ときどき日記 05/04

2005年4月30日 土曜日

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』28.「残る命散る命」

 色々な立場や考え方が入り乱れ、緊迫したり爆発したり行き過ぎたり死に過ぎたりと盛りだくさんで、見応えはあった。
 シンのブチ切れバーサーカーぶりばかりが印象に残る、ってトコはあったけども。

 えーと、アスランは何でキラの行動を止めるのに全力を尽くしてたの?
今回、キラは登場時にミネルバの危機を救ってくれたのだし、放っておけば、「神」の力でもって とにかく戦いを止めさせようとするだろうから、戦力的に不利なザフト側としては放置しておく方が特なような。
ミネルバにとって貴重な戦力であるアスランが、対キラで身動き取れなくなってしまうのも拙い。
 キラは、カガリとの絡みからオーブ贔屓だろう、という事で、どちらかといえばザフト側に犠牲を強いるジャッジを行ったかも知れないが、それにしても…
余り賢い行動とは思えなかったなあ、アスラン。
 結果、理屈で言い負けて(声の大きさで負けただけにも見えたが)、せっかくの頂き物である自機をバラバラにされるテイタラク。

 カガリ。
末端兵士に何を言っても無駄で、交渉するなら上層部だ、という事をいい加減に理解してはどうか。
 彼女に出来る、その場限りでも比較的マシな対応は、現場最高権力者であるユウナから指揮権を取り上げる事だろう。
母艦に着陸して、艦橋に赴き直談判するとか。
 一時は結婚させられそうになったのだし、ユウナは苦手で会いたくないんだろうなあ、と思うし、直情径行おバカさんのカガリが口で言い勝てるとも思えないが…
 まあ、自分のイヤな事からは逃げ、理想論ばかりを唱える人間に、付いていく物好きは少ないやね。

 あー、オーブで被災したシンを助けたのは、あの艦長だったっけ。
不幸な形で因果が巡ってきた事を示す回想は、上手い。
 ただ…知っていれば苦悩しただろう因縁を隠したままにする事で、またシンを「主人公の座」から遠ざけてしまったように感じる。
扱い良くないなあ。
 オーブ艦の最後と艦長の死を、敬礼を持って見送るネオ達の姿が、なかなか良かった。
悪いヤツとも いいヤツとも言い切れないネオの造形は、結構 良くできていると思う。

 このゴタゴタした状況から、どういう終局へと導きたいのか、それが見えてこない。
 驚くほど見事な手腕で綺麗に納める、あるいは、問題提起だけして投げ出したような終わり方なのに どうやってか視聴者を満足させてしまう、というアクロバットが出来るなら凄いけど。



『ウルトラマンネクサス』29.

 溝呂木、再登場。
しかし彼は、これまでの記憶を失っていた。
 その変化を、表情の作り方や動作で見事に表した俳優さん、上手いなあ。

 孤門の心に深い傷を負わせた事件の被害者である少女が、久しぶりに出演。
少女の中で、彼は、「自分を助けてくれようとした人」として正しく受け止められていた。
 彼の戦いは、決して報われない物ではない、という事を示す、なかなか感動的なエピソードだったと思う。
 …が、それとウルトラマンの戦いが、ほとんど何の関係もないので、物語の勢いが殺されてしまう。
孤門=ウルトラマン、という構図なら、苦労なくストレートに繋がったろうに。

 一話で怪獣一体を倒すスピーディーな(予算超過の?)展開だったけど、これはもしかして迫る打ち切りが理由?
 早くも次のウルトラマンの予告を打っているのが、何とも。
残念ながら、上の方からは、それだけ「失敗」と評価づけられたシリーズなんだろうな。



『ドラえもん』03.「どくさいスイッチ」

 原作で読んで、強烈な印象が残ったエピソード。
 このスイッチがあればなあ、と思ったが、こんなモノを実際に自分が持ったら最後だろう、とも思った。
 「気に入らない相手を消してしまう」手段として、対象の生と死をイヤでも身近に感じないでは済まない素手や刃物による攻撃ではなく、拳銃以上の武器をイメージ変形させた物が、このスイッチなのかな。
引き金を引くだけで、目の前の人間の命を簡単に「無し」に出来る、という意味で。

 相手を消した(殺した)、という負担を、そんな人間は最初から存在しなかった、として世界ごと書き換える事で、感じないで済む仕組みが実にコワイ。
 嫌いなヤツを殺してしまいたい、と一度も思わずに長く生きられる人格者は、そうそう居ないはず。
それに伴う お咎めが一切無しなら、その力を行使したい誘惑に、人はどれほど抵抗できるものか。

 その辺り、「人を消す恐怖」「それに伴い発生するはずの痛みが、何も無い事で感じる痛み」を乗り越えてしまい、のび太が積極的にスイッチを使い始める恐ろしさを もっと見たかった気はするんだけど…
子供向け作品の範疇を超えてしまうか。
 これで原作通り、でもあるのだし。

 寝ぼけて押す事で世界中の人間を消す、まで行くと、スイッチは、「大統領が持つという核ミサイル発射ボタンが入ったスーツケース」か、それを含めた巨大すぎて個人では扱いきれない「権力」その物に なっていく。
一度その力を行使してしまえば、間違いでした、で済むはずのない。
 「思い余って、やっちゃう」事の怖さは、子供達にも伝わったんじゃ無かろうか。
 ボクも誰も居なくなった街で好き放題やってみたい、って楽しい妄想の方がモクモクと湧いてくるかも知れないが。
いや、自分にもそういう部分は、あったから( ^_^ )。


2005年4月29日 金曜日

 秋葉原 DO!Books様が開催される店内イベントで、ぼくがサインを入れました単行本「SISTER WORK -しすたー・わーく-」が販売されております。
 ……単行本発売日から随分とズレた話で、誠に申し訳なく…

 まだお買い求めでない方で、買ってもイイかな〜という気分であり、しかも連休の間に秋葉原へと出掛けるご用がお有りの方は(もの凄い限定条件ですが)、他にも作家の皆様のサイン本が販売されているそうですから、お店にお立ち寄りになってみては如何でしょうか?



 レンタルで映画『SAW -ソウ-』を見る。
 劇場公開時の予告から興味を感じていたが、なかなか見られず今にまで至っていた物。

 おおお、面白い。
思った通りの内容。
 ココで言う「思った通り」とは、別にオチまで読めていたとかいう話じゃなくて、「期待に添う内容だった」という意味。
ゾンビ物として(というか、どういう方面でも構わないが)面白い事、を期待して『ハウス・オブ・ザ・デッド』を見たら、壮絶にガッカリした、というような事にならず。

 ド汚く広いバスルーム、その両端に二人の、互いに見知らぬ男、体は壁のパイプに頑丈な鎖で繋がれており、動ける範囲は限られている。
互いのポケットに謎のメッセージ。
 そして、部屋の真ん中に、拳銃とテープレコーダーを持った知らない男の死体。
 とてもじゃないが映画をスタートさせるのに ふさわしいとは言えない、無茶苦茶なシチュエイションを思い付いた所で、もうかなり「勝った」ようなモノ。
更にそこで手を抜かず、最後まで徹底して詰めに詰めたシナリオを完成させた事が、完勝の要因。

 技術の蓄積が足りない監督が、制作費の少ない状況で、何とか面白い作品を撮ろうとした時、出来るのはもう「ネタを煮詰める事」ぐらいで。
『CUBE』がそうだったし、『ターミネーター』『激突!』も そうして作られた映画だろう。
 そういう人間に、成功するチャンスを与えてくれるのが米・ハリウッドの強さ。
 残念な事に多くの映画人は、成功し、時が過ぎると共に、潤沢になった制作費と上昇したテクニックだけで映画を撮ろうとし始め、「画面は凄いけど内容は…」という感想を残す作品を完成させてしまう。
 「メインのストーリーを頑張る事が一番の『付加価値』」と言ったのは押井 守だっけ?実に正論。
いやまあ押井監督自身の映画が どうなのかはともかくとして( ^_^ )。

 脱線。
 映画の途中、刑事達の視点が入り始める所で、せっかく作った閉塞環境の緊張感が失われかける。
 これは構成の失敗かなあ…と思ったけれども…
 その刑事達のエピソードも含めて、大きく「閉じて」しまう事で、物語を一回り大きくしながら閉塞感を維持する巧さには驚く。
な〜るほど、こんなやり方もあったのか。

 ラストは…これは喜ぶ人と怒る人と、ポカーンとする人が出ただろうなあ。
実は、インターネット上に書いてあったネタバレ感想を迂闊にも読んでしまっていたため、個人的には「ははあ、なるほど」ぐらいしか感じなかったんだけど。
 出来るだけ意表を突かないと、最近のスレた観客に先を読まれてしまう、ってのは事実。
別に推理モノじゃないんだから、こういうのもアリだろう。

 日本では…こんなシナリオ、ど新人が映画会社に持ち込んだって、ロクに読んでさえくれないだろう。
 パイロットフィルムを撮って、会社に見せれば、比較的 取り合ってもらえる可能性が上がる?
 才能ある新人がポコポコ出てこられるようになったら、日本映画界も面白くなると思うけどな(今は、ホラーなら比較的 出て来易い?)。



『トリニティ・ブラッド』01.「FLIGHT NIGHT」

 どう見ても女性視聴者向け やおい臭バリバリ美形男キャラ総出演のオープニングで、萎えそうになる。
 コレは続けて見なくても良くなりそう…と思いつつ本編を見ると、ああ、いや思ったより全然マトモな内容。

 最終兵器をブッ放し合った戦争により衰退した人類を狙い、吸血鬼が跳梁する世界。
…どっかで見た事のある世界観のような気はするが。『D』とか。
 ヴァンパイアと戦うべく体を強化された神父が主人公。
……『ヘルシング』アンデルセン?
 体内のナノマシンを、パーセント限定で起動させ超絶の戦闘力を得る設定が面白い。
ただ、「何%の力で」とかいうセリフは、『幽遊白書』で聞いた事があるような。
 ヘタレているようで、いざ戦いになると凄絶な表情を見せる辺りは『トライガン』
 ヴァチカンの服装は、どことなく『ファイブスター』っぽい。

 色々な作品のいいトコ取り、って印象はあるけど、それはそれで楽しく見られるから、特に問題ない。
 今後、独自のカラーを強めていってくれる事を期待したい。
 「作品自体の楽しさ」よりも、「やおい臭」がキツくなってしまったら、そこで挫折してしまうかも。


2005年4月28日 木曜日

『甲虫王者ムシキング 〜森の民の伝説〜』04.「生命(いのち)の輝き」

 う、う〜〜ん…
 まあ、ポポはまだ子供なんだし、イキナリ母親の変容を目にして、ドコにいるかも分からない父親を捜しに旅立ち、安定した人格を持てる要因など無いのは理解できるが…

 持っている琥珀の瓶が原因でアリに襲われ、何とか助けようとサーカス団が決死の戦いを挑んでいる最中に、瓶を捨てろと言われたのを拒否して、自分だけ走って逃げてしまうポポは、さすがに どうだろ。
 前回、自分のせいで仲間が二人死んだ事を どう捉えているのか?
今回も、ポポを庇ってサーカスのオネーさんが足に蟻酸を受けているのに、それを見捨てての逃走だからなあ…まあ、事前に「逃げろ!」とは言われているけども。
 瓶を振り上げ、アリを自分の方に引き付けようとして走り出したのなら、勇気ある行動と取れるが。

 ウスバカゲロウの一生を知らせる事で「命」を感じさせたのだから、ドラマとして それを受ける後半は、昆虫に襲われた仲間を助けるため、大事だった瓶を投げつけ、樹液を付ける事で相手をアリに襲わせ、隙を作る事、とかじゃないの?
もう仲間の命を無為に失わせたくない、と。
 いや、「成すべき事を成し遂げて死んでいくカゲロウ」からの繋がりで、「自分を守る、という使命を成し遂げて死んでいくサーカス団の連中は本望」という理解に到ったとか?
ムシキングに助けてもらうのを、もう普通に思っている様子なのも宜しくない。

 「未熟」は構わないけど、「クソガキ」はムカつくなあ。
 ここは、サジ加減一つ間違えただけで容易に「クソガキ」に堕ちてしまうため、細心の注意が必要な所なんだけど。
 どうにも、無神経な作りに感じられた。

 意見するでも、サーカスの一員としての義務(芸を覚えさせるとか)を求めるでもなく、ただただポポを守ろうとするサーカス団には、「大人である」よりも「ストーリーの都合」を強く感じてしまう。
 腹にイチモツあり、ポポについて何かを企んでいる連中だ、というなら分かるが。



『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』01.「相思相殺」02.「胎動弐場」03.「凶蟲無惨」

 原作は、山田風太郎先生の小説、漫画版共に未読。
 キャラクターに「忍者」とさえ名乗らせれば、どれほど非常識な超能力を発揮させてもいい、というのが昨今 日米を問わず常識。
その能力設定の凄さと、絵的な迫力が、こういう作品の場合「命」になるのだが、アニメでは かなり高いレベルで実現出来ていると思う。

 『獣兵衛忍風帖』も こんな傾向の内容だったけど、映画はともかく、テレビ版『<龍宝玉篇>』になると、ストーリーに余計な要素が絡む事と見せ方の不徹底さで、余り楽しめない作品になってしまっていた。
 『NARUTO』の方が忍者対戦物として正しいだろうか…これはどちらかというと「少年ジャンプ的トーナメント物」と言うべきかな。

 「伊賀と甲賀の手練れ10人ずつを戦わせて、生き残った者が居る陣営が勝ち」という凄まじくシンプルな基本設定の元、各キャラが伸び伸びと常識はずれな能力を発揮し、戦い合う様子は、演出と作画の良さもあって、非常に楽しく見ていられる。
 能力自体としては、原典と言える原作でもあり、驚くような物はない。
重力を操るとか描いた絵を本物にして飛び出させるとか(共に石川賢先生)、そらー忍術とか何とか言う問題じゃないだろ、という力まで見てしまった今となっては。
 そこまでは すっ飛ばない、ギリギリのリアリティーが、かえって面白さかな。
「鋭い舌の先で何でも突き通す」で良いような所を、伸びる舌で「体内に隠した短剣」を抜いて使わせ、しかもその剣を納める「鞘」まで喉の奥に隠し持っている、この細かさが楽しい。

 地虫の外見…これはUHF波でなければ なかなか見せられない物だろうなあ。
『どろろ』でも、地上波での放送は無理だろうから。


2005年4月27日 水曜日

『ハチミツとクローバー』01.02.

 原作は未読。
録画したまま見ていなかったので、1、2話を続けて見る。
 学園(大学生)どたばたコメディー。
 キャラクター造形は良いし、演出のテンポも良く、コミカルな表情を捉える作画にしても高いレベルだけど、何というか、今のところ「普通」で、イイ歳のアニオタが どうこう理屈をこねたくなるような要素は見当たらず。
ヒロインも、エロ同人誌的に遊びたくなるような存在じゃなかろうと思うし。
 それは、正しく一般視聴者層向けに作られた作品という事で、何の貶し文句でもなく。

 ダメダメで無責任で謎の仕事をしている先輩が、物語を引っ張り続けていくのかな。
強烈さをグッと抑え、親しみやすくした『究極超人あ〜る』みたい。
 楽しく見続けていこうと思うけど、感想を書きたくなるタイプの「問題作」にはならないだろう。



『エレメンタル ジェレイド』04.「光と闇の核石(エレメンタルジェレイド)」

 特に斬新さや尖った所は無いが、無骨一辺倒な空賊オヤジ達と離れて旅立つ不器用な少年と、兵器として扱われる事に傷付いた少女が描き出す、心のすれ違いと触れ合いを丁寧に描いており、見る価値を感じられるようになって来た。
 共に旅をする、間が抜けきっている無駄元気娘シスカと、腹が減った腹が減った騒ぎまくる大食いキーアも、コミカルな雰囲気を強化してくれて楽しい。

 それでもやっぱり、アクションが主となるべき作品なのだろうから、演出・作画の頑張りで、華に欠ける現状が改善される事を期待したい所。


2005年4月26日 火曜日

 桂騎 魔夜先生がHPを作られましたので、リンクしました。
日記やお仕事の様子が見られます、ファンの方は要チェック。

 なかなか思うように原稿が描けない環境下にあるようですから(無理にウチの仕事をお手伝い頂いているのも一因)、掲示板に応援のメッセージを書き込んでプレッシャーを掛けて上げると、喜ばれ(?)ます。



『創聖のアクエリオン』04.「はだしの戦士」

 どういう風に見ていけば良いのか分からず、困惑していたが、ようやく理解できた。
「笑えばいいと思うよ」、って事ね。

 妙に性的なものを感じさせる台詞回し、「授業」を受けさせられるパイロット(生徒)達、変な精神論を語る強引な司令官(先生)。
パイロット・スーツから裸で抜き出され基地に戻されて、代わりの人間がその「スーツの中」に着込む形で送り込まれるテレポート・チェンジ。
 一話でやられ、二話目に精神汚染(トラウマ?)が起きている事がハッキリしたはずの女性パイロットを、まだ三話目でもアクエリオンに乗せて出撃させてしまう無責任な司令部(彼女がパニックに陥るのは毎回のお約束かと思った)。
 キャラ立ても出来ていないうちに、前世の人格を前面に押し出す作り方も、そう。
 真顔でやっているギャグ、という色合いが濃いのかな。

 今回、足跡がどうだの、妙に観念的な事を言い始めたので、監督の病気が出てしまったか…と思ったが、敵の攻撃攻略法と絡める事で意味のある物になっており、安心。
 しかし、「大地と深く繋がれば重力制御を受けても平気」なんて、普通のロボット物では思い付いたって どうしようもない話だなあ。
パイロット自身の思考に左右される、不可思議なロボット・アクエリオンだからこそ、許される(?)戦い方。
 コレでいいなら、「宇宙エーテル流からの圧力を受ける事で大地に根を下ろす」でも「地表と宇宙の間に連なる自分を自覚する事で、重力などという現象程度に左右されない確固たる自己を場に固定する」でも構わないような。
何というか、「理屈で言い勝った方が勝ち」という戦い?(笑)

 それだと、敵の火炎攻撃も「心頭滅却すれば火もまた涼し」で乗り切れてしまいそう。
 「周辺の物理現象を、論理で書き換えて勝ってしまう戦い」かな。
「声の大きい方が勝ち」って気もするけど。

 主人公、アクエリオンに乗り込む際には、いつも前世人格に変わるのかと思ったのに、今回は無し。
 野生児であるはずの彼は、生身でも操縦が出来たの?
授業の成果?中心が思考制御だから、操縦機への熟練は必要ない?



『ツバサ・クロニクル』03.「破魔のカタナ」

 う〜〜〜ん、CLAMPにしてはガチャガチャとした構成。
 小狼とサクラが居た大元の世界の概要しか分からず、二人の関係も通り一遍しか知らされない時点で起きた大事件。
 彼女を救うため、事態がよく分からないまま、異世界にいる次元の魔女の元へ送られる二人。
 そこで、誰だか分からない男二人と顔を合わせ、魔女の説明もそこそこに、サクラを元に戻すべく旅が始まる事となり、更に異世界へと、全員が送られる。

 何というか、主人公に、戦士・魔法使いと冒険の最初からパーティーを組ませたい意図があり、展開に無理を利かせてしまったRPGみたい。
バラエティーに富んだ世界を巡りつつサクラのカケラを探し求める、という、この作品の定型になるのであろうパターン(『タイムボカン』のよう)に早く持って行きたくて、気持ちが焦ってしまった、とも思える。
 足元が全然しっかりしていない状態のまま、読者の興味によらない、ストーリーの都合だけでキャラをブンブン振り回すのは、あんまり感心しないんだけど。

 パーティーの揃え方は、まるで『西遊記』で長安を出発する三蔵の横に、悟空・悟浄・八戒が最初から付いているような。
 せめて、取りあえず小狼とサクラだけで旅立たせ、最初の世界で黒鋼と、次の世界でファイと出会わせる、という形式には出来なかったのか(その場合、黒鋼の「元の世界に帰りたい」という動機に調整が必要だが)。

 「恋愛物」としては、小狼とサクラの関係性さえ抑えておけば、世界の概要など どーでも良いのだろうし、今は無理を感じるレギュラー陣も見ているウチには魅力を演出してくれるのだろうと思うが…録画してまで見続けたいと思う程は興味を感じず。
 ここまでに。


2005年4月25日 月曜日

『ドラえもん』、声優さん含む一新スペシャルと、通常放送一回目。

 不安を持って見たが…
 うん、面白い。
作品の作り方から、かなり大きく変わっているため、声が変わった事も自然に受け入れやすい。
 まだ、ドラえもんの声には若干違和感、というか、「ドラえもんズ・メンバーの一人」という気がしてしまうけれども、演技は上手いので じきに慣れるだろう。

 スペシャルは、リニューアルの大波を上質な作品を作る事で乗り切ろうとするスタッフの心意気が感じられ、どれも面白かったが、特に「タイムマシンがなくなった !! 」は、異世界との接触、脅威との戦い、など、劇場版にも匹敵するような内容で、大充実。
伏線を活かした見事なオチに到っては、感心するばかり。
 「思い出せ!あの日の感動」は、ドタバタのお笑い話かと思えば後半ではホロリと来る感動が用意されていて、構成の巧さに唸らされた。

 通常放送版でも、馬鹿馬鹿しさがエスカレートしていく「のろのろ、じたばた」、意外にも厳しいママぶりを見せる未来の しずかちゃんが新鮮な「のび太のおよめさん」など、十分に面白く、ヒネたドラえもんファンでも見る価値があると思える。
 このままの内容を維持出来るなら、ずっと見続けていいな。
 次回は、原作でも問題作である「どくさいスイッチ」を、30分ぶっ通しでやってくれるようなので、楽しみ。



『仮面ライダー響鬼』13.「乱れる運命」

 敵・魔化魍との戦いは、出現確率や形式が変わりつつも、穏やかに推移していく物と何となく考えていたため、ここの所の急激な敵の変容には驚く。
 共食い、なんて もの凄い行動、考えもしなかった。
もしそういう展開があるとしても、もっと後半の事だろう。
早い、早いよ。
これほどのネタをこんな前半で使ってしまって、中盤後半はどうするつもりなのか。いやー楽しみ。

 前回、ほとんど必要な事は説明してしまった、設定を伏せる事で無用な「謎」を作り、話を引っ張るつもりがまるで無い潔さも驚異的。
 ヒビキ少年時代の話を聞き、今は強い彼も、生まれつき そうだった訳ではないと知り、ヘタレた自分も いつかは…という気持ちになったろう明日夢。
その次の回で、イキナリ虫垂炎にして入院させてしまう、出鼻の挫き方にもビックリ。
 これで学校に上手く溶け込めなくなり、鬼への道を志す?
いや、鬼という存在を、そういう「逃避」の先としては描かないだろうな。
 病院で様々な出逢いがあり、強くなろうとする動機に更に弾みを付けるのか。

 とにかく、面白くて目が離せない。
「見た事がないライダー」というより、「見た事がないドラマ」と思える。

 以前、ヒビキが、子供に「お兄ちゃん」と呼ばれた際、「おじちゃん、でいいんだよ」と答えていたのが印象的。
「まだ若いんだ!おじちゃん(オバチャン)とか言うな!」と怒って若く訂正するパターンはいくらでも知っているが、わざわざ年上の言い方に直すのは、初めて見た。
 充実した人生を送ってきたが故に、「今の自分」をあるがままに受け入れており、偽る必要を感じないほど自信も持っている、という事か。
 いい歳の、自信など無いオッサンとしては、この格好良さに、痺れる。
こう ありたいモノだなあ。


2005年4月24日 日曜日

『交響詩篇エウレカセブン』02.「ブルースカイ・フィッシュ」

 誰にでも分かるように、『エヴァンゲリオン』を想起させる要素が混ぜられた話。
 大きくは、戦いの最中に過程をブチ切って終了後のシーンに繋げ、平穏な時間をおいて、戦いの続きまで時間を戻し、見せていく構成。
ご丁寧に、それをやるのが第二話だという所まで同じ。
 突然に理由不明で機動を停止するロボット、操縦桿を握りしめガチャガチャやりながら何とかロボットを動かそうとするシーン、パイロットの意志を離れたロボットの暴走気味な挙動(引き裂く動きも見覚えがある)、「塩の柱」といった聖書的なイメージ…

 確かに、何にでも『エヴァ』を求めてしまうのは、あの作品で心に深い傷を負わされてしまった人間の「性」というモノかも知れないけれども。
この作品の製作者が、まるで『エヴァ』との類似性に気が付かずに作ったとは考えられず、また、見る人間が「似てる」と言い出す事の予想ぐらいは出来たはず。
 これらの相似は、「それでもやってみたかったオマージュ」なのか、似た始まり方をしながらも まるで違う到達点を見せてやる!といったスタッフの「自信」の表れか。

 カットバック・ドロップターンという、難度が高い(のであろう)ワザを、割に何気なく決めてしまうのは不満。
「少年が風に乗る」所でカタルシスは終了しており、大技を決めてみせるのは「オマケ」だから、コレでいい?
 ヒロインにイキナリ好きだ好きだ言い出すのに面食らったが、まあ おバカさんな主人公の行動としては、悪くないのかな。
 ロボット・アクションで、特に目を引くようなシーンが無かったのは残念。
ここには、独自の面白さのアピールが、絶対に必要だったと思うのに。

 作る側にも迷惑であろう過度の期待はせず、同じBONES製『絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク』の続編、とか考えて見ていくのが良さそう。
 『ラーゼフォン』の続編には、余り なって欲しくないんだけど…京田 知己が監督として手掛けた劇場版は割に面白かったか…



『甲虫王者ムシキング 〜森の民の伝説〜』03.「魂の行方」

 驚くほど、ハードな話。
まさか、前回仲間になったばかりの一座から、早くも二人欠員が出るとは思いもしなかった。

 一言の泣き言も、主人公を責める言葉も発せず、戦って消えていく二人が格好良く、切ない。
 せっかく特殊能力を設定してあったのだし、もう少し旅を続けさせてから 今回のエピソードに到った方が、回を重ねる事によるキャラクターへの愛着を期待出来た分、より重みを増したような。
 ただ、このままでさえキツイ内容なのに、過度な重さを上積みすると、特に子供達がシンドくなってしまう恐れも。

 いい歳の視聴者としては、厳しさも「目新しさ」であり面白く見られるが…
 この物語は、子供達が期待する「ムシキング」イメージと合致しているのかどうか。
その辺がちょっと不安。
もっと、楽しさを強調しても良いような…



『GIRLSブラボー second season』最終話.「ファイナル・ブラボー!」

 途中、何話か見損ねているので、重要な伏線等を理解出来ていない可能性がある、という前提の元で。
 「萌え」としては弱く、「燃える」構成としてもパワー不足な、物足りない終わり方だった。
その不徹底な所が、かえってこの作品らしい、というのも事実ではあるが。

 第二シーズン開幕の様子からすると、馬鹿馬鹿しさとエロさが炸裂する事で盛り上がる、一歩引いて見れば「下らねー」クライマックスこそ相応だったのではないか。
 まっとうに盛り上げるには、主人公とミハルの間に結ばれているのであろう運命の糸の描写が不足しており…
「タメ」にしたかったのだろうが、ミハルを救い出しに行く事に逡巡する主人公、なんて、見る者を苛立たせるばかりで意味がない。
 そもそも、周りがいくら主人公を奮い立たせようとしても、彼自身は異世界に行く方策を何も持っていないのだから、空回りするばかりで。
「男ならロボットに乗れ!」「彼女を救い出すためにもう一度ロボットで戦って!」と焚き付けるのはイイけど、肝心の「ロボット」など主人公の近くに存在していない、というようなピントのはずれ方。

 行く手に立ち塞がる障害に対し、仲間達が体を張る事で「お前は先に行け!」パターンを作ってみせるのだが、ここでの障害の作り方、更には最終的な「敵」の設定にも かなりな無理が感じられる。
 そもそもバトル物でなど無く、敵だの何だの ほとんど描いてこなかったシリーズなので、仕方ないとも言えるが。

 何とか最後を盛り上げて見せようとするスタッフの生真面目さが現れてしまった部分であり、馬鹿な話を馬鹿なまま、しかもテンション高く終わらせる事の困難さを体現してしまった最終回でもあると思う。
 とは言え、作画クオリティーは高く、桐絵が見せる決死の格闘シーンなど執念すら感じ取れる程。
 それはそれなりに魅力的に描けていた女の子達を眺めているだけでも、楽しい作品だったし。
 …好きな女の子を助け出すため、なりふり構わない みっともないまでの勇気を振り絞る主人公、という姿で見せる「感動」が欲しかった気はするけど…結局 彼の存在感は薄いまま。
最後までアニメのスタッフも、「どうしてコイツが主人公なの?」というのは掴みきれなかったんだろうな。

 中身がカラッポであるが故に見易い、お祭りのようなアニメだった。


2005年4月23日 土曜日

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』27.「届かぬ想い」

 ラクスと虎が乗り換えていた宇宙船は、前シリーズでの乗艦?
小惑星に偽装して、戦闘後に生じたデブリの中に隠してあったのかな。
 ええと、前の戦いが終わってから3年…だっけ?
ずっと宇宙で待機させていた?
精神論としては、ラクスへの狂信的信奉、で説明が付くかも知れないが、補給はどうやって?
 …まあ、この辺は余り真面目に考えても仕方ないか。
 『銀英伝』で、終戦時にヤンが同盟軍戦艦を秘匿してあった、あーゆー感じにしてみたかっただけ、なのかも。

 今回は、全く新作の話でありながら総集編のような、これまでの確認をしただけのような、進展が無い話だった。
 ロード・ジブリールのコーディネーター嫌いは相変わらず。
 艦内に運び込まれたステラは、強化人間に必要な措置が受けられず、苦しみつつ寝ているだけ。
 研究所施設内で倒れる、いかにも意味ありげな反応を見せたレイにも動き無し。
 焚き付けられて戦わされるオーブ軍・ユウナの姿で苛立たせよう、というのも、既に見た行動なので新味が無い。
 オーブを戦わせたくない…という気持ちだけはあるのだろうが、自国に帰って根本的な解決を試みるのは(結婚させられちゃうし)イヤ、とワガママなカガリは、今回も場当たり的な行動に。

 …どれもこれも、「もう見た」エピソードの繰り返しか、進展しない騒動の種を見せられただけで……
今回は、見逃しても構わないような内容でしかなかったのでは。
 せめてステラとシンの関係を彫り込んでくれれば良かったのに。
 シンは結局、自分の戦いが人を傷つけていた、という事実に気付かせてもらえないのか?
他兵士の戦死、遺族の哀しみ、それらを自分の戦いで大量に生み出している事は既に自覚しており、しかし「それがどうした。俺には関係ない。しかし俺の家族を死なせたアスハ一党は許さない」という身勝手な考えに到っている?
彼が痛みを感じるのは、「非戦闘員が巻き込まれて死ぬ」事だけ?

 新しい展開といえば、ミリアリアがアークエンジェルに帰ってきた、それぐらい。
 描くべき事は多く、しかし物語の進展は遅く、無駄な話を作っている場合ではないと思うが。


2005年4月22日 金曜日

 締め切り絶賛(絶叫?)延長中。
すいませんすいません全てワタクシが悪いんです。
 何とか、明日までには片を付ける予定ですので、更新はその後に。


2005年4月17日 日曜日

『交響詩篇エウレカセブン』01.「ブルーマンデー」

 前段階無しに、いきなり異世界へと視聴者を放り込む第一話。
 非常に失敗しやすい手法なのだが、相当 作り込んでいるようで確かな手触りを感じられる世界と、「このつまらない町を出たい!」という感情移入しやすい主人公の行動原理により、上手く見知らぬ世界へと視聴者を引きずり込むのに成功していたと思う。
 「空から落ちてきた少女」といった、何というか馴染みやすいパターンで物語を始めたのも、分かり易さを考えれば、良かったろう。

 積極的に事態に関わっていこうとする主人公が、気持ち良い。
英雄であったらしい父親、ロボットの秘密を何か握っていそうな祖父の一家に生まれ、主人公であるべき資格も十分。
 それに対し、ロボットで彼の家を破壊してしまった事の償いに、一切合切 燃やして「弔い」をする、ズレたヒロインも なかなか。

 コロコロと変わるキャラの表情を捉える、高いレベルの作画が素晴らしい。
…どこまで このまま維持出来るかは、分からないけど。
 やっぱりロボットは手描きに限るねェ、と感じてしまうのは、オールドタイプの性というモノか。
 キャラクターの連想から、『キングゲイナー』のようなイキオイ任せに突っ走る元気で燃える作品になってくれる事を、期待。



『魔法戦隊マジレンジャー』10.「花が咲いたら〜ジルマ・マジカ〜」

 内容はまあ、普通。
 パターンだと、「結局 兄貴は振られました(実は女性は既に結婚していた、といった理由で)」か「上手く行く可能性を示しつつ、前途の多難さを感じさせて終わる」ものだと思うけど、実に都合良いベタベタカップル誕生を見せてエンド、ってのは意外。

 今回 驚いたのは、何気なく多用されるCGにもだけど、真ん中のコマーシャル前、人間体に変身したサボテンが、着ぐるみのまま土手の坂に頭から突っ込み、回転しつつ降りて(落ちて)いく所。
どう見ても合成などでなく、本当にやっている。
 腕の自由がきかない形の着ぐるみなので、(頭部がどういう仕掛けになっているのか分からないが)下手したら首の骨がイッてしまう危険性すらあったろう。

 戦隊物やライダーで時々見るなあ、こういう、スタントが「何気なく」体を張っているシーン。
評価されるような見せ場ではないし、撮り方で いくらでも安全に、誤魔化しを効かせられると思うけど…
 妥協しない、この情熱が、作品を支えていくのだろう。



『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』26.「約束」

 破損したコックピットからステラを助け出すシン。
彼女をそのまま、母艦に何の連絡もせずに連れ帰ったなら どうなるか、アホにでも分かりそうな物だけど。
 そういう僅かな冷静ささえ失ってしまうような事態だった、という事かも知れないが、だったら…お得意の回想シーンを、ここでこそ、挟むべきだったかと。
 いや、「ステラと出逢った顛末」ではなく、「妹を喪ったオーブ戦」の方の回想を、ワンカットでなく もう少しきちんと。
 何の力も持たず逃げまどい、目の前で妹を殺された、シンの心にある最大の「傷」が彼を発作的な行動に駆り立てる…という事なら、視聴者も このムチャを納得しやすいと思うんだけど。

 実際の画面から感じ取れるシンの行動原理は、「大変だ、知ってる可愛い女の子が(何故か)ケガしちゃったぞ!治療しなきゃ」という浅いモノで…
 亡くした妹とステラを重ねる事で、自分が憎んでいたはずの「否応なく人を傷つけてしまう戦争」に、自身も荷担して、誰かにとって大事な誰かを傷つけ続けていた、という事実に気が付き、キャラクターとして苦悩し、成長するチャンスを奪ってもしまったのだと思う。

 シンの行動は考え無しの発作的なモノだったけど、ザフトという軍隊もまた、それに相応しい「ゆる〜い」規律しか持っておらず、特に罰も無し。
これじゃ兵士達の考え方が緩んでくるのも仕方ないな。

 ステラを失った事を悔やみ、他の強化人間達から彼女の記憶を消し去ろうとするネオが、優しいような、効率(ただでさえ不安定な彼らを より使い辛くする要素は取り除いておきたい)を考える冷静さを発揮しているような、微妙な立ち位置で面白い。
 ステラは記憶をいじられている…という事を強調していたので、もしかすると本当に彼女は「奇跡的に生き残ったシンの妹」という可能性が。
 そういう伏線っぽいモノは放りっぱなし、って不始末が、前シリーズでは かなり多く見られたので、不安だけど。

 偽ラクスに化け、軍施設に潜入するラクス・虎には笑う。
そのナイ胸には詰め物をしておけラクス!というのはともかくとしても、シャトルを奪って どうするつもりなのか?
 実際に早く基地に着いてしまった偽ラクスのせいで、打ち上げ途中を狙われたのは予想外の事だったかも知れないが、どのみち じきにバレてしまい、宇宙に展開するザフト軍やプラントに連絡が行くのは当然で、そうなると戦う力を持たないのはずのシャトルじゃ撃墜されてしまうだけでは?
 単体で重力を振り切れそうな口ぶりだったフリーダムに乗せて宇宙に送るか、いっそ「私が本物のラクスよ!」と大声で叫び回り多少なりと混乱を生まれさせて その隙に…という方法でも採った方が、まだしも生き残れる可能性は上がったような。

 宇宙でどうするつもりなんだろう?
今のザフト・ラクスが偽物であると知る、オリジナル・ラクスの信奉者達を頼る?

 新しくなったエンディングに出てくるフレイの姿に、ホロリ。
可哀想なキャラクターだったなあ。
きちんと活かしてもらえず。
 現シリーズには、そういうキャラを作らないよう、製作者が考え抜いてある事を望みたい…けど…


2005年4月14日 木曜日

 という訳で、お馴染みの締め切り前スケジュールがやって参りました。
 今月はお仕事が二本重なっているため、ちょっと長い間、来週の水曜か木曜辺りまでマトモな更新が出来なくなるかと。
 『SEED DESTINY』などには何か書きたくなりそうな気はするんですが…それが許されるかどうかは、そこまでの仕事の進行次第。



『アイシールド21』02.「アメフトやろうぜ!」

 第一話でヒル魔の声に相当文句を書いて、それなのに(それで気が済んだから?)この二話目では、余り気にならなくなってしまった。
 演技をし易い程度のセリフの長さに留めるスタッフの配慮が効いたのか、ロンドンブーツ・田村に影の努力があったのか。
 まだキャラクターにピッタリ重なる声だ、という訳ではないけれど、このまま話数が進み、こちらの耳が慣れ、更に声優氏の努力が続くなら、見続けるのに差し支える事は無くなるだろう。



『甲虫王者ムシキング 〜森の民の伝説〜』02.「サーカス団の少女」

 「丁寧で分かり易い」雰囲気ではあったが、実際には詰め込みすぎで付いて行けない部分があった一話目と比べ、本当に分かり易い内容。
特異な世界を舞台にした作品なので、第一話で語るべき事が多くなるのはやむを得ず…この第二話がスタッフの実力でありシリーズのテイスト、と捉えるべきかな。
 旅立った少年を待っていたのは、仲間との出逢いや またも現れた敵と味方ムシキングの戦い、以前に、「歩いてるとお腹がすく」という現実。
そりゃあ当たり前の話で、リアル。

 「ミツバチは、自分たちの体で敵(スズメバチ)を包み込み、体温を上げて熱で殺す」、という虫トリビア(常識?)を物語に混ぜてきたのは、上手い。
昆虫好きの子供を頷かせ、知識の薄い視聴者を「へぇ〜」と感心させる事が出来るから。
 一話に一つぐらい こういうネタを入れられると、充実度がグッと上がるんだけど。

 初登場のヒロインは可愛く、主人公の「母を失った哀しみが蘇り大粒の涙をこぼす」子供としては ごく当然の反応を、彼女と触れ合う切っ掛けに使うなど、作りには工夫が見られる。
 まだ大きなストーリーは見えてこないが、この出来を保てるなら、見続けられる・見続けたい作品になるだろう。


2005年4月13日 水曜日

『いちご100%』02.

 まともな製作体勢を遙かに超える数のアニメが作られている今、これで「作画が酷い」というのは可哀想かも知れないが…
 女の子の可愛さを「命」として、渾身の力で描かれた漫画キャラクターの描線に比べると、アニメ版は余りにも気が抜けている。
一話目は まずまずだったんだけど…
 ストーリーも、基本的には原作内容に忠実ながら、補完したり向上させたりするような変更は特に認められず。
…よく分からない削除シーンならあっても。

 これ以上、見続ける意味は無いだろう。



 ぼくの単行本「SISTER WORK -しすたー・わーく-」が、4月18日、発売になります。

 内容は、以前に出され、既に絶版になっております単行本「幻想少女図鑑」と「FATE」から、選出した原稿を再録した物。
 新収録の原稿も一本ありますが…全くの新刊とは言えない物でして、なかなかお願いし辛いのですけども……
最近 飛龍 乱という漫画描きを知った方、上記オリジナル二冊をお持ちでない方、あるいは、昔 その本なら買ったような気がするけど もうドコに行ったか分からない(ガタガタする本棚の脚の下に敷いたのかなぁ?)、という方は、是非ご購入の検討を。

 コンビニ中心の配本となるそうですので(書店売りもアリ)、お夜食お買い出しのついでにでも。
 よろしくお願い致します。


2005年4月12日 火曜日

『創聖のアクエリオン』02.「闇の獣」

 うぅーん、一話目はともかく、二話になっても感情移入の対象になるキャラクターが居ない、ってのは…
 普通、主人公を中心に据えるものだけど、彼の心の動きも何も「前世の人格」というようなモノが目覚めた途端、全部すっ飛んで、見知らぬ他人になってしまうからなあ。
主人公だけにスポットを当てるのではなく、登場人物それぞれ、まんべんなく描いていこうとしているのも、核が無いように感じられ、逆効果に。
 世界も主役ロボットも敵も、よく分からない、で構わないが、それらをごく常識的に捉えてくれる「整理役」のキャラを置いていないのは、大きな難点。

 前世の因縁だの何だの、絡ませるのは もっと後で良いのでは?
 『ゲッターロボ』が初出撃して、敵である恐竜みたいな奴等の正体もまだ分からないうちに、パイロット・流 竜馬の前世名が明らかになりました、というようなモノで、「興味が湧いてきたから早く先を見たい」気持ちにさせるより、作品世界に視聴者が歓迎されていないような、勝手に「理解に到るための負担」を増やされてしまったような気分にさせる役にしか、立たないのに。

 「痛快ロボットアクション物」になってくれるのを期待したけれど、早くも余計なモノがゴタゴタと出てきてしまった。
 この上は、監督の「悪い病気」が軽度に抑えられたまま進んでいってくれる事を、希望するのみ。



『勇者王ガオガイガーFINAL-GGG-』01.「勇者王新生!!」

 元々はテレビ朝日系で放送されたテレビシリーズだったが、このOVA版はテレ東系で放送。
 レンタルで見た時に、確か感想を書いたと思うけど…
1、2話目はもう、圧倒的に面白い!
熱いし、格好良いし、迫力があって。

 テレビシリーズも最初は好きだったんだけど、大きな話を やろうとしたのだろう特に中盤以降、構成が すっかりダメになってしまい、後半は作品その物に興味を失ってしまった覚えが。
 それは、このOVAシリーズでも同じ。
 シンジケートが繰り出してくる妙な作戦とロボット相手に、毎回 苦戦しながらも勝利を収める、というような話の繰り返しで良かったと思うんだけど。
 3話目以降、メインとなるストーリーの進行と共に、視聴するこちら側のテンションは落ちていき…ええと確か6話目ぐらいまでは見たと思うが、そこで挫折。

 せっかく楽に見られるテレビ放送をしてくれるのだから、この機会に、最後まで見ておきたいと思う。
 クライマックスが、途中のダルさを挽回するに足る程、面白いモノである事を期待。



『英国戀物語エマ』02.「二つの世界」

 さすが演出・岡村 天斎、という演出がアチコチに見られ、充実した話だった。
 ダンスのシーンで、女性が床まで付くようなスカートを履いているのに、その中に入っている足が動いた事を感じ取れる布の動き方をしていたのに感心、というか感動。上手い。
こんなトコ、スカートは動かさず、床の上をスライドするように移動させても特に文句が出ないと思うが、手を抜かない、実に丁寧な仕上がり。

 今回は かなりオリジナルが入ったエピソード。
 「日傘」一本を軸にして、各キャラクターの心の動きを追っていく構成が素晴らしい。
 ウィリアム、もうちょっとエレノアに気を遣って上げても…
可愛い、イイ子なのに、可哀想に。
 まー気持ちがないのに気のあるそぶりをする方が残酷だし、ウィリアムは「誰にでも優しい」以上の優しさを彼女に向けるつもりが無く、もしかすると彼女を「妹の一人」ぐらいに捉えているかも知れないので(実際、顔も髪型も妹にそっくり)、恋愛対象として気を遣う必要を感じないのだろうが。

 ハンカチは受け取ったけれど、日傘はダメ、という微妙な女心と「クラスの差」を感じさせるエマの対応。
 ウィリアムにとっては、要らないとなって、さっさと ばあや(メイド)に上げてしまう程度の価値しか持たない物なのだが。

 オリジナル・エピソードである日傘の件で、エレノアの心に大きな傷を残してしまったが それで良かったのかどうか…と思えば、実に綺麗なオチの付け方。
余りの巧さに「なるほどぉ!」と声に出してしまう騒ぎ。
 ストーリー・演出・作画共に このレベルで進められるなら、ファンも満足出来るシリーズになるのでは。



『まほらば』14.「夏の終わりに」

 自己の喪失、という概念に触れた瞬間、これまで劇中に現れていなかった人格が目覚めてしまう梢。
キーワードで人格に変化が起きると、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の強化人間達のよう。

 原作と多重人格の設定をかなり変えていると思うんだけど(そもそもアニメでは多重人格ですらなく「変身」している)、アニメの梢は、いくつもの人格のベースになっている自己の消失を、内心深くで恐れているのだろうか?
それとも紺野 棗(なつめ・変身後の名前)が、消え去ってしまいそう・消えてしまいたい、という儚さを持ったキャラクターだという事?
 「頭の上に花を咲かせた植物少女」という絵からの、繋がりかな(棗は、頭の上に花を咲かせる特技?を持つ)。

 多数の人格出現により、梢自身の存在が危なくなってきている、とかだと、クライマックスに向かう仕掛けとしては面白いかも。

 もっとダークには…
 実は管理人嬢のオリジナル人格は「棗」であり、「梢」は、他者を怖がる弱い自分を克服したいと願う彼女が作り上げた、第二の人格。
時が経ち、「梢」に体を任せる事の方が遙かに多くなっていく事で、「棗」は消失の危機に見舞われている。
 「棗」というのは、クロウメモドキ科ナツメ属の一群の落葉小高木(インフォシークより)を表す、樹木そのものの名前だが、「梢」はその木の幹や枝の先端の方を表す言葉でしかない。
 ああ、他の人格の名前に意味が無いとか、「梢」って単に本名じゃないの?とか、原作と違うよ!というツッコミはご自由にどうぞ( ^_^ )。
思いつきだし、こんな設定のはずも無いし、この作品でこういう暗い所に踏み込んで欲しい訳でも無し。
 ほのぼの癒し系な所が好きな訳で。


2005年4月11日 月曜日

『おねがいマイメロディ』02.「勉強ができたらイイナ!」

 サンリオの可愛いキャラクターをメインに据えながら、エラく すっ飛んだ内容だなあ。
所々、毒さえ含んでるぞ。
 会社はアニメの内容をチェックしているのかどうか。
いや、勿論「おおきすぎるおともだち」としては、本当に素直でファンシーなアニメを作られては見る意味を失ってしまうので、このまま突き進んで欲しいんだけど。

 人間界にマイメロディが やって来る切っ掛けになった事件。
酷くいい加減な…と思っていたが、この世界的にも やっぱりいい加減だったんだ(笑)。
 無責任で適当な王様の気まぐれで、どう見ても頼りないのに重要な使命を否応なく託されてしまうマイメロディ。
しかし、魔法少女が魔法の国からやって来て…ってパターンの作品も、裏側事情はこんなモンじゃないかとか思えたり。

 勉強が出来るようになりたい、という気持ちを「黒い」方向で叶えられてしまう男の子。
 頭がモニター一体型パソコンになってしまうビジュアルは、『ドッとKONIちゃん』に出てきた まるで萌えられないロボット娘とよく似ている。
弱点が電源コード、って所まで一緒(パソコンだからなー。ウチも駄犬にコード囓られてダメにされた機器あるんでリアル)。
 スクリーンセーバーが起動するとか、スリープ状態に入るとか、子供にも分かる程度(幼児は無理だけど)のパソコンネタが おかしい。
 『セーラームーン』風に、悪ノリ泡沫怪人と対決するパターンを続けていくのかな?

 意外、面白い。
後は、このテンションをドコまで維持できるか。



『ツバサ・クロニクル』01.「必然のデアイ」

 原作は、連載開始時に ちょっと読んだだけ。
 『カードキャプターさくら』の続編…という訳ではなく、そのアナザーワールド・ストーリー…とも限らず。
CLAMP版『スーパーロボット大戦』ってのが近い?

 監督が『Avenger』『MADLAX』と調子を下げてきている真下 耕一、という事で出来を危惧したけど…特に破綻無く、普通に見られる仕上がり。
 自分の歴代人気キャラクターを出して、連載自体も「少年マガジン」「ヤングマガジン」とクロスオーバーさせる、原作者の商品開発能力は相変わらず凄いなあ、と思うものの、物語自体には今のところ大きく引き付けられる所無く。

 CLAMPの事だから、何かしらシリーズを引っ張っていく仕掛けは考えてあるんだろう。
 それが出てくるまで、様子見。



『IZUMO -猛き剣の閃記-』02.

 うーん、現実世界時点では まだ未分化だったけど、異世界に来た事で、ごくありふれたファンタジー物にしか見えなくなってしまった。

 全員を二組(一人別行動だったから三組?)に分け、同じエリアにいるようなのに出逢わせなかった事から、時代がズレて到着してしまった、だから先に着いた方(ライバルの方かな)には苦難があり屈折があって、後から付いた主人公達には単純ならざる気持ちを抱いている…とか、そんな話にするのかと思ったが。
単に、全員一緒にしてはキャラが描き分け辛いから、と、チームそれぞれの温度差を出すためか。
 今回ラストでまたバラけさせられたので、結局は二チームが対立していく事になるんだろうけど。

 変に大きな甲虫に追われる所、「ここは恐ろしい世界であり、自分たちは招かれて歓迎されている訳ではない」という事実を示す重要なアクションなのに、酷く気が抜けたシーンの連続だった事にガッカリ。
ピンチの切り抜け方も余り面白くないし、「少女のキックで逃げおおせる」に到っては、これにより何を描こうとしているのか見失っているとしか。

 異世界の有り様も、この手の作品のパターン通りに見え、さほどのオリジナリティーを感じず。
 次回まで見て、どこかで「これだ!」という面白くなりそうな要素を感じ取れなかったら、そこまでに。


2005年4月10日 日曜日

『ふしぎ星の☆ふたご姫』02.「メラメラの国☆はらぺこでプロミネンス」

 すごく易しいお話で、易しくキャラクターやら世界・魔法の設定を教えてくれる内容だったが…それだけに、いい歳の視聴者である自分には、「退屈」と感じられてしまう部分も。
 お姫様達は可愛いと思うけど…



『ホーリーランド』02.

 原作漫画は、前々から読みたいと思いながら、つい未読のまま来てしまったもの。
 実写ドラマ化であり、普通なら、原作に興味があろうと無かろうと見ないんだけど…
 総監督・金子 修介、シリーズ構成・黒田 洋介という取り合わせでは、見ない訳にもいかず。

 1、2話と見た。
 うん、まあ「変な話」だけど、面白い。
イジメられっ子が、自分の居場所をワルがうろつく夜の町に求め、そこで身を守るために独学したボクシングで、襲ってくる強い奴等をバカバカ倒していく、という話。
 昔よく聞いた、「俺は通信教育で空手を習ってる(だから強い)んだ!」ってギャグを、シリアスな物語にした印象。

 主演のお兄ちゃんの、「虐められ顔」と「虐められ演技」が凄い。
それが、この実写にするには無理がある お話に、妙な説得力を与えている。
 ブルース・リーの映画を見た後、アチョーとか言いたくなるように、『マトリクス』を見た後、サングラスかけてロングコート着て、のけぞりたくなるように。
このドラマを見た後では、部屋でシャドウボクシングをしたくなり、「それでボクも強くなれるのでは」という幻想を見てしまいそう(笑)。

 深夜枠とはいえ、SFでも何でもない、ごく普通の高校生(悪役の方はとても高校生に見えないのが多いけど)が街でドツキ合いのケンカをする かなり暴力的な内容で、それを実写、しかも容赦なく血を出したりする描写付きで描いているというのに、今時よく通ったなあ、この企画。


2005年4月9日 土曜日

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』25.「罪の在処」

 キラ・アスラン達、まだ話をしてたのか。
 お互いの理解と誤解を確認する、って事で、重要なシーンである事は分かるけど、動き無く、こんなに長く話しては…
特に年少の視聴者が飽きてしまう。
 一応、研究所で異変を来すレイ、というのと交代に描かれていたのは工夫なのかな。
 しかし…もっと要領よく話せば、前回だけで十分収まった会話内容のような。

 平和を求めるにあたり、「悪いと思われる方を倒す」方法と、「とにかく戦いその物を止めさせたい」という理想を求める方法が、対立して示されている。
 アスランのやり方は、目的と、それに向けて今やるべき事がハッキリしており、自身で判断する部分が少ない分、楽、とさえ言える。
 反面、全体の一部として行動しており、その主導権を握っているのが自分でない事により、トップにいる人間が間違った場合、してきた事・している事が、無価値になる恐れを孕んでいる。
組織への帰属意識から、判断を誤りやすいのも難点。

 キラ達のやり方は、全て自分たちの意志に基づいて行動している事で、不合理と思われる戦いに参戦しない自由があり、客観的に全体を見て動ける。
 しかし、完全な情報を得られている訳ではなく、判断を間違う危険性も高いため行動を慎重にせねばならず、動きが取りづらい。
 熟考の末に取ったはずの「とにかくオーブに戦いをさせたくないので、両軍に攻撃を行い、それによる死者さえ出してしまいました」という行動など、実に発作的で、どちらの軍の、誰からも理解を得られず、自分たちを憎しみの対象にしてしまう恐れすらあり、そんなものを積み重ねた果てに平和が得られるかどうかは疑問。
 要するに、何をすればいいのか まだまるで分かってない、という事なんだろう。

 どちらにも それなりの理があり、不合理があり。
 しかし、ヒートアップしているのはアスランばかりで、キラは どこまでも冷静・超然としていたなあ。
アスランだけが一方的に未熟みたいな扱い。
 そこを「成長の余地」と考えるなら、アスランの方が主役の位置に居る、という事になるだろうか。

 …あ、シンが主役だっけ?(笑)
でも、居るだけ、他者に文句を言ってるだけ、という扱いだから。
 今回、自分の攻撃がステラを傷つけた、と認識する事によって、ようやく主人公らしい葛藤とか成長を見せてくれるようになる?
 と、何度か期待したけど、今のところ全然そういう所は見られず。

 遺伝子操作は認められないが その他はナニをしても良い、という連合の考え方は、確かに無茶苦茶。
 そこに劇中でツッコミを入れたのは良かったけど…パイロットであるシンとレイに単独で廃棄施設への潜入捜査をさせた艦長(副長?)の判断に、今回 疑問を示していたように、「製作者は分かってやってますよ」というサインを出せば何でもオッケーになる、って訳じゃないんだけど。
 ライブドア社長がよく言う「予測の範囲内」みたいなモノで、「分かってるなら対応策を考えとけ」に なってしまう。



 WOWOW放送の映画『閉ざされた森』(2003)を見る。
 監督は、『ダイ・ハード』『レッド・オクトーバーを追え!』で頂点を極め、その後はイマイチ パッとしないジョン・マクティアナン。
 主演、ジョン・トラボルタ。共演、サミュエル・L・ジャクソン。
 軍のレンジャー訓練中に起きた事故を巡り、生き残った兵士の証言が入り乱れ、真相を不明確にしていく…

 緊張した雰囲気で物語が進んでいき、訓練中のシーンなど迫力のある所もあって、退屈はしないけど…
 とにかくタダでさえ分かり辛い外人の名前が入り乱れており、その名前が誰の事を意味しているのか途中から追い切れなくなって、こりゃもう一回見直すしかないなあ…と、思っていたが……

 以下ネタバレ。


 言ってしまえば、覚えにくいキャラの名前に四苦八苦する必要は、無い。
 分かり難い例えで言うと、
「ガンダムとZガンダムと∀ガンダムとガンダムフリーダムとライディーンとコンバトラーVで、救命作業などに一番役立ちそうなのはどれ?」
「ええと…何となく、ガンダムかなあ?指先が器用そうって言うか」
「ブー!ハズレ。だってどれもアニメの中にしか存在しないロボットじゃん。役に立つも立たないもねえよ」
というような話(ホントに分かり辛い)。
 こういう意地悪クイズみたいな謎解きはなあ…
言われてみれば伏線をチョコチョコと引いてあったような気がするけど、どれもかなり無理矢理だったような気もするし、んー…

 見て損したとまでは思わないが、生涯で二度と見返す必要を感じない映画。



『スピードグラファー』01.「背徳都市」

 GONZO作品らしい映像で、ハードボイルドな、大人向けの物語を展開していく…予定のアニメなんだろう。
 暴力女刑事とか、異常性格のバレエダンサーとか、登場キャラクターは個性的で面白い。
 比べると、今のところ主人公の方が弱いような。
戦場カメラマン時に負った心の傷や、これから事件に臨んでいく姿勢で、もっと強く魅力をアピールしないと。
 エンディングを見る限り、後に少女と共に行動するようになるみたいだから、コンビとして個性を彫り込んでいく事になるのかな。

 深夜枠とはいえ地上波で、少女の腕を折ってみたり、ギリギリのエロ描写を見せてみたりと、チャレンジャーな事をやってる。
よく許してもらえた…
 横槍が入らなきゃいいけど。

 地下秘密クラブに所属している議員。
ナニも普段から、その会員バッジをネクタイに付けて無くとも。
 クラブでは皆 仮面を付けていた、という事は、一応全員 匿名の存在(実の所バレてるにしても)なんだろうから、表で見られる危険を冒すのは拙いかと。
 入場時にバッジをスキャニングしていたので、それ自体は世に ありふれたバッジで、内部に認証コードが入っているかどうかが重要、とか?

 一話完結でなく連続するストーリーらしく、まだ始まったばかりだから、内容については何とも言えず。
きっちりシリーズを構成してあれば面白くなっていきそうな雰囲気はあるけど…GONZO作品は よく後半、つまらなくなってしまうから…
 『巌窟王』が最後まで良かったので、期待したい所。


2005年4月8日 金曜日

『これが私の御主人様』01.「これが私の御主人様!?」

 ケーブルテレビの契約をデジタルに移行したので見られるようになった、BS-i放送アニメ。
さすが、BSデジタルは画面がキレイだ。
 原作は、確か単行本を買ったと思うんだけど、もうぼんやりとしか覚えていない。
 「萌え物」なのに、主人公が女の子達にされるがままの受け身でなく、割と積極的にロクデナシなのが ちょっと珍しかった。

 アニメ、さすがGAINAX制作だけあって画面のクオリティーは高い。
少女達の肉感的な描き方など、申し訳ないけど原作よりも上手いのでは。
 キャラの大仰なリアクションを活かしたギャグも楽しく、テンポ良く進んでいくため、内容が何も無い事を忘れてしまいそうになる( ^_^ )。

 同じくBSでの放送のために作られた、GAINAXの『この醜くも美しい世界』みたく変にシリアスにダークにしようとしないで、今回ぐらいのライトな内容のまま最後まで行ってくれると嬉しいかな。
 視聴者は、このアニメに、そういう物しか求めていないと思う。
 「期待」を裏切って ずしりとした手応えを観賞後に残してくれてもイイけど…
どうもGAINAX作品は、上手く行かないと、「ずしりとした重さ『だけ』はあるんだけど、よく考えてみると中身が何も無い」というような様相を呈する事が多いからなあ。



『フタコイ オルタナティブ』01.

 この前まで放送されていたアニメ『双恋』の、早くも作られた続編かなあ、と思いつつ見ると…
女の子のキャラクターが共通しているだけで、想われる男から設定全般、世界の雰囲気まで丸ごと変えてしまったアナザー・ストーリーな訳ね。

 まあ、とにかく良く動く。
第一話は、アクション、アクションで、細かい事など全部置き去りに30分、終わってしまった。
 構成としては、
「ヤクザから預かった組長の鳥を、うっかり猫に食われてしまったオトシマエを求められる探偵事務所の男」
「中国系マフィア?に追われる男を連れて、バイクで逃げ回る双子の片割れ」
「オバサンが火傷して困っている総菜屋を、急遽変わって切り盛りするもう一方の双子」
これら三つの事件が並行して進んでいく事になる。
 てっきり、女の子を追ってくる男達もヤクザ組織に所属しているのかと思ったが、全然 別だったみたい。

 小技を効かすなら、この三つの事件が もっと緊密に影響を与え合い、それによって思わぬ展開を生み出していく…という風にも出来たろう。
 それぞれの問題を最終的に解決させてしまう事も、例えば組長なら、バトルに巻き込まれて危機一髪の所で、鳥を食べてしまった猫に偶然助けられる形となり、「ワシの鳥の魂はこの猫の中に生き続けている」とか何とか勝手に感動して猫を飼う事にし、探偵の不始末を不問にしてくれるとか。

 でも今回は、そういう小手先の構成を「どーでもイイ」と思わせてくれる程、パワーとスピード感に溢れた内容だったからなあ。
キレイにまとまるより、散らばったまま終わってしまう事で、更に疾走感を強調できている部分もあるし。
 作画含む全体のテンションが落ちてきて、なおストーリーがこの調子だと辛くなるかも知れないが、今回はコレで問題ない!

 冒頭で出てきた双子…ええと、るる と らら?は、この後メインストーリーに関わってくるのだろうか?
飛行機内で、生物兵器のようなモノと戦っていたようだけど。
 探偵と双子だけで既に三角関係なのに、この上まだ双子を登場させると、ウルサイし話に取り留めが無くなりそうだから、毎回 違う双子を顔見せアクションだけさせてファンサービスとし、探偵助手の双子だけで話は進めていく手もあるか。
 もっとも、そうすると、「一つの作品中にこんなに沢山 双子を出すのは無駄であり無理であり互いの魅力(双子という特殊性)を削る役にしか立たない」という、前シリーズを見た時に感じた事を、アニメスタッフも感じている、って事になるが。



『アイシールド21』01.「光速の脚をもつ男」

 原作は、連載開始から楽しく読んでいる。
 アメフトは、日本ではメジャーでないスポーツで、面白くできるのかどうか…と思っていたが。
もう、いきなりブッちぎりで面白い!
 いや、実を言うとアメフトの詳しいルールなど、今になっても 良く理解出来ていない。
でも、それで漫画を読むのに全く支障がないのだから凄い。
 『ヒカルの碁』と同じ作り方。
キャラクターを描き込み、そのそれぞれが目指す夢や葛藤を見せていく事で、本来中心であるはずの「碁」「アメフト」といった軸について、面倒臭い人は理解しなくても十分面白く読めるように工夫してある。
 『アイシールド』を(この優れたキャラ達をそのまま移行して)、サッカーやバスケットボールの漫画にする事も問題なく出来たろうが、それじゃあ「後追い」の域を出られない、って所がジャンプ編集部としては不満なのだろうか。
単に作家さんがアメフト好きだった、って可能性もあるけど。

 アニメの出来。
原作に忠実に進めてあり、妙な脚色もなく、作画は良好でアクションもよく動き、原作付きアニメとして不可の無い内容。
 各メインキャラが出てくるシーンに、漫画だと「一ページぶち抜き」というような、華を持たせた印象的な演出が成されているのも、上手い。
 そういう訳で良く出来たアニメ化…と、言いたい所なんだけど……

 やっぱり、蛭魔の声が、ロンドンブーツの田村淳である所だけは…
 生身の本人と、キャラクターの「イメージだけ」は近いのかも知れないが、とにかく発声の基礎さえ出来ていない、役者経験も そう深くない(のであろう)人に、イキナリ声優をやれと言っても無理に決まっており、その第一声を聞いただけで、視聴意欲が激しく萎えてしまった。
 蛭魔は素晴らしく良く出来たトリックスターで、この漫画の成功の半分ぐらいは彼の存在に依っていると、個人的には考えている程。
 その声に、素人を抜擢するとは……

 いずれ耳に馴染むだろうし、声の演技自体も上手くなっていく可能性はあるが、そこまで付き合っていけるかどうか分からない。
内容そのものには好感を持って見られたので、余計に残念。
 …話題性だけで(しかも、ロンドンブーツを使う事で得られるレベルの話題性)芸能人を声優に起用するのは、もうホントに、勘弁して貰えないだろうか。
せめて、扱いの軽いゲストキャラ程度に留めて欲しい。


2005年4月7日 木曜日

『極上生徒会』01.「拝啓、ミスター・ポピット」

 ええと、自分も相当 時代に付いて行けなくなっているのに申し訳ない言い方だけど、キャラクターデザインの印象が「今風」「見た目でイキナリ萌え」というよりは「ちょっと前の時代」のモノであり、人気の原作を元にしているので…とかいう事情も存在しない以上、どうしてこの絵のラインを選んだのか、不思議だった。
 制作スタッフが、監督・岩崎良明にシリーズ構成・黒田洋介という、その辺りに疎くない、どころか敏感なセンサーを持っているはずの取り合わせなのに。
 エンディングを わざわざ「萌え絵」風路線にしたキャラにしている事も、余計に不思議。

 でも、見始めると すぐに…
ああ、これはコレでイイや、と思えるようになってきた。
 「こんなアニメ、見た事がない」といった内容ではなく、ちょっと懐かしいタイプの学園どたばたコメディーなので(地面に這いつくばって「メガネメガネ…」とか)、このキャラ達で ぴったり。
 一話目の演出を監督自身が行った事でベタベタながらギャグのヒット率は高く、作画レベルが良好だったお陰もあり、余計キャラに馴染みやすかった。

 サブキャラでは割にあるパターン(『赤ずきんチャチャ』セラヴィー、『まほらば』灰原)だが、ヒロインが常に人形を抱えて二重人格性をアピールしているのは、さすがに珍しい。
パペットマペットや、『sakusaku』ジゴロウとカエラのイメージもあるだろうか。
 ボケボケのヒロインに対し、鋭かったり突っ込んだり更にボケを加速したり、と、色々に使えるキャラで、面白い。
 もしかシリアス気味の展開を迎えるなら、ヒロインが人形に依存(?)せざるを得なくなった原因など彫り込めば良いのだし。
それを「なんて、ね、嘘」で またひっくり返して落とす手もある。

 放火魔との戦いで、意外な強さを発揮する人形。
『ジョジョ』のスタンド能力的な扱い?
いや、シリーズ構成氏からすると、『スクライド』アルター能力と言うべきか。

 今後は、生徒会の女の子達をキャラとして一人ずつ立たせ、またベタベタギャグを混ぜて展開していくのかな。
 美少女ばかりの生徒会とはいえ、ヒロインの大ボケぶりからすると、『マリア様がみてる』には なりそうもない…?



『ガラスの仮面』01.「千の仮面をもつ少女」

 …なんでまた、今頃?
確か昔もテレビアニメとして放送され、OVAが作られ、実写ドラマ化されて、またこうしてアニメ化。
 確かに、原作は日本漫画界を代表する作品の一つであり、鮮烈なキャラクター造形、目を離せないドラマ展開などで圧倒的に支持された、未完の大作ではあるが。

 しかしマヤ、劇場で道草喰って店のオバサンに怒られたばかりだというのに、また映画を見に寄ってしまうなど、お芝居が好きとか何とか言う前に、どこか大きな所が欠け落ちているとしか。
バラエティーに出演する大女優も、話を聞いていると、日常生活を送るのに不都合があるのではないかと思ってしまうぐらいに欠落した部分を抱えているようなので、これはこれでリアルなのかな。

 脚本・作画・演出ともに、まずまず。
物語が転がり始めたら、原作に忠実である限りストーリー自体は面白くなる事が分かっているけど…
 後は、「見る者を魅了するマヤの芝居」を、どこまでアニメで再現出来るか。

 見続けようとは思うが、感想は書かないだろう。



『甲虫王者ムシキング 〜森の民の伝説〜』01.「ポポの旅立ち」

 丁寧で地に足の着いた開幕…かと思えば、母親の変容など、突然すぎて付いていけない所もアリ。
 エライ事になっている母親が変に笑った表情のままなのは、出来る限り安心させて息子の旅立ちを促すためなのか、体を蝕まれて思うように顔の筋肉も動かせない状態なのか、作画の不徹底か。

 主人公「こんな大きなカブトムシが居るなんて…」と言っていたが、カマキリとの対比からして、別に大きすぎるとは思えず…
でもまあ主人公がそう言うなら、そう思うしかあるまい。
 カブトムシが自分を襲ってくる事に不思議さを感じていたけども、普通はこんな事、ないの?
カマキリに襲われたのは何とも思っていない様子だったのに。
カブトムシは、人を、食べる目的で襲わないから?
 雄叫びを上げるカブトムシには、驚いたり笑ったり。
子供に分かり易い演出として、間違ってない。

 行方不明になった父親の回想、謎の男との遭遇、母親の変貌、悪意を持つ(?)カブトムシの来襲と人間寄りカブトムシのバトル、ちびカブトムシとの出逢い、旅立つ少年…
ゆったりとした進行の印象とは裏腹に、結構 内容を詰め込んである。
 それぞれ もう少し時間を掛けて、余韻を残した方が良いような。
特に、主人公が旅立つ切っ掛けになる母親との別離が、「母親変容」「よし、助ける方法を求めて、父さんを探しに旅立つぞ」という具合に、感情の変化が早すぎて段取りっぽく感じられてしまう。
 余りゆっくり進め過ぎていると、子供はすぐ飽きてしまうので、難しい所ではあるが。

 視聴継続。
物語が進んでいく事により、今回感じた不満を解消してくれると いいなあ。


2005年4月6日 水曜日

『いちご100%』01.「幻のいちごパンツ」「誤解それともカン違い?」

 「少年ジャンプ」連載の漫画が原作。
毎週楽しみに読んでおり、単行本も買っている。
 抜群な女性キャラの可愛さと、繊細な絵のタッチが原作の大きな魅力であり、いずこも製作状況が厳しい現状のアニメ界で どこまで再現出来るか、と思っていたが…

 うーん、及第点。
嘆く程には悪くないが、感心する程 良くもない。
第一話なんだから、もうちょっと頑張って欲しかったかな。
OPの作画は かなり良いんだけど。
 何しろ物語が始まる切っ掛けが「いちご模様のパンツを見る事」なので、テレ東系で放送しなかったのは、当たり前の事ながら賢明。
お色気、ってのも、この作品を構成する重要な要素だから。

 ストーリーは、原作を変にいじる事なく、そのまま。
無難な演出。ギャグは外し気味。
 各ヒロインの登場シーンには、もっと「華」を演出して欲しかった所。
 無理なく見られる限りは見続けるけど、作画レベルが跳ね上がるか地に落ちるか、というような事でもない限り、感想は書かないと思う。



 先日、付き合いで、映画『ハウス・オブ・ザ・デッド』を見たので…どうしようかと思ったけど、せっかくだから感想を書いておこう。
 ええと、もう監督とか主演とか どーでもいいや。
何があったのか『Uボート』のユルゲン・プロホノフが出演している。
 久しぶりに見た、腹に堪える駄作。

 出てくるキャラクター達が致命的なぐらいアホ。
その上ほとんどが酷いロクデナシで、彼らの生死に興味が持てず。
 ヘタレたお兄ちゃんお姉ちゃんが、危機に際して伏線もなく唐突に百発百中のガンマンと化し、しかも肉弾戦でまで超人的な強さを見せるシーンが、唯一の見所。
「ほーら、ボクこんな馬鹿シーン撮っちゃいましたよ、みんな大爆笑してる?」という製作者からの目配せのつもりかも知れないが、最初だけ「はは」と笑ったものの、ノリは悪いし無駄に長いし、すぐ飽きてしまう。

 原作となっているゲームの画面を、短く、やたら挟み込む意図は、何?
緊迫感を殺す役にしか立っていないのに。
 ゾンビ達の襲撃シーンで(ここに限らないが)、カメラワークやらカット割りが余りにも悪い。
そんな所を「悪い」と感じる事は 普段ほとんど無いんだけど…この映画に限っては、誰が見てもダメなのが分かるだろう。
大学の映研だって、頑張ってる所はもっとマシだぞ。
 『マトリックス』でお馴染み、止まった人の周囲をカメラがぐるーりと回り込むマシンガン撮影を、効果のある無し関係なく やたらに連発しているのは、せっかくカメラを構えたのだから一杯使わないと損、という貧乏根性の現れ?

 「ゲームに続く」という事らしいが、ゲームを知らない自分には、エンディングも全く納得出来るモノでなく。
 こんな内容なのに、公開時は確か米ショウビズにチャートインしていたような…
 地雷避けのためだけに、監督ウーヴェ・ボルの名前を覚えておいた方が良いかも知れない。



『うえきの法則』01.「植木耕助・正義の法則」

 原作は、連載が終わる直前ぐらいの所だけ既読(その辺からサンデーを買い始めたので)。
そのため、この作品冒頭部は全く初めて見る。
 凄く、駆け足な第一話だなあ。
説明ゼリフを並べてくれるので、大体の所は分からないでもないが…
今回は、取りあえず基本設定をダダダーッと紹介してみました、という以上のものではなく。
 次回以降を見てみないと、何とも。


2005年4月5日 火曜日

『エレメンタル ジェレイド』01.「空と風の謳」

 『コミックブレイド』の漫画が原作で、シリーズ構成が荒川稔久、という、『ジンキ』と同じ取り合わせ。
悪い予感がしつつ、見たけれども…
 まあ、普通。
第一話時点では、特にドコにも新味は無いものの、苛立つほど悪い所も無く。

 空賊の主人公、意図しない事とは言え女の子(の形をした何か)を強奪して来ておいて、その子を金で売ってくれ、という相手に対しては、「その子を思いやり、当然の事として」出来ないと断る。
…あーー…そうですか。
 てっきり、空賊のプライドにかけ、勝手に船内に入ってきて前置きも無しに大事な お宝を売ってくれなどと言う相手とは、交渉する気もない、って事かと思ったが。
 実は(見た目通り)気のいい奴等だ、という事なんだろうけど、うーーん。

 つまらなくは、ない。
でも、毎回必ず見ていきたいと思う程の内容でもないな。



『創聖のアクエリオン』01.「天翅の記憶」

 三機合体の組み合わせで数種類のロボットに変形する仕掛けに、ああ『ゲッターロボ』か、と思う。
 それは、常識はずれの行動を見せる主人公にしても、そう。
スカウトが やってくる所なんか、石川 賢先生版の流 竜馬パターンに 実によく似ている。
 それにしては、まだまだ主人公が大人しいなあ。
石川先生だと、もっと主人公をMADにするぞ。
女の子に腕をねじり上げられたなら、ねじられた方向に更に体をよじり、肩の関節を外し、狂気の行動に相手が気圧されて手を離した隙に逃れ、少し離れて激痛にも構わず無理矢理 関節を戻した上で、「やるじゃねーか、本気で行くぜ」と凄絶な顔で笑って言うだろう。

 正規のロボット・チームが失敗し、コックピットに乗り込んだ急場しのぎの乗員…まあ女の子の方は超能力持ちの優秀なパイロットなんだろうけど…が、計算外の力を発揮して敵を撃滅する。
世界の細かい事情なんかはサッパリ分からないが、こういうパターンは無条件で燃えるなあ( ^_^ )。

 作画は、微妙な所もあったけど総じて高く、極端にパースを意識したアクションの一部はハッとする上手さ。
 河森正治監督、前作『マクロス・ゼロ』でも駆使した3DCGで、スピード感と迫力のあるロボット・バトルを作り出している。

 問題なく視聴継続。
 深いフリして その実 浅く内面を掘り返し、自分探しとか ばっかりやっている昨今のロボットアニメに対抗すべく、是非ともウダウダ鬱にしない、熱い作品に仕上げてくれないモノか。


2005年4月4日 月曜日

 テレビで放送していた映画『あたしンち』を見る。
 30分二話構成、実質一話10分程度で放送されているテレビシリーズのテンポが、この作品には丁度良いと思え、95分もの長丁場は辛かろう、と思っていた。
 人格入れ替わり、というネタも、映画『クレヨンしんちゃん』ほど現実離れした物語にしないで長い話をもたせるには良い目の付け所、とは思ったモノの、アリガチであり さほど興味を感じず。
 だから、劇場へは勿論、レンタル屋でソフトを目にしても、借りる事無く過ごしてきたのだが…

 うわあ、この作品で泣かされるとは思わなかった。
 号泣!って程の泣きは無いが、アチコチ…
みかんとクラスメートとの友情、母と初恋の人との再会、入れ替わった事で初めて互いの心の深くを理解する母子、子を思えば命さえ賭けられる母の強さ、家族の絆…
ジーンと、ホロリとさせてくれるシーンが多々。
 ギャグのヒット率は そう高くないが…それはテレビも一緒か。
元々、ゲラゲラ笑う、というより、「分かるなあ」のクスクス笑いを起こさせる事を狙った内容だし。

 ハトと入れ替わってしまったオジサンを出したのは、善し悪し。
ちょっと単調になりそうな流れを変転させる役割は果たしたが、「家族の絆」の中には入れないキャラであり、余計な気も。
 無事 全てが解決した後、「これからは日本中を回って入れ替わってしまった人達を助けたい」とか言ってるのが可笑しい。
この世界では そんなによくある事故なのかコレ?(笑)

 お父さんがダイバースーツをショップで着込んでいるのは、妻子が大変だっちゅーのに遊んでるのか?と思えば…ああ、そういう事ね。なるほど。
 クライマックス、雷と電導のケーブルは まるっきり『バック・トゥー・ザ・フューチャー』。
妙に盛り上がってしまう所が、この作品らしくなくて また可笑しい。

 もうちょっと現実の枷を取り、「一家で江戸時代にタイムスリップ」や「22世紀の一家を日常的に描く」とかで、まだ映画が作れそうな気もするが、製作の噂が聞こえてこない所を見ると この一作で終わりなのだろうか。
 この作品を喜んで見ているのは そこそこ高い年齢層ではないかと思われ、そういう人達を劇場にまで集めるには話題性・イベント性が余りにも少ない映画化であった、って事かな。
劇場版『サザエさん』に近いモノがある?
 今回ぐらい面白く作れるなら、続編も見たい気はするが。



『英國戀物語エマ』01.「贈り物」

 原作は一巻目だけ既読。
 お話をチョコチョコと いじって変えてあるなあ。
 原作だと、お坊ちゃんが手袋を忘れていったのは故意に、であり、エマに後を追ってきてもらって話をする切っ掛けを作りたかったから。
ケリーも それは分かっており、ウィリアムの成長(色気づき)を、母親のように見ている。
 これがアニメだと、ウィリアムは普通に手袋を忘れた事に。
後を追ってきたエマには気付かず、そのまま馬車で家まで帰ってしまう。
届けに行くというエマの言葉からケリーが感じ取ったのは、「若い二人の未来」か、「珍しく若い男性を敬遠しないエマの心の機微」か、という感じに。

 エマに対し、ウィリアムが最初に抱いたのは「好感」であって、「一目惚れ」に近い程 強い感情ではない…といった風に変更したのかと思ったが、その後で見せる行動は「一目惚れ後」のものとしか思えず、うーーーん。
 放送予定話数が短いので、余計、と思える部分をカットした、って事なのかな?
 まあ、特に原作未読の人にとっては、何の問題もない変更だが。

 作画も演出も丁寧で、原作の雰囲気を最大限、再現出来ており、見ていて心地良いアニメに仕上がっている。
 このクオリティーを どこまで維持できるか…
作画が崩れ始めたら、ファンから悲鳴と怒号が上がりそうだなあ。



『おねがいマイメロディ』01.

 サンリオらしい、実に単純な線で描かれたファンシーなキャラクター・マイメロディ
それと(「それ」…)、非常に可愛らしく美少女然として描かれた人間キャラのギャップが凄い。
 もちろん、ファンシーキャラに合わせて人間もデザインされていたなら、イキナリ見る気力を失っていたろうから、この方が嬉しい。

 お話は…かなり強引。
 色々と、上手く噛み合っていない部分があるように思うんだけど、それは技術的な問題か、「味」なのか。
 魔法を掛けられ喋れるようになったバイオリンがヒロインの演奏のヘタさを責める、何とかして!というヒロインの願いに応えてマイメロディが魔法で動かしたカニ型カバンがバイオリンの弦をハサミでチョッキンと切る、すると力を失ってバイオリンは地面に落ちるが、それにかけるヒロインの言葉は「この弦、古くなってたんだ…手入れをしなくてごめんなさい…」
ええ?古いから切れたって訳じゃないでしょ?今カニが切ったんでしょ?
 ……大きく、ではないんだけどズレてるなあ。
 どうせ他人のモノだからか、思い切りよくバイオリン弦を切らせてしまうマイメロディも、外見に似合わずヒデエ奴。
「意志あるバイオリン」としての夢だったんだろう、「自分を使って上手い演奏をして欲しい」という夢を、弦を切る事で断ち切ったとも言える訳だけど、この子って良い側?

 ヒロイン憧れの人で、美形だが心を持っていないように見える先輩。
彼に近づいていく悪のファンシーキャラが悪心を植え付けるとしたら、「何も感じない人」なのと「悪い心を持った人」なのでは、どちらがマシなのだろう?とか、その辺にも斬り込んでくれる?

 『蒼穹のファフナー』前半部を手掛けた山野辺一記が、この作品のシリーズ構成。
んー…微妙。
 まあ、時間がある時は見ていきたいと。


2005年4月3日 日曜日

『MAR-メルヘヴン-』01.

 学校から物語を始め、主人公のダメダメぶりを現実に即して見せてから異世界に入る、非常にオーソドックスな構成だと思うけども…
それにしては色々と唐突で、面食らってしまう。
 「異世界送り」という凄まじく超常的な出来事に対し、「町内会の福引きで沖縄旅行が当たり、そのまま羽田から飛び立つ事になりました」程度のリアクションしか取らないのが不思議。
ゲーム世代の子供達に向けた作品としては、これで問題ないのだろうか。
 死んでもセーブした地点から やり直せるし、レベルを上げさえすればラスボスにも勝てるのが分かっているため、異世界(ゲーム世界)に入る事に不安など何も無いのが もう「普通」?



『仮面ライダー響鬼』10.「並び立つ鬼」

 おお、ダブルライダーの共闘!
普通に仕事として二人とも戦ってきた訳で、キツイ敵が出てきたなら こうなるのが当然なんだけど、とにかく絵ヅラとして燃える!
 不得意なバイクの運転を担当し、予想以上の酷さを見せるヒビキ。
「飛び降りろ!」に大笑い。
こんなにバイクが苦手なライダーは、史上初であり空前絶後だろう。

 困難な仕事を着実にこなして行くヒビキ達に対し、デート(?)を遅刻でフイにし、万引き犯に有効な対応が出来ず、とばっちりで殴られ、逆恨みされ、危ない所を おやっさんにただ助けてもらうという、失意の時を送っている明日夢。
実に実に、実に等身大で、他人事とは思えない。・゚・(ノД`)・゚・。
 ここで、「男はもっと強くならなきゃダメだ!」などと、子供とはいえ他者の人生に差し出口を挟もうとしない おやっさんの大人ぶりも素晴らしい。
 悲しくて悔しくて、自分の情けなさに腹が立って、でも きっと優しく話を聞いて励ましてくれるに違いないヒビキには会わずに帰る、彼の精一杯の「誇り」にホロリ。

 自分の側に座ってくる ひとみを拒絶したり、酷い捨てゼリフを吐いて逃げ出したり「しない」、明日夢の幼さと素直さとイイ奴さ加減と。
傷を癒してくれるのは、やっぱり女の子でなきゃね。
 映画に来なかった事を責めず、顔の傷や落ち込んでいる様子について聞かず、映画館で寝てしまった、と嘘を言って再度のデートに誘ってくれる ひとみ。
恐らくは嘘だと分かったのだろうが、その気持ちを素直に受け取り、「うん」と答える明日夢。
泣ける泣ける。
 こんな女の子が昔から横に居てくれりゃあアナタ、アタシだって もうちょっとマシな人間になれてますって(つまらない自分語り禁止)。

 魔化魍を「人殺し」と断罪する あきらは、もしかして両親を殺されたとか不遇な過去を秘めている?
 戦いの役に立てず、自分の力不足に悔しそうな様子を見せる彼女。
 明日夢と同じように、あきらも まだまだ未熟。
でも、そこを誤魔化したり居直ったりしない彼女達は、大きな成長の可能性を秘めている。
 明日夢の場合は、必ずしも「ヒビキの弟子となって『鬼』として強くなる」必要は無い訳だけど、今後はどうなっていくのだろうか?



『IZUMO -猛き剣の閃記-』01.

 朝、寝過ごす主人公を起こしに来る ご近所の世話焼き家庭的少女、部屋に飛び込んでくる「お兄ちゃん」系妹キャラ、学校には自ら許嫁だという転校生が現れ、クラスメートの生徒会長少女も主人公に関心ありげ。
 第一話から、とにかくコテコテのギャルゲー的キャラクター配置を見せてくる。

 しかも、それら少女の設定を、主人公自身のモノローグ「彼女の名前はナントカで、オレとの関係はコレコレ…」といった調子で説明してしまう。
そりゃまあ、この方が短時間に、ハッキリ分かり易く情報を提示出来るけど…漫画家入門には「こういうやり方は余り宜しくない」と書かれていると思うが。
 ただ、時間も無いし、要領よく説明していく自身のスキルに疑問がある、と製作者が自覚した上で行った事なら、意味もなく分かりづらくしてしまうより この方が遙かにマシと言える。

 作画は悪くない。
 お話は、学園ラブコメではなく、異世界伝奇モノになって行くのかな?
その、まだ前置き段階であり、面白くなりそうかどうか この時点では判断付かず。
 とりあえず3話ぐらいまで見て、視聴継続にしたものかどうか決めよう。



『ふしぎ星の☆ふたご姫』01.「とびきりスマイル☆ふたごのプリンセス」

 んー…色々と分からない事とか強引な所があるけど、何しろ「可愛い」作品なので、細かい事を問うてはイカンのだろう。
プリンセス二人の「いやいや〜」踊りなど、あんまりラブリーすぎて、巻き戻し見返してしまう騒ぎ。
 佐藤 順一監督の演出パワー爆発!といった感じの第一話。
基本的には イイ歳の人間が見続けるような内容にならないと思うため、自分が視聴を継続出来るかどうかは、今回ぐらい高いテンションをドコまで保ち続けられるか、に掛かっている。
 同じく佐藤監督が手掛けた『夢のクレヨン王国』と、近い内容になっていくのだろうか。


2005年4月2日 土曜日

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』24.「すれ違う視線」

 視聴者が作品に対して抱いていた疑問。
 アスランは、何でザフトの兵士として戦ってるの?
 カガリは、自分の演説に皆が無条件で従ってくれるなどと考えていたの?表向きとは言え国家の責任者の一人なんだから、もうちょっと出来る事がありそうな…
 突然 乱入してきて余計な被害者を出した事についてアークエンジェルの責任は?

 等々、それらが作中のキャラクターの口を借りて「疑問」として提示され、ある事については答えらしきモノが出、ほとんどについては、「そうは言われても(情勢により、あるいは未熟さ故)、他にどうしようもなかった」という事で、まだ正しい・より善い答えに辿り着けず葛藤し続けている事自体が「答え」として示された。

 登場キャラ達は、視聴者から「コイツらダメダメじゃん」と思われている、そうとしか思えない、という事実を、製作者が理解した上で作っているなら、良し。
「今の時点では」良し、って事だけど。
 シリーズが既に中間点を過ぎようとしている ここまで来て、多少なりと現実的に考えるなら事態解決の目算など一切立っていない訳で、彼らが葛藤の末に何らかの より善い、「説得力のある」答えに辿り着く事は…次第に難しくなってきているような。

 いや、前作のようにキラが突然「分かった」と言い始め、自身とモビルスーツの超能力で不殺の戦いを繰り広げる事を「答え」とするなら、簡単だが。
「デュランダル議長が悪の黒幕だったので、倒した所、事態はすっかり解決しました」とか。
 葛藤し続ける事を答えとして終わる やり方もあるけど、それはホンのチョイとした加減で、視聴者が最も望まない、単なる「製作者の自己満足」になってしまうからなあ…

 あんまり難しい所に踏み込まない方が、良いと思うのに。
 怪獣と人間の あり方について凄く踏み込んで描き、安易な答えを拒否し続けて、最終的に崩壊した『ガメラ3』みたいに なっちゃうから(でも この映画は好き)。

 ミリアリアからの通信を、すぐには信じないアークエンジェル一行。
馬鹿っぽくなくて結構。
誰も味方が居ない状況下で、迂闊な判断は命取りだよね。
 てっきり、キラ・アスラン・カガリが出逢い、まだ僅かしか話していない時点で、ミネルバから飛び立って来たシン達が彼らを見つけ、接近してきて、それをアスランの(ラクスに居るのだから、アスランの偽物が居ても おかしくないし)裏切りと誤解したアークエンジェルが浮上、その機影を見て逆上したシンが攻撃、やむなくキラがシン機を撃墜、ハイネの悪夢が蘇ったアスランがフリーダムを止めようとして…
というような、お馴染みグダグダ誤解ストーリーが始まるモノかと。

 レイはコーディネーターではなく、連合側が作り出した強化人間?いやクローン?
その正体によっては、彼と何だか仲良しらしい議長の影の部分にも迫っていけるだろうか。



『こいこい7』01.「花弁満開!恋の華咲くこいこい7です〜」

 原作は、最初の方だけ既読。
かなり昔に読んだので よく覚えていないが…こんな始まり方だっけ?
 ロクな前置きもなく出て来て学園内ケンカに使われる巨大ロボット、生身で超人的な戦闘能力を持つ女子高生達…イニシエの『プロジェクトA子』を思い出してしまった。
 作画が冴えず、とても「萌え」られない死んだ表情のキャラ作画さえ散見され、アクションにも見所が無く…
ストーリーにしても「よくある話」の域を出るものではないため、正直、第一話はどうにも面白く感じられなかった。
 キャラの個性が出てくれば もう少し…とは思うけど、まだまだチェックしたい作品数が多い現状、そこまで気力が持ちそうにない。
 ここまでに。



『ウルトラマンネクサス』26.「憐-ザ・サード-」

 新しい(力を受け継いだ?)ウルトラマンの登場。
 前回よりも少し時間を遡って…なのかどうなのか、変身する事になる少年の視点で新シーズンのスタートを切ったのは、分かり易くて良かった。

 少年、試験管ベイビー?というか、人工的に遺伝子を配合して作られた命?
ウルトラマンになる前から、知能が高く、過去視(クレアヴォヤンス)が効く、超人的な体をしている様子。
 遊園地で のんきに働いている様子は親しみやすく、常に眉間に縦皺を寄せていた印象しかない姫矢と比べれば、子供達も応援し易いだろう。
登場順番が逆になっていたら…シリーズ開幕としてのツカミは良くなったかも知れないが、ヒーロー交代に伴う拒否反応は遙かに激しく出たろうな。

 消して回っているはずの記憶・情報がどこかから漏れたのか、人々の間に広まっている怪物の噂。
『メン・イン・ブラック』のように、光を見せて記憶を消去する装置が、「一つ目の鳥」に なって伝わっている、微妙な正確さと不正確さが面白い。
 「記憶消し隊(仮名)」に在籍する、いかにも意味ありげなお姉ちゃんは、今後メインストーリーに関わってくるのかな?

 少年の若さとアクティブさが全面に押し出され、見易い、分かり易い、悪くない交代劇になっていると思う。
 今度の主人公も深い鬱屈を抱えているようだし、もしかして この作品のウルトラマンって、心に大きな傷を抱えた人間だけが変身する資格を得、それが昇華されて行く事で変身する力(命?)を失う、って事になってるのかなあ?
トラウマエネルギーで変身!って。
いや、単にドラマの都合か。
 後は、ここから お話が盛り上がってくれれば…



『巌窟王』最終話.「渚にて」

 もしかしたら あと一波乱ある…?と思っていたが、やはりドラマその物は前回で終わっており、今回は実に静かで、心に染みるエピローグが示された。
 しっかりと、より幸せな方向へと歩んでいこうとするキャラクター達の姿が嬉しい。
 ちゃっかりスターの座に着いたらしいベッポ、その姿を見て、買おうとしていたアクセサリーを店に突き返すバティスタン、少し大人になったエデ、彼女の側で警護をしているベルッチオ。
メインでない、脇キャラの その後まで目線が届いている。

 ごく普通に、まっとうに暮らしているキャラクター達。
その余りにも穏やかな暮らしぶりに、嫌でも気付かずには居られない。
 物語を強力に強烈に押し進めていた…黒い太陽のように世界の全てを照らし出す存在だった伯爵は、もう居ないのだと。
 そして、日常が始まる。

 シリーズのラストが駆け足になり、そのため消化不良感、不満感を残す事が多い昨今の作品の中で、エピローグだけで一話使う贅沢さ(構成能力)は、凄い。
こういうのも、実にイイねえ。
 見終わって しっかりと胸に残る物がある、良い作品だった。
面白かった!


2005年4月1日 金曜日

『舞-HiME』最終話.「shining★days」

 …難しいなあ。
 「やっちゃった」という気は、する。
でも、「これでいいんだ」とも感じられる。
 どうしたものだか。

 ドラマ、 よく考えてあったとは思うんだけど、とにかく魅力的で それぞれ強烈な輝きを放つキャラクター達を活かし切るには、まだ弱かったのだろう。
 それぞれ存在感がありすぎて、全員出したままでは散漫にならざるを得ないので、退場の際に見せ場を設けつつ ちょっとずつ片付けてメインキャラを減らし、絞り込んでいく事で何とかキャラに喰われずにドラマを維持したものか。

 ただ…前にも書いたけど、物理的に100しか入らない番組容器に対し、事前に200も300も「キャラクター要素」を用意してあり、そもそも入りきらないものであった所に、シリーズ後半は「物語の都合」が大きなウエイトを占めてしまったため、キャラ要素は せいぜいで50、60しか入らなくなってしまった。
取りこぼしたな、と思えるキャラクター要素も実に面白く出来そうだったため、そこに不満が生まれてしまう。

 こういう締め方に持って行くなら、この物語その物には さして意味があったとは思えず。
要は「なんちゃって」で終わっており、苦難を乗り越えた事でキャラが大きく成長した訳でもなく。
 あかねなど、「都合」で廃人状にされた挙げ句、また「都合」で復活させられ、しかも その復活に特に意味が無い、不遇のカタマリのような扱い(バカップルに仕立てて上げるフォローはあったが)。
 深優も、何のために復活したのだか。

 実にドタバタとした最終回で。
 消えた大事な人達が復活したり、HiME達に力を戻した意味は、結局「無茶苦茶ハッピーエンドにするため」以外に無し?
 まあ、HiME全員にバトルの見せ場を用意するにはラスボスが余りにも弱く、歴代仮面ライダー数十人が大集合したのに敵は地獄大使一人きりでした、というような物足りなさだったが。

 思うに。
 シリーズ途中でカラオケの話があり、ラストはカラオケ同好会結成で終わり。
という事は、真面目に やっていると思われた ここの所の鬱エピソードは、長〜〜〜いカラオケ大会話の途中でマイクを奪い合って「私に歌わせないと殺すぞ」「何よ、私にマイク渡さないとアンタの彼氏に酷い事するわよ!」と真顔で言い争わせて、オチ(同好会結成)に到る「タメ」とする、その程度のウエイトだったのか。
 確かに、最終回の余りといえばあんまりな「ぬけぬけ」ぶりに、コケて脱力して笑ってしまったが。
 しかし、下らねー、と笑って全てを済ませるには、「タメ」の時間を取りすぎて肝心の「オチ」が駆け足になり過ぎ、笑いをとり辛くなってしまっている(笑っていいモノかどうか視聴者を混乱させている)、という構成の拙さが見えて…

 これでも気持ち良く見終えられるとしたら、その要因は ただただ、「大好きなキャラクターたちがみんな笑顔を取り戻せて、良かった」というファン心理に寄っている。
 それぐらいの満足感を演出するなら、キャラの間に放り込むイベントは、『スクールランブル』や『あずまんが大王』に起こるものと同程度で十分だったろう。

 いや、色々言うけど、面白かった。
凄く好きな作品であるという評価はいささかも変わらないし、こんなにも頑張って作られたアニメを見てこられた満足感も深い。
 だからこそ、「もっと上を目指せたはずではないか」という不満が現れてきてしまう。

 スタッフの次回作に、期待したい。


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05/03の日記を読む