・ストリーム」って そういうモノだっけ?風の抵抗を減らすだけかと思えば、衝撃波(だか何だか)から守ってくれる不思議な働きもあったのか(笑)!
 この辺、サーキットとバイク乗りのガッツを描いたのは、ブレイド・チームも出場するというレースのプロモーションなのだろうが、露骨すぎ、下手すぎ。
戦隊の、りんどう湖ファミリー牧場とのタイアップの方が、まだしも努力してるぞ。

 ブレイド、スリップ・ストリームに付けと言われたばかりなのに、一度目のアプローチは全然違う所を走って失敗、二度目はカードの力を使い、アンデッドを「追い越して」「自分はバイクから降りて」攻撃。
…もうスリップ・ストリームとか そんなモノ関係ねーじゃん。
 「追い越してどうする!」と言いたくなる気分から、伝説の電波映画『幻の湖』を連想。

 ああ、突っ込み所が多すぎるよ!
 バイクは、仮面ライダーというキャラクターにとって、アイデンティティーとも言える最重要アイテム。
 そのバイクを悪用するアンデッドと、走りで勝負!というストーリーは、もう少し上手く作ってくれればファンの心を十分に熱く出来たと思う。
 それが、さっき思いついた程度の…「電波」すら感じてしまう萎え萎え お馬鹿さんシーンの連続で台無しにされており、とにかく残念。
 いや、「スリップ・ストリーム」には笑ってしまったから、いっそグイグイ馬鹿展開を押し込んで大爆笑ギャグ話に持って行く、って手もあったかな。
今回の内容からは、そちらへの改変の方が簡単そうだ。


2004年7月17日 土曜日

『GIRLSブラボーfirst season』02.「学校でブラボー!」

 ミハルに価値付けをする話としては、ちょっと不満。
食いしん坊は構わないけど、度を超した「大食い」になると、そのマイナス面を埋める特殊能力(食事をエネルギーに変えて空中元素固定装置を働かせるキューティーハニーのように)でも発揮してくれない事には、養うのが大変そうだなあ とか所帯じみた考えに行き着いてしまうから。
そんな貧乏性はオレだけ?(笑)
 見た目の可愛さと素直さ、他者に好かれる性格に加え、主人公の努力を正しく評価してくれる所など、プラス面も確かにあるが。
 それなら、主人公を虐待するフリをしながら、その実 誰よりもその良い所を認めている幼馴染み少女の方が、今回での魅力プラス度合いは高い。
実は、メインのヒロインはこっち?

 予告で見て、今回登場する美形お兄ちゃんは『うる星』面堂のような強力ライバルキャラかと思ったけど、実は自爆馬鹿キャラ。
 「萌え」系作品で主人公の周りに配置されるのは、こういうタイプが多いような気がする。
油断していたら自分の愛する者を奪い去られかねない優れたライバル、というより、主人公の足を引っ張り「劣った」面すら多く見えてしまう、厄介者。
 負けないよう頑張らなければならない、と考えるのはシンドイ事であり、努力してモテようとするどころか、言い寄ってくる女性達を どうやって捌けば良いのかに苦労している「萌え」作品では、主人公を追いつめ、「物語」への熱中度を高くする強力なライバルは、余り必要とされないのかな。



『真月譚 月姫』最終話.「月世界」

 うーん…恐らくは原作から略されている部分が多すぎて、語ろうとしている内容が素直に頭の中に入ってこない。
 主人公を置いて、単身ロアとの戦いに臨むアルクェイド、その行動理由は?
不利な戦況だったからこそ、主人公の力を利用…活用して、共闘しようとしていたのでは?
神祖としてのプライド?主人公への愛ゆえ?
 相手が強い事を知り、しかも自分の力がまだ本調子ではない事も理解して、差し違える手段も持たずに真っ正面から戦い、負けた。
…それはどうなんだろう?
何ら主人公のためにならず、自分が負けた後はロアと主人公が戦う事になるのも分かっていたはずで、ちょっと無計画・無責任にも思える。
 主人公の力は「自分を殺せる」ほど強いと知っており、だからロアにも勝つのが当然だと思っていたから、この戦いはただ、自分の始末を付けるために行ったとか?

 ロアと主人公の戦い。
 「見えてる物が違うんだ!」は主人公の能力と引っ掛けてあり、決めゼリフとして凄く良いと思うが……具体的に、何がどう違うのか、よく分からない。
 戦い自体の決着も、通路を崩す点を突く戦法は予想も付かないモノではなかったろうし、ロアの超人的であろう反射神経を持ってしても瓦礫の下敷きになってしまったのに、主人公は無傷な上、彼の背後で待ちかまえてました…っての、都合良すぎ。

 「ロアを殺したのは私」と言い出すシエル。
主人公に配慮する気持ちは分からないでもないけど、戦いで彼女が余り役に立たなかった事もあり、急にそんなこと言われてもなあ…と感じられる。
 それに、主人公は出会い頭のアルクェイドを正体も知らないままバラバラに切り刻んでしまう殺人鬼であり、またその事実を記憶していながら一切 葛藤を抱えたりしない(おまけに殺したはずの相手と寝てしまう)異常者でもあった訳で、シエルは知らなかったのだろうが、気遣いなど要らない男では?

 結局 同級生の女の子は、何でもナシ?
客が皆殺しになったホテルに居たはず、というのは、主人公に一時的な戦う動機付けをするためだけの勘違いイベント?
 彼女が告白をして振られたらしい、という所と(友達の「頑張ったじゃねえか」というセリフはイイねえ)、主人公を想っているようでありながら実兄の死に涙する、複雑な秋葉のリアクションは良かったと思う。
 結局、中心にいたはずのアルクェイドと、殺人鬼なのか常識人なのかもはっきりしない主人公が、一番魅力のない存在に感じられてしまった。

 全体に。
雰囲気などで面白い所はあるものの、まあ凡庸な、よくあるアニメ。
 女性キャラ全員と遊園地デートをする、あの番外編エピソードが最も印象に残っている…ってのは良い事かどうか。



『ニニンがシノブ伝』01.「見習い忍者、忍見参の巻」「頭領、現るの巻」

 もの凄くボケ倒した忍が可愛い。
 本人は姿を消したつもりで、でも全然消えてないというボケなんて、驚くほど古典的なネタだなあ。
一人二役を必死で隠そうとする相手を前に、二人を同じ場所に集めようとする所もまた、古典的で逆に笑ってしまう。
バラバラになった体のパーツが落ちてくる妙に猟奇的な分身の術や、トラックにはねられる高度までしか達せない飛行術は、独創的だけども。
 音速丸には爆笑。
これはもう、ネタというより若本 規夫声のヒキョーさに寄る部分が大きいような。
そりゃあの声でアホな事言われたら、笑うしか( ^_^ )。

 作画は良好、演出のテンポも素晴らしい。
 すぐ脱いでしまう忍の ちょっと(かなり?)えっちなサービスシーンに加え、音速丸のタマを何度となく直撃するシモネタもアリ。
 女の子の過剰な程のムチムチさ加減が、目に心地良い。
 このレベルを維持していけるなら、ギャグアニメとして楽しい作品になりそうだが……



『MADLAX』15.「偽争-camouflage-」

 制服を着込み生徒に変装して、マーガレットを守るため学園に入り込んでくるエリノア。
…まあ別に見た目 自然なんだけど、エリノアって何歳ぐらいの設定なんだろ?
 変装とはいっても、制服を着ている他はメガネをかけている事ぐらいしか違わない彼女に対し、「どちら様でしょうか?」と問いかけてしまう大ボケ マーガレットは当然だが、そんなのはいつもの事だからか変装に自信があったのか、それに笑顔で応えるエリノアも、相当に調子外れ。
 「無断で学校に入ったらダメなんだよ」という意外にも常識的なマーガレットの発言に、一瞬のけぞるエリノア。
 お嬢様の本を守るためだから目をつぶって、という要請に本当に目を閉じて応えるマーガレット、「ありがとうございます」と礼を言うエリノア、「どういたしまして」とマーガレット。
礼を言う方、言われる方が いつの間にか入れ替わってしまっている(普通、自分を案じてくれたエリノアに、マーガレットが礼を言うべきだろう)、このズレ方が、お嬢様・メイドによる「漫才コンビ」の持ち芸。
 ここいらは実に楽しかった。

 で、肝心のメインストーリーは……うーん、やっぱりダラダラしていてどうにも……


2004年7月16日 金曜日

『ギャラクシーエンジェル 4th』03.「ラッキーモンキー汗かきベソかき穴あきー焼き」04.「友情の切り身お試し価格」

 前半。
 突然、状況が よく分からない絶体絶命の危機に直面しているエンジェル隊。
そこから…なるほど、爆弾分解か。
 あみだくじ状で対応が難しいタイマー(?)と、色々考えて身動きできなくなってしまうエンジェル隊、それに加え、爆弾に付けられた根性の悪いAIによる挑発まであり、上手く転がしていけば ここでのシチュエイション・ギャグだけで15分間、十分にもたせられたろう。
 それを、今回のテーマ(笑)である「ちくわ」のため、割にアッサリと片づけてしまう。
 爆発から逃げようと必死な余り、突然のテレポートを敢行したミルフィーユが、暴走する超能力のために襲来した敵機を次々どこかに すっ飛ばし、結果的に基地が救われるシーンも、実にアッサリ。
 理不尽で脱力してしまうオチにも感心。
 アイディアの出し惜しみをしない、やたら贅沢な作りだった。

 後半。
 凶悪ストーカーとしてエンジェル隊を付け狙う存在になるものかと思われた ちとせが、意外にもミルフィーユと仲良しになる…なりそうになる話。
 幸運の遺伝子を持つミルフィーユの、凄さと恐ろしさを知らない ちとせ。
無知な者の目を通す事で、ミルフィーユの特異性を新鮮に描ける、新キャラを加えた意味は こういう所にあるのかも。
 ただ…お腹を壊させるケーキ(単に食べ過ぎたため?)は まだしも、棺桶に入った ちとせを宇宙に打ち出すミルフィーユの行動には悪意が感じられ、ラストの邪悪な笑顔でダメ押し。
うーん、彼女は「悪気がなくとも人は殺せる」を実践している事こそ、最も恐ろしいと思うのだが。
 ちとせのリアクションだけでも、面白く見られる内容。


2004年7月15日 木曜日

『ウルトラQ〜dark fantasy〜』15.「光る船」

 相変わらず『ウルトラQ』というよりは『世にも奇妙な物語』風エピソードだが、今回は出来の良い『世にも…』だった。
 「光る船」を、夜明けまでに海に辿り着かせる事が出来れば生まれ変われる…という何だか あやふやな話を信じて実行しようとする若者と、リストラに遭い妻子と別居中で失意の中年男のストーリー。
 普通、頑張って・挫けて・仲間割れして・再び協力して・どうにか最後までやり遂げる、といった構成になるものだが、流し始めて すぐの地点で、船が川に沈んでいたバイクにぶつかり破損、そこで二人とも すっかり諦めてしまったのは意外。

 頑張れない、やり遂げられない、すぐ挫けてしまうダメダメな男達が、そんな彼らだからこそ目にする事が出来た美しい奇蹟に触れ、しかも その奇蹟自体に助けられた訳ではなく(奇蹟による恩恵は「アイスの当たりくじ」「500円玉拾った」くらい…いや、二人が出逢った事自体が奇蹟か)また続きの人生を送っていく。
 「頑張れ!」という強力なメッセージではなく、「頑張れなくても、生きてさえいればまたイイ事あるって」と優しく語りかけてくれ、同じダメ人間の心には しんしんと染みて来る、生きる気力が湧いてくる お話だった。

 船にぶつかったバイクが伏線になっている小技が有効。
クイズの答えをラストで さりげなく示すのも、気が利いている。
 次回はガラゴンが再登場するみたいだし、段々と面白くなってきた……ような気がする。


2004年7月13日 火曜日

 単行本「HA-HA」、めでたく増刷の運びとなりました。
売れるか売れないか、バクチだと、本人含む関係者一同 大変にドキドキしておりましたが……望外の売り上げのようで。
 当然ながら全て、お買い上げ頂けました皆様のお陰。
深く感謝すると共に、これからも頑張らなきゃなあ、と思う事しきりです。

 まだまだ発売中ですので 多少なりとご興味がお有りの方は、一つ、よろしくお願い致します(揉み手)。
一般書店様からはボチボチ姿を消す頃かと思われます。
その際は上記 インターネット書店様などをご利用下さい。

 という訳で、悲惨なスケジュールに突入。
次回の、比較的まともな更新は、金曜日頃になる予定です。


2004年7月11日 日曜日

『DearS』01.「甘噛みたいの」

 原作は未読。
 在りモノ設定ばかり集めて、一本 作品を作り上げる事は、別に悪いと思わない。
面白くなっていく方向性を示す事で、見続けるだけの価値付けをしてくれるなら。
 そういう面を含め…この一話目は、大きな不備こそ無いものの、弱いなあ。

 大家の娘で主人公の幼馴染みである不機嫌メガネの女の子、露出・色情狂の担任女教師……美味しい要素だとは思うが、まだ調理が足りず、素材をそのまま出されたような気分。
 裸で行き倒れている所を拾われた宇宙人少女ヒロインも、、余りにプレーンな描き方で、だからこそ ここからどのようにでも伸ばして行けるとは言え、まだ取り立てて魅力は感じられない。

 一般人向けの作品としてはオタク傾向が強いし、オタクにアピールするには寄せ集め・アリガチに過ぎ、独自色が弱い。
どういった層をターゲットに考えているんだろう?
 ヒロインを追う者達が出てきて、宇宙人の内部事情が描かれていく事により、面白くなる事を期待して、もうちょっと見てみよう。
しかし…放送作品過多の現状では、この一話目で切る視聴者が多く出ても、仕方ないだろうな。



『ケロロ軍曹』15.「桃華 裏桃華 降臨 であります」

 二人になってしまった桃華。
元から穏やか・凶暴の二重人格だった、それがそれぞれ体を持った感じ。
 ホラー調の話だと、凶暴な方が穏やかな自分を殺し、唯一の「自分」になろうとする、ってのが定番(この前の『ウルトラQ』もそんなような話だった)。
 が、この作品では、どちらも冬樹を一途に想い、凶暴な方も「凶暴」というだけの事で、積極的に行動し告白する勇気を持たない、「イイ子」。

 互いに互いを思い合い、相手の方が残って自分は消えるべきだと考えている所など、なかなかに感動的。
二人が一つになる所に、彼女らからの、あるいは冬樹の方からの告白イベントでも組めば、結構 泣かせられる話になったのではないだろうか。
 まあ、ギャグアニメだし、告白したら終わってしまうキャラでもあるので、それは無理かな。
 テンポ良く、アチコチ笑わせられる所もあり、出来の良い話だった。


2004年7月10日 土曜日

『無人惑星サヴァイヴ』37.「弱音を吐くな」

 航海に出た船の中、仲間達が次々に船酔いで倒れていく。
その苦しさの余り、ルナに当たる者も。
 泣きっ面に蜂で、そんな船を嵐が襲う。
 嵐により起きる様々な困難の状況が、非常な緊張感を持って描かれており、やっぱり「殺人」にまで到る訳もなくイマイチ危機感を感じられなかった凶悪犯との戦いよりも、容赦のない自然の猛威に立ち向かう勇気を描く方が、面白く感じられる。
その試練を通して、もう一度 仲間達と心を一つにしていく構成も、お約束ながら心地良い。

 何とか嵐を乗り切って めでたし目出度し…で終わるかと思えば、ルナが波にさらわれてしまう。
 救命胴衣を身に付けているから死ぬ事はないが、これからしばらく、大きく二つに視点を分けたドラマになる?



 明日が参議院選挙の投票日です。
 暑いですけど、面倒臭いですけど、ぼくも締め切りがあるんですけど(;´д⊂)、それでも権利のある方は、必ず投票に行きましょう。
それは、義務であるより、まず、「権利」ですからね。

 どこに投票したら良いか分からないし…という方は、こちらのHP下部のバナーから入る「反ヲタク国会議員リスト」という特設ページなど読まれますと、投票所まで出掛ける原動力になってくれるかも知れません。



『KURAU』03.「追う者たち」

 おおー、『プラネテス』か?と思わせる、軌道上の宇宙貨物船事故。
軌道保安庁(?)の制止を振り切り、姿勢制御が出来ず不規則な回転を続ける貨物船に乗り移ろうとするシーンの緊張感は、宇宙ならではのシチュエイションを活かしており、手に汗握る。
 操縦室に向かい、パイロットの生存を確認、しかし貨物船の機能は使えない。刻々と迫る衝突までのタイムリミット…実に面白いシチュエイションで、この危機をどうやって切り抜けるのか、に、シナリオライターの手腕が問われる所。
 で……
「クラウの不思議な超能力でエンジンを起動させた上に機体をもねじ曲げ、衝突に到らず、助かりました」……うーん……
 事件そのものの解決法としては、大きく不満。アイディアが不足しているから。
しかし、命 長らえたパイロットが、ステーションの窓越しに、駆け寄ってくる家族の姿を目にするシーンの感動と、ここでの派手な超能力の使い方がラストの展開に繋がってくる構成を考え合わせれば、良し、かな。
 ところで、雰囲気が『プラネテス』っぽかっただけに、貨物船のパーツがバキバキと剥がれて行く所では、「デブリが、デブリが増える!」などと余計な心配をしてしまったり(笑)。

 のんきなクラウの監視者と、不穏な襲撃者の対比が面白い。
 クリスマスを抱えて追いつめられ、危機一髪のクラウは……
またも不思議な超能力で、空を飛んで逃走。
 んーーー…こんなに何でも出来てしまうと、今後、アクションに緊張感が無くなるような…
 力に制限を設ける事が必要じゃないかな。
ストレートなアクションではなく、ドラマによる搦め手で面白さを演出していく狙いなら、別に構わないけども。


2004年7月9日 金曜日

『絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク』15.「眼下の敵!深く静かに潜航せよ」

 キュベルネスの船に乗り移ったベス。
今回は、彼女を主役に据えた話だった。
 爆雷に翻弄され、限界深度に怯えるベス…ああ、これこれ、こーゆーのがあると「潜水艦物」だなあ、って気分が盛り上がる。
 水圧で、開かなくなっていた魚雷発射管をコジ開ける海賊戦法が何とも。
そう上手く行くか?と思うけど、「ムチャクチャやなあ」というキャラクター・イメージを定着させるのが狙いなのだろうから、問題ない。
 勢いが付いてきた。



『鉄人28号』14.「怪盗ブラックマスク」

 うーん、帝銀事件を絡めるのは構わないけど、そのために これだけが「殺人事件」になってしまうのは、どうか。
他のシチュエイションでは もうちょっと華麗な「怪盗」然としており、これだけ妙にドロくさい。
 あと、瞬間移動装置があるなら、何も銀行員を殺す必要など無いような…
 ラスト、自身の死をもって その罪を償わせるに足る事件、という事で、殺人を設定したのかな。
 鉄人が ちーとも活躍しないけど、何だかそれには慣れてしまった(笑)。


2004年7月8日 木曜日

『ギャラクシーエンジェル 4th』01.「非凡平凡チョコボンボン」02.「貴女をおもゆ…」

 前半。
 いきなり団地妻になっている蘭花、口うるさい管理人のミント、生活に疲れた顔でスーパーのレジを打つフォルテ、赤字スーパーの異常行動店長ヴァニラ。
そして何故か、調子の狂ったBGMに乗って、どこぞのお姫様になっているミルフィーユ。
何のアニメだよ?
 「いくつものシリーズを重ねてきた作品とはいえ、放送に間があっての第一話は、基本設定やキャラクターの立ち位置を思い出してもらうべく、基本ラインに沿った話をすべし」ってのが常識的作り方だと思うが、そんなモノを まるっきり無視した、すっ飛んだ開幕。
 …でも、この無責任さ、立ち位置の分からなさ、お話のデタラメさが『ギャラクシーエンジェル』なのだ、と言えば、その通り。

 新キャラ加入、という事で、お話濃度が薄まってしまうのではないかと危惧していたが、ここでは「背景をウロウロしていても、誰一人 気に止めない存在」として描かれている。
これまたセオリーを もの凄い勢いでひっくり返す、シナリオ学校の課題として提出したら間違いなく落第点だろう、このアニメでのみ許されるルール破り。

 後半。
 新キャラ・ちとせ が正式に登場する お話。
 病室から、外の通りで遊んでいるエンジェル隊を見つめ、一緒になって遊びたい、と願う病弱・薄幸と思われた美少女が、隊員に つれなくされる事で ちょっと電波な異常行動を発揮し始め、勢いが付いて最終的には、無駄に元気な上に何故かエンジェル隊に復讐を誓うストーカー女へと変容してしまう。
 様々なタイプのレギュラーキャラが既に居るのに、まだ新キャラを加え、その個性を際立たせようとするのは困難を極める作業だったと思うが、今回はまあ、上手く見せられていたと思う。
扱いが難しいキャラになりそうでもあり、今後の脚本は苦労しそう。
 エルボー好きの双子、チヨコとレイコのネタを引っぱる、不条理な小技が おかしかった。

 2話とも、正直もう、とっくに限界を超えていると考える この作品の新エピソードとしては、非常に頑張った出来。
ただ、「セオリーを無視する」事をセオリーとしてしまった、自由なようで全く不自由な創作環境に足を取られている部分が早くも見受けられ、心配。
 後は、各話ライターが どれだけバラエティー豊かな話を書けるか、演出のテンションがどこまで維持できるか、に、かかっている。
過剰な期待無しで、気楽に見続けたい。



『お伽草子』01.「頼光」

 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の後を受けて始まった、同じくProduction I.Gが製作する新作。
 描くのが難しい『魍魎戦記MADARA』『多重人格探偵サイコ』の田島 昭宇先生によるキャラクターデザインを、さすがのクオリティーで動画にしている。
 監督の西久保 瑞穂は、名前に見覚えがあるけど誰だっけ?と思い調べると、アニメ『みゆき』の監督だった方。『赤い光弾ジリオン』も、そう。
んー…どちらもアニメの出来としての評価は…少々微妙。

 舞台背景は平安時代…というより、安倍晴明の時代、と言った方が通りが良いか。
 一話目は本当に発端だけで終わっており、勾玉を求める頼光(その妹による偽名?)と渡辺綱によるアクション、宮廷内で権力争いに巻き込まれ命の危険に晒される頼光の運命、という2本立てで しばらくは進む事になるのだろう、という予感があるのみ。
 バトルの緊張感はそれなり、宮廷内の勢力図はちょっと分かり辛い。
端正でシャープな絵柄のキャラクターではあるが、それだけに『攻殻』のような柔らかいユーモアを意図して入れていかないと、見る者を寄せ付けない冷たい雰囲気を持つ作品にもなりかねない。

 制作会社への信頼で、視聴継続。



『真月譚 月姫』11.「凶つ夜」

 シエルにより、語られるアルクェイドの正体。
…確かに、アルクェイドが何者なのか、という説明が酷く不足しており、そのためにドラマ内容に入り辛い部分はあったが、それはイコール「早く説明を聞きたい」という事では、無いんだけど。
 ドラマ自体が面白い事、その所々に巧妙に、好奇心を刺激する形で彼女の正体に到るための伏線・手掛かりが ちりばめられている事が、謎解きを面白く見せるには必須条件。
それ無しで、ぼちぼちシリーズも終わりだから説明しておくか、という態度をもって語られても、イキナリ設定書を読み上げられるような、戸惑う気持ち以上には なれない。

 秋葉が語る、主人公と遠野家の秘密についても、同様。
ああ、そうですか、以上の感想を持てず。

 上記二つ、主人公とヒロインの設定を明らかにするという「義務」を果たし、安心したのか、驚いた事に、唐突に主人公はアルクェイドとベッドを共にする。
 ????????
 それほどの愛情関係があったっけ?目が点になってしまう。
 好意的に解釈するなら、一人ぼっちであり戦うべき宿命を背負った自分を自覚した主人公が、同じく孤独な定めを持ったアルクェイドに対して、深く通じ合うものを感じ、くすぶっていた想いが「愛(即物的に言えば、やりたい気持ち)」へと昇華していった、という事なのかな。

 うーん……ロアも強いんだか弱いんだか よく分からないし、クライマックスに向けて気分は盛り上がらない。
 が、ホテル襲撃の際、殺されていたはずのクラスメート少女が生きている理由など、まだ明らかになっていない伏線(?)があるので、もう一山あるのだと信じたい所。


2004年7月7日 水曜日

『ウルトラQ〜dark fantasy〜』14.「李里依とリリー」

 オリジナル『ウルトラQ』「悪魔ッ子」のリメイク?オマージュ?という内容。
 自分の霊体が本人を殺そうとしている、って概念がよく分からない。
まあ、ドッペルゲンガーとか そんな感じで理解すればいいのかな?

 登場する少女が、とにかく可愛い。
そしてその無邪気・純真・透明な可愛さ故に、悪意を感じさせるニタリとした笑い顔になると、真逆のベクトルに向けて突き抜け、ゾッとする程 不気味に見えてしまう。
 もう この回は、悲劇の少女を演じた お嬢ちゃんのキャスティングと演技の頑張り、それが全てと言って良い。
 エンディングも、姿がハッキリしなくなった霊体の少女が笑いながら病院を走り回る、ハッピーエンドともアンハッピーエンドとも付かない居心地の悪さが残るモノで、ホラー話としては悪くなかったが。
 見終わって、「何か見た」気分が残るエピソードは、新作『ウルトラQ』では珍しいな。



『月は東に日は西に』01.「空から舞い降りた少女」

 『ゴーダンナー』が終了した後、「アニメ魂」枠で始まった新番組。
 冒頭の、廃墟と化した都市の夢と、5年前以前の記憶が無い主人公の設定が伏線となるらしい所がアクセント(そんなには…独自のモノじゃないな)。
それ以外は、まあ女の子が空から降ってきたりはするものの、普通の「萌え」系学園アニメ。
 『せんせいのお時間』のようなチビチビの先生。
世話焼きで いかにもな幼馴染みの少女。
ちょっと生意気な従妹。
 心地良いキャラの取り揃え方。
 特に期待が膨らむような第一話ではないが、イヤな所もなく、とりあえず見続けようかと思わせる内容ではある。


『Wind -a breath of heart-』01.「再会のメロディ」

 「アニメ魂」後半の15分で放送されるアニメ。
うっかり見ていたため、『月は東に…』が15分区切り2話連続で放送されているのかと思ってしまった……というぐらいに、この2本には余り差がない。
 いや、キャラクターデザインの雰囲気など全然違うんだけど、それぐらいは、最近、制作事情から必ずしも作画が安定しないアニメシリーズにおいて、珍しい事じゃないし(笑)。
 調子のいい主人公の友達、彼の幼馴染みでメガネのカタブツ学級委員長タイプながら彼の性格を正しく優しく把握している少女など、キャラクターは生き生きと描けている。

 …が、起床・登校から物語が始まる所、登場する喫茶店状の場所、そこで働く金色髪のウェイトレス、など、前の『月は東に…』と同じような雰囲気になってしまったシーンがあり、連続放送のマイナス効果が危ぶまれる所。
 「萌え」系、女の子を一杯出してみました作品では、第一話で ある程度 各キャラを立て、魅力を感じてもらい、気に入った彼女のために次回も見よう、という気持ちになってもらうのが急務。
だから、30分あっても時間は全然足りない。
 なのに その半分、15分弱しかないのでは…
キャラ紹介も中途だし、物語が始まる以前の段階で第一話は終わり。
 そのため、見終わって ちょっとすると、「あれ?チビの先生が出ていたのはどっちだっけ?」「メガネの委員長が出てたのは前半?後半?」「記憶を失ってる主人公、子供の頃の夢を見ていた主人公は、どっちがどっち?」という辺り、ゴッチャになって分からなくなってしまった。
 2作品とも、強烈な印象を残す所まで行けなかったような。
どうしてこんな、同じような系統のアニメを2本連続放送するなんてムチャするかなあ。
相殺効果しか生まないと思うが。
 両作とも原作ゲームがあるので、それをプレイしたユーザーだけをターゲットと考えている?

 画面的に、3DCGの積極的、しかもアニメキャラクターと違和感ない形での活用が目に付く。
放課後の教室で、窓辺に立つ主人公に対し机をなめる形でカメラワークを取る所など、なかなかに効果的。
 これも、別にイヤな所もないので見続けようかと思う。


2004年7月6日 火曜日

『GIRLSブラボー First Season』01.「お風呂場から・ブラボー!」

 「ブラボー」って(笑)。
「First Season」という事は、「Second」に繋がるような完結しない形での終わり方が、最初から予定されている、という事かな。
 もの凄く分かりやすい「萌え」アニメ。
 作家性を主張しようとか、しち面倒臭いテーマを語りたいとか、そういう意図をまるで感じさせない徹底ぶりに感心。

 主人公は、小さい頃から女の子達に虐められてきた事で すっかり女性恐怖症となり、触られるとジンマシンが出る体質になってしまっている。
旧アニメ版『花右京メイド隊』での主人公の設定と同じ。
 これが「萌え」作品には大事な所で、「女に飢えている」「女の子に取り囲まれて、素直に超ラッキーと感じる」「やりまくったるぜー!というような認識を持ち行動に移す」、こういったキャラは、主人公には向かない。
どちらかというと女の子はちょっと苦手、あるいは、余り関心を持たない。
自分から積極的に行動するどころか、女の子に迫られると引いてしまう、極端には「体に異変が起こる」。
 そういうのが、視聴者に感情移入してもらう設定として、有効。

 現実のイケメン兄ちゃん達には、女の子が寄ってくる。
 現実の普通お兄さん達は、モテようと一生懸命 女の子にアピールする。
 現実のオタク兄さん達(自分含む)は、座して女の子が大勢 迫ってきて困る「夢」を見る。

 だから、女性に言い寄られて困っちゃう男の子、というイメージには素直に感情移入が出来るのだが、それでも「モテモテで うはうは」ばかりを見せられていると「所詮 絵空事(他人事)」と思われ距離を感じさせてしまうので、何らかの要素を持って都合の良さにストップをかける必要が出てくる。
 外的要因として女の子達の方に問題を設定する手もあるが、肝心要である彼女達の価値を減じては元も子もないため、「萌え」中心作品としては、男の子の方にモテモテ状況を喜んでばかりはいられない理由を設定し、適度に距離を取らせ、感情移入してもらえる程度に「夢」度合いを調整するのが常道。
 まあ、「スイカに塩をかけると、かえって甘みが増す」程度のマイナス要因だけど。

 あ、本作品について 余り書いてないな。
いや、でも実際、構成されている要素はほとんど「在りモノ」。
独自性が薄いもので、取り立てて書く事はない。
 勿論、それで良いのだ!
客の要求に100パーセント応え、うざったい主張 抜きで、スッキリと気持ち良く見終えてもらえる作品を作る姿勢もまた、プロとして正しい。
 作画は良好、女の子は可愛く描けており、乳揺れサービスも過剰な程。
予告だけで、かなり正確に予想できたと思われる次回内容も、楽しげなモノ。

 視聴継続。
勉強させて頂きたい。
 ただ、一話毎の感想は書かないかも。



『名探偵ポワロとマープル』01.「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」

 クリスティーそのものを少ししか読んでいないモノで、ポワロにもマープルにも、強い思い入れは無い。
『ナイル殺人事件』『オリエント急行殺人事件』など、映画での印象が強いぐらいで。
 強烈な個性を設定されたホームズやコロンボに比べると、ポワロは割に まっとうな人物であり、事件の方に掛かるウェイトが高くなってしまう。
でも、お話を短く終えなければならないのであろう形式では、余りに凝りすぎたトリックは使い辛いため、メイベルという少女を設定し、普通の女の子である彼女の目を通した事件や人の有り様、ポワロの様相と凄みを描き、彼女自身の成長を「シリーズを見続けさせる動機」として用意したのだろう…か?

 一話目は…うーん、事件内容としては食い足りない。
もっと分かりやすく意表を突いて来る、推理のゲーム性を映像的に増した『名探偵コナン』が存在する今となっては、余計に。
 大きな事件の描き方とキャラクターの扱いで、面白くなっていく事を期待して、視聴継続。



 しまったあ!『マリア様がみてる〜春〜』見逃したあああぁぁぁ!


2004年7月5日 月曜日

『蒼穹のファフナー』01.「楽園 〜はじまり」02.「告知 〜いのち」

 1時間スペシャルで始まった、新作。
 謎の敵、謎の味方組織、謎の自分…『エヴァンゲリオン』後追い企画ではあろうが、本家には及ばず。
 偽装された平和な空間、住民(子供達だけ)が知らぬ間に その外側世界はエライ事(日本消滅)になっていた…というのは『ラーゼフォン』的。
でも、『ラーゼフォン』の方が導入部は上手かったし、戦闘の緊張感、画面構成レベルの高さなど、もっと見るべきモノがあった。

 『ファフナー』は…
 謎の襲撃者により、「穏やかで良い所だが、刺激に欠ける」と思っていた主人公達の暮らす島の様相が一変する、その衝撃を感じてもらうのが、1話目のキモではなかったのだろうか?
その前提となる島状況の説明が圧倒的に不足。
 一騎が さっさとシェルターに避難しており、島がどうなっているのか よく分かっていない(はずの)ため、「ロボットに乗らなければならない(逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ)」理由付けも全然足りない。
 例えば…逃げ遅れた病弱な女の子を助けるべく、一騎は級友達と彼女の家に向かい、そこで危機に見舞われる島の様子を体感。
防衛用兵器の出現には、クラスメートが驚くリアクションを入れる。
これだけで、キャラの個性も戦況も、ずっと分かりやすくなったのでは?

 それでも、ロボットによる戦闘の出来が良ければ、その魅力で引っ張る事が可能だけれど……つまらない、というのは可哀想だろうが、凡庸な内容。
 何となく乗り込み、迷いも葛藤もなく戦い、相手が爆発(?)したのに巻き込まれたが、無事。
 機体は大破した?ロングで済まされたのでよく分からないな。
ロボットは何機もある、あるいは短期間で修復可能?そうでなければ、酷く壊れたようなのに、基地内から特に何の反応も出てこないのが納得できない。
 単純に作画や演出だけを取り出しても、取り立てて抜きん出た所はなく、盛り上がれない。

 クラスメートや島民に死者が出、島の様相が一変しており、襲撃者の正体も一切 謎。
こんな状態へと変わった後まで、割と普通の事を話したりしているキャラクター達も、どうか。
ご飯の支度がどうだの、そんな事 最初に話さないだろ。
 ショックが大きすぎて、かえって日常に逃げ込もうとしている…って演出はアリだと思うけど、とても そうは見えないし。
 今、どのキャラが、何について、どう思っていて、だからどういう行動を起こすのが自然なのか、把握し切れないまま作り出してしまったような印象。

 『エヴァ』も『ラーゼフォン』も基本は「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語だったが、これは、『ガンダムSEED』後の作品らしく、まず「ボーイ・ミーツ・ボーイ」。
シンクロして男の子同士が ぴったりと体を寄せるシーンなど、やおい層にアピールする気 満々。

 導入部は…上手くなかったと思う。
 次第に整理され、面白くなってくる事を期待して見続けよう。



『ルパン三世(HVリニューアルマスター版)01.「ルパンは燃えているか…?」

 WOWOWで放送が始まった、ルパンのファースト・シリーズ。
 いや、DVDで持っているし何度も見た内容なんだけど、さすがにHVリニューアルマスターを謳うだけの事はあって、画面が驚く程キレイ。
 主線はくっきり、汚いヨゴレが無く、赤も肌色も、ごくごく薄い色で塗られた不二子のピンクのルージュまでも美しく発色。
オールドファンとしては、実に、感動的ですらある。

 内容は…今更 語る事もないか。
 後に連なる長いシリーズを見続けた人間としては、ルパンが「犯罪を犯した事」そのものを銭形から隠そうとする、ってのに新鮮さを感じてしまったり。
 山田 康夫始め、みんな声が若いなあ。
二階堂 有希子演じる不二子も結構好き。
 うっかりと全話 見てしまいそうな予感。


2004年7月4日 日曜日

『神魂合体ゴーダンナーSECOND SEASON』25.「永遠のふたり」

 乗れない…
後半のキーだが、燃える展開にブレーキを掛けてしまう、戦闘本能全開→発症→暴走・再起不能、という制約を設けた意味を もう一つ感じられない事で、内容に入り込めないまま。
 この期に及んで(チラチラ出てはいたが)司令官の旦那を登場させ、クライマックスへの勢いを付けようとしたのだろうけど…別に待ち望まれていたキャラクターでもなく、ベースは彼無しで普通に運営できていた訳であり、空振り気味。

 そうなると、ゴオへの愛を巡って争う杏奈とミラのバトルにも、醒めた視点が生じてしまう。
 一応は、杏奈の言葉に説得力がある…事になっていると思うのだが、救われるべき世界の価値を説き、ゴオのためだけに戦ったのではなかったはずとミラに言いながら、自分はゴオを守るためだけに行動。
ミラを止めるんじゃなくて、愛があるなら我が身を投げ出してでも、ゴオによるベースへの攻撃を止めるのが先決だろうに。
運良く防衛が間に合ったから良かったようなモノの、暴走ゴオによりベースにどれだけの被害・死者が出ていても不思議無い状況だった。
 仲間達を、母親でさえ犠牲にしてでも この人を救いたい、という気持ちも、「愛」の形か?


最終話.「来るべき明日」

 と、様々な不満を抱えつつ見た最終話。
 恐らくは文句ばかり言う事になるんだろう…と思っていたが、意外、この一話だけでシリーズ全体への評価がグッと上がってしまう程に考えられた、「ここに至るためにシリーズがあった」とさえ思える終わり方だった。

 ゴオの発症が抑えられなかったのは、良かったと思う。
安易に助かってしまっては、白けるご都合主義になってしまうから。
 ミラの正体について等、この最終話だけでは扱い切れまいと予想したのだが、なるほど、そういう事で、しかもその設定にゴオの復活を絡める所、実に巧い。

 結局ゴオの意志がハッキリせず、どうして杏奈を好きになったのか、ミラをどう思っていたのかなど曖昧に済まされてしまい、結果、彼が一番魅力のないキャラクターになってしまった。
 しかし……
ゴーダンナーのネーミングについて、てっきり「GO!ダンナ」だと思っていたのだが、「GOD 杏奈」だったとは…
 つまりは、「行け!旦那」ではなく、「杏奈の未来に神の加護を(杏奈が発揮する加護の力、でもあろうか)」というのがタイトルだった訳で、旦那など どーでも良く、杏奈に代表される女性キャラ達の受け入れる力、癒す力と守る力、新しい命を生み出す力、そういうモノを描くシリーズであった訳だ。
 そりゃ、ゴオの影など薄くて結構(笑)。
彼は、林(旧姓)が生み出した命と「赦してくれた」ミラにより、再び子宮(繭?卵?)から生み出され、危うく胎児にまで逆行しかけた自我を嫁・杏奈によって取り戻してもらう事で、ようやく「男」として生きていく事を許された存在なのだから。

 シリーズを通して。
 期待していただけに、不満は多い。
 「キャラが叫んで、渡辺宙明の音楽がかかっていれば盛り上がる」と安易に考えているようなシチュエイションが多かったような。
 描写不足のルウや、それなりに興味深く描けていたが あんなに時間を取る必要はあったのかどうか他国のパイロット達、など、構成のアンバランスさも目立つ。
 長すぎてダレた、という部分もあったろうか。
1クールに内容をギュギュッと詰めて、不要な所をバッサリ切り捨てれば、ずっと見易くなった…かも知れない。
 もっと面白くなる作品だったと思うので、不完全燃焼な印象が残るのは残念。
 それでも、最後まで見続けさせる魅力を持つ作品だというのは確か。
 スタッフの、次回作に期待したい。


2004年7月3日 土曜日

 WOWOWで映画『ジーパーズ・クリーパーズ』を見る。
 製作総指揮がフランシス・フォード・コッポラ……という事だけど、自分の会社が作った映画だから名前を出してるだけ、だろうな。
 帰省のため、何も無い田舎の一本道を車で走り続ける姉弟。
彼らが不気味なトラックに脅かされ、そのトラックが止まっている一軒家でドライバーの奇怪な行動を目撃した事から、恐ろしい世界に引き込まれていく……

 前半は、ごくまっとうに面白い。
ホラー物の定石を きっかり踏んでストーリーを展開しており、ドキドキするシーンが多く見られるから。
 しかし……
って、まあネタバレを気にするような映画じゃないと思うけど、一応、以下は内容に触れるので、御注意を。



 後半に至り、映画の雰囲気が一変する。
サスペンスであり、ホラーであった映画が、いきなりモンスター物になってしまうのだ。
それも、かなり安っぽい。
 いや、モンスターも好きなんだけど、困るのは全然怖くなくなり、それどころかコメディー→ギャグの領域にまで内容が近づいてしまう事。
 決死の覚悟で、殺人鬼に車で突っ込み、跳ね飛ばすのは、いい。
念のため、バックしてもう一度 挽き潰すのも、まあいいだろう。
しかし、もう一度前進して挽き、更にもう一度バックで挽くと、やり過ぎ(笑)。
 不死身の殺人鬼も、地味に人間を殺す内はまだ不気味だけど、警察署を襲撃して拳銃でパンパン撃たれるのをモノともせず居並ぶ警官隊を全滅させたりすると、もう『ターミネーター』と変わらなくなり、『13金』ジェイソンと同じく、怖いどころか陽気な(馬鹿馬鹿しい)イメージにさえ なってしまう。

 予知夢を見る婆さんなど、物語を左右する面白いキャラクターになったはずと思うが、「必ず現実になる」と言う予知が、本当に現実になるばかりで危機回避の役には全く立たないのにコケる。
普通、知恵と勇気で予知の裏をかくものだろ。
 ラストにも愕然。
まさか こんな所でブン投げて終わるとは…

 確かこの映画、米ショウビズで そこそこの成績を収めていたように記憶しているけど、うーん、何がそれほど受けたんだろ?
 とはいえ、B級(C級?)映画だと覚悟して、折々「オイオイ」「待てよ話がおかしいぞ」「アホ過ぎ」と突っ込みながら見るには、悪くない。
暇つぶしと、話の種を求める向きに。



 米の俳優マーロン・ブランド、死去
80歳…まず、大往生と言って良い お歳ではあるが。
 やっぱり何よりも『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネが印象に残っている。
次に、強烈だった『地獄の黙示録』、それから…『スーパーマン』でのジョー=エル父さん役も不思議と。
 圧倒的な存在感があり、出ているだけで画面が締まる名優だった。
 ご冥福を。


2004年7月2日 金曜日

『KURAU』02.「なにか、いい言葉」

 エージェントとして赴いた仕事は、特に凝った内容でもなく、アクション編でもなく、解決したと言って良いのかどうかも分からない幕切れだったため、モヤモヤとした物が残ってしまう。
 一緒に暮らす、クラウから出てきた「対」の少女・クリスマス。
どうもこの、よく分からない実験の最中に、巻き込まれた女の子の「心」だけがどこかに行ってしまい、他の何かに乗っ取られた体、その中からまた別の女の子が出てきて、その子の方にはクラウのような特殊能力は無い(目覚めていない)が、クラウは彼女をとても愛しげに扱う……っていう特殊さの上に特殊さを重ねた設定は、不親切な気が。
 クラウの行動が可愛らしく描けているので、「守るべき価値」は視聴者も実感する事が出来る、とはいえ。

 派手に超能力を使うクラウ。
その異常な力に、目を付けられてしまったらしい。
 そりゃそうだ……今回も、人目に付く危険性があるのに、ビルの屋上から屋上へと凄まじい跳躍(飛行)を、特に必要に迫られている訳でもないのにしており、力を隠そうとは全く考えていない様子。
 出現当時、その特異な力が研究対象にされて苦痛を味わい、父親(?)の腕を分解する事態にもなったのに、多少は懲りる所が無かったのだろうか?
その辺りの心の動きは、徐々に描かれる?


2004年7月1日 木曜日

『鉄人28号』13.「光る物体」

 ゲストキャラクター・八木の声が、外見の冴えなさとは裏腹に、矢島 正明の美声だったのが印象的。
今回、ほとんどモノローグで物語が進んでいくので声優さんの演技力に頼る部分が大きく、必要に迫られて(元々そのつもりで作って)のキャスティングであったのだろうか。
 ……いや、今回 脚本・演出を手掛けた監督がトレッキー(『スター・トレック』ファンの総称)だから、カーク船長の声を入れてみたかったってのが真実に近い気も。
 もう一人のゲストキャラを『ネクスト・ジェネレーション』ピカード艦長の麦人がアテているし。
新旧艦長、夢の競演。
 あとは玄田 哲章と松岡 洋子と谷口 節を出せば、歴代艦長(含む司令官)勢揃いになったのだが。

 お話は、少々意外なラスト(『スター・トレック・ヴォイジャー』112.「崩壊空間の恐怖」を思い起こさせる)を加えた、『かわいそうなぞう』
原点に忠実に作れば、もっと泣かせられたと思うんだけど、泣き要素の濃度はそれほどでもなく。
 毎度の「戦争の傷跡」エピソードではあったが、ラストのヒネりのお陰で、これまでの話とはちょっと違った視聴終了感になっている。

 こういう話も悪くはないし、製作状況が大変なのは承知で、無責任な視聴者としては、ぼちぼち陰気さを吹き飛ばす、ロボットアニメとしてのカタルシスに満ちた内容を希望してしまう。



『美鳥の日々』最終話.「二人no日々」

 変にヒネる事のない、素直で穏やかなエンディング。
もう一度右腕に戻ったり、正治が右腕になったり(途中の話で既に消化したネタだが)、もっとSF的に「何故こうなったか」の真相を明かし奇想天外な締め方にする事は出来たと思うが、それは、人の心の機微を細かく追ってきた この作品には ふさわしくない。
『ギャラクシー・エンジェル』向き(笑)?

 アニメは、女の子達に対し上手く接する事が出来ない正治の物語として始まったので、心の底から「好き」という言葉を発するのは、彼の方からであって欲しかった気もする。
 でも、それ以前に貴子からの告白を受け、好意に応えられない旨が告げられている訳で、その直後に自発的な告白をすると、ちょっと無情に取られかねないか。
 正治は勇気を見せた。
次は美鳥が見せる番か。
 ここで彼女の方から告白が出来ない、という事は、もう一度 右腕に戻ってしまう要因を残す事だし。

 全体に。
 作画が安定して良く、脚本・演出も「原作の良さ」を理解し、最大限に引き出す事を心懸けて臨んでいたと思われる。
原作付きアニメとして、理想的な形だったのではないだろうか。
 現在、連載されている漫画の方が丁度、貴子が告白をする下り。
アニメは、何週間も前に脚本を書き上げなければ放送できないはずなので、原作者とアニメスタッフが かなり綿密に、お互い敬意を払う形で打ち合わせをしていなければ、こうは 出来なかっただろう。
 今後、不出来な原作付き番組を目にする度に、「こうなっていれば…!」と羨む形で例として挙げられる作品の一つになる事だろう。
 面白かった。


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