ときどき日記 04/08

2004年8月31日 火曜日

『マリア様がみてる〜春〜』09.「ロザリオの滴」

 5週間分ぐらい溜まっていたのを一気見。
 3年生の卒業を控え、祐巳もだが、祥子の方にも大きな心の動きがあるのは面白かった。

 祥子の遠縁・瞳子、いかにも意地悪そうに登場したので、お姉様を巡って祐巳と女の戦いを繰り広げる展開に…なるかと思ったが、彼女も存外にイイ子であり、大きな問題にはならず。
ちと拍子抜け。
 ここ3話ばかりは、志摩子の内面にスポットを当てた話。
別段 実家が寺だろうが神社だろうが、その娘がミッション系の学校に通う事との間に、何の齟齬も生じないのは当然だと思うけれども、本人にしてみたら大問題なのかな。
乃梨子を妹にするかどうか、という事にしても、気が合うのなら妹でいいし、ソリが合わなくなったら関係を解消すればいい訳で、そんなに悩まなくても…と。
 確かに日常とは、こういう小さな小〜〜さな障害にぶつかり、葛藤し、乗り越え・あるいは挫折する行為の繰り返し。

 昔、ファミコンに『スペランカー』ってアクションゲームがあって、コレの主人公がもう、設定を間違っているとしか思えないほど激弱。
自キャラの半分以下しかない窪みに落ちただけでアッサリ即死してしまうそのゲーム性は、驚き、怒り、諦め、笑い、そして次第に「そういえば人ってこんな不条理な生き物かも知れない」という ある種の悟りを開かせてくれる。
 ホンのちょっとした障害を、人は乗り越えられないモノだよね。、
 失敗とも言えない失敗を苦にして、人はよく死んだりしちゃうよね。
 何かそんな事を、穏やかな水面に起きた さざ波 程度の出来事に一喜一憂、泣いたり笑ったりしている『マリ見て』キャラクター達を見て、思いだしてしまった。
……『スペランカー』など連想されてしまう仕打ちを、製作者やファンが喜ぶかどうかは知らないが(笑)。

 3年生が卒業して、ドラマが寂しくなってしまうんじゃないかと思ったが、新3年2年が頑張り、新たに1年生が入ってくる事で、面白さは変わらず。
 いずれ祐巳にも、妹が出来る日が来るのだろうか?
 あと、「平気で何年も同じ学年を繰り返す」タイプの作品で無いという事は、祥子も卒業する?
祐巳が3年になった この作品は、ちょっと想像が付かないけど。
オトナで策士の下級生に、いいように遊ばれる上級生(祐巳)、という位置付けでなら…分からないでもないか。

 偏見もあって、前シリーズは「イロモノ」として見ている部分が大きかったのだが、今期、特に連続して見てみると、思った以上にきちんと「ドラマ」している事に驚かされる。
キャラクターがそれぞれ個性豊かで、ぶつかり合う事で互いを掘り合う構成をきちんと取っており、とにかく「嫌」な要素(含む「男」という存在)を徹底して抜いてあるため、気持ち良く見られる。
 出来の良いアニメ。



 またメールが来てる。

> どもども☆はじめましてなのです♪
>
> はじめまして☆平田と申します。えーとですね、
> 以前メル友募集してましたよね??その書き込みに
> とても興味を持っててアドレスを控えてたんです。
> ちょっと前の書き込みでしたけど。
> ぜひぜひ仲良くなりたいと思ってるんです☆
> 自己紹介を致しますね☆
> 平田智美、22歳でフリーターをしております♪
> 趣味は旅行以外では読書で、好きな作家は筒井康隆さんです。
> スリーサイズはまだ言わないほうがいいかな(笑)?
> そんなワケでして、平田、お返事待っております!
> 趣味や、どこに住んでるのか教えて欲しいです☆
> あ、あと何て呼んだらいいでしょうか?平田のことは、
> 平田と呼んでください☆


 残念ながら、メル友とか募集した覚えがないんだけど(笑)。
 平田智美さんも なかなか有名らしい(無関係、同姓同名の平田智美さんが見ておられましたら、御不快な事ですみません。ここで使われている名前は、偽名に決まっているのですが)。
 これまで送られてきたメールの中では一番フランクな、馴れ馴れしい語り口なのが、かえって警戒心を薄れさせる…のかな?
 出会い系掲示板などでメル友を募集した経験のある人間だと、身に覚えがある分、引っかかりやすいかも。
少々ピンポイントな攻撃になるけど、ヒットした場合には有効。

 もっと、そうだなあ。
「リンクを辿っているうちに、たまたま辿り着いたあなたのHPを拝見して、すごく興味を持っちゃいました。とってもセンスがいいですよね。
知的でユーモアがあって優しい、そんなあなたの人柄がHPのあちこちからにじみ出ていて、ファンにならずにいられない、って気分に。
図々しいお願いですが…ご迷惑でなかったら、一度お会いして、直にお話を聞かせて頂けませんか?雑談でいいんです。私、頭のいい人、大好きなんですよ。
実は最近カレと別れたもので、寂しいって所もありまして(;´д⊂)
ご連絡、お待ちしてま〜す」

というように、相手の自尊心をくすぐりつつ上目遣いに懇願する文書など、どうだろうか?
 これも、HPを持っている人間をピンポイントで狙ったモノ。
でもまあ、多くの人間がHP(もしくはblog)を持っている昨今、見当はずれの戦略でもないだろう。
 そして、HP開設者のほとんどは「自分を認めて欲しい」という気持ちをベースに持っているはずだから、上手く誉め、欲求を満たしてやった上でこちらの要求を伝えれば、反応が返ってくる可能性も上がると思う。

 いや…だから、詐欺文章の例文なんか考える必要無いって(笑)。


2004年8月30日 月曜日

『アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル』08.「ABC殺人事件 その4 ポワロ、謎を解く」

 どう見ても犯人らしくない犯人が前回 突然に登場、真犯人は別に居るんだろうな、と思えば当然のように その通り。
 明かされる真相は…伏線の不足によって、この理屈で他の関係者の誰でも犯人に出来るのでは、と思えてしまうほど強引なシロモノ。
だから、「ああ、そう」は あっても、「なるほど、そういう事だったのか!」という、推理物ならではの謎解きの快感など皆無。

 『名探偵コナン』の出来の悪い話と比するなら、こんなものかも知れないが…
 アガサ・クリスティーの作品は、ずいぶん前に何冊か読んだっきりで記憶に薄いため、アニメを見ていると、「まだ いくらかミステリーが珍しかった頃ならともかく、今になって、改めて読むような面白い本じゃなさそうだなあ」などと つい思ってしまう。

 しかし それは間違いで、掲示板(2004/08/29)の宇津見 さんによる原作・アニメの比較文を読ませて頂いていると、驚くべき大量の改悪によって原作の良さが台無しにされている事が分かる。
 今回のトリックでは、犯人とされた人物の視点、自分は本当に犯人なのではないかと疑う様子が不可欠なのでは?
真犯人が、自らの顔をさらして偽犯人と接触する間抜けさ加減を発揮しているのも、絵として分かり易くするためではあろうが、ガックリ来る。
 明るく楽しく、ダークな部分を極力薄くし、決して毒にならない所謂イメージ通りの「ファミリー向け」作品にする事が目標?
それで、本来の面白さを削り落とし、新たに付け加える物が無いのでは、アニメにする価値に疑問が生まれてしまう。

 いっそ、原作からまるで変えてしまい、ポワロの探偵事務所で働くメイベルが、小さな、アニメオリジナルの事件を解決しつつ成長していく作品に変えてしまった方が、良いかと。
それなら、最初から問題になりそうな箇所抜きのトリックを作れる訳だし。
 ポワロとマープルは、未熟な彼女を温かく見守り、場合に応じて助言を行う役割に留めれば良い。
 今回の事件では、メイベルの必要性がまるで感じられなかったが、今後は彼女をどういう位置付けで扱っていくつもりなのだろう?



『蒼穹のファフナー』08.「確執〜こうよう〜」

 もう8話目なのか。
今回は、うーん、ここまでに手際よく基本設定を紹介してくれていたら、もっと楽しく見られたのだろうが…

 アーカディアン・プロジェクトって、公式ページによると、
> 謎の敵フェストゥムとの攻防において、日本が独自に着手した計画。
> 人類の肉体から文化まであらゆる情報を一カ所に保存して守る事を目的としている。
> 海上に「専守防衛要塞」を建造し、二千人規模の住民を、人類から隔絶された状態で居住させ、「海図にない島」として存在ごと抹消した。
> つまりは、人類にとってもフェストゥムにとっても「いなくなった」存在として、島まるごとの情報を保護している。
 こういうモノらしい。
 「日本が独自に着手した計画」なのだから、竜宮島が純和風の佇(たたず)まいなのは当然だと思うけど、新しく出てきた この島がヨーロッパ風?であり、全く日本とは違う文化圏の建造物ばかりなのに面食らう。
 「あらゆる情報を『一カ所に』保存して守る」んじゃなかったの?少なくともこれで二カ所になったが。
 建築様式までも文化として保存するのだと、他にも、中国風建築、ロシア風建築、エジプト風、インド風で統一された島が どっかに隠されているのだろうか?全部でいくつになるの?
恐ろしく金の掛かったプロジェクトだねー。

 溝口は、大人であり、戦闘プロフェッショナルの頼りになるキャラクター、として描かれているのだと思うが、ええと、先週が初登場?
戦闘部隊の責任者なのかな?それにしては陣頭指揮は執らず、浜辺でゴロゴロしているばかりで作戦指示さえせず、彼の知らない別働隊が動いていたりと、蔑(ないがし)ろにされているようだが。
 今回の調査では邪魔者扱いすらされているようで、だったら連れてこなければ良かったような。
何だか分からないけどエラく勝手な行動が出来るらしい現場指揮官お姉ちゃんの、監視役として一騎父が強引に付けたものか。
 「普段は、ファフナーを降りた子供達の戦闘力強化訓練の教官をしている」とかいう立ち位置が はっきりしていると、もっと面白くなったキャラかと。

 竜宮島に居る、赤い液体につかっている子供が、この島にも。
 この辺は、公式ページの設定を読んでないと何が何だか、だろう。

> ワルキューレの岩戸
> 皆城乙姫が眠る人工子宮。
> 容器の中に満たされた緋色の液体が「燃えているよう」に見えるため、炎の中で眠るようなイメージがある。
> 皆城乙姫の体のあちこちを専用のシナジェティック・スーツが覆っており、彼女の肉体の成長に応じてスーツも変化している。
> スーツから伸びるコードがブリュンヒルデ・システムとつながっているが、それ以上に皆城乙姫自身が遠隔操作が可能なほどまでに、システムと一体化している。


> ブリュンヒルデ・システム
> 皆城乙姫が一体化している島の防衛装置の総称。
> 敵の探知や要塞部の隔壁操作、エネルギー炉の調整、島を透明化する偽装鏡面のオン・オフ、全迎撃装置、電力・浄水・その他の生活必需項目の全てを、「乙姫の意思」によってコントロールできる。
> 島の航行にも関わっており、まさしく島の「命」ともいえるシステム。
> 全システムがスフィンクスの「読心能力」に拮抗しているが、直接戦闘において、迎撃装置が皆城乙姫の体から離れているものほど、スフィンクスの「読心能力」によって迎撃ポイントを事前に読まれてしまうため、より直接的な迎撃手段=ファフナーとの連携が必要となる。


 この辺の説明は、今回の話を楽しむには絶対に必要だったと思うが。
竜宮島の皆城乙姫(皆城総士の血縁者なんだろうな)は、特殊な存在なのかと思えば、他にも多数存在するのか、とか。
人を守る役割を背負わされているはずの「ワルキューレの岩戸」内の人間が、人に敵対行動を取ったのは何故か?本来そこに居た者は処分(同化)されフェストゥム人間体が代わって入り込んでいたのか、それとも、そもそも岩戸内にいるのは人間体フェストゥムなのか、という疑問。
「子供」である事に意味があるのかと思えば、一瞬で成長してしまう(コレが本来の姿?)衝撃。
そういうものを視聴者に受け取ってもらわなければ ならないのでは?
 基本の説明抜きにして、イキナリ設定をヒネリ始めたようで、居心地が悪い。

 今回ファフナーが使っていた、一発で敵を消滅させる銃は、何?
こんな強力な武器があるなら最初から使えばいいのに。
 今まで封印されていたとか、自分たちの島で使うには危険すぎる(乙姫に悪影響がある、遙か遠くからもエネルギー反応を察知される、大型の敵には通用しない)など、何らかの説明を……

 甲洋は、相変わらず一騎を逆恨みしたまま。
本来、「こんな事で怨まれて、一騎や総士は可哀想」「また、彼らを怨まずにはいられない精神状態の甲洋も哀れ」というような感想を抱かせたいんじゃないのかな?
正直、余り上手く行っているとは思えないが。
 しかし、性懲りもなく今回また居残りファフナーを発進させ島をカラにしてしまう総士は、怨まれても仕方ないほど無能。

 ラスト、全ての動きが止まり「ポエム空間」が展開された時には、思わず笑ってしまった。
お約束の繰り返しギャグみたいになってきたなあ。

 ストーリーに動きが出てきた分、見やすくなったとは思うけど、やはり基本設定の不明確さが足を引っ張り続けている。
敵も味方も、戦力も勝利条件も分からないゲームを見せられているようで。
 テレビ東京のHPにあるキャラクター紹介文の、一騎と総士の微妙な過去エピソードなど、設定だけに終わってないか?
この事件を踏まえた行動を提示できているとは思えないが。



『それ行け!ズッコケ三人組』21.「ズッコケ結婚相談所」

 太めで陽気なモーちゃんの、意外に複雑だった家庭環境のお話。
 子供向け作品だとパターンでは、母親の再婚相手に反感を持ち、「僕の父さんは一人だけだ!」みたいな事を叫ぶ子供が、母親の思いと再婚相手の真の姿を知る事で、ようやく二人の仲を認められるようになる、って感じのストーリーかと思う。
 が…今回は、見ていた小さい子供達には全てが理解し切れたかどうか…と思ってしまうような、「オトナ」の物語。

 モーちゃんの父親は、死別ではなく離婚。
その原因は、長男の事故死。子煩悩すぎる程の父であったが故に、子供の死に心が耐えきれず、酒に逃げてしまった。
 離婚後、父は東京で再婚。相手は、母親の元同僚。その間に、子供が一人居る。
都合良く元の鞘に収まる可能性など無い、シビアな現実。
 モーちゃん母が考えていた再婚相手は、子供の扱いも上手いオトナであり、問題ないようなものだったが…「子供のためになるとか、老後が寂しいとか、そういう事じゃダメなのよね」という母の気持ちにより、とりあえず白紙に。

 「結婚は、難しい」が今回のテーマ。
年少視聴者相手の物語だからと、無闇に結婚を理想化してみたり、誰かを悪役にする事で安易な解決に到らせたりしない、深い内容だった。
 子供には話さない、話せない、様々な思いを、一人胸に抱え込んで、息子の東京土産に目を輝かせ、おどけてみせるモーちゃん母は、オトナだねえ。
…単純に、母子揃って本物の食いしん坊、という側面もあるんだろうけど(笑)。

 今回の内容が よく分からなかった子供の視聴者には、少し大人になった頃、もう一度見返して欲しい、心に染みる話だった。


2004年8月29日 日曜日

 有明、ビッグサイトで行われたワンフェスに行く。
 う〜〜、疲れた。
雨の中、大観覧車近くまで延びた行列に並ばされ、入場までに結構 時間が掛かってしまい、この時点で既に、ぐったり。
 一緒に行ったヨメは元気で、会場入りした途端、オマケ目当てに水を買う列に再度並び、その後も休み無く歩き回って物品を購入。
 私の方は、前日の寝不足もあり、何度もベンチに座って休憩しては、ウトウト。
 コミケ参加者の皆様は、もっと凄まじい人出に疲労困憊しているんだろうな。
そう考えると、ウチのスペースまで わざわざ足を運んで下さる方を裏切る形になってしまった、今夏の欠席はもう、ただただ申し訳ないとしか。

 前にワンフェスに行ったのは、何年前だったろう。
単に印象だけど、随分と造形物の技術が底上げされたような。
 感嘆するほど凄い物を作れる所は やっぱり限られるんだけど、こりゃダメだ、と思ってしまう作り物しか置いていないスペースが激減。
 それは、コミケ、同人誌の作画レベルでも同じ状況なのかも。

 浪曼堂で作って頂いている飛龍 乱デザインのソフビ人形は、(主にこちらの責任による)進行遅れのため、展示無し。
残念。どんな感じになっているのか、見てみたかった。

 自宅に帰り、一日 留守番をさせられた反動から狂喜乱舞の歓迎ぶりを見せる駄犬をかわしつつ、熟睡。
 体力が落ちてるなあ……



 NHKで放送された、映画『サンダーバード6号』を見る。
ずっと昔に一度見た覚えがあるんだけど、中身は すっかり忘れていた。
 1968年に公開された、人気テレビシリーズの劇場第二作。

 映画だけあって、あちこち お金が掛かっている。
笑い顔のためだけに人形を1パターン作ってみたりと、贅沢。
…それでも手のアップ時は人間の手を使っているのが、何とも(笑)。
 メカやセットは、言うまでもなく素晴らしい出来。
飛行船の船内に、トランプやサイコロをモチーフにした装飾があり、そのハイセンスな事には驚かされてしまった。

 ただ、さすがに時代が時代だけあって、映画のテンポは ゆっくり目。
これだけのストーリーなら、今の映画であれば半分の時間で消費してしまうだろう。
 要は、ペネロープ達が さっさと飛行船を下りてれば済んだ話では?とか、せっかくペネロープは暗号通信を送ってきてくれたのに、無理ある内容の通常通信(?)を疑いもせず信じ込んで1号2号を指定の場所に向かわせてしまうトレーシー親父は迂闊すぎとか、ツッコミ所も色々。

 複葉機の羽の両端に陣取って、アランと悪人達が銃を撃ち合うが、双方なかなか当たらないという間の抜けた絵は どうにかならなかったモノか。
 新作映画『サンダーバード』の方を見た後だと、正当防衛とはいえ、悪党を葛藤無く撃ち殺すのにも 少々引いてしまう。
 まあ、テレビシリーズだってトレーシー一家は、自機の写真を無断で撮った車を(誰が乗っているのか確認もせず)機銃を撃ちながら追い回し、崖から落として良しとする、マッドな所はあったのだが。
「人命を救うためには、人命を犠牲にする事も厭わない」というような。
「健康のためなら、死んでもイイ」みたいなもの。

 スローなテンポであっても、画面を見飽きる事がないのは、やっぱり非常に良く出来たミニチュア・ワークのお陰。
いくら良く出来ていても、CGでは こうはいかない。
 高度な特撮に慣れた現在の目で見てさえ、「コレはどうやって撮ったんだろう?」と思わされてしまう、ハッとするような画面が時折入るのも凄い。
 トレーシー親父に何度もボツを出され、段々行動が変になりながらも6号の案を出し続けるブレインズが可笑しい。
 その末に、ラストで登場する6号の勇姿は……いかにもイギリス風なウィットを感じさせる、洒落た幕切れ。

 これはこれで好ましい、可愛い映画なのだけれども、実際の俳優とCGを使い「今」の観客にアピールしようと考えるなら、このままの路線では厳しかろう。
 そう考えると、新作映画の作り方は間違っていないと思える。



『DearS』08.「マ,マイ・ボール……」

 ヒロイン・レンと反目し合う存在であるミゥの、内面に入っていく話。
とはいっても、見た目からイキナリ良い子だと分かりすぎで、「気の強い、高飛車な女の子」の美味しい要素、「仮面が崩れ、素直で可愛い内面が覗く」一瞬の輝きは、薄い。
 ここいらのメリハリの無さが、この作品にドラマティックさを欠けさせてしまう要因かも。
その まったりさ加減が心地良い、とする向きもあろうが。
 それでも、前の主人の死に際し、必死で流れ出す血を止めようとするが叶わず、泣き叫ぶ所は なかなかにツボで、ちょっとホロリ。
…これも もうちょっと積み重ねがあれば、と思うと、惜しいんだけど。

 町中を跳ね回るボールを集める、という競技は、ミゥと武哉が井戸に落ちるアクシデントにより、うやむやに終了。
 てっきり、勝敗を決める最後のボールをミゥとレンが取り合う展開になると思ったのだが。
で、レンを負けさせるなら武哉、ミゥの場合は共に暮らす老夫婦が、何らかの危機に見舞われ、それを助けようとして競技自体には負けてしまうものの、心は満たされる、というような展開になるモノかと。
 実際の筋からすると、そもそも競技自体を行わなくても良かったのでは?と思えてしまう。


2004年8月28日 土曜日

KURAU Phantom Memory』09.「天使が消えた街」

 相変わらずクラウは迂闊。
飛行機を利用して、降り立った空港から(恐らくは)レンタカーを借り、カードで支払いをする形でホテルに泊まってしまっては、どう考えても足がつくに決まっている。
 飛行機は、降りたと見せかけて乗り継ぎ、車はバスや電車など公共機関を(一人ずつ別れて乗り込み)利用して空港からとにかく離れ、自由に行動したい場合には車かバイクを一時無断拝借して乗り捨てていく形に。
ホテルに泊まるなど とんでもない。
野宿か、留守宅を使わせて頂くのが良策。
 取りあえず、追っ手を まくまでの間は。
 …クラウって、人捜しとかした事はないのかな?
肉体労働的な仕事がほとんど?
 余りムチャをしては、自分はともかくクリスマスが参ってしまう可能性があり、やむを得ないのかも知れないが。

 空を飛べる物質透過も出来る、気にくわないモノは分解する事すら可能。
こんなスーパーパワーを持っていては物語が便利すぎる、クラウに合理的な危機など設定できるのか?と思っていたが、彼女の油断を突いて「対リナクス兵器」で攻撃する事により、十分 納得できるシーンに出来ている事に、感心。
 結構、頭を使ったストーリーの組み立て。
面白い。



『モンキー・パンチ 漫画活動大写真』

 WOWOWで放送中。
その名の通り、モンキー・パンチ先生原作の漫画をオムニバス形式でアニメ化したモノだが……とにかく、ダルい。
一気に一時間も放送する形式その物が間違いじゃなかろうか。
30分程度ならまだしも…いや、それぞれの出来が悪いのだから、変わらないな。
 先生による原作は、非常にトリッキーなアイディアに満ちたものが多く、それをアニメ化する際に必要なのは何よりも「演出力」だが、それはもう全然足りていない。
 ルパン達もチラッと出てくるけれど、声さえ入ってないぐらい軽い扱い。
 頑張って見続けようと思う内容じゃ、ないな。



『チンプイ』01.「エリさま、おめでとう」02.「おもちゃもラーメンを食べる」

 突然にテレ朝で早朝に再放送が始まり、驚く。
 なんで今、『チンプイ』?
映画『ハットリくん』公開と関係あるのかな。『チンプイ』はFの方だけど…
 どさくさ紛れに『エスパー魔美』や『プロゴルファー猿』、『21エモン』あたりまで、藤子作品傑作ラインナップを次々に放送してくれると嬉しい。

 初回放送は89年。
それ以来 見返した事がないので よく覚えていないが、中盤・後半には面白いエピソードがあった…ような気がする。
 期待と懐かしさと、鋭い忘却力により新鮮な気分で見られてしまう事により、視聴継続。



 映画『サンダーバード』を見る。
 『スター・トレック/ネクストジェネレーション』のライカー副長こと、ジョナサン・フレイクスが監督。
 監督の作品を、『スター・トレック 叛乱』『STAR TREK ファースト・コンタクト』『タイムマイン』と見てきて、正直な所 監督としての才能には疑問符が…
そういう状態での鑑賞。

 うーん、ちょっと中途半端。
 原典である『サンダーバード』のファンにとっては、期待したストーリーと違うモノを見せられる部分が多く、戸惑ってしまうだろう。
 テレビシリーズを よく知らないで見た場合には、余りにも基本設定への説明が不足しているため、入り込み辛かったと思う。
一家族が金にあかせて巨大スーパー・テクノロジーメカを何台も所有し、ただ趣味で世界中の事件・事故から人々を救っている、なんて設定、前知識無しで納得するのは難しいかと(でも、『バットマン』もそんなものか)。
 国際救助隊 設立に至った経緯とか、メカが順次できていく様子、チーム編成にあたり父親にすぐさま賛同したり戸惑いを覚えたりする兄弟の葛藤など、そういう所を描く映画になるかと思ったんだけど……
まあ、それじゃ地味過ぎかな。

 作品の基本設定は知りつつ、過剰な思い入れを持たず、面白けりゃ何でもイイや、というポジションで鑑賞するのが、一番楽しめる方法だろう。
いや、自分がそういう立ち位置で見て、結構 楽しかったモノで( ^_^ )。
 以下は内容に触れるため、未見の方は御注意。




 内容的には、『サンダーバード』というより、やたらハイテクが登場する『ホーム・アローン』であり、昭和『ガメラ』シリーズのような、子供が頑張って悪い奴を やっつけるタイプの話。
それはそれとして割り切って見れば、状況を次々に変えていく事で客を飽きさせない、楽しいファミリー・ムービーに出来ている。
 見終わって、トレーシー兄弟の顔は末っ子アラン以外 全く記憶に残っていないけど、それもまた、5人もいる兄弟を平均的に描いていては全員の影が薄くなり、かえってつまらなくなってしまうであろう事を思うなら、上手い割り切り方だと言える。

 フレイクス監督作品ではいつもの事だが、「映画」というより「テレビムービー」を感じさせるカメラワーク。
 現在の高い水準から言うと「普通」程度のCG。
 期待のワンダバ(メカへの乗り込みシーン)は、無し。
 クライマックス、起きている事態がよく分からないであろう一般人が、目の前で「救助隊メカが原因になって起きた事故」を「救助隊メカが救う」所を見て、大喝采してしまう感情整理の拙さ。
 細かくは、気を失ったトレーシー父を目覚めさせるのは、やっぱりアランの言葉であって欲しかった。
 …などなど、上げれば まだまだ良くない点は、ある。

 が、タイトルバック・アニメーションのワクワク感。
 冒頭で見せられる救助活動の迫力。
 年寄りには ちょっと胸に来る、男の子達の友情。
 超然とした所が変わらず嬉しい、レディ・ぺネロープとパーカー。
 形状は多少変わっているものの、懐かしいマシン達が大空を飛び回る事から生じる単純な喜び。
 …など、面白い!と感じられる所も多々。

 総合的に言うと、結構 楽しんで見られた、悪くない出来のファミリー・ムービー。
 映画館に行っても損はないと思うが、レンタル屋に並んだものを借り、気負わず肩の力を抜いて、テレビシリーズを見ていたのと同じ環境で見るのが最も望ましい鑑賞法かも知れない。


2004年8月26日 木曜日

 またまたメール。

急ですが、15出しますので契約しませんか?
> 突然のメールで申し訳ございません。率直に言わせていただけば既婚者である私と割り切った関係を持って頂けませんか?
> 代価として月に15万円前後のサポートをお約束します。
> 難しい事は言いません。月最低二回以上会って頂ければ問題ありません。2人の時に恋人のように接して頂ければ結構です。
> 貴方の時間を少し拘束してしまうので金銭が発生するのも致し方ないと考えています。
> 上記を踏まえた上で契約関係になってはいただけませんか?興味を頂ける内容だと思います。貴方さえお手すきでしたら明日にでも会ってみたいと思っている次第です。場所はご指定ください、重ねてどこにお住まいかもお願いします。  
>
> 橘 翠子

 もう差出人の名前も出しちゃえ。
検索でも相当数 引っかかる
 何の理由も述べず、会った事もない人間に15万出すなんて、都合が良すぎてリアリティー皆無だよ。
「会って頂ければ、お食事代は私が持ちます。お話しして意気投合した場合には、後のホテル代も…」ぐらいに留めておいた方が良いんじゃなかろうか。

 しかしアレだね、今まで こういうメールは まるで来なかったのに、一通来た途端、次々に届き始めたのは、「業者の名簿に登録された」って事かな。
 迷惑な話だけど、ウィルス入りメールよりはまだマシ、と思う事にしよう。



 WOWOWで映画『奪還 DAKKAN アルカトラズ』を見る。
 ええと、監督も脚本も共演も関係なく、「スティーブン・セガール主演映画」。
 それはストーリーにしても同様で、悪の組織の一員であるセガールが、ある日、相棒の黒人と共に逮捕され、再開されたアルカトラズ刑務所に収監される。そこを傭兵集団が急襲し、刑務所を舞台に壮絶な戦いが…
というモノだけど、まあ要するに「正しいセガールが悪党をマーシャル・アーツの一撃で『たぁーっ!』する話」。

 んー、コレは、内容が無い事で有名なセガール映画の中でも、構成に失敗している方の作品だと思う。
 黒人相棒との信頼関係とか、収監されていた囚人達とセガールの関係とか、中途半端に色々と詰め込もうとして何も描けず、話がバラバラになってしまっている。
もっとスッキリと、アルカトラズに立て籠もったテロリストをブッ倒しに潜入する正義の捜査官の『ザ・ロック』パクリ話にするか、不正と恐怖が渦巻く刑務所を囚人セガールがマーシャル・アーツと友情とゲンコツで改革して悪の署長に立ち向かっていく話にでも、した方が良かったような。

 いつもながら敵が弱すぎるのも物足りない。
セガール映画世界では、「彼がダントツ、最強、どんな相手も一撃で倒せる」のが「前提にして絶対条件」なので仕方ないだろうが、もうちょっと見せ方に工夫が欲しい所。
馬鹿みたいな特殊能力を備えた四天王との戦いを繰り広げさせてみせるとか。
 …まあ、何を言おうとも、「セガール映画だから」「セガールに何を期待してるんだ?」という言葉の前には無効なんだけど(笑)。



『ギャラクシーエンジェル4th』15.「トラのうま煮」16.「今日風(株)ラ蒸し」

 前半。
 何気ない切っ掛けで、次々にメンバーの下らないトラウマが目覚めていく…というアイディアは面白いと思う。
が、どうせなら もっと状況にシリアス風味を効かせた方が、馬鹿馬鹿しさは引き立ったかと。
各員のトラウマ発動に、変な間が開いているのも難点。ポンポン見せていった方が良かったような。
 「幸運の遺伝子」を持つミルフィーユだけ、トラウマが無いのは納得。
くるくる回す指先を見て瞳孔が収縮する彼女に、トンボかよ、と理不尽な突っ込みをするのは可笑しかった。

 後半。
 会社員になったエンジェル隊を描き、『プロジェクトX』あるいは『ショムニ』の雰囲気で一話…という、これまた目先を変える着想は面白い。
 蘭花が繰り出す新商品、「たて笛」「上履き」が、意外であり馬鹿らしくありながら、ギャグとしてはヒットを容認できるシロモノになっているのに、感心。
 オチが弱いのは…いつも通りかな。

 惜しいことには、どちらも「強引な笑い」を起こせるだけの図々しい演出力に欠けており(商品発売と同時に掘っ立て小屋が高層ビルに変わるなど、良い所もあるが)、アイディアの良さを十全に引き出すには到っていない。
 もうあと一歩二歩、踏み込んでくれれば…
もちろん、それは口で言うほど簡単な事ではないのだが。


2004年8月25日 水曜日

『ウルトラQ dark fantasy』21.「夜霧よ、今夜も・・・」

 大ベテラン、藤川桂介の脚本だったが…
んー、何だコリャ?
 驚く程パターン通りの話でヒネりが皆無。
地球中の火山を噴火させて世界を壊滅させようという強力な存在(?)なのに、カメラのフラッシュ程度で目を潰されたり、水に落ちて溺れ死んだりとショボ過ぎるのも、どうか。
「月の魔神」と呼ばれる女主人が、月光を浴びて分解してしまうに到っては、理解不能。

 ホラータッチの話だったのだから、せめて演出で怖くできていれば救われたのだが…間が悪くて、サッパリ怖くない。
こういう話なら、絶対に死なないと分かっているレギュラーキャラクターをメインで使わない方が良かったんじゃ無かろうか。
 ……次週のカネゴン話が、少しでも面白くあってくれることを期待。


2004年8月24日 火曜日

 レンタルで映画『ゲロッパ!』を見る。
 井筒 和幸監督作品。主演は西田 敏行。
 井筒監督の映画でマトモに見たものと言えば、『二代目はクリスチャン』『晴れ、ときどき殺人』ぐらい。
それもテレビ放送を眺めた程度だが…これらはもしかして、監督の作品としては異色?

 導入部、客を引き込む作りは なかなか上手いと思う。
ヤクザの親分である西田 敏行をユーモラスに見せる事で、収監される彼を思い、精一杯 喜ばせて上げようとする若い衆達の行動を、客が応援して見られるようになっているから。
 …ところが、映画が進むに従って「親分をジェームズ・ブラウンに会わせて上げたい」という主題に、様々な、「余計な」モノが絡まり始め、モタモタとした進行速度になり、登場キャラクターの心情の捌き方に難があるせいもあって、ダルく感じられるようになってしまう。
そのため、肝心の「笑い」までも滑りがちなのが辛い所。

 偽ジェームズ・ブラウンの下りなど、せいぜい最初の誘拐エピソードを残すぐらいで、バッサリと切り捨てた方が良かったような。
このキャラは無しにしても、展開を少々工夫することでどうとでも埋め合わせは付きそうだし。
 親分が実の娘と再会する前、タクシー運転手姉ちゃんと互いの思い出話をして わあわあ泣き合うシーンは、何のために入れたんだろう?
ここでキャラクターの大泣きを見せ、一度「泣きのカタルシス」を擬似的に作り出してしまったため、本番の再会シーンが酷く白けたモノに見えてしまうんだけど。

 ラスト、様々な伏線が集約していく所は、結構 楽しい。
余計と思える部分を削り落とし、テンポ良くここに至っていれば、より楽しく見られただろう。
 途中の失速によって物語にイキオイが足りないため、馬鹿馬鹿しさを喜んでもらえるはずの結末が、単に「ご都合主義」とも思えてしまうのが残念。
 最後に娘が選ぶ人生も…なんで そうなるのか、余りに発作的で理解できず。

 西田 敏行個人の魅力に、大きく寄りかかっている映画。
これが中尾 彬とか梅宮 達夫だったら…うーん、全然ダメだったろうな。
 ベタベタの人情映画が好きな人向けの一本。
笑えるシーンや、面白く撮れているシーンも多々あるので、暇があり、所謂「日本映画」が嫌いでない人は、見ても損ではないと思う。


2004年8月23日 月曜日

『ゆめりあ』最終話.「智和100点」

 ずっと見てきていたが、余り感想を書いてなかったな。
 うーん、物語としてみると、かなり不満の残る出来。
敵の正体に実感が持てず、運命を変革する意味もよく分からず、ラストバトルが「ザコ敵の大量出現」でしかないのも盛り上がりに欠けてしまう。
 …でもまあ、このアニメにおいて「戦い」とか「敵」、加えて女の子達に課せられたシリアスな役割なんてのは、ふわふわとした物語に少々のアクセントを付けるだけの存在であり、その重要度は低い。

 大事なのは、女性レギュラー5人が「萌え」の対象であり得ること。
各員に豊かな個性と愉快な欠陥を設定し、物語中で活かすことにより、それは成し遂げられていた。
 特に年長者である七瀬のボケぶりはツボ。
露出狂みたいな格好をして家の中をフラフラしている所からすると、単なるボケではないんじゃないか、明確な主人公誘惑の意図を持って行動してるんじゃないか、って気も。

 ラスト、運命が変わった世界で、彼女達は幸せなのか…?という疑問もあるけど、六角関係を一気に解消するには「一度全部ご破算にする」ちゃぶ台返しが、有効といえば有効。
 ストーリーを添え物と割り切り、「萌え」と「ギャグ」だけを楽しもうとするなら、なかなか楽しい作品だった。



『蒼穹のファフナー』07.「家賊〜おやこ〜」

 ここまでの話の中で、一番まっとうな出来ではなかったか。
「翔子の死」など すぐに忘れられる、次の展開に向けて無理矢理 感情リセットが行われるものと思っていたので、余計に。
 最初からこうなら……
 初めて襲撃を受けた後、出た被害者へ寄せる気持ち、変貌した島の姿への戸惑い、騙されていた怒り、訳も分からず戦わされる不安、そんなものをもう少しだけでも描いてくれていれば……
 最初のボタンの掛け違いは痛い。
急に普通の感情が見え始めた事が、かえって「不自然」に見えてしまうから。

 翔子の死が引き起こす様々な反応。
今回は、甲洋の感情を中心に据えて物語が展開していく。
 彼女を守れなかったと、一騎を責める甲洋。
それは、恐らくは一騎に対してではなく「無力な自分自身」への怒りなのだが、もうちょっと誰かフォローをして上げた方が視聴者に親切か、とは思う。
多少はオトナなのであろう総士が、一騎に、「あいつの言うことは気にするな。誰かに当たらなければいられないぐらい、辛いんだ」と言ってやるとか。
 また、前回の戦闘内容に対する不満があり、今回は何気なく出動できる他のファフナーに乗って援護に出ようと、甲洋は どうして考えなかったのか、という部分にも欠陥がある。
初めて戦いに出る子供なのだから、「怖くて とてもじゃないが無理だった」の一言で視聴者は納得してくれるのだが……その僅かなフォローが足りない。

 ファフナー一機を、愚策である(と考えられているのだろう)自爆によって失ったことに苛立つ整備員達。
墓を汚したのも、彼らの仕業?
 『エヴァ』のチルドレン達は、戦力として貴重と認識され大事にされていたが、『ファフナー』の子供達は「親」以外にとっては「貴重なファフナーの付属物」程度の捉えられ方?
まあ、子供の換えは簡単に作れるみたいだから。
 …んー、しかし最初の戦いで一騎も自機を大破させているし、そもそも翔子が破壊した機体は新国連に引き渡すはずだった、比較的重要度の低いモノだろう。
そんなに責められる事なのか?
 やっぱり説明不足が痛いな…

 新しい子供を育ててみないか、と言われる翔子の母、自分の子供を「ハズレ」扱いする甲洋の両親。
 どうやら子供達は、親に寄らず(クローンか人工授精培養かホムンクルスか)いくらでも作り出せる様子。
 そんな存在なら、島の正体を隠したり学校に通わせたりする意味は薄いと思うが。
『スターウォーズEp.2』のクローン兵のごとく、最強の兵士に育てるための教育だけを施せばいい。
 ファフナーの操縦には、人間的感情が必要?
最強最悪の兵器であるファフナーを託すにあたり、盲導犬が厳しい訓練を受ける以前にパピー・ウォーカーに預けられて まず最初に「愛情」を覚えさせられるように、まだ子供達は里親に預けられ島への「愛情」を覚え込まされている段階だったとか?
 しかし、この島に、普通に親から生まれる子供は居ないのかな?
学校を分けられていて、そういう子供達はもっと普通に大事にされていたり。

 犬を連れて、雨降る夜の町をさまよう甲洋。
 ここでの日常風景の描き方と、犬一匹さえどうにも出来ない無力感・寂寥感を「翔子に対する甲洋の気持ち」に重ねていく作りは、なかなか上手いと思う。
一騎に頼れば それで済むのに、どうしても頼めない葛藤も良いし、結局 翔子の代わりとなる子供を育てることは拒否した翔子母が引き取ることになる落とし方も、結構。

 どうでもいい事だけど、犬には声優さんを使わず、本物の犬の吠え声をあてた方が良かった気が。ちょっと不自然。
後には この犬、人語を喋るようになるとか(笑)。
「ソロモン」という名詞も登場しているし、意外と あり得ない事でもなかったり?

 …唯一「使える」パイロットである一騎を、襲撃が相次ぐ自分たちの島から離しちゃって、良かったのかな?
 ドラマ上、そうでないと困るのは分かるんだけど、普通に考えれば一騎を残して「使えない」二人組の方を調査に向かわせそうなもの。
自爆の連続はないだろうから、調査の間は本島への襲撃も無い、って事か。

 繰り返すが、最初からこのレベルの内容であれば『ファフナー』に対する評価は、現在よりずっと上がっていただろう。
そう考えると、惜しい。
 せめて、これからは今回並の出来で推移してくれることを願いたい。


 あ、掲示板で、鶴丸 さんからも情報を頂いておりますが、公式ページの「竜宮島回覧版」に掲載されております設定は、読んでおいた方が良いようです。
というか、読まないと今のところ、何が何だかサッパリ分からない。
 こういうのを物語中で自然に説明するのが、製作者の腕。
上手く使いこなせない大量のオリジナルな設定は、ただ製作者の首を絞める役にしか立たないのですけれども。


2004年8月22日 日曜日

『KURAU Phantom Memory』08.「もうひとつのクリスマス」

 バトルPODに出場するクラウ。
操縦テクニックはさすがだったが、つい やりすぎてしまい、反則負けに。
 あー、この子はこういう性格なんだなあ。
自分の特殊能力は極力 隠さなければ危ないとか、そんな細かな事( ^_^ )を考えていられるような周到な思考形態など持っていない。
体育会系、というか、かなりガサツな女の子。
女の子らしいクリスマスとのコンビで、ようやくバランスが取れている感じ。
 どちらかというと…彼女がいつから能力を使った仕事をしていたのか知らないが、アレだけ目立つ活躍に今まで注目しなかったGPOの方が不思議。

 クラウとクリスマスの穏やかな日常が とても楽しげなモノであったので、置き手紙一枚残して再びアテのない逃亡生活に戻るラストが、余計に切ない。
 今回は、彼女達を追うアヤカの、悲惨な過去も描かれた。
そのあたりの事情が、クラウ達の苦難と関係してくるんだろうな。


2004年8月21日 土曜日

 レンタルで『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』を見る。
 監督は、前作から引き続き手塚 昌明。

 そんなには、破綻がない内容。
いや、アチコチ綻びはあるんだけど、以前のゴジラ映画にあった「何がしたいねん お前!」という程の、腹に堪えるようなダメさは無い。
 ただ、致命的な難点が無いというだけで、良くできた内容と言える程ではないのが残念な所。

 観客を飽きさせないよう、とにかく色々な感情の動線が挿入されている。
・機龍を葬って欲しい小美人
・若い頃に出逢った小美人・モスラへ寄せる老人と、その孫の、世代を超えた想い
・機龍整備にかける主人公
・主人公と、機龍パイロットに撰ばれた旧知の女性との関係
・それに、主人公と対立する男性パイロットを加えての三角関係(…という程ではないが)
 盛りだくさんなのは結構だけど、これらが てんでんバラバラの方向を向いていて、最後まで そのまま進んでしまうのは頂けない。
 上手くまとめ切れてもいないし。

 小美人が機龍を葬って欲しかった理由は、「死んだモノは そのままにしておきましょうよ」という程度で漠然としており、「彼女達の意向を人間が無視したために大変な事態に陥る」といった因果の帰結も迎えない。
 また、日本が軍事力(機龍)を放棄すればその代わりに、我が国(インファント島)の軍事力(モスラ)で守って上げましょう、という構図には意味が出てくるのかと思ったが…予想通り( ^_^ )弱くてアッサリとゴジラにやられてしまうモスラを見せては、台無し(幼虫を含めれば頑張ったとは言えるが…機龍無しでは負けていただろう)。
 小美人が、安請け合いする無責任女に見えてしまうのも、どうか。

 老人が、旧知である総理大臣をゴジラ廃棄の方向で説得(?)するのにしても、何しろモスラが弱い事で間が抜けて思えてしまう。
 命をかけ、校庭に机でモスラを呼ぶマークを描く孫の行動。
……そんな事しなくても、約束があるんだからモスラは来るんじゃないの?
小美人が付いている限り、モスラの行動の統制は取れているはずだし。
 日本が、機龍廃棄の約束を結局破ってしまう→日本を見限る小美人→ゴジラ出現にもかかわらず、トラブルで出撃できない機龍→日本、絶対の危機に、必死で真心をもって救助を訴える孫と老人→心を打たれ、モスラを救援に出す小美人
…このぐらいの段階を踏まなくては。

 機龍と主人公の関係。
 メカに思い入れるのは結構だけど、機龍は、「オリジナル・ゴジラの骨格を持ち」「人類が作り上げた機械で制御している」存在な訳で、彼が心を通じさせたのは どちらだったのか?
 生体ゴジラとしては、一応 自分の気持ちを理解してくれようとしているとはいえ、自由を制限する機械部分を調整する整備士に感謝の気持ちなど、抱く理由があるの?
 機械ゴジラなら、分からないでもない。
ラスト、別れのシーンは、『2010年』でのHALとチャンドラ博士の同様シーンを目指したのかな。
アレは、大元に産みの親と子供の関係があり、非情な運命を正直に告げてくれた博士への感謝が込められていたから、感動的になり得ていたのだが。

 主人公と機龍パイロット女性の関係。
…ほとんど描かれていない。この因縁は、あっても無くても物語に影響ないだろう。
 主人公とパイロット男性との確執。
確執が生まれた理由が弱く、その解消に到っては特に理由が無いと来た。
 これらは、何となくドラマ「風」に映画を見せる役にしか立っていないような(男性パイロットがエライさんの子供であるという設定も、ほぼ無意味に終わった)。
 三角関係を活かすなら、主人公を整備士、という若干ヒネった設定にせず、素直にパイロット候補生の一人にすれば良かっただろう(前作と似てしまうが)。
三人の切磋琢磨、優れた操縦手腕を持ちながら機龍を戦わせる事に躊躇いを感じ、上層部からの評価を下げてしまう主人公、といった図式の方が、無駄な描写に時間を費やさないで済む。

 この監督、とにかくドラマティックにしたい、印象に残るシーンを作りたい、という意図を持って映画に取り組んでいる事は分かるのだが、そればかりが先走ってしまい、ストーリーの調整能力が追いついていない。
 機龍の出撃に絶対反対である小美人・モスラの危機に、日本国首相が決然と立ち上がり「同胞の危機を見過ごしには出来ない!機龍出撃だ!」と言い放つシーンなど、その典型。
 「お願いだから、もう賭け事はやめて」と願う妻が、自分の借金を返すためボロボロになりながら一生懸命働いているのを見たダンナ、彼女の苦労を見過ごしには出来ないと、決然と、一発当てて借金を返済するべく競馬場に向かう、みたいなピントのはずれ方で。
 「格好イイ首相」を描きたかったのは理解できる。
でも、ここで機龍を出撃させる首相を最高に格好良く見せるべく、ストーリーを調整するのには、失敗している。
 これが、惜しいんだなあ。

 戦闘シーンは、頑張っていると思う。
ビルを挟んで、死角から左右・直上にミサイルを打ち上げゴジラを狙う機龍、放射能火炎でそのビルをブチ抜き、機龍を吹き飛ばすゴジラ、という やり取りなど、かなり面白く撮れている。
 前作のパイロットが機龍に搭乗しない事にも、一応の理由は(無理はあるが)付けられて連続性を維持しており、無責任な制作姿勢でもないと思う。
…この映画世界には、以前に『モスラ』はあったけれども『モスラ対ゴジラ』は存在しない、という繋がりは分かり辛いが。

 あとは良い脚本家、良いストーリーがあれば、結構 面白い『ゴジラ』を撮れる監督かも知れない…と思うんだけど、完結編になる次回作は、この人じゃないのかあ。


2004年8月20日 金曜日

 レンタルで映画『DEAD LEAVES』を見る。
 天才アニメーター・今石洋之が監督を手掛けたアニメ。

 …だいたい、見る前に予想した通りの作品。
ストーリーが、というのではなく、全体から受ける印象が、予想通り。
 かつて、これまた天才アニメーター・金田伊功らが作り上げたOVA『バース』を彷彿とさせる。
客の置いて行きっぷりなど、全く同じ。

 飛び跳ねて、銃を撃ちまくって、ウンチ出してオナラ出して、血が噴き出して大爆発する、全編それだけの作品。
筋らしい筋はなく、葛藤もフラストレーションもない代わりにカタルシスもない。
 アクション自体は凄いんだけど、「客を楽しませる目的のアクション」ではなく、「とにかく凄いアクションをやってみたかったから作ったアクション」だからなあ。
『マトリックス』も、2作目、3作目と、次第にその傾向を強めていったような。
 映画自体からも、作り手からも、見る者が拒絶されているような気分にさえ。

 緩急が付いておらず、52分間ずーっと同じテンションで進んでいくため、段々と画面からの刺激に慣れ、何も感じなくなる。
要は、飽きてしまうのだ。
 劇場の大きなスクリーンで、大音響の音楽と共に見た人間はバッド・トリップ出来たかも知れないが、冷静なメディアである家庭内のテレビで見ると、途中で集中力が尽きるのを感じるだけ。

 作画のパワーからすると、もっと「客を楽しませる」方向で作ってくれていたら凄い作品が出来たかも知れない、惜しい…と つい思ってしまうが、監督以下スタッフ自身は楽しんで作ったのだろうから、それはそれで良かったのかな。



『月は東に日は西に〜Operation Sanctuary〜』06.「恋のバイシクル」
 メインのヒロインである保健室の先生(笑)から離れ、同級生や下級生少女への彫り込みが続く。
 キャラはそれなりに可愛く、お話もほのぼのとしていて、悪印象を与えるような内容ではないのだが、逆に言えば良くも悪くも印象が弱いアニメのまま。
もっと強烈に自我を主張するキャラがいれば…
 やっぱり、チビな学校の先生の扱いは もったいなく感じるなあ。
人気取れそうなのに。

『Wind -a breath of heart-』06.「一歩を踏み出す勇気」
 前回、体育祭の話で、キャラクター達が不思議な…玉入れでポールを飛び越える跳躍力を見せたり、サイコキネシスでカツラを持ち上げ、空中浮遊して猛ダッシュするなどの力を見せるのに、驚く。
 そういえば、この世界は こういう超常能力が日常化しているんだっけ。
 うーん、これまでの所、そんな力を必要とする物語じゃないと思うんだけど…今後、大きな意味を持ってくるのだろうか?
 何だかちょっと、世界中の人間が魔法を使える設定の『まぶらほ』を思い出してしまった。
『DC. 〜ダ・カーポ〜』の主人公も妙な力を持っていたな。


2004年8月19日 木曜日

『ギャラクシーエンジェル4th』13.「成りアガリクスダケ」14.「お守りそば」

 前半。
 「ロックだ!」ってのは便利な言葉で。
寒い日に薄着で外出するのも、うどんを食べる時にやたら七味をかけるのも、最大限に広げて「ロック」といえば「ロック」( ^_^ )。
 オーディションで、窓ガラスを割って飛び込んだ上 乱暴狼藉の限りを尽くしただけで歌も歌わずに立ち去る所とか、イキオイがあって良かったんだけど、その後は割に普通の展開。
 クライマックスで、帰ってきたフォルテにより元通りのメンバーが揃い100パーセントの力が出せる…かと思えば、新人フォルテまで帰ってきてしまった事でグダグダに。
話自体は「燃える」パターンのパロディーになっており、脱力する面白さがあるのに、演出のテンションが僅かに足りず、笑いにまで結びつかなかったような。

 後半。
 ウォルコット中佐の日常。
 以前出てきた巨大化ロストテクノロジーが再度 登場したのは、懐かしい。
 が、ウォルコットとスーパーのお姉ちゃんとの淡い恋の下りは…エンジェル隊との ほのぼのかと思えば勝手な要求を隠して そう装っていただけというオチと同じく、どうにも古い。
 世界を広げるために、こういう話もアリだとは思うが。



 また、メールが来る。

 「会うことが前提。一度きり大前提。」
> 未練も何も残さない完全燃焼の一日を私に頂けませんか?
> いきなりのメールで驚かせてしまったかと思います。
> 貴方が既婚者でも、彼女がいても構いません。
> お互い、秘密厳守でほっと息抜きしたいです。
> 32歳、今は独身の○○○○○と申します。
> 2年前に主人を亡くし、今は仕事ばかりの毎日です。
> 初めはお会いするだけでもかまいません。
> ゆくゆくは心の許せる関係になれたら、と思いメールしています。
> もしよければ、お相手していただけませんか?
> もちろん、貴方の周りには一切迷惑をかけるつもりもありませんし、貴方の貴重なお時間分の希望額を用意します。それだけの時間も資金もあります。
> けれど…今の私には欲求が空回りするばかりなのです。
> 私の、ぽっかりとあいた穴を埋めて頂けませんか。1つだけ私の願いを叶えてください。ご連絡、心からお待ちしております。では後ほど…

 …こんなのでも引っかかる人が居るのかな?
居るから、送り続けているのだろうが。
 約束した場所へとノコノコ出掛けて行った所へ、宗教かセミナーか、デート商法での高額商品の売りつけか、そんな嬉しい企みが待ちかまえているものと。
 これもまた、アチコチに届いているメールらしい。

 しかし、送り主女性の、32歳という設定年齢はどうだろうね?
個人的に こちらの年齢と比すれば、そのぐらい構わないんだけど、若いモンからは忌避されるかもしれない微妙な年頃では?
28歳とか、ギリギリ30手前の方が好かれやすい気がするなあ。
 あと、外見も書いておいた方が良いだろう。
32なら、アナウンサー久保純子やタレント大東めぐみが、その歳。
あー、この辺のイメージなら、多くの人の許容範囲に入るかな。

 「貴重なお時間分の希望額を用意」ってのは、会った時間分お金をくれるって事?
ちょっと都合良すぎ。かえって警戒されてしまう。
金銭的な事には触れない方がいいんじゃないか。

 いや、こんな悪質メール相手に、こうした方が客を引っ掛けやすくなるなんて事を考える必要ないや(笑)。
 くれぐれも、こういうメールに対して「面白そうだから出掛けて会って、からかうだけで帰ってやろう」とか思わないように。
相手は、コレで喰っている「プロ」なのだ。
必死で、商売としてやっている、悪知恵の回る、手段を問わない「プロ」に、遊び半分のシロウトが敵うと思っては大間違い。
 君子危うきに近寄らず。



『KURAU〜Phantom Memory』07.「新しい暮らし」

 クラウについてもクリスマスについても分からない事が多く、それは感情移入への障害になりそうな物だが、二人の心理状態に限っては実に細かく追ってきた成果、平和なバイト生活で二人が楽しそうにしているのを嬉しく見られてしまう。
 何でも器用にこなすクリスマスと、特殊作業は得意だが日常動作が苦手なクラウ、という対比が愉快。

 赤ん坊を見て、思わず「私も赤ちゃん、欲しいなー」と口に出してしまうクリスマス。
 しかしまあ、子供でも(子供だからこそ?)このぐらいの事は普通に、無邪気に口にすると思うんだけど。
この言葉を聞いて吹きだしてしまう野郎共は、意識しすぎ、考えすぎなんじゃないかコラ(笑)。

 生まれたばかりで皆から可愛がられる妹に嫉妬心を抱き、拗ねてみせる弟。
その気持ちを乗り越え、たった二人の兄妹として、自分を信頼し切った笑顔を見せる妹と、一緒に居られる幸せを実感していく。
 その強い絆と幸せを、クラウ・クリスマスの二人に重ねていく構成が気持ち良い。
店を訪れた男性客にチヤホヤとされるクリスマスを見て、自分から離れていくような不安を感じ不機嫌になるクラウ、という図式が示されると、もっと強い重なり方を示せただろうか。


2004年8月18日 水曜日

 メールが来る。
 内容は、
> 私のパソコンに件名も本文も書いていないメールが来たので
> とりあえず返信してみました。どちら様でしょうか?
> 私は○○と申します。間違いだったらごめんなさい
というもの(念のため名前部分は伏せ字)。

 一瞬、何かを送信するのに失敗したかと青くなるが…
 調べても、送信記録に この人のメールアドレスなど無い。
ウィルスか何かによってメールソフトが誤作動を…という可能性も考えられなくはないが、全然別の(Windows機とMacという差すらある)パソコンを使っているヨメの所にも同文のメールが届いていた所を見ると、こちら側に理由は無さそう。

 調べてみると、同様メールが流行っている様子。
 まあ、何らかの、こちらには不利益しか発生しない行為の一環なんだろうな。
無視無視、無視が一番。

 そういえば、『着信アリ』という映画があるよね。まだ見てないけど。
『リング』がビデオテープというアイテムを用いたのに対し、現代的に最も身近である携帯電話を、恐怖を生み出す小道具に使った、その目の付け所が企画・原作・秋元 康の巧さだと思う。

 そこで、こーゆーのはどうか?
『架空請求アリ』。
 ある日、全く身に覚えのないメールが届く。
「最終通告
貴方様が以前ご利用になられた、(文字化けで読めない)が未だ未納となっております。再三に渡る請求にもお応えが頂けないため、、私(文字化け)が今後、貴方様へのご請求を担当させていただきます。
本書到着後、下記まで大至急ご連絡を下さい(存在しない住所と、現在使用されていない電話番号)。

万が一、(文字化け)のお支払いやご連絡がなき場合は、最終手段として(文字化け)させていただきますので早急にお手続きを、よろしくお願いします。

尚、このメールの内容について、決して他の方にご相談をなさらないよう、御注意下さい。他の方にご相談された時点で、不本意ながら(文字化け)を行使させていただく場合があります」
こんなような、謎っぽい。
 もっと理屈も何も無く、
「払え 払え 今すぐ払え 払わないなら(文字化け) 三日以内に(文字化け)」
このぐらい、どーせーっちゅーんじゃ、という内容でもいいな。

 当然ながら請求された側が無視していると、まあ何だか怖い姿の化け物女とかが、天井からブラ下がったりしながら命の取り立てにやってくる訳ですよ。
 C級ぐらいのホラーでなら使えなくもないネタだと思うけど、「架空請求に応えないと殺される」というイメージを流布させてしまうのは どうか、という社会道義的な問題があるか。

 同様に『オレオレ詐欺アリ』ってネタ(笑)も考えたけど、これまた道義的には使えないなあ。
 いや、道義を云々出来るような仕事してないだろ お前!という指摘はマコトに ごもっともですが。


2004年8月17日 火曜日

『蒼穹のファフナー』06.「翔空〜ぎせい〜」

 今回もまた、良かった点を探すのに苦労させられる内容。

 翔子、死亡。
死ぬまでのプロセスには結構な時間をかけていたようだが、血の繋がらない母子関係を説明してみたりなど凄まじい付け焼き刃ぶり(伏線だろうけど)で、死という結果予想が早々に付いてしまう事もあり、「ボチボチいいんじゃないか?」とさえ思ってしまう。
 「病弱」というキーワードが存在している分だけ他のキャラよりいくらかマシとはいえ、まだまだ「人間」としてなど認識できず、「記号」でしかなかったキャラを殺されても…
「Aくんを好きなD子という病弱な女の子が居てね、その子がAくんを守ろうと出撃して敵を道連れに自爆して死んじゃうの。D子可哀想でしょ?D子の けなげさに泣けちゃうでしょ?」
こう製作者から自信ありげに問われた所で、
「…別に」
という以外には応えようがない。

 翔子が作品中に占める役割を もっときちんと描写してからでなければ。
 親友の少女と一騎を取り合う関係にあったようなのだから、そこを あと僅か彫り込むだけでも、今回の退場による損失感は ずっと深くなったかと。
 「死」は、作劇における最終兵器の一つ。
この絵空事アニメのキャラクターが死のうと生きようと、自分たち視聴者の心には何も響かないんだなあ、と思わせて(気が付かせて)しまっては、作品の先行きに期待感など持ってもらえるはずがなく。

 相変わらず分からない事だらけ。
 翔子の乗る機体の武装が、主人公機と比べて酷く貧弱なのは何故?
強力な武器は、基地に一つしかない?
その割にはロボット単体で凄い飛行能力を有しているし…飛行専用ファフナー?
 他の子供達が、他のファフナーに乗ろうとか考えないのも不思議。
他人事だから関係ない?翔子の親友も居たはずなのに。
 これだけの緊急事態に見舞われながら、有効にせよ無効にせよ何一つ対抗手段を講じられない基地司令部の…というより製作者の考えの足り無さにも、呆れる。

 子供達は強烈なマインド・コントロール下に置かれているのではないか、だから感情的リアクションが おかしく見えるのではないか、という仮説(笑)を立てていたけど、今回 翔子が見せた狂乱ぶりで、あり得ない事と分かった。
 そうなると…これまでのキャラ描写の変さは、ただ単に製作者の力不足による物、か……



 何とか無事、商業誌のお仕事 終わりました。
コミケまで休んだのに結局 原稿は落ちました、じゃあ、あんまりですもんね。

 コミケ当日、わざわざウチのスペースまで足をお運び頂きました皆様、この度は どうにも不細工な事態となってしまい、誠に申し訳ありません。
 次回は、必ずや。
比較的マシな創作物を携えまして、参加したいと。
……抽選に落とされなければ、の話ですが。

 あ、次回申し込みは明日が締め切りです。
参加を希望する皆様は、忘れず手続きしましょう。
ウチも今からカット描きしないと。


2004年8月14日 土曜日

 すみません!
 現在の原稿の進行度合いでは…コミケ参加は ちょっと無理みたいです。
従って明日は、何の販売物もスペースには ありません。
 もうひたすら、無念で情けなくあり、立ち寄ってやってもイイかなと お考え下さっていた方や、ここを見ず当日 実際にスペースまで お越しになる方には、伏してお許しを願うばかり。
 ごめんなさいごめんなさい。

 とほほ……
気を取り直して、商業誌のお仕事を頑張ります。
 それだけが自分が示せる、精一杯な責任の取り方でしょうから。


2004年8月12日 木曜日

『ウルトラQ〜dark fantasy〜』19.「レンズ越しの恋」

 お話は余りにもストレートで、開始5分程で予想したのと同じ終わり方をしてしまう。
少しヒネって、誰しもが予想するオチとは違え、意外性を狙うもんじゃないかなあ。
 いわゆる「いい話」系ストーリーだったので、嫌な方向にスライドさせる必要はないが、もうちょっと…
主人公とその祖母の間に葛藤を設定するとか。
 強引なやり方で一代にして財を成した祖母が、未だに強い支配権を持つ家。
孫である主人公は自由な生き方を求めるけれど、祖母はガンとして認めない。
一体どうして祖母はこんな風になってしまったのか、反発を感じる主人公が祖母と和解する事はあり得るのか…?というあたりに物語の焦点を当てていると、ラストシーンはもっと引き立ったのでは。

 基本ラインは放送のままにしても、どうとでもテーマを変えられる内容だったので、例えば…
 戦時中の事などに何の興味もない現代の若者が(かつてアメリカと戦争していた事さえ知らない子も居るとか)、好意を抱いた過去の少女のため、色々と調べていくうちに、彼にとっては想像を絶する「戦争」の実態に触れていく…というような内容でも。
ただ、教育的で面白味に欠けてしまう恐れがあるか。
 戦時中の日本・アメリカの姿を、現代とダブらせて描く事も出来たな。
大戦中のアメリカは、正しい・間違い・どちらとも言えない、翻って現代のイラクに対するアメリカの姿勢は、正しい・間違い・どちらとも言えない、など、これらを組み合わせて。
迂闊に深入りしてダレが悪いダレが正しいと言い始めると、「思想」的な側面が出てしまい、拒否反応を起こされる可能性もあるけど。


2004年8月11日 水曜日

『GIRLSブラボーfirst season』04.「豪邸でブラボー!」

 今回、物語がどうにも弱い。
 ミハルを福山宅から取り戻しに行った(少なくとも直接会って事情確認をするつもりはあったろう)主人公は、警備員や屋敷の仕掛けに追い回され、ただ逃げ回るばかりで、「ミハルに会わなければ」という当初の目的を不達成。
達成しよう!と強く思っていた訳でも無さそうだが。
 代わって、屋敷に乗り込んだ桐絵。
彼女の今回の目的は、雪成に手作りのお弁当を食べさせ、長らくねじれていた関係の改善を計る事。
しかし、そのお弁当を福山に食べられ、しかも それに対する怒りは「不味い」という評価と体調を崩したフリをする福山の看護をする事でウヤムヤ、「そんな不味い料理を雪成に食べさせずに済み、かえって良かった」という喜びに桐絵の感情を転化する方法もあったと思うけど、コレも無し。
 せっかくミハルを雇い入れた福山は、特に彼女に執着する様子を見せず。
何のために雇ったのかなあ?
 肝心のミハル、働いて食費を稼ぎたかったはずなのに、その考えに全くこだわらず アッサリと仕事を辞めてしまう(辞めたんだよね?)。

 パターン通りだと今回の話の構成は、
言葉巧みに持ちかけミハルを雇い入れる福山→衆目がないのを良い事に屋敷内で無体なマネを仕掛ける(ミハル自身は何とも思わない程度の)→事態を知った雪成、桐絵と共に様々な困難を乗り越え屋敷に潜入(複雑な心境の桐絵)→最終的には、福山妹 絡みのドタバタでオチ
こんな感じでは?

 登場キャラ全員が、自分の行動に自信を持っていないみたいで、フラフラしっぱなし。
それを、「当初の目的はドコへ行ったんだよ?」という笑いに持って行く作り方もあるが…
 今回の話は、制作者がキャラを把握できていない、としか見えず。
桐絵を屋敷に案内した、感情欠落メイドが一番、自己の「役割」を認識していたような。
 いや、調理技術は致命的ながら栄養のバランスなど考えて お弁当を作る桐絵が、可愛い事は可愛いんだけど。
この「お弁当」は、今回の最重要アイテムであるべき。

 絵的なサービスが規制されている現状、余計に、物語やキャラの描き方による「萌え」濃度の上昇が求められているのだが。


2004年8月9日 月曜日

 寝てられません、ひー。

 『仮面ライダー剣』、いい人っぽいアンデッドが出番終了する話。
色々と前提条件の説明不足があり、あー封印されちゃったね、という以上の感想を持てず。
 レンゲルって必要かなあ?ライダーが4人居ないと乗り切れない窮状、なんて そうそう無い訳で。
ライダーベルトを壊しカードだけの存在にして、ブレイドあたりが戦闘に使うとか、そういう楽な解決法もあったのでは?
とか、シリーズの根幹に関わる疑問は持っちゃイケナイか。
 この封印が、レンゲルにどういう影響をもたらし、それが今後の戦況にどう関わってくるか、という所まで見ないと何とも。

 WOWOW放送の映画『呪怨2』を見る。
と言っても流し見程度。
ホラーで、画面から目を離している時間が多いと、当たり前ながら面白さなんて ほとんど受け取れない。
 時系列を入れ替え、結果が先で原因が後から来るような、トリッキーな構成が目に付く。
その不条理感や不安定感を恐怖に結びつけようとしたと思われるが、「ああ、なるほど、ココに こう繋がるのか」という感心の気持ちは、怖さとは全然 相容れない感情ではないだろうか。
 それでも、マンションの一室で、存在しない隣部屋との境の壁を何かがドンドンと叩く音がして…というネタなんかはキレイに(しかし不条理に)オチており、「ほほう」とか声が出てしまった。
 白塗りお母ちゃんと息子は、何だか既に馴染んだ顔であり、ジェイソン、フレディーと同様のダーク・ヒーロー(ヒロイン)と化してもいるので、出てきても全然 怖くない。
そんなに頑張って関わった人を皆殺しにして回って、楽しいのか?殺された人よりも、「みんな殺さなければならない」責務を永遠に負い続ける貴方達母子の方が よっぽど可哀想ではないか?などと余計な事を考えてしまうぐらい。
 ラストの無茶さは限度を超え過ぎ、爆笑ネタになっている、とか色々あるけども、「見せ物」としての出来は悪くない…と思う。


2004年8月7日 土曜日

『ケロロ軍曹』19.「ケロロvs夏美 おまつり頂上決戦!」「ケロロ あなたのお耳に侵略ラジオ」

 後半。
 グダグダになって行く馬鹿ラジオ放送が やたらに楽しかった。
こういうネタは、声が付けられるアニメならでは、だなあ。



『魔法少女隊アルス』01.「魔女の国」02.「百匹の妖精」03.「魔法のホーキ」04.「妖精エクー」

 一気に4話、まとめて放送されたものを、初めて見る。
 うーん…これ…一話ずつ見て行ってたら厳しかったろうな。
特に1、2話のあたりでは、とにかくヒロインの行動原理が明らかでないため感情移入が難しく、作品自体に対する興味まで薄れがち。
 続けて見ても…事情もよく分からないのに妖精達を逃がしてしまうヒロインの行動が、余りにもすっ飛んでいる(電波っぽい)ので、共感を持つのは難しいぐらい。

 独特な雰囲気のある作画、特異な世界観、次第に味が出てくるキャラクターなど、魅力的な作品になる素養は十分にあるのだが…とにかく入り込み辛い。
先行きへの期待で、見続けるかな。
 次回、総集編放送は、8月13日(金)18:20〜19:00の予定。



 うううう、酷いスケジュールに突入しております。
 恐らくはコミケ明け、16日ぐらいまで、まっとうな更新は出来なくなるかと。
悪しからずご了承を。


2004年8月6日 金曜日

『無人惑星サヴァイヴ』41.「だから行かなくちゃ」

 前回の ほのぼの恋物語とは打って変わって、緊張感のあるアクション編に。
 特に最近、「今回はコレを描く」という主題の絞り込みが的確に出来ており、しかもそれが なかなかバリエーションに富んでいるので、見ていて飽きないなあ。

 テラ・フォーミング施設を守る警備マシンとの戦い。
相手が一機しかない状況を活かした作戦立案、アダムを思うルナの愛情、ルナを認識しつつも拒絶する警備マシンの意外性と、命がけでルナを守るベルの勇気、そして超人的な(若干やりすぎのような…)カオルの行動、と、見所は十分すぎる程。
 面白い。



月は東に日は西に〜Operation Sanctuary〜』04.「走れ、まるぴん!」

 このアニメのヒロインって、幼馴染みでも同居の従妹でもなく、保健室の女先生?
と、思ってしまう程、この女先生が主人公の行動に与える影響が大きい。
年上女性との恋、も嫌いではないので、それはそれでオッケーだが。
 チビ先生・結は、いかにも転がし甲斐がありそうなのに、割とほったらかしにされているようで勿体ないような。
今回、車を異常な程 安全運転した事で、僅かにキャラクターを伺わせたか。
アレかな、やっぱり『あずまんが』ちよちゃんが成長して教師になった雰囲気なので、無謀運転車への恐怖心が骨の髄まで染みついている訳?
 それはそれなりに楽しく、ぼーっと眺めていられるけど、4話に到ってもまだ話らしい話を語らなくて、イイのかな?



『Wind -a breath of heart-』04.「親とはぐれた子供たち」

 料理が下手なヒロインは割と良くいるけど、それに対し、こんなにも遠慮無く「下手だ!」という事を指摘する主人公は珍しい。
大抵は、ヒロインへの「愛」を体現するため、無理して食べ切ってしまうモノ。
そりゃまあ、芽を取ってないジャガイモや、火の通ってない豚肉は、愛があろうが無かろうが食べたくなくて当然だが。
 主人公達が暮らす「街」に、意味があるのかな?
ようやく物語が動き出す気配。


2004年8月5日 木曜日

『鉄人28号』18.「正太郎 一人…」

 ひたすら正太郎がイジメられる話。
少年探偵も こうなっちゃあ形無しよ、わっはっはっは(悪役?)。

 金田家に覆い被さるブラックオックス、そしてそれを操るのは…
謎の男・ニコポンスキー。
 今回のアニメ版では、その正体は誰に設定されるのだろうか?単なる悪党ではないようだし。
まさか敷島博……いやいや。
 ブラックオックスを自由に操れる人間だからなあ。ここで初登場となるキャラクターを設定する可能性もあるけれども。
妥当な所では敷し……いやいや。
 面白くなって参りました( ^_^ )。



『ギャラクシーエンジェル 4th』09.「じゃんじゃん炊飯じゃー」10.「ラブ米」

 うーん、今回はちょっと低調。
 前半、吸い込んだモノを何でも炊きたてご飯にしてしまうロストテクノロジーの炊飯ジャーを使い、それを食べて特殊能力を身に付け続ける ちとせが辿る栄光と悲劇、というような話だったが…
転がし方、クライマックスからオチまで、だいたい予想の範疇に収まってしまう。
 演出のテンポが若干悪い事も、笑いにまで結びつかなかった原因か。

 後半。
 『ときめきメモリアル』でお馴染み、金月真美に劇中ウソ主題歌を歌わせるノリはファンに喜ばれたろうが(それにしても旬から遠い)、その後のラブコメ展開が余りにもパターン通り。
「パターン通りなのが可笑しい」という持って行きようも もちろんあるんだけど、それは多数の作品において既にやられている事で、こういうアプローチでは、今更、としか思えず。
 PC系エロゲー(恋愛シミュレーションゲーム)のパロディーにすれば、まだ数は少ないだろうから新鮮さを出せたのでは?



『忘却の旋律』18.「東京駅」

 やりそうでやらないギリギリ感が何とも。
それがまた、普通のドラマの中にエッチな部分が入っているのではなく、「変」な、あるいは全て「性的妄想」を掻き立てる方向に揃えられたキャラクターや設定やイベントの上に乗っかっているもので、やたらに煩悩が刺激されてしまう。
 アイバーマシンが「愛馬」であり、馬はフロイト的には父親の象徴ともなる。
だから、女の子達のマシンは男性に変身するが、男性である主人公のマシンは あくまでマシンのまま。
父性は、主人公が背を向けて旅立った物であり、同行の女性に対する包容力を発揮すべく現在 会得しようとしている物でもあるか。

 などと薄〜い分析を、見ているとつい してしまう所が、面白さであり、同時に、見終わると何となく疲れているような気分にさせられる所でもある。

 本当、非常に不思議なバランスで組み立てられた世界で、考えてみると作品世界の何一つとして確かなモノが無い。
不条理な世界、不条理な敵、不条理な味方、不条理な自分。
 それは、少年が成長と共に、初めて自身の力で世界と向き合った時、嫌でも感じてしまう「現実」の姿なのかも知れない。


2004年8月4日 水曜日

 録画しておいたアニマックスのロボットアニメ特集を、つらつらと見る。
 うーん、『大空魔竜ガイキング』の一話目って、ムチャクチャやなあ。
宇宙人が、プロ野球チームのピッチャーである主人公の右腕を、わざわざ試合中に、地味ながら やたら目立つ方法で壊し、列車に乗っていた所を再度 襲撃。
からくも逃れた主人公は、大空魔竜チームに導かれるまま、発作的にメカに乗り込み、何の知識も訓練も無しにガイキングに合体した挙げ句、襲来した敵と成り行きで戦う事になるのだった…
 何とも大雑把な話。
 それなら、『ゲッターロボ』の一話目だって相当な物で。
パイロットが居なくなってしまったため、取りあえず 基地に居た博士の娘・ミチルの同級生である流竜馬が、同じ高校に通う神隼人・巴武蔵を個人の判断で勝手にスカウト、うやむやのウチに3人はパイロットに決まり、自動操縦でゲッター1に合体、これまた何の知識も訓練もなくメカザウルスと戦う事になる。

 「その時代」だから許された内容。
 今、この通りで新作として放送を始めたら、非難囂々だろうな。
いや、かえって目的とする方向が分かり易く、好評かも。
 「コマゴマと段取り踏んでないで早く主人公をロボットに乗せ、格好良く暴れさせたい」という意図が、気持ち良いぐらいハッキリしているから。
最初からリアルさなど追おうとしてないのに、その方面で文句を言っても無効。


2004年8月3日 火曜日

『名探偵ポワロとマープル』04.「申し分のないメイド」

 欠点のない人間など居ない、というのは確かに真実ではあるけど、「新しく雇われたばかりのメイド」「以前のメイドに怒り、クビにして、新しいメイドを雇った雇用主」、という少々特殊な関係性内での話であれば、メイド自身に実は欠陥があったとしても一時的にだけは覆い隠して行動できる、そのためマイナス点が主人の目に付かない、気にされない、という事は十分にあり得る事で、不自然でもないと思うが。
 そういう僅かな疑問点から糸口を見つけ、状況を総合的に分析しながら真相を明らかにしていくマープルの鋭さ、って事なんだろう。

 手鏡を使った、マープル婆ちゃんの恐るべき周到な罠には、驚く。
油断も隙もあったもんじゃない(笑)。
 『刑事コロンボ』「二枚のドガの絵」を、ちょっと思い出してしまった。


2004年8月2日 月曜日

『蒼穹のファフナー』05.「約束〜ちかい〜」

 女の子…真矢、が、突然にフリークライミングをしているのに面食らう。
そこまで活発な女の子なのか、というのもだけど、危機に直面しており まだ使い物にならない子供達を教育して即戦力にせねばならない状況下で、こんな事やってる暇が よくあるものだと。
訓練、訓練の連続で、部屋に帰ったら もうぐったり、という方が現実的。
 そういえば一騎って全然 訓練してないのでは?そんなもの不必要な程の天才なのか?
 また、ホモ兄ちゃん・総士が、一騎がよく来るという崖の上に立つ事で彼の気持ちを理解しようとしている…というのも不思議すぎ。
別に関係が断絶している訳でもなく、一緒に話したり飯食ったり遊んだり訓練したり、そういう行為を撰んだ方が、より簡単に理解できると思うなあ。
そういった通常のコミュニケーションは余り取っていない様子なのに。

 とにかく伏せた設定が多く、キャラや物語への理解に大きな障害が出ている。
 新国連の要請により、ファフナーの一機を引き渡す事にした島側。
何故?戦力で勝るなら、突っぱねる選択もアリでは?また、それは渡しても良い程度の機体なのか?
 襲われる新国連船を救出に向かうファフナー。
…全船撃沈されるまで静観してれば良いんじゃないの?前回は偵察機に対し、そうしようとしていたクセに。「ファフナーの調整に手間取っており、救出活動は困難」とか何とか言い訳して。どうにも理解に苦しむ行動。
 新国連のエライ婆さんが、フェストゥムの攻撃を受けている島までロクな武装も無い船で直々に出向き、死も覚悟しているかと思えば やられかけると慌てる……って行動・精神状態がまた理解不能。婆さんはアホ、と考えれば理解できるけれど。

 ようやくキャラクターを描こうと し始めた。
記号としか見えなかった子供達を、多少 見分けられるようになってきたが…
 久しぶりに「病弱」という特性を制作者に思い出してもらえた少女は、「死亡フラグが立った」って事なのかな。
 いくらかは、ドラマっぽくなってきた。
これまでの話で積み重ねてきた負の遺産は、大きく、絶望的に重いけれども、何とか挽回して面白くなってくれる事を期待したい。



『仮面ライダー剣』27.

 何というか、構成がとにかく弱い。
 先週、ゾウ・アンデッドを倒した事で、視聴者が次の話も「見なければならない」理由が無くなってしまった(わずかに嶋の存在ぐらい?)。
こういう、「興味を喚起し牽引していくべき仕掛け」が度々 途切れてしまうのは、拙いんだけど。

 で、今回メインで描かれるのは、レンゲル・睦月。
うーん…危険だが強大な力を手に入れた者の苦悩、という事で『指輪物語』フロドをなぞる存在なんだろうけど……
 人間・睦月に魅力がない事と、味方側に加わってからのレンゲルの大幅なパワーダウン(敵に回すと強いが、味方にすると頼りないのは お約束にせよ)によって、コイツ居ない方がいいなあ、などと思ってしまう。

 セリフを書き、役者に言わせれば、それで「描いた」事になる、と思っているフシが見える。
 前回 剣崎が言った、「人を愛しているから戦う」なんて、彼のどこから出てきたセリフなんだ?
 今回も、嶋に対し橘が、「みんなあなたが好きなんですよ」と言うのに驚く。
好かれ、信用されるに足るエピソードは圧倒的に不足していると思うが。
一応は年長者であって、一番警戒心を持つべき橘からして、こんな有様か…
 こんなセリフ一言で、そういう環境を作ってしまえたと制作者が考える(実際そういう事にしてしまう)ため、登場キャラクター達が酷く薄い思考しか持たない人間に見えてしまう。



 ああっ!『ニニンがシノブ伝』見逃したああぁぁ!


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