ときどき日記 2006/04

2006年4月30日 日曜日

『ウルトラマンメビウス』04.「傷だらけの絆」

 元カプセル怪獣・ミクラスが登場。
…好きな怪獣だけど、外見は、本編でも指摘されていた通り決して強そうではなく、どうせ地球側で再構成した怪獣ならレッドキングとかバンドンとか、もうちょっと凶悪な姿を取らせても。
 セブンが使っていた事で、他のものより多目にデータが残されており、造形しやすかった?
 「地球人の味方をしていた形跡がある怪獣」ということで、対外広報的にイメージが良いのか。
実際、バンドンなんか人類の恐怖の象徴でさえあるだろうから、それを防衛隊が使う、っていうのは一般市民から理解され辛いだろうな。

 ミクラスをサッパリ使いこなせない冒頭のドタバタが、楽しい。
闇雲に命令を下してもダメで、「生まれたばかりの子供」には、母親の優しさと、一緒に戦う気持ちが必要だった。
 戦おうという気持ちの薄いコノミが、幼稚園を訪ね、子供達の気持ちと仲間の暖かい応援に触れて、勇気を取り戻していく、このエピソードと「余り役に立たない怪獣」という印象の強いミクラスが大活躍する場面が見事に融け合い、胸を熱くするクライマックスを構成できていた。
 セブンのウルトラアイになぞらえ、「でゅわっ」と言いながらメガネを掛ける、これを心のターニングポイントに使う「くすぐり」も上手い。
 ミライの「君のお陰で、今日は4分間戦えた」というセリフには、ジーンと来てしまう。

 各隊員が戦う理由を固めていく基本エピソードだけれども、アイディアと、キャラクターを見守る優しさに満ちており、とても心地良い内容。
 こんな隊員達で大丈夫なのか?と思われたGUYSだが、早くも各キャラの個性が見え、面白くなってきた。
事前に、かなり突き詰めて設定を考えているものと思われる。

 掲示板でご指摘を頂いた通り、GUYS隊長、実はゾフィー?
何もかも見通しているような態度とか、「管理職としての高度な有能さ」を見せるところとか、どうも怪しいなあ(笑)。
 未熟なメビウスと人類の成長を願い、見守る目的で地球にやって来ている、とか。


2006年4月29日 土曜日

『ゼーガペイン』04.「上海サーバー」

 お尻を触られ(?)て、悲鳴を上げるAI少女が可愛い。
「年頃少女の行動をシミュレートしてみた」という対応の確かさと、続く「天気の話をする」…それ自体は間違っていないが、「今日は良いお天気ですね」ではなく、延々と続く気象状況のレポートになっているズレ方で表す非・人間性が、イイねえ。

 ボチボチと世界やキャラクターを巡る情報が示され、ある程度 推察することが出来るようになってきた。
要するに『マトリックス』なのかな。
平穏な学園生活は、作り上げられた架空の世界?
 どうも、主人公も実体ではないような…
元は実体があったとしても、一度失われ、今はエージェント・スミス的な存在になっていたり?

 謎を孕んだドラマの行く先には凄く興味が湧くんだけど、もうちょっとロボットバトル方向の見せ方にも工夫してくれると、更に嬉しい。
割と無敵であったり、今回 機体破損の危機に見舞われた際も「機転やガッツで乗り越える」とかではなく、やってきた仲間に助けて(代わって対象を破壊して)もらうだけなので、どうも盛り上がれない。
 ここまでは主人公に、戦いを「所詮ゲームの中の出来事」と捉えさせたかったようなので、本気にならない・必死にさせない状況が続いて正しいのか。
これから、世界の真実に触れることにより、本当の戦いが始まっていく?
 いや、まだしばらく、真理から隔離(保護?)されているっぽい主人公の混乱は続くのか。



『トップをねらえ2!』05.「星を動かすもの」

 遅ればせながら、見る。
 『トップ』より、どちらかといえば『フリクリ』っぽいと思われた内容が、4話で大きく変質し、その流れの上に今回がある。
容易には把握し辛いスケールの、SF的バカ話(誉め言葉)が展開されていくと、ああコレは『トップ』なんだなあ、という実感アリ。

 最初から感情移入出来るようには、実質なっていなかったノノだけれども、今回はまたそれが特に顕著。
「気持ち、分かる」というキャラクターではなく、「スゲー!」と思わされる脅威の対象。
本当に、前作のガンバスターに相対する存在。
 彼女が「人間」に戻ってくるのかどうかは、次巻の展開次第だろうか。

 デタラメなスケールの敵に、無茶な物を使い、ご無体な方法で攻撃を仕掛ける…考えるだけならともかく、実際の絵に出来るとは とても思えないアイディアを力業で見る者に納得させてしまうスタッフの底力に、ただ感嘆。
 空間の把握能力が凄いなあ。
高い・遠い・大きい、といった概念を演出するのが、もう抜群に上手い。

 次で完結?
どうなって終わる話なのだろうか。
 前作ほど途方もない物語にはしてないから、そういう意図があればキレイに閉じることも可能かと思うけど。
最後には、メカとしてのガンバスターが出る?


2006年4月28日 金曜日

『うたわれるもの』02.「荒ぶる森の王」03.「紫琥珀」

 第二話。
 記憶を失った謎の男が、自分を助けてくれた村を襲う怪物と戦う。
…実によくある話で、パターン処理すれば何一つ心に残らない内容になったろう。
 しかし、とにかく設定を踏まえて物語を よく考える事と、登場キャラクター達の心情を丁寧に追っていく事で、十分に見る価値を感じられる出来になっていた。

 怪物・ムティカパと対面する前に、その弱点を教える重要な水たまりをチラリと見せておく、演出の周到さが素晴らしい。
 しっかりと伝わるムティカパの理不尽なまでの強さ。
それを倒すための作戦も、無理が少なく納得し易いもの。
 怪物を恐れ、戦う事など考えてもみない村人と、村の常識に縛られず自由な思考が出来る主人公の対比が上手い。
 命を落とす危険を冒してまで主人公に寄り添うエルルゥは愛しく、恐れを抱きながらも他人任せにせず自分達で怪異と戦おうとする村人も、好印象。

 ムティカパを倒した後、万歳三唱、大喜びで村に帰る…と「ならない」のに驚く。
逆に、人智を越えるものの命を奪ってしまった畏れと不安、後悔さえ感じさせられる。
 そうかあ、こういうものなんだ。
「村に迷惑を掛けるものは殺して当然」という考え方じゃ、ないんだ。
この辺りが、次の話で避難民を受け入れる事に繋がっていくのか。

 最後にムティカパの子供が出て来て、また殺さなければならないのかと思う村人に、「命には罪はない」と説いて救おうとする主人公が嬉しいし、その言葉に安心したような表情を見せる村人も良い。
とてもとても、気持ちの良いエピソードの閉じ方。
 主人公・ハクオロはじめ、エルルゥから村人全てにまで好感を持たせ、失われてはならない「価値」を付ける上手い話。
「変な話」にせず、しかし「よくあるパターン」に収まろうとしない、誠実な作品製作への努力があって初めて作れる内容。
 原作ゲームが良く出来ているんだろうけど、アニメのスタッフにも、感心。

 ラスト、ずっとハクオロに馴染まないでいたアルルゥが「お父さん」と呼びかけるのに、ホロリ。
トシのせいか何か、「ご主人様」とか呼ばれるより、こっちの方がグッと来るなあ。

 第三話は、これから始まるのであろう本筋への導入、という事だろう。
 ハクオロを頑なに認めようとしないオボロが可愛らしく(笑)、病弱少女ユズハの素直さ か弱さも胸に迫る。
 しかし…舞台となっている村は、人里離れた地にあるものかと思い込んでいたが、すぐ近所にオボロ達の要塞があり、警備兵が常駐する より豊かな町(?)も そこいらにあるのね。
 次回、村を訪れた権力者らしき男に理不尽な仕打ちを受け、ハクオロが立ち上がる…というような筋になるのかな。


2006年4月27日 木曜日

『TOKKO 特公』01.「暁」

 そういえば見ていなかった、これも今期の新番組。
 原作未読。
 対妖魔バトル物(なんだよね?)としては、無難なスタート。
キャラクターの配置が分かり易いし、導入部としては悪くない構成。
 ただ…そういった「定番」ストーリーを、切れ味の鈍い演出と、余りにも宜しくない作画で語られると、「退屈」にさえ感じられてしまい、次回も見ようという積極的な気持ちは湧いて来ず。
「下着姿で、起き抜けの兄に迫る妹」なんて美味しいシーンを、こんなにも不味く料理できるのかと変に感心。
モンスターの暴れ方やバトルの描き方も、パターンで流しているに過ぎず…画面への求心力は弱い。

 機会があれば原作を読むことにして、アニメの方は視聴終了。



『姫様ご用心』03.「お客は刺客で絶体絶命」

 相変わらずギャグの ほとんどがハズし気味で、見ていて辛い。
この作品は、コメディーではなくギャグだから、「笑えない」というのは見る意味が ほとんど無いのと同義。
 オープニングのセンスは かなり良いと思うのだが。
 人形少女も、最近割とよく見るパターンながら、もっとベタに徹してみるとか何とか…料理次第ではもっと面白くなると思うんだけど。
 姫子の母親まで「お仕えするメイド」然としている所とか、サラッと流さず突っ込んで欲しいな。

 全体に、ツッコミの人間がおらず ひたすらボケ続けるだけの漫才を見ているようで、何とも。
 素材としては悪くないから、前も書いたけど、スタッフが乗ってくるか、この作品のセンスに こちらが合わせられるようになれば楽しくなるかも知れない、とは思う。
特に演出家の手腕によっては、その話限りで笑いのレベルが急上昇する可能性も高い。
 しかし…今期、視聴環境にはとにかく余裕が無く、若干の心残りを感じつつ、ここまでに。


2006年4月26日 水曜日

『涼宮ハルヒの憂鬱』04.「涼宮ハルヒの退屈」

 んん?
前回見逃した?と思って、録画データを確認してしまった。
いいんだよね、見逃してないよね、放送話数が入れ替わったような無茶な構成を この作品が取っているんだよね。
 前回、ラストで有希が何やらSFな事を語り始めていたので、その流れから、色んな事件が このエピソードの前に起こったんだろうな…という事は分かる。

 第一話でイキナリ自主製作映画を見せられたのと同じく、視聴者を、目が回るまで振り回す構成。
 野心的だとは言えるけど、決して誉められたものではない。
この敷居の高さを理由に、不快さを感じたり、脱落する視聴者が出て来ても不思議無い。
 こんなムチャをしてもなお、見る者を逃がさないだけの作品クオリティーを維持できている、という絶対の自信があって初めて行える暴挙。
恐ろしく高リスクな…しかも、「無理してまでやる必要は無い」賭けだなあ。

 とは思いつつ、すっかり作品に引き付けられている身としては、この振り回され方により、ハルヒに引きずり回されるキョン始め周囲のキャラクターの当惑ぶりも こんなだろうか、と実感(?)できたりするので、まあ それはそれで意味のない事でもないと思えたり。
 今回はハルヒが若干ツンデレ化して来ているような、そうさせるだけのイベントがこれから起こるのか。

 この作品、今風になり、垢抜けて「萌え」を混ぜ込んだ形の『究極超人あ〜る』なのかな。
 あ〜るは受け身であり、ハルヒは果てしなくポジティブで積極的、という違いはあるが。
いや、あ〜るも行動的で迷惑な性格に変わってしまった事があるっけ。



『ひぐらしのなく頃に』03.「鬼隠し編 其ノ参 疑心」

 ゾッとさせられる、怖いアニメ。
 主人公に無条件で好意を抱く「萌え」アニメのヒロイン達が、ある時 急に突き放すような言動を見せたら…
他の少女とも楽しく付き合い自分をナイガシロにする主人公に対しヒロインが「怒り」「殺意」を見せたら…
最初からホラー作品として作られるよりも落差が激しく、その分 怖いのでは、と思うことがあった。
 『SHUFFLE!』楓には、一部、そういう恐怖が演出されていたなあ。

 この作品では、「好意ゆえの(好意が変質した末の)悪意」ではなく、「好意」に見える、自分の周囲に集まってくる少女達の行動の根幹にあるのは実は「悪意」ではないのか、という見せ方。
さっきまで ほえほえしていた少女が、ネコ目になり、まるで違う口調で喋り始めるインパクトは、かなりのもの。
とてもじゃないけど「恐怖」なんて生み出せそうにない可愛らしいキャラクターデザインなので、ギャップも凄い。
 主人公が村の秘密に気が付かないよう、監視している?
しかし…こうやって脅されると、逆に真相を知りたくなってしまいそう。
 「北風と太陽」じゃないけど、少女達、体を使って迫りまくり、三角関係を構成するなどして主人公の心を甘く追いつめ、余計なことを考える余裕を奪ってしまえば良いのに。
…迫る少女達の行動が、自発的、というより「製作者に操作されてのもの」に感じられると、よくある「萌え」作品の骨格になっちゃうか。

 秘密を知られたくないなら転校させるのが最も良い策のハズで、それには、主人公よりか その両親を、村では暮らし辛い方向に追い込んだ方が早いような。
少女達、二重人格的な所が見えるから、「秘密を知るものは生かしておけない」という気持ちだけでなく、裏腹な「全てを知って欲しい」感情が混ざっている?
 それとも…少女達が怪しく見えるのは、全て主人公の考えすぎによる勘違いなのか。

 主人公が無条件で頼れる、助けてくれるはずの両親は、画面上に顔を見せず、「私たちはストーリーに介入しません」と主張する。
 今のところ、彼と少女達との間に死を賭けてでも関わらなければならないぐらい深いモノは見えず、主人公、謎も何もかも投げ出して親類の家にでも逃げ込めば良いのに、などと思う。
まあ、それじゃ話にならないんだけど。

 辺鄙な村からチョイと離れた街にある、ファミレスのウェイトレスが過剰なコスプレをしているのに、戸惑う。
大都市ならともかく、田舎にこんな店があるとは思えないんだけど…
 あんまりホラー・サスペンス風味がキツくなってくると、心弱い視聴者を取り逃がしかねないので、所々に弛緩した描写を入れて息抜きさせているのかな。



『ひまわりっ!』03.「死んでも口は割らぬのです」

 んん?前回、男子校の生徒とは(恋を芽生えさせないよう)接触禁止、と厳しく戒められていたのでは?
それなのに、対抗試合は構わないんだ。

 今更ながら、教師に惹かれる ひまわりの内面がよく分からず。
 前回のエピソード…女子生徒の意外な一面、を見せるなら、その前に「この女生徒はどういう子なのか」徹底して描いておかないと…
それが彼女にとって意外な行動だったのかどうか分からず、当然ギャップも生じず興味も持たせられないので、面白いもつまらないも無く。
 どうも、作り手が、視聴者に必要最低限の説明もしないまま、自分達だけ楽しんでしまっているようにさえ見え、作品から疎外されていると感じてしまう。

 設定もキャラも悪くないと思うんだけど、ヒロインの たどたどしい声の演技に引っ張られるように、作品内容も危なげな水準で推移し、純粋に楽しめる所までは行けない。
 スタッフが乗ってくれば面白くなるかも…とは感じながら、視聴終了で。


2006年4月25日 火曜日

『ウルトラマンメビウス』03.「ひとつきりの命」

 カラータイマーの存在に突っ込んだエピソードは、シリーズでも初?
 これまで、自身の窮状を わざわざ敵に教えてしまう無用なシステムに思えたが、今作のように「ウルトラマンと人類がタッグを組んで戦っている」構成を取るなら、「『味方に』ウルトラマンの危機を知らせ、共に戦ってくれと訴えている」、意味あるシグナルとも考えられるのか。

 バードンのデータや、地球上で絶命したウルトラマンの記録など、これまでのシリーズを踏まえた作り方が楽しい。
 …だったら、「ウルトラマンが地球上で取る人間体は、防衛隊に入っている事が多い」というデータも あって良さそうな…
これは最重要機密?(^ ^)
 この『メビウス』に限っては、GUYS上層部とウルトラ族との間に密約が結ばれており、その辺を詮索せず、過去の記録を公にしない事になっている、としても不思議はない雰囲気だけど。

 未熟で、まだチームワークが完璧に取れているとは言えないGUYSメンバー。
皆「他に やりたかった事」を抱え込んでおり、吹っ切れてはいない所が、エピソード的に膨らませられそう。
 お坊ちゃん・クゼの自宅で働くメイド。
あー、「萌え」作品なら あーなって こーなるだろう、と展開を考えてしまうが、ウルトラマンだからなあ、どこまでフォローしてくれるのか。

 メビウスの危機を救ったバリアー技術を、バードンの毒を飛び散らせないために「閉じこめる」用途で使うなど、頭を使ったシナリオ。
面白い!



 ようやく お仕事が一段落。
体力の低下からか、一気呵成に仕上げる、というような芸当がもう出来なくなってるなあ。


2006年4月20日 木曜日

 一通り新番組の感想は書いた…のかな?
 という所ですが、今月二本目の〆切スケジュールに突入。
月曜ぐらいまで、更新は非常に不定期になるものと思われます。


2006年4月19日 水曜日

『獣王星』01.「運命」

 原作未読。
 都市交通手段とか、人を襲う植物、光がすうっと伸びるレーザー(?)ソードなど、どこか懐かしい、古き良き時代に想像された未来風景を思わせる。
 内容も、おっとりしたSF…かと思えば、平時なら仲良しで居られた双子が、環境の激変により、僅かな感情的齟齬から危うく殺し合いをしそうになる所など、恐ろしく実感的であり、息が詰まるぐらいシビア。
ここが余りにも壮絶なので、よく分からない連中に囲まれる危機なんて、大した事なく感じてしまう。

 まだまだ発端なので どうこう言い辛いが、スタッフに才人が揃っていることから、期待できそうに思う。
視聴継続。



『ガラスの艦隊』03.「運命のごとく…」

 世界情勢の説明は、そりゃ必要だと思うけど、何も知らない(?)クレオに語り聞かせる形でミシェルにトウトウと説明させるのは、余りにもマズいやり方のような。
貴族同士のやり合いや、人民軍の様相など、どこか宇宙の片隅で行われている事に過ぎず、興味が無ければ知らないで通して生きていける程度のモノなの?
 しかも、恐ろしく断片的に、「とにかく貴族同士が衝突した」「人民のために貴族・ミシェルは立った」と語っただけで、よく分からない事だらけ。
 まだ知らなくても良い、って事かも知れないが、それならと期待するキャラの強烈さやストーリーの勢いは、三話まで来ても弱い。

 世界の現状も認識せず、予言者の言葉だけに頼るクレオって、魅力的?
 「『銀英伝』ラインハルトと似たキャラ」と考えてもらう事を前提にしているようで、このアニメ単体ではキャラクターとして認識できるかどうかも怪しい敵軍皇帝も、どうだろ。
 恐らくはこの二人の男が、運命の勝利を賭けてミシェルを奪い合う展開になるんだろうけど…

 どういう制作状況にあるのか、作品として「何か語りたい事がある」ようには見えず、「とにかく今週分の放送時間を埋める事に一杯一杯」だと感じられてしまう。
 波に乗ってきたら面白くなるかも知れない…とは思うが、とにかく現在チェックする本数を減したい状況なので、若干 心残りを感じつつ視聴終了。


2006年4月18日 火曜日

『生物彗星 WoO』01.「あいつが宇宙(そら)から落ちてきた!」02.「わたし殺される!」

 1、2話を連続で鑑賞。
 うーむ、NHK少年SFドラマシリーズ。
WoOとヒロインの出逢いはジュブナイルっぽかったので、ぬるめの内容で進めるのかと思えば…ヒロインの友達も含めて大勢の生徒が怪獣に吸収されて死んだ?うわー。
 施設に収容されたヒロインは、研究のため極秘裏にアリゾナまで送られそうになり、生命の危険さえ感じて脱出を計る。
少女の居場所が すぐに割り出され、エージェントが急襲を掛けてくるシチュエイションが なかなかハード。
見知った街中が今日は命懸けで逃げ回る恐怖の舞台になり、ベランダに佇む母親を間近に見ながら巻き込むことを恐れて声を掛けられないヒロインの苦悩など、生易しくはない展開。
 普通の女の子なら、まず「警察に保護を求める」という、ドラマ上は「愚行」を犯しそうなものだけど、意外に状況判断が確かだなあ。
フィクションでこういうストーリーによく触れている、現代っ子ならでは?

 変形による戦闘力上昇と、デジタル(電気?)関係を操作できる、WoOの能力が面白い。
危機に陥っているヒロインに、その状況を、監視カメラ等の映像を見せることで知らせるなんて、外見に似ず知性が高そう。

 人間型巨大ヒーローによるバトルが無い(次回からはある?)ことで、『ウルトラマン』などとは かなり雰囲気が変わっている。
年少の視聴者へのツカミが弱い、とも言えるけれど。
 今のところ、「WoOとは何者?」とか「怪獣達は何か目的があって出現しているのか」という方面への興味は、薄い。
苦境に陥ったヒロインが、この先どういう運命を辿っていくのか、そればかりが気になる。
 派手さに欠けているものの、地味には面白い内容。
視聴継続で。



『ザ・サード〜蒼い瞳の少女〜』01.「ソード・ダンサー」

 一面 砂の海になった地球で、超絶の剣技を使う少女が、自意識を持つ戦車と共に、何でも屋として生きていく。
 いかにもライトノベルな世界観。
特に力を入れた風でもなく敵を斬り裂くヒロインの剣、保護者然とした戦車のキャラクターも、いかにも。
 砂漠で出逢った青年には傷を治す力があったりして…と思えば、その通り。
この辺りも、多くの視聴者にとって想定内になるのでは。

 特にどこも悪くないが、この作品ならではの面白味は薄い第一話だった。
 もうちょっと見てみようかと思うが、次回以降もこのぐらいの内容だと…



『いぬかみっ!』02.「マッチョがぺろぺろっ!」

 フンドシ一丁のマッチョな男達が、全編 画面を埋め尽くす、無茶な話。
いや、この「萌えオタクにケンカを売っているような」チャレンジャーな内容は可笑しかったし、下らない『ナウシカ』パロディーも笑ってしまったんだけど、しかし、キツい。
 何も可愛い女の子ばかりを見せろとは言わないが、むさ苦しい男の割れた腹筋を男が撫でている様子とか映されると、余りのイヤさ加減に つい画面から目を逸らしてしまう。

 ギャグとしては、挑戦的だし、確かに面白い部分もある。
しかし…DVD売れないよ、コレ(笑)。
 ヨメからは、これ以降もう見ないという脱落宣言が出される騒ぎ。
無理ない、女性には厳しい絵面。
男も、余程の物好きかハードゲイでもなければ、喜べないなー。

 来週は、女性陣の水着が見られる正しいサービス話になりそう。
これで、次回を見てみると、意外とまた男の水着ばっかりが満載だったりなんかしちゃったりなんかしたら笑うけど、視聴脱落者の数も凄い事になりそう。
 ソレもコレも全て含めて、破滅的な、面白いアニメだとは言える。
視聴者と製作側、どちらが先に音を上げるか、ガマン大会の様相?


2006年4月17日 月曜日

『ARIA The NATURAL』03.「その 流星群の夜に・・・」

 ここまで頑張っているのだから「崩れた」というのは気の毒だと思うが、物足りなさの残る作画が散見された お話。
 この作品の、まったりとして、癒される雰囲気の良さは、脚本から演出、作画、声優さんの演技に音楽まで、全てが揃って高いレベルにある事で、ようやく醸し出されるもの。
僅かに作画のクオリティーが落ちただけで、そこが気になってしまい、バランスは崩れてしまう。
 アルの側で、心が揺れる様子を見せる藍華が可愛かったし、眠くて流星を見に行けないアリスも愛しく、ストーリーは相変わらず心地良かったのだが。

 重力に引き付けられて燃え上がる流星と、アルに惹かれる藍華の恋心が重ねられているのだとすると、最後は燃え尽きてしまう?
燃え尽きるのは、彼我の質量に圧倒的な差がある場合なので、この二人なら…鍋で煮られる具材のように、寄り添い合い、イイ味を出していくのかな。



『砂沙美☆魔法少女クラブ』01.「砂沙美と美紗緒」

 『天地無用』って、本当に息の長いシリーズだなあ。
スピンオフで生まれた、砂沙美を主人公とする作品が、こうしてまだ作られるのだから。
 …と思えば、これはここまでに作られたどの系統の作品とも、直接は関係のない世界?

 どうも、狙いが分からない。
 本家『天地無用』シリーズや、砂沙美個人のファンに向けた作りにしては、声優が総入れ替えになっており、作画の雰囲気も違い、懐かしいキャラの登場数が少なそうなことで、期待に応えられるのかどうか、疑問。
 オリジナル企画と見て欲しいにしては、最初から何気なく魔法を使っている砂沙美や、不可思議な生物・魎皇鬼を連れている鷲羽先生に誰も疑問を抱かないことで、新入視聴者に厳しい、旧シリーズに頼った構成を取っている。
 膨大な数のアニメが放送されている現状、狙いを絞り込まず漠然と「旧ファンにも新視聴者にも見て欲しい」という制作姿勢で居ると、結局どちらも捕まえられなくなる恐れがあると思うんだけど。

 内容としては、第一話らしく作画が頑張っており、砂沙美の底抜けに お人好しで陽気なキャラクターや、正反対の性質を持つ美紗緒の孤独など、特に不足無く描けている。
アリモノに頼らず、この作品のために新しくキャラ設定を起こしても見られる…いや、その方が変な先入観無く、気楽に見てもらえたのでは?
 悪くはないんだけど、個人的に大きく興味を引かれる部分が無いため、視聴継続の意欲は低め。
取りあえず三話目ぐらいまで見てからの判断で。



『AIR』01.「かぜ〜breeze〜」

 原作ゲーム未プレイ。映画版は見た。
 BSで とうに放送が終わっているシリーズだけど、これまで見た事が無く、再放送が始まったので鑑賞。
 大筋は映画で見た通り…かと思えば、随分違うなあ。
上映時間にストーリーを収めるため、大幅に切り落とされたのだろう要素が、ここには詰まっている。

 一番大きいのは、出てくる女の子の数が増えた(ゲームと同じになった)事。
佳乃や美凪を、ここで初めて見る。
 フラリと海辺の街にやってきた主人公が、無警戒に遊んで欲しがる少女と出会い、美人の母親が居る その家に厄介になりながら、まだ次々と美少女達に関わりを持っていく…
随分と願望充足的で、良く出来た話。
 見ている寂しい野郎共に、「自分も、もしかどこかの海辺の街を訪れたなら、そこに『運命の出逢い』が待っているのかも知れない」と一瞬でも感じさせられたなら、この作品は成功。

 しかし…女の子達は皆可愛いけど、個性が強いと言うよりエキセントリックだなあ。
 比較的マトモなのが、いかにもコドモっぽい行動を取る(そうそう、このぐらい乱暴なことする)みちる。
彼女に対しムキになって本気の攻撃を繰り出す主人公は どうかと思うけど、大人っぽく全て容認するより、こうやって大マジで相手をしてくれる人の事を、子供は好きだったりするんだよね。

 観鈴が主人公を紹介する際、「ウチに泊めて上げてる」ではなく、「ウチに泊まってくれてる」と言い表す、セリフへの神経の使い方に、感心。
こういう細部にこそ、キャラクターの本質が宿る。
 第一話は、テレビアニメーションとして これ以上は望めないぐらい良い出来。
 本放送時に非常に評価が高かった事から、安心して見続けて良いのだろう。


2006年4月16日 日曜日

『姫様ご用心』01.「オカン王冠こりゃあかん」

 冒頭の怪盗シーンが、『カリオストロの城』的なのは よくあるとして、『ルパン三世(対クローン)』の鉄棒を組み合わせてピラミッドに侵入していくシーンまで混ぜてパロディーにしてある凝り方に、ちょっと感心。
 が…そこからはテンション下がりっぱなし。
お嬢様を笑う「パンツ丸見え」や、笑った女子生徒が縫いぐるみに変わっているシーンなど、あとちょっとでギャグとして成立しそうに思うんだけど…
人形だけで会話する女の子も、それをしばらく続ければ可笑しさに繋がったかも知れないのに、すぐ操作する女の子を見せてしまうので、何だか拍子抜け。

 ぶつかった切っ掛けで荷物が入れ替わってしまい、ドタバタ…というのは、ベタながら特に悪くないメインストーリーの作り方。
後は、やっぱり笑いの押し出し方に掛かってくる。
 『ギャラクシーエンジェル』では、キャラクターを破壊していくことで面白さを演出していたが、この作品だと、基本(資産)になる「キャラの個性」を見せる前に、ぬるい、中途半端なギャグを ひたすら詰め込んであり、単に笑えないのを通り越し、「寒い」とさえ感じさせてしまっている。
 バナナに拘る姫子や、パンツが脱げた状態で騒ぎまくるレスリーなど、もっと後で、キャラクターに好感が持てる状態になってから見れば、笑えたかも知れないのだが。

 「もう一押し」が足りない、惜しいアニメ。
ただ、「ギャグっぽい雰囲気」を作る事はそんなに難しくないけれど、それを「大笑いギャグ」に替えるための「あと一歩」を踏み込む力は、実は誰にでもある訳じゃない、希有な能力。
 このスタッフは、そこへ踏み込んで行く事が出来るのかどうか。

 ギャグ作品は、笑えたか笑えなかったかが全て。
感性が合った人は、大笑いできたのだろう。
自分には、これは全然合わなかった。
 三話ぐらいまで見てみるかな。
そこまでで、作品の笑いの質が変わるか、こちらがこの作品のリズムに慣れれば、視聴継続で。



『仮面ライダーカブト』12.

 ああ、大介にとってドレイクに変身できる(させられる)のは、迷惑なのか。
 そうなると…ドレイクゼクターは勝手に相手を選んで飛んできているとしても、それを留まらせるためのドレイクグリップは、どうやって入手したんだろう?
ZECTの存在も知らなかったような様子からすると、組織を抜けてきた…という訳ではないのだろうし。
ゼクターが持って、飛んできたのだろうか。
 本気で迷惑なのなら、グリップを捨てれば(加賀美に渡すとかでも)良いような気が。
入手経路が明らかにされれば、簡単に捨ててしまえない理由も分かるのかな。

 女性を連れてくる数勝負。
実に馬鹿馬鹿しくて楽しい。
 天道が有名人だった(しかも、好かれてる)のは、驚き。
ヤンキーとか格闘系の女性の間でだけ、名が知られている?
「どういう意味で有名なのか」について、本当のところが語られなかったので、よく分からないな。
 天道の言う通り、この作品世界は彼を中心(太陽)にして回転していると思えるから、彼が「そうあって欲しい」と望んだ通りに事態は動いて当然?

 カードをもらうために、料理を頼み続けるのは どうか、と思った。
食事、しかも ひよりの作るものについては、かなり大切に考えている様子なのに、こういう無神経なことをするかなあ?
 一応、店から出て行く時、皿は全て空いていたから全部食べたんだろうけど…そんな大食いのキャラだとも思えず。
 「料理自体を目的としていないのに、注文を出し続ける」行為など、彼により否定されるべきでは?

 加賀美に、「友達じゃない」と言い放つ天道。
ただの「友」ではなく、志を同じくする「戦友」だと言いたかったのか。
 厳しいようでいて、加賀美を特別な存在と捉え、見ようによっては甘やかしているようにさえ感じられる天道が、可笑しい。



『ウルトラマンメビウス』02.「俺達の翼」

 前回登場した人々を、GUYSに入隊させるべく、色々やってみる話。
 入隊希望者、少ないのかあ。
怪獣がずっと出てこず、戦いもないのに、怪獣防衛を目的とした組織に入るなんて、『王立宇宙軍』に所属するぐらい酔狂なことなのかな。
死の危険無しで給料がもらえるのなら、嬉しい限りだと思うんだけど。

 それにしても…女性ライダー、サッカー選手、医者、保育士と、おおよそ防衛隊に入れようとするには ふさわしくない顔ぶれ。
常識的には、自衛隊か警察、レスキュー部隊なんかからピックアップして入隊を募るものだろう。
 ウルトラマンが、これまでのように超然とした存在であれば、「大いなる宇宙意志に選ばれた人々」という事で、いずれ活躍するのであろうエピソードに「選ばれた時から、この力の発現を期待されていた」と意味を付けることも可能だったろうが。
まだまだ未熟みたいだからなあ。
 ウルトラマンの人選は、いつも こんなモノ…と言えるか(^ ^)。

 若い割には人間が出来ているっぽい隊長を除き、ミライや、隊の生き残り・リュウと新入隊員達、すぐオタオタする補佐官まで含み、未熟な者ばかり。
彼らが成長していく様子が、作品を貫くテーマになっていくはず。
 色々と話が作れそうだなあ…「もっと対怪獣戦用の武力を強化すべきだ、強力なミサイルの一撃で倒しても良い、市街地に、ある程度の犠牲が出ることはやむを得ない」とか「怪獣だからって無条件に倒すのは間違っている、もっとコミュニケーションを取るべき」とか、若い、青い考え方に、劇中で一つずつ答えを示していけば。

 GUYSのメカに、異星人の技術(メテオール)が使われている、というのは面白い。
オーバーテクノロジーには さんざん触れているはずなのだから、そういう事もあって良いだろう。
 ウルトラマンばかりではなく、彼らにまで「時間制限」を設けているのも、結構。
 しかし、超高速・慣性無視飛行は、凄い技術なんだろうけど、イマイチ決め手には欠けるような。
スペシウム弾頭弾(原材料は火星から採取された…という「あー、なるほど」が楽しい)を強化した方が、一撃必殺になったかも。
防衛隊が強くなりすぎると、メビウスの存在理由が薄くなってしまうから、ダメなのは承知で。
 戦闘機に描いてある炎をOPで見て、ちょっと安っぽいなあと思っていたが、なるほど、こういう理由付けがあるなら納得。
自分達の手で炎を描かせる事で、「俺達の翼」として、例えばいずれチームワークが壊れかけた時には大きな意味を持たせられるのであろう事が、予想できる。

 怪獣・グドンを出したなら、やっぱりツインテールも出して欲しくなるのが人情。
ちょっと物足りない。
 まあ、今回なんて特に怪獣は「何でもいい」扱いに なるのが理解できるので、贅沢な言い分か。



『BLACKLAGOON -ブラックラグーン-』01.「The Black Lagoon」

 原作未読。
 「萌え」より「燃え」を目指すのだろう作品。
 ごく普通の人間である男が、異国の地で戦闘プロフェッショナル達と遭遇し、危険に巻き込まれていく。

 いかにも冒険小説な内容で、悪くない。
ガン・アクションも派手で見応えアリ。
 ただ、「萌え」が営業上 強い力を持つ現状、この方向で上手く行かせるには、この第一話並みの演出と作画のレベルが継続的に要求される。
作画がヘナヘナになってきたら、「もう見なくてイイや」と思われそうな、活劇主体の題材なので。
 最後まで頑張れるのかどうか、期待と不安で視聴継続。


2006年4月15日 土曜日

『涼宮ハルヒの憂鬱』02.「涼宮ハルヒの憂鬱 I」

 前回、意味も分からないまま見せられた自主制作映画のお陰で、今回、ハルヒや、モノローグで世界を説明する主人公(?)の男の子のキャラクター、その他 次第に部活に加わっていく女の子達が把握しやすい。

 トンデモない自主映画の監督として、今回見せられたハルヒの性格に、納得。
「無茶苦茶かつデタラメ、自分勝手」という意味で。
 ハルヒのアホな行動が、実に生き生きと、気持ち良く、肯定的に描かれており、もう30分間 頬が緩みっぱなし。
迷惑極まりないが可愛い女の子に、鼻面を掴まれ、引きずり回される喜び(笑)。
それを、主人公と共に享受できる。
 演出やら作画が非常に高いレベルにあることで、要らない事を気にせず、内容だけを素直に楽しめるなあ。

 ハルヒは、主人公の何が気に入ったんだろう?宇宙人でも超能力者でもないのに。
まあ、こんなバイタリティーに溢れすぎている彼女に何とか付いていける、というだけで、そこいらの異能力者を越える力を持っている、と言えるのかも知れないが。
 「ツッコミ能力」、これが主人公の持つパワーか。
それは、これからシリーズを見ていこうとする我々視聴者にも、求められる能力だろう。

 OPとEDが、気持ちの良い出来上がり。
特にEDは、ダンスのリズムが楽しくて、つい何度も見返してしまう。



『SIMOUN』02.「青い泉」

 独特の世界観を確立するための設定は、膨大に作られているのだろう。
それを理解した上で、作劇が成されている事も感じさせる。
 が…それに興味が持てるかどうか、面白いと思うかどうかは、別の話。

 今回は、「17歳になったら、自分で男女いずれかの性別を選ぶ」事になっている特殊な設定と、それを中心にする社会システムについて、ほぼ一話丸ごと説明の話だった。
 情熱を持って世界を作り上げている様子には感心…だけども、まだキャラの魅力もドラマの行く末への興味も持てないうちに、こればかり説明されては面白いも面白くないも無いなあ、というのが正直な感想。
 早く「これが本作ならではの魅力だ」という部分をアピールしてくれないと、視聴意欲が薄れてしまいそう…
キレイな作画と百合描写だけでは、そうそう引っ張れない。



『吉永さん家のガーゴイル』02.「激突!天使と悪魔」

 前回書いた、「なんで双葉が掠われたのにガーゴイルは気が付かないの?」という疑問に、劇中で答えられた。
 「作りが荒い」とか文句を書いたけれども、今回は、見事にエンターテイメントの文法に則った気持ちの良い話で、やたら嬉しくされてしまい、暴言を反省。
いや、面白い。
 乱暴で多分にギャグ含みながら、キャラの心情もキレイに捉えられているし。

 ガーゴイルが同じ石像相手に繰り広げる超能力バトルより、巨大お屋敷内で繰り広げられたカート・チェイスの方が秀逸。
メイドをおだてて廊下の角を曲がらせてもらったり、お坊ちゃんには双葉に対して何の悪意もなく、それどころか何とかしてお土産を持たせて帰そうとする極度のお人好しさ加減を発揮するなど、小ネタが詰まったアクション構成が素晴らしい。

 普段はナヨナヨしているのに、妹のためには我を忘れて拳を振るう兄。
 本当は強いが、双葉を思い、パワーをセーブして戦うガーゴイル。
 自分を迎えに来たため折られたガーゴイルの耳を目にし、力の解放を許可する双葉。
 ダメな主人の回りで、何気なく有能さを発揮しているメイド達もまとめて、文句なく楽しい娯楽描写の連続。

 シリーズの最後まで、視聴したい。



 原稿アップ…しかし…
己の愚かさ未熟さを反省するばかり。


2006年4月13日 木曜日

『RAY THE ANIMATION』01.

 冒頭、ブラックジャックが出てくるから、本気でナニゴトかと。
声もそのまんまだし。
 一応、顔を隠し気味にしていることで、パロディーとかオマージュなのかと思えば、公式ページを見ると権利関係を きっちりクリアしている作品なのね。
 吉富昭仁先生による原作あり、というのも不勉強で知らなかった。
秋田書店は一時期(今も?)、『ブラックジャック』に関しては、描けるだけの作家に正伝外伝スピンオフ…バトルロイヤルの様相で何でもやらせていたからなあ。

 ブラックジャックの手術を経て、何でも透視する目を持ったヒロインは、医師になり、驚異的な腕を見せる。
 こりゃあ便利な力。
この目はどこから来たのか?というような事がシリーズを通しての謎になるのかな?
 ただ…少々気難しいらしいヒロインのキャラクターはブラックジャック譲りで、その手腕に周りの人間達が驚いたりする見せ方も、大体そのまんま。

 この作品ならではのオリジナリティーとしては、病院に勤める美少女看護婦達が全員、格闘術の達人、という事。
押しかけた多数の暴力団を、いいようにあしらってしまう。
 病院長がまた、輪を掛けたパワーの持ち主で…
体ごとグルグル回転しながら、触れる男達を薙ぎ倒していく様子には、『Gガンダム』東方不敗を思い出し、笑ってしまう。
 ただ…この愉快バトルが余りにも強烈すぎて、「不思議な目で手術を行うヒロイン」という設定なんて比較的「普通・正常」に思えてしまい、印象を薄れさせているような。

 視聴継続。
 ヒロインよりか、こんな無茶苦茶 強い人間ばっかりで構成された病院が どのような経緯で誕生したのか、その謎(?)の方が知りたくなった。


2006年4月12日 水曜日

 という訳で、ゴールデンウィーク進行なんていう恐ろしいモノが関わっている今月は、もう〆切前スケジュールに入ります。
 少なくとも金曜…土曜かな?まで、更新が難しくなるかと。
悪しからず、ご了承下さい。



『仮面ライダーカブト』11.

 化粧師・大介。
女性を連れて逃げようとする犯人を取り押さえるのは良いけど、そのために「命」であろうメイク道具を投げつけてしまうのは、どんなもんか。
演奏のプロが、愛用のバイオリンで犯人を殴りつける、みたいな行為では?
 特性を活かしてキャラを立てるには、この辺に目をつぶるしかない事情は、分かるんだけど。

 合コンを行った屋形船で、少女が ほとんど溶かされた死体を目撃し、衣服の手掛かりから変身したワームを割り出そうとして…
こういうシチュエイションなのだから、多少は推理・サスペンス的な展開が見られるかと思えば、すぐさま正体を現してしまう犯人。
 タメが無いなあ、と思っていると、「推理などする必要はなく、実は女性全員がワームでした」という謎解き(?)で、余りといえば余りのことに、アガサ・クリスティかぁ!とか言いながら笑ってしまう。
馬鹿馬鹿しくて、実に結構。

 その女性ワーム達は、どういうつもりで、正体を現したワームから逃げまどっていたんだろう?
まあ、ワームの行動形態は謎、という事になっているから良いのかな。
 大介も、とっとと変身すれば済んだはずなのに、少女まで危険に晒して生身で居たのは何故?
トンボ・ゼクターは気まぐれで、呼んでも来ず、「たまたま飛んできてくれた時に変身できる」という状態なので、大介の意志だけでは どうにもならないとか?



『西の善き魔女』01.「エディリーンの首飾り」

 原作未読。
 とにかく もの凄い勢いで進んでいくストーリー。
あらすじ だけを30分、聞かされたみたいで、面白いも何も感じる余裕が無く。
 もうちょっと…舞踏会で首飾り窃盗疑惑を賭けられる所までを この第一話で描くとか、舞踏会を丸ごと削り、幸せな日常から、ヒロインが世話になった夫婦者に悲劇が訪れるまでを見せてみるとか、伝えたいことを絞り込んだ方が良かったろう。

 ヒロインの大事なものとして、「首飾り」「母親が残した本」両方を続けざまに失っており、どちらの印象も弱くなっている、そこもマズい。
母親の本なんて、何か大事なモノらしいという事はセリフでしか説明されず、さしたる葛藤もなく火の中に放り込まれても「ああ、そう」程度の感想しか持てない。
 視聴者の理解も生理的感覚も無視して、闇雲にストーリーを消化する事には意味が無いと思うんだけど。

 この後も見続けたいという気持ちは、大きく減退。
 ただ、「魔女」という題名の割には第一話で そういう概念すら出てこず、どのように物語に関わっていくのかには、興味がある。
 もうちょっとだけ見てみるかなあ。


2006年4月11日 火曜日

『夢使い』01.「夢始め、雨の教室」

 原作未読。
植芝理一先生の作品は、『ディスコミュニケーション』を少し読んだだけという不勉強ぶり。
 大量に新番組が始まることで、この作品では やまざきかずおという、昔、よく名前を見た監督を起用。
映画『うる星3』とか『ファイブスター』なんかは割と好きだったんだけど…

 今作は、普通に出来ているアニメだとは思う。
不思議な雰囲気を出そうとしたり、緩急を付けようとしていたり、努力の跡も見える。
 が…何というか、鈍い。
全体に…うーん、「古い」というべきか、視聴していて(普通レベルの作画も含め)強烈に引きつけられる所が無く、集中力が途切れてしまう。

 独自性を出そうと各アニメが必死のアピールを見せている中、どうもこう、何も響いてこなくて…
 特に悪い所がある訳ではない。
アニメの放送本数が少なければ、問題なく見続けられた出来だろう。
 保留。
見られれば次回も見るが…何しろこの作品の放送日は、凄い勢いでアニメが連続放送されていることもあり、視聴本数を減らしたく思っているからなあ…


2006年4月10日 月曜日

『うたわれるもの』01.「招かれざるもの」

 原作ゲーム未プレイ。
 これも、下の『ひぐらしの…』も そうだけど、タイトルさえ聞いた事がなかった。
商売柄、もうちょっとこの手のゲーム情報に通じておいた方が良いんじゃなかろうか、と、他人事のようだけど思う。

 記憶を失った主人公を助けてくれたのは、獣のような耳とシッポの生えた人間達が住む、不思議な村だった。
 何も知らない(自分の事さえ記憶喪失)男の視点を通す事で、世界に すいっと無理なく入っていける。
 また、この主人公が最初から「仮面」を付けており、お陰で感情移入がとても容易。
ゲームなどでは、主人公を「プレイヤー自身」と捉えてもらうため、グラフィックがなかったりシルエットのみで表されたり よくするが、仮面によって素顔が見えない事で、同様の効果を上げている。
これは、アイディア(ゲームからそうなんだろうけど)。
 小山力也の耳に心地良い声が、主人公の穏やかで知的なイメージを補強する。
こんなに好感を持ちやすい主役キャラも、珍しいなあ。

 外見が僅かに人間と異なる人々の村、というだけで、暮らしぶりや村人の行動様式には突飛な所が無く、よく分かる。
分かりすぎて、物語として「早く先を見たい!」と思わせる力は若干弱くなっている…とも思うけど。
 ヒロインは可愛らしく描けており、村人達も皆 気持ち良い連中で、彼女達が住む村に迫りつつあるらしい危機を気に掛からせる事には、成功しているだろう。
 視聴継続。
どういう展開を迎える作品なのかな。



『ひぐらしのなく頃に』01.「鬼隠し編 其ノ壱 ハジマリ」

 原作ゲーム未プレイ。
 冒頭の、主人公による一家全員惨殺シーン(?)に驚く。
なにがどうなってこうなったのか、まだ事情は分からないけど、現実に不穏な事件が続く昨今、こりゃあ地上波キー局では絶対に放送できないなあ。

 本編は、冒頭から一転して「萌え」風味を多量に含んだコメディー。
ヒロインの ぼんやりぶりが、何とも可愛らしい。
 子供の数が少なくて全学年で一学級しか維持できない田舎の雰囲気が良いし、反則技何でもアリのクラブ活動も、愉快。
 しかしまあ、このぐらいの「萌え」アニメなら他にも沢山ある訳で、カラーを独自のモノにしていくのは、ほのぼのの中に時折覗く不穏な雰囲気。
村に隠された過去の因縁、子供ながら それを隠したがる少女達、まだ何も知らない主人公…
不安な予感を孕みつつ進行するストーリーに、ドキドキ。

 ヒロイン・レナの口癖「かな…カナ?」というのが、表題の「ひぐらし」と引っ掛かっている訳ね。
当然ながら、彼女は物語の中で大きな役割を担っていく事になるのだろう。
 どう展開する話なのか、期待と不安、半々で見守りたい。
ただ単に、「普通の『萌え』じゃ ありふれているから、猟奇なシーンを混ぜてみた」というような内容になると、視聴意欲は大幅に削がれてしまうが、さて…


2006年4月9日 日曜日

『ひまわりっ!』01.「ご主人様をお守りします!」

 原作未読。
 忍者コメディー(?)もの。
 メインになる男性教師と忍者見習い・ひまわりが、二人とも忍者の里の外部からやってきた「部外者」である、というのが…物語に入り込ませるのを疎外している。
どちらかは里に馴染んだ人間で、何もかもが初見である相手を迎え、案内する、という構造にした方が分かり易かったような。
 二人共に知識が薄いと、キャラクターの印象が被ってしまうし。

 女性キャラクターは、外見だけでも かなり個性的で、馴染んできたら面白くなりそう。
 しかし…この くノ一達が、男性教師を線路に縛り付けて列車に轢かせようとしたり、手裏剣投げのテストで教師の邪魔をして手元を狂わせ、ヘタすれば ひまわりを殺すような事態を起こしたり、非道な行いを平気で している。
演出がハッキリしないせいもあって、これらはブラックな笑いなのか、人工的に生み出されたという他くノ一達の異常性を感じさせるのが狙いのシリアスなシーンなのか、受け取り方に迷ってしまう。
 教師は、手裏剣投げに結局 失敗したのに、何となく受け入れられる雰囲気になっている、この辺も不思議。
彼の失敗を、ひまわりの忍術がフォローしたことで、「二人で一人」ぐらいには認めても良い、と考えられるようになった?

 ヒロインの声の演技は少々怪しいけど、作画は なかなか良く、アチコチ、伸びて行きそうな設定も見られることで、視聴を続けて構わない内容だったと思う。



 あああああ、放送開始される番組が多すぎて、感想が もう全然 追いつかない。
 おまけに、ボチボチ仕事を始めなければならないスケジュール。
 どこまで感想が書けるのか…



『ウルトラマンメビウス』01.「運命の出逢い」

 冒頭から、ウルトラの父が地球にメビウスを送る壮行式(?)を行い、歴代ウルトラヒーローが姿を見せ、地球を「数々の先輩ウルトラマン達が大事なことを学んできた星」と位置づけるなど、ウルトラシリーズとの連続性を強調するのみならず、意味を深めてみせるのに感心。
地球人にとってウルトラヒーローが重要な存在なのは言うまでもないが、逆に彼らにとっても地球が特別な星なのだ、という認識のひっくり返し方には驚かされ、胸を打たれる。
 …他の星では大事なこと学べないの?などとイジワルな考え方をしてはイケナイんだろうな。

 少女が飛ばした風船を捕まえ、地上に降り立つ主人公。
「空からやってきた」「気のイイ奴だ」といった情報をワンカットで見せる、なかなかの上手さ。
 防衛隊員が「ウルトラ五つの誓い」を口にしているシーンに、オールドウルトラファンは感涙。
次郎くんは、この世界で どうしているのかなあ。

 ウサギの命を守るために必死の人間達。
…この非常時にウサギの命も大事だの何だの言って他者にまで(皆 勝手に参加してきたとはいえ)迷惑を掛けるのは、命の価値を知っているとかいうより前に、「平和ボケ」を感じてしまうんだけど、それは自分が汚れたオッサンだからか。
 後に防衛隊へと入る仲間達のキャラクターを、短時間にポンポンと見せていく構成は、なかなか。
 たった一匹の怪獣の前に、脆くも全滅してしまう防衛隊、というシビアさも良い。

 街にまで被害を及ぼしてしまうメビウスの戦い方を、「未熟」と指摘させるのが異色。
そう言い表したGUYS隊員も、実戦では役に立てない未熟ぶりを晒しており、新規に集められる隊員達と共に、これから成長していく物語になる事を感じさせる。
 しかし、街中で戦って被害を出すな、って言い草の方が無理なような。
『ガメラ3』ぐらい無頓着に人間を巻き込まれると、さすがに困るけど。

 画面効果も頑張っており、面白く見られた第一話。
 期待を込めて、最後まで見続けたい。



『少女チャングムの夢』01.「チャングムの夢」

 実写ドラマが放送されているけど、未見。
 韓国製アニメ。
どうも彼の国のアニメーションというと これまで、日本人の感性からすると古かったり垢抜けなかったりしたので、どんなものかと思ったが…
 ああ、これなら普通に見られる。
チャングムなんか、かなり可愛らしく描けており、「萌え」の対象にさえなりそう。
 演出や動きにも ぎこちない所が余り無く、国産でこれ以下のアニメなんかいくらでもある…これより良い画面を作れているアニメを数えた方が早いぐらいかも。

 ストーリーは、まあNHKが好みそうな、朝の連続ドラマを思わせる内容。
不幸を背負いながらも めげない少女が、持って生まれた明るさ元気さで人生を切り開いていく…なんて、連ドラの基本パターンでは。
 特に新しい事は何もやっていないが、だからこそお爺ちゃんお婆ちゃんから子供まで、家族で見られるアニメになっている、とも言える。
 トウモロコシ麺のアイディアは優れているのかどうか、本当に美味しいのか、身近でないから どうもよく分からないな。
劇中で言われるとおりのモノなのだろうと受け取るしか。

 国王が護衛を一人しか連れずに その辺をウロウロしている、ってのも変。
その護衛が余程 有能だからか、と思えば、何人組か分からないのに目の前の暗殺者を夢中で追い掛け、主を一人きりにしてしまうアホな判断ミスを犯すし。
犯人捕獲(抹殺)より、主の命を守るのが優先に決まってるだろうに。
 チャングムとの縁を作るため、必要なイベントを起こしたものだとは分かるけど…
まあ このぐらいの強引さは一般ドラマで珍しいものでなく、普通の視聴者には気にならない事なんだろう。

 視聴継続。
が、感想を書くかどうかは分からないな。



『彩雲国物語』01.「うまい話には裏がある」

 大昔の中国に似た架空の場所・時代を舞台にし、ヒロインが宮廷内に入って…
という筋は、ちょっと前まで同じNHKで放送されていた『十二国記』を思わせる。
あれぐらいシビアなファンタジー物(?)は、そうそう作れる訳あるまいに、また無理なことしたなあ、と見てみれば…
 さすがにライトノベルが原作だけの事はあって、『十二国記』とはまるで印象を違え、バイタリティー溢れるヒロインの視点を中心に、美形のお兄ちゃんをずらりと揃えた、悲壮さの無い、キャラクター原案・由羅 カイリの お仕事『アンジェリーク』を連想するような内容。

 苦境にめげないヒロイン・紅 秀麗が、その素直な、飾らない心で、宮廷内の男達の心を開いていく…といった内容になるのかな?
 ヒロインの個性が まだ、お金に弱い(家が余りにも貧乏なので)ことと、お菓子を作るのが上手、という事ぐらいしかないので、ちょっと弱い。
でもまあ、美形お兄ちゃん達のキャラさえ立ってくれば、ヒロインは無色透明な方が かえって見易いのかも知れない。

 視聴継続。
 アニメーションその物の出来としては「普通」という所なので、あとはキャラとストーリーが どれだけ面白くなっていくか、作品の評価は それにかかっている。


2006年4月8日 土曜日

『ウィッチブレイド -WITCHBLADE-』01.「始」

 タイトルから、魔法使いが主人公のファンタジー物かと思っていたが、近未来、大震災の被害からまだ復興しきらない東京が舞台。
 ちょっとした仕草や言動から母娘のキャラクターを読み取らせる演出が、なかなかに冴えており、もう このまま母娘の人生模様を描く、地に足の着いたドラマでも良いなあ、とか感じてしまう。
 児童福祉係オバサンの語る「正義」も分からないではないし、どんな困難な状況であっても母娘一緒に居たい、一緒に居てこそ幸せ、という気持ちもよく分かる。
安易な解決法が見つからない辛い状況から、お母ちゃん決死のカーチェイスで一気に雰囲気を変えてしまうのが、上手い。

 先が読めない内容だったけれども、本筋は変身ヒロイン・対モンスターアクション物?
 バトルも迫力があったが、それ以上に、うのまことキャラクターデザインによる、艶っぽさを感じさせる変身お母ちゃんの作画が素晴らしい。
胸のラインの質感がもう…今回の作画レベルを維持できるなら、コレだけで個人的に見続ける理由になってしまうぐらい。

 オリジナルの企画(一応アメコミが大元にはあるみたいだが)なので、物語をどう展開していくのか、ワクワクしてしまう。
シリーズ構成が小林靖子だから、安心できる…よね?
特撮はともかく、アニメのお仕事では当たりハズレが激しいって部分もあるけれど。
 期待を込めて、視聴継続。



『SAMURAI 7』01.「斬る!」

 BSで見損ねていたので、地上波放送は嬉しい。
 和風の城や鎧甲、刀を用いてのアクションなど、時代劇の雰囲気を残しつつ未来の世界を構築できているのは、スタッフの優れたイメージ能力のタマモノ。
 ストーリーは、『七人の侍』そのままなので、とても分かり易い(リメイクなので、当然)。
…リメイクと言うより、パロディーっぽく思えたり、そりゃないんじゃないか…?と感じられる所もあるが、基本的には「別物」として割り切って見るべきなんだろうな。

 さすがに、これだけテクノロジーが発達した世界でありながら、農民達の暮らしや行動様式が まるっきりオリジナル映画と変わらないレベル、というのには違和感。
まあ、ロボットが畑を耕したり、荷物を反重力装置で軽々と運んでいたりすると、悲壮感が薄れ、「この人達は助けなければならない存在」と認識できなくなってしまいそうだけど。
 演出にはハッタリが効いており、作画も非常に高品質。
3Dの造形と手描きアニメも、さほど違和感なく馴染んでいる。

 放送時の評価は かなり高かったようなので、安心して見られそう。
『イデオン』『ボトムズ』など、往年の名作に関わった監督・滝沢敏文の手腕に期待。



『きらりん☆レボリューション』01.「きらりん!アイドル革命 !!」

 原作未読。
 ヒロイン声優がヘボなのは、この手のアニメのお約束になってるのかな。
この声優嬢は、聞くに耐えない、という程 酷い訳でなく、一応 演技をしようとしているが。

 色気より食い気、朝からホットケーキ数十枚を片付けるヒロイン。
外出時も頭に乗せて、いつも一緒に居るネコと普通に会話が出来る。
…年少視聴者向けの明朗なキャラクター設定。
 運命の出逢いを果たす切っ掛けが、「街中で、高い木の枝に引っ掛かったカメを助ける」という無茶なものなのも、まあ子供向けだし…
と思えば、「浦島太郎」になぞらえ、きらびやかな芸能界を「竜宮城」に例えようという、意味を持たせた構成なのかな。

 小綺麗で対照的な性格を持つ(のだろう)アイドルお兄ちゃんと、ヒロインで三角関係を形成しつつ、今回ラストで宣言してしまったようにアイドルを目指して、ドタバタしながら駆け上がるストーリーになって行くのか。
 コミカルな演出のため負担にならずに見られるし、決して つまらない訳ではないのだが、内容に大体予想が付いてしまう事もあり、視聴継続の意欲は低め。
時間があれば、また見ようかな、程度に留める。



『しにがみのバラッド。』最終話.「こころのたび。」

 ええと、WOWOWの この枠は、一シリーズ六話、半クールが基本になるのかな?
12、3話かけても物足りない作品になることが多いと思うんだけど、その更に半分では…
 いや、『トップをねらえ!』なんか、あれだけの情報量がありながら全六話だし、「映画二本分の時間」と考えれば、様々なことが描けるはず、と思わないでもないけど。
 前シリーズ『半分の月がのぼる空』は、やはり食い足りない気持ちは大きく残しながらも、病人をヒロインに据えていたことで、シンドイ所にまで話が届かないうちに走り終えた(逃げ切った?)という意味が無いでもなかった。

 今作『しにがみの…』では、各話を全く独立させ、順番を入れ替えたり、一話二話抜けても支障がないストーリーで構成することにより、「終わっていない」ような気分にさせることは無かったと思う。
しかし…余りにも まとまりを欠いたシリーズでありすぎ、死神・モモを中心にした作品としては「始まってもいない」とも思えてしまう。

 最終話は、死んでしまった女の子が、この世に残した様々な心残りに別れを告げていく、その過程にモモがずっと付き添っており、初めて死神らしい仕事を……
してない(笑)。
 他の話でモモが普通に死神らしく働いていれば、異色の話として こういう内容のものがあっても構わないが、普段が普段なので「またか」であり「結局何をしに来たんだ?」という感想だけが残ってしまう。
彼女は、不本意な死を迎えた魂を扱いたくない、みんな幸せな死であって欲しい、と願い行動してるんだろうけど。
 ストーリー自体は、冒頭が『シックス・センス』っぽいという部分を除けば、お約束に満ちているとは言え、死んで初めて実感する生の価値を感動的に描けていると思うんだけど、モモの存在が逆に足を引っ張っているような。

 モモは、『トワイライトゾーン』のロッド・サーリング、『世にも奇妙な物語』のタモリのように、物語の最初や最後にだけ内容には関わらず現れ、コメントを言うだけのキャラとして割り切ってしまう手もあったと思う。
彼女の存在感を中途半端にしたことが、作品全体のイメージ低下を招いている、というのは不幸な話。
 もっと面白く出来たろうと考えると、残念な作品だった。


2006年4月7日 金曜日

『魔界戦記ディスガイア』01.「眠れるゴミ捨て場の王子(プリンス)」

 原作ゲーム未プレイ。
 アニメの制作本数が激増している弊害か、とにかく鈍い、メリハリの無い演出と、酷く崩れているというのも可哀想だけど面白味は無い作画によって、画面からはスグ注意が逸れてしまう。
 悪魔・ラハールが復活するシーンに、まるで迫力がないのは、マズかろう。
ドーンと、おどろおどろしく棺桶から出て来てみれば、チビで可愛い男の子でした、というギャップで笑いを取る、あるいは興味を引き付けないと。
 天使見習いフロンも、トボケた性格と、「暗殺」という汚れ仕事の距離を大袈裟に演出しなければ、非常にインパクトが弱くて関心の持てないキャラに…
 わざと刺激を弱くして作ってるのかなあ?
年少者向けアニメ?

 お話やキャラクターの基本設定自体は、料理次第で面白くなりそうに思うんだけど、とにかく「次回以降も見たい」どころの騒ぎではなく、「第一話の30分でさえ興味をつなぎ止められない」出来では どうにもこうにも。
 視聴終了。



『XXXHOLiC』01.「ヒツゼン」

 原作未読。
 CLAMPブランド作品。
作品ごとに絵柄を変えているCLAMPだけど、今回は、いつもより細い胴体に長い手足、大きく誇張された掌、足先、といった特徴を持たせている。
 主人公の名前が、「四月一日」で「ワタヌキ」かあ…変わりすぎだけど、一度憶えたら二度とは忘れない名前。
こういうハッタリは上手いなあ。

 不思議な お話。
願いを叶えるが、それに見合った対価を求める女性の設定は、今回だけだと無理気味…だが、回数を重ねるウチに意味を持ってくるんだろう。
 主人公に取り憑いた迷惑なばかりの「アヤカシ」でも、ウソの「霊障」だけを「個性」として大事に抱え込む女の子にとっては、プラスマイナスゼロ(因果応報?)になる存在だった。
緩やかな『蟲師』という感じ。
 この話に続けて、もう一本、少女の心に元から巣くっている「憑き物」を落として救う物語も作れると思うけど、ここで終わらせてブラックなイメージにした方が面白いのかな。

 作画も整っており、悪くない第一話。
 後はエピソードのバリエーション勝負になるが、CLAMPは その辺も上手いからなあ。
 視聴継続…だけども、途中から単行本を読むことで視聴に換えてしまうかも知れない。



『Soul Link -ソウルリンク』01.「ENCOUNTER −出会い−」

 今期、恐ろしい数の新作アニメが作られると聞いて、最初に思ったのは、駄作…まで行かずとも凡作は数多く生み出されるだろう、ということ。
 が、見てきて、これは出来が悪いな!と感じた作品数は予想より遙かに少なく、意外や意外、日本アニメ界の制作状況は これだけの本数を ある程度のレベルを維持しながら こなせるだけのキャパシティーを持っていたのか、と感心していた所に…
 このアニメ。
 ああ、これこれ。
実に ほっとする、凡作。

 20年ぐらい前のOVAだと言われても素直に信じてしまいそうな、ありふれたストーリーを、ダルい演出と、他作品で見慣れたオリジナリティーの薄いキャラクター布陣を用い、描いている。
今ひとつ冴えない作画がまた、凡庸さに拍車を掛ける。
 シャワールームの男女使用時間切り替えの境目で、主人公とヒロインが裸で鉢合わせ…なんてシーンを、宇宙ステーションを舞台に平然と見せるセンスが懐かしい。
ガキによるスカートめくりを、ただただ「サービス」としてパンツを見せたいがために行わせてしまう、感性とか。

 一話目を見終えても、これから何が面白くなっていく作品なのかハッキリせず。
次回で、何か大きなイベントが起きそうであり、そこから本筋が始まるのか…と思うけど…
 時間があれば見るかも知れない、という程度に止め、基本的に視聴は ここまでにしておきたい。



『ああっ女神さまっ それぞれの翼』01.「ああっ願いよ もう一度っ」

 息が長いなあ、このシリーズは。
前テレビシリーズ放送開始時には「どうして、今頃?」と感じたものだけど、こうしてその続編が出来るところを見ると、好評を得られたのだろう。
丁寧で、悪くない内容だったからか。

 第二期開幕を告げるこの第一話も、奇をてらわない ごくまっとうな出来。
脇のキャラは置いといて…この作品の中核を成すベルダンディーと螢一の関係だけを、30分間、じっくり見せていくストーリーから始めるのは、正解。
 作画はキレイで、女神達も皆、魅力的に描けている。
この作品はOVAからずっとそうであり、キャラ作画が崩れるなんて考えられない…と自分なんか気楽に思ってしまうんだけど、優秀なスタッフの奪い合いが激化していると思われる現在の制作状況下で、なお高いクオリティーを維持する「愛情」には、驚かされてしまう。
 ほのぼのと穏やかなストーリーが心地良い、癒し系アニメ。

 最後まで見ると思うんだけど、隙の無い作品なので、これも今後は感想を書くかどうか分からない。



『リングにかけろ1 〜日米決戦編〜』01.「始動!黄金の日本Jr.」

 原作既読。
だからまあ、前作アニメの記憶もおぼろなぐらいしか残っていないが、支障なく見られる。
 いや、原作を知らなくても…この第二期から見始めても、支障ないだろうな。
「ボクシングが超常的に強い男の子達が、もうSFぐらい強い世界の強豪と戦う話」
コレだけ分かっていれば。

 アニメーションとしてのボクシングの迫力は、薄い。
『あしたのジョー』とか『はじめの一歩』のような、優れたアニメ作品と比べると。
 でもまあ、『リンかけ』は原作でも、正しいボクシング、というより、「見開き二ページで、技の名前を叫びつつ拳を突き上げたら、後ろの方を相手が吹き飛んで行って勝利」といった見せ方をこそ得意にしていたので、演出的にハッタリさえ効かせられれば、細かい技術は問われないか。

 前作と同じく、時間があれば見る、というスタンスで。



『ZAGAPAIN -ゼーガペイン-』01.「エンタングル」

 冒頭にロボット戦闘は あったが、その後、視点が日常の学園生活に降りてくる事で、非常に入りやすくなっている第一話。
 「とにかく最初は学校から始めろ」というのは、偉い漫画家先生の お言葉。
学校生活は大抵誰でも体験しているので、設定を何ら説明する必要が無く、許容範囲が広くて かなり異質な物を放り込んでも破綻しない、とても便利な状況だから。

 学校プールでの、主人公にしか見えない少女との出逢い。
何故か人が誰も居なくなっている雨の街。
雨の「予定」を、舞台が人工的に管理されているスペース・コロニーででもあるかのように語る、不思議な生徒会の面々。
 これら超常的な出来事と対応して、過去のしがらみで他生徒に絡まれる主人公や、昔懐かしい漫画を思わせる、ベランダを通して向かい合わせにある主人公と幼なじみ少女の部屋、という設定など、馴染みやすい現実を提示。
 このバランス感覚が非常に優れているため、必要以上に嘘くさくならず、胎動する「異常」が顕在化する展開を、視聴者は素直に期待できる。

 訳も分からず乗せられたが、体がロボットの操縦法を覚えている(思考直結でもあり)…という見せ方は、子供に「ボクでも操縦できるかも」と思わせられるモノで、大変結構。
「巨大ロボットを思うがままに操って大活躍」に加え、「謎の美少女が、二人きりのコックピットで完璧に自分の補佐(お世話)をしてくれる」という、男の夢がダブルで乗せられているような設定も楽しい(^ ^)。
 3Dを用いたバトルも違和感なく、かなりの迫力。

 全何話なのか知らないが、構成がきっちり取れていて、これから物語が破綻に向かわず、盛り上げてくれるなら(シリーズ構成・関島 眞頼のお仕事ぶりには多少の不安が…)、久々にオトコノコの心を満たしてくれるロボット物になってくれそう。
 期待を込めて、視聴継続。



『NANA』01.

 原作未読。
映画化されているけど、それも未見。
 原作者・矢沢あい先生のアニメでは、『Paradise Kiss』が先日まで放送されており、非常に高いクオリティーに仕上がっていて出来が良かったのは確かだけど、個人的には ちょっと入り込み辛かったので、今作も どんなものか…と思いつつ見たが…
 これは問題なく、実に見易い第一話。
監督・浅香守生の演出手腕にも寄っているのか。

 上京してきた二人が、たまたま同じ部屋で暮らすことになり…
という発端部は、『翔んだカップル』などと同じ。
昔は同棲(男女の場合)とか同居だったけど、現在は「ルームシェア」とでも呼ぶのかな。
 対照的な個性を持つ二人の女性が、同じ名前を持つ、この設定も様々に使えそう。

 雪に閉ざされた列車の中での出逢い、そして不動産屋に案内された部屋での再会を、「人生の大きな転換点」であり「通過点」として、未来から懐かしく振り返っているナレーションが、始まったばかりの物語にノスタルジックな色合いを添え、馴染みやすさと これからの展開への期待感が入り交じった、面白い「味」を演出する。
恐らくこの先、劇中で何度もこの時を、様々な感情を込めて振り返る事になるのだろう。
 この辺の上手さは、さすが第一線の漫画家。

 最後まで見るつもりだけど、これも『ホスト部』と同じく、余りにもカッチリと不足無い作品に仕上がっている事で、かえってオタク視点(自分)からは感想が書き辛い内容になる事が予想される。


2006年4月6日 木曜日

『プリンセス・プリンセス』01.「男子校のプリンセス」

 原作未読。
 うわー、もの凄い勢いで見る人を選ぶアニメだなあ!
 『桜蘭高校ホスト部』の感想に、「主人公を男の子のままで居させた方が女性視聴者は喜びそう」などと書いたが、その通り やってみたのが、これ。
そうすると、一般客層を相手にしているのであろう『ホスト部』が、どれぐらい見易い内容になっているのか、よく分かる。

 男子校で、イケニエに選ばれた男の子を女装させ、「姫」と呼ぶ…
女の子の妄想の中にしかない、ファンタジー・ワールドとしての「男子校」が、ココに。
『ストロベリー・パニック』は逆に、男と、世間知らずな少女の妄想の中にしか存在しない「女子校」を描いていた。
 しかし…よっぽど外界と隔絶した環境でもない限り、そこいらの男は、男に欲情したりしないと思うんだけどな。
 「姫」の子が女装しており、外見 女の子にしか見えないのが救い。
ムニャムニャな女の子と、ジャニーズ系の素顔にキレイにメイクして女装させた男の子、楽しくデートするだけなら どちらを選ぶ?という選択なら、自分だって ちょっと悩むので。

 ごくノーマルな男の友人が、仕事でボーイズラブ小説を書くことになった際、男同士で くっ付くのに理由を設定したが、編集に「こんな理由なんて要らない、何故なら、女性読者にとって男達が愛し合うのは当然であり必然だからだ!」と力強く言われてしまった…らしい。
その流れで行けば、「女装」した男に魅力を感じる男、なんてのは、余りにも軟弱であり許容しがたい考え方だろう。
 でも、男性視聴者からすると、女装設定無しでは、見続けるのが かなり難しくなるかと。

 作画は非常にキレイで、主人公達は、普通に男の子の姿をしている時でさえ、僅かな認識フィルターをかける事で「女の子」だと思い込めそう。
声優を(一人を除き)男性で固めているのは、「そうはさせじ」という制作側の意地なのか。
 いや…あんまりキャラを女の子然と させすぎると、男性・女性、どちらの視聴者からも歓迎されない中途半端なアニメになる恐れがあるな。

 主要キャラは分かり易く立てられており、コミカルな雰囲気も楽しく、見続けられない出来ではない。
 男同士の絡みが どの程度の深度まで達するのか、その辺が視聴継続か終了かの境目になりそう。



『ザ・フロッグマンショー』01.「参上!鷹の爪団」ほか

 FLASHアニメ?
余りにもヘボい絵と動きに、こんなモン見てられるかぁ!と録画データを消しかけたけど、何となく流しているウチに、下らなさ しょーもなさが段々と味になってきて、所々笑ったりしてしまう。
 アニメーションとしての魅力はほぼ皆無。ネタのみの勝負。
『ダイバスター』に、傾向としては似ているかな。
 他人様にお勧めできるような作品ではないし、毎週忘れずにチェックしよう という程の意欲は感じないけど、時間があれば つい見て、笑ってしまいそう。



『.hack//Roots』01.「Welcome to ”The World”(歓迎)」

 『.hack//』のファーストシリーズは、内容に余り興味が持てず、途中で集中力が途切れてしまった。
続く『黄昏の腕輪伝説』は、ストーリーはともかく、常識を乗り越えるラブラブぶりを発揮する兄妹が面白くて、最後まで追い掛けられた…ような気がするけど。
 監督、真下耕一(『黄昏の…』では、総監督)と相性が良くないのかなあ。
最近の監督作でマトモに面白いと感じられた物は、無い。

 今作も…
特に興味を持てない個性が弱い主人公、世界観が共通しているからか もう見慣れた、新鮮味のないゲームワールドが提示され、そこで何やら危機が迫っているようだけれど、取り立てて関心を持てない。
 大きな欠陥がある、という訳ではない第一話だったのだが、とにかく放送本数過多の現状、見続けるさせるには仕掛けが弱いような。
ネカマのような悪質プレイヤー・キャラの存在は、「あるある」と思った。

 視聴終了。
もしかして、途中から大きく化けたというような評価を聞く事があったなら、反省しつつレンタルででも、遅ればせながら内容を追わせて頂こう。



『吉宗』01.「江戸城取り壊し」

 何のために今、吉宗(徳川吉宗?)をアニメに?
アニメ『水戸黄門』みたいなもので、量産しすぎて企画に困り、トチ狂った会社がデッチ上げた『暴れん坊将軍』アニメ化企画なのだろうか…
 と思えば、パチスロで『吉宗』って台があるそうで。
恐らくは大変に儲かったのだろうメーカー(一社提供だった)が「コレをアニメにしてあと一儲け」などと考え、うっかり立ち上げてしまった企画なのかな。
「税金対策のため、ちょっと損しとかないとイケナイ」というような景気の良い事情を抱えているなら、別に構わないけど。

 パチスロに お金を注ぎ込みまくっている人なら面白いのだろうか…そうでない人間には、酷く ぬるいばかりのコミカル時代(考証無視)劇なので、どこを楽しめば良いのか よく分からない。
 『キャッ党忍伝 てやんでぇ』みたいな、ドタバタかっ飛びアクション物にしてしまう手もあったと思うんだけど…ああいうのはセンスが必要になるか。
 『暴れん坊…』実は見たこと無いんで よく分からないが、こんな感じに、自分の監督不行届で部下が町民に迷惑を掛けたことに切れ、正体を隠して わざわざ配下のヤクザ達に殴りかかった挙げ句、最終的には権力を用いて高圧的に事件を解決する(解決できて当たり前だろう)、ってパターンなの?
公金を用いて既に建ててしまった豪華な建物を、事情があるとはいえ無駄にして取り壊す決断は、名君のものだと言える?
短期間に城を建て直せ、とか言い出すのも。

 そんな細かいことを気にするようなアニメじゃないんだろうな。
 女の子キャラは可愛いと思うけど、何を期待して見れば良いのか分からず。
視聴終了。



『錬金3級 まじかる?ぽか〜ん』01.「はじめての呪文は甘い罠」「午後の呪文は赤いカブ」

 前半だけ見て、ちょっと寝てしまったのだが、驚いたことに、起きた時には どんな内容だったのか全部忘れてしまっていた。
慌てて見返して…あー、コレは忘れても無理ない、だって内容なんて何にもないんだから。

 少女達四人、それぞれヴァンパイア・魔法使い・狼少女・人造人間、と、特異な設定を背負わされている。
…が、それはまあ「実家がお金持ち」とか「帰国子女」というのと、変わらないぐらいのウエイト。
 後半の、手紙が欲しいからとポストを作ったりして頑張る様子は、なかなか可愛らしかったけど、これもやっぱりストーリーは無い。
 似たアニメを探すなら、『瓶詰妖精』かな。
アレも丁度 四人組だし。

 笑えるようなギャグの切れ味はないが、コミカルな気分は演出できている。
 キャラの持つ ほのぼのとした雰囲気を楽しむ、癒し系(というには、ちょっとドギツい所もあるかな)カラッポアニメ。
 別に見続けても構わないぐらいの出来だとは思うけど、何しろ放送本数過多の現状、負担になってきたら いつ視聴を終えるか分からない。



『いぬかみっ!』01.「はだかでドンマイっ!」

 原作未読。
 犬の形状をした神…なのかと思えば、「ネコ耳少女」と同じ系統で「犬シッポ少女」が登場する作品。
 見ていて最初に連想したのは、懐かしの『うる星やつら』
浮気者の男の子と、嫉妬深くて超常能力を持つ女の子の組み合わせ。
女の子の方が、空をポンポンと飛びはね、超能力(着衣の奪い取り)でダーリンを懲らしめる、って辺りまで一緒。

 ヒロイン・ようこが非常に可愛く、ちょっと肉感的にさえ描かれており、今回のサブタイトルが「はだかで…」という事から、そういう期待感を持つと…大間違い。
脱ぐのは、むさい野郎ばっかり(笑)。
もう本当に、不必要・不自然なまでに脱がされ、股間が「ゾウさんマーク」で隠される。
 商業的には、これで男がDVD買うかな?と思うので、厳しくなるような気がするけど、馬鹿馬鹿しさは最高!
余りに下らなくて、アチコチ笑ってしまった。

 心に染みるテーマを語る作品には ならないだろうが、難しいことを何も考えずに見られる定番商品として、楽しいアニメには なってくれそう。
 視聴継続。



『スパイダーライダーズ』01.「地下世界」

 子供向け…というか、厳しく言うと「子供騙し」な第一話。
 冒頭から、どこだか分からない遺跡に、素性も分からない主人公が突入し、訳も分からないまま異世界へと旅立つ、という飛びッぷりで、「そういうものだ」と割り切る必要がある。
 主人公の腕に何やらアイテムが装着されたことは、かなり特別な事態らしいが、どう見ても「落ちてきた物が たまたま くっ付いた」ようにしか思えず。
せめてもうちょっとドラマティックに…彼の勇気がアイテムを呼び寄せた、とかいうような見せ方は出来なかったものか。

 遺跡へ飛び込む度胸があるかと思えば、彼を助けようと矢を放った少女を誤解して逃げ出す臆病さを発揮し、初めて見るクモ型マシン(?)シャドウに怯えるのは分かるとしても、主人公を「この世界に災いをもたらすもの」として排除(本気だったかどうかは分からないが)しようとしたシャドウが語る、「インセクターは悪い奴」という言葉を疑いもなく信用し、シャドウと同じようなインセクター側マシンを躊躇いもなく一刀両断して破壊…
「子供向けだから、こんなもんで良い」と自分に言い聞かせていないと、なかなか辛い内容。

 監督が(連名だけど)真下耕一、シリーズ構成は黒田洋介、という、『マドラックス』を思わせるスタッフ編成。
あのアニメも、荒い内容でまるっきり感性に合わず、途中で見なくなってしまったので、今作も同程度の作品になるのだろうと判断し、ここまでに。


2006年4月5日 水曜日

『ラブゲッCHU 〜ミラクル声優白書〜』01.「桃子、声優になりますっ!」

 真面目な声優物、というより、コミカルな『ガラスの仮面』か、大映ドラマでもやろうとしているみたい。
声優を扱うアニメなら、『REC』の放送が終わったばかりなんだけど…業界内幕物は、それなりの需要があるのかなあ。

 ストーリーは、ごく まっとう。
電車の中で、痴漢疑惑を通してヒロインが男の子と出会い、困難な声優オーディションの顛末を経て、これから暮らすことになる寮で、電車の男の子と再会。
実に分かり易く、オーソドックス。
 キャラクターデザインに少しばかり前の時代の匂いがすることもあり、懐かしい気分に。

 ヒロインの特殊能力を、声優としての「演技力」より、アイドル声優としての「容姿」より、凄まじい「声量」に求めているのが面白い。
オーディションを行っている部屋が分からなくなり、屋上で力一杯名乗りを上げると、階下の(防音室内の?)審査員の耳まで届いた、なんていう馬鹿馬鹿しいパワー発動のアイディアには、ポンと手を打って、納得。
 プロになる時には、あんまり必要とされない力のような気もするけど…
 少年漫画では、例えばサッカー部にスカウトされる主人公が、「ケンカに明け暮れており、鍛えたキック力でコンクリートの壁もブチ抜く」というような、実際には「無駄」で「ムチャ」な能力設定を付けることが多々あり、それに倣ったものか。

 登場する女の子達は、パターン通りではあるものの、それぞれ個性的。
 過大な期待をすべきでは無かろうが、ごく普通に、楽しく見続けられそうな予感は する。



『ガラスの艦隊』01.「流星のごとく…」

 宇宙を舞台に、貴族と貧しい平民の階級社会で、無数の宇宙戦艦を出して艦隊戦を繰り広げつつ、SF…という事は故意に無視したかのようなローテクの設定が多々示され、云々云々…
まあ要するに、『銀河英雄伝説』と そっくり。
 設定に、河森正治・宮武一貴・出渕 裕といった その方面で主導的立場にあるメンツが揃っているので、本気で世界観を『銀英伝』と変えたいと思うなら、いくらでも変えられたと思う。
それを、わざわざこうしているのは…「パロディー」という事なのかな?

 アニメシリーズ『銀英伝』は、演出的・作画的に少々不満の残る作品なので、GONZOが、放送期間を二年ほど確保し、真正面から全力をもってリメイクする、というなら、応援しても良いぐらい。
 だけども…この作品ぐらいの脚本で演出で作画なら、別に、ノーサンキュー。
現存するシリーズを、大事に抱え込んでおきたい。

 基本設定が上手く説明できていない第一話。
『銀英伝』に準拠、という事で、実際には理解は難しくなかったが、そーゆー他力本願なのはどうだろ。
 それならば、と、つい期待してしまう艦隊戦だけど、戦況がよく分からない上、テキトーな攻め方で相手がスグに降伏してしまうようでは、まるで面白く感じられず。
せめてもう少しでも、工夫は出来なかったものか。
ヒーロー物の第一話で「タダ走っているだけの主人公」を見せられたような、学園恋愛物なら「メインの男女が座って授業を受けている様子」を延々流されたような、興味の持てなさ。

 火薬式っぽい宇宙戦艦の主砲(この宇宙には、空気も重力もある?)、艦橋のオペレーター椅子が床にポンと置いてあるだけの普通の椅子、紙にポコポコとパンチ穴を開けただけのもので内容が分かるらしい通信文…
レトロであり、違和感バリバリのSF設定。
 GAINAX作品のように、その違和感を上手く作品内で消化できると、逆に独自の魅力にもなる要素だけど…この作品では そこまで行ってないなあ。

 他作品の劣化コピー(もしかして、本当の狙いは『ベルサイユのばら』?)、という以外の面白さの提示が見られず、ツカミには完全に失敗しており、この冒頭部だけで視聴を打ち切る人間がどれだけ出ても不思議ない。
驚くようなクオリティーで、わざと「つまらないアニメ」を作った『ハルヒ』とは大違い。
 脚本は米村正二なのだから、それだけでも今後に期待が持てる…はず…と信じて、しばらく視聴継続。
このアニメの本当のストーリーは、第一話ラストで登場した男が形作っていく、のなら、良いなあ。



『桜蘭高校ホスト部』01.

 原作未読。
 なかなかに豪華なスタッフが揃っているだけのコトはあり、『ウテナ』か『彼氏彼女』を思わせるクセのある演出と、流麗な作画で、すっかりと見る者を引き込む第一話に出来ていた。
 内容として、オタクっぽさなどカケラも無く、いかにも女性視聴者が喜びそうな見目麗しいキャラとコミカルさが満載である所から、フジテレビ深夜のOL向け枠が ふさわしいような。

 主人公の美少年が実は…という下り、まあ原作通りなのだろうから こうするしかなかろうけど、「男の子」のままで居させた方が、女性視聴者は喜びそうな気も。
いや、この時間帯が想定している一般視聴者には、ノーマルな男女関係でないと受け入れてもらい辛い?
 まるっきり「被害者」然としていた主人公が、最後の最後に僅かな悪意さえ感じさせる満面の笑みを浮かべるシーンで、他のホスト部員達と変わらず、誰かを思うまま手玉に取る行為を楽しむ「加害者」の面を持った、入部するに相応しい人間であることを示す、非常に上手い構成。

 いやいや、ホストって、顔がキレイでさえあればナチュラルに応対していても女性の方々は勝手に喜んでくれる、なんて生易しい職業じゃないみたいですよ…テレビで見ただけの知識だけど(笑)。
 高校生少女(しかも温室育ち)ぐらいのメンタリティーを、酒は飲まないで相手にするなら、まあ職業ホストよりは随分と楽ではあるんだろうが。
 主人公が天然ぶりでお嬢様方に受けているのを見て、「テクいらず」と評していたところを見ると、意外にホスト部の面々も「作られた、受ける顔」を維持するのに努力を重ねている、とか?

 これは、楽しく見続けられそう。
 ただ、この枠の前例に漏れず、「エンターテイメントとして何の不足もなくカッチリ出来ている作品」には、自分のような視点が偏ったオタクは非常に感想を書き難い(難癖を付け難い?)ので、余程 変わった展開でも迎えない限り、感想はこれきりにするつもり。



『エア・ギア』01.

 原作は未読。
 どこでも走れるローラーブレード、というようなアイテムを使った世界の構築、綺麗どころ四人と同居している主人公など、なかなか面白そうな基本設定。
 が…売りであるはずの激走シーンに まるっきりスピードが感じられない、って、致命的では?
 公権力が介入して大騒動になる集会のシーンを、絵で見せず書き文字だけで済ませたのは「ネタ」としても、大暮維人 先生の高品質な作画を再現するには、若干物足りない作画。

 主人公が、姉妹の秘密部屋で最重要アイテムを見つける、かなり大事なはずのシーンに、驚きもワクワクも演出できていなくて拍子抜け。
全体に、「原作の筋通り、淡々とアニメにしたんだろうな」という感想しか持てず、これをテレビで見続けなければならない必然性を感じない。
 機会があれば原作を読むことにして、このアニメはここまでに。



『銀魂』01.「てめーらァァァ!!それでも銀魂ついてんのかァァァ!」

 「少年ジャンプ」連作の原作は、とても好きで、毎週楽しみに読んでいる。
 ギャグがなかなかに特異で、普通は「動作」の面白さで笑いを起こすものだ(いや、この作品でもそういう所は無いでもない)が、原作では確立した個性的なキャラ同士の掛け合いセリフ、及び変さ加減への「ツッコミ」をメインに据えて、笑いを取っている。
その言葉のセンスがまた、お笑い芸人風…というか、器用にそのセンスを取り入れた「クラス一面白いお兄ちゃん」の言動を思わせ、親しみを感じつつ油断している こちらの、構えていない弱い部分を不意に突いてくる。
 また、基本的には人情浪花節を語っている作品でもある。
 だから、この原作の感性を理解できる製作者であれば、アニメ化は そんなに難しくないのでは…と思ったが…

 ああ、コレは厳しい。
 こちらの期待にまるで合わない演出であり、余り良くない作画であり、声優さんでもある。
声優さんは、プロなので、回を重ねる毎に役を自分の物にしていくだろうから、いずれ不満点ではなくなるはずだが。
 特に演出の切れ味が悪く、寒いコントを見せられているようで、全く面白くないのが辛い。
次第に揃っていくはずのレギュラーキャラを最初っから全員見せてしまうのも、サービスのつもりかも知れないが初見の人間には分かり辛かろうし、ゴチャゴチャさせているだけのように思えて、マイナス。

 原作を読んでいればアニメを見る必要はないだろう、という訳で、ここまでに。


2006年4月4日 火曜日

『シムーン』01.「堕ちた翼」

 分からん分からん分からーん!
キャラの見分けは付かず、独特の専門用語を羅列した不可思議な戦闘シーンは、何がどうなって何を面白いと受け取って欲しいのか、さっぱり分からない。
 物語その物はシンプルだったと思うのに、ワザとややこしくしているような。

 こういう作り方も、無しではないと思う。
週に放送されるアニメが今の半分以下になり、色々と「分かり辛い」ことを「自分達の勉強不足」だと捉えてくれる優しい視聴者ばかりであれば。
 現在は、「そこそこ面白い」ぐらいのアニメなら切ってしまっても見る物に困らない、というか、ガンガン切り捨てていかないと視聴可能時間の限界を超えてしまうだけの本数が放送されている状況。
めんどくさい思いをしてまで、まあまあの作品を見続けなければならない理由など、皆無。
 厳しい戦いを選択してしまったもんだ。

 第一話のナレーションを担当していたキャラクターが、途中で死ぬ(死んだんだろうなー)って、どうなの?
 空に図形を描き出すことで不思議な攻撃力を発揮する飛行機械、って設定は、本来 面白い…はずなのだろうと思うが、示された絵としては精彩を欠きすぎており、つまらない。
 機銃をバリバリ撃ってきたり、イキナリ撃ち方止めたりする敵機が奇妙。
特に、キャノピーを開け放ってパイロット少女二人がキスをしている間、周り中の機体が黙〜って見ているシーンに、笑う。
キャラの都合だけで世界が動いているようで、緊張感など感じようが無く。
 ツッコミ所はまだ山のようにあるけど、もうイイや。

 キャラの魅力も空戦の面白さも中途半端にして、設定の片鱗だけを一生懸命 思わせぶりに見せた第一話。
大量に作ったのであろう設定が自慢なのかも知れないけれど、それは多くの視聴者にとって単に、付いていくのが大変になるだけの「負担」でしかない、というコトを理解すべき。
 作画は高品質であり、女の子達は可愛く描けている。
…という点のみに価値を認め、三話目ぐらいまでは付き合うけど、その時点で余程 面白くなっていない限りは、そこまでにしたい。



『ストロベリー・パニック』01.「櫻の丘」

 下記、『女子高生』と前後して見てしまったので、余りのギャップに笑ってしまう。
この作品ではヒロインが、美しい おねー様から額にキスされ、気絶してしまうんだけど、『女子高生』では女の子同士がコケて互いのパンツに顔を突っ込み合っても、特に動揺すら無かったぐらい(笑)。

 正しい『マリア様が見てる』の後継作品。
男達の願望的(少女漫画的、でもあるかな)妄想に答えてくれる、華麗で可憐で美しい百合百合学園生活が描かれる。
 同室になる女の子が、いきなりヒロインらぶらぶになっている変さ加減が可笑しくて、楽しい。
まるっきり『カードキャプターさくら』知代だけども。
 このアニメ全体が、強いオリジナリティーで勝負、というより、心地良いパターンを作り上げた先輩作品群の「受け皿」となるべく企画されているように感じる。

 作画はキレイだし、女の子達は皆 可愛い。
ただ…どうもこう、先行きが大体読めてしまう、という所があり、期待感は薄目。
 もう少し見ての判断で。



『女子高生 GIRL’S-HIGH』01.「女子高生はバカである」

 原作未読。
 「女子高生」なんていう漠然とし過ぎたタイトルであり、内容の想像も出来ず、これは視聴終了候補かなあ…などと思いつつ、見た。
 うわ、バカで下品で下らなくて、どーしようもないアニメだ!
…全部 誉め言葉として(^ ^)。

 自室の壁に、筆で大きく「女子高生」とか書いて貼ってある女の子って、一体。
「もうじき『女子高生』になれるかと思うと、嬉しくて眠れない」なんて考え方をする女の子も、居ねーだろオイ!
 外見は可愛い女の子に描いてあるけど、内面は「オヤジ」そのもの。
制服着て学校に潜入し、はしゃいでみたり、女子高の実体に激しく幻滅してみたりなんてするのは、何かの切っ掛けで女の子に変身してしまった野郎だけだと思うな。
 いかにも真面目そうなメガネっ子まで、「結婚に必要な三つの袋」を「堪忍袋と、あとは…池袋か沼袋か」なんて言う程度の常識しか備えておらず、全員見事なアホばかり。

 ドカドカとパンツなど見せるサービスあり。
ただ、恥じらいを含みつつチラッとではなく、「うりゃー」とばかりに大開脚で見せたりするため、あんまりエッチに感じず。

 『マリみて』のような優雅さなど望むべくもない、しかし見ているヨメは「割とリアルな女子高よねぇ」などと呟く、大笑い馬鹿アニメ。
 作画もなかなか頑張っており、このクオリティーが維持できるなら、そりゃ最後まで付き合わなければなるまい!



 どうやら単行本「或る未亡人の肖像」、早いところでは発売になっているようです。
…普通の本屋さんでは、明日かな?
担当編集さんも正確な発売日が分からないそうで(〆切遅らせた自分が悪いんですけど)、ハッキリせず、申し訳ない。
 経済状態に余裕のある方は、是非是非 購入ご検討の程、よろしくお願い致します!



『吉永さん家のガーゴイル』01.「吉永さん家の石ッころ」

 「舞台は現代。一般的な家の門柱の上に、石で出来た喋るガーゴイル像が鎮座して、自分を門番だと言い張っている」
…こんな基本設定、どうしろと言うんだか。
これでシリーズを作れ、と言われたら、自分なら途方に暮れるばかり。
 それなのに、「あー、なるほど」と思わせるストーリーを構築できているのは、凄い!
 …まあ、これは与えられた無理な設定ではなく、原作者の中から出て来た「表現したいもの」だったんだろうから、消化できていて当たり前か。

 表情が変わらず動きもしないガーゴイル像に、若本規夫の個性溢れる声が命を吹き込む。
異質なガーゴイルがもたらす、現実との乖離っっぷり、そして次第にキャラクター達と馴染んでいく様子が、楽しい。
 ガーゴイルと顔を合わせる度、ドロップキックを見舞う少女・双葉も、元気いっぱいで結構。

 盲導犬の職務と、それを上手く理解してやれない少女をメインに据えたドラマも悪くないとは思うが…
 街全体を警護しようというガーゴイルとは違い、盲導犬の一番の義務は「主を守る(体の一部となる)こと」であり、恐怖に震える飼い主少女を置き去りに泥棒の元へ飛び込む判断は、どうだろ。
少女を連れて逃げた方が正しいかと。
再度 弱いような所を見せては、少女との絆が上手く結び直せないのかも知れないが…この犬は、ただの「忠犬」ではなく、特殊な訓練を受けた「盲導犬」だという設定を、最大限に活かせる危機イベント…自分が途中で大きなケガを負っても、目を閉じている少女に気付かせないようにして、家まで無事連れ帰るとか…を考えるべきだろう。
 ガーゴイルの電撃を防ぐべく、二組目の泥棒はゴムで出来たスーツを着ていた。しかし、また他の家に入った泥棒(彼らは全員、組織化されている様子)は電撃避けスーツを着用していない、という不思議。
 遙か離れた家の非常事態も嗅ぎ付けるガーゴイルなのに、主人・双葉が掠われたのに気付くのは手遅れになってから。
 …等々、少し話の作り方に荒い所がアリ。

 キャラの魅力と勢いが打ち勝つか、筋の荒さから来る失速感が上回るか、もうちょっと見続けてから判断したい。



『逆門−ばけぎゃもん−』01.「オレとフエとばけぎゃもん」

 まだ「少年サンデー」で原作の連載が始まったばっかりなのに、もうアニメ化?と思ったが、これは最初からメディアミックス企画として始まった作品なのかな。
 「コンセプトワークス」…という実体がよく分からない役職で、だけど、藤田 和日郎先生が参加しているので つい期待してしまう。
『うしおととら』『からくりサーカス』等々、先生の描く漫画は、読む者の胸を熱くする情熱とパワー、そして意外と(失礼、パッと見「勢い優先」に思えてしまうので)周到に冷静に計算された構成能力で成り立っている。
 魂を磨り潰して原稿用紙に定着させ続けているような、その仕事ぶりは壮絶で、ただ驚きと感動をもって読み続けるばかり。

 が…OVA化された『うしおととら』や、原作を担当されて他作家さんが漫画を描かれた作品になると、熱さは大幅にダウンしてしまう。
「キサマら、絶対に許さん!」が藤田先生作品だとすると、御自身で描かれない作品は「キサマら、絶対に許さん!…って言ってましたよ あの人が」ぐらいのトーンに感じられ(いや、単体としては別に悪くないのかも知れないが、先生の手による漫画と比べると)、どうも物足りない。
 藤田先生作品は、テクニカルな面よりも、「魂」とかいう分析不可能な「代替の効かないもの」で成り立っている、という事なのかな。

 アニメ本編。
 とりあえず状況は(無理ながら)説明しているし、主人公のキャラも見せたし、これから進んでいく方向性も提示してあり、ソツのない第一話。
ただ、全てが段取り通り進んで行っているようで、特に心を動かされる所は無く。
何となく一緒に船に乗り込んでしまうクラスメート少女とか、デッキ上の席を奪い取られた老夫婦が立ち去ってしまってから、ワル三人組に怒りをぶつける主人公とか(彼の怒りは、「酷い目にあった老夫婦の心を守ってあげたい」というものでは「ない」んだね。自身のムカつき優先)。
 カードスラッシュ・バトルは、コレが現在 商売として強いのは分かるけど、正直言って少々食傷気味。

 三話ぐらいまでは見るつもりだが、その辺りまでに特異な面白さが出てこなければ、視聴を終えるつもり。



『アクビガール』01.

 『ハクション大魔王』のキャラクター・アクビを主人公に据えた、5分枠のアニメ。
以前に『よばれてとびでて!アクビちゃん』という、同じく彼女が主人公の これは30分枠アニメが作られていた。
 …確かに、『大魔王』中で異彩を放っていたマスコットキャラだし、可愛い子でもあったけれども、本放送から こんなに時間が経って、まだ何度もアニメ化されるほどに、とは思っていなかった。
 パチンコ機で扱われたことが、切っ掛けになっている…?

 時間が無いにしては、一応ストーリーらしきものを語っている。
ストーリー、というか、ワンアイディアを見せて終わり、という所までだけど。
 独特な作画がキレイだし、悪くはないアニメだと思うが…頑張って見続けようとは思わず、ここまでに。


2006年4月3日 月曜日

『ARIA the NATURAL』01.「そのカーニバルの出逢いは…」

 前作と同じ顔ぶれのスタッフによる、癒し系アニメの続編。
 ブランクを感じさせない、タイトル通り実にナチュラルな新シリーズへの入り方。
 レギュラーキャラクターそれぞれと、基本設定の紹介を、説明っぽさなどカケラも感じさせず、すうっと行うのに感心。
さすがに佐藤 順一は巧いや。

 お祭りに現れる巨大なカサノヴァと取り巻きのチビ仮面達。
彼らの正体を誰も知らない…って、有名な存在らしいのだから そんな訳なく、好奇心に駆られた市民やマスコミなんかが追跡して無理にも探り出しそうな……なんていう世俗にまみれた「常識」とは無縁なのが、この作品の世界。
基本的に、善意だけで出来ているからなあ。
 巨大カサノヴァと、共に演奏をしながら暗闇の路地を行進していくシーン。
不条理であり、見ようによっては不気味ですらある光景だと思うが、「この後、灯里らの身に恐ろしい運命が襲いかかる」可能性がゼロなので、緊張感など感じずに済む。

 何も考えず、ほえほえで ふわふわで ぽえーんとした心地良い世界を、ただ受け入れて楽しめば良い作品。
 最後まで見るつもりだが、特に大きなイベントでもない限り感想は書かないかも。



『スクールランブル二学期』01.「ScrambleがReloaded!SuperstarにRequest!ScandalousなRestart!」

 こちらは、かなり乱暴な第二期の開幕ながら、やっぱりブランクを感じさせず、力ずくで見る者を『スクールランブル』世界に引きずり込んでいくパワーがあった。
 女の子達はみんな可愛いし、野郎共は どいつもコイツも馬鹿ばっかりだし、言うことナイ。
 これも最後まで楽しませてもらおうと思うが、何か余程 強く感じることでもない限り、放映作品過多の日曜アニメなので、感想は書かないつもり。



『涼宮ハルヒの憂鬱』01.「朝比奈ミクルの冒険 Episode 00」

 原作未読。
 サブタイトルの確認をしようと思ったんだけど、えー、これ(上記タイトルからのリンク)がアニメ公式サイトなの?
なんじゃこりゃあ(笑)!

 アニメの内容も、負けず劣らす「なんじゃこりゃあ!」なモノ。
こんな第一話は、さすがに前代未聞じゃあるまいか。
 「冒頭が劇中劇から始まる」パターンは これまでにナイでもないが、一話丸ごと劇中劇で、地(現実)の部分なんて、途中チラッと と、終わりの方にホンの僅かあるだけ。
実に訳が分からない、客をバカにしている、ふざけた作り方だ…というのは嘘で、面白い作り方するなあ、と途中から感心することしきり(^ ^)。
 いや、これはメチャメチャにアクロバットな作り方なので、良い子のアニメ製作者さんは決してマネをしてはイケナイ。
一歩間違えば、見ている側から罵倒の言葉しか飛んでこない愚作になってしまう恐れさえ、あったろう。

 原作とは違う導入部のようなのに、上手く行ったのは、これが「ムチャな第一話」だという事をしっかり理解し、完全に考え抜いた上に、「悪ノリ」さえ混ぜ込めるほど才能のあるスタッフが作っているから。
 劇中劇が「プロの手によって、きちんと作られた映画」だったりしたら、出てくる役者も撮影スタッフも完全に求められた役割を果たせる「プロ」のはずなので、完成した映像作品だけ見せられても、彼らの本当の姿など想像できない。
 しかし、ド素人が撮ったガチャガチャな映画にすることで、役者自身と演じている役割とのギャップ(あるいは、役と非常に近いらしい役者の個性)から、そのキャラの本質を伺い知ることが出来る。
映画を見ながら(撮影しながら?)、終始ツッコミを入れ続ける男の子の個性も。
 そして、「こんなデタラメな映画」を、強行に(だろう)撮り上げておいて、全く何の反省もないどころか力一杯 自画自賛をしてみせる監督・涼宮ハルヒとは どういう女の子なのか、本人の出番は僅かだったというのに、誰にでもよく分かってしまう。
 こういう作り方があったとは…驚き。

 キャラクター達が、「劇中劇の役者としてはまるでヘタ」な事を しっかり示す演技を出来ていて、楽しい。
ただ、今回だけでは、声優さんが本当は凄く上手いのかホントにこんなモノなのか、判断が難しかったり(笑)。
 OPのウソ主題歌、サビである


          へぇ〜〜〜〜

空のかなた



という部分の素っ頓狂な音程の外し方が素晴らしくて、何度聞いても笑ってしまう。
 来週からは本当の主題歌に変わるんだろうけど、もうこのアホな曲のままで最後まで行ってくれてもイイなあ。

 アマチュア映画っぽさを出すため、「露光やらパンを うっかり間違えて、撮影を失敗しちゃったんだな」と見ている側に思わせる、素人が よくやる撮影ミス画面を、非常に多くのバリエーションを揃えて再現しているのが、スゲエ。
余りにも「自然にダメな画面」なので、アニメである事を忘れて、「なんだよこの雑なアニメは!」なんて感じる人まで出てしまいそう(笑)。
 舞台が現代なら…光線合成などの特撮は、パソコンにさえ取り込めば もうちょっと気が利いた仕上げを出来ると思うんだけど…ハルヒ監督は、あくまで手作りに拘る少女なのかな。

 いきなり後頭部を鈍器で殴りつけられたような、不意打ち反則技の第一話。
かなりの「賭け」であり、「つまらん」と正面から否定する視聴者も、多く生み出してしまったろうな。
そういう無茶さも含めて、自分は楽しかったんだけど。
 本筋に入る(?)次回は、何を見せてくれるのだろうか。
いやあ、楽しみ。



『ぽかぽか森のラスカル』01.「朝ねぼうなお花」

 擬人化したアライグマを主人公に据え、人間キャラクター…スターリングなど…も出ない様子、という事前情報を聞き、それでは『ラスカル』と名乗る意味は奈辺にあるのか、『フランダースの犬』パトラッシュを擬人化して、本来のドラマとか悲劇とか抜いたアニメ、みたいなもので、「商業的理由」以外に今、この作品を制作して放送する理由は感じられず。

 …とか何とか、真面目に考えたりもしていたけど、これ、5分間のアニメだったんだ。
内容らしい内容もなく、可愛いキャラが他愛もない行動を見せるだけで、初回の放送時間は埋まってしまった。
 こういうものであれば、どうこうウルサイこと言う意味は無いなあ。
 しかし、『ポンキッキ』とか『おかあさんといっしょ』など、何らかの子供向け番組内に組み込まれる形でもないと、この5分だけの作品を一生懸命追い掛けてくれる視聴者は、まず居ないような。
アニオタ向けに作られているなら、彼らは(我々は)万難を排して付いていくんだけど。

 順当に、視聴終了。



『おねがいマイメロディくるくるシャッフル』01.「マイメロに会えたらイイナ!」

 男の子の新キャラを加え、アイテムなどがマイナーチェンジした他は、前作からなん〜〜〜〜〜っにも変わらない新シリーズ。
 一年間を通し、多少なりと認識に変化が生まれたはずのクロミ、何よりバクは、リセットされたように元通りに。
いや、黒音符の悪影響を気にしている所とか、多少は変化があった…のか?
 OPからすると、前作クライマックスで歌のパワーがクローズアップされたことを受けて、歌(ややこしいな、ヒロインの名前)の歌唱に意味を持たせていきそう。

 冒頭の、これまでのあらすじ紹介で、途中から「後はDVDが発売されてるのでソッチで見て」と開き直って投げ出してしまうのに、笑う。
 新たなマイメロの力は、「マリーランドの住人を『召還獣』的に呼び出して使役する」というもの?
呼び出される方としては、いい迷惑のような…
しかしまあ、マイメロ母が毒舌攻撃で生徒達の変身を解いていくのは可笑しかった。

 可愛いキャラで構成されるアニメなのに、キツい毒が含まれている。
サンリオはコレでオッケーなのか…という疑問は今作にも感じてしまうけど、角が取れて正しく「幼児向けほのぼのアニメ」になってしまったら、そりゃ見続けられないので、大きなお友達としては この「間違い」っぷりが嬉しい所。
 前作と同じぐらい面白くなってくれれば、文句ない。
 視聴継続。



『デジモンセイバーズ』01.「俺が大だ!コカトリモン襲来」

 これまでのデジモンと比べ、主人公の頭身は高くなったが、内容は変わらず…というか、勢いで細かいところを飛ばしているようで、子供っぽい(少年漫画っぽい?)印象さえ。
 今回も、主人公に付くのはアグモンなのね。
恐竜型でもあり、一番人気…なのかな?

 デジモンを素手で殴り倒す主人公の無茶苦茶さは、楽しい。
それを可能にする、彼自身に内在するパワーが、デジモンを強くしていくのだろうか。
 捜査官である お姉ちゃんが、ちょっと可愛い。
主人公との距離感次第では、「萌え」なキャラにも化けさせられそうな予感。

 路線としては『デジモンテイマーズ』に近いのかな。
 第一話として、キャラを立て基本設定を説明してあり、別にドコも悪くないが…まだ、見続けたい!と思うほど強く引き付けられる要素は見当たらず。
 取りあえずしばらく見るが、大きな独自性や面白味が早めに現れてこないと、シリーズのパターン認識から「だいたい分かった」気分になってしまい、視聴を終了する可能性も。


2006年4月2日 日曜日

『交響詩篇エウレカセブン』最終話.

 作画も演出も総力戦の様相で、とにかくパワーで押し切って盛り上げた印象がある最終回。
 ホランド機が巨大戦艦に突入していく様子とか、戦艦艦橋に舳先を突っ込むゲッコー号など、テンションが上がってしまう迫力あるシーンが随所に見られたのは嬉しい。
 同時に…『イデオン』『トップをねらえ』等、様々な作品からのイタダキ・イメージが散見。
それは、シリーズ途中でも見られたものだったが。
 著名なシーンを拝借して自作を構成する事については、ある一定より若い世代にとって「強烈な作品に触れた」事が、例えば「戦争体験」などと変わらない「記憶」であり、「その人の基盤を形作るモノ」になっている訳で、使う事自体は否定しない。
作品に沿って ある程度 変更が加えられており、オリジナルよりも大きく劣るような情けない表現にさえなっていなければ。
 このアニメの場合、個人的にはまあ及第点。

 レントン、エウレカと、三人の子供達で家族、みたいな事を言っていたのに、子供達は祖父に預けて二人は何をしていたのか?等々等々…
突然 出して来られた設定や、ポカーンとするような急激な展開があり、ハテナマークが浮かんで来たり突っ込みたい気持ちが湧いても来たが、月面に大きくハートマークが描かれている無茶な絵に笑ってしまったので、まあイイや。
 とりあえず妥当なところに落とし込んだという点で、無為にレギュラーキャラを殺して盛り上げたり、途中でブチ切ったような形で物語を放棄して終わるよりは、良い視聴後感を残せたのではなかろうか。



『牙』01.「運命の風」

 日曜の朝方より深夜枠の方が相応に思える、ダークでダーティーで容易には入り辛い第一話。
 どうしてもシリーズ冒頭部では、説明することが多くなってしまうので不親切な部分が出て来てしまうものだが…
学園生活を描かずに学生である主人公を出され、平常時の暮らし無しで主人公と友達らしいメガネ君・ノアとの関係を理解させようとするのは、ちょっとハードル高い。
母親の普段の病状を描かず、羽に反応する姿を見せられても、それが異様なのかどうなのか判断が難しいし。

 いや、筋だけ取りだしてみれば そんなにヤヤコシイものじゃないんだけど、近未来っぽい街の「常識」がまだ分からない、という所も加わっているので。
 今回のストーリーなら、別段、現代日本のどこかからスタートしても、特に問題ない内容だったような。
 「平和な日常生活から、戦いに明け暮れる危険な異世界へ」移行するのがアリガチなファンタジー物で、この作品だと「陰鬱で気が滅入る『現実』から、青空が広がり気持ちの良い風が吹く異世界へ」と、逆の印象を与えるようになっており、それは確かに特徴的だと思う。
 まだ母親と親友が残っていることからすると、この『現実』は これっきりで終わるものではないのだろうから、そこいらの評価は今後の意味の持たせよう次第かな。

 路地でも平気で走り回れるチビなパトカーが面白い。
それと救急車で繰り広げるカーチェイスも、なかなかの迫力。
 制作がマッドハウスなら、作画レベルは一定の水準を維持できるだろう。
 脚本が井上 敏樹、ということで、期待半分 不安半分。
特にアニメでは、「良い仕事」と言えない作品にしてしまうケースが多いように思えて。

 視聴継続。
 「よくあるバトル・ファンタジー物」のパターンに落ちてきたら、途中で視聴を終えてしまうかも知れないが。



『ノエイン もうひとりの君へ』最終話.「ハジマリ」

 むーうー、難しくて分かったような分からないような部分が残る最終回。
分岐の可能性がなくなると世界が収束し消え去る、というのは、人間は常に選択し分岐を繰り返す「可能性」の生き物なので、それごと消し去らないと世界を一つに統一できない。
一つにしたところで、観察者である人間が居ない世界は、存在しないのと同じ、という事…?
 いや、全然間違ってるのかな。
難しい。

 それは置いといて、作中で扱われるテーマとしての「観察者」というのは、「自分の事を思ってくれる、認めてくれて『自分』を『自分』のままで居させてくれる、誰か」の事だと思う。
 ハルカを思うユウの強い心が、ノエインの強烈な同化現象から彼女を取り戻し、逆に、誰も認めず・誰にも認められないノエインは存在を続けられない。
優しい兄だったアトリは、妹を喪うことで「自分」を保てなくなって狂戦士と化し、一度 記憶を含む全てを失った後に復活する際、「ミホ」という強く自分を認めてくれる少女の存在を得ることで、本来あるべきアトリの姿に戻る。

 誰にも存在を認識してもらえないまま産まれ、死んだ人間が居たとして、その人は「この世界に存在した」と言えるのか。
 人間の人生は、「自分はここに居る」事を証明し、認めてもらうためにあり、他者への関心は、『ファフナー』のセリフだけど「あなたは そこに いますか?」が基本。
 互いへの関心、思い合う心が存在を確定する。
酷く安っぽく言うなら、「愛こそ全て」って事なのかな。

 カラスとノエインは、ユウが辿るべき可能性として いつまでもあり得る。
守り、戦う気力を持ち続けられればカラス、運命の理不尽さに負ければノエインへと、彼は変貌してしまう。
 が、「普通に大人になったユウ」も勿論あり得る。
 全ては、困難や悲劇に直面した時どうするか…現在を形作る個々人の生き様に掛かってくるのだろう。

 カラスとノエインの世界を、ハルカ世界の「分岐した末の未来」と捉え、その不幸さを打ち消し、統一して、「幸せな未来」へと変えてしまうエンディングかな、と予想してたんだけど、それぞれの世界はそれぞれで継続していくのね。
 『ジャスティスリーグ』「消えた英雄」のように、遙か未来の時点の悪役・サヴェージが、分岐点となった過去の事件を変えることで、自分の生きてきた人類絶滅後の世界が自分ごと消え、代わって人が溢れる豊かな世界が現れてくるのを喜び、満足して消滅していく、ああいう終わり方になるのかと。

 最終回も、アトリが一人、格好良い所を持って行ったなあ。
カラスの影が薄くなってしまうぐらい。
 スタッフも、このキャラクターがすっかり好きになっていたのでは?

 最後まで気合いの入った高品質な作画が見られたのは、驚異的。
 原作の無いオリジナルアニメで、ここまで個性的な内容を語り、しかもテーマを実現できているモノは、珍しい。
 見られて嬉しかった、出来るだけ多くの人に見て欲しい、傑作。



『タクティカルロア』最終話.「アウトワード・バウンド」

 う、う〜〜ん…以前の潜水艦戦での敗北は もうちょっと時間を掛けて描いていたと思うけど、今回は「気が付けば最終回まで来ちゃってたから こうなった」んじゃないかと感じてしまうぐらい、ドタバタした決着。
 敵は前と同じような戦術を取ってきているのに、性懲りもなく また引っ掛かって被害を出してしまうパスカルメイジの艦長って、有能なの?
 戦いが、主として「魚雷と対潜ミサイルの撃ち合い」及び「デコイの放出」ばかりで構成されているのもどうか。
海底の地形を活かした戦法を見せるとか、ロストした互いの船の位置を読み合うとか、せめて もうちょっとだけでも工夫が欲しかった所。
 最終決着も、「かわせるはずがないらしい魚雷」を「何度もやっているようにデコイで何気なくかわした」パスカルメイジが「マニュアル通りなら撃たないらしいタイミングで撃った対潜ミサイル」に「凄く有効なんだから取りあえずまたデコイでも放出しておけば良いのにボケッと待っていた」敵が撃沈される、というモノで…

 確かに この敵に対してのリベンジが、作品終盤の目的にはなっていたのだろうけど、僅か一カットで終わる作戦目的・人工グランドロア発生装置の破壊や、狙撃で片が付いてしまう悪役(?)など、拍子抜けの感が否めないストーリーの まとめ方。

 キャラクターの関係はどうかというと、漂介を挟んだ三角関係を形成していた女性二人は、葛藤も感じられないまま彼が翼に別れを告げて決着し、艦長も特に心の動き無く彼を受け入れた…のかどうなのか。
とにかく、この漂介という男は内面がカラッポの「記号」としてしか描かれておらず(ここまで極端なのは、男性キャラに個性を付加しないことが多い萌えアニメでも珍しい)ので、彼に絡む全てのイベントが薄っぺらになってしまっている。
 それでも、取りあえず話はまとまったのかな…と思えば、再度乗艦する漂介に、付き合いを断られた経緯など存在しなかったかのように恋愛フラグを立てる翼…と、まあ「真面目にどうこう言う話じゃない」終結。

 色々な事が放り出しっぱなしなので、OVAでも第二シーズンでも作れるだろうけど、楽に見られるテレビ放送でもない限り追い掛ける意味は感じず。


2006年4月1日 土曜日

『牙狼〈GARO〉』最終話.「英霊」

 所々抜けながらも、最後まで見てきた。
 原作者で総監督を務めた雨宮 慶太は、デザイナーとして ずば抜けた才能を持ち、映像センスも非常に優れている。
「映像作家」としては天才的な才能の持ち主、という事に、疑問を差し挟む余地はないだろう。
 …ただ、彼が語ろうとする物語は、破綻していたり矛盾だらけだったり酷く薄さを感じさせるものであったりして、その作品のストーリー面に感慨を受けたことは、非常に少ない。
 「素晴らしい物語」までは望まない、せめて「問題なくお話を語り終え」さえしてくれれば…画面作りの才能の足を引っ張る筋でさえなければ、もっと高く評価できるのに、と、いつも思っていた。

 この作品こそ、そういった個人的な期待に、見事に応える内容。
 大人のダークなお伽噺として世界観を統一してあり、孤独な戦士である鋼牙が、カオルという女性に出逢い、二人が互いに影響を与えあって変わっていく様子を、最後まで、過不足無く描き出してくれた。
 加えて、脇を固める螢雪次朗演じる執事・ゴンザが実に良いし、『ナイトライダー』キットをも思わせるナビゲーター役の指輪・ザルバは、最後の美味しいところを持って行くぐらいの存在感を見せる。
 キャラが良く、ストーリーに問題が無ければ、雨宮総監督の特出したビジュアル感覚を素直に楽しむことが出来る。

 深夜枠の特撮作品なのだから、予算なんて ほとんど無いといって良いぐらいのモノだったろうと思うが、一話に一度は必ず「おっ」と思わせるシーンを作っていたし、数話に一度のペースでは「(予算の足り無さは感じるものの)画面作りのセンスだけで言えばハリウッドをも凌駕する」と言いたくなるぐらい格好良いシーンを見せてくれた。
ビル壁面を滑り降りながらの壮絶な斬り合い、戦闘用カラクリ・グラウ竜との激戦、最終回で演出された、空中で・ビルに突き刺さったリング上で・転がる輪の中で…と果てしなく戦い続ける、ラストバトルと呼ぶに相応しい決戦、等々、印象に残る映像は多い。
 もう少し予算を自由にして、映画でも撮らせてあげれば、本当にそこいらのハリウッド作品を軽く乗り越えられるのでは?…と思うんだけど(実際『ゼイラム』『ハカイダー』等の映像には驚かされるモノがあった)…監督、短時間に色々な要素を詰め込もうとし過ぎると内容を破綻させてしまう傾向があるので、その才能は時間的に余裕のあるテレビシリーズにこそ向いているとも考えられ、難しいところか。

 綺麗に物語を収めつつ、しかし まだまだ戦いは続く…として余韻を残すエンディングも、良い。
 面白かった。



『SoltyRei-ソルティレイ-』最終話.「これから」

 三話連続、という、かなり無茶なスケジュールで迎える怒濤の最終回。
 ローズが死亡したエピソード以来、ちょっとシンドくなって録画データを溜めておいたのを、一気に消化し、最終回まで連続鑑賞。
そうしてみると、視聴者を飽きさせないよう様々なイベントを組み込んであり、ドラマを面白く見せるべく精一杯の努力が成されていることが、よく分かる。
 それでも、視点は常に「頑張ったりダメダメぶりを発揮したりの間を行ったり来たりする、ロイ」と、「誰よりも弱くて強く、人間っぽいソルティ」に置かれていて、無用に入り組ませていないので、すっきりと理解しやすい。
 謎…というか世界の設定も、そのほとんどについて、劇中で説明が出来ている、というのが素晴らしい。
「アレは結局何だったんだ?」といった疑問を、極力 残さない形で終わっている。

 最終一話は、ソルティの因縁が絡んだバトルがあるだけで、ほぼエピローグ編と言って良い内容。
語りたい事を語り終えた所でスパッと潔く終わるのも悪くないけど、視聴者に思い入れてもらえるだけの存在に育て上げたキャラクター達の その後を、ゆっくりと、情感を込めて描いてくれると、作る方は良い視聴後感を演出する事が出来、見る方もそれに乗って単純に喜べる。
何というか、鍋物が終わった後で、まだ おじやが出て来たような喜び(笑)。

 笑顔でソルティを宇宙へと送り出す事が出来ず、壮絶に見苦しい姿を晒すロイに、ホロリ。
「尊敬される大人」には程遠い所行だが、彼は立派な「娘バカで、優しい父親」に なれたのだ。
 爆発に巻き込まれたソルティが、最後に唇で形作った言葉は「おとうさん」だったろうか。
 いいオッサンになってしまった自分としては、普通の男女間の愛情より、こういうのの方が染みるなあ。
もう、ボロボロ泣ける。

 「親と子」が、この作品のテーマだと思う。
ロイとソルティ・ローズの関係に限らず、優れた人工知能が人類を見守る目は(愛情・狂気の差はあっても)「親」のようなものだったろうし。
それでも機械は人間が生み出した物なので、計算を越える「親子の情」で包まれ(情を求め?)、もう一度「人の子供」の位置に還るソルティの在り方も、また必然。
 脇の方で語られる、露店のオヤジと万引き常習犯娘の仲が、やがて父娘へと変化していくのも、テーマを補強する。

 いつかソルティが帰ってくると信じ、待ち続ける家族達…という所がラストシーンになっても十分だったろうが、加えて「娘バカのオヤジ」が帰りの遅い我が子を心配して宇宙まで迎えに上がってしまうシーンで、ダメ押し。
 エンターテイメントの「泣かせ」は、このぐらい遠慮も容赦もなくやって、初めて効果がある。

 番組開始当初は、ありふれたキャラクター配置に切れ味の鈍いアクション、パターンで流したような物語運びで、いつ視聴を打ち切ろうかと思っていたが、盗賊達やプロシード女性隊員のキャラが定着してくると次第に面白くなっていき、中盤から後半にかけては見る者を引き付ける大きなドラマが語られ、最終的には「見てきて良かった」と思わせてくれるだけの内容がある作品に、化けてくれた。
 こういうアニメもあるから、どこで見切れば良いかの判断は、実に難しい。


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