ときどき日記 2006/07

2006年7月31日 月曜日

『ウィッチブレイド』16.「憩」

 いかにも うのまことっぽい過剰巨乳な お姉ちゃん達が水着で乱舞する、サービス話。
肉感的な体を描き出すことに作画の力を集中しており、目に楽しい内容になっていた。
 この作品に期待されていたのは、実はこういう路線なんじゃないかと。
ここを中心にして、ドラマを構成していく作り方もあったろう。

 ところで、梨穂子はもう、実の母親の事を忘れちゃったのかな?
母の死を、「知っている・知らないまま」に関わらず、一度は母子の名乗りを上げて一緒に住み、感情的繋がりも生まれかけた、その関係が断ち切られた事による動揺は、いくらか見えて来ても良かったような。



『ガイキング』31.「見よ!讃えよ!ひざまづけ!荒神グレート降臨!!」

 絶対の危機に立ち向かう仲間達の力。
 リーとヴェスターヌ、ダイヤとノーザの過去エピソードが活き、プロイストに対して共同戦線を張るべく、命懸けで彼女らの意志を取り戻す事により、絆を結び直す。
 ガイキング、ライキング、バルキング、三大ロボット揃い踏みで、巨大なプロイスト専用機・超魔竜に戦いを挑む様子は、かつてマジンガーなどスーパーロボットが夢の共演を迎えた劇場版作品のようで、嬉しくさせられっぱなし。
 これだけでもう、お腹一杯だったが…

 三大メカの主要部分を集めて、最強のロボット形態・ガイキング・ザ・グレートが完成する、この予想していなかった(商品の都合を考えれば、予想は付いたのだろうが)展開と、絶対の危機を跳ね返す超絶パワーに、ただただ仰天。
ひたすら拍手。
気が付けば感動に涙目。
 コレだ。
これだこれだこれだ!
これが見たかったロボットアニメだ!

 画面だけに頼らず、死を賭けて運命に抗うノーザの誇りと、ダイヤを信じ大空魔竜乗員の心が一つになっていく構成が、周到にパワーの開放を盛り上げる。
 合体シーンの圧倒的カタルシスは、『トップをねらえ!』以来と言ってもイイだろう。
 いやもう、本当に、「ガイキング・ザ・グレート」という言い辛いネーミング(笑)以外は、完璧な内容だった。

 こんなに盛り上がって、後はどうするのかと思えば、一度ガイキングを地上界に帰して間を取る?


2006年7月30日 日曜日

 レンタルでアニメーション映画『銀色の髪のアギト』を見る。

 劇場公開当時、割と力を入れてテレビコマーシャルなど打っていたと思うが、独特のテーマ曲は印象に残ったものの、映画館まで足を運ばせるには画面の吸引力が弱いように感じられた。
 本編を見て…まあ大体 予断の通り、弱い内容。
 人間を襲うようになった凶暴な森と、それを制圧せんとする機械文明の都市。
こういう図式では仕方ないとも思うけど、『未来少年コナン』そのまま。
 後は、『ナウシカ』『ラピュタ』『もののけ姫』のアチコチからイメージをイタダキ、並び替えて構成したような映画。

 本来は、もっと長いストーリーを思い描いていたのだと思う。
ダイジェストとしか考えられない内容になっており、ドラマもキャラクターの心情も寸断され飛び飛びで、「こういう事なのかな」と想像は出来るけど、「面白い」とは感じられない。
テレビアニメの一クール分は必要だったかと。
 それにしては、不要な展開やキャラ、ムダなシーン、冗長なカット尻が多く、90分という上映時間でさえ持て余しているように見える。
 主人公と少女の出逢い、彼女が街から連れ去られるまでで、さしたるイベントも設定してないのにモタモタと30分以上を費やしては、アウト。
 余計なところを全て削ぎ落とせば、主要キャラをもっと深く描くことも、クライマックスを盛り上げることも出来たはずでは?

 主人公・アギトが、超パワーと引き替えに背負っている植物化のリスクが、よく分からない。
生体改造された、と言われてたっけ。
 そういう嫌な宿命を背負いながら、「森と共に生きていく」とする心情も、不可解。
 この世界での森は、「畏怖すべき大自然」ではなく、「人造の凶暴な生命体」なのだから、根絶して旧来の自然が戻ってくるのを待つ選択もアリかと。
 アギトはまだ、自然と同じ技術により(?)改造された人間なので、共に生きようとする気持ち(エゴ?)も分からないではないが、旧文明社会に生きていたトゥーラまで それを何となく受け入れるのは不思議。
 彼女が巨大機構を停止させたのは、「さっき世話になった街に迷惑が及びそうだから」という、それだけだった?
画面として、「機構が爆発した際に四散した破片により、あと僅かで街を壊滅させるところだった」という見せ方をしているので、「この女、余計な事しやがって」とさえ思え、意図が更に伝わり辛くなっている。

 自然と人間の関係については、お手本にした宮崎 駿作品群が遙かに深く考察しており、浅い考えで そこに斬り込もうとは しない方が良かった。
 GONZOクオリティーで、画面は美しく作れていたのだから、テーマは放り、面白い画面だけを頂くことにして、自然の怒りを王蟲(劇中では樹木龍か)の暴走然として表し、対抗して機械文明側は巨神兵かギガントのような巨大兵器を繰り出し、派手派手な激突で見せてみるとか。
実際、この映画中で個人的に一番楽しかったのは、少年と少女が「飛ぶよ」「うん」というようなセリフを交わし、お姫様抱っこでジャンプしてみるような、「かつてオリジナル作品で高揚した記憶を思い出させてくれる」イタダキのシーンだったのだから。

 声の出演をした俳優さんで非常にボソボソと喋る方がいたため、聞き取り辛いセリフがあったのは残念。
聞き返そうとまでは思わず、物語の理解に障害が出てしまう。
 声優忌避まで宮崎アニメを真似しなくても…
でもジブリなら、これほど発声に問題があれば、役者を替えて録音し直すんじゃないかなあ。

 オープニングで地球に降下する樹木龍の迫力や、バケツを実に重たそうに持つトゥーラのように細かい作画の充実など、見所も勿論あるのだが、一本の映画としては「別に見なくても構わない」という評価に落ち着いてしまう、残念な出来。



『NIGHT HEAD GENESIS』01.「記憶」02.「接触」

 深夜枠で放送され、カルト的な人気を呼んだ実写番組…後に映画化もされたから、メジャーなタイトルかな…をアニメ化したもの。
 なんで今、この題材を、しかもアニメで作るのか、と思ったけど、キャラクターデザインを見る限り、美形兄弟を出す事で やおい方面での商売になりそう、という読みからなのかな。
 オリジナル・シリーズを よく憶えている訳ではないが、見覚えのあるストーリーが展開されている事から、新たな物語ではなく、リメイクの様子。

 美形キャラで人気を取ろうとするには、作画が弱い。
第一話から気合いが抜けたキャラ絵を見せられ、先行きに不安は広がるばかりで…

 演出が鈍いのも、難点。
 実写版は、お金がない事から、派手な特撮ではなく「異様な雰囲気」を醸し出す事に全力を傾け、効果も上げていた。
 その雰囲気に配慮せずシーンを ただ引き写し、「木の幹にロープ(注連縄?)をくくりつけただけのもの」を見せて、「出入り不可能な超常的結界」と思ってください、と言われても、それはなかなか難しく。
こういう「ごっこ遊び」みたいな やり方は、見る方も表現方法に限界がある事を承知している実写版が向いており、どんな事でも出来るはずのアニメで同じようにやられても、納得からは遠い。
 かといって、アニメで描き加えていたように電光バリバリの効果を安易に入れても、嘘っぽく安っぽくなってしまう。
 オリジナルとの、ジャンルから来る差を考慮し、どう表現する事でアニメならではの面白さにしていくのか、事前に徹底して考え抜く事が必要だったかと。

 実写版を越えられる作品になれるかどうか危ぶまれ、単純に独立したアニメとしても、ずっと追い掛けていきたい気持ちにはなれなかったので、視聴はここまでに。



 うわー!『SAMURAI 7』放送あったんだ!
油断して見逃したぁぁぁ!
 もう、NHKアニメの不定期放送ぶりを何とかしてもらいたいなあ……。・゚・(ノД`)・゚・。



『彩雲国物語』再放送01.「うまい話には裏がある」

 再放送が始まったので、見てみる。
 冒頭の、初代王が国を形作る際に八仙の力を借りたとか、各仙人には色の名前が付いていたとか、基本であったろう設定をすっかり忘れており、忘却力が強い者は同じ話を何度も楽しめて得だなあ、などと感じたり。
 最近、こういったファンタジー色の強い部分が語られることは ほとんど無く、「宮廷サクセスストーリー」然としているので、余計 思い出さなくて。
 これら下敷きになった設定は、いずれ大きな意味を持つようになるのか、「建国の神話」というだけの事で特に関係は無いのか。

 お金に弱い秀麗の性格付け(これも近頃は出てこないな、報償で割と潤ったんだっけ?)が楽しい。
 レギュラーとなるキャラクター達の紹介も、実に手際良くこなしているのが今見ると分かる…けれども、初見では、とにかく一度にキャラを出し過ぎているとしか感じず、混乱させられた覚えが。
だから、この再放送は正解。


2006年7月29日 土曜日

『ウルトラマンメビウス』17.「誓いのフォーメーション」

 ウルトラシリーズの中でも、ここまで人間が「自分達だけで地球を守り抜く」事に拘った作品は、無いだろう。
「ウルトラマンの命を無視する無茶な計画を遂行した」事なら、何度かあるけれども。
 ただ…これは非常に取り扱いが難しい概念。
こういう作品では、変身して強大な力を発揮するヒーローこそが中心にあるべき、それを特に子供達は期待しているはずなので、そこを外してしまおうとするのが喜ばれるのかどうか。
いい歳の視聴者なら、「人類の矜持」と受け止められると思うんだけど。
 これまでのシリーズでは、人類が独り立ちを目指す展開は、後の憂いが無いよう最終回近くに設定されていたような。

 今回は、「ウルトラマンに頼り切らない」話でなければならないが、「ウルトラマン不要」の話にする事は出来ず、難しい構成だったろう。
 GUYSの攻撃で再生を司る細胞を破壊し、続いてダブルウルトラマンが止めを刺す、という見せ方で、ギリギリ クリアできていたと思う。
そりゃあ「喉の細胞も ついでにウルトラマンに焼いてもらえばイイじゃん」なんだけど、それでは「防衛隊が限界まで戦った、その後、ウルトラマンが現れる」という考えにも、ウルトラ五つの誓い「他人の力を頼りにしない事」にも反してしまう。

 ずっとセリザワだけを隊長としてきたリュウだが、ヒカリが地球を去ったこと、自分の暴走を現隊長が信じて見守ってくれたことにより、初めてサコミズを「隊長」と呼ぶ。
なかなかに感動的なシーンだったけど、隊長を「さん」付けで呼んで許されていたGUYSって、かなり自由な組織だなあ。
 リュウは、現チームが作られる前からの残留隊員であり、もう少し年齢が上であったり求心力・指導力があったりしたなら新規隊長に任命されていた可能性さえあるので、特別扱いか。
 また、サコミズは そういうことを気にしそうにないキャラクターだし。

 ウルトラ五つの誓い、『帰ってきた…』で最初に聞いた時には「ウルトラとか何の関係もないだろ、『夏休みの注意』みたいじゃん」などと思っていたが、年月を経て改めて聞いてみると、イイねえ。
 難しい事は一切抜き、剣呑な概念も外して、「強く正しい大人になるためには どうすれば良いのか」、教えてくれる。



『ちょこッとSister』03.「管理人さんがやってきた」

 内容は、これまで通り「妹願望充足もの」というより「ゆるいコメディー」として、特に悪い出来ではないが、作画のクオリティーが大きく落ちてしまった事で視聴意欲も減退。
女の子の可愛いさに寄りかかっている部分が多い作品なので、何とか頑張って欲しいところ…なんだけど、予告を見る限り次回も回復していない様子。
 「これなら、原作を読み直した方が良い」と思われてしまったら、最後なんだけど。


2006年7月28日 金曜日

『ゼーガペイン』17.「復元されし者」

 了子、仮想現実世界で寝たきりになっているなら、ずっとゼーガペイン内に居た方がマシじゃないか?と思っていたけど、なるほど、そうするとデータの損失が出てしまうのね。
 膨大に作ったのであろう設定を、一時にではなく順を追って出し、それに付随して湧いてくる疑問に対し、適切に回答を提示していく。
こう言うと簡単そうだけど、現実には至難のワザとなる構成を、ごく自然に取っているのが驚異的。
舞台裏で、スタッフはどれだけ苦労していることだろう…

 敵が直々に、母艦へと侵入。
その恐ろしいシステム制圧力と、光学兵器を通さない体の作りも面白かったが、「実体 対 幻体」という事で、触れることさえ出来ない主人公達の苛立ち、というアイディアには唸る。
 容易には突破できない司令室の壁、そこを幻体と化して通り抜けてくる敵の脅威、消されてしまうホログラム・クルー(しかしすぐリロードできる)、主人公らに戦う理由を問い続ける敵少女、唯一 彼女に満足の出来る答えを出せたのが了子、その代償として了子はデータの欠損を埋められるが…
「適当なパターン」で処理しない、考え抜かれた怒濤の展開で、次にどうなるか予想も付かず、ドキドキさせられっぱなし。
 特に了子、まさかここで復帰させられようとは想像もしなかった。
何か問題を抱えての復活となったようで…「次回を早く見たい」気持ちにさせる引きが、上手いなあ。

 世界に散らばるサーバーの数、セレブラントの戦力は、かなり大幅に減少しているらしい。
敵は更に技術的進歩を遂げているみたいだし、これまで通り戦う限り、主人公側に勝ち目はない。
 ゼーガペインは「隠された超常の力が目覚めて強くなる」タイプのロボットではなさそうだし、どういう逆転の手段を考えているのだろうか。
敵側にも感情があり、そこに上手く訴えていく事によっては、更に上位に控える真の敵に対し、共闘も可能?



『ひぐらしのなく頃に』17.「目明し編 其の弐 ケジメ」

 これまでも色々に凄いアニメだったが、この新編がまたスゲエ。
 前回 詩音は、叔父夫婦からの虐待、という不幸な家庭環境にある少年・悟史に好意を抱く。
普通だと怒りは「彼を虐める非道な叔父夫婦」に向かいそうなものだが、彼女自身、健全とは言い難い環境に置かれてきたせいか、より弱い者、彼が保護している妹へと その矛先を向けてしまう。
 怒りの表現がまた、「ヒステリー気味に子供へと暴行を加える母親」を思わせ、凄絶かつ痛々しい。
幼女相手に本気で暴力を振るう様子には、エラいモノを見てしまったと感じさせられ、呆然としてしまう。
 規制の厳しいテレビ東京辺りなら、納品拒否、放送差し止めになりかねない内容(^_^;)。

 今回の、詩音自ら「生爪剥がし機」に掛かっていく様子も、とにかく狂気に充ち満ちており、恐ろしい。
 剥がれていく所を直に見せれば、更に「イタい」シーンになったろうが、さすがに やり過ぎか。
アニメだと「そこ」を詳細に描いても限界があるので、痛みと恐怖でパニックになった詩音の表情を見せる方が、効果的かも知れないし。

 次回はどんなヒデえモノを描いてくれるのか、楽しみ。
 しかし…最初からそうだけど、強烈に、見る人を選ぶアニメだなあ。
「萌え」目的の人なんか、もう残ってないでしょ?


2006年7月27日 木曜日

『イノセント・ヴィーナス』01.「奈落」

 近未来、ダークな世界観で展開される、ハードな血まみれアクション&ロボット活劇。
 富裕層と貧困層に二極分化し、治安状態が最悪になった日本…というのは、それほど珍しい設定でなく。
何か重要な存在らしく体制側に追われる少女、彼女を守って逃亡する男…この辺り、パターンながら、取っ掛かりとして分かり易くはある。

 しかし、「少女を守って逃げてきた男」と「無口な戦闘プロフェッショナルの男」を、似通ったキャラクターデザインにして、第一話から同時に登場させる不親切さは不可解。
この一話目だけ見ては、どちらが主人公なのかも分からず。
 二人共が主人公、という事なのかも知れないが、互いに反発したり補完し合ったりする性格付けには なっていないので、とにかく一緒に出してしまったのは上手くない。

 とりあえずレギュラーになるのであろうキャラを ざっと登場させて見せ、世界観を紹介し、人間に加えロボットのアクションまで展開。
全てにおいて「酷く不足している部分」はない構成だったが、逆に言えば「どこか一カ所、突き抜けて良い部分」というのも、見当たらない内容。
 いや、頑張った作画による派手なアクションは、見所だった。
…このレベルがどこまで保てるか、分からないけれども。
 『ボトムズ』か『ダロス』の作業用ロボットを思わせる大きさのロボットが、楽しい。
ローラーダッシュ(?)で移動するシーンなど、「おおっ」と声が出てしまうぐらい。

 視聴継続。
 ただ、川越 淳監督の作品は、開幕当初は凄い勢いで突っ走ってくれるものの、回を重ねる毎にテンションが落ちていく傾向にあるので、その辺りが心配。



 衛星で放送していたので、凄く久しぶりに映画『機動戦士ガンダム F91』を見る。
 公開当時は劇場で見た…んだっけな?その後もテレビ放送などで一度か二度見たような気がするけど、もうすっかり忘れている。
 僅かに、仮面オヤジと娘が よく分からない確執で殺し合って「ふはははは、怖かろう」とか妙なセリフを呟くパッとしないアニメ、という印象があったぐらい。

 見返してみて…
 いやあ、意外なぐらい面白い。
特に冒頭30分、モビルスーツ部隊に急襲を受けるコロニー内の混乱と地獄絵図、これが圧巻。
 「モビルスーツのコロニー侵入から始めるのがお約束」なガンダムだけど、それに巻き込まれた一般人が味わう恐怖の描写は、ファーストガンダム以来の出来かも。
 この襲撃時点では主人公の少年達に戦う術が無く(ガンダムも無い)ただ逃げまどうだけな事、味方であるはずのコロニー防衛隊が非情にも(少々常軌を逸して)子供達を「楯」として使うべく襲いかかってくる事など、主人公達を徹底して戦争の狂気に晒される「被害者」に描いてある。
 モビルスーツの銃から排出された巨大な薬莢に頭部を直撃され息絶える母親、爆発に巻き込まれビル壁面に叩き付けられて即死する少年、等々、「そこまでしなくても…」ぐらい残酷な描き方をして醸し出す「非戦闘員でも関係なく命を奪われる戦争」の空気感は、劇場のクオリティーで画面が構成されているせいもあり、シリーズ随一。
 この冒頭部だけでも、『F91』を見る価値があると思える程。

 ただ…
その後、物語が ひどく駆け足になってしまう。
『ファースト』や『Z』の映画と同じく、「テレビシリーズのダイジェスト」と感じられるぐらい(実際、そういう作りだったらしい)。
 今 何をやっているのか、どうしてそういう事になったのかは説明されていて分かるんだけど、キャラの心の動きや事態の転換が急激すぎ、面白がりつつも気持ちを浅くしか入れられず。
 もっと削れる場所を削り、全体の構成を締め付ければ、一本の映画として まとまりが良くなったかも。
…そうすると、より「あらすじを見せられている」感は強くなってしまったろうが。

 珍しく そんなに不幸な家庭環境でもない主人公・シーブックと、こちらは不幸の塊のようなセシリーの対比は面白く、もっと見ていたい気分に。
 セシリーは、その立場から「赤い彗星」再びなのか、いや「セイラ・マス」か。
ジオンを捨てた「ガルマ・ザビ」かも。
 『ガンダム』シリーズ中でも最悪かも知れない、無理解で粗暴な主人公所属艦の艦長(?)が楽しい。
バグ襲撃で死んだのかなあ…もっと悪役を続けて欲しかった所。

 強力な新型モビルスーツで構成されたクロスボーン・バンガードと、腐敗著しい地球連邦の戦い。
コロニーから出発した物語が、大気圏突入にまでも至らず終わってしまっているのは残念。
 戦いの趨勢はどうなっていくのか、最終的な落とし処をドコに置くのか。
 基本的に『ファースト・ガンダム』をなぞりつつ、新鮮な物語を紡ぎ出していく事は十分可能だったかと。
その萌芽は いくらか『Vガンダム』に受け継がれているようだが、映画『F91』の後すぐにテレビ版なりの製作がスタートしていれば、監督の精神状態が また異なり、どの『ガンダム』とも違う「凄いもの」が現れてきたのではないかと思える。

 素材としては悪くなかったと思うので、ここで終わってしまったのが惜しい。
 …漫画『クロスボーン・ガンダム』は、世界を引き継いだ作品だったらしいけど、未読。
いずれ読んでみたいな。



2006年7月26日 水曜日

 久しぶりに迷惑メール紹介。

> Subject: 主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。
>
> いきなりのメール失礼します。
> 久光さやか、29歳の未亡人です。
> お互いのニーズに合致しそうだと思い、連絡してみました。
>
> 自分のことを少し語ります。
> 昨年の夏、わけあって主人を亡くしました。
> 自分は…主人のことを…死ぬまで何も理解していなかったのが
> とても悔やまれます。
> 主人はシンガポールに頻繁に旅行に向っていたのですが、
> それは遊びの為の旅行ではなかったのです。
> 収入を得るために、私に内緒であんな危険な出稼ぎをしていたなんて。
>
> 一年が経過して、ようやく主人の死から立ち直ってきました。
> ですが、お恥ずかしい話ですが、毎日の孤独な夜に、
> 身体の火照りが止まらなくなる時間も増えてきました。
>
> 主人の残した財産は莫大な額です。
> つまり、謝礼は幾らでも出きますので、
> 私の性欲を満たして欲しいのです。
>
> お返事を頂けましたら、もっと詳しい話をしたいと
> 考えています。連絡、待っていますね。


 内容はまあ、フツーに つまらないんだけど、タイトルのインパクト勝負。
「主人がオオアリクイに殺された」って(笑)。
いくら何でも不幸な死に方過ぎ。

 前足は逞しそうな気がするけど、よっぽどの事がない限り、人間に襲いかかるシチュエイションなんて考えられないような…
(掲示板で、滅多に人は襲わないけれどもオオアリクイはかなり危険な動物だ、というご指摘を頂きました)
ご主人はオオアリクイに どんだけ酷い事したんですか?という疑問が。
 確かに、「ライオンに殺されて…」「強盗に…」なんてのじゃ、インパクトが弱そうだけど。
 いっそ「夫がエイリアンに攫われてから1年が過ぎました」とか「政府の特務機関に殺されてから…」とか書けば、緊張感とストーリー性が出て来そうな。
しかし、そんな男の嫁さんに関わると、自分の命まで危なそうな気はしてしまうか。


2006年7月25日 火曜日

『コヨーテ ラグタイムショー』04.「過ぎ去りし日々」

 厳重なセキュリティーに守られた大金庫を破る、海賊王ブルースの過去話。
 『ルパン三世』を思わせ楽しい内容ではあったけど、アチコチ詰めの甘さが。

 宇宙船が飛び回る時代に、金庫室への認証方法が、カード、声紋、網膜、指紋(掲示板でご指摘を頂きました。正しくは「静脈認証」だそうです)という、現在でも普通にありそうなモノばかりなのは、どうか。
そこいらの銀行ならまだしも、宇宙一厳しいセキュリティーの設定だろうに、余りにも脆弱。
 DNAとか思考認証、オカルト的にはオーラを見るなど、もうちょっと「未来」を感じさせてくれても。
 ただ…余り電子的に凄い検査システムを作ってしまうと、そこを突破するのには「DNA偽装装置で騙しました」「オーラ・ウェーブ変換器で突破しました」というように、「何だか便利な装置で どうにかしたらしい」描き方になってしまい、かえって面白くなくなる可能性アリ。
 結局の所、オートマティックな電子装置は「外部からシステムをハッキングしました」とする事で、楽に乗り越えられてしまう。
アナログな、人間の思考の隙間を付くやり方が、普通の観客には楽しく感じられるだろう。
といっても、そのアイディアを捻り出す事は、とてもとても難しいんだけど。

 網膜まで複製できたが、指紋はムリだった、って海賊王の技術水準がよく分からない。
 ムリなドアをどうやって突破するかと思えば、横にメンテナンス・ハッチ(?)があったので そこから侵入した、という、想像を下回るオリジナリティーを発揮してくれたのに驚いてしまう。
金庫周りの設計者は、間が抜けすぎてないか?
 これなら、良くあるネタで、もうチェックシステムなんか全部スルーして、人間が通れる程度に広い通風口を金庫室まで這って行った、でも構わないだろう。

 テレビ『スパイ大作戦』を見てみれば、これよりか気の利いたアイディアがいくらもあるから、パクれば良いのに。
せっかく巨大ルービックキューブ金庫のレプリカを海賊王が作ったんだから、それを頭取に本物だと勘違いさせ、内部に閉じこめ脱出しなければならないシチュエイションを用意する事で、金庫の破り方を実演してもらう…とか(コレもパクりネタ)。

 金庫が非常事態に陥った際、銀行外部に排出され、ほとんどノーチェックの係員に その行方を委ねる…って、酷いシステムだなあ。
この銀行、アホなのでは?
 これで済むなら、金庫室に入る必要すら無く、金庫に搬入される金、あるいは貴金属に「見事に偽装した」爆弾を仕掛けておく、で良かったような。
 そこまで便利に奪って行かなくても、金庫室からの脱出に多少は手間を掛けてもらう事にして、『オーシャンズ11』を僅かに変形させつつパクってみるとか。

 まあ、30分じゃ凝った事をやるには厳しい、ってのも分かるけど。
 それなら、盗みのシーンなんか適当に短く終わらせて、ブルースのキャラクター…ミスターや仲間との関係、銀行の部下や上司を強力に引き付ける人間的魅力、時折見せる氷のような鋭さ、等々…を紹介する事に重点を置いた方が、良かったかも。
 このアニメは、キャラクターで保たせている作品だと思うから。



『おねがいマイメロディくるくるシャッフル』17.「マリーランドになったらイイナ!」

 絵本みたいな可愛い絵柄の女性漫画家が、お隣に越してくる話。
 こういうネタじゃそりゃもう、自分語りにならざるを得ない。

 「編集者に追われて逃げ回ってます」という作家を、漫画などではよく見て、昔は「何だか楽しそうだなあ」と思っていたもの。
追われるのは、自分の仕事をそれだけ必要としてくれている、って事だから、大変ながらも嬉しいんじゃないかと。
 現実に描くようになってみると、そりゃもちろん嬉しい気持ちはあるが…特に上手く描けずに苦しんでいる最中の催促電話など、近いのは「学生時代、テストの前日に担任の先生から『勉強は進んでる?赤点を取るようなことはないね?』という電話が掛かってくる」状態で、まず感じるのがプレッシャー。
 自分のような場末の気楽な えっち漫画描きでさえそうなのだから、より製作状況の厳しい一般誌の作家さんが感じる、編集さん催促の圧迫感というのは、どれほどのモノか。

 と思うので、それから逃げたい一心で引っ越しをしてしまった、今回登場作家さんの気持ちも、まるで分からない訳ではない。
随分 誇張された表現、としては、よく分かると言ってもイイ。
 でも、「出版社に多大な利益をもたらす作家」であれば別だけど、フツー程度の作家だと、連絡しても捕まらない、というそれだけで、容易に仕事を失ってしまう。
 辛くても電話には必ず出ること、そして どうしてもムリな時は「ムリです」と早めに言うこと。
原稿が描けないので落とします、と言われるのも そりゃ困るだろうけど、連絡が付かないまま放置されるのが編集部にとっては最悪の事態であり、作家は絶対に避けなければならない。
 …と言い聞かせていないと、自分だって居留守など使ってしまいそうな弱い人間なので。
 実際の話、自分などより遙かに素晴らしい才能を持ちながら、プレッシャーに耐えきれないばかりに消えていった作家さん、凄く大勢 居る。

 本編に戻して。
編集者「早く原稿寄越せシギャー!今日中に印刷所に入れないと間に合わないギャオース!」
漫画家「分かってるモモ!だけど いい加減なモノを上げる訳にはいかないモモ!私はプロなのよモモ!」
編集者「プロだったらスケジュールを守るもんだろ○×ギャオ△□」
 ここいらのセリフはリアリティーがありすぎ、泣けてしまう。
今日も、どこかの編集さんと作家さんの間で交わされている会話じゃなかろうか。
いや、「ギャオー」とか「モモ」とかいう語尾は除いて。

 「ネタが出来たからもうイイや」という訳で、クロミの魔法世界を「強制終了」させてしまうマイペースな漫画家さんが楽しい。
 このぐらいな図太さ強烈さが無いと、第一線の作家なんて続けられないやね。


2006年7月24日 月曜日

『BLOOD+』41.「私の居場所」

 連続鑑賞で、ようやく本放送に追いつく。
 小夜弟、死んじゃったんだー(その頃から見てなかった)。
シュヴァリエにも「可愛い男の子系」が居た方が良かろうから、殺しはしないだろうと思ってたのに。
 その代わり、ディーヴァが姿を受け継いだから、問題ない?
 ところで、彼女が弟の姿になったのは どういう意図なのか、時間に追われた鑑賞だったから ぼんやりしているウチに説明されたのだろうか、分からない。
彼の姿が気に入ったから?彼を大事に思っていた姉への嫌がらせ?

 ちゃんと物語は進んでいるし、様々なイベントも組まれていて、つまらない内容ではないと思うんだけど…不思議に淡々とした印象ばかりが残る作品。
弟が死んだ辺りでは、怒りに燃えた小夜がスーパーサイヤ人化するかと思ったのに、いつもと変わらず。
 そういえば、小夜はやたらに弱い。
時折 強い事もあるような気がするけど、大抵は、誰かが敵を押さえつけて「今だ小夜ー!」とか言っている所にドスを構えたヤクザの鉄砲玉みたいな格好で突っ込んでギリギリの勝利を収めてばかりのような。
 昔は、剣の修行をしていたんだっけ?
「敵の強さと対比すると弱い」のではなく、「普通の女子高生よりは、いくらか剣を振り回せる分 強いらしい」程度にしか戦えていないみたいに見えるが。
戦いの合間を見て、武道でも習った方が良いのでは。
 ヒロインが無茶苦茶 強いようじゃ かえって面白味がないし、周囲のお仲間キャラにも存在理由が無くなってしまうのでマズかろうが、せめてもうちょっと…



『生物彗星WoO』12.「最後の闘い」

 最終回を次回に控え、盛り上がるエピソード…
なんだけど、うーん、もう一つ。
 怪獣を研究していたマッド・サイエンティストが、そのパワーを取り込み・取り込まれて恐ろしい敵になる…のは まあ分かるんだけど、それが最後の敵っぽくなるのはどうだろ。
人間に対し、怪獣達は明確に悪意があったと思うのに、コレだと ちょっと、その辺りがぼやけてしまうような。
 次回、もっと深い所まで真相が明らかになることで、この展開に納得できるようになるのだろうか。

 バタバタ人間が死んでいくハードなストーリーは面白いし、ボロアパートの住人達が出産に立ち会って心を一つにしていくような人情話も それはそれで良いが、この二つを一つの作品中に抱え込もうとするのには少々ムリを感じてしまう。
 心無いモンスターと、血の通った人間の対比、という意図がある?
しかし…人間ドラマが余りにもベタ過ぎ、『男はつらいよ』の世界に殺人モンスターが現れたような違和感。
 「職務」としてヒロインを追い詰めてきた特務機関の連中が、恐ろしいぐらい分かり易い米軍のカタコト極悪将軍を前に、味方側へと鞍替えしてしまうのには、時間ロスが少なく済んで効率的な構成だとは思うが、「都合」もまた感じてしまう。

 また放送まで間が空くみたいだけど、最終回の出来に寄るかな。
 どうも、死んだと思われた人間達が結構な割合で戻ってきそうな気がするんだけど。


2006年7月23日 日曜日

『ウルトラマンメビウス』16.「宇宙の剣豪」

 大真面目な話だったんだけど、それ故に、ちょっとした事が変に可笑しくもあった。
 マグマ星人が、しかも二人も登場しながら、まるっきりのザコ扱い。
…いや、『レオ』でも、倒される際にはザコ扱いだったけど…
 地球の命運を賭け、宇宙空間から飛来する彗星に向け放たれた人類最後の希望・光線兵器攻撃が、剣豪宇宙人・ザムシャーの刀にカキンカキンと軽く跳ね返されてしまうシーン。
ちょっとジェダイ騎士団っぽくあり。
「別にお前を狙ったんじゃない、その下にある彗星を壊したいんだ、邪魔だからどいてクレよ!」というような必死さを、何気なく無にされる無情さ加減が、ギャグにも思え。

 地上から破片を狙撃する砲台。
あんなに小さいんだ…
巨大な宇宙人と対比しての小ささだから、人間にとっては十分大きいんだろうけど、気まぐれみたいな刀の一閃で破壊されてしまう脆さが人類の儚さを思わせ、悲しいけどおかしい。
 ゲーセンのガン・シューティングゲームの要領で、破片を破壊するGUYS。
二人がかりでやらなくても…
砲台は一つしかない訳で、二人が一度に別々の目標を狙ってしまった場合、どうなってしまったんだろ?

 せっかく前回、新戦闘機ガンローダーが登場したばかりなんだから、パワーを印象づける意味でも、それで彗星片を破砕して良かったかと。
機体に本部からエネルギー伝達ケーブルを繋ぎ、近くをホバリングしながら凄まじいまでの連射を行ってミッションを完了する、という絵があれば、強いモノが好きな子供の購入意欲を より高められた…かも。

 GUYS本部内で、回線をつなぎ替え、シューティングを行う、このドタバタが大変に楽しくて、本筋であろう剣豪とメビウス・ヒカリの対決は霞みがち。
 いつも困りものの補佐官が、ビーム兵器の冷却器が限界に来ているという報告に、「壊れたら新しいのを買ってやる!」と言うシーン、笑ってしまいつつも、熱い。
「守るべきもの」として、補佐官が孫?に笑顔を見せている場面があり、そこと重ね合わせれば「オモチャじゃないんだから」と思えて笑いながら、「大事な孫を守るためなら損害なんか気にしてられるか!」という気持ちも伝わってきて、面白いセリフになっていたと思う。
 意外にも武術をやっているらしい補佐官と、剣豪宇宙人の絡みも欲しかったところ。
ザムシャー、人間体になって地球に残り、補佐官に弟子入りして修行し、段々と人間味を獲得していくとか。
…ますますヒカリの立場が無くなってしまうけど。



『仮面ライダーカブト』25.

 渋谷廃墟の扉の向こうにあったのは、ワームの研究施設だった?
 これまで、「ワームは飛来した隕石に付着してきたもの」だと思ってきたが、実は渋谷の研究施設で作られた?
そこを隕石が直撃したため、逃げ出して、現状のように繁殖したとか?
 しかしそれでも、35年前のノートに、ガタックと その装着者として加賀美の名前が記されていた理由は説明できない。
隕石の衝撃で、一部地域がタイムスリップを起こし、衝突時点から35年前に飛ばされた?
研究の内容を「ファイルに手書きで」記している事とか、妙に古い時代を思わせる描かれ方ではあるが。

 『エヴァンゲリオン』的に、何らかの予言書にある記述を現実にするため作られた機関がZECT。
ガタックというライダーの名も、その装着者が新である事も決まっており、それに沿って加賀美父が命名していった、とか。
「問題ない、そのためのマスクドライダーシステムだ」

 警察にスイッと入り、スチャラカに要領よく出世していく天道に、笑ってしまう。
そりゃ登り詰めるのが早すぎだろ。
 この何でもありぶりからすると、彼は「神」に近い存在なのでは(笑)。
ギリシャ神話だと、例えばゼウスで、よく言う「お婆ちゃん」ってのが「ガイア」だったり。
天の道を行き…という決めゼリフからすると、アポロンの方が近い?

 物語が停滞気味かと思っていたが、各キャラクターが色々に行動を見せ始めて、また興味を喚起されてしまう。
加賀美と対峙するゴローちゃん(違う)は、特に見所。
ガタック状態でも、生身のゴローちゃんに勝てる気がしないよ…



『彩雲国物語』16.「渡る世間に鬼はない」

 とにかく人名やら地名、役職名が難しい言葉で表されており、セリフで聞いているだけだと漢字が浮かばなかったり憶えられなかったりで、混乱してしまう。
前にも書いたけど、キャラクターが結構多くもあり、その回の初登場シーンにはテロップで名前を入れる、ついでに役職や地名も思い付いたら出してくれる、ぐらいの親切さがあって良かったかと。
 人間関係が入り組んで来たので、今の所まだ混乱する程ではないが、ボチボチ総集編なり入れて もう一度整理しておくと、更に楽しみやすくなるだろう。

 いや、しかし、面白い。
 古代宮廷版『アンジェリーク』…という捉え方で、基本、間違ってないと思うけれど、美形キャラがそれぞれ魅力的に描けていることと、性格のイイ奴が揃っていること、それと各人 適度にアホな部分を持つことで、男性視聴者にも見易い内容になっている。
 お腹一杯になるぐらい美形男性キャラに囲まれながら、ヒロインである秀麗は、基本的に愛恋沙汰への興味が薄く、「あの人もあの人も素敵だわ、ああ、私ったらどうしましょ」みたいな身勝手状態に陥っていないのがまた、男性視聴者を見易くしてくれている要因。
これは、『桜蘭高校ホスト部』にも言えることで。

 官吏を目指し、試験に受かったは良いモノの、一位合格が変人、二位は子供、三位女性という事で、周囲からの風当たりは強く。
 酷い目に遭いながらも挫けずに頑張り、次第に周囲から認められていく様子など、『チャングム』辺りとも共通する、分かり易いエンターテイメント。
ただ、『チャングム』は全体に驚くぐらい平易で、オバチャン層が一週おきに見ても混乱する事はないだろう内容なのに比べ、『彩雲国』は、凝っている分うかうかしていると置いて行かれがち。
『彩雲国』も、一応は子供までターゲットに入れた作りだと思うけれど、随分と差があるなあ。
 どちらが良い悪いではなく。

 今週は、かなり良い所で引いてしまった。
姉さんが利を取って裏切る事はまず無いと思いつつ、早く次回が見たい。


2006年7月22日 土曜日

『ウィッチブレイド』15.「絆」

 まとめて見て。
 面白いんだけど、興味を引かれるのはキャラクター達が織りなす人間関係方向に偏っており、敵モンスターの出現とかバトルは特に…
印象に残っているのは、梨穂子と、中年の悲哀を漂わせた おじさんモンスターのエピソードぐらい。
 作品としても、今のところ「『水戸黄門』での、助さん角さんの大立ち回り」程度のウェイトしか置いていないように見える。

 玲奈が娘を引き取ることによって、冷徹な研究者から次第に「母親」らしさに目覚めていく所、かなりツボで、ホロリ。
 ツンデレ…というのでもなかろうけど、『ハルヒ』の長門など低血圧冷静系キャラクターが大人になり子を持ったらどうなるか、シミュレーションして見せてくれたような。
 子供が出来る前、鷹山と付き合っていた時期には、さほど感情的な異変を起こした事がないのかな。
所詮 男は他人に過ぎず、オノレの分子である子供とでは、女性が寄せる愛情の桁が違うか。
寂しいような、それはそれで良いような。

 玲奈と雅音の母親対決、もっと突き詰めてやって欲しかったが、玲奈のもう一人の娘が乱入・母殺しを行う事で、ウヤムヤに。
 玲奈は難しい お母ちゃんで、付き合いづらかったろう事は分かるけど、特に抵抗無く一度離れた雅音に駆け寄る梨穂子には、ちょっと違和感。
まだ実の母親が辿った運命も知らなかろうし、子供らしい純粋さとザンコクさを表している、とも取れるけど、物語の都合に合わせているようにも感じられて。

 玲奈は もう退場なのかな?再登場あり?
娘を守るため、ダブル母親ブレイドが共闘する…ってシーンを見たかったんだけど。
 これからは まりあが最強の敵になっていくのだろうか。
最悪の敵は、娘達を娘とも思わぬ所行を見せる古水達興なんだろうけど。
 この作品は、「親子の情」というのがテーマになっているのかな。
当然、その結びつきが強い者ほど強く、それをナイガシロにする者は敗れていく事に。



 昨日、東芝のDVDレコーダーが故障し、突然、「ディスクに問題があり、再生以外できません」とメッセージが出る。
その通り、HDに録画したデータの再生は出来るものの、新規録画も、データの消去も、一切不可能に。
 これじゃ使い物にならないので、すぐに修理を依頼。
今日、土曜日に来訪予定。
 後で検索してみたところ、この症状への対策は、HD初期化か交換、という事。
 うわー!まだ見てないアニメやら映画が山のようにあるのに、どうしよー!とパニック。

 という訳で、消される前に、しばらく見ていなかった『ウィッチブレイド』『BLOOD+』『SAMURAI7』と、数週間分溜まっていた『彩雲国物語』を、10時間以上、連続鑑賞して消化。
 これだけ続けざまに見ると、各作品についてドラマの流れがよく分かって楽しい部分と、普通に疲れてしまう部分と、あるなあ。
 未鑑賞の映画も30本ぐらい残ってると思うんだけど、再放送を信じたり、レンタルを利用する事にして、諦め。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 追記。
 夕方頃、修理の人が来て、予想通りHDをサックリ初期化。
雑多な番組データと引き替えに、機能回復、とりあえず動くようにはなった。
 HD内部に、録画データの断片化が起きているのが原因ではないか、という事。
PCで同様の事が起きた場合には、断片化解消のソフトで解決できるが、DVDレコーダーには そういう機能が無いため、初期化するしか方法は無い、と。

 なるべく断片化させないためには、録画データに編集を行って細かく割り ちょっとずつ消す、というのが最悪。
一本見たら一本消す、というのも推奨できない。
ある程度の本数、ゴミ箱にデータを溜めて、一気に消す事で、断片化が比較的マシになりやすい…らしい。

 定期的に初期化も行った方が良い、と。
ただ、その「定期」は どのぐらいなのか、研究されていないそうなので、自己判断で…って。

 便利だけど、厄介なものだなあ、DVDレコーダー。
 一台だけだと非常時に不安なので、もう一台、メーカーを変えて日立のレコーダーを購入する事にした。
デカイ出費だけど、現在、これがオタとしての生命線なので、どうにも仕方ない。


2006年7月21日 金曜日

 WOWOWで放送された映画『フランケンフィッシュ』を見る。
 監督も主演も、知らない人。
 遺伝子操作で巨大化した雷魚が、河川に放たれて…

 基本的には『ジョーズ』。
 モンスター・フィッシュの関係者が現場に現れ、状況を掻き回す所など、工夫なんだろうけど、マトモに評価するなら緊張感を削いでいるだけでムダな構成としか。
「お笑い馬鹿映画」としては、悪役然として彼らが格好良く登場した途端、雷魚にボートをひっくり返されて全員 川の中でパニック状態に陥る、余りの下らなさに笑ってしまったけど。
 襲われ方に工夫がないのと、アホみたいな人為的ミスでポコポコ死者を出してしまうのも難。
炎に炙られているショットガンの前に立ってれば、暴発して弾丸が飛んでくるかも知れないなあ、ぐらい、銃器に詳しくなくても分かりそうなモノで。

 CGの値段が安くなったためか、こんなC級映画でも、モンスターはそこそこ見られる出来。
 『ジュラシック・パーク』の一シーンをパクったっぽいラストシーンが、ダメ映画好きには楽しい。
 テレビで流していたら、何かしながらダラダラ見るには まあまあ、ぐらいの映画。



『ひぐらしのなく頃に』15.「暇潰し編 其の弐 兆し」

 珍しくバッドエンドじゃない感じ?
前の祟殺し編も、一応は圭一が死なずに終わったみたいだから、最悪の終わり方、とは言えない?
 といったって、今回は刑事の奥さんが亡くなってしまったけど。
これは、単に事故だったのか、帰れという忠告を無視した刑事に下された罰なのか。
刑事には、「罰」というような考え方は無いようだが。

 しかし、ここまで来てまだ全貌が明らかにならず。
綺麗に全てを解き明かしてくれる瞬間は、訪れるのだろうか?
 謎解きが主目的の作品ではなく、ホラーやサスペンスのタッチを楽しむべきだとは思いつつ、気になる。


2006年7月20日 木曜日

『ゼーガペイン』16.「復活の戦場」

 やっぱり、了子は完全な状態では復活できなかったか。
 ゼーガペイン搭乗時のみ普通に行動でき、仮想日常空間では昏睡状態にある、という強烈な差が悲しい。
これなら、もう日常には帰らず暮らした方が良いような。
コックピットから降りても大丈夫みたいだから、戦艦内ならマトモに生活できそうだし。
 日常で、弟を一人きりにしてしまうのは気掛かりかも知れないが、どうせ弟もクラスメートも自由には お見舞いにさえ来られないようになっているんだろう。
いや、他の戦死した人のように「何故か会えない」扱いではなく、「事故にあった、入院している」という設定がきっちり付けられている所からすると、見舞いは可能なのかな。
どんな状態でも、生きていてくれるだけで家族にとっては支えか。

 街も記憶もリセットされる、というのは、気付いている人と気付かない人が居るようで。
何度も、何十回も、何百回も同じ時間を繰り返してきたセレブラント達が、「生徒会室に籠もって出ていきたくなくなる」気持ちは、よく分かる。
 まだ二度目でしかない京は、もしかして仲違いした友達に素直に自分の気持ちを伝えることで、より有意義な時間を送ることが出来る?
にしても、その時間さえリセットで、いずれ無かった事にされてしまうのだが。

 復活の時、というのも想定されているんだなあ。
敵側にしかない技術のようだけど。
 現実の、崩壊した地上に出ての生活は、仮想空間ほど文化的でも快適でもあるまいが、それでもなお「無制限の未来」がある、というのは大きいだろう。

 復活した了子と京による、息の合ったバトルが楽しい。
 彼女は、データとしてかなり足りていない状態のようだが、実体に移し替えて復活する事は出来るのだろうか。
実体の場合、「コックピット内でだけは大丈夫」という訳には いくまいから、常に昏睡状態になってしまうのかなあ。
 紫雫乃も、京に対し好意を持っているみたいなので(元恋人だっけ?)、戦闘によって彼女のデータも半分失われた事にし、二人を結合させ一人分の完全なデータにすれば、三角関係まで解消して なんか色々めでたしめでたしでは?
無茶言ってますねすいません。


2006年7月19日 水曜日

『うたわれるもの』15.「宴の終わり」

 数話まとめての感想。
 ハクオロと深い因縁が ありそうなオリカカンとの戦いが、ニウェの横槍で実にアッサリとついてしまうのに拍子抜け。
ハクオロ達を「悪」とする誤解(?)についても、わざわざニウェが全貌を語ってくれ、それを影からトウカが聞いていた…というのでは、余りにも都合良く片付きすぎたようで不満。
 結局、オリカカン軍は、何を、どう言いくるめられて、ハクオロ達を襲ったというのだろうか。
彼とハクオロの間に、過去の経緯があったのは確かじゃないの?
 そうなると、そこを明らかにせず、トウカがハクオロ側に付くのは ちょっと変に思えてしまう。

 ニウェ、「勝つためならどんな事でもやる」男なのかと思えば、何だか「全てに飽いていて、世を疎み、強大な災厄の種を生み出す事にのみ情熱を燃やしていた」…のかな。
銀河皇帝やダース・ベイダーのように、強い相手をダークサイドに引き入れる事で戦力を充実させようとしていた、って訳でも無さそうだし(そもそも、軍は十分強いはず)。
 厄介なジイサンに描こうとした意図は分かるし、そういう「異常」とも思えるキャラの考えだって理解できなくはないけど、「絶望的な戦いに臨むハクオロ達」に勝利をもたらすには、余りに有利な条件と思え、うーん。
 これだけ厳しい戦況の中、レギュラーキャラに一人の戦死者も出さない事も、シビアさを削ぐ原因。
…いや、どのキャラも個性的で魅力があり、好きだから、死んで欲しくはないんだけど。

 回を重ねてもブレない、キャラクター個々の捉え方は素晴らしい。
彼らが揃って軍議をしている所など、「コイツはこういう時、こう発言するだろう」というのが予測できる程…オボロは とにかく戦いを主張し、クロウは それに同調しながらも僅かに慎重、ベナウィが大局的な見地から意見をし、カルラは酒を飲みエルルゥは皆を心配し不安げ…というような。
 キャラが立っている作品は、それだけでも見続けるに十分な価値がある。

 これからは、外側の敵よりも、「ハクオロの心の内側に潜む敵」との戦いがメインになっていくのかな。
 でも、オープニングを見ると、「巨獣激闘」方向にも行きそうであり、読めない。



 映画『M:i:III』を見る。
 監督は、一作目のブライアン・デ・パルマ、二作目のジョン・ウーからまた代わって、テレビシリーズ『エイリアス』『LOST』のJ.J.エイブラムスに。
 主演はもちろん、映画を自分色に染め上げてしまう、良く言えばオーラがある、悪く言えばオレ様節全開のトム・クルーズ。

 映画シリーズ中では最も、原典である『スパイ大作戦』に近い作り。
それぞれに個性がある人員の編成、彼らを率いて臨む作戦、危機とそれを乗り越えていくチームワーク…
映画らしく、アクションに手間が掛かっていて派手派手な事もあり、見応えがある内容に出来ていたと思う。
 本部の描かれようなど、『エイリアス』そのままで、ちょっと可笑しい。
 「愛のために戦う」…スパイらしからぬ動機ではあるが、エンターテイメント作品としては これでオッケー。

 以下、内容に触れてしまうので、未見の方は御注意。



 いいかな?

 映画前半の作戦行動は、それなりに良く出来ていた。
オリジナル・テレビシリーズのファンとしては、力押しで突破してしまう部分が多く見受けられ、若干不満ではあるが。
それでも、「作戦行動」が取れているだけマシ。
 中盤の見せ場、海上道路での大アクション…
派手さは良いんだけど、オリジナルであれば、「奪還された人間もまた、実は変装したチームの一員」という事で、敵地に送り込むことで本拠地を突き止める計画の一環、というような小技を効かせてくれたろう。
あるいは、奪還作戦その物からしてトム・クルーズ・チームが仕掛けたフェイクで、油断させて情報を引き出そうとしていた、とか。

 中国でのビル侵入作戦。
トム・クルーズの無謀なアクションは見せ物として面白かったから良いとしても、鏡面を為す術無く滑り落ちていくところ、こうなる事は予想できたはずなので、大きい吸盤のようなアイテムでも持たせるとか対策を講じて欲しかったなあ。
手すりがあったから、ギリギリ何とか止まれたけど、危ない所だったのでは(あそこで止まるのが最初からの計画だった?)。
 ボールをポンポンと屋上に打ち込むのも、警戒を強めさせるだけのような気がする。
幸い、相手がアホだったから警報を鳴らされないで済んだが。

 裏切り者は すぐ予測できるんだけど、行動の理由は よく分からず。
その最期がアッサリしすぎているのに、驚いてしまう。

 重要そうに描かれていたアイテムを、結局謎のまま終わらせる…マクガフィンって訳ね。
 最近、こういうのは珍しいような。
ヘタをすると「説明不足、シナリオの不出来さ」と取られる可能性があるし。

 ヨメさんは強すぎだなあ。
海上道路でのアクションといい、『トゥルー・ライズ』を思い出してしまう。
 この事件の後、彼女も組織に組み込まれることになったり?


 映画館で見て良いだけの内容には、なっていたと思う。
見終わって何も残らないけど、それが娯楽作品ってモノだろうし。
 個人的には、地味になってもイイから、「なるほど!やられた!」と感じさせてくれるぐらい見事な作戦を描いて欲しいんだけど、この映画に望まれていることは、もう そういうモノじゃないんだろうな。


2006年7月18日 火曜日

『コヨーテ ラグタイムショー』03.「右腕と呼ばれた男」

 いまだに、ついタイトルを『コヨーテ・アグリー』と言ってしまう。
SFアクションアニメと、青春サクセスストーリーでは、大違いなんだけど。

 どたばたの逃亡劇。
逃げ方にも多少のアイディアが欲しかったところ。
防衛体制を整えていて、十二姉妹に怨みがある男の元へと急行する、っていうのも逃走手段の一環ではあるのか。
 しかし…追跡者を全滅させた訳じゃないなら、いずれ教会が「とにかく皆殺し」の十二姉妹に襲われるのは予測できたはずだけど。
罪もない周辺住民を巻き添えにしてしまう可能性を、一応は神父の真似事をしてた男は、考えなかったのかなあ。
峡谷を固めても、超高空から教会へ垂直降下されたら意味がないのだし。
 所詮は海賊、そんなに出来た人間じゃない、って事か。

 十二姉妹も大雑把。
娘を殺しては元も子もなかろうに(ミスターも必要っぽい)、非常に雑な襲撃を掛けてくる。
銃撃だけなら、致命傷だけは避けているのだろうと考えられるけど、爆弾放り込むのはマズいだろ。
 B級アクション作品って こういうモノだし、「ミスターは、殺しても死なない」と考えてもいるのだろうが。

 十二姉妹の一人を、頭だけの状態にして持ち歩くアンジェリカが、若干 猟奇的で楽しい。
 ラストで「死んだ」と報告されていたのは、彼女ではない?
 彼女ら、重要パーツさえ回収できれば再生できるのでは。
頭脳部分まで粉々になった、という事なのかな。
 これから、段々と人数が減っていく?
 この作品が全何話なのか知らないが、どのみち十二人もは描き切れまいから、早めに半分ぐらいまで減した方が効率的かも。


2006年7月17日 月曜日

『N・H・Kにようこそ!』02.「クリエイターにようこそ!」

 見ながら、笑ったり笑えなかったりして思ったことは色々あるんだけど、ほとんど自分語りに属することだし、「お前の悲惨な青春時代のイタい話なんか聞きたくもない」で終わってしまう内容だから、略。
 でもちょっとだけ。
 無職・引きこもり気味である自分の実体を糊塗しようとして主人公が言い募る「クリエイティブな仕事してるから、多少ヘンに見えるかも知れないが、むしろそれこそがオレの素晴らしい才能を物語っているんだ!」という言葉は、実体に近いというか、世間様に合わせて生活することが中々出来ない自分含む この手の職業の人々が持つ最後のプライドであり、変な自意識を、実にリアルに表していると思う。
「よく言ってくれた」と同時に、「余計悲しくなるから、それは言わない約束でしょ」でもあるな。

 しかし、2話まできてまだ、どういう方向に転がっていく作品なのか よく分からず。
 自分を表すためゲーム作りに邁進していく若い衆を描く、エロゲー版『こみっくパーティー』…という訳でもないだろうし。

 お隣に棲んでいたオタク後輩について、「否定的」とも取れる描き方をしていることで、視聴者の反応は どんなもんなんだろ。
 「自虐的な痛さ」を楽しむ作品…と限定して良いかどうかは知らないが そういう要因を含むのは確かだから、そこに慣れない人にはキツかろうなあ。



 レンタルで映画『キノの旅 何かをするために-life goes on.-』を、今更見る。
 WOWOW放送で、強烈な印象を残したテツガクアニメの劇場版。
…といっても、「キノが巨大悪党組織を相手に激闘を繰り広げる」なんていうスクリーン映えする内容にしては、原作の味わいが全て失われてしまうような題材だし、どんな映画になっているのだろうか、と思って見てみれば…

 ええっコレで終わり?
本編30分ぐらいしか無いのでは?
 収録されている『塔の国』も、同時上映だった?
それにしたって45分ぐらいにしかならず。
 何か他の映画の併映だったのかなあ。

 内容は完全にファン向けで、一見さんお断りの作り。
 キノの人格を形作る重要なエピソードであり、『キノ・ビギニング』として誰にでも分かるように作ることは可能だったろうが、肝心のオリジナル・キノから現キノに代わる事になった顛末については回想でチラッと見せられるに留まるので、原作あるいはテレビシリーズを見ていない人間には何が何だか…だろう。
 ストーリー自体は、いつも通り良かったんだか悪かったんだか、不思議な余韻を残す話。
感動や泣かせに走らないドライさが、この作品らしくて結構。
 …だけど、これを映画館で見せられても、帰り道は途方に暮れてしまいそう。
 ホンの数館で公開して「劇場公開版」というハクを付けただけで、実質OVA、と考えれば、まあ。

 同時収録の『塔の国』。
面白くなりそうな題材だけど、時間が短いせいなのか、ヒネらず そのまま見せているので、物足りない。

 どんな時でも淡々としている特異なキャラクター・キノと再会できただけで楽しかった、とは言えるけど、二本まとめてDVDボックスの「映像特典」ぐらいな内容だなあ。



『魔弾戦記リュウケンドー』28.「時計じかけの心」

 「悪側から正義側にやってくるキャラクターの物語」だし「アンドロイドが心を持つパターン」でもあるストーリー。
 こういう設定で、子供向け作品だと、もうちょっとアンドロイドが喋ったり感情表現をして、全体を分かり易くする物なんだけど、「知性があるような無いような」ぐらいに抑えられていたのが珍しい。
 それを、「不器用な感情表現」と受け取ることによっては、より感動的な物語と考えることも出来よう。
 また、「終始 心など存在しなかったアンドロイドに対し、不動が思い入れることで『人間』を感じていただけ」という、少々冷たくはあるが、ハードな物語とも捉えられる。
 感情的な描写を抑制したことで、ちょっと大人向けの、面白い お話になっていた。

 しかし、アンドロイドは、機械の基本体の上に人造皮膚を被せているだけなのだろうから、故障して こちら側に来るのは男性型でも良く、あるいはゴッツいオッサン型である可能性もあったかと。
その場合、今回のストーリーは成り立ったのだろうか。
 オッサンと不動が二人で土手に座り込んでも、何か絵にならないというか笑ってしまうというか。
 でも、甘さを一切排除した話としては、ナシでもないかなあ。
子供が付いてこられるかどうかは分からないが。

 アンドロイドに笑顔を教えようとして、周りで男共に勝手放題言われ、上手く表情が作れず苛立っていく鈴に大笑い。
「人間にも上手く笑えないヤツが居るからな…アイツもアンドロイドかも知れないなあ…」というツッコミも、気が利いていて可笑しかった。



 以前お伝えしましたように、今月の24日発売の「COMIC SIGMA +」に原稿が掲載されます。
オマケとしてDVDを付け、フィギュア誌上通販まで行う、茜新社 渾身の本らしいので、ひとつよろしくお願い致します。
 その代わり…という訳でもないのですが、月末の「ペンギンクラブ」は、もう一回お休み。
別に連載を切られてはおりませんで、来月、8月末発売号には載せて頂ける予定。


2006年7月16日 日曜日

『ガイキング』29.「食らえ必殺のフルコース! 最後に笑うサスページ!!」

 人質を取られたガイキングの苦闘、というだけで(以前にもやったとはいえ)物語になるのに、そこへ「敵二大ロボによる迫撃」「サスページの裏切り」「土壇場に来たルルの、『艦長の娘』たる血の目覚め」といったネタを惜しみなく詰め込む事で、非常に見応えがある内容になっていた。
 サスページ…上手い芝居でプロイストの信頼を勝ち得たのだから、そのまま忠義を尽くせば何とか生き残れたのでは?
トップの座に着こうとか、欲をかいて全てを失ってしまった形か。
 搭乗用スーツの仕掛けは、彼に与える前からのものだったろうから、プロイストは元々誰も信用していなかったのかな。
サスページの一歩上を行く非道ぶりで、楽しくなってしまう。

 怒りに燃えたガイキングの戦い。
敵ロボに渾身の力でパンチを叩き込んだ、その勢いのまま、バーニアに点火してパンチャーグラインドを発射、敵を吹き飛ばし止めを刺す。
実にパワフルかつカタルシスに満ちたバトルの構成で、ロボットアニメの面白さを満喫させてくれる。

 ラスト、サスページが虐待し続けた不定形生物ペットが砂から顔を出し、何か叫んでいるようなポーズを取るのは、「酷い飼い主から自由になれた喜びを表していた」のか、それとも「あんな飼い主でも、居なくなった事を悲しんでいた」のだろうか。



『となグラ!』02.「ツンツン香月と誘惑エプロン」

 こういう作品にとって、邪魔になってしまいがちな両家の両親を、排除。
別段、「両方の親共に突然の海外赴任へ」という説明でも構わなかったのに、海外旅行先で飛行機が墜落して どこぞの楽しげな村で暮らすことになり そこで何か異常事態が…と、割に詳しく親達の行動について説明するのは、丁寧、と言って良いのかどうか。
 ここに凝っても、視聴者は喜ばないと思うけど。
「エッチなサービス」より「コメディー」要素を重要視するなら、価値があるのかな。

 コメディー重視、という点では、今回の「勇治がエロ行為をひたすら我慢する」ストーリーも、そう。
 誘惑をするヒロインの視点で描かれている上、男側は それを楽しむ事なく、ただただ苦しんでばかりいるため、画面としてはサービスシーンが展開されているのだが、「気持ちを入れて楽しむ」という方向には行けない。
 エロを中心にした、キャラクターそれぞれの調子ッぱずれな行動やリアクションは、時々面白かったりするけど。

 彼女が作った最悪の料理を全て残さず食べることで「優しさ」をアピールする男の子、というのは、パターンながら有効な描き方だろう。
 もうしばらく彼をロクデナシで居させても良かったかと思うが、まあ、視聴者にストレスを溜めさせてしまうし。

 ツンデレなヒロイン、スケベさ全開の男の子、エッチな方向に妹を押しやろうとする無責任な姉…辺りは、ごく普通のキャラクター編成
しかし、暴走する兄を冷静に狙撃して排除する妹、というのは珍しい。
 銃器の手入れを楽しげにしている姿が、素敵。
 これもまあ、歪んだ形の兄への愛情かも知れないな。



『ウルトラマンメビウス』15.「不死鳥の砦」

 整備長のオヤッさんが、長年手掛けてきた歴代防衛隊の機体写真を前に、「みんなオレの子供みたいなもんだ」と言う辺り、職人魂を感じさせて なかなか。
その大事な機体より、パイロットの命の方を優先させる人間味も、非常に嬉しい。
 新型機を登場させるエピソードとして、こういう視点からの やり方もありか、と感じさせてくれたが…

 機体間コックピット交換の意味がよく分からず、リュウがドッキングに やたら時間を掛けてテンポを削いでしまう事もあって、もう一つ盛り上がれず。
 新型機を受け取りに行く人員を、オヤッさんとリュウのコンビにして、危機一髪の状況で戦場に到着させればスッキリしたような。
コックピット部分換装がオモチャの大きなギミックだから、早く見せておきたかったんだろうけど。
もっと魅力ある見せ方にしないと、アピール度が弱い。
 いっそ、子供が遊ぶ時と同じように、メビウスが機体とコックピット部分を両手に持って、直接合体させてしまうとか(笑)。

 怪獣へのトドメを、結局メビウスが刺してしまうのも、物足りない。
せめて、メビウスの光線技だけでは打ち破れなかった怪獣の硬い表皮を、ガンローダーとの同時攻撃で破砕するとか、もっと「スゲー」が欲しかったところ。

 キャラクターが素直な正義側に移った途端、すっかり「怪獣と戦う時にちょっと協力してくれる人」扱いで影が薄くなってしまったヒカリ。
 体に限界を設定することで、いくらかドラマになるのかな。
しかし…現状、彼は それほど戦いに必要とされておらず、「辛いなら帰ってもイイのに」と思えてしまうのが悲しい。



 映画『時をかける少女』公開中。
 見て損のない内容だと思います。


2006年7月15日 土曜日

『砂沙美☆魔法少女クラブ』最終13話.「魔法少女大会・きらきら編」

 このアニメは、実質 全26話だった、という事なのか。
最後に第2期が予告されている…とはいえ、中途半端な終わり方だなあ、という印象は拭えず。
 もっと詰めていけば、キャラクターを描くイベントは この第一期だけでも十分に入れられたと思うし、せっかく魔法少女大会を設定したのだから、それなりの盛り上がりを見せてさえくれれば(実際見せられた「自分達としては優勝気分」に もう少し付け足したぐらいでも)、ここで一度、きちんと完結した形に出来たと思うが。

 シリーズとして、砂沙美は元気で可愛らしく、美紗緒の内気さも愛しかったけれど、他の娘達は少々影が薄い。
 「魔法少女になる」という目標にしても、例えば「テニス部で部活を頑張る」より気力が感じられず。
まあ、少女達には「魔法少女に『ならなければならない』」気持ちは ほぼ無い訳で、それが自然かとも思うけど、そのため作品としての まとまりが弱くなってしまい、全体を印象に残り辛いものにしている。
 罪のない内容だったし、少女視聴者に向けては、取って付けた感じはあったものの「友情っていいよね」というテーマを提示しているのだから、対象層さえ楽しんでくれたのなら、それで良いのだろうが。
 もっと色々な物が…友情にしても もっと深く…描ける作品フォーマットだったと思うので、物足りなく感じてしまう。
作品スタート時に予想した、「どうせこの程度のアニメになるんでしょ」という予想レベルは軽くクリアしてくれたのだから、贅沢な話なんだけど。

 時間があれば、第2期も見続けたい。



『ゼーガペイン』15.「リインカーネーション」

 世界の時間進行が限界点に達しつつあるためなのか、物質構成に荒れた部分が現れ、それに気が付く人間も出始める。
 以前体験したと全く同じ事を、もう一度繰り返すのは、どんな気持ちだろうか。
 同じ時間を繰り返す、という意味では、『うる星やつら2・ビューティフル・ドリーマー』だが、限定時間内で環境を向上させようとするなら『恋はデジャ・ブ』に近くなる。

 しかし、リセットまでの期間が五ヶ月ばかりなら、何度も体験していると嫌になってきそうだなあ。
 もし十数年の振り幅があると、高校生である主人公達は幼児になり、ヘタすると「まだ存在しない」ケースすら出て来てしまうかも。
セレブラント達、「存在していない」時間に戻された場合は、誕生まで街に帰らず過ごすのか。
赤ん坊になって、「ばぶー」とか「あーあー」しか喋れない状態で暮らすのは、さすがに辛そう。
 …いや、ムダな考え。

 京、リセット後、生徒会長から「世界の流れを乱さないため、以前と全く同じ行動を取るように」言われ、それに従う…とする事により、彼の心の声であるナレーションを被せるだけの変化で、第一話からの街の生活場面作画をそのまま使ってしまえば、アニメ製作現場の状況は とんでもなく楽になるだろう(シナリオは大変かも知れないが)。
彼の「同じ時間を繰り返すのは辛い」という気持ちを、視聴者にも同じく、「見た事あるシーンばっかりじゃないか、もういい加減にしてくれー」とばかり体感させられるし、一石二鳥(笑)。



『貧乏姉妹物語』03.「にんじんと嘘と越後屋姉妹の日」

 これは何が言いたい話だったのか。
「金持ちでも貧乏でも、姉妹の愛は同じ」?
しかしなあ、金持ち姉は ほとんど酔狂で妹を いたぶっていた訳で、愛もヘッタクレも。
 姉が妹をボッコボコに殴り倒しておいて、実は意味など無いのに「あなたを愛しているからやったのよ」とだけ言うと、妹が泣いて納得して「お姉ちゃん大好き」って抱きついてくれました、というような話を見せられたようで、何とも居心地が悪い。
 ヒロイン姉妹と比べ、金持ち姉妹をアホみたいに描くことで「笑い」にしようとした?
それにしては、「ちょっとイイ話」風に終わらせているのが分からない。

 貧乏姉妹のお陰で、金持ち姉妹が仲直りできました、というストーリーでも良いけど、それなら越後屋姉妹が仲違いしている理由をもっと納得させられる形で設定しなきゃ、成り立たない。
悪役として「大富豪ながら、妙な教育方針を持つ親」を設け、姉はその方針に素直に従って育った、現在は不在がちな親に代わって妹の教育・監視係を申しつけられている、とすると、少なくとも「姉妹」の関係においては、かなり無理が少ない話になったかも。
 前回は、よくある話ながらキレイにまとまっていると思ったが、今回、ちょっと内容をヒネってみた所、描きたい物が何だったのか見失ってしまったような。


2006年7月14日 金曜日

『無敵看板娘』03.「挑戦者・西山勘九郎」04.「我が戦いに終点なし」

 放送2回目になって、ようやく この作品の見方が分かってきた。
 ヒロインの普段の姿が可愛いからといっても、「萌え」とか そんな成分は含まれてない訳ね。
その代わり、「勢い」とか「パワー」とか「大馬鹿激突」とか、もう「毒」に近いエッセンスは高濃度に入っている。

 意味のない お話を支える、頑張った作画が楽しい。
テンションだけで持って行く野球対決やら列車衝突を、ショボい絵で見せられても嬉しくないからなあ。
 普通の列車に対し、新幹線で勝とうという美輝の発想に笑う。
昔懐かしい『炎の転校生』の、「国電パンチ」を思い出してしまった。

 パワフルさ加減が落ちてきたら、目も当てられない作品になると思うので、最後まで このまま突っ走って欲しいところ。



『僕等がいた』02.

 物語の動きよりも、キャラクターの心理状態を優先した、実に純粋な少女漫画アニメ。
 ヒロインと少年の気持ちが揺れながら近づいていく様子を、コミカルな描写を混ぜながら細かく描いてあり、いい歳のオッサンでも(気恥ずかしさはあるものの)入りやすい。
 ただ、もう本当に「二人の恋はどうなるのか」以外に、こちらの気持ちを引き付けるストーリーが無いため、次回も必ず見よう!と思わせる力は弱い。
いや、視聴対象であろう少女達さえ面白がってくれれば良いのであり、外野のオッサンに そんな事言われる筋合いじゃないのは分かってるけど。



『機神咆吼デモンベイン』07.「BIG "C"」

 んん?敵のボスだと思っていた お兄さんは、裏切られて(裏切りがバレて?)やられちゃったの?こんなにアッサリ?後で再登場あり?
アルが唐突に回想シーンを始める辺りも、話を急ぎすぎていて呆然とさせられるばかり。
 何をやっているか分からない訳ではないのだが、早口で あらすじを語られているような気分になり、「面白い」と思える所まで行けない。
 既にストーリーを知っている原作ゲームファンをメインのターゲットとして作られたアニメ、という事か。
 これ以上見続けても、内容に乗れず、文句を言うばかりになりそうなので、視聴終了。


2006年7月13日 木曜日

『ゼロの使い魔』02.「平民の使い魔」

 魔法使い見習いである貴族達からの視点で描かれた第1話では、色々と分からない所があったが、続く第2話は、召還された側の少年の視点に移り、どこから来たのか、今の環境をどう思っているのか、非常に分かり易い作りに。

 なるほど、秋葉原(?)を歩いている時、召還空間に引きずり込まれたのか。OPに電気街っぽい場所が出てくるのはそのためね。
アソコは普段でも「魔窟」っぽい所なので、違和感が少ない(笑)。
 手持ちのノートパソコンも持ったまま異世界入りしていれば、彼の特異性の一つになったかも知れないな。
ノートのカメラで写真を撮り、ムービーを録画して、物覚えの悪い主人のためクラスメートや教師・モンスター等の名前・特性をデータベース化する、授業で教わる長大な呪文と魔法陣の描画法を動画で残しておける等々。
知性を持つ電気的モンスターを その内側に閉じこめ、デスクトップ・ペット風にして会話し、「全く異質の召還術!」と言われるとか。

 前回に引き続き、主人公の前で脱いでみせる ご主人様・ルイズ。
そんな、殊更にサービスしなくても。
 服や下着を投げつけられるのは、男にとって「屈辱的」でもあろうけど、相手が可愛い女の子である限り「御褒美」にもなるかな(才人も、ちょっと喜んでいた)。

 生存権をルイズに握られ、命令に従うしかなくなる才人。
 「主人公少年の元に、異世界から女の子が訪れて一緒に暮らすことになり、少年の身の回りの世話は彼女がする」というパターンの作品なら いくらでも知っているが、逆に男の子が世話をする側に回るのは、かなり珍しいような。
ああ、声優さんが重なる『灼眼のシャナ』も、そんなイメージがあったか?

 屈辱的な扱いにプライドを傷つけられ、怒りを溜めていく才人。
もっと、気が弱いオタク少年かと思えば、ごく普通…というより若干熱血が入ってるぐらいなのね。
 酷い目に遭わされ続け、見ている側にもストレスを感じさせた末のスーパーパワー発動逆転は、カタルシスがあって非常に結構。
 この力は、『3×3EYES』八雲のように主人から流れ込んできたモノなのか、彼が元々内に秘めていたものか、突然 召還されたことで彼の内に世界間落差による「位置エネルギー」みたいなモノが蓄積しており、それを使ったのか。

 度を超して頑張ることで、才人を単なる「使い魔」…「奴隷」?以上の存在だとルイズに認めさせ、傲慢なカラを破って泣かせてしまう展開が楽しい。
 面白いなあ。



『内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎』02.「告発者…ホイッスラー」

 子供が考えたような破綻したストーリーと、崩れきって「異次元」を感じさせ大笑いしてしまう画面が、強烈な印象を残したアニメの第2話。
 1話はアニメ版スタッフによるオリジナルストーリー。
この第2話は、原作漫画の1話目そのままをアニメ化したもの。
原作アリ無しの差は大きく、相変わらず無茶で強引な話だし、演出や作画は もうちょっと良くならないか、と思うものの、大人向け社会派「ファンタジー」として、見られる内容になっていた。
 鑑賞に耐えうる内容になっていたのは本来もちろん歓迎すべき事なんだけど、第1話の暴走した酷いデタラメさ加減を、根性の曲がった意味で「楽しんで」しまった身には、物足りなくさえ感じられ、こうして形式が整ってみると『公権力横領捜査官 中坊林太郎』と そっくりな事もあって、視聴後感は微妙。

 まっとうに感想を言うなら、悪党を追い詰めていく事になる次回、どれだけハッタリを効かせ、カタルシスを演出できるか、その辺がシリーズの勝負所になるだろう。
…今回、ホテルのドア前での会話をメリハリ薄く描いてしまった手腕からすると、不安ではあるが。

 取りあえず しばらく見るけど、このまま「普通」の「余り出来が良くない」アニメになってしまうなら、特に感想を書く事は無いと思う。



『ちょこッとSister』01.「プレゼントは妹?」

 原作は割と近刊まで既読のはずだけど、持ち前の鋭い忘却力により最初の方は もう忘れてしまっているので、未読と変わらない。
 冒頭、イキナリ訪れる空飛ぶバイクにまたがった女サンタが、凄く遅れたクリスマス・プレゼントの「妹」だ、と言って袋詰めの少女を置いていくストレートさには、さすがに驚かされる。
これだけの異常事態に対し、「えっちな格好の『妹』に、早く服を着てもらわなきゃ」という方向へと素早く意識を切り替えてしまえる、主人公の超順応性にも。
 「萌え」優先で、ストーリーは二の次な事が多い このジャンルの作品でも、ここまで徹底しているのは珍しい。
「可愛い、血の繋がらない、不思議な妹と、突然一つ部屋で暮らすことになる」という、通常きっちり紹介するなら面倒になるはずの設定を、冒頭3分ぐらいで終わらせてしまうスピーディーさ。

 さすがに どうだろうか…と思いつつ見続けたが、その後は、主人公が雪の中で はしゃぎすぎる「妹」にコートを掛ける、彼女が色々に着替えて可愛い姿を見せる、迷子になり泣いて兄に縋り付く、兄の頬にちゅー…
妹属性の人にとり、嬉しいだろうシチュエイションの連続。
 その間に主人公の、妹にまつわる悲しい過去を描き、シスコンぶりを気味悪く感じさせないためのフォローを入れるのも忘れない。
 主人公にとって、多分これまで最も大事な人であったろう花屋の女性を提示、彼女へのプレゼントとして買い込んだアクセサリーを泣きやまない妹に渡すことで、「彼にとっての一番」が移り変わったことを示してもいる。
 願望充足物としては、非常に良くできた構成。

 割り切れば、こういうジャンルで まず優先するべきは、「お客様の見たい物を見せる」事。
「妹が出来た理由」など、それに比べれば大して重要なポイントではないだろう。
 とはいえ、なかなか ここまで開き直れないモノだけど…
 原作の雑破業自身がアニメのシナリオも書いていることで、ブレが無い、徹底したストーリーを構築できたのか。

 作画は高品質。
 エンディングの猫ダンスは、狙い過ぎな気もしてしまうが、確かに可愛い。
 次回以降も見続けさせるのに、十分な内容だった。


2006年7月12日 水曜日

『コヨーテ ラグタイムショー』02.「海賊亭の少女」

 ミスターと少女・フランカの間に秘められた過去がまだ よく分からないのに、関係を大きく揺さぶるのは少し早いのでは…
と思ったけれども、余り支障なく見られるのは、前回・今回と、「ミスターのキャラクターを立てる」「彼がどのぐらい凄い奴か、周辺から描いていく」やり方が徹底しているから。

 1話目では、凄腕(なのだろう)女性捜査官に必死で彼を追い掛けさせ、クライマックスでドカンとハッタリを効かせて登場させることで、とにかく視聴者に印象づけることに成功。
 この2話目では…
 割と無防備に暮らす、ターゲットの少女・フランカに、極悪非道なマルチアーノが手を出さなかったのは、「あのミスターが強引な方法を採っていない、何か訳があるのだろう」という理由。
思考停止だなあ、取りあえず攫って手元に置いてから後のことを考えれば良いのに…とも思うけど、それだけ彼を評価・信用しているのか。
 ミスターが経営し、フランカが店長を務める(?)酒場に集まる荒くれ者ども。
とにかくミスターを敬愛しており、彼の部下を逃がすためには命さえ張って見せる心酔ぶり。
 ビルの壁面にぶら下がる危機的状況に陥り、ミスターに自分の手を離すよう言うフランカ。
「もう優しくしてもらったから…」とセリフで言われても実感からは遠いけど、「ミスターはそれだけの男なんだ」と思って欲しい製作者の気持ちは、非常に良く伝わってくる。

 これだけ色々と描写を積み重ねたからこそ、外見的には まるきり むさ苦しいオッサンで、とても格好良いとは思えないミスターが、「凄い奴」に見えてくる。
 フランカを抱えてビルから飛び降りるアクションも、見所。
…出来れば、飛行メカがミスターらをキャッチする寸前、メカ自身も自由落下状態に入って相対速度を揃えることで、受け止めた衝撃を弱めるなど、僅かなりと合理性に気を遣っている描写が欲しかった所ではあるが。
「スーパーヒーロー物」だから、そういう現実的対応は要らないのかな。

 エンディングの人形が、『フタコイ』のufotableらしい。
 作画もまだまだ好調で、楽しい出来上がり。



『つよきす』02.「生徒会なんて、大キライ!!」

 第2話も、乗れない出来。
 木村 真一郎は、コンテを切るのも非常に上手い監督だと思うんだけど。
 1話目に引き続き、この作品はずっとコレで通すのか「アイキャッチ」を多用している。
こういうのは、『ぱにぽにだっしゅ!』ぐらい すっ飛んでいてハイテンポな内容だと、気分を切り替えさせる役に立つが、一応はストーリーを語っている こういう作品では、感情移入を疎外してしまうばかりで無益。

 ヒロインが決行する演劇部の校内アピールと、生徒会の制服ファッションショーが上手く絡んでいない。
 そもそも、生徒会について大した情報もない時点で こんな馬鹿イベントを組まれても…「アホばっかりの生徒会がまたやってる」でもなく、「権威ある生徒会が何故?」とも思えず、どう受け取って良いのか。
 盛況のファッションショーを押し返す演劇のパワーを見せる、という盛り上がりもナシで、乱入してきた不良生徒達により何もかもグダグダ。
 『ルパン三世』五ヱ門のような帯刀キャラ・乙女のキャラを立てようと思った?
 しかし、その前に、ヒロインが1話目とほぼ同じ「出し物を見せてアピール」という行動を取っていることで、「面白くないキャラ」にも見えてしまう問題点に配慮すべきだったかと。

 対馬レオ、って男の子は、恋愛を成り立たせる重要なキャラではなく、「その他大勢」だと思っていいのかな?
どうにも影が薄いんだけど。
 作画が良くないため、わざわざ新作画で予告を作る凝り方も、監督の『まほらば』ならば本編のクオリティーが高かった事で「贅沢な作りだなあ」と嬉しく思えたけれど、今作では「そんな余裕があるなら本編に修正を入れてくれ〜」と思ってしまう。
 作画よりコンテ寄りの力で、乙女のアクションを上手く見せていたのは、今回唯一、さすが、と感心させられたところ。



 ブロガー試写会で、映画『時をかける少女』を見る。
 監督は、『デジモンアドベンチャー』『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』という二本の傑作を作り上げ、続く『ONE PIECE オマツリ男爵と秘密の島』は、個人的に非常に面白かったけれども、「傑作」よりは「問題作」寄りかなあ、と思う細田守

 原作小説の続編…か、アナザーストーリーという内容だが、要点の構成は原作や大林宣彦監督版映画に倣っている。
 原作では さほど重視されていない、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』的(『バタフライ・エフェクト』的か?)タイムスリップ物の面白さも、大きな魅力。
この映画で、こういう形のエンターテイメントを見せてもらえるとは思わなかった。
 特に後半の…いや、これは なるべく知らないで見る方が良いか。
 タイムスリップ物は、ヘタな事を書くとネタばらしになってしまう恐れがあり、難しいところ。

 細田作品らしくコンテもレイアウトも巧い。
 いつもだともう少し、画面の作り方に意図を感じさせる事が多いけれど、今作は、巧いままで ずっと分かり易く、ライトに見られるようになっている。
オタク向けに作ってない、というか、オタクから一般客層まで、誰にでも楽しめる間口の広い作り。
 ストーリーもそうで、非常に分かり易く語ってあり、考察したり裏読みをしたり「しなければならない」部分は ほとんど無い。
かといって薄っぺらい内容かというと そんな事はなく、キャラクター達が目指したものについて、色々に取ることが出来よう。

 うーん、ネタに触れないと なかなか書き辛いなあ。
 全体に、コミカルな描写が多く、アクティブなヒロイン・真琴の行動に笑ったり呆れたりしている内に、彼女を身近に感じ、いつの間にか映画の中に引きずり込まれ、怒濤の展開に揺り動かされながら、ハラハラし、悲しみ、驚き、ホロリと来てしまう。
見終えた後味は、非常に爽やか。
 一本の映画で、「恋」が持つ様々な局面を、ポジティブ方向からもネガティブ方向からも描ききったか、と感じられる。
真琴は、「恋をしている時間」を駆けていくのだ。
…というまとめ方で、どうだろ。ああ、「恥ずかしいセリフ禁止」ですかそうですか。

 『ブレイブ ストーリー』『ゲド戦記』と、宣伝の後押しも凄まじい超大作に挟まれ、苦戦が予想されるこの映画。
公開館そのものからして、これだけ…うわ、四国なんて上映館ゼロだ。
 他二作と比べると、多くの人が既に ある程度 知っている題材であり(違うんだけど)、派手なアクションなども無さそうで(いや実は…)、劇場で見る価値について疑問があるかも知れない。
 しかし、見てみれば まず「入場料損した!」と思う事は無い、面白くて、胸を熱くしてくれる作品。
 アニメに興味が無い人でも問題なく楽しめる。
家族で見るにも、デートムービーにも向くだろう。…彼女と見るのに最適かな。

 気力があれば、映画公開後に、ネタバレを入れて感想を もう一度書きたいと思う。


2006年7月11日 火曜日

『新キャプテン・スカーレット』17.「宿敵と親友」

 面白かったり面白くなかったり、一話ごとにバラつきがあるシリーズ。
毎回、ミステロン作戦の着眼点とか、途中までのサスペンス構成は割と面白いんだけど、解決方法が余りにも安易だったりするもので。
 CGを使った事で表現自由度が広がっており、その利点を駆使したキャラクターの動作やメカアクションには見るべき所が多い。
…これもまあ、昨今の3Dアニメの水準からすれば、「凄くレベルが高い」と言えるかどうか分からないが、デザインがアチコチ変わっているとはいえ、思い入れのあるメカが自在に空を飛び走り回る様は、それだけで楽しく。

 今回は、ストーリー的に、なかなか良い出来。
 オリジナルではどうだったか、もう忘れてしまったけれども、この『新』の方ではスカーレットとブラックが元親友であり、ミステロン汚染前の第一話では、スカーレットの命をブラックが助けたりもしている。
 そのエピソードを活かして作られたのが、この話。

 氷に閉ざされる湖の底に沈んだ追跡戦闘車中に閉じこめられてしまう、スカーレットとブラック。
じきに酸素が無くなる車中から脱出するには、今や宿敵となった二人の協力が必要だった。
 『謎の円盤UFO』や『スター・トレック・ネクストジェネレーション』にも、こんな感じでギリギリの協力関係が成り立つ話があったような。
 ブラックに対し友達だった時のように振る舞い、自分の命を賭けて信用を表すスカーレット。
湖の中まではミステロンの電波(?)が届かないのか、次第に元通りの人格を取り戻していくブラック。
二人のやり取りが非常に良くて、胸に染みる。

 決死の脱出に成功し、湖上に出た途端、再びミステロンのコントロールを受け、表情を一変させて去っていくブラックが実に切ない。
去り際に残した「エンジェルによろしくな」という言葉は、殺意を込めてのものだったのか、僅かに残った人間性が言わせた友としてのものか。
 オリジナル『キャプテンスカーレット』の、「元は味方だった人間が敵に回る」設定から、一度は見てみたかったストーリーを現実にしてくれたようで、かなり嬉しかった一本。


2006年7月10日 月曜日

『N・H・Kにようこそ!』01.「プロジェクトにようこそ!」

 原作は、漫画版を一巻だけ既読。
日本ひきこもり協会…という凄いネーミングと、色々と痛い内容により、アニメになるとは思わなかった題材。

 主人公の行動や幻視ぶりは、引きこもりとかニートとか言う問題ではなく、精神的にヤバイ感じの問題を抱えている人のような。
机を叩く度 増えていく、プリンの幻を見始める所など、笑ったけど、「ギリギリの心理状況」が感じ取れて怖い部分も。
 確かに、隣部屋から延々聞こえてくる よく分からない同じ曲、っていうのは、イラッと来るものだろうな。
最近だと、『涼宮ハルヒ』のエンディングなんかで、リアルに このような、お隣さんに迷惑をかける事態が起きていたかも知れない。
…いや、自分が割と繰り返して聞いてしまったもので(笑)。
 学生時代を回想するシーンにも、ずっと「プルリン〜」という曲が低く流れ続けているのが、怖い。
ノイローゼになり、どこぞで犯罪を起こす一歩手前みたい。

 自分だって、職業柄、外に出るより部屋に籠もって仕事をしている時間の方が長く、元々「アウトドア派」とか「大勢でワイワイ遊ぶのが大好き」とかいう訳ではなかったものが、年月を経て一層その傾向を強めている。
仕事が無い間なんて、まるっきり引きこもりかニート。
 ただ、外に出る事とか人と話す事が苦痛だという程ではないので、そういう人間が「引きこもり」を僭称すると、怒られるかも知れない。
 主人公が引きこもる原因となった、「周囲の人間がみんな自分を笑っているような気がする」妄想。
これも、凄く分かる、とは言えないけど、分からないと言う事はない。

 いやあの、昨日もねえ、新宿を、メガネにダサイ服にダサイ髪型にウエストポーチに紙袋、といった姿で歩いていたところ、すれ違った普通に大学生風のお兄ちゃん達の集団が すぐ後ろで、「アキバ系?」とか言ってドッと笑うのが聞こえ、「それはオレの事かぁ〜っ?」と思ってしまったもので。
 こういうのも被害妄想の一種かねえ、たまたまそういう話題をしていただけでコチラを指してたんじゃない可能性が高いよね、とヨメに話してみた所、「イヤ、それはアンタの事でしょ」と。
 ヨメ曰く、「アンタは秋葉原とかオタク本屋に入ると、すぐどこに居るのか分からなくなる。そういう人達に紛れるためだけに使える、限定的都市迷彩を着続けてるみたいなもので」。
…それは誉め言葉と受け取っておこう(えー?)。

 しばらく人と話をしていなかった後、急な訪問者相手に上手く声が出せず、妙な発声になってしまう、この辺りが実にリアル。
 一大決心をしてバイト募集店に向かう際、ずっと そこで言うべき事…「あのー、こちらでバイト募集していると聞いたんですが」を繰り返し続ける気持ちも、そんなに練習しておきながら まず「あにぇえ〜」と言ってしまう不細工さ加減も、同じダメ人間として非常に実感的。
 あんまり個人的に分かりすぎて、「分からない視聴者には、まるで伝わらない描き方なのでは」と不安になるぐらい。

 ストーリーとしては、ナニゴトか企んでいるっぽい女の子と深夜の公園で会った所で、大槻ケンヂに寄る もの凄い電波なエンディングを響かせつつ、続く。
まだ ほんの発端部であり、どうなる話なのか、このアニメだけだと全然分からない。
 しかし…漫画ではそれほどと感じなかったけど、かなり変更され、丁寧に、暴走気味にアニメ化されてみると、ここまで痛い内容になるモノか。
刺さる刺さる心に刺さる。
 イヤも応もなく、目が離せそうにない作品。



『ガイキング』28.「罪と罰と呪いの子!愛憎の天空魔竜!!」

 キャプテンとルルの間に秘められた過去と、大空魔竜誕生に至る経緯が明かされた、シリーズのターニング・ポイント。
 プロイストは、幼女の頃から極悪だったのか。
なかなか、救いようがないねえ。
キャプテンに寄せる憎しみから、もしかしてルルと生き別れの双子の姉妹なのでは…とか考えたけど、そこまでフクザツにはしないみたい。

 真っ正面からぶつかるガイキングとライキング、大空魔竜と天空魔竜の熱いバトルを、パワフルな作画が盛り上げる。
作画暴走時のガイキングは、惚れるほど格好良いなあ。
 持つ力の全てを ぶつけている、と感じられる戦いの組み立てが、見事。
 雲間から「下がってくる」爆炎で雲海上の激闘を表す、演出のアイディアも素晴らしい。

 ルルがキャプテンに呼びかける「お父さん…」という か細い声がオッサン視聴者の胸には特に染みる、全てにおいてレベルの高い、見応えがある話だった。



『仮面ライダーカブト』23.

 かなり逼迫しているらしい剣家の財政状況。
オボッチャマには知られず、何とかしようとする爺やの奮闘ぶりが可笑しい…
けども、剣は人間でなくワームっぽいので、家存続のための努力は無駄に終わってしまう可能性が高く、そう考えると可哀想。
 「私は あなたの姿にではなく、誇り高いその心にお仕えしているのです」とか?
 そういえば剣・サソードの関連アイテムをコマーシャルしているが、単に「変な奴」「敵側かも」というだけでなく正体が「化け物」かも知れないライダーのアイテムって、売れるのかなあ?
これまでに暴行殺人常習ライダーさえ出ているし、今作でもザビーの人間体なんて驚くべきロクデナシな訳で、それでも商売になっているのなら、正体がワームかも、なんてのは大した障害じゃないのか。

 生まれ変わった…とはいえ、加賀美はまだ心理的に不安定だから、剣との契約を完全破棄してしまうのも どうだろ。
まーZECTは こういう行き当たりばったりな事をよくやるんだけど。
 天道が昔からベルトを持っていたらしい事については、ドレイクの変身アイテム入手経路と同じぐらいスルーの方向で行くのかと思っていたが、ひよりの過去と関わってもいるし、いずれしっかりと説明してくれる…んだろう。


2006年7月9日 日曜日

『恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜』01.「伝説のエトワール」

 ずらり並んだ美青年達の顔見せをし、ヒロインの特異性をアピールして、今後の方向提示で終わる。
どこが酷く悪いという事はないが、パターン通りであり、取り立てて心を引かれる部分もない。
 原作ゲームのファン向け、という色合いが強く…悪く言えば そこに頼っており、一見の客まで呼び込むには弱いスタート。
 みんなが必死になって受かろうとしている就職オーディション(?)に、ヒロインだけが積極的でなく、帰ろうとまでしてしまうのは、昔のアイドルがデビューの切っ掛けとして「私は芸能界に あんまり興味なかったんですけど、友達が勝手にオーディションに応募しちゃって…」と言ったのと同じ仕組みだろうか。

 女性向け美青年ハーレム物、というジャンルも、需要がある限り存在して良いと思う。
 が、女性視聴者は、男性向けハーレム作品に余り興味を持てないであろう、それと同じように、現状、この手の分野にまで手を出している余裕がないため、視聴はここまで。



『おとぎ銃士 赤ずきん』02.「魔法少女白雪姫」

 「子供向け作品」として、リアリティーが統一されているのは結構。
街中に出ようというのに奇異な服装の赤ずきんについて無頓着だったり、人前でオオカミが喋ってしまったのに女性達から「凄ぉ〜い」等と言われる以外には特に大騒ぎにならず済む辺りが、「子供向けリアリティー」。

 そういう作品で言う事じゃないんだろうけど…犬には肉じゃが、食べさせない方が良いぞ。
普通、タマネギが入ってるから。
 犬(ネコも?)がタマネギを食べると中毒になるのは、有名な話
犬にダメなら、オオカミにも良くないだろう。
 といっても、この作品に出てくるのは通常のオオカミではないから、大丈夫なのかな。
 いや、ヨメがウチの駄犬の食べ物について色々注意しているもので、ついこちらまで気になってしまって(笑)。

 赤ずきんとオオカミが戦闘中にタイミングを合わせてジャンプし、空中に投げ出されたケーキを互いの口でキャッチする、馬鹿馬鹿しいアクションに、笑う。
 トボけた白雪姫のキャラクターも楽しく、このぐらいコミカルな雰囲気で進んでいくなら、低年齢層の視聴者にも問題なく受け入れられそう。
そうなると、大きなお友達向け「萌え」の雰囲気は、逆に邪魔になる可能性も出てくるが…



『となグラ!』01.「30センチの片思い」

 原作未読。
 『うる星やつら』諸星あたるや、『いぬかみっ!』川平啓太を思わせる、性欲大開放の男の子が登場。
こういう手の作品は、とにかくエッチなサービスがメインになるので、男子側を「普通」の性格にすると、「それでも彼がモテる(やたらエッチなシーンに出くわす)理由」を設定せねばならず。
性欲に正直な男だからエロな事件を自分で起こしてしまう、とした方が、話は早い。
 …ただ、そういうキャラクターは、僅かに匙加減を間違えただけで嫌われてしまう。

 このアニメではどうかというと…
 ほとんど「いい奴」の部分が無く、「ただスケベなだけのロクデナシ」に描かれているのは、いっそ清々しい。
干渉に遠慮無く暴力で応えるヒロインと、横から冷静にエアーガンで狙撃する妹により、嫌味さを薄める事も出来ている。
 理想と現実の差をギャグとして描きたかったんだろうけど、ヒロインが「失望する対象」として男の子を描いているのは、野郎より女子の心情に同化しやすい この手の作品の嗜好者にとっては、厳しい所かも。

 女の子達は肉感的に描けているし、コミカルな演出も悪くない。
 しかし、だいたい先の展開が読めてしまうのは難。
 『いぬかみっ!』のような、「エロ主人公のドタバタ」以外に「仕事」として柱をもう一本設けている、という事も無さそうなので、男の子の描き方、揺れ動くヒロインの捉え方が上手くできるかどうか、そこに大きく成否が掛かってくる。
 とりあえず、しばらく視聴継続で。


2006年7月8日 土曜日

『出ましたっ!パワパフガールズZ』02.「ほんわかバブルス!その1」「ほんわかバブルス!その2」

 少女達は可愛く描けているし、変身シーンのリズミカルさはクセになり、ロッドを投げつけるバブルスの天然ぶりには笑ってしまって、早くも「変身後の姿」を「普通」だと思い始めているブロッサムらの気楽さも愉快だった…
けれど、設定紹介編だという事を考え合わせても内容が薄く、毒や笑える部分が少なく、いい歳のオッサンが視聴するには厳しく感じてしまう。
 次回、ようやく三人が揃うので、そこから本編が始まるのだろうと思って もうしばらく見続けようか。



『ゼーガペイン』14.「滅びの記憶」

 了子の消失を切っ掛けに、人類が滅びるに至った経緯を調べ始める京。
 突然 地球を襲撃したエイリアンの圧倒的な戦力の前に人類は消し去られ…とかいう単純な設定じゃないだろうとは思ったけど、同じ地球人、それも僅かばかりの人数(一人?)が起こした事態だとは。
 マッドサイエンティストが、自らが作り出した新人類(量子化人類)の可能性のため、ウィルスをばらまいて人類社会を崩壊させる、というのは、星野之宣の漫画『ブルーシティー』と非常に良く似た筋。
あの漫画では、まだまだ裏があった訳だけど、ゼーガペインではどうだろう?
 放送期間もまだ残っている事だし、そう素直には終わらなそう。
 この世界その物が、地球が滅びた「現実」まで含めて、量子コンピューター内で行われているシミュレートでした、本当の世界はその「外側」に広がっています…という形にすると、「夢オチ」と変わらないな。

 事件の真相については、どこかの量子コンピューター内に紛れ込んでいる可能性がある黒幕を見つけ出すことで、明らかになるのかな。
しかし、自身の記憶を封じ込めて まるで何も知らない一般人として暮らしているかも知れないし、外見から男女の別・年齢まで変えてしまっているかも知れないので、発見はかなり困難かも。
 今回、サービスシーンっぽくシャワーを浴びていたお姉ちゃんの脚が光を放っていたのは、そんなに転送被害を受けそうにない人員にまでダメージが広がり始めているという事なのか、あるいは黒幕が(あるいはその関係者が)偽装して暮らしていた、その仮面が剥がれ始めているという事だったり?

 それにしても、量子化人類の「未来」を黒幕が望んでいたのなら、発展の自由を許せるだけの性能と容量があるサーバーが必要では。
世界にあるサーバーには、そこまでのパワーは無さそうだし…どこか、例えば月にでも、巨大な機構が設けられている?
 もしそうなら、「どこまでも科学技術・兵器を進化させる余裕」が あるはずで、セレブラント側は苦しい戦いを強いられるだろう。

 存在しなくなった事さえ、周囲に認識してもらえてない了子。
さまよう京の哀しさ やるせなさが伝わり、どうやって立ち直らせる方向に行くのかと思えば…
 えー!了子のデータが残っていた?
えらく簡単な解決法。
拍子抜けはしたけれども、あんまり悲惨な展開の連続もシンドイので、復活は歓迎したいところ。
 何かマイナス要因を含んだ回復とか…限定範囲内(京に付いてのみ)の記憶を失っている・データの損失が激しく「人間」としての復元は無理で、ゼーガペイン搭載の操縦補助プログラム、あるいはブリッジ付きホログラム要員のような形に・敵側にもデータのコピーが渡っておりオリジナル対ダーク了子の戦いになる、等々。



『機神咆吼デモンベイン』06.「QUO VADIS」

 前回のバカ話に乗れず、今回、ヒロイン成分を増量した内容についても…
 他にまだ描けていない女性キャラが大勢居る段階では、歓迎できない。
キャラクター性としては、アルと余り変わらないし。

 何だか突然 現れた魔導書により、パワーアップさせられる九郎。
この前 発動した、凄いとセリフで説明されていた必殺技も破られていないのに、またまた凄いらしい武器を出現させてみるデモンベイン。
 盛り上がっているのだろ画面内とは裏腹に、事態が よく分からず、見ていて気持ちが冷めてしまう。
 作画が大きく乱れていたのも、哀しい所。
女の子が可愛く描けてないと、かなり厳しくなるアニメのような。



『貧乏姉妹物語』02.

 『男はつらいよ』を ふと連想してしまうような、人情モノとしてパターンながら、手堅い話。
 「貧乏アパートの老大家さんが入院したのを、住人である姉妹が見舞う」という あらすじで、大体予想が付く通りのストーリー。
それはつまり、「そういう話に期待されるお約束は、踏襲できている」という事でもある。

 家賃を取り立てに来る大家を、恐怖の対象としている姉妹が可笑しい。
 さすがに踏み倒す訳にもいかないモノなのだから、バイトを増やすなどして支払能力を向上させる方法で、解決を図った方が。
姉の容姿であれば、どこぞのメイドカフェででも働いた方が、収入は良いかも。
この作品で、そういう労働などアリエナイ、とは思うけど。
 店が登場したとしても、「不器用な姉では対応しきれず、すぐクビ」ぐらいの扱いだろうな。

 一話目は、「萌え」でもなく、しかし「貧乏の実感」からも遠い内容に、視聴継続を厳しく思ってしまったが…
 今回は、「庭で、服の下にスクール水着など着込んで水遊びをする姉妹」の可愛さと、「コミカルな範囲に留まる貧乏ネタ」により、「今時の、ライトな貧乏物語」としてのまとまりが感じられた。
こういう内容なら、ナシでもないなあ。



 明日行われる、映画『時をかける少女』のブロガー試写に当選。
 抽選なので、運が良かった、という事なんですけど、有り難いことです。


2006年7月7日 金曜日

『学園ヘヴン』01.「季節はずれの転校生」

 女性向けアニメとして、綺麗な男の子を揃えて見せるのが売りの作品だろうに、第一話から作画に冴えない部分があるのは頂けない。
アクションやバイクが描けていないのは、少女漫画っぽい雰囲気が良く出せている…と捉えられなくもないが。
 見ていて、途中でキャラの見分けが付かなくなってしまったのは、自分の、この手の作品に対するスキルが低いからだろうと考えるべきか。

 ラスト、上がっていく跳ね橋を飛び越そうと、後部シートに主人公を乗せたままバイクで突っ込んでいく お兄ちゃん。
死ぬほど急いでいる訳でもないのに、そんな事する必然性が…
 まあ当然、格好良く飛び越えて見せる お兄ちゃんの超絶テクニックに、主人公が頬を赤らめつつ「素敵…」とか言う展開にしたいのだろう、と思えば、体勢を崩して事故ったのコレ?
 何というか、余りにも無理矢理かつ馬鹿馬鹿しいイベントの起こし方で、笑ってしまう。

 調子ッぱずれのネタアニメと考えれば男性視聴者も見続けられるのかも知れないが、ボーイズラブ属性が無く、普通に一本の作品として楽しみたい人には向かない内容かと。
 視聴終了。



『無敵看板娘』01.「無敵看板娘」02.「もう一人の看板娘」

 原作未読。
 キャラを元気いっぱい、隙間なく動き回らせる作画は、さすがにテレコムかな、という所だけど、緩急なしに ずーっと高いテンションで騒がれ続けていると、若干疲れてしまうのは事実。
ギャグが、「笑う」というより多くは「オイオイ、それはどうなの?」と思ってしまうようなネタで成り立っているのも、疲れる要因。
 萌えと縁遠いヒロインらの性格付け、可愛げのない凶暴な崩し顔は、媚びを感じさせず潔いと思うけど、商売としてはどうなんだろ?

 パワフルな作画を、きちんと笑い処を押さえた演出で制御できれば、大化けするかも知れない。
今回の画的レベルを、どこまで息切れさせず維持できるか分からないが。
 次々回ぐらいまで、様子見。



 WOWOWで放送された映画『オープン・ウォーター』を見る。
 監督クリス・ケンティスが、脚本・撮影・編集も兼ねている、低予算映画。
 ダイビング・ツアーのため沖に出た夫婦が、船側のミスにより、海の只中に取り残されて…

 確かに、見てすぐ分かる低予算ぶり。
前置きもそこそこに海に出て、後は ほとんど取り残された夫婦二人しか撮されない。
 もっと、この極限状況を、徹底的に煮詰めた形で見せてくれるのかと思っていたが、割と呑気な会話をしているし、諍いもそんなに深いところまでは行かず…
一番恐ろしいと思う夜の海について、一瞬で終わってしまうのは、物足りな過ぎ。

 後半の恐怖が、ほとんどサメを原因として組み立てられているのも、シチュエイションを最大限に生かしていると思えず、満足できるとは言えない。
 …ただ、サメがそんなに大きくなかったり、人を喰う意志があるような無いようなハッキリしない態度を見せたりする部分に、妙なリアリティーを感じられる。
 何の手も打つことが出来ず襲われる様子からは、『ジョーズ』でロバート・ショウが、極秘任務中に沈められた艦の乗員として味わった恐怖を語っていた、アレを思い出す。

 客観的に見ると この映画は、淡々と進みすぎていて抑揚に欠け、大きな盛り上がりが無いストーリーに見えるだろうが…
バカではないけど賢くもなく、ベストカップルではないが仲悪くもない夫婦に感情移入して、ただ波に揺られるままの無力な時間を共有することが出来れば、それは身に染みる恐怖に変わる。
 実際こういう目に遭ったとしたら、どうすれば良いのか…と考えても、どうする手も思いつけず、絶望感が恐ろしさを募らせる。
殺人鬼に襲われようと限定空間に閉じこめられようと、頭を捻れば逃げ出す方法があるんじゃないかと根拠無く気楽に考えてしまうけど、何も無い海の只中に取り残されては、人の力など、無力という他なく。

 以下、ラストの内容に触れてしまうので、未見の方は御注意。
念のため、背景色で。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 途中、救援隊が出動していく様子があるので、せめて夫婦どちらかは助かるものかと思っていた。
 全滅しては、置き去りにされて以降は製作者の想像という事になり、「事実に基づいた映画」とは言えないような(「事実」は、置き去りにされる所まで、で良いのか)。
 命が失われていく夫をただ見つめ、遺体を流してサメの餌食とする妻の、もう何の感情も読み取れない目が、とにかく恐い。
彼女の最後の選択は、「自らの意志で終わりにしたい」という事だったのか。
そこに至った心理状況も、考えるだに恐ろしい。
 せめて妻だけでも助かって欲しいと思うのは、見る立場として当然だけど、実際助かっていたら もっと安っぽい映画になっていたろうな。
 後味が悪く、何度も見たいストーリーではないが、そこがこの映画の最大の価値なのだろうとも感じられる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 実際の画面で示される恐怖は、そんなに劇的なものではないので、「見る側の想像力」が恐ろしさの度合いを決める。
 個人的には、『ジョーズ』以来久しぶりに、海って怖いなあ、と感じてしまった映画。



『まもって!ロリポップ』01.「空から降ってきた王子様!?」

 原作未読。
 いきなり、会ったばかりのヒロインを守るだの何だの脈絡もなく言い始める不思議男の子2人に、面食らう。
前置きとか、いくらか段階を踏むとか、無いものか。
 さしたる工夫もないカーアクションで、全く同じ動作を何度も繰り返すと、「繰り返しギャグ」を形成する以前に視聴者が飽きてしまうから、避けた方が良いような。
 敵の攻撃を男の子達が必死に防いでいる その後ろで、「男の子達が負けない理由」とか「ヒロインが両親にどれだけ愛されてきたか」なんて事を、驚くほど長々とセリフで説明するに至っては、もう何を言えば良いのか。

 純粋低学年少女向けアニメだから、オタク向けには作ってなくて当然だが…そういう問題でなく、一アニメーション作品として、作りの荒さがやたら目に付いてしまう。
それは、アニメ製作者による改悪なのか、原作からして こうなのか。
 「破綻した面白さ」を感じさせてくれるだけのパワーも無く…視聴はここまでに。


2006年7月6日 木曜日

『いぬかみっ!』13.「だけど俺にはお前の歌っ!」14.「カッパとオトサンっ!」

 13話。
…これで最終回かと思った。
そのぐらい盛り上がった、第一部クライマックス。
 おおよそ死神のイメージからは遠い、死神との戦い。
 死神は高位の「神」に属しており、人間や動物神では歯が立たないはず…と、つい思ってしまうのは、『GS美神』で そんなような事が語られたからか。
 この作品での死神は、一般に思われる「(もっと上位の者から与えられた)職務として、死を司る神」ではなく、強大な力を持ち死を弄ぶ邪悪な存在なので、倒されるのも仕方なし。
社会的成功を与える代償に、一族の命を若くして奪っていく、という考え方からは、物語によく出て来て契約を重んじる「悪魔」に近いのかな。

 啓太の作戦としては、全力をもって死神の戦力を僅かなりと削ぎ、自身がボロボロになってみせる事で ようこの闘志を燃え上がらせ、一度の敗戦によるショックから立ち直らせる、というものだったのか。
彼に本性を見られるのを極度に恐れる ようこのため、先に意識を失って(失ったフリをして)やる気遣いもアリ?
 死神は消し去れず、一時的に敗退しただけなのかも。
「指定した年齢に達したとき、命を奪う」契約が執行できなかったため、契約その物を白紙に戻したのかも知れない。
 執事のオジサンも良い味を出していたし、シリアス一辺倒でなく お馴染み啓太ヌードの嬉しくないサービスを入れる余裕も見せ(笑)、本当、これで最終回でも構わないエピソードだった。

 14話。
 今回は力の抜けた内容になるかと思えば、ようこの実体と父親の正体に迫る、非常に重要な話。
 しかし…ようこ・妖狐、という名前からも、犬神というより狐神じゃないの?とは見る者誰しも思っていた事では?
この作品では、死神が通常の概念とは違うように、「狐神も犬神と呼ばれる」設定になっているのかと。
 例え正体を知られていても、進んで見せたくはない姿だった(啓太の好みではない、可愛くない姿、と思えるだろうし)、って事か。

 ようこ父が どのくらい恐ろしい存在なのか、結局封じられたまま終わってしまったので、今ひとつ伝わらず。
第二部は、この復活と決戦で盛り上げる?
 封印の周りで踊るタヌキとネコが、やたらラブリーで楽しい。
 ようこに再封印されたオヤジが最後に言い残した言葉が、「人間と(の交際)なんて、パパは絶対許しませ〜ん!」という一般的な父親っぽいモノだったのに、爆笑。
でも、「許せない」一心で現世に現れてきたなら、ようこにとって最強・最悪の敵になるんだろうな。



『内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎』01.「追跡者…チェイサー」

 なんで戦闘機で直々 空港に乗り付けるのか?空港は通り過ぎてホテルで待つのなら管制塔ギリギリを通り抜ける意味がないのでは?パイロットが途中で飛び降りても戦闘機って無事 基地まで帰って着陸してくれるモノなの?あの雑に描かれた戦闘機はドコから飛んできた?日本国の所有物?米の領空侵犯してまで やらなきゃイケナイ事か?
 ……等々、ファーストシーンから頭が疑問符で一杯になってしまい、「ハッタリの効いたインパクト重視の登場」と「デタラメ」とは違うとか書こうかと思っていたが、続く展開を見て、そんなのは どーでも良くなってしまった。
 全編 隙間無く、冒頭と変わらない馬鹿馬鹿しい描写が続くのだから。

 ストーリー、演出に加えて作画も冴えず、笑ってしまうような画面が話題になっている『MUSASHI』と相通じるモノを感じる。
 特に車が…確かに車は描くのが難しいんだけど、それにしても今時アリエナイ、リアリティーも迫力も皆無の絵面。
主人公を追跡してきた車とか、周りを囲んだトレーラーとか…前者の車は運転手自身が爆発していたみたいだし、後者も高架橋から迷い無く落ちて行ったが、乗っていたのはロボットなのだろうか?
 トレーラーに囲まれた局面から主人公車が脱出するアクションには、泣けた。
…せめてあと二秒ぐらい考えてからコンテを切って欲しい。

 年金を使い込んだお役人が、ロスでしばらく遊び、ほとぼりを冷ましてから日本に帰れば、局長のイスが約束されている…という考え方にも相当の無理が。
 米側のお姉ちゃん達には上手く協力関係が取り付けられなかったみたいだけど、シールズは自由に動かせるらしい不思議な主人公。
というか、シールズが居るなら最初から彼らと共に屋敷に乗り込めば、余計な手間が掛からなかったのでは?
 『水戸黄門』印籠的カタルシスを狙いたかったのだろう気持ちは、分からないでもないけど。

 全体に、「凄いカードを持っているスーパー主人公」とか「とにかく悪いらしい権力者を証拠も何も無く闇雲に捕まえてみる」とか、中学生が背伸びをして書いたお話のようで、笑い処が多すぎる画面の効果もあり、一周回って逆に面白い。
 一話目はアニメのオリジナルらしいから、真価が発揮されるのは次回からか。
しかし…この安い画面では何をやっても……
 いっそ破綻具合が果てしなく暴走していく怪作になってくれれば、そういう意味で見る価値が出てくるんだけど。


2006年7月5日 水曜日

『僕等がいた』01.

 大地丙太郎が監督。
 ごくごく普通の ほのぼの少女漫画、という感じ。
ラスト近く、波風を立てるような事実も見えてくるが、「想定の範囲内」と思え、驚くことはなく。
淡々とした演出からも、この衝撃で物語を引っ張ろうという意図は無いのだろう。

 木訥な喋りのキャラクター達は、声優の演技が上手くないとも取れるけど、リアルに学生時代っぽいとも思える。
 作画は、元々のデザインが高度な画力を求めるタイプのものではないのでよく分からないが、決して悪くない。
 後は…自分がこういう「いかにも少女漫画」なストーリーを若干苦手としているので…製作者が どの辺りまで男性視聴者を意識して作ってくれるか、自分の拒否反応がどの程度まで現れないで済むか、という話。



『ゼロの使い魔』01.「ゼロのルイズ」

 原作未読。
 吉田戦車先生の四コマに、『ファイナル・ファンタジー』的な世界観(だろう)で、召還士が、どこぞの現実家庭で家族揃って夕食をとっていたショボイお父さんを召還し、巨大モンスターと命懸けで戦わせ、ボロボロの勝利を収めたところで家に帰し、迎えた家族が「お父さん、もうやめて」と泣き出すようなネタがあったと思うけど、それを連想してしまったアニメ。
 後は、見た通り、『ハリー・ポッター』風の魔法学校が舞台になっている。

 ヒロイン少女は まるでハーマイオニーのよう…かと思えば逆で、まるっきりの劣等生。
単純に落ちこぼれているのではなく、かなり強烈で、特異な失敗を繰り返しているようだから、魔法力自体は強いのだろう。
上手く制御できない、というのが問題なのかな。
 呼び出した少年について、「通常の使い魔ではない」という点においてのみ笑われており、彼の服装や言葉遣いに驚いた様子がない事からすると、この世界は、本当にハリー・ポッターのごとく現実と並行して(相互に行き来可能な場として)存在している?
魔法使いの中にも、長い休みには現実界の実家に帰ったりする者がいるのだろうか。

 手際よく世界観とキャラクターを紹介できており、第一話として悪くないけど、もう一歩、ヒロインか召還少年について「常識を越えた能力」の片鱗でも見せて欲しかった気はしないでもない。
特に、男の子が情けない格好で持ち上げられて続く、というのだと、「少年ジャンプ」的には編集者に怒られそう。
 まあ、バトル物にはならないのだろうから、凄さを視聴者に感じさせる必要は無いのか。
 作画が良く、楽しい雰囲気は出せていたので、次回以降も見続けようと思わせるには十分な出来。


2006年7月4日 火曜日

『シュヴァリエ』01.「デオン∴リア」

 WOWOWアニメ。
 シリーズ構成を、『ファフナー』の冲方 丁が担当している。
ルイ十五世当時のフランスが舞台、という事で、SF作家である この人の資質にあった作品なのかどうか…単に この時代が趣味的に好きなのかな、とか思いながら見たが…
 ああ、なるほど。
正統派の歴史物ではない、SF的な、あるいは伝奇的な要素が、後半で顔を覗かせてきた。

 特殊な舞台設定だし、登場人物も多く、ゴチャゴチャしてしまいそうなモノなのに、割合と分かり易い導入部に出来ているのは、冲方シナリオの上手さか。
 監督が、『びんちょうタン』で、ふわふわしたファンシーキャラクターに現実の貧乏生活を絡め、乖離させず見事まとめた古橋一浩、という所もポイント。
 リアルなデザインのキャラクター達に達者な芝居をさせる、高いレベルの作画も目に嬉しい。

 まだ どうなる作品なのか分からない。
何となく『BLOOD』っぽくなりそうな予感がするけど。
 面白くなる事を願いつつ、視聴継続。



『つよきす』01.「よろしくッ!近衛素奈緒です!」

 原作ゲーム未プレイ。
 木村真一郎監督作品。
この監督は、ほのぼのコメディーアニメを作るのが実に上手いと思うんだけど…コレは、どうも作り手自身が内容に何も思い入れていないのか、感心させてくれる部分が無い第一話だった。

 とにかく最初から、原作ゲームのヒロイン達を無理矢理 大勢出してきており、その登場シーンにインパクトもキャラ立てのイベントも弱いことで、ただゴチャゴチャさせるだけのマイナス効果しか上げていない。
 転校生・素奈緒と、過去に関わりがあるレオの再会、が今回で最も大事な部分だったのだろうから、それは「付け足し」のようでなく、きちんとメインに据えた内容にすべき。
要らないキャラを見せている余裕なんて、無いはず。
 「ツンデレ」がテーマの作品だとコマーシャルされているみたいだけど、ヒロインからは そういう素養が感じられず。
生徒会長も、その他ヒロイン達も、「おバカさんキャラ」だとは感じられるものの、「ツンデレ」から遠いような。
まあ大きく見れば「ツンデレ」も、「おバカさん」に内包される概念かも知れないが。

 作画も特筆するほど良くはなく…ちょっと厳しい導入部。
 キャラが揃い、それぞれの個性が出てくれば面白くなるのだろう、とは思うけど、こんな感じでしばらく進むなら、視聴を終えてしまいそう。



『コヨーテ ラグタイムショー』01.「脱獄」

 原作、というモノが無い、アニメオリジナルの企画…なのかな?
全く知らないストーリーやキャラクターに初めて触れるドキドキ感があって、楽しい。
 始まってしばらくは、誰が主人公かも分からないぐらい。
 それでも混乱せず見ていられるのは、サブタイトルにもある通り「誰か刑務所から脱獄する話」だという事で、筋立ては非常に単純だから。

 脱獄に至るプロセスには、割合にアイディアがかけられていて、感心。
面倒だからと、「万能装甲車を使って力ずくで塀を破壊し、脱獄」とか、やりかねないのが最近の製作本数過剰アニメ業界の実情。
 ただ脱獄だけで終わっては『ルパン三世』か、未来の宇宙が舞台という事では『コブラ』っぽくなりそうな所を、極悪な12姉妹の投入によって掻き回し、オリジナリティーを主張しつつ先行きへの期待を持たせてくれる構成も、結構。

 捜査官が追い求めるミスターって、もっと若い、二枚目な男だと予想していたけど…
予想に反してオッサン。
「男」としては良い顔だが、とてもじゃないけど美形とは言えない。
 姿より行動で、魅力をアピールしていくタイプか。
 『メタルギアソリッド』スネークの大塚明夫、って声のキャスティングがまた渋い。

 非道を成す訳では無さそうだが、優しい善い人でもなさそうなミスター。
 可愛い子揃いでありながら、人間をゴミのように殺す残虐さを見せ、一気に「萌え」から遠ざかってしまった12姉妹。
 脳に栄養を与えるためなのかどうか、絶え間なく何か食べ続ける捜査官のお姉ちゃん。
 キャラクターはかなり個性的に描けており、その行く末への興味を喚起させられる。

 いくつかの勢力が入り交じりつつ、お宝を巡って大騒動、という感じのストーリーになるのかな。
 中だるみせず、画面的にもこのクオリティーを保ち続けられるなら、楽しく最後まで見続けられそう。


2006年7月3日 月曜日

『涼宮ハルヒの憂鬱』最終話.「涼宮ハルヒの憂鬱Y」

 思っていたよりずっと きちんと、自然な形で迎えた最終話。
 ハルヒが、新しい世界を構築しようとした時、唯一伴ったのはキョンだった。
…いや、キョンと一緒に居るために、世界を丸ごと更新してしまおうとした、って事なのか。

 ここまでしておきながら、ハルヒの表層意識には、キョンが特別な存在であることの認識がまだ不十分なのかも知れない。
キョンもまた、ハルヒに自分がどう思われているのか、そして自分がハルヒをどう思っているのか、自覚できていないようだし。
 不器用なティーンエイジャーにアリガチな事ではあるけど、神の力を持つ者の表層思考がティーンエイジャー程度に過ぎない、っていうのは大きな問題。
 ハルヒの僅かな心理的揺らぎにより、世界を終わらせられるのでは、消される世界の住人にしてみると たまったモンじゃなかろう。
彼女が「世界を破壊する力を持った少女」というだけなら、意識さえさせない内に命を奪ってしまえば済むが、「この世界を作り上げたのも彼女」であり「『神』である彼女無しでは、世界がいつまで存続できるのか分からない」といった難しい条件が重なると、もう手出しのしようがなく。
 触らぬ神に祟りなし。
精一杯ご機嫌を伺いつつ、彼女が穏やかに生きていってくれる事を願うのみか。

 そんな恐ろしい相手を、そうと知りつつ、まだ対等の人間として無造作に扱えるのが、キョンの特殊性。
 自分の存在に疑問を持ち、家族や当時のクラスメートと距離を取り、3年前に世界を創造して以来、彼女の周りは、「神」を監視し、上手く感情を統制しようとする人間が囲んでいたはずで、その垣根を乗り越えて(たまたま接近して?)ハルヒと ごく普通に相対してくれたのは、キョンだけだったのかも。
 ハルヒが望んでいた「特別な相手」というのは、「自分を特別な相手として扱ってくれ」「自分も相手を特別だと思える」人、という事だろう。
それは、別に宇宙人や未来人や超能力者である必要など無く、好きな人(「好き」という自覚がないなら、「一緒に居たいと思う」ぐらいでも)、で十分。

 ポニーテール姿を誉めてくれた事と、キスによる実力行使・既成事実化で、ライバルに対する ある程度の防衛線が築けたと考えたのか、ただ単にキスによるショックでフラストレーションも深層意識の暴走も吹き飛んでしまったからか、新世界の創造は途中で中断され、二人とも現実(多分、元通りの)に帰る。
 何というか、昔懐かしい『うる星やつら』で言うなら、宇宙全体を壊滅させられる規模の電撃を無自覚に放つラムと、あたるの物語、って感じなのかな。

 しかし、「ポニーテール萌え」の言葉だけでハルヒの髪型を変えさせてしまい、「メガネ萌えの趣味はない」と言って長門からメガネを外させるキョンは、やっぱり宇宙の運命を影から操る黒幕なんじゃないかと思えて仕方なく。
 キョンも、ハルヒが世界と共に作り上げた一人格なのか。
何度も作り直した世界の中で、奇跡的に誕生した、彼女が特別だと認められる存在?

 そういえば、ハルヒが彼女の世界を創造するまで生きていたはずの「現実」は、どうなってしまったんだろ?
その「現実」が、彼女の力によって変質して、今の世界になった?
「現実」からハルヒの存在は消え去り、彼女が作り上げた世界に移行した?
彼女は、いわゆる「神」と同じく、限りない過去から未来まで永遠に存在しており、「現実」というのも彼女が作り上げた世界の一つに過ぎないとか?
 分からない事、多いなあ。
分からないと物語の理解に支障がある事、ではないけれども。
 いずれ原作小説を読んでみるべきか。

 全体に。
 非常に面白い作品だった。
作品内外に幾重にも仕掛けを施し、意図してオタクを踊らせる…『エヴァンゲリオン』以来、そういう作り方が初めて上手く行ったアニメかも。
 仕掛けをしたつもりで自爆したアニメなら、いくらでもあるが。
 まずアニメとして出来が良く、単純に見て楽しい、この基本条件を高いクオリティーで満たしたのが勝因。

 キャラクターは、ハルヒも長門も みくるも、古泉や主人公・キョンまで見事に立っており、魅力的で、いつまでも見続けていたい気持ちにさせてくれた。
 危ういバランスで成り立っている この作品世界にしても、行く末を見届けたい気分に。
 出来る事なら、「同じスタッフ・製作会社で」続編を。


2006年7月2日 日曜日

 テレビで放送された映画『戦国自衛隊1549』を見る。
 監督は『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』の手塚昌明。
 レンタルで見ようかどうしようか、ずっと迷っていた映画なので、テレビ放送は嬉しい。

 内容。
 とにかく悪い評判しか聞かず、しかもこの後に放送された、同じく『戦国自衛隊』テレビスペシャルの出来が最悪に酷かったため、何の期待も持たずに見始めたのが良かったのか、割合に負担無く見終えられた。
時間が短い分、スペシャルよりテンポが良いし、特撮にもお金が掛かっているし。
 比較対象がテレビスペシャルのみなのは、原作は未読、オリジナルの映画は公開当時見たと思うんだけどほとんど憶えていないため、何も語れないから。

 前置きナシで鹿賀丈史隊が過去に飛ばされ、追跡部隊に編入されるべく江口洋介が呼び出され、歴史改変の影響により「現在」が黒い穴に吸い込まれて消えようとしている、ここまではスピーディーであり、ワクワクさせてくれ、実に面白い。
 ただ…過去行きを渋る江口洋介を説得するため、戦国時代からやってきた侍を現代の街中に連れて行く、この辺りから「??」が余りにも多くなってしまい…

 歴史を修正するのが後続部隊の目的なのだろうから、更に悪影響を与えてしまう現用兵器は なるべく持って行かない方が良いのでは?
 鹿賀丈史暗殺が本当の目的なら、普通の自衛隊員より、潜入工作が可能な特殊部隊や、影響少なく相手を始末できるスナイパーを連れて行くべき(現実の自衛隊にそんな人達が居るのかどうか知らないけど)。

 歴史考証のいい加減さはこの際、問わない事にして。
 スペシャル版で、関ヶ原の西軍を現代人が指揮しながら、自軍をイタズラに混乱させただけで何らその優位性を発揮できなかったのに比べれば、映画での鹿賀信長の強力さ(強かったんだよね、多分)は、まだしも。
 ただ、現代人の強さって、「ヘリや戦車を持ってます」「マシンガンを撃ちまくります」という事だけじゃなくて、「未来から見た戦国時代の知識を持っている」という所にこそあると思うんだけど。
そういう視点は、この映画でも弱い。

 鹿賀信長軍、勝ち進んでいる…のだろうに、富士山を噴火させようとする意図がよく分からない。
そこまで乱暴な事をせずとも、敵軍や城の上空からヘリで油をまき、火を付ければ、進軍は相当有利に出来そうで。
史実の信長でさえ、もうちょっとで天下統一まで行けたのだから、それより強力なはずの鹿賀信長が富士山を噴火させる理由は不可解すぎ。
 まあ、「過剰に人が死ぬ事で歴史が大きく歪んでしまうイベント」として設定したんだろうけど、「とにかく派手な事しちゃえ」的で幼く感じるし、ムチャだなあ。

 行動を共にしていた少年が、いずれ秀吉になるから歴史的にはオッケー…という意味がよく分からず。
 時を越えたら何だか起爆装置?が止まっていた、とするクライマックスも、盛り上がらない事おびただしい。
 兵士達が最大限の敬意を持って相手に敬礼する姿は、とてもドラマティックで好きなんだけど(好きだからこそ)、この映画のラストみたいな、流れに即していない上、安っぽい使い方はして欲しくなかった。

 絵作りの甘さも含め、劇場鑑賞の価値は無いと思うが…
とにかくスペシャルよりかはマシで、お金を払わずに見る作品としては、こんなモノじゃなかろうか。



『仮面ライダーカブト』22.

 工場に取り残してくる形になってしまった少年を助けるため、必死な様子を見せる加賀美。
 そこにはワームしか居ない、とするZECTの冷たい予想を裏切り、加賀美が信じた通り少年は人間だった…というのが最低限、彼の努力が報われる展開だと思っていたが、非情にも やはりワーム。
しかも、時間を稼ぐために お人好しの加賀美を利用しようとしており、彼がそういう役に立たなかったと知るや冷酷に処分。

 取り戻せない少年の命への絶望と、失われようとしている自分の命への絶望、その どん底からの帰還と共に、ガタックゼクターは彼を初めて所有者として認める。
 うーむ、こういう誕生の仕方で良かったのかどうか。
ザビーに変わった時の方が、まだしも希望があったような。
 目の前で少年の命を奪おうとするワームへの怒りと、自分を捨てても少年を守ろうとする正義の心にゼクターが反応して…とか何とか、パターンながら もうちょっとヒーローらしい変身の契機もあったろうに。
 ガタックはかなり変わったゼクターみたいだから、所有者の選定条件も特殊なのかな。
 また、加賀美は「人間同士の信頼」を踏みにじるワームへの怒りで変身した訳でもあり、それは「人類の最も重要な・美しい資質」なので、ワームと戦い続ける根源要素に目覚めた、と考えられるのか。

 怒りのガタックは、少年の姿を見せるワームにも容赦なく…かと思えば、そこに至ってもまだ甘い、優しい対応しか取る事が出来ない加賀美に、ほっと安心。
 もう、彼は このままでいいな。
天道も、田所も、周りのキャラクター達全て(影山は除く。オヤジはどうなんだろ?)、そう思ってるんじゃなかろうか。
 変な奴ら揃いのライダーの中で、彼だけが「人間」たり得ているのかも知れない。

 その果てしない お人好しさ加減が、心のないワーム相手に呼び起こした奇跡。
 ワームの中にコピーされた少年の記憶が、強い感情の動揺によって本体であるワームの思考まで揺さぶり一時的に支配したのか…少年の記憶の動きを受けて、ワームの中に本来は無いはずの「心」が芽生えたのか。
 ともかく、見ていて思わず「あっ!」と声に出してしまい、継いで熱い感動が胸に広がる、名シーンだった。
 この様子からすると、ワームである体を神代の記憶が支配している事も、理解できそう。

 後半の衝撃的な展開で つい忘れそうになってしまうが、今回は前半のギャグも冴えていた。
 メイド服を着せられる こより。
これはコレで中々似合っており、萌えっぽい(笑)。
 値打ちモノらしいけど…それにしてもスプーンで会計するか、執事のじいや。
こういうのは、古物商に売っても意外と金額にはならないモノかと。
あの店の経営者であるオバサンが居たら、何と言っただろうか?
しかし…内情はかなり厳しいのね、神代家の経済状態。
 影山、まだ天道の正体を知らないのか。
常人を大きく下回る情報収集能力と洞察力で、出世できそうにないなあ。
 変な歌を歌わされる影山の姿が、憐れで、爆笑。
無理して作った笑顔の下に きっちり殺意を感じさせてくれる、役者さんの演技が素晴らしい。



『ウルトラマンメビウス』13.「風のマリナ」

 今回は、若干散漫な話。
 マリナのエピソードなのは分かるんだけど…
ちょっと漫然としていて、彼女の何を描きたいのかがハッキリしない。
 クライマックスで、レーサー時代の弱点だった、鋭すぎる聴覚を持つが故の恐怖心を克服するのなら、そこを中心に据えた構成にした方が良かったろう。
 そう考えると、ゲストで登場した登山家の知人は、必要ないような。
足を挫いて、「マリナが守らなければならない一般人」と化すのは、監督でも構わなかった訳で。
監督との関わりに時間を取っていれば、レーサー時代の苦悩に焦点を絞れたと思う。

 出現する怪獣も…もっと移動や攻撃速度が速いタイプの方が、限界を超えるスピードで走らなければならない必然性を設定できたかと。
あるいは、毒に犯された監督を救うため、解毒薬のある街まで最大速度で走るとか。
 結局、怪獣を倒すのはメビウスに全部お任せ、というのも、物足りない。

 別段、文句を言うほどつまらなかった訳ではないのだが、『メビウス』は全体にドラマの出来が良いので、僅かの甘さでも目に付いてしまう。
 隊の仲間達をマリナの視点から紹介していく所とか、実に楽しかったんだけど。


2006年7月1日 土曜日

『おとぎ銃士 赤ずきん』01.「赤ずきんがやってきた」

 男の子を守って、お伽噺のお姫様達がモンスター相手に大立ち回りを演じるアニメ。
 冒頭から主人公の男の子が送る日常生活を きちんと描いてあることで、物語に入りやすい。
母親との思い出がある物語を追い続けて…という、行動の動機付けも、まずまず分かり易いのではなかろうか。

 モンスターは、可愛げ無く恐ろしい存在で、多少なりと緊迫感のある逃走劇を見せたことにより、いくらかシリアスな物語になるのかと思えば…
 赤ずきんが登場すると一転。
剣で切ると、モンスターは光になって消えてしまうという後腐れのなさ。
商品先行のアイテムから放つ妙な光線は強力らしく、簡単に敵を退治。
 …この辺は、緊張感ゼロに思える。
若干ちぐはぐな印象。

 作画は良く、キャラが可愛らしく、特に大きなマイナス点は無いので、しばらく視聴継続。
 年長のオタクを喜ばせてくれるような仕掛けが何かあるなら、ずっと見続けられるんだけど…「正しい子供向けアニメ」だった場合、脱落してしまう恐れも。



『出ましたっ!パワパフガールズZ』01.「ガールズ、参上!」02.「ガールズ、誕生!」

 日本でも大人気…だったかどうかは知らないけど、一部には絶大な人気を博した米アニメを日本でリメイクしたもの。
 キャラクター達が、日本的に分かり易い形で可愛く、「萌え」になっており、それはまあ善し悪し。

 デフォルメのキツいキャラにより、現実味が薄い抽象化されたストーリーを展開し、その中に、もう「子供向け」とは言えないぐらいの酷さや醜さなど「毒」を詰め込み、しかし可愛らしく あくまで楽しくまとめたのが原作アニメの魅力。
 まず、そのキャラクターを大幅に変更したことで、世界を捉える視点も比較的に合理的なものとなり、ケミカルXにテキトーなモノを混ぜたら三人のスーパーガールが誕生してしまった原作の魔訶不思議描写から、普通に生活していた女の子達が力を与えられる、理解しやすい設定に変更。
 人格的にヤバさが感じられたガールズ生みの親・ユートニウム博士も、息子を持ち、その後先考えない行動には反対する ごく常識的な男性に。
 モジョにしたって、もうちょっと剣呑な性格だったように思うが、「子供向けアニメの悪役」として問題がない程度の、カドが立たない人格になっている。

 ここまで変えるのなら…元々原作の設定からして「凝りに凝っていて優れている」というより「割と思いつきっぽい」モノなので、更に原形を留めないぐらい改変しバトルヒロイン版『おジャ魔女どれみ』とでも言える内容にしてしまえば、版権料払わなくて良かったのになあ。
 原作の骨格だけ用いながら全然違うモノに変えてしまう、同人誌的な楽しさは、確かにオリジナル作品だと生み出せないだろうけど。

 物足りなさは感じるが、今回のストーリーは「基本設定紹介編」という所なので、まだ どうこう言う段階ではない、とも思える。
 これはこれでキャラは確かに可愛く、作画も頑張っていて、パワフルな変身シーンなど大いに見応えアリ。
 脚本は浦沢義雄なのだから、今後、弾けた展開が待っていることを期待して、しばらく視聴継続。



『ゼーガペイン』13.「新たなるウィザード」

 守凪 了子、ウィザードを越えたウィッチとして目覚める。
京とペアを組んで発揮する戦闘能力は凄まじく、他の気が合った恋人ペアと比べても段違い。
 武器装備に関して瞬時の判断で取り出すことが出来るのは、既にゲームでシミュレーションを完了しているから…とも考えられるけど、動かなくなったゼーガペインの腕について動力をバイパスするなどの対処を迷い無く行えるのは、訓練期間もロクになかったろう事を考えると、不思議。
了子個人の記憶の中に、幻の学園生活を送る上では不要と判断されたメカニックな知識が封印されていたのか、セレブラントとして目覚めた人間は、母体となるコンピューターに蓄積されているデータベースに自由にアクセスできるようになる、という事か。

 敵が強化されているようなので、しばらくは京・了子ペアの無敵ぶりを楽しませながら、やがて厳しい敗戦を経て…
というような展開を予想したけど、まさか、こんなに早く やられるとは。
 しかも、それでせいぜい了子が戦闘恐怖症になって…とか、京が彼女を実戦の場に連れ出すことを拒むようになるとか、そのぐらいだろうと思ったのに、データごとロストさせるとは…
 想像を絶するハードな展開に、呆然。
 この先、データ上の存在であっても一度消えた(死んだ)者は二度と戻らない、という厳しい姿勢を貫くのか、敵側に(驚異のテクノロジーで)了子のデータが奪取されていて いずれ敵として再登場するなど、いくらか希望が感じられる展開もアリなのか。

 次回は、アレやコレや疑問に思っていた事に、回答が示されそう。


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