ときどき日記 2007/03

2007年3月31日 土曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュ』23.「せめて哀しみとともに」

 ううーん、まさかこんなに早くユーフェミアを片付けるとは思わなかった。
まだまだどうとでも、有用に使えるキャラだったろうに。
 とは言っても まだまだ、個性があり、ドラマ上 重く意味を持たせられそうで、しかし食い足りないキャラや設定が数多く控えており、「ユーフェミア無しではこのアニメが成り立たない」という事では、勿論ないのだが。

 彼女の死により、怒濤の勢いで動き始める物語。
 ブリタニア対 黒の騎士団…いや日本人全体、という戦いの始まり。
単に市民の虐殺ならクロヴィス統治下でも行われていたけれど、今回は、情報が記録され一般に向けて流された事と、希望を一度与えておいて絶望に換えた非道さが、怒りに火を付けたのだろうか。
 行動の核となる黒の騎士団が存在した事も、大きかろう。

 スザクとルルーシュの間で交わされた通信。
 あの時点でスザクは、V.V.によって、ゼロの正体を知らされていたのかどうか。
そういう含んだような事が言えるキャラでもない…いや、ユーフェミアを喪い それが友の仕業だと知る事で、人格変換を起こしても不思議ないな。
 知らないまま・知った上で。
どちらとも取れる、二つの意味を持たせた言葉が慎重に選ばれており、ゾクゾクするような面白さを演出してある。
 このアニメは、「ただ漫然とライターが書いただけの無意味な会話」というものがほとんど無く、作る方としては苦難の連続だろうと思うが、視聴者にとっては どこを取っても見所、と感じられ、楽しいばかり。

 大きな流れの中で忘れそうになってしまうが、ユーフェミア様ラブだったニーナが、ゼロへの復讐を誓って行動を開始している、この伏線の引き方も見事。
 ルルーシュの最期は、彼女に撃たれて…というモノで良いかも。
 しかし、予想をどんどん裏切る作品だから、そう素直に進まないか。

 合衆国・日本設立までが、あと二話で描かれる?
 とにかく早く先が見たいけど、放送は夏なのか…



『ひだまりスケッチ』最終12話.「サヨナラ…うめ先生」

 最後の最後に来て、新キャラクターを出すとは。
といっても、沙英の妹だけど。
 第三者の視点を加えることで、レギュラーキャラクターの新しい魅力を描いている…という訳ではなく。
沙英については、妹に そっけなく接しているようで、実際は一杯の愛情を抱いている内面が見て取れたが、そういう性格だと以前から描かれており、まあいつも通りの話。
 でも、構えない、このいつも通り加減こそ、この作品らしく、最終回に相応しく思える。

 遙か彼方まですっ飛ぶようなボケも、切れ味鋭いツッコミもなく、「日常」の範疇に収まる穏やかなコメディーを展開したシリーズ。
ギャグ、として笑わせる力は弱かったと思うが、代わりに不快なキャラクターも嫌味を感じさせる部分もなく、気持ち良く見ていられた。
 一瞬何が映っているのか分からなくなるぐらいのクローズアップと、写真を随所に挟み込む手法が多用され、画面にアクセントを付加。
こういう変わった「クセ」みたいなものを演出的に設けるのが、新房監督の個性かな。

 姉妹のように仲の良い四人が、それぞれ個性豊かに、可愛らしく描かれており、好感を持って見続けてきたので、終わりになるのが寂しい。
 人気があれば、またいくらでも続編を作れる内容だろうが。



 故・植木等追悼で放送された映画『日本一のホラ吹き男』を見る。
 クレージーキャッツについては、直撃の世代からズレており、強い思い入れは無い。
植木等主演の映画についても、きちんと見たのはこれが初めてかも。

 驚くぐらい調子良く、図々しくてパワーに溢れ、憎めない植木等のキャラクターに、圧倒される。
 何よりも、この強烈な主人公が命。
これだけが全て、と言っても良いだろう。
 タイトルから、もっと無責任でいい加減、口先だけで苦労もなくのし上がる男を描いているのかと思えば、大違い、凄まじく頭が切れる上、身を砕いての努力も惜しまない、劇中でも言われていた通り「スーパーマンのような」主人公。

 目標とする会社への入り方、出世方法、ライバル会社を出し抜く知恵…かなりアイディアの掛かったシナリオに、感心。
 速いテンポで物語が展開することもあり、古さを感じずに見続けられた。
 テレビサイズとして、画面の両端が大きく切られているようで、大事な部分が映っていない事があり、興を削いでいたのが残念。
 落ち込んだ時にでも見ると、元気をもらえそうな映画。
こういう日本映画も、あったんだなあ。

 遅ればせながら、植木等さんのご冥福をお祈りいたします。


2007年3月30日 金曜日

『SHUFFLE! MEMORIES』最終12話.「番外編」

 メインの女性キャラクター総出演で、水着姿と、布を巻き付けただけの際どい肢体を披露する、番外編に相応しい大サービス話。
 とにかく作画が良く、女の子達のボディーラインが美しく・肉感的に描かれ、目に楽しい。
張りと質感を感じさせる胸の描写に、感心。
これぐらい描ければなあ…

 ストーリーも、負担を感じさせない軽い内容で、気楽に見られる。
 全裸になった凜が、同じく全裸の女の子数人と共に姿を消す、という異常事態に臨み、精神の均衡を失ってダークサイドの人格を露出してしまう楓に、大笑い。
 「本編シリーズ中の、ある日」とする設定で作られた番外編だと思う。
これを本編中に挟み込んでおけば、シリーズ後半の楓 変貌への伏線として機能させられたろうが、そうすると意外性が薄れ、一度「ギャグ」として処理したダークサイド化を「シリアスな悲劇」として語られても受け入れ辛かったろうと考えると、やっぱり番外編でしか使えないネタ。
 狂った、強すぎる愛情を感じさせる楓は、やっぱり良いキャラで、愛しい。
いや、自分が愛を向けられる対象ならともかく、デカい包丁を持った楓に切れる寸前の異常に平静な声で「凜くんはドコですかぁ〜?」と聞かれる立場だったら、泣きたくなるぐらい怖いと思うけど。

 よろよろと漂うようなシアの動き、魔力球を一挙動で投げ上げるネリネの動作、等々、動画面でも見所が多く、見て損のない番外編。
 こういうファンサービスは、大歓迎だなあ。



『ネギま!?』最終26話.「寂しいなんて言いません!だって、きっとまた会えると信じてますから!」

 最後まで、原作のキャラだけを借りた…キャラを使って遊んだ、と言っても良いか…アニメだった。
 ストーリーには余り注力されておらず、戦いや その決着など、オマケのような扱い。
 『ネギま!?』というより『ぱにぽに』番外編といった雰囲気のギャグ、これが やりたかった事だろう。
こういう笑いが好きな身としては、かなり楽しんで見られた。
 エヴァンジェリンが拗ねている様子なんて、まるっきりベッキーのような可愛らしさで。

 アニメとして傑作だったか、というと疑問だけど、これぐらい気楽に見られるアニメも、各シーズンで一本ぐらいは欲しいもの。


2007年3月29日 木曜日

『ロケットガール』06.「コントロール −control−」

 次々に危機的状況が訪れるため、一つ一つが浅く、印象に残り辛くなってしまっている。
 これだけのピンチに割合と冷静な対処できている ゆかりは、驚異的な精神力の持ち主…というより、あんまりリアリティーが無いキャラ。
 「もしかして最後になるかも知れないから、母親と話したい」とか「クソ親父に一言言いたい」ぐらいの事があって良いのでは?
 特に親父については、部族の「呪い」が本当に効力を持つのかどうか ぼかすためにも、呼びつけて(あるいはマツリが急いで会いに行って)、マツリの打ち上げ及び二人の無事な地球への帰還を応援する方向に、力を向けさせるべきかと。
そういう段階を踏めば、ゆかりの学校の池に着水、などという あり得ない展開への伏線としても機能させられたろう。

 不安と、薄くなっていく酸素で苦しむ ゆかりに、救援のマツリが向かっていることを連絡しない地上基地。
「突然出現したマツリを見て、驚くゆかり」を演出したかったのだろうが、マツリの発進を視聴者はもう知っているため、何だか中途半端。
 「最後の手段だ」という具合に視聴者にも隠して打ち上げるか、タイムリミットをきっちり設定して、間に合わない、とハラハラさせる事で引き付ければ良いのに。

 マツリ機を、これだけ緊急に発進して ゆかり機と完璧にランデブーさせられるなら、いっそ無人で打ち上げ、それに ゆかり一人を乗せて帰せば良かったのでは?
 それより、「宇宙で姉妹がランデブー」とか「思い切りよく電子機器を捨ててしまうマツリ」「荷重に耐える丈夫なマツリの人体シート」といったイメージの面白さを優先したものか。

 問題に感じる部分はあるが、テンポ良く物語が進み、大人達の身勝手さも目立たなかったため、これまでで一番楽しく見られる話だった。
 姉のため命の危険も省みず(気にしてないだけ?)行動するマツリの可愛らしさで、プラス何十点かあるな。



『ProjectBLUE 地球SOS』最終12話.「超兵器出撃!地球最期の戦い!(後編)」

 レトロでフューチャーな世界観の下、侵略者との戦いを描いてきたこのシリーズも、最終回。
 人間爆弾、異常気象、洗脳電波…様々な攻撃方法を考案してくるバグア遊星人に対し、地球人側はどうも力押しにばかり頼っていた印象があり、物足りない。
知恵と勇気、で両輪だと思うから、知恵を凝らした戦いも見せて欲しかった。

 遊星人の正体は…
意外さを狙う場合のストーリー・バリエーションの一つであり、それ自体は驚くようなものでなく。
 結局、遊星人達を信じたマーガレットの行動は正しかったのかどうか。
 雑多な出来事に紛れて、ジェームズの死が酷く軽い扱いになっていたのは、残念。

 元OVAだけあって、作画のクオリティーが非常に高いまま推移したのが嬉しい。
 不満点も多いけれど、こういう傾向の作品が好きなこともあって、細かい事さえ忘れられれば楽しく見られる作品だった。


2007年3月28日 水曜日

『おねがいマイメロディくるくるシャッフル』最終52話.「夢がかなったらイイナ!」

 ラスボスとの激闘も決着。
 ほとんど感情を動かさないマイメロと違い、激しい喜怒哀楽を見せ葛藤し成長(一時的なモノにせよ)を見せるクロミの方が主人公に相応しい、と思わされる終わり方だった。
 いや、どんな時でも超然としている(空気が読めなすぎる?)マイメロも好きだけど。
毎度毎度、こんなに調子が外れたリアクションを考え出すスタッフは、大変だったろうなあ。
 「怨み」「恋」という しっかりした方向性を持つ、分かり易いクロミの方をつい優先して動かしてしまうのは、仕方ない。

 漢を見せてきた駆の恋の成就が、嬉しい。
 彼には敵わない、と思っていたのだろうが、諦めなかった恵一の人間らしさも、確かな成長と感じられる。
…その気持ちの終焉が「因果応報」という形で降りかかってくる、長い伏線の回収ぶりに、爆笑。

 ハッピーなエンディングで、とても良かった…と思えば、まだ続く?
これからは番組の一コーナーとなり、マトモなアニメとしては、やっぱりこれで終わりなのか。

 全体に。
 前シリーズからだけど、ほのぼのしているようで強烈な毒があり、子供も楽しめたろうがヒネた大人の鑑賞にも耐える、不思議なアニメだった。
 作画は常に一定の水準をキープし、ギャグのヒット率が高かったのも素晴らしい。
 とりあえず終了、ということで、スタッフの皆様お疲れ様でした。
 次回からも、形態を変えつつ面白い作品で居続けてくれると、いいなあ。



 WOWOWで放送された映画『アサルト13 要塞警察』を見る。
 三十年ほど前の、ジョン・カーペンター監督作品『要塞警察』のリメイク。

 オリジナルの方は、確か見たと思うが何しろ昔の話で、警察署が襲撃される様子と銃撃戦をオボロに覚えているぐらい。
それさえも、『ターミネーター』とイメージが混ざっている恐れアリ、という頼りない有様。
 なので、リメイクとしての出来がどうこうとは言えず、単に新作映画としての鑑賞。

 キャラクターが、俳優の個性に頼りすぎているような。
 ローレンス・フィッシュバーン演じる重罪人は なかなか魅力的なんだけど、見終えて振り返ってみると取り立てて優れた描かれ方をしている訳でなく、役者としての渋みや迫力に大きく救われていると感じてしまう。
 イーサン・ホークによる警官のキャラなど、冒頭で性格を方向付けるような大きな事件が設定されているにも関わらず、それが本編でほとんど意味を持っておらず、所謂「主人公」という薄い扱いに留まっている。
 老警官は、「分署の生き字引、骨董品のような押収品(武器)と共にある」という所が大きな個性だろうに、さほど活かされていない。
 女性精神科医、色っぽい女性警官なども、彫り込めそうな部分を持たせつつ通り一遍の描き方で終わり、残念。

 アクションとしては、とにかくバンバン撃ちまくるので飽きずに見てはいられるが、建物内の位置関係や敵の人数把握、待ち望んでいた夜明けまでの時間経過などが分かり辛く、「閉鎖環境の面白さ」を弱めてしまっている。
 襲撃者に魅力が無く、後半のどんでん返しが余りに強引すぎるのも惜しい。

 最初から「B級映画」を目指して作られたのだろうから、その意図は達成できていると思う。
テレビ東京、お昼の映画枠で放送されると、丁度いいぐらいの作品。
 時間潰しには向いているけれど、本当にそれだけ。


2007年3月27日 火曜日

 レンタルで映画『ディセント』を見る。
 洞窟探検に出掛けた6人の女性達が、暗闇の中、自らの内外に存在する恐ろしいものと遭遇し…

 とにかく、洞窟に入ってからの不安感、閉塞感の出し方が上手く、閉所恐怖症気味の身としては悲鳴を上げたくなるようなシーンが続出。
暗いよ狭いよ怖いよ。
 洞窟の中での遭難、出口のない恐怖、頼りない明かりの下、女性達の心に変化が生じていく。
映画前半に当たる、ここいらまでは非常に恐ろしく、息苦しさを覚えるほど。

 が、後半になって一転。
 ゴブリンだか白塗りの小さいオッサンだかみたいなモンスターが登場すると、救われたような気分(笑)になり緊張感が途切れる。
 またこのモンスターが、弱い上、間が抜けているモノで。
暗闇の生活で目が退化しているのはともかく、嗅覚や、目の前で炎が燃えていたり、自分の手が生きた女性の頭を触っていることも分からないぐらい感覚全てが鈍っていて、過酷な状況下、よく生き延びてこられたもんだ。
 離れた場所に石でも投げて、その物音にモンスターが集まったところを後ろから一匹ずつ始末する、という方法によっては、楽に退治できたんじゃなかろうか。
ノンビリしてると灯りがもたない、というのはネックだけど。

 正面から戦っても、バーサーカーと化した女性陣は強く、「この勢いだと地底種族を根絶してしまう」と妙な心配まで。
 そんな弱いモンスター相手なのに、パーティーの人数を減らしていく不思議。
「あー、何でそんなバカな行動取るかなあ」と、呆れさせられる感情もまた、怖さの一種か。

 暗い洞窟内のシーンが大半を占めるため、何をしているのか分からなかったり、誰がどうなったのかも見失ったりする。
 それでも、後味の悪いラストまで含め、特に前半、久々に怖さを感じさせてくれた映画だった。


2007年3月26日 月曜日

『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』最終12話.「桜色の未来たち」

 学園祭から時が経ち、最終話は、一話丸ごとエピローグ。
 進学や実業団入り、学美のフリーターなんかは「リアル」と感じられるんだけど、光香の海外留学(就職?放浪の旅へ?)は意外…というか、ちょっと物語を終わった気分にさせるための「仕掛け」に思えてしまう。
空港まで見送りに行っての別れによる分かり易い学園生活の区切り、日本に帰ってくるイベントを設定する事でドラマティックな感動の上積みを設定できる、等々、便利なので。

 海外に行っての苦労も成長も別に描かないんだから、少し遠い大学に進学したでも、北海道の叔父さんの牧場を手伝いに行ったでも構わなかったろう。
…いや、だったら海外でも良いじゃないか、とも言えるが。
 後半、メインのストーリーとなった学園祭が、開催後にはさほどウェイトを置いておらず、そこに到るまで…そうしたいと思ったヒロイン達の気持ちを描こうとしていたように、光香の渡米も、「そうできる性格に、彼女が変わった」事が重要なのかな。

 結局この作品は、光香の成長を主題にしていた。
 積極性に欠けていた彼女が、単身渡米するところまで大きく変わっていく様子を描くシリーズ。
 でも、考えてみれば、元々たった一人で生徒会書記として頑張っていた(どんな実務をこなせていたかは知らないが)訳で、成長自体はほんの僅か、一歩を踏み出したに過ぎないのかも知れない。
その一歩を踏み出す勇気が、なかなか持てないものなんだけど。

 卒業から時を経ての再会は、要らなかったかも、と思う。
それぞれの場所で頑張りながら、辛くなった時、あの楽しかった(一緒に苦労した)思い出が支えてくれる、というだけで終われば。
 ただコレは、視聴する人間の精神状態や年齢にも寄るか。
 個人的に、学校卒業後の「未来に向けて一杯一杯で、以前のことなど振り返っている余裕はない」状態を過ぎ、「アイツら何してるのかなあ、久しぶりに顔を見てみたいなあ」と思う状態も過ぎて、「今更会って何するんだ、みんな頑張ってるんだろうな、と思うだけ、それだけで構わない」という年齢に入ってしまっているので、上記の感想になったのかも。

 全体として。
 こういうエンディングを迎えるのであれば、学園祭関連の話は もっと短くて良かったような。
修学旅行に行く、運動会で頑張る、臨海学校に参加、桃葉の家を訪ねて豪邸ぶりに驚く…もっとこのキャラクター達で見たい・見せたいイベントは考えられたと思うんだけど。
 近未来、という設定や、学校を取り巻く特殊な状況の必要性も、分からない。
最終的に、それが足を引っ張った、という程 重要視されて描かれてはいなかったから看過すれば済むのだが、とにかく少女達の魅力をこそ見せたい作品なので、なるべく背景はシンプルにした方が、余分なところに視聴者の気を散らさないで済んだろう。

 崩れない作画は素晴らしく、触ると ぷにぷにしていそうな質感を持ってキャラクターを最後まで描けたのは、驚異的。
 特に光香と芽生は、眺めているだけで楽しく、もっと長く見ていたい少女達に感じられた。
 不満に思うところも、「青春ってそういうもの」と考えれば、不思議と納得できてしまう(^ ^)、色々な意味で面白い作品だった。


2007年3月25日 日曜日

『ウルトラマンメビウス』49.「絶望の暗雲」

 エンペラ星人の猛攻。
 僅かな時間で「圧倒的な強さ」を印象づけられるものかと思ったが、ザムシャー、ヒカリなど、様々な戦力を事も無げにはね除けていく構成を重ねる事で、その恐ろしさと絶望的な気分を演出するのに成功。
 …それでも、「圧倒的」と言えるかどうかは、まだ疑問があるけど。
 ウルトラの父と相打ち、という過去は、「凄い」のか「そうでもない」のか、判断に困る。
ウルトラマンキングなら、さほど苦労せず勝てたり?

 久々に登場したザムシャーが、凄い儲け役になっていて驚く。
「勘違いするなメビウス!」なんて、強敵(とも、と読む)だけに許されるセリフだ。
 最期も余りに格好良く…
光になっちゃったけど、死んだのか?
これだけ勇気ある行いを見せたんだから、誰ぞウルトラマンと一体化して甦らせてくれたりしそう。

 かつて登場したキャラクター達が再登場し、地球の味方をしてくれる…というパターンは、やっぱり盛り上がる。
 ウルトラ兄弟達は、ピンチに駆けつけてくれるのか。
 予告にゾフィーの出現シーンがあったみたいだけど、やっぱり隊長が変身する?(^ ^)
 次回が楽しみ。



 レンタルで映画『トゥモロー・ワールド』を見る。

 カメラの長回しが凄い、というのはDVDのコマーシャルでもさんざん言われていて、確かに、本編で三度ある そのシーンは凄いんだけど…
 それは「テクニックとしての凄さ」。
 撮影困難ではあろうが、デジタル技術が発達した現在なら「死ぬほど」って事ではないと思うし(参照)、「撮影の大変さを考えると」凄い、という話であり、ハッキリとカットを割ってあっても観客を内容に引き込むのに それほどの支障はなかったかと。
 いや、何の予備知識も無しに見れば、十分 感心できるシーンだったと思うけど、身構えて見ると、ちょっとヒネた感想になってしまう。

 内容。
 子供が生まれなくなった、終末迫る世界…なんてSFとしては珍しい題材でなく、今更こんなのどう描くんだろう?と危惧しつつ見たが…
うん、面白い。
 世界の作り上げ方からキャラクターの個性まで、独自の美意識で統一されているため、「良くある話」とは感じず見られる。
「ここを面白い、と考える監督の感性が面白い」映画。
 爺ちゃんの家に入る道を枝で隠してあり、その前で降りて一々どかして、通り過ぎたらまた塞いで行く、という秘密基地っぽい仕掛け(世界の状況を考えると、そんな愉快な話じゃないんだろうが)。
 何気なく空に浮いているピンクの豚。
 悪夢のような収容所内部。
 地獄絵図のような銃撃戦の中、被弾せず歩き回る主人公の姿を、「リアル」というより これも「悪夢」のように見せるセンス。
 実に面白い。

 キャラでは、奥さんと二人暮らしをしている爺ちゃんが、とにかく抜群に愉快で愛しい。
こんなジジイになれれば良いなあ、という、一種理想型。
 反政府組織のリーダーは、ロクデナシに思えたが、クライマックスでのセリフに胸を打たれる。
 人間の捉え方が一面的でなく、善と悪、美と醜を対にして描いていく構成で、深い。

 テーマとしては、「『親』は子供のためなら何だってやる」という事か。
 激しい銃撃戦の中で起きた一瞬の「奇跡」と、またすぐ始まる殺し合いの落差には、胸を揺さぶられる。
 ラストシーンで、哀しい、というよりストンと腑に落ちてしまうのは、自分も子供のためなら かくあるべき年齢になっているから、なのかな。
とてもとても、そんな立派な覚悟を持って生きている訳じゃないけど(^_^;)。

 見応えがあり、考えさせられる、良い映画だった。


2007年3月24日 土曜日

『REIDEEN』04.「影との戦い」

 地下に閉じこめられた淳貴と前田崎に、謎の男(化け物?)が迫る。
 地味なチェイスには、妙な迫力があったが…
 ホラー映画のお約束といえばそうなんだけど、物理攻撃が通用する相手を殴り倒して昏倒させておきながら、止めを刺さずに逃げ回り、回復した相手に追い詰められて…という展開を、しかも二度繰り返すのは感心しない。
 一般人の淳貴はともかく、ある程度は こういう事態に対処できるはずの前田崎が無能なのは、どうだろ。
 「頭脳労働専門」という事なら、施設地下にあった薬品か日用品か、そういうものを活用する事で勝機を見出すような、さすが!を見せて欲しかった。
 まあ、ヘタレキャラ、という印象を強くする事だけは出来たけれど。

 ライディーンの戦いは、今回も意気揚がらず。
 戦闘シーンをロボットばかりで構成すると、ただ「眠くなるぐらい動きが遅い3DCGを見せられているだけ」になってしまうので、周辺で見ているはずのキャラクター達が取るリアクションを入れるとか、工夫が欲しいところ。
 「姿が見えない上、分離攻撃を仕掛けてくる敵」という特殊な設定を、生かし切れているとは思えないのも、残念。

 それでも、シリーズ開始当初よりは面白くなってきていると思う。
 余りにスローなペースでの立ち上がりに、見切る視聴者がどれだけ居ても不思議無いが。



『コードギアス 反逆のルルーシュ』22.「血染め の ユフィ」

 毎度、こちらの安易な予想など遙かに越える展開を見せてくれる作品だけど、今回はまた、想像を絶する事態に。
 面白いというか、キモが冷えるというか、大きく悲劇に踏み込んだ事を表す凄絶な光景に、「ああ」とか「うわぁ」とかいう呻きが口から漏れてしまう。

 ユーフェミアが見せる驚くべき人の善さの前に、一度は「敗北」しかかるルルーシュ。
 彼女の庇護を得て、ナナリーの安全さえ確保できれば、彼の目的の半分(数十パーセント?)ぐらいは達成できる訳で。
 後は、団内から脱落者が出ていた事でもあり、黒の騎士団を ゆっくりと解体し、復讐の炎を消していく…出来るだけ小さく留め続ける生き方も、選べなくはなかったろう。
 ユーフェミアの参謀として、なるべくクリーンな策を弄し、彼女の権益を拡大させていく事で、正統な方法によりブリタニアを手中に収める方法もあったろうし(王位継承権放棄がネックか)。
それなら、スザクと対立する必要も無くなる。

 でも、もう引き返せない。
 ギアスの力を手に入れた時から、必然だったのかも知れない過酷な運命。
 復讐の炎は、やがて自分自身をも焼き尽くす。

 ユーフェミアはどうなるんだろうか?
こういう事態を招いてしまった自分を、許せるのかどうか。
 冷静に考えれば、自分の考えが突然ねじ曲げられてしまった事(もう継続的に「日本人を殺す」考えから抜けられなくなったのなら、思考の変化にさえ気がつけない?)、その直前、それに関すると思われる話をしていた事により、ルルーシュの仕業、という結論に到るのは難しくないと思うが。
 ブリタニアの誰よりも強く「日本人への殺意」を持ち、ルルーシュへの憎しみを抱く、ダークサイドに堕ちた皇女が出来上がる、とか。
 その前に、元々の優しい性格と、日本人を殺していきたい気持ちのバランスが取れず、精神崩壊を起こすかな。
いや、日本人を文字通り害虫並みに考えられるようになっていれば、均衡を保てなくもないか。
 まあそこは、製作者の考え次第。
 もう、日本人であるスザクと一緒に居る事さえ出来なくなる?

 加速度を増していく物語。
「週刊連載漫画」のスピード感。
 主題が余りに早く、こちらの目を釘付けにして展開するため、周辺を見落としているんじゃないかと不安にも。
そういう所もまた、「週刊連載漫画」っぽい所。
 放送が一段落付いたら、落ち着いて最初から見返したい。

 今更ながら…次回は何が起き、どうなるのか、こんなにドキドキさせてくれる作品は凄く久しぶり。


2007年3月23日 金曜日

『獣装機攻ダンクーガ ノヴァ 』06.「未知の襲撃」

 取りあえず弱い者に味方して強者の戦力を削ぐ、場当たり的な戦い方をしていたダンクーガの目的が明らかに。
 局地戦を続けさせることで、よりヤヤコシイ事態の発生を抑える…という考え方は正しいのかどうか。
ロボット等の分かり易い武力による戦いでなく、生物・化学兵器での攻撃や核兵器による一撃必殺のテロが行われた場合、止めようがないような。
 大量破壊兵器開発の査察も、ダンクーガ隊が行っているのか。
 そういう陰気な戦力は存在しない世界?

 旧作『ダンクーガ』と、世界が繋がっていることが明らかに。
 サンドマンっぽい男が居たけど、『グラヴィオン』とも同一の世界?
 ダンクーガを支えているのが、戦争を継続させて利益を得ようという真意の企業集合体であれば、「ドクーガ」って事で、「真の敵」はシリーズ構成繋がりの「ゴーショーグン」だったり。
 先行きに興味を持たせる要素はあるんだけど、作画の崩れ方が酷く、突然立ち上がる恋愛フラグの描き方も拙くて、集中力が途切れがちになるのは辛い。


2007年3月22日 木曜日

『ロケットガール』05.「イグニッション −ignition−」

 突然、ゆかりが居る島に現れる母。
 頭の回転が速く、強引で、折衝能力に優れ、娘の性格を熟知しているため、こじれようとしていた事態を一瞬にして収めてしまう。
 この作品に足りなかったのは、こういうキャラじゃなかろうか。
ロケットバカの集団と、フツーの女子高生の間を繋ぐ役割を担う。
逃走した元パイロット男が そうなるのかとも思ったけど、まるで役立たずだからなあ。

 いっそ、ゆかりは母親と共に島にやってきた、という事で良かったかも。
酋長となった旦那への怒りか取引か、そのために、母が娘を無理矢理 宇宙飛行士に仕立ててしまえば。
 ゆかりは、元々強く自覚して宇宙を目指した訳ではない(今でもそんな自覚はない?)ので、動機付けは何でも良かったはず。
 何でも良いから薄弱な理由でも良い、かというと逆で、「女子高生を宇宙に行かせる」主題への方便に過ぎない部分だからこそ、視聴者に余計な疑問(嫌なら辞めちゃえばいいんじゃないの?という)を持たれないよう、有無を言わせない強力な囲い込みを見せなければ。

 新型ロケット失敗の原因は、原住民部族の呪いだった?
技術力が低いのではなく。
なるほどねえ。
 娘に宇宙へ行くことを求めておきながら、彼女が、乗っているかどうかは分からないにせよ関係しているのは確かなロケットに、呪いをかけて失敗へと導く親父。
……何を考えているのか。
 どうせならこれまで通り「花火」にしてしまえば良いのに(そこで物語は終わるが)、今回に限って地味な呪いにした意味は、これから明かされるのかな。
 まだ、呪いに、本当のパワーがある世界かどうかも分からないけど。

 ロケット打ち上げのプロセスは、この作品のキモとも言える部分だろうから、渾身の力で盛り上げて欲しかった。
割合アッサリ上がってしまったようで、拍子抜け。
 ここは、「視聴者も一緒に宇宙まで連れて行く」ぐらいの気合いがなければイカンだろうに。
 それでも、無事打ち上げが成功し、宇宙に出た感動を口にする ゆかりを見て胸が熱くなってしまうのは、世代ってモノなのか。



 WOWOWのドラマ、『黒い春』を見る。
 監督、大森一樹。

 人間が突然、黒い粉を口から吐いて死亡する黒手病が発生。
次第に感染者が増え、街にパニックが広がる…
 導入部や、それを受けての前半は、『復活の日』を思わせる、なかなかにシビアでダークなものだったため、規模の大きなサスペンス展開を期待したが…
 中頃でもう感染原因が特定されてしまい、病気自体は そんなに恐ろしいものではなくなってしまう。

 その後、視点は非常に小さくなり、「妻が感染してしまった主人公が見せる、家族の愛の物語」という、別に黒手病なんて特殊な病気を設定しなくても描けるだろうアリガチなドラマになってしまうのに、ガッカリ。
 何を期待して見たか、に寄るのかな。
 牧瀬里穂が、かなり大きな女の子の母親を演じられる年齢になっていたことに驚いた他は、特に印象に残るような部分もなく、見ても見なくてもどうでも良い作品。



『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』10.「集う仲間たち」11.「わたしにもみえるよ」

 10話。
 これだけ引っ張ってきて、「旧学生寮の大掃除と改装」というイベントで生徒達の心をまとめてしまう拍子抜けっぷりは、どうなの?と思う。
 しかし、そんなもんかな、と感じられる部分もあり、複雑。

 そもそも大掃除とか、楽しいのかなあ?
楽しい部分「も」ある、というのは分かるにせよ。
 改装だけならともかく、薄汚れたトイレの掃除、重量がある机や棚の運び出し、バケツに水を汲んできての雑巾がけ…そういうものを、女子高生が、みんな喜んでやるとは思えないんだけど。
 深刻でリアルな方向を目指したアニメじゃないんだし、これで良い、というなら、「必死の呼びかけ」や「校内放送に無関心な他生徒達」というようなシビアな描写は、排除しないと。

 と思いつつ、これでも良いと感じられるのは、「学園祭前日、その準備に追われる楽しさ」といった『うる星2/ビューティフルドリーマー』的な高揚感が理解できるから。
大勢で、どちらかというと下らない事を、一生懸命やる…この意味と意義は、「作品から」というより「体験から」理解できる。
 また、まなびが勝手なナレーションを入れていたように長く学生達を見守ってきた時計塔が、意志を持つかのようにタイミング良く破損した事から、「超自然的な、学校そのものの意志」が介在していると理解する事も出来よう。
 これまで学美達が取ってきた署名集めの方法は、自分達の勝手な必然性に他者を無理矢理 付き合わせようとするもの(流された生徒会映像の自己完結ぶりに顕著)。
今回のは、まずイベントに他者を巻き込み、「みんなで走る」「下らない事を一緒にやる、体感的な楽しさの伝播」が実現されており、それは、どれだけ言葉やイメージを伝えるよりも、後に来る学園祭の楽しさを期待させるモノだった、だから署名を集める事が出来た、と取る事も。

 第一話で、学美が生徒会長たる意志と資格を示したのは、「アカペラで校歌を歌う」という、理屈もヘッタクレもない方法に寄った。
 最初からそうだったのだから、それでなお付き合ってきた視聴者は、今回の解決法も受け入れるべき、と言われれば その通り。
 ただ…それなら、「この危機をどう乗り越える」みたいな引きとタメは、もっと短い方が良かったな。
期待させておいてコレか、と批判されるのは、仕方ない。

 11話。
 そして行われた学園祭。
 学美のコンサート模様は、歌も振り付けも非常に良く、胸に訴えてくるものだった。
 「みんなで」勝ち取った学園祭なのだから、彼女だけでなく、生徒会全員での歌唱を見たかった…気はしないでもないが。
それでこそ、一人で頑張った第一話からの時の流れ・仲間の存在を感じさせられたと思うし。
 まあ、ヘタするとまた「閉じている」生徒会に見せてしまう恐れもあるのか。


2007年3月21日 水曜日

『ウルトラマンメビウス』48.「皇帝の降臨」

 ヒルカワが、遂にミライ=メビウスだと暴露。
…しかし、どうにも時機を逸したように思えて仕方なく。
 デスレムの計略に便乗し、事態をより悪化させるタイミングで発表した方が良かったのでは。
 あるいは、メフィラス星人が持ちかけた取引にヒルカワが乗り、一般市民は偏向した報道で、GUYS隊員は思考操作により、メビウスの敵に回らせる、という形でも。

 既に地球人とメビウス・GUYSの信頼関係が試され、乗り越えてきている現状では、余り危機感を感じられず。
 また、特に個性のない一般市民達は、深い葛藤も無くメビウス支持に回ってしまうし。
 どうも『メビウス』の「一般人」は、シナリオの都合でコロコロと意見を変えているように思え、感心しない。
「その他大勢」なんて他にどう描きようがあるのか、と言われれば困るし、この流されやすさこそが現代人っぽいとも取れるが。

 次々に押し寄せるインペライザーの前に、敗北するメビウス。
メビウスとインペライザーの力は、どちらが圧倒的でもなく、一体相手ならメビウス・GUYSが頑張れば何とか勝てる、という見せ方で、なかなかに緊張感があり、面白い。
 いよいよその姿を現す皇帝は、どれほどの強さを見せつけてくれるのだろうか。


2007年3月20日 火曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュ』21.「学 園 祭 宣 言 !』

 『まなびストレート』『ひだまりスケッチ』と、何故か学園祭の話が続く。
今が秋なら分かるけど、春だし、『ひだまり…』など各話ごとに季節がバラバラなのに、また上手く揃ったもので。
 どうでもいい運営委員としての仕事に忙殺されつつ、失敗してもどうという事はない気楽さを楽しんでもいるルルーシュ。
彼を中心に、来園したキャラクター達が顔を合わせたりニアミスしつつ、それぞれの関係を確認し、彫り込んでいく。

 理解力や記憶力がかなり怪しい自分でも、登場キャラクターが非常に多い この作品に何とかついて行けているのは、「既出の設定は、視聴者側が整理して完全に覚えて当然」と考えず、チョイチョイ確認を(総集編のみならず、本編でも)入れたり「くどい」と感じさせないよう形を変えつつ説明を重ねてくれる、作りの巧さのお陰。
 何気なく出ていた、ギアス隷従下状態にある女子学生は、ルルーシュが かつて継続的命令を下し壁に刻印を刻ませ続けている子?
彼女が命令下にある限り、スザクとシャーリーに使われた力も途切れる事はないのだろう。

 行政特区・日本の設立を宣言するユーフェミア。
なるほど、ルルーシュを追い詰めるのに、そういう手があったか!
 これがコーネリアにより成された宣言ででもあれば、その裏側を疑い、潰す事も可能だろうが…
「偽りがない善意」という、非常に厄介な動機から出された言葉だというのが理解できてしまう分、特に計略だらけで生きているルルーシュにとっては、巨大な障害。
 クロヴィス統治下のごとく、ブリタニアが発作的に無辜の日本人を虐殺し続けていれば、「信用できない」でも済むけど。
あれは「ブリタニアの国是」というより、多く「クロヴィスの個性」に寄るものだったようで、他の皇子達は好んで そういう政策を採ってはいない様子。
 これじゃ、対応に困るだろう。

 ユーフェミアに対して最善?の策は、「そういうの逆に困るから、『行政特区構想はウソでした、ごめんなさい、えへへ』って言ってくれない?」と、ルルーシュが直にお願いする事、かも(笑)。
 虚実取り混ぜて(真実のみの方が有効か)ユーフェミアに現状と目指す方向を語り、彼女にルルーシュが負う荷を少しばかりでも背負わせてしまえば、ギアスを使わずとも行動を縛る事が可能かも知れない。
 いや、今更だし、彼女の上に策略家っぽいシュナイゼルが控えているし、そもそもルルーシュがそういう行動を取れるとは思えず…無理は承知で。



『REIDEEN』03.「見えない影」

 巨大ロボでありながら、光学迷彩で姿が見えない…という敵ロボットに意味はあるのかなあ?
障害物の多い街中で、足音響かせて歩き、近接攻撃を掛けてくるのに、姿だけ消されても。
町を破壊した罪をライディーンに着せてやれ!というようなセコい計略が裏側にあるのか。
 今回、ライディーンは呼び出されただけで何もせず。
主人公が戦いに大した意義を見出していないのだし、搭乗拒否する話もアリだとは思うけど、ロボットの魅力がゼロの時点で やるのはどうだろう。

 しかし、地味に推移するドラマ部分は、なかなか面白かった。
 特異な力を持つと言っても、公的組織に信じてもらえない主人公。
謎の巨大ロボットが街の近くで戦闘を行ったのは事実なのだし、もうちょっと真剣に話を聞いてもらえても良いような。
一緒に居た前田崎が、毎度トンデモな主張ばかりする男だった、というのが敗因か。
 スーパー美少女転校生、登場。
彼女もライディーンと関わりがあり、実は同時に乗り込んで主人公の操縦をサポートしている、とかだと、ロボットの外見通りライディーンというよりモーターヘッドに近くなる。

 ライディーン搭乗時 全裸になる設定が今回使えなかったのに換わり、男子主人公の入浴シーンを二度も見せるのは、やっぱりこのアニメが女性層をターゲットにしているから?
 どうせなら徹底して、風呂を覗くのを妹でなく可愛らしい弟にし、謎の転校生も美少年にしてしまえば良かったのに。
いやホントは、余りそういう要素が露骨になってくると、自分の視聴意欲が減退していくから困るけど。

 敵が、具体的な姿を現し、地球を見下ろしつつ「愚かな地球人どもめ」とか言い出すのに、驚く。
不可思議な存在にしようとか最後まで正体不明で通してやれとか、そういう意図は無いのね。
懐かしいロボット物を思わせ、それはそれで結構。
 こうハッキリとした悪意を表してくれる敵に応えるためには、やっぱりロボット・バトルの面白さがあって欲しい所…


2007年3月19日 月曜日

『MOONLIGHT MILE』03.「ラストスイング」

 吾郎が、渡米し、施設で既に訓練を積んでおり、しかも子持ちの黒人女性と同棲関係にある…という所から始まる今回。
展開が急すぎて、一話飛ばしてしまったのかと。
 訓練されるのは分かっていたのだし、女好きだということも描写が積み重ねられており、別に驚くような事柄が起こっている訳ではないんだけど…何だか物語から疎外されているような気分に。

 黒人女性とは、結婚など「結果」を互いに求めない、大人の関係だった、という事か。
 吾郎に懐いている様子の子供が可哀想ではあったが、何しろ突然に紹介されて突然別れる様子を見せられた仲なので、特に感慨を持つには到らず。
 訓練状況、他のメンバーとの関係などなど、描くべき事はあったと考えるに、黒人女性パートの方を削ってしまう選択もあり得たような。
 この「垢抜けなさ」や「人情悲喜劇」を中心に据える作りこそ、作品の魅力か。

 パワーローダー、というと、つい『エイリアン2』のアレを思い浮かべてしまうが、まだしも『2001年宇宙の旅』の小型ポッドに似ているぐらいの形状。
 事故で回転し始めたパワーローダーを止めるため、吾郎が考え出した方法は…
メジャーリーガーを目指していた事もある、黒人パイロットに引っ掛けたアイディアは面白い。
 ただ…実際そんな上手く行くのかはともかく、そのシミュレーションをプールで、しかも妙な挙動を見せながら行うのは、正しい?
水の抵抗を計算して排除するのか…それなら、最初からコンピューターだけでシミュレートした方が早いような。
まあ、それじゃあ絵的に面白くないんだけど。



『ロケットガール』04.「カウントダウン −count down−」

 ヒロインがロケットに乗る理由として、「所長が父親。ゆかりは父に自分を認めさせるため、ロケットに乗ることを決心する」という事にでもしておけば、ストレートに分かり易くなったと思うんだけど。
怒りの対象を分ける意味は、あったんだろうか?
 「昔ながらの良くある、『エヴァンゲリオン』でもそうだったパターン」になってしまう、という以外に。

 ゆかりの命が軽視されている風に(所員らの行動が実際、軽視に繋がっているのかどうかはともかく)描くのは、このアニメの基本ラインなんだ、と分かったので、周囲の非道な態度は問わず。
 新型燃料は絶対に大丈夫なんだよ→ロケットに、ゆかり人形を乗せて打ち上げ実験→大爆発→人形の黒こげになった頭部が、ゆかりの目の前に落ちてくる→殺す気か!
このぐらいベタに描いてくれれば、ゆかりの「お笑い芸人」としての面白さが分かり易くなったかと。
 パイロットの意見をまるで無視された燃料変更決定に、真顔で、泣きながら抗議する ゆかりの様子は、「爆笑」から遠く、「悲劇」にも見えてしまうので、せめて涙は控えた方が良かったのでは。
 具体的反抗方法がハンスト、というズレっぷりから、芸人っぽさを感じられたけれども。


2007年3月14日 水曜日

 今年は、花粉症症状が割合 軽いです。
花粉の飛散量が比較的 少ないのか、体質改善に成功して症状を抑えられる体になったのか(自堕落な生活しといて、それはない)。
 平穏な気分で暮らせる事に大きく救われつつ、毎度お馴染み、〆切前スケジュールに突入。
 日曜までは、更新が難しくなるかと思われます。
悪しからず、ご了承ください。


2007年3月13日 火曜日

『MOONLIGHT MILE』02.「果てなき夢」

 宇宙計画に加えられる資格を主人公が得るまで、に絞った構成で、一話のような散漫さが無く、見易かった。
 事故を契機にチャンスを掴む…というのは良いんだけど、「本来落選するはずだったが、事故により得点を稼げて通った」「合格はほぼ決まっていたが、成功不可能と思われる、マイナス要因になるだけで終わりそうな操作に、仲間のため立ち向かった」どちらなのかハッキリした方が、状況に感情移入させやすいかと。

 事故が起きてから、吾郎に電話が繋がらず、理代子が探し回り、見つけて連れ帰る道路は大渋滞…と、時間をロスしすぎているような。
その間、手をこまねいて見ているだけのレスキューと作業員達、という絵も間が抜けているし。
ドキドキハラハラを狙ったのかも知れないけど、普通ならもう死んでいるだろう、これで死んでいないなら助かるんだろう、と感じさせる役にしか立っておらず。
 機械分析を無視し、直感に頼った吾郎の判断は正しかった!という所が かなりポイントだと思うので、強調して欲しい。
予備の操作技師が指示通りに作業しようとするものの鉄骨が崩れかけ、また失敗へのプレッシャーもあって手を動かせなくなってしまったのを押し退け、到着した吾郎が独断専行で作業を成功させる、ぐらい段階を踏む見せ方で良かったかと。

 アップ以外の作画には かなり崩れがあり、厳しい。
 せめてこのレベルは維持してくれないと…



『獣拳戦隊ゲキレンジャー』04.「ゾワゾワ!五毒拳」

 早くも「四天王」みたいな敵が登場。
まるで歯が立たない強さ…という程ではないけど、それぞれの特性を活かした嫌らしい攻撃で、ゲキレンジャーを苦しめる。
 タイムリミットを設けてジャンを追い詰める作戦にも緊張感があり、流れから当然「以下次週!」と思えば、進行毒に関しては決着を付けてみせる、出し惜しみの無さも嬉しい。
 4話目ぐらいなら、まだ敵の攻撃パターンを紹介する段階だろうに、もう山場のような盛り上がり。
面白い。

 五毒拳はさすがに、週一人ずつ片付けていく事になるのかな。
 まだこれが最強の五人組だと言われた訳ではなく、三剛拳とか十二神将拳とか、必要ならいくらでも増やせそう。


2007年3月12日 月曜日

『REIDEEN』02.「伝説の勇者」

 人類が、普通に巨大ロボットを持っている世界なんだ(オリジナルシリーズにも人間製サポートロボは居たみたい)。
まあ、それがまるで役に立たないのは お約束として。
 だから、謎の巨大ロボットの登場も、「驚天動地の出来事」という程ではなく、『パトレイバー』世界のレイバー犯罪ぐらい、比較的落ち着いて受け止められているのかな。

 今回は、ツッコミを誘ってわざとやっているのか、真面目にやってもこうなのか、判断しづらい部分が多々。
 主人公。
ライディーンに乗り込むと裸にされてしまう、というのはともかく、乗り込む直前から全裸なのはどうだろ。
ライディーンを降りても服は戻らず、裸のままなのに、眼鏡だけ再構成されたのか付けているのは、眼鏡男子好き女子視聴者に向けてのサービス?
 重量感を出そうとしている…と前回は取った、ロボットのスローな動きだけど、「ちょっと離れた所にいる敵から光線攻撃を受けると、ライディーンはもう何の対処も出来ない」ぐらい動きが遅く、ストレス。

 連続攻撃を加えてきていた敵ロボが、ライディーンが弓を構える動作に入ると手控えて大人しく待っていてくれる…これもお約束なのは理解しても、緊張感を削いでいる。
 とにかく巨大ロボは動きがスローなんだ、というのを徹底するのかと思えば、弓の発射前、ライディーンはイキナリ遠くまで「瞬間移動」して敵と距離を取る。
この見せ方が馬鹿馬鹿しくて笑ってしまったが、それで良いのかどうか。
 ゴッドアローの無駄に強烈な一撃のみで、ロボット戦は決着。
この演出が面白くないため、「ゴッドアロー、凄い!」というカタルシスよりは、「街も近いのに大丈夫なの?」とかいう余計なことに気を取られてしまう。

 特に大きな動きがあった訳ではないがドラマ部分は普通に見られるし、「全ては計画通り」みたいな事を言う訳知り顔キャラが居ないのも、素直な作りで好感。
 まだ捨ててしまうのは惜しいと思うので視聴を続けるけど、「ロボット物」としての魅力とか高揚感が ほぼ無いのは、やっぱり、痛い。



『仮面ライダー電王』07.「ジェラシー・ボンバー」

 今回は何よりも、デンライナーの食堂車に、ごく普通っぽい乗客が居た事、これに驚いてしまう。
お父さんと娘?や、両親と息子、等という、本当に当たり前の旅行者然とした人々が、食事してたんだけど…
 以前出ていた乗客は、何かしら意味ありげな男だったので、タイムパトロールじゃないかとか歴史を検証する調査員かもとか考えられたが、親子連れは…うーん…
 時間観光旅行が許されているのだろうか。
しかし、一般の人間を迂闊に過去へ運ぶと、歴史が変えられてしまいそう。
 「時間」の捉え方にも寄るけど。
どうも『電王』では、「多少の変更ぐらいなら歴史に全く影響ない」という、弾力のある時間流を想定しているようなので、構わないのかな。
 イマジンにより、あるいは不慮の事故により、本来は失われるはずである有用な命を、確定していない未来へ運んで生きながらえさせ、世界に貢献させている、という可能性も考えられる訳だし。

 デンライナーのチケットは、どういう条件で発行されているのか、それが明かされないと何とも。
お金では乗せてくれないと思うが…いや、オーナーもウェイトレスも居るし、車両運営だって、行われる戦闘行為の武器弾薬にしてもタダでは無かろうから、意外と金銭が全てか。
 投げっぱなしの謎も多い『ライダー』シリーズだけど、さすがにコレは説明されるだろう。

 作品全体として、まだまだ明かされていない設定が多い。
それは気になりつつも、良太郎・モモタロス・ウラタロスらキャラクターの面白さと、物語の勢いで押し切り、楽しく見せてしまうパワーは大したモノ。
 失速させず進めつつ、適宜必要な情報を開示していってくれると良いなあ。


2007年3月11日 日曜日

『ウルトラマンメビウス』47.「メフィラスの遊戯」

 メフィラス星人の扱いがどうなるのか、ちょっとだけ不安だったけれども、一応は知的に、策略を持って攻めてきてくれたので、安心。
 最後は少々ジタバタしてしまったが、「こうなったら人類無差別殺戮だ!」「卑怯もラッキョウもあるか!」というような見苦しさは無く、再戦を期して地球を離れていく潔さが嬉しい。
…残念ながら宇宙でお亡くなりになったっぽいが、まあ、皇帝さえ欺いて生きていました、でも良いし、メフィラスの別個体を登場させても構わないから、問題なし。

 メフィラスの攻撃を受け付けず、軽く跳ね返すウルトラマンの格好良さに、震える。
さすがに最古参の貫禄。
 兄達が居てくれれば、皇帝の侵略にあっても大丈夫…と思えば、みんな近く地球を離れるって?
これからの戦いにこそ、より多くの力が必要だろうに。
他者に頼るようでは弟と人類の成長がない、という事か。
 メビウスが、愛する地球を託せるほどに成長したかどうかを、これまで数話かけて兄達一人ずつ、個別に確認していた、と読み取って良い?

 次回、ようやくミライの正体がヒルカワにばれている、という設定が活かされそう。
 最終三部作、盛り上げてキレイに終わってくれると良いなあ。



『コードギアス 反逆のルルーシュ』20.「キュウシュウ 戦役」

 ブリタニアの支配から解放されるために、急場しのぎとして中華連邦の力を借りるのは、そう間違っていると思えず。
 一時的になら、「力こそ正義」で譲歩する可能性が皆無のブリタニアより、まだしも交渉の余地がある…かもしれない連邦(現中国の延長上にある国だと厳しそう)の統治下に入る選択肢は、アリだったろうに。
中華連邦を上手く巻き込み、ブリタニアの戦線を拡大させてやれば、日本での反攻作戦もやり易くなるだろうし。
 自分なら、そういう方法を検討するなあ。
 ただ、日本がその主戦場となって、より荒廃してしまう恐れはあるのか。

 黒の騎士団は理念を持った組織である、という事になっているので、手段を選ばずブリタニアを退けられればそれで良い、という選択が取れないのは当然のこととして。
 ルルーシュの目的が皇族・父親への復讐にあり、「日本の復権」はその過程…通っても通らなくても構わない程度の過程だ、という理由も?

 共闘する形になるスザクとルルーシュ。
演出上、どれだけ強力に描いても構わない、強ければ強いほど客が喜ぶ「夢のタッグ」で、実に上手い。
 目に見える戦いの裏側に潜む、火花を散らすゼロ・スザク両陣営のマッド科学者対決がまた、楽しい。

 心の支えを、ユーフェミアから与えられるスザク。
「彼女のために」という大義名分を得て簡単に楽になって欲しくない、もっと苦しむことで面白くなるキャラだと思うんだけど…今後はどういう扱いになっていくんだろうか?


2007年3月10日 土曜日

『ひだまりスケッチ』09.「裏新宿の狼」

 ゾッとする目覚まし時計のアラーム音が、凄い。
これじゃ寝起きの気分は最悪だろう。

 今回は、「夢を追い続ける人」と「夢を諦めた人」を対比させて描く、珍しい?しみじみとした内容。
 夢を追う先輩だって、絵を描く、という学校の方向からは外れた進路だが。
 逆に、転校してしまった生徒でも、諦めなければ絵を描き続けることは可能。
学校を出ることで、もっと他に向いた才能を発掘できるかも知れないし…
 置かれた状況からどういう夢を掴み取れるかは、当たり前だけど、個人の考え方次第。
 たまたまもらった宝くじにより叶ってしまうような甘い夢は、なかなか、無い。

 漠然と、将来に不安を抱く ゆの。
 常にマイペースでありながら、そんな ゆのの気持ちを敏感に察したのか、部屋に泊まり込む宮子の友情が嬉しい。
夢に対する、力強く、含蓄のある言葉といい、宮子は時折 驚くぐらい鋭い所を見せるなあ。
 真実を告げるのは道化の仕事、という事か。



 昨日は一日、新しく購入した携帯の機能把握で終わってしまう。
 うーん、今の携帯は恐ろしく高機能だ…とかいうと年寄りっぽいが(ぽい、じゃなく事実)。
カメラで撮ったデータはドコにあるの?とか、音楽はどうやって聞けば良いの?とかいう事に、いちいち躓く。
 今まで使っていたのが、旧世代もイイところの機種だったので、戸惑いもひとしお。
 でも、何とか使えるようになってみれば、実に面白いシロモノ。
学生やビジネスマンなんか、この小さな機械だけで必要な事はほとんど出来てしまうだろう。

 …引き籠もりっ放しの漫画描きには、要らない機能の方が多いけど。
 まあ、あれば、いつか使うかも知れないし。


2007年3月8日 木曜日

『ロケットガール』03.「ランチパッド −launch pad−」

 冒頭の燃焼実験で爆発していたのは、ゆかりを乗せる予定のロケットの?それとも新型?
新型なら、失敗続きらしいので仕方ないが、旧型の方は一応安定している、って話じゃなかったの?
 旧型の技術は完全に確立している。
マッドサイエンティスト風味の女・三原が無断で加えた触媒のせいで爆発しただけだから、本来は全く問題ないのかな。
それなら、タイムリミットも迫っているのだろうし、「三原を閉じこめとけ!」ぐらいの扱いになりそうなもの。
 また、彼女が「今のままじゃ飛ばないと思うんだよね」と言っていたが、これは真実?言い掛かり?
成功の実績が、いくらかは あるんじゃないの?
その実績から、打ち上げられる重量の限界が分かっており、それに収まる軽い ゆかりが乗員に選ばれた、って話じゃないのか?
 ああ、ゆかりの体重は軽いが、それでも重量制限を超えているため、新型燃料が必要だという事?

 三原が、誰も注意できない、居なければならない存在で、それを良い事にやりたい放題やっていて、どうせならもっと効率の良い燃料を作りたい、でなければ自分が考える理想の飛び方が出来ない、パイロットの命なんか知った事じゃねぇ…という考えの持ち主だ、というなら、コメディーっぽく理屈が通るけど。
 都合によっては、「新型燃料のお陰で危機を脱する事が出来ました、ありがとう三原さん」展開だってあり得るだろうし。

 嫌だと思うなら、「嫌だ」と言い張って辞めるのが周辺への迷惑を最低限に留める方法だと思うが、変な責任感?を発揮し、加えて妹への戸惑いもあり、体重を増やす事で お役ご免・押し付けを目論むヒロイン。
 どうも馴染めず、笑えず…しかし、こういう形のコメディーもアリだとは思うので、構わないのかな。

 今回は、指導教官・木下が語る宇宙への果たせぬ憧れが、同年代の人間として よく分かり、感動的だった。
こういうオジサンは、『アルマゲドン』とかにも出ていたなあ。
 「責任に押し潰されそうになったら、みんなの夢に乗っかってしまうといい」という、ゆかりを動機付けるセリフの持って行きようも、上手い。
 ただ…元からその考えに共感していない人間にとっては、「俺は世界一のボクサーを目指していたが、体が弱く挫折した。代わってお前、猛特訓と減量に耐えて世界チャンピォンになってくれ」と言われているようなもので、「いや、そんなの望んでないし、勝手な夢 押し付けられても困る」と言われるだけかも知れないが。



『奏光のストレイン』最終13話「ラスト・ワルツ」

 すっかり溜まってしまっていた録画分を、連続で鑑賞してようやく最終回に到ったので、今更ながらの感想。
 予想を裏切られる場面が多々あり、カッチリと考えてから始められたシリーズだという事が強く感じられる。
全13話しかないんだし、しっかり構成しておくのが当たり前のようだけど、どうも出来ていない作品を多く見るので。

 兄・ラルフの目的は、てっきり野心に基づくものかと思っていた。
彼もまた被害者…というか、被害者達の強烈な叫びをまともに受け止めてしまったが故、「謝罪」「代わっての復讐」へ向けて精神の軌道を大きく、行き過ぎるほど外されてしまった、憐れな人間。
 「彼女達」に酷いことをした過去を償うためには、「彼女達」を殺すのも厭わない狂いっぷり。
 兄自身の責任だ、とは言えないだろうけれど、犯した罪が余りに重く、救う事は不可能。

 シリーズの最初では、兄の行方を追うセーラが体験する壮大な宇宙戦争物…になるかと。
 「セーラとラルフ、兄妹が辿る悲劇」に絞った物語だった。
短い話数で、無限に多くの事が入れられる訳もなく、題材を絞り込むのは正解。
 シリーズ冒頭で、兄を送る時 二人で踊った思い出が、最後に死を賭けて、壮絶に、しかし踊るように戦う二人の姿に重なっていく、見事な構成。

 セーラの周りを固めるキャラクター達も、それぞれ個性的で楽しい。
特に、チビで才能豊かで高慢気味だが、驚くほど人の好いロッティが可愛い。
異常性を持ちながら良い子なラヴィニアも、面白くなりそうだったけど、話数の都合か もう一歩食い足りない扱いに終わり、残念。
 しかし、セーラとの間に好意が生まれかけていた男の子を二人も殺してしまう突き放しぶりは、何とかならなかったモノか(^_^;)。
兄との戦いに臨む大きな動機付けなのは分かるんだけど、一人で十分じゃないかな…
 愛する者を無慈悲に奪われた経験を持つ彼女だから、悲惨な過去(体験)を秘めるエミリィと感応し合えた、って部分もあり?

 SF的なアイディア。
亜光速航行中の時間の選び方など、科学的に正しいのかどうか知らないけど面白い物があった。
 エミリィ種族については、「こういう設定です」だけでなく、もっと深い彫り込みが見たかったところ。

 もっと話数があれば…このスタッフなら無駄に費やすことなく、色々描けたのだろう。
 でも、短い時間で、中心となるストーリーを語り切ってスッパリ終わる、そういう作り方も悪くない。
 面白かった。


2007年3月7日 水曜日

『Project Blue プロジェクトブルー 地球SOS』09.「極限の攻防!エレメントXの謎を解け!(前編)」

 ラジオ番組の電波に乗せ、地球人洗脳音波を発する作戦に出て来たバグア遊星人。
極悪非道といえばそうだけど、相当に進んだ科学技術を持つ敵としては、ちとセコい行動のような気もしないではない。
 そういえば、この作品世界は、「昔考えた未来の姿」を基本としているので、携帯型音楽プレーヤーみたいな物は無いのか。
それにしたって、どう考えても不自然な状況で放送されているラジオを聞くのは、間が抜けているけど。
 毎回、妙な攻撃作戦を立案しなければならず、バグア遊星人も大変。
企画会議は徹夜の連続で、紛糾を極めていそう。

 数回前に登場した、元宇宙飛行士の爺さん達がメチャメチャ格好良くて、惚れる。
アストロノーツは、子供達の…大人達もだけど、憧れと尊敬の対象であって欲しいので、この描き方には落涙。
 …現実には、この前、女性の元スペースシャトル乗りストーカーなんて、逆の意味で落涙モノの馬鹿が居たけど。


2007年3月5日 月曜日

 WOWOWで放送された映画『クラッシュ』を見る。

 人種的な偏見や差別をテーマにした映画、と聞いていたので、もうちょっと堅苦しい、面白味が薄い内容を想像していたが…
 様々な人種のキャラクターが登場し、個々に小さなエピソードを展開しつつ、あるいは絡み合い、あるいは独立して大きな物語を構成する、非常に複雑な作品で、アカデミー賞審査員好みと思える。
 キレイな伏線の活かし方に、声が出てしまった事が数度あり。
特に、幼い娘に父親が話す お伽噺の使い方には、唸る。

 差別主義で、どうしようもない人間の心の底にあった、美しさ。
 公正であろうとする人間が犯す、取り返しの付かない過ち。
 完璧な人など居ない。
欠陥だらけの人間達を、突き放さず見つめていく監督の視点が、優しい。
 面白かった。



『がくえんゆーとぴあ まなびストレート』09.「わたしたちのうた」

 学園祭中止を回避したいなら生徒の70%の署名を集めろ、というのは、常識的・これまでの話の流れから考えると なかなか難しく思うけど、製作者の匙加減では いとも簡単にできる。
 「学美達の涙の訴えが、生徒全員の心を動かした」のようなパターンの描写でも、演出に勢いがあれば感動的に出来ようし、好感を持って作品を見ている視聴者なら、まあ容認してくれるだろう。

 しかし、選んだのはイバラの道。
 今の学校に対し、特に愛情を持っていない生徒であれば、取り立てて期待もしていなかった学園祭の中止より、制服が可愛いデザインになるとか、校歌が今風の物(歌い辛そうだったな…)になるとかいう事の方が、ずっと重要。
 起死回生を賭けて?儚い抵抗と知りつつ?あるいは、生徒会の結束だけを考えてやったのか……桃葉の流した映像は「生徒会内の楽しかった思い出」に終始しており、他の生徒にしてみれば「関係ない」物。
もうちょっとこう、準備に追われて徹夜の連続で壊れている生徒会の様子とか、「こんなに頑張ってるんですよ」をアピールするセレクトは無かったものか。
それでも、突き放して言えば「勝手に頑張っている」だけなので、生徒に関係ないと言えば関係ないのだが。

 とにかく、この放送を契機に、生徒達の心が動き始め…とするのが簡単な事態解決方法。
 てっきりそうするものと思っていたので、海賊放送終了後、何事もなかったかのように再度放送が始まった新校歌に楽しげに見入る生徒達、という描き方に、驚く。
ここまでの積み重ねからして こうなるのがリアルだけれど、一度こう見せてしまうと、情緒のみに頼った解決は難しくなってしまいそう。

 校長の思い出にあったように、全力で戦って、しかし思いは届かず…という終わり方になる?
 まだ、相手の理事長が学美兄の恋人だとか、強引にすれば救済措置をとれる設定はあると思うけど、それはもっと安っぽい解決になってしまいそう。
 うーん、どうするのかな。

 今回は、署名にかこつけたネズミ講で一儲けを企む?芽生の悪辣さに、大笑い。
 それを犯罪だと見抜く光香は、意外に侮れない。
もっと世事に疎いかと思ったが。


2007年3月4日 日曜日

『ウルトラマンメビウス』46.「不死身のグローザム」

 メビウス救出方法は、『セブン』での作戦を応用した物だったけれど、今回登場するのがセブンでなければならない…という必然性は弱かったと思う。
 傾向として、次第に兄弟客演の必然性が弱まっている、というのを、『メビウス』の自立性が高くなっている事だと捉えれば、成長段階の表し方として正しいのか。

 GUYS隊員、特に女性達が驚くべき強さを見せるストーリーで、楽しい(三月三日放送だったから?)。
男達も、ヨロヨロとだって歩くことは出来ていたのだし、何とか搭乗・操縦できたんじゃないかと思うけど、ここはまあ、女性に華を持たせる、という事で。
 出撃の編成、コノミとマリナの搭乗機は入れ替えた方が良くなかったかなあ?
ガンウィンガーでメビウスを甦らせる役割をコノミに振り、マリナのガンローダーはその間 援護攻撃。
それで、セブンら兄弟をアテにしていないと示せ、地球人の独立性が高くなる上、「ガンローダーの仕事はここまで」と思わせる事により、敵に止めを刺す もう一つの作戦に意外性を付加できるかと。
 いや、攻撃的な性格とは程遠いコノミに、あれだけ激しく、恐ろしいとも言えるメテオールを使わせる事によるギャップとか、面白さがあった訳で、それはそれで正しいとも思うんだけど。

 ダンが体験した辛い思い、っていうのは何だろう…ああ、『レオ』時の隊全滅の悲劇か。
 当時の無茶なテコ入れに寄るもの、とはいえ、シリーズ途中で所属防衛隊が全滅するなんて思い切った話、今後もう作れないだろうな。



『MOONLIGHT MILE』01.「宇宙の向こうへ」

 原作未読。
前知識ゼロでの鑑賞。
 事故に遭い、生き延びるべく、限られた酸素量で月面を駆けていく宇宙飛行士の女性から、物語は始まる。
星野 之宣先生っぽいシチュエイションで、ハードな宇宙SFになるのか、と思えば、エイリアン…ではないのかな?謎の軍団と月面で遭遇、襲撃を受ける。

 では、侵略SFみたいになるのか、と思えば、そこから作品の雰囲気が一転、登山物っぽく。
しかし、登山の面白さや厳しさを徹底して描き出す、という程の扱いではなく、助けようとしたが死亡した女性登山家の言葉に影響を受け、宇宙を目指すようになる取っ掛かり。
それと、超絶の体力や精神力を持つ二人のキャラクターを紹介するエピソード。
 街に帰り、建築現場のクレーン技師として、凄腕を発揮する主人公。
こういう技術は、宇宙でも役に立ちそう。

 雑多なシーンを断片的に、駆け足で見せられただけに思え、まだ面白いもつまらないも判断できず。
ただ、ツカミとして弱いとは思う。
 監督・鈴木 行は、『HAPPY★LESSON』『吉永さん家のガーゴイル』など楽しく見られた作品と、『らいむいろ戦奇譚』『DearS』など、途中で視聴を脱落してしまった作品を手掛けている。
今作が「傑作!」になってくれれば嬉しいんだけど…



『獣装機攻ダンクーガ ノヴァ』03.「導きの剣」

 台詞回しに光る所の無い、どうにも冴えない脚本…と思えば、首藤 剛志じゃなかった。
 今回は作画的にも低調で、辛いシーンが散見。
大張監督のロボット物は、何よりもまず作画のパワーで押してきて欲しい物。

 前回、大した事無さそうな敵との戦いで引いてしまったが、今回冒頭、「やっぱりザコ敵でしたから、簡単にやっつけちゃいました」という決着を見せたのには、さすがにコケる。
こういう事やってると、大ピンチで引いても真面目に受け止めてもらえなくなるのに。
 3話目にして中だるみを感じさせられる、何とか引き延ばしたいという意図しか見えない内容。
 次回も作画は良くなさそうだし…
うーん、せめて戦いの意味が分かるまでは見ていきたいと思うんだけど…


2007年3月3日 土曜日

『REIDEEN』01.「蘇る伝説」

 先行放送を見損ねていたので、通常放送からの鑑賞。
 オリジナルである『勇者ライディーン』は、郷里で放送されておらず、ロボットアニメ好きにとっては基礎教養の一本であろうに、まだきちんと通して見たことがない。
さすがに大まかな筋は知っているし、傑作選のような形で何話かは見ているが。

 その程度の知識しか持たない自分でも、これは原典と相当に違うリメイクだ、という事ぐらいは分かる。
遺跡が出てくるし、普通の学生だった主人公が訳も分からない内にライディーンへと乗り込み、戦うことになる…という所は一緒なのだろうが、これぐらい印象が違えば、「原作を持たない新作ロボット物だ」と言っても、問題ないだろう。
さすがに『超者ライディーン』より、オリジナルに忠実だとはいえ。
『ラーゼフォン』の方に近いような。
 まあ、企画を通すためにこういう、既に高い評価を得ているタイトルが必要なんだろうけど。

 物語としては、まだ本当の導入部なので、どうこう言えず。
 3DCGを用いたロボットのシーンは、なかなかに巨大感があり、面白く見られた。
ただ、巨大感と引き替えに、動きが非常に ゆっくり、モタモタしており、今後は余程見せ方を工夫するか、スピードアップを図らないと、飽きさせてしまう恐れアリ。
 正統派巨大ロボット物として、面白い作品になってくれる事を期待。
 ただ、本郷みつる監督作品では、最近の『IGPX』で早々に視聴を終了しており、不安も…



『コードギアス 反逆のルルーシュ』19.「神 の 島」

 思わぬ展開の連続に驚かされ、展開の巧さに感心するばかりの三十分だった。
…っていう事で、感想としては終わりなんだけど、まあもうちょっと。

 スザクとカレン、ルルーシュとユーフェミア、というペアの組み方が面白い。
 いくらか正体を隠そうとするだろうと思ったのに、アッサリ黒の騎士団所属を認めてしまうカレンの不器用さ、一本気さ加減が、らしくて笑ってしまう。
 ヒネているようでありながら、ユーフェミアの言葉に、これまた呆気なく正体を明らかにしてしまうルルーシュも、カレンとの相似を感じさせて楽しい。

 理論倒れの食糧確保作戦しか立案できず、結局お姫様の果物に頼る羽目になる、情けないルルーシュが憐れ。
抜群の生活能力を発揮して見せるスザクとは、大違い。
 スザクの方も、力任せに魚や動物を追い掛けるばかりで、上手く捕まえられない…という描き方にして、的確な指示を与えるルルーシュと二人協力することで、初めて生き延びられる、としても面白かったかと。
 敵意剥き出しのカレンはともかく、怒った顔を見せるユーフェミアは珍しく、この二人も、もっと長時間一緒に居させることでは更に様々な反応を引き出せたろうと思え、この「島編」、少し続けて良かったかも。

 地面にギアスのマークが浮かび上がるシーンの高揚感には、思わず唸り声が漏れてしまう。
 シュナイゼルとの対面、試作ナイトメアの強奪と、気楽な前半とは打って変わった怒濤の後半展開に、振り回されっぱなし。

 今でも強い黒の騎士団に、新型ナイトメアが加わっては、無敵かも。
しかし、その強奪を余裕を持って見送るシュナイゼルの表情や空中戦艦からすると、より強力なナイトメア部隊の存在も想像され、戦力増強がなければ対抗できないのか。
唯一の飛行メカだから、ルルーシュが乗って、戦局を俯瞰で見ることになるんだろう。
 正体を知られたカレンとルルーシュ。
今後、学園生活や戦いが更に複雑化しそう。
 ギアスで、「生きろ」という、死による開放を願っている部分もあるだろう身にはキツい命令を与えられたスザクも、どうなる?
 面白いなあ。



 レンタルで映画『日本沈没』を見る。
 もちろん、平成の、樋口 真嗣監督版。

 特撮は非常に良く頑張っており、見慣れた場所がリアリティーを持って破壊されていく哀しさと、一種カタルシスに、「ああ」とか「おお」と声が出てしまった事、何度もあった。
 技術の進歩により何でも見せられるが故、過度に見せすぎている部分もあり、かえって重厚さが失われている気はしないでもないが…それはもう、頑張った特撮スタッフへの言い掛かりだろうな。

 内容について。
 日本が沈没していく壮大なスケールの物語を、単に男女の愛の物語として見せてしまう捉え方は、今日的…と言うべきか。
 旧映画には、「日本人は」「日本人として」という視点が存在したと思うけれど、この新作には ほぼ皆無。
「ぼくは」「私としては」といった、非常に小さな視界でしか、未曾有の事態を眺められていない。
 旧作で、小野寺と並んで主人公であったと言える総理大臣が、今作では途中でストーリーから脱落し、代わるべきキャラクター達は皆、一般人並みかそれよりも小さい視野しか持っていないのが、「日本人」として大きく状況を捕まえられなかった要因か。

 …というより、そういう映画を作ろう、という気持ちは最初から無かったのだろう。
 沈没するシロモノのスケールが巨大になっただけで、今作の作りは『タイタニック』とほとんど変わらない。
『タイタニック』の男女は状況に抗う術を何も持たなかったのに対し、小野寺は潜水艇乗りで、阿部玲子はレスキュー隊隊員なのだから、この事態下でベタベタしてる場合か?と感じさせられる分、物語への没入度は低くなっているぐらい。

 「人類愛」だの「民族の矜持」だのいう漠然としたモノは、映画として非常に描きにくいので、「男女の愛」に換えてしまうのは理解できるんだけど、本当にそればっかりになってしまうと、『日本沈没』じゃなくて、『世界の中心で、愛をさけぶ』でも作り直せば済むんじゃないか、と思える。
 また、その愛も非常に安っぽい、「パニック映画のお約束」程度の中身しか持たないし、壊滅状態の都下を自在に移動してみせる小野寺、出動の連続だろうに さして疲れている様子の見えない玲子など、物語の都合に合わせようというだけの描写に、余計 醒めてしまう。
 イジワルな、怒られそうな言い方だけど、これが「給食費払わない」世代の観客に向けた映画なのかな、と思ってしまったり。

 「直感とイマジネーション」「何もせん方がええ」…等々、旧作で印象に残ったセリフやシーンが一応使われてはいるが、その扱いは驚くぐらい軽く、不満。
 N2爆弾、「奇跡は起きます、起こしてみせます!」等、アニメーション作品からのイタダキの方が しっくり来ているけれど、咀嚼・消化して使っている訳ではないため、映画を軽く見せる役にしか立っていない。

 文句ならまだいくらでも言えるが、もう、いいか。
 レンタルで、あるいはテレビ放送時に見るぐらいなら、特撮の見事さだけでも、さほど損をしたと感じないで済むかも知れない。


2007年3月2日 金曜日

 レンタルで映画『サイレントヒル』を見る。
 同名ゲームを映画化したもの。
ゲーム版は、一作目をクリア、二、三作目は、購入したものの3D酔いが酷く、冒頭部分をプレイしただけで挫折。

 ゲームの不気味な世界を、実に良く再現してあることに感心。
霧が漂う人気のない町並みには、既視感を覚えてしまうぐらい。
 ヒロインである お母ちゃんが、かなり無鉄砲な性格をしており、サイレントヒルを訪れる経緯など「そりゃ無茶だろう」と思わせられる部分があるため、感情移入…という点では弱い。
そのため、街で酷い目に遭う様子も、我が事のように体験する、というより、客観的に見てしまったので、ほとんど怖くはなく。
 元々余り怖くは作ろうとしていない映画だと思うから、構わないのか。

 ラスト、若干「勧善懲悪」…いや復讐の物語?といった展開になり、きっちり筋が通ってしまうと、更に恐怖は薄れる。
「理屈が通じない、正体が分からない」から怖いのであって、生きた人と同じような考え方や行動が見られると、そこまでに。

 モンスターでは、病院に出現するダーク・ナースが印象に残る。
顔は何だかよく分からないんだけど、体は、巨乳・肉感的ナース服、という妙に分かり易くエロな化け物で。
 これが集団で出現し、奇妙な踊りを見せるシーンは、不気味なんだか えっちなんだか判別不能。
 お子様には、刺激が強かったかも。
いや自分も、一匹家に持って帰りたい気分に(笑)。

 CGを用いた、世界が異世界へと変わっていくシーンのイマジネーションは、素晴らしい。
空気の変化まで描き出せているようで、ここだけでも見た価値があると思える。
 この映画は、世界・雰囲気を観客に伝える事を、第一に考えたのかな。


2007年3月1日 木曜日

『ロケットガール』02.「アッセンブリ」

 この物語は、搭乗者がまるっきり受け身な『アルマゲドン』?
 「猿でもできるバイト」と言われていた通り、サルだの犬だのを乗せて打ち上げたロケットに、代わって少女を乗せるだけ、と考えれば、ヒロインは ただ座っていれば良いのか。
数学知識も詰め込んでいた所からすると、(起きるに決まっている)緊急事態時には操船も求められている?
どうせなら修理に関する技術も教え込めば役に立とうが、僅かな時間で そんな色々は無理だろうな。

 まだロケットの技術が不安定な様子なのに、少女を積んでしまって良いモノ?。
 しっかりした契約が結ばれていない所からすると、事故でも起きたら、宇宙協会が吹き飛ぶだけでは済まなそう。
 それだけ追い詰められている、という事か。

 割合と簡単に、宇宙飛行士になることを承知してしまう ゆかり。
 うーん、まあ自分なんかは宇宙に行く事が人生の大きな夢だから、危険があろうと引き受ける可能性は高いけど、ほとんど興味を持たない女子高生にとって、宇宙飛行士なんて、出来る限り忌避したい恐ろしい職業だと思うが。
余りにも興味がないため、その危険性さえ認識できていない?

 父親探しはもっと引っ張ると予想していたので、早くも対面する父娘に驚く。
そのオヤジがまた、何か事情があるのかも知れないけど、見る限り軽い、無責任なオッサンだったのにも、ビックリ。
 「ヨソで奥さんを何人ももらっている」「子供も複数いる」「自分と共に日本に帰るのを嫌がる」…もうここいら辺りで父親への愛想は尽きそうなものだが、それでも連れて帰りたいのかなあ。
楽しそうな現状から引き離し、自分達を捨てた責任を僅かなりと取らせたい、という復讐心?
 このオヤジも、今だけでも逃げようというのか深謀遠慮があってか、娘に宇宙飛行士職を勧める。
ロケットが「花火」になるのを見ていたはずでは…?

 全員、決して賢い人間達ではなく、欠陥だらけなのだろうし、現状に一杯一杯で正しい決断が下せていない?
 譲りっぱなしの ゆかり以外、大人達は言いたい放題で一ミリも譲歩していない所から、「大人ってズルイよね」と見れば良いのか。
 あるいは、「コメディーに細かい事を言うな」なのか。
 前回提示された、「逃走車に向けてミサイルをバンバン撃ちまくっても平気な世界」の法則に沿って見るべきなんだろうな。

 しかし、仮に「女子高生が突然、無理矢理アメリカ大統領にされた」とか「女子高生が実にいい加減な理由で巨大ロボットの搭乗員となり戦争の真っ只中に」なんていうアニメを見ても、無茶するなあと笑うぐらいで、多分余り文句ないだろう。
この作品に限って(でもないか)ゴタゴタ文句を書いてしまうのは、要するに「まだ内容に乗れていない」という事。


ときどき日記・目次へ

07/02の日記を読む