ときどき日記 2007/05

2007年5月31日 木曜日

『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ』09.「無垢」

 またも余所様の人間関係とロボット性能を覗き見る話か…と、少々飽き気味で見ていた。
 が、今回語られるパイロット二人、異母兄妹の、レッドゾーンに突入してしまいそうな愛情関係は、歪んでいてなかなかにツボ。
語られるドラマは相変わらず駆け足だったし、和解に到る心情の持って行きようも物足りなかったけれど、そこは妄想で補完(笑)。
 ロボットの操縦席、兄が、向き合った妹の股間に丁度顔が来る辺りの位置に座っているのは、やり過ぎというか、ちょっとギャグっぽい。
 今回戦った両ロボット、アポロンとアルテミスが兄妹の関係にあるのも、狙いなんだろうな。
崩れ落ちるロボット二体が、抱き合うような形になるし。

 行動不能に陥ったロボットが、操縦者である少女の叫びに応え、自ら外装をむしり取って兄妹を助ける。
更に敵側のパイロットまで、自律行動により助け出す、こういう「血が通わぬはずのロボットが見せる、人間味」の描写は好みなので、嬉しい。
 ギガンティックは、操縦者の命を大事に思っている?
それにしては大災害を引き起こしたり、人間の意に沿わない戦争行為を強要しているようだが。
 人間味は今回登場したメカの個性なのか、それとも大災害についても、ロボット大戦そのものについても、隠された真相があるのか。

 どうせこれまで通りのパターンだろう、と思っていたので、意外な物語のヒネり方を面白く見た。
しかし…主人公達が まるで活躍しないのと、かなり淡々と進める話(バトルの模様も)が連続している事で、視聴脱落者が増えても不思議無いなあ。
 次回は、主人公らが既に戦った相手と、既に覗き見た相手の対戦。
ここいらで、大きな展開を望みたい所。



 レンタルで映画『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』を見る。
 『バトル・ロワイアル2』の深作健太 監督、松浦亜弥 主演という不安だらけの布陣。

 冒頭、とにかくカメラを揺すってみたり、無意味に細々とカットを割ってみたり、という撮り方に、鑑賞意欲が減退。
監督になって一作目でもなかろうに、「迫力とリズム感を出したい」意図なんだろうけど、画面がチラチラするばかりで効果は薄いと思うが。
 最初の方で、捕らわれた場所からヒロインが逃げ出して街を駆け抜け、続いて学校に潜り込んでは逃げ出した容疑者を追ってヒロインが街を駆け回る。
僅かな間に、印象が余り変わらず、アクションとしても工夫のない追いかけっこを二度も見せるのは、どうだろう。

 麻宮サキは恐ろしく戦闘力の高い少女、と最初に語られ、冒頭では実証もして見せたのに、敵相手には意外なほどヘタレなのは何故?
サキは無茶苦茶な強さをキープ、しかし敵は罠や汚い手段を用いてきて…とするのが一般的だろうに。
 それでも、ガチガチに縛り上げられた(のだろう)ロープは力ずくで引きちぎってしまう不思議。
 重い構造物(?)にガッチリ体を押さえつけられ、身動きできないサキに悪人達が迫る、危機一髪の脱し方も、「ギリギリ危ないところでしたが、最後の力で構造物をはね除けたから大丈夫でした」という「だったら最初からそうしろよ」なシロモノ。
製作者の都合次第でサキの強さが変えられてしまうため、ハラハラもドキドキも出来ない。

 一番酷いのは、麻宮サキの武装であるヨーヨーについて。
最初の方で、「サキはヨーヨーの扱いにつき、まるで素人である」というシーンをわざわざ入れておいて、別段 特訓も慣れていく様子も描かず、クライマックスでは突然に「ヨーヨーの達人」と化している いい加減さ。
 せっかく母親の設定があるのだから、使い方を教えるため帰国して来るとか、『巨人の星』のごとく「アタシの遊び道具といえば、小さい頃からヨーヨーしか無かった」事にして、最初から達人に描けば良かったのに。
 これも、製作者の都合ばかりを感じさせられる。

 学校で「爆弾で爆発ごっこ」をして遊んでいる、ホンモノの爆破犯関係生徒。
 無駄に目立つ行動を上層部は止めなかったのか、もう一人の女子潜入捜査官。
 色々な事をやった割に、驚くほどショボい犯人グループの行動。
 ガッカリ要素の連続。

 敵の設定にしても…こういうのが今風なのかも知れないが、ただ面白がっているだけのキャラクターは どうにも薄っぺらい。
そういう相手だから、サキが最後の決戦に臨む動機を「あいつらは許せない」にまで持って行けず、「同級生が攫われているから助けなきゃ」ぐらいに留まってしまい、こちらの気持ちも盛り上がらない。
 決着も拍子抜けの、釈然としないもので、不完全燃焼。

 松浦亜弥は、顔立ちに似合わない「コワイ」雰囲気を、頑張って出そうとしていたと思う。
 くらやみ警視、先代麻宮サキなど、旧テレビシリーズのファンに向けたサービスの一部は、確かに嬉しかった。
 『バトル・ロワイアル2』監督の最新作、という意味では実に妥当な、こんな所だろうな、と思える作品。


2007年5月30日 水曜日

『おねがいマイメロディ すっきり♪』09.「お屋敷ですっきり!?」

 今シーズンは、お助けキャラを呼び出すだけ呼び出しておいて魔法では帰して上げない、帰りの手段は各自で勝手に講じてください、という恐ろしく無責任な召還システム。
ご近所での話ならともかく、海外から呼びつけられると、シャレにならないぐらい迷惑だなあ。
 かといって「召還お断り」とする対応も出来ないのだろうし…実に酷い。
 まあ、マイメロは「自分が他者に及ぼす迷惑」について、想像を絶するほど無頓着なキャラだから、仕方ないが。
同時に、「他者が自分に及ぼす迷惑(悪意)」についても全く意に介さないので、バランスが取れていると…言える?

 放送時間が実質半分以下になったことで、余計な部分が切り落とされ、スピーディーな展開に。
それでも、これまでと ほとんど変わらないレベルの面白さをキープしてみせるスタッフは、凄い。



『天元突破グレンラガン』09.「ヒトっていったい何ですか?」

 大方の予想通り、思い切った鬱展開での第二部(?)開幕。
 シモンは、最初から能動的なキャラではなかったのに、加えて心の支え・カミナを失っては、どれだけ足元がふらついても不思議ない。

 ラガンからの嘔吐物(エネルギー放出?)を、透過光で表す演出に爆笑。
前回、カミナの死が『あしたのジョー』最終回風だったのに呼応し、アニメ『あしたのジョー2』で大いに話題になった画面効果を再現。
 どうせなら、トラウマにより敵ガンメンの頭部を殴れなくなる、とかすれば完璧だったのに。
ああ、ガンメンって全身頭だっけ。
 それに、カミナは腹部に乗っていて死んだ訳だから、腹を殴れなくなるのか…そこで「殺された」と考えれば、怨みを込めて腹部ばかりを狙うようになるのが正しいのか…どうでもいいか。

 新登場の美少女キャラが、アッサリと正体をバラしてしまうのに、驚く。
そんなに意外性は無い設定なので、長々と引かないのが正解とも思うけど。
 せっかく物語を鬱方向に落とし込んだのだから、シモンの気持ちと共に、作品テンションが上昇していくカタルシスの創出を期待したい。


2007年5月29日 火曜日

『仮面ライダー電王』18.「時計じかけの婚約者(フィアンセ)」

 元クラスメートの女の子は、もうちょっと引く因子になるかと思ったが、あっさり退場。
あれぐらいで心の隙間は埋められたのかなあ…元々そんなに深刻な悩みを抱えている訳でもないのか。

 自分達の存在が良太郎に迷惑を掛けている、と思い込んだキンタロスとモモタロスが見せる、不器用な友情。
…というか、これも愛だなあ。
 「ツンデレ」を思わせる、モモタロスの拗ね方と心の開き方が、実に「萌え」(笑)。
あの姿と声だから「友情」だけど、美少女キャラだったら確実に「愛」と取られる行動・言動だろう。
 四匹の行動動機は、良太郎の体を自由にしたい、という意味で、そこらのハーレム物よりストレート。
もっとも、それ自体が目的ではなく、自分の物にした体で何かをするための「手段」だけど。

 今回、過去へ飛んだイマジンが目的を見失っていたのは、懐中時計を持っていた男・桜井侑斗の不在が原因?
彼がイマジン達に、スケジュール通りの行動を指示しているのかな。
 もう一人、現れた桜井侑斗は、懐中時計の男とは性格が異なっているようだけど…
 何かが原因で未来が(あるいは現在に至る道筋が)枝分かれし、その原因を取り除くために、もしくは自分の存在を許す方向に歴史を引き寄せるため、二人の侑斗が戦っている、とか?



『おおきく振りかぶって』07.「野球がしたい」

 愛だねえ、愛。
 気弱な投手・三橋に寄せる阿部の期待と不安が、苛立ちと理解が、もう愛。
 野球の経験は薄いけど、ピッチャーとキャッチャーは互いの意思疎通がなければ、なかなか上手く行かないものだろう。
水島 新司漫画では、キャッチャーを「恋女房」と言い表したり、まるで夫婦のように呼吸の合った様子を見せたりするし。
 試合が終わり、三橋が元所属していたチームへの帰参を誘われ、どういう決断を下すのか現チームが…特に阿部が…不安そうな顔を見せる所なんて、「心ならずも別れた、昔の、付き合いが長い恋人」と「傷付いた心を癒してくれた、現在の、まだ出会って日が浅い彼女(彼氏?)」が対峙し、主人公の少年を奪い合う様子を思わせる。

 こういう、少々ヤバい方面に踏み込んだっぽい描写が、作者の個性であり、優れたところ。
 面白半分に扱わず、「男同士の友情」が もたらす「感動」にまで昇華してあるので、やおいが苦手な男性でも抵抗無く見られるだろう。

 三橋が、親の権威を笠に着てピッチャーの座を譲らなかったため、元居たチームは まるで勝てなかった…とする、言い訳しようもないマイナスの要因を、「誤解」であるとし、使い方・活かし方によっては最高の戦力になりうる人材だった、無理解により彼を「殺して」しまった元チームの方に問題が、という方向に持って行き、納得させる、ドラマの運び方には感心。
 「力を認められず、中学の三年間は一度もマウンドに登らせてもらった事が無い」とかいう設定にして、主人公を「罪なき存在」にした方が、感情移入させやすいし、物語も動かし易かろうに、どうして「旧チームに迷惑を掛けた酷い奴」にしてしまったかなあ…と、よくあるパターンにばかり乗せようとして不満に感じていた自分のアホさ加減を、反省。
 こうして、マイナス立脚点からの浮上を、カタルシスにまで繋げてしまう方法が あったんだよなあ。
余程 力のある作者でなければ、失敗する可能性も高いやり方だけど。


2007年5月28日 月曜日

 昨日よりは多少マシになった…かも、というぐらいで、なおも腰痛は続く。
 駄犬を、日課の散歩に出してやりたいけど、途中で痛みが酷くなったら家まで帰ってこられなくなる恐れがあり、本日はお休み。
 横になっているのが一番楽なので、ほとんど寝たきりで過ごす。
寝る部屋にはテレビ等がないため、溜まった録画番組の消化も出来ず。
仕方なくヨメ用のPSPを持ち出して『みんなのゴルフ』をやってみたり、買ったまま積みっぱなしになっていたGBAの『逆転裁判1』を今更 始めたり。
 携帯ゲーム機は、横になったまま遊べるので、いいなあ。

 あと、ジャケット買いして置いてあった漫画単行本『ヒャッコ』を読む。
 抜群に絵が上手い上、コマ割りやギャグのセンスが良く、「パターンだと こうなるはず」という予想に従わない自由さがあって、大変に面白い。
 女の子四人組の編成で、何にも縛られない奔放な子・ちょっとドジだが真面目で責任感のある子・頭が良く冷静な子・体力勝負で一直線な子…というのは、思えば『まなびストレート』と同様。
少女集団…少年でも…となれば、こういうのが基本か。
 多分、最終的にドコへ辿り着くのか、細かくは決めずキャラ任せで走り出した作品だと思う。
その疾走感と、全てを任せるに足るキャラクターの個性が、素晴らしい。
 異常性欲者なクラス委員長少女が、好きだ。


2007年5月27日 日曜日

 あいたたた…腰をやってしまいました。
別に重いモノ持ち上げたりしてた訳でもないのに、軽く腰を曲げた拍子に、ギックリと。
 年寄りはそうなりがちだと聞きつつも、他人事だと思っていたのに、こんなよく分からない事で当事者になるとは。
 身動きできない程ひどくはないのですが、座る時と立ち上がる時の激痛には、口から泣き声が漏れっぱなしになります。
あづづづづづづ。・゚・(ノД`)・゚・。
 ああ…もう若くないなあ。



『電脳コイル』03.「優子と勇子」

 作中で描かれる電脳フィールドのルール、みたいなものが見ているウチに段々分かってきて、更に面白くなってきた。
 メガネビーム(正式名メガビーム?)や、ススワタリが目から撃ち出すパチパチいう攻撃は、実在の物体ではなく、その上に張り巡らされたデジタルデータを破壊している、って事なのかな。
 全くデータ的な存在であるペット犬やサッチー等には直接的効果があるが、人間に対しては、その上に重ねられた(サーバーで認識している)「存在」のデータが損傷を受けるだけなので、物理的ダメージはナシ。
しかし、「存在」が認識されていることでペット犬と触れ合えたり、指で電話ポーズを取れば通話モードが起動しているので、そこに損害を受けたままでは電脳世界との間に齟齬が生まれてしまう。
 だから…パケット料を費やし、新たにサーバーからデータを自動ダウンロードし、破損を修復することで電脳的に「存在」を回復している、って感じなのだろうか。
 デジタルキャラの電脳的攻撃は、対人効果としては、物理的にでなく、金銭的ダメージとなって跳ね返ってくる?

 神社、というものが凄く特別扱いされている不思議。
 その土地が電脳的に認識されていない事で侵入不可になっている…だけかと思えば、鳥居だけでも効果があり、それは地面にチョークで書いただけの(あれもプログラム言語?)鳥居でも、同様。
 鳥居の形状が、管理プログラムにバグを起こさせる、あるいは暴走に備えてストッパーの役割を果たしている、とか。

 サッチーがビルの壁抜けをやった時、「郵」みたいなマークが出ていたのも、謎。
最初は、郵便局の建物を抜けて行く事に対し、特別の認可が下りた証かと思ったけど、そうでもないようで。
 電脳世界の管理は、総務省が行っているから?
そういえばサッチーの顔マークって、これだよね。
 緊急事態なので、総務省(日本郵政公社?)権限で建造物を通過した、という事?

 事件の解決なんか、スーパー婆ちゃん一人で出来そうなものだけど、今回、電脳的には超人でも肉体的には「普通の年寄り」なのを露呈。
これじゃ、街中を駆け回る、なんて事 出来る訳がない。
 まだまだ分からない事は多いけど、関係なく楽しく見られる。
 自分が子供だったら、様々な電脳アイテムを駆使し、忍者ごっこのようにサッチーから逃げ回る遊び、一日中やるだろうなあ(^ ^)。


2007年5月26日 土曜日

『魔法少女リリカルなのはStrikerS』08.「願い、ふたりで」

 教官・なのはに苦労や苦悩が見えて来たことで、物語に入りやすくなってきた。
 他のキャラも それぞれに個性があり、人間性に厚みを出そうという努力は感じられるけど、やっぱり なのはが「みんな憧れる超人」扱いだと、個人的に感情移入しづらくて。

 相手が、受け止めてくれる実力と人間性を持つ教官だと信じているからこそ、訓練の成果をただ見せるのではなく、模擬戦で無謀な(危険ばかりのデタラメな)戦法を試してみる、というのもナシな行動ではないと思うが。
実戦で ぶっつけ本番は、最悪の選択なのだし。
「やってみないと分からない」新人達なのだから仕方ない…せめて事前に話は通しておくべきだけど。
 今回の暴走は、フォーメーション無視に繋がり、行き着く先には(本人への・仲間へも)相当な危険が予想される物だから本気で怒った、のかな。
そういう行動が どんな結果をもたらすか、体で分からせるのも、教育であり優しさ。
 なのはが心や体に負った傷が、次回 示されるようだから、それにより、今回の「やり過ぎ」とも思える「怖い なのは発動」理由が、なお深く理解できるようになるのだろうか。

 今更ながら、「萌え」美少女アニメの外見に惑わされてしまうけど、今作は完全にハードな「特殊部隊物」なのね。
新人は、ひたすら厳しい訓練に励み、教官・指揮官達は「まあまあ」とか「頑張った」という所で彼女達を甘やかさない。
 雰囲気としては、『SAS英国特殊部隊』にさえ、近いか。
…「もう戦う意欲を無くしているように見えようが、年若かろうが、犯人の一味である限り容赦なく射殺」という所まで、悲惨にはならなそうだけど。
 作画に少々弱い部分が見受けられるのは、残念。
ここ一番!見せ場では、画面のパワーで圧倒して欲しい。


2007年5月25日 金曜日

『らき☆すた』07.「イメージ」

 監督が替わったからなのか、話数が進んでスタッフがこの作品に慣れただけか、順当に楽しく見られるようになってきた。
 女の子達がそれぞれ個性的で…といっても「体育会系体力少女」とか「天才」とか「ちょっとした日本語の理解さえ困難な問題児」というような、描きやすい(ギャグにしやすい)極端なキャラクター配置にせず、「あるある」から ちょっとはみ出すぐらいの性格付けで面白く見せているのが、上手い。

 こなたについては、オタクっぽい言動はともかく、意外とスポーツが得意で体力アリ・一夜漬けによりテストは常に良い点を取る、という辺り、「漫画っぽい」キャラだけど。
 みゆきが語る蘊蓄。
今は、ネットで調べてもかなりの事が分かるので、作者が備える知識そのものより、どういう蘊蓄をチョイスして喋らせる事がキャラクター描写に有効かを決める選択眼こそ、重要。
この作品では、なかなかに上手いと思う。

 ラストに控えるDJコーナーだけは、まだ存在理由が分からない…
裏表が激しく、凶暴な女の子、というのも嫌いではないから、つまらないとは言わないが、それより本編の時間を延ばした方が良いように感じてしまう。
 エンディングの歌、「バレンタイン・キッス」というセレクションが、なかなか。
歌う人間が変わると こんなにイメージが違うものか、と感心するぐらい別物の、無邪気な可愛らしい歌になっていた。


2007年5月24日 木曜日

『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ』08.「矜持」

 今回、主人公達が覗き見るのは、イギリス側パイロットの事情。
 やはり圧倒的に時間が足りず、駆け足で、しかも納得しづらい部分のある描き方にはなっていたが、キャラクター配置そのものは興味を引けるよう出来ていたのではないかと思う。
「ノブレス・オブリージュ」という言葉は、いささか聞き飽きた感あり。

 それにしても、三話も連続で主人公達を傍観者に追いやり、他国の描写ばかり続けられると、本筋を見失ってしまいそう。
このまま、登場国 全ての事情について、延々順繰りに見せられるのではないかという「不安」「恐怖」も。
 メインのストーリーにしたって、面白かったり乗って来たと思える所までは進んでいないのに、「それはそれとしてギリシャ」「それとは余り関係ないけどエジプトアフリカアラブ」「忘れないうちにイギリス」という脇の話ばかり語られて、強く興味を持てるはずもなく。

 来週は、またもう一方のチームを描くことに?
せめて そこまでを一区切りとし、本筋に帰ってきて欲しい。
 中途半端に終わったロシアロボとの再戦さえ、まだ終わっていないのだから。



『キスダム -ENGAGE planet-』08.「過刻」

 今は壊滅したN.I.D.F.に、入隊したばかりの頃の、主人公の記憶を辿る。
 …まあ順当な思い出で、無理はないが驚きもない。
主人公は、もっとパワフルで強引なキャラに設定した方が面白かったような。
血迷った僚機を、ドスンドスン踏み潰して訓練から脱落させてしまう、この辺りは笑ったけど。

 主人公ともう一人「シュウ」という名前の隊員が居る、という設定について今回、再度強調していたが、何か意味を持ってくるんだろうか。
「姓が一緒」というなら、いずれ縁が明らかになる事もあろうが、名では…しかも「同じ名を持ちながら、相反する性格の二人だった」という描き方をしている訳でもないし。
 何だか、隊員同士のバトルに苦悩しているらしい元司令官・京香。
…そういうキャラだっけ?

 仲間達の幻に苦しめられる主人公。
しかし、先週倒した奴はともかく、他の隊員からは特に怨まれる覚えが無かろうに。
 どこかで甦っている かつての仲間達が主人公に向ける、殺意を感じ取っての事?

 作画レベルはずっと低いまま。
一時的に高くなるような事もないため、「低値安定」で、そういうモノとして心乱さずに見られたり。
 作劇のパターンに沿わない…上手く物語れていない…所を、面白さとして見続けているけど、「甦った仲間達と順次バトル」「元司令官の思惑開示」「真の敵との決戦(手を組める仲間とは共闘)」というような道筋が見えてくると、「普通」になってしまいそう。


2007年5月23日 水曜日

 映画『スパイダーマン3』を見る。
 評判が余り芳しくないので、心配しつつの鑑賞だったが…いや、面白い。
 アクションにかけたアイディアが膨大で、クレーン暴走から起こる一連の騒動など、CGにより何でも画面に映し出せるようになった事で最も求められる、ビジュアルイメージの豊かさを、十分に楽しませてくれる。
 ニュー・ゴブリンとの狭いビル間チェイス、サンドマンとの地下鉄バトルも面白く、満足のいくもの。

 ただ、一本の映画としては、非常に多くの要素を詰め込もうとしているため、駆け足になったり都合良く展開したり感情面のフォローが酷く足りなかったりで、乗り切れない部分も。
それでもギリギリ「あらすじを見せただけ」になっていないバランス感覚は、大したモノだと思うが…
 三悪人それぞれ、映画の最初とは別の面を見せ、あるいは善い方向へ、あるいは悪い方向へと転んで作劇上の役割を終えていく。
ここがカタルシスに繋がればエンターテイメントとして成功だったと思うけれど、余りにも唐突であったり、「それぐらいで?」としか感じられない事を感情変化の起点としていたりで、強引さばかり目立つ。
 いや、ドック・オクの描き方だって強引ではあった。
しかし、ある程度の時間を掛けて語れば、劇中で消化する(観客に任せ消化してもらう)事が可能。
 とにかくその時間が足りず、厳しい内容に。

 『2』では、主人公の受難が全て一点に集約していき、絶望から希望へ転換する瞬間を圧倒的な迫力と説得力とカタルシスで描ききっており、それが成功の要因になっている。
 これが今作では、どこを最大の見せ場に設定しているのか…「ダーク・スパイダーマンとの決別」か「ニュー・ゴブリンとの関係変化」か「サンドマンに掛ける言葉」なのか、分からず。
 それはあるいは、「盛り沢山な内容で嬉しい」というプラス評価にもなろうが、「色々やっているけれど全部弱い」とするマイナス評を下されるのもやむを得ず。

 サンドマンへの気持ち、ダーク・スパイダーマン自身が犯した悪行への自己赦免(積極的肯定ではないにせよ、人とは過ちを犯すものだ、ぐらいには)からすると、もう悪と戦えなくなってしまいそう。
 罪を憎んで人を憎まず、か。
ヴェノムの最期に特に感じる所が無いような様子からすると、その辺は意外とサックリ割り切ってしまうのかも。

 「勘違いするなカカロット!お前を助けた訳ではないぞ」とでも言いたくなる展開は、どれほど描写不足でも、嬉しい。
『ハリー・ポッター』のマルフォイも、こんなキャラになってくれれば楽しいんだけどなあ。ダメなスネ夫に終わりそうで。
 赦免は良いにせよ、そのまま放置するのはさすがにどうだろうスパイダーマン。
悪い事をするしかない状況なのだから、その処置は必ずしも救いにならないような。
ノヴェライズを立ち読みしてみると、もうちょっとだけ納得できる扱いになっているが。

 取りあえず、劇場で見るだけの価値がある作品ではあったかと。
 三部作はこれで終了。
まだ続きを作るとしても、サム・ライミ監督は外れるんだろうな。


2007年5月22日 火曜日

『ヒロイック・エイジ』08.「閃光のノドス」

 壮大なスペース・オペラ風の世界観を更に明らかにしつつ、物語は進む。
 かなり巨大な規模で展開するアズ・アゾート艦隊だが、地球艦隊の一つに過ぎず、しかも補給もままならない扱いらしい。
地球艦隊が宇宙の多方面に展開しており、しかも指令系統や補給線がマトモに機能していないなら、どの艦隊もこういう状況なのかな。
 お姫様が乗っており、地球の命運を賭けた使命を帯びている(実現は疑問視されているにせよ)アルゴノートが、大規模戦力を携えて行動していないのは、「どうせノドス相手には役に立たない」からであり、「なるべく目立たないようにした方が有効」だから、か。
いや、アルゴノートだって十分に馬鹿デカイ戦艦だけど。

 地球側の武装がどうにも弱く、苦戦続きなのが哀しい。
主人公・エイジを目立たせるため、という意図は分かるが。
 ベルクロスの体組成を研究し、ロボットや武装に活かすことで、いずれパワーアップを図るとか。

 パワーが想像を絶している上、不死身に近い生命力を持つノドス同士の戦いは、凄いんだろうとは思いつつ、余りにも実感に欠けていて逆に面白味が薄い。
「延々とドッカンドッカンやっているだけ」と思われると、飽きさせてしまう恐れさえ。
 常に目先を変え、新たな局面を作り出しながら戦いを描く必要があるかと。
惑星表面に降りたことだって工夫なんだけど、一撃で惑星を破壊するパワーを持つ者同士の戦いだから…
 強さのインフレが激しくなって以降は、『ドラゴンボール』なんかも「凄さ」の演出に非常に苦慮していた所。

 アルゴノート内の人間関係の淡泊さ…エイジに対する反発や排斥の気持ちが現状、ほぼ無い…のが、物足りない。
 彼が余り酷い扱いを受けるのもストレスだけど、こんなにも「善い人」ばかりしか乗っていないと、エイジの人間味やドラマ性まで薄くなってしまう。

 文句ばかりだが、結構 楽しく見ている。
 ディアネイラの精神能力を、「攻撃」に使えるのが面白い。
圧倒的な戦力を持つ敵だが、それは必ずしも(当然ながら)「精神の強さ」とイコールではない、という事か。
有効みたいだから、この方法でもっと掻き回してやれば良いようなものだけど、彼女の方がもたなそう。
 しかし、宇宙にエラく厄介な騒動の種を播いて、どこかに行ってしまった金の種族は、迷惑だなあ。
「みんな仲良く暮らしなさい」とか言って行けば良いのに、何が目的なんだろうか。
 最終的に、全てを裏側から操っていた金の種族を相手取り、他の全種族・全宇宙が共闘する展開もアリ?



 迷惑メール。

> Subject: お婆ちゃんの部屋に謎の生き物がいるんですが何だか分かりますか?
>
> うちのお婆ちゃんが二ヶ月ほど前に拾ってきたんですが、
> この生き物って何だかわかりますか?
> http://www.seibutsu〜…
> 写真をここにアップしておきましたので、もし
> 何だか分かったら教えていただけないでしょうか?
> お婆ちゃんはイヌだと言ってるんですが、
> イヌはここまでしっかりお茶碗持ったりできないですよね?


 …うわー、凄く興味が湧く。
 エロ関係の写真をアップしておきました、というメールは多すぎて、もう勘弁して欲しいだけだが、こういうちょっとSFな不思議系アプローチは珍しい。
 犬に似ているけど茶碗持ってるって君ぃ、そりゃ犬じゃないと思うよ(笑)。
 何かこう、突然変異体的なものか宇宙からの物体Xげなものが偽装している恐れがある、逃げてー逃げてー。
 余りにも興味を引かれたため、リンク先を見てしまったけれど、犬?の後ろ姿写真が一枚あるきりで、「この先は会員登録した人だけどうぞ」だったため、ガックリ。
まあ、そりゃそうか。


2007年5月21日 月曜日

『天元突破グレンラガン』08.「あばよ、ダチ公」

 前回から所謂「死亡フラグ」が立ちまくっていた兄貴・カミナだが、この物語を強引に引っ張っていく原動力となるキャラであり、そう簡単に退場もさせられまい…と思っていたが…
 良かったのは、ヨーコとカミナのキスシーンを見たシモンが、「動揺のため不利な状況を作りだし、そのためカミナを死に追いやった」とか、もっと悪くは「気持ちの暴走が巨大ガンメンの砲撃を全開にしてしまい、その直撃を受けて死ぬ」とかいう、先を見ていく事さえ憂鬱になるような展開も考えられたが、実際は、シモンの不手際が原因にはあるものの、敵ガンメンの猛攻と、それに続く命の炎を燃やし尽くすような戦いぶりが直接の死因と考えられること。
これなら、シモンも生きる気力を失わないで済むだろう(いや、分からないけど)。

 前回・今回と、作画枚数的には時折厳しさが覗かれたものの、見せ場を動かすために他の部分を大きく削る作り方だって、メリハリが付いて良いかと思う。
 脳の血管がブチ切れそうな程、ハイテンションな戦いの見せ方は、やっぱり素晴らしい。

 カミナ、いずれ敵となって、あるいは「謎の味方」として再登場してきそうな予感。
 シモンの気力が満ちる事で、グレンの機体を理不尽にも回復する事が出来るようなのだから、『ガイバー』みたいに「搭乗者ごと修復」という訳で、命も戻してやって良いんじゃなかろうか。
これは、そういう無茶の許されるアニメだと思う。
 取りあえず、新展開が待っているのだろう次回を楽しみに待とう。


2007年5月20日 日曜日

『Yes!プリキュア5』16.「こまち小説家断念!?」

 小説を書いてみた こまちに対し、ナッツはキツい評価を投げ掛けてしまう。
 脚本・成田 良美の体験から出た話ではなかろうか。
小説なり漫画なりを生業にしようと考え、描き続けた経験のある人なら、誰しもこういう言葉を受けたこと…もしかしたら投げたことも…あるはず。

 まだ自分の実力が世間的に見てどの程度なのか、全く分からない時期なので、不安と同時に根拠のない自信を持っている事もあり、否定されるとその気持ちがポキンと折れて、凹んでしまう、こまちの気持ちは実に良く分かる。
 凹むだけで、「お前なんかに何が分かる」「頭が悪いから私の作品を理解できないんだ」「文句があるならコレより面白い物を書いて見せろ」…などと言い出し、ガラスのアイデンティティーを保持しようとしなかった事から、彼女に成長の余地は大いにあるだろう。

 以前、友人の娘さん(中学生)が書いた小説を、読ませてもらった事がある。
 「初めて書いた長編小説」としては、とても頑張った内容だと思うけれど、恐らくは単行本一冊に とても収まりきらないだろう超大作を予感させる書き出しのファンタジーで、文章表現も、キャラクターの描き方も、世界観の確立(有名ゲームをモチーフにした作品だった)も、まだまだ。
 また別の、彼も読ませてもらった友人と、何と言って感想を伝えるべきか話をしてみて…

 自分は、「誉めてあげた方が良い。実際、自分などが中学生の時に描いていたゴミみたいな読者無視の漫画に比べれば、遙かに『読める』内容なのだし。人生の分岐点でプロを目指すかどうか真剣に迷っているのでなければ、書く行為を動機付けてあげるべき」という意見。
 が、友人は、「上手く書きたい、読んだ人に喜んで欲しい、という気持ちを その子は持っている。だからこんなオッサンにも読ませてくれた訳で。誉めて欲しいだけなら、親や友達は多分、既にそうしてくれていると思う。欠点を指摘し、こちらの考える『良い方向』を指し示してあげる事こそ、求められているんじゃないか。それを受け入れるかどうかは彼女の自由」と。

 どっちの考えも、正しいとか間違っているというモノでは無いだろう。
 理想型としては、頑張っている点を誉めて、誉めて、気になった事を(出来れば柔らかく)指摘して、指摘して、最終的には「書き続ける事で更に一回り成長した、次の作品(あるいは推敲を重ねたこの作品)も是非、読ませて欲しい」と伝える事かなあ。

 「アニメの感想文も、それぐらい気を遣って書けば?」というのは、全くその通りで。
ごめんなさい、なるべく誉めたいと思ってるんですけど。

 いや、昔はもっと酷かった。
高校時代、小説家を目指していた後輩男の小説を読んだ際は、そりゃもう誉めることなく罵倒に次ぐ罵倒。
普段の態度・行動から、それを許すようなキャラクターだったとはいえ、さすがに すっかり意気消沈した彼に向かい、「お前は、何でこんなに酷い事ばかり言われるのかと思っているかも知れない。だがな、いいか?これは『お前のためを思って』言ってるんじゃない、『お前が憎いから』言ってるんだ」などと、無茶苦茶言っていた覚えが。
 でも、彼も今では文章を書いて生計を立てており……才能(夢?)ってのは守り育てて伸ばすものではなく、踏みつけても踏みつけても頭をもたげて来るもんだなあ、と感慨。

 …長い自分語りでした。
 なので、キツい意見を述べてしまう、ナッツの気持ちは良く分かる。
それが一時の感情に根ざしたものでなければ、訂正する事でかえって不誠実になる、とする考えも理解できる。
 ギリギリのせめぎ合いの中、何とか こまちに書き続ける気力を起こさせる言葉が絞り出せたようで、他人事ながら、安心してみたり。
 しかしナッツ、「楽しく読んでもらえれば良いエンターテイメント小説」には、難し〜いテーマは無くて良いと思うぞ。
「主人公が面白く描けていた」なら、そういうテーマ(主人公を魅力的に描く)は達成できている訳で、無問題。
 まあ、全体としてあんまり楽しく読めなかったからこそ、出た感想だろうが。



『電脳コイル』02.「コイル電脳探偵局」

 引き続き、内容の全てについて問題なく理解できている…かどうかは分からないが、日常的動作と共に行うことで意味を受け取りやすくする演出の お陰もあり、面白く見られる。
 次々と繰り出してくる、お札を用いての電脳的攻撃が楽しい。
昔話の『三枚のお札』的なイメージ?
デジタルな脅威に対抗するため、実にアナログな方法を用いる発想が、見事。
 ビームを発したり、疑似壁を出して隠れ蓑にしたり…という見せ方は、「忍者ごっこ」のよう(『赤影』って、仮面の額部分からビームを出してたっけ)。

 神社に、電脳世界の番人サーチマトンは入れない。
これは、何故なんだろ。
 デジタル的情報網が被せられていない、全くアナログな空間だから…かと思ったけど、境内でもペットの犬は問題なく存在できているし。
 学校や家の中に入れない、というのは、プライバシーやら権利関係からかな。

 駄菓子屋(?)のオババを、実は街一番の電脳的実力者とする、これまたデジタルとアナログが入り交じった描き方が楽しい。
不可思議な武装を生み出す方法にしても、「キーボードを叩き、街を管理するサーバーに不法アクセスして…」ではなく、爺ちゃんの遺影を飾った仏壇に手を合わせてから、カンでバグ物質をねじり合わせ、ハンドルを手動で回してお札に変える…という婆ちゃんっぽい動作に寄っているので、納得しやすい。
 「金に汚い駄菓子屋の妖怪ババア」は、子供の頃の記憶に照らし合わせると心当たりがアリアリで、凄いリアリティーを感じてしまう(^ ^)。

 第一話に続いて作画的充実度が異様に高く、引かれた線一本にも意味と技術が込められており、見とれる。
「宮崎アニメっぽい」と感じてしまうのは、真似してるとかいう事ではなく、動作による生活感の出し方・細かな芝居の巧さをパターン認識で語ると、「宮崎アニメ」という表現になってしまうから、だろう。
 ヒロイン達、決して「描きやすい美少女」タイプではないため、作画が崩れると悲惨になりそうで、そこは ちょっと心配。


2007年5月19日 土曜日

『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ』07.「閃光」

 今度は、前回と反対側のパイロットに精神感応。
 金持ちと貧乏人、二極分化したパイロット男女が、立場の差を乗り越えて分かり合い(元々惹かれ合っていた?)、勝利を収める…のは良いんだけど、提示されるドラマがブツ切れなのに加え、アリガチで、気持ちが通じ合うシーンも唐突。
 各国代表の裏事情に費やせる時間は酷く限られているため、とにかく手際よく、要点だけを抜き出して視聴者を納得させる語り口の巧さが求められる。
 次回も、また他国のパイロットを描くようだが、これぐらいの人物把握、ドラマ濃度で推移するのだとすると、ちょっと辛い。

 戦い合う両方のパイロットに、それぞれの事情がある…という事を知るのは、主人公の役割かと。
前の彼氏(?)との経緯とか、どうも真名にばかりシンドイ感情を背負わせている。
 主人公に葛藤や成長を「させない」ようにしているのは、何か意図あっての事、なんだろうな。
それがどういう意味を持ってくるのかは、先まで見ていかないと分からないが。



『ロケットガール』11.「ターンスタート −turn start−」最終12話.「ロケットガール −rocket girls−」

 オルフェウスにおける最初のミッションで、「バックパックを外し、窒息するまでの短い時間で任務を達成しなければならない」緊張した状況を設定しながら、事態に臨む本人ではなく第三者視点で、呼気が薄くなっていく緊迫感も感じさせず終わらせてしまう淡々ぶりに、驚く。
 続く困難への前段階…とはいえ、この辺りは一つ一つ丁寧に積み重ねて欲しいところ。

 非常事態→解決のために行動→更なる非常事態→打開策の提示
という物語の進め方は堅実で、楽しく、地球への帰還方法が「なるほど、その手があったか!」より「ああ、そういうものなの」と思ってしまう程度しか知識が無い自分にも、面白く見られた。
 NASAとのグッズ交換、という ほのぼのシチュエイションが、後に命に関わる事態を巻き起こす。
この描き方も良く、シリーズのクライマックスへ期待が膨らんだが…

 「茜の気絶」により、ダメ押しの危機感を盛り上げる作り方は良いとして、その解決が「ゆかりのカンだけで何とかなりました」ってのは、どうだろう。
ゆかりの根性が呼び込んだ奇跡、というよりか、時間もないし御都合主義で適当に終わらせたように見えてしまうし。
 土壇場に来て、ここまで頑張った茜にイラッとさせられるのは、嬉しくない。
 せめて…何のために出て来たのか よく分からない(ロケット計画の妨害をしただけ)酋長オヤジが、超自然的な力で数字を伝える、あるいは「呪い(守り)」により成功へ導く、といった気の使い方があっても。
 単純に「ギリギリで茜が意識を取り戻し…」とか、「ゆかりが、授業で教えられた内容を思い出す」でも構わない。
 何となく、で何とかなってしまうのが、このアニメらしいとは言えるけど、気分として盛り上がれない。
 二度目の着水地点も学校の池(プール?)だったのは、お約束。

 全体に。
 シリーズ前半に比べ、後半は作画的な崩れが目立ち、「ちょっと えっちな宇宙服で美少女達が頑張る」ビジュアル・イメージの売りは弱くなってしまい、残念。
 NASA爺ちゃんの語りで、宇宙へかける人々の熱い思いが伝わってくる所には、ホロリ。
 対して宇宙協会関係者は、最初の方の「いい加減で自分勝手で好感の持てない連中」というイメージを引き摺ってしまい、ゆかりの「みんな大好き」発言にも納得は出来ず。
 それなりに面白く見たが、強く心に残るような要素は薄く、しばらくすると忘れてしまいそう。


2007年5月14日 月曜日

 『仮面ライダー電王』、シリーズ恒例のバカ話…にしては、まだ放送時期が早い?
この作品は、毎度こういうファンキーな傾向にあるので、通常の話なのか。
 ところで、デンライナーは自分で線路を引きながら どこでも(空中でも)走行可能みたいだけど、これは電車好きにとって魅力?欠点?
「大好きな電車で、制約から解き放たれて好きな場所へ行けるなんて、夢のようだ」なのか、「電車は、決められた場所に、決められた時間で到着する所こそ魅力。これじゃただの『不思議な乗り物』に過ぎない」のか。
 うーん、ホンモノの鉄道好きじゃないんで、分からないな。

 という訳で、今月も〆切前スケジュールに突入。
金曜日ぐらいまで、更新は難しくなるかと思われます。
悪しからずご了承下さい。

 あ、次に出して頂く茜新社の単行本は、CDドラマ付きのモノになるそうです。
 かなりコアな脚本になっておりまして、こんなセリフ、声優さんが本当に読んでくれるものかどうか…
 また進展がありましたら、ご報告したいと思います。


2007年5月13日 日曜日

『ロミオ×ジュリエット』05.「疾風(かぜ)〜燃ゆる覚悟〜」

 第一話で感じたほどには、大きく原作から逸脱する事なく、物語は地道に進む。
そりゃ、違う部分も沢山あるんだけど、非常に雑に言って「これなら『ロミオとジュリエット』のバリエーションだと言って構わない」内容かと思う。
 それが、不満でもあり。
キャラクターの行動や、起きる事件が、大体 予想の範囲内に収まってしまう。

 「正義の味方」を演じていたジュリエットは、もっと直情径行・熱血型なのかと思えば、「恋」の前に行動力は影を潜めてしまい、結局 気まぐれな お遊びに過ぎなかったのか…と感じさせられるのが予想と違ったけれど、これは「予想以下」という所だし。
そこに他キャラからのツッコミがきちんと入っているのはバランスだけど、だからといって彼女に好感が持てる訳でなく。
 ロミオも、決して悪い男の子ではないと思うが、「これなら彼女が恋に落ちても仕方ない」と納得できる程の魅力には欠ける。
 結果として、そういう二人の恋が、他人事に感じられてしまうのは難点。

 約束された悲劇に向かう物語として、どこが酷く破綻しているという事もなく、普通には見ていられる。
しかし、とにかく様々にバリエーションを生み出しながら途切れず語り継がれてきた筋立てなので、ドキドキハラハラ、とか、一話たりとも見逃せない!と思わせてくれる吸引力が不足。
 定番の安心感を否定はしないが。
細かな神経の使い方か、ハッタリの強力さででも、楽しい驚きを感じさせて欲しい。
今回の、走りながら変身していく医者の「シリアスなシーンで何してんだか」ぶりは、変で笑ってしまった(^ ^)。


2007年5月12日 土曜日

『電脳コイル』01.「メガネの子供たち」

 デジタルな世界を表現するのには、「現実」と「電脳世界」を行き来するように描くのが一般的。
 が、この作品では、現実と重なり合った電脳世界を提示。
なかなか新しく、挑戦的(例が無い、という程ではないが)。
 ペットの犬の理解としては、『どこでもいっしょ』トロとかが常にメガネレンズ上に表示され、周辺状況をカーナビのように案内してくれたり心を和ませてくれる、って感じかな。
 町並みにも、その上に一枚、電脳的データが被せられており、生身の人間にとっては直接的関係がなくとも、デジタル的ペットは影響を如実に受け、開いた穴からプログラムの裏側にまで紛れ込んでしまう。

 『攻殻機動隊』のように、首の後ろのジャックで電脳網と繋がるのが合理的だと思うけど、さすがに「非人間的」さ加減がNHK夕方の時間帯としては ふさわしくないからか(原作がこうだからか)(掲示板で頂いたご指摘によると、この作品の小説は「原作」ではなく「ノヴェライズ」というような形だそうです)、人の知覚は全てメガネを通して行われる。
 視覚的には それでオッケーかと思うが、ペットを抱き上げたり、釣り竿に手触りがあったり…というのは どう体感させているのだろう。
「未来の技術」なのだから、何でもアリか。
 Wiiのリモコンで野球やテニスのゲームをやっても、時折「本物のボール」の手応えを感じてしまうことがあるから、凄くリアルな画像があれば、人間の脳は どこまでも錯覚できる…のかも知れない。

 設定自体は良く分からなくとも、変なところに紛れ込んだ愛犬が危険な目に遭い、危機一髪の状況でそこから脱出する、という大筋の話は理解可能。
 今回は第一話だけあってか作画も良く、決して「萌え」な顔に描かれていない少女達が、脚のラインや腰つき、動作の巧さで仄かな色気まで感じさせてくれた。
 世界表現の試みが、どこまで成功し、物語の中で効果を上げていくのか、先が楽しみ。



 『獣装機攻ダンクーガ ノヴァ』について、シリーズ構成だった首藤 剛志のブログで、言及。
 本来の構想では、「最終回に十分間近い一人台詞が続く」…
うーん、大張監督の作風には合いそうもない脚本のような。
 根拠もなくテレビ版『エヴァンゲリオン』最終回を連想するんだけど、実際はどういう内容だったのだろうか。


2007年5月11日 金曜日

『獣装機攻ダンクーガ ノヴァ』最終話.「未来への飛翔」

 途中、かなりの話数を見ていないという、何か書ける(書いて良い)ような鑑賞態度ではないのだけれど、せっかく最終話を見たので、そういう立場としての感想。

 えらくバタバタと、詰め込まれた最終話。
「盛り沢山」というより、「構成の間違いで、こうしないとシリーズが終わらない」都合に寄っているかと。
 前半で示された、「ダンクーガが地域紛争の負けそうな方に味方して、戦いを終わらせないようする」辺りを少し削れば、余裕が出来たろうに。
 ラストバトルは、作画的な頑張りを感じた他には、敵の強さにも逆転方法にもアイディアが掛かっておらず、かといって闇雲なパワーで乗り切る程 熱くもなく、物足りない。
 困難な戦況で生死不明な仲間達…のはずが、時間の都合で、バトル終了後、余韻も何も無く「無事でした」と示されてしまうのは興醒め。
ここもやはり、もうちょっと時間を掛けて描いて欲しいところ。

 最後なのに、脚本がシリーズ構成の首藤 剛志ではなく、弾新生とかいう「ダンクーガ ノヴァ」を もじったと思われる、その場限りの名をした人間が担当しているのは、余程 不本意な事情が介在しているから?
 何を描きたくて、どこを面白くしたくて、どういう事を感じ取って欲しくて作った作品なのか、自分の見ていない話数で、分かるようになっていたなら良いのだけれど。



『鋼鉄神ジーグ』06.「無我夢中?!恐るべし、邪魔大王国の罠」

 何だろう、このサブタイトル?と疑問に感じて見たが、なるほど、主人公達の心が夢(特殊な空間)の中に閉じこめられてしまう お話。
 剣児の親って どうしたんだっけ?(簡単には説明済み?)とか、彼を絶対的にパイロットとする理由は?というのが そろそろ疑問になってきた所だったので、幻想の中を漂う形で設定の開示が成されるのは、嬉しい。
 要領よくやれば、もっと沢山の情報を入れられたろうし、キャラ同士の繋がりも描き出せたと思うけれど。

 彼らを閉じこめたハニワ幻神が、行動不能に陥ったメカを前に、ぼんやりして居たのは不満。
 幻想世界で行動する主人公達の体から突然 血しぶきが吹き上がり、どうやら現実世界の実体が幻神の攻撃を受けているらしい、早く戻らないと危険だ…というような描き方をすれば、危機感を演出できたかと。
 罠から脱出する方法も合理的ではなく説得力の弱いもので、「??」と思わされたが、このアニメは「熱血パワーがあれば理屈などねじ伏せられる」という理論で動いているから、仕方ない。
それはそれで、確かに熱かったし。

 ラスト、セーラー服姿で現れた戦闘機乗り姉ちゃん達は、何?
 実は未だ幻想の中に…という展開にするほど面倒臭い作品じゃないと思うので、単にギャグか、基地祭でコスプレする予定の服装を試着していた、って事なんだろうけど、ちょっとぐらい言及して終わってくれても…

 太古、ヒミカと敵対していた女性の登場。
彼女の使う巨大獣が、現在まで生き延びて主人公らの前に…と、戦況に変化が起きてきた印象。
 知力・体力・操縦能力に優れながら、居ても居なくても構わない脇役に甘んじている鏡は、いずれ敵側に回りそう。
それとも、巨大獣を使役する立場となって、存在感を見せる?
 今回は、懐かしい永井豪キャラが「お祭りの仮面」という形で画面に大勢登場し、オールドファンを嬉しがらせてくれた。
「れすらマン」なんてマイナーキャラ、若い人は知らないでしょ(笑)。


2007年5月10日 木曜日

『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ』06.「運命」

 共鳴感応システムのテスト。
 各国の極秘事項であろうギガンティックの情報を盗み見る、言えばズルい装置で、こんな物を使って良いのは「敵国のやり口が、言語道断なほど汚い場合」と、「情報でも入手しなければ相手にならないぐらい、主人公が、あるいは主人公機が弱い(敵機が強い)場合」に限られる。
 取りあえずスサノヲは負け知らずだし、他国ロボより優れていると思える戦力を発揮中。
敵国も、さしてダーティーな攻撃を仕掛けて来ない(暗殺は狙ってたけど)。
 この状況下では、「装置を使うことで、主人公機搭乗者に大変な負担が掛かってるんですよ」ぐらいのマイナス要因を挙げられても、素直に受け入れられず。

 …と思えば、要するに、他の国同士が戦っている様子を主人公達の視点から見せようとする、構成上の都合で必要になった装置なのか。
 でも、これぐらいの描き方なら、他国のキャラ描写を詰め込み一話で終わらせ、今回のラストで戦況放送として「ギリシャが負けました(勝ちました)」という結果だけを、その裏側のドラマなど何も知らない主人公が聞かされる…でも良かったような。
 まだ主人公や主人公機の魅力を十分見せたとは言えないのに、直接の対戦相手でもない人々の裏事情を急いで描くのも、どうだろう。
 順番からしたって、精神汚染攻撃を仕掛けてきたロシアのパイロット辺りと、先に共鳴すべきでは。



『キスダム -ENGAGE planet-』06.「断罪」

 生き残りを集めた村で構築される人間関係、壊滅した軍事基地へと武器の回収を目論見 決死の潜入、激しい戦いの中、主人公の新たな力が覚醒、留守の間に襲撃される村、そして、再登場してくる死んだはずの かつての仲間…
 内容を書き出してみると、盛り沢山であり、かなり頑張っていると思える。
 しかし、実際に見ると、どうにも子供っぽい物語に思えてしまうのは、積み重ね無しで結果だけを見せようとする性急さと、説得力に欠ける画面作りのせいか。

 変形戦闘機がまた出て来たが、これまで通り、戦いにはほとんど役立たない。
戦力になるのは主人公だけ、という考えが徹底しており、それはそれで面白いんだけど、命を懸け回収に行った村の住民達の行動が、無意味に思えてしまう。
 幼い女の子でも呆気なく殺す、非情な世界観が凄いなあ。
ただ、死んだと思われたかつての仲間達は、どうも全員 新たな命を得て、敵あるいは味方となり甦ってきそう。


2007年5月9日 水曜日

『エル・カザド』06.「恋する女」

 あれ?今回の移動手段がバスになっていたけど、前回、血迷った移動販売人から頂いたバンは、どうしたんだっけ?
売り払って金にしちゃった?それとも、盗難届でも出されて乗り捨てたのかな。
 乗り物を次々変える、という意味ではバスも新鮮だが、街から出て行く手段は、旧知の男が用意していた車にして良かったかも。

 ナディは、かなりの年齢まで普通の職場で、苦労して まっとうに働く少女だった。
意外。
 男に騙されて以降、「一人で生きていく」決意を裏付けするため、銃の修行に励んだのだろうか。
逆に、あのマトモに働いていた期間の方が、彼女の硝煙にまみれた人生では例外的?

 軽い、マリアッチの男。
内面まで ほぼ見た目通り、だったのが残念。
 ナディを傷つけた過去の出来事に、実は複雑な裏事情があった、とか。
今回も、彼の行動が全てナディを思う気持ちから出ている…ように見えながら、そうでないようにも感じさせ、真相を視聴者の解釈に任せるなど、意味ありげにする方法は色々あったと思うが。
 「彼の人格に幅を持たせる」より、「ナディの、そして彼女を想うエリスの気持ちを描き込む」事を優先したものかな。

 しかし、ラストでエリスが見せる涙は、彼女が これまでの経緯や街で起きた事態の推移を定かには認識できていない様子から、ナディの心の深いところまで理解してのもの…かどうか疑問な部分も。
泣きたい相方の気持ちだけを敏感に感じ取り、代わって、あるいは先に立って安心させるように泣いてあげたものか。
 何にせよ、彼女の存在は、「非情なプロフェッショナル」を気取りながら「少女っぽさ」が抜けないナディにとって、大きな慰めなんだろう。


2007年5月7日 月曜日

『アイドルマスター XENOGLOSSIA』05.「冷たい手、温かい手」

 アイドルとして残れるかどうかの試験を前に、頑張る雪歩と仲間達。
 かなり努力した、と思えるストーリーになっていたし、奮起を促す春香の「お言葉」だってあった訳で、てっきり合格すると思っていたため、結果は意外。
 「シンクロ率」なんかが関係するロボ操縦システムではないようなのに、起動もしない場合があるのは不思議。
少女達が信じている通り、ロボット達には意志があり、操縦者を見て・感じている、だから不的確と断じた相手の操作は受け付けない、という事なのか。
 しかし、春香・伊織のような「メカは友達」組はともかく、「任務を遂行する道具」と考えているらしい真も起動できているのが、分からない。
まあ、彼女も真意は違うのかも知れないが。

 パイロットとして失格しても、バックアップ役として基地に残れさえすれば、活躍を見せることは出来ようし、ピンチに陥った状況下で渾身の力により奇跡の起動を果たし友を助け出す展開だって、あり得るかな。
 ラスト近く、謎のメール?を受け取り、夜半に外へと出て行く雪歩の姿からすると、敵側のアイドルマスターへと寝返る?
 でも、「アイドル・オーディションかと思えば、実は紛らわしい名前の、巨大ロボット操縦者を決めるコンテストで、流されるまま重要な任務に就いて戦うことになるヒロイン」というコミカルなスタートだったのだし、あんまりシリアスな話になるのも辛そう。

 …そういえば、隕石を破壊し、地上を護るのが任務のアイドルマスターに敵対する組織って、何が狙いなんだっけ?
「抵抗を止めて運命(隕石)を受け入れ、人類は滅びるべき」とか考える狂信的人間の・もしくは異星人の組織?
迎撃失敗を理由に、日本の国際的信用を失墜させようとする外国特務機関とか。
現組織が非効率的で無能だとして、迎撃「仕事」を奪取しようと目論む、民間会社だったり(モンデンキントって、国家機関だよね)。

 デコの伊織が、実に分かり易く扱いやすい、ツンデレというより おバカさんキャラで、楽しい。
この子の魅力だけでも、シリーズを追いかけて行けるぐらい。
 春香が意外と何でも受け入れてしまう(人付き合いが上手い)キャラのため、伊織と張り合う役割は、OPで描かれている通り やよいが果たす事になるのかな。



 WOWOWで放送された映画『パニック・フライト』を見る。
 監督は『エルム街の悪夢』『スクリーム』のウェス・クレイヴン。

 クレイヴン監督は、かなり出来不出来の激しい監督なので、この映画はどちらかと思いつつ見たが…
ああ、これはまずまず、面白い。
 飛行機内、しかもほとんどシートに座ったままという閉塞した空間を上手く使い、サスペンスを盛り上げる手腕は、さすが。
 困難な状況に追い込まれたヒロインと、悪党の、知恵を尽くした戦い(というほどでもないけど、それなり)に、引き込まれる。

 そのままキレイに収束させれば、上品な・良くできた映画、という評価をもらえたと思うが、後半、閉鎖環境は一気に開放され、しかも監督の悪い(良い?)クセである「やり過ぎ」が見えてくる。
 犯人、痛々しいほどボコボコにされ過ぎ(笑)。
『エルム街』も『スクリーム』もそうだけど、本当、悪人には容赦がないというか。
 敵が「驚異的な体力と精神力」を持っているから話になっているが、普通なら、最初の一撃で話は終わってしまいそう。
自分がこの映画の悪人であったら、もう任務とか どうでもいいから、とにかく病院へ駆け込みたくなるだろう。

 特に後半、まっとうなサスペンスから「クレイヴン風ギャグ満載映画」に なってしまうけど…個人的には、恐怖と、紙一重の馬鹿馬鹿しいお笑いを並立させる監督の作品傾向が好きなので、十分に楽しめた。
拾いモノ。


2007年5月6日 日曜日

『天元突破グレンラガン』06.「てめら全員湯あたりしやがれ!!」

 温泉話…とはいっても、テレ東規制の前では過剰な演出が出来ず、宿を『千と千尋』にしたり、温泉ガールズをGAINAX娘達で固めたり、といった方向でサービスしてあった。
 好き放題が出来ないストレスをストーリーで昇華しようというのか、いつにも増して暴走した話で、「温泉を台無しにされた」ヨーコの怒りに乗せ、理屈もヘッタクレもなく敵をブッ飛ばしていく。

 パワーに任せた爽快感のある話…だったんだけど、裏腹にアニメの制作状況としては自由が許されないぐらい厳しいらしく、余り意味がない回想シーンを、延々と流すことに。
 今回ラストで出てくるライバルっぽい獣人キャラを回想してくれたのは、カミナじゃないけど印象に薄くなりつつあったせいもあり、有り難かったが。
 ソフト化の際、本来あるべきだった女風呂の場面や、お下品ギャグ満載の形に戻す、というなら、商品としての売りはググッと強くなるかな。



『THE SKULLMAN』02.「過去からきた男」

 今回は、スカルマンが(少なくとも「スカルマン」としては)姿を現さない、地味な話。
 捜査を重ね、次第に謎の実体へと近づいていく物語として、面白く見られるんだけど…
登場キャラクターが多く、まだ動線も錯綜しているため、顔を見せてくれればともかく、会話上で名前を出すだけで語られると、誰だったか よく分からなくなる事が。

 言葉遣いにまで気を配ってあり、今時言わない単語を使ってあるのが、逆に新鮮。
「オタンコナス」なんて、ギャグとして故意にでもなければ、もう使わないでしょ。
 「あんたと『バレた』後」というセリフ、「別れた」というような意味だと、若い衆に分かるのかなあ?
ここは、別に分からなくても構わないところだけど。
 やりすぎると、不自然になったり分かり辛くなるので、調整が必要。



 WOWOWで放送された映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を、今更ながら見る。
 ジム・ジャームッシュ監督作品。
 映画好きから高い評価を得ていることは知っていたが、どうも苦手っぽい雰囲気があったため、敬遠していたもの。

 これは凄い。
こんなに何も起こらない映画も、珍しい。
 ダメ男二人と、十六歳の従妹少女が過ごす日常を、淡々と…車で遠出してみたり賭けでスッてみたり実はイベントがあるんだけど、印象としては本当に何の事件もなく、描いていく。
 男達の心境を描いたり、少女が彼らに抱く複雑な気持ちを見せたり、キャラクターだけでも色々出来たと思うが、触る程度で深入りしていない。

 しかし、モノクロで撮られた映像は美しく、真っ白で何も見えない湖を眺めているシーンなど、強く印象に残る。
 この内容で、しかし最後まで見せてしまうフィルムの力は大したモノだろう。
…と言いつつ、途中ちょっと寝てしまったが。
三十秒か一分程度だと思うんだけど、見ていて意識が飛んでしまった。
でもまあ、それで内容の理解に支障が出るとか、そういう事はないだろう(^ ^)。

 終盤、ようやく起きた事件に、これも「日常」で終わるのか、淡々と描いてきたからこそ活きる衝撃的なクライマックスを迎えるのか、と乗り出していれば…え?ここまで?
つんのめるような終わり方。

 うーん、ワンシーン・ワンカットで撮られているせいもあり、とにかく独特のフィルムなため、これが見る本人のリズムや美意識に合致した時「忘れられない一本」になるのも分からなくないけど、横になって見ていたら すぐ眠くなってしまうぐらい淡々としているので、エンターテイメント好きにはお勧めできない。
 見て損したとは思わないが、ジム・ジャームッシュ作品をドンドン追いかけていきたい、と思うほどでもなく。


2007年5月5日 土曜日

『アフロサムライ』04.「KUMA」05.「JUSTICE」

 一挙放送第二夜。最終話まで。
 マスクの下、ポーパーポーパーとダース・ベイダーのような呼吸音を響かせ、素顔は機械的改造が施されてロボコップみたいになっている、色々頂き物のクマ仮面侍に、笑ってしまう。
背負っているドラマはシリアスその物なんだけど…ギャップを狙ったものなのか。

 因縁の決着を付けるクマ侍バトルが壮絶だったためか、「一番」との戦いは、割合アッサリ。
 結局、あのハチマキに どういうパワーがあったのか分からないし。
ええと、「マクガフィン」とかいう奴?
 まあ、世界で一番強い奴になりたい、というのはバカな男がいつも見る夢みたいなモノだから、「今、俺様が世界一です」という事を表すだけで大きな意味があるのかな。
ガンマンはそこに、もうちょっと超越した何かを求めていたように思えるが。

 旅を賑やかにしていたニンジャニンジャの、意外な正体。
てっきり、コイツが実は現在のナンバーワン?とか考えていたが、もうちょっとヒネった、しかし最近ではこういう実体の方がスタンダードになっているのかも、と思えるモノだった。
 うーん、深いような、深い「フリ」をしているだけのような(^ ^)。
 最後の人間らしさを吹っ切る戦いかと思われたクマ侍戦が、ヘタすると未来永劫 続くものになりそうな所からして、ニンジャニンジャも別段ずっと一緒に旅をして構わなかったのでは。
この別れを「喪失」ではなく、「より強い自分への脱皮」と考えれば、目出度いことだったのか。

 1クール続くと、胃もたれしそうな濃い内容なので、5話構成は丁度良いぐらい。
 根性の入った演出と作画が見応えある、愉快なアニメだった。



『精霊の守り人』05.「秘策、青い手」

 一話目以降、感想を書いていなかったような。
 とても丁寧に、分かり易く、情熱を込めて作られている作品で、見応えがある。
 アクションの出来はテレビシリーズとは思えず、スピード感に溢れ、繰り出す体術に十分な体重が乗せられている事が見て取れる、高度なもの。

 最初は、もっと現実寄りの物語で、皇子が処刑されようとする経緯についても、宮廷内の権力争いに端を発する濡れ衣なのでは?と考えていたけど、そういえばこの作品のタイトルが「『精霊の』守り人」な訳で、そんなはずないのか。
 皇子に憑いたものが「水妖」という事で、呪術師・トロガイがその体の内を探るイメージとして「水」を用いる、ビジュアルの作り方が素晴らしい。
 少年漫画的パターンだと、皇子に憑いた水妖が危機に応じてパワーを発揮するようになり、旅を続ける大きな力になっていく…はずだけど、この作品だとどうなるんだろ?
卵が孵化するまでは、厄介者扱い?
戦闘力としてあるのではなく、国そのものの行方を占う力になっていくのか。

 バルサは強く、逞しく、(少年から見て)大きく、頼り甲斐があり、皇子はまだ幼く、しかし健気に逆境へと立ち向かい、男であろうとしている。
 登場キャラクターはそれぞれ個性的で、目標を持って生きており、不自然さや不快な所が無い。
皇子と関わりがあった追っ手・ジンが、受けた優しさに感謝しつつ、それを返す方法として「自らの手を汚して皇子を殺す」事しか選べない、この重さは腹に堪える。

 面白い。


2007年5月4日 金曜日

 WOWOWで放送された映画『サウンド・オブ・サンダー』を見る。
 『カプリコン1』『2010年…』の、というより、『タイムコップ』『エンド・オブ・デイズ』のピーター・ハイアムズ監督というべきか。

 制作途中で非常にモメた映画だというのは聞いており、これで評価されるスタッフは気の毒だと思うけど、仕事は仕事。
 B級、というよりC級ぐらいのSF作品を思わせる内容。
 「タイムマシンを開発した金儲け第一の企業」が、まず考えたことが「金持ちを相手にした恐竜ハンティング・ツアー」ってのは、合理的かなあ?
いくらでも過去に戻ったり、未来の結果や技術を確認したり出来る訳で、儲けるのは簡単な気がするけど。
 政府からの監視員が付いているとはいえ、だいぶ懐柔していたようだし、時間を自由に出来るなら どうとでもなりそう。

 ハンティングそのものも、実際の恐竜が相手だという特殊性以外、動ける範囲や撃てる対象が厳しく決められた不自由なもので、そうなるとテーマパークの作り物とドコが違うのか。
アニマトロニクスやバーチャル・リアリティーで狩りをした方が、よっぽど楽しそうな。
 まあ、恐竜ハンティングを前提に考えられている話なので、そこを否定しては何も始められないんだけど、せめてもうちょっと楽しそうに演出できなかったものか。

 CGは、『ジュラシック・パーク』以降の作品とも思えないぐらい安っぽく、せいぜいテレビスペシャル並。
 未来技術や都市の見せ方にも、リアリティーが無い。
 ピーター・ハイアムズ監督なら、と期待したくなるアクションも、酷く適当に撮られていて迫力など皆無。
 「時間の波が段階的に来て、次第に世界が変わっていく」というアイディアだけは、面白かったかな。
 しかしクライマックス、お姉ちゃんが、時間波により変貌した姿を見せるシーンの間抜けさに、爆笑。
狙ってやったギャグかどうかは知らないが。

 全体に安普請なため、お金を払ってまで見る価値は無いと思う。
 テレビで放送されたら、チープさを楽しんでみるのも一興か。



『AFRO SAMURAI』01.「REVENGE」02.「THE DREAM READER」03.「THE EMPTY SEVEN CLAN」

 米俳優サミュエル・L・ジャクソンが一枚噛んでいる、海外での放送を前提とした五話構成のアニメシリーズ。
WOWOWで、昨夜三話まで、今夜残りの二話が流される。
 彼が声優も務めているから、だろうけど、字幕での放送。
正直、英語の声だけじゃ演技が上手いもヘタも分からないもので、日本の声優さんに吹き替えて欲しかったなあ。
画面が凝っており、集中して見たいこともあって余計、字幕放送は嬉しくない。

 黒人のサムライが、父親の仇である「一番」のハチマキ(凄い価値があるらしい)を持つ相手を追って、自分を狙う者達と激闘を繰り広げつつ旅をする、というのが粗筋。
 時代設定は昔なのかと思えば、携帯電話やロケット砲が普通に出てくるし、ロボットまで登場。
文明が滅んだ跡の未来が舞台?というか、そこいらに整合性を持たせて意味がある作品じゃないな。

 濃い顔をしたキャラクター達が、ひたすら斬り合い撃ち合い殺し合う。
 そればっかりだと、画面は派手でも飽きそう…と思う頃に、主人公幼少時の出来事と現代まで続く因縁を語り、ドラマにしてみせる構成が、なかなか。
 アフロサムライのデータを基に、全てにおいて20パーセント増しの能力を持つアフロ・ドロイドを作り上げ、差し向けて来る敵。
…昔のアニメやら特撮物で、凄く良く見たパターン(笑)。
教えに従い、サムライとして開眼し、辛くも勝利を収めるアフロ…だけど、最終的にはドロイドがビームやら飛行能力やらヒキョーな能力を繰り出してきて、「当社比20パーセントオーバー」とかいう機能説明に意味が無くなってしまい、大笑い。

 監督が、『バジリスク』で鮮烈なアクション場面を見せてくれた木崎文智だけあって、パワーに溢れた剣劇が楽しい。
 今夜放送の完結編にも、期待。


2007年5月3日 木曜日

『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ』05.「信頼」

 「シンクロ率が高いから、それで全部オッケー」にせず、パイロット達が日々訓練に明け暮れている様子なのは、地道で結構。
国の運命が掛かってるのに子供らを学校なんか行かせてる余裕あるのか…というのはまあ、言うちゃならん「お約束」かな。
 楽しいキャンプ然とした行動は、しつこい暗殺者を片付けるための罠?
それにしても、貴重な本物のパイロットをオトリに使う意味はあるのかどうか。
同年代の忍者部隊に変装でもさせれば、事足りるのでは。
 上層部が、貴重らしいデータを現場に渡したがらなかったり、ロボット大戦で勝とうという気持ちがどれ程なんだか、疑問。
 隠された真相があるのか、単に穴の開いた物語なのか。

 真名は、忍者…特務部隊の出身だった。
幼い頃から厳しい戦闘訓練を受けてきたみたいだけど、それにしてはロボット上で、「闘志」みたいなものを見せた事がないような。
 生身で敵兵士に攻撃を加える…殺す?事については、剥き出しの戦意を見せていたのに。
ロボット戦闘は勝手が違う、という事なのか。

 真名と中国人パイロット二人は、体術も優れている。
 彼女達に対比し、思い出として写真に拘る行動で、「普通人」としての主人公を描いているのだろうが…
またも直接に自分の命が狙われ、敵兵士とはいえ、目の前で何人もが殺された(と思う。峰打ちばかりする余裕は無いだろう)事について、彼はどう捉えている?
 どうも、「普通の男の子」というより、「感情の動きが酷くズレている」あるいは「物語の都合に合わせているだけで感情が無い」ように見えてしまう。
 ボクは嫌だイヤだ ばっかり言われるのも鬱陶しいけれど、もう少し主人公を魅力的に見せる物語作りを心懸けて良いかと。

 真名の友人(?)が漏らす「楽じゃない任務だな、真名」という言葉の意味は、そのまま「暗殺者に狙われ、その囮ともならねばならない過酷な任務」を言ったものか、「鍛えられた体術とは関わりないロボット操縦任務」の事か、それとも「ヘラヘラしてまるで状況への自覚無く、隠密部隊を記念撮影さえしようとする極楽トンボな主人公を護る真名の任務(その陰で押し隠さねばならない彼への好意も含め?)」かな。

 文句は言いつつ、シリーズ開幕当初より見易く、面白くなっているような気がする。



『エル・カザド』05.「着る女」

 実にこう、ゆる〜く、緊張感とか迫力とか そういうものとは無縁だが、何故か心地良く見られてしまう話が続く。
 「凄腕の追っ手」など出てこず(陰に隠れ、居る事は居るようだけど)、ヒロインが何かしら人生に問題を抱えた人々と触れ合い、成り行きで問題を解決したりしなかったり、というのがメイン。

 今回も、寂れた村から賑やかな街へ どうしても出ていきたい少女の心情が、中心になっている。
 …可愛い女の子なのだから、男性相手に、捨て身のサービスを覚悟して同乗を求めれば、どうとでもしてくれそうなもの。
自身で運転できるなら、通りがかった人に交代での道行きを持ちかける、あるいは車強奪でも。
ロバだか何だかでさえ次の街まで行けるようだから、根性があれば、もうちょっと賑やかな所までなら、歩いてでも行けるのでは。
 「こんなつまらない村に、つまらない住人達と、いつまでも居る人間ではない特別な私」をアピールしたいだけで、街に出ること自体は本当の目的ではない、とか?
街に出たい、という事が目標になっており、出て何をしたい、とは考えていないようだし。
 村のジイサンが、彼女も一度は出てみれば良い、と言いながら、自分が連れて行こうとも、ヒロインらに連れて行ってくれとも言わないのは、街に行った彼女が持ち帰るだろう「答え」をよく知っているからか。

 この辺を突き詰めると、『キノの旅』みたいな寓意的物語になったと思うけど、そこまで徹底していない所が、緩い。
でも、気負わず弛緩して見られるから、それはそれで。

 ヒロイン達、次々に車を乗り換えていくのかなあ。
今回の車はお洒落服付きだったし、段々と豪華な車になっていく?
 それにしても洋服売りの男、ヒロインらの車にはタイヤに何発か銃弾を喰らわせておいて、自分の車で逃げれば良かったのに。
専業の賞金稼ぎでもないみたいだから、計画性の無さは仕方ないか。
 彼が転落して死んだかと思わせ、実は生きてます、という終わり方は ゆるく、でも負担無く見せるためのポイント。


2007年5月2日 水曜日

『ウエルベールの物語』04.「決意の章」

 『王子と乞食』…という訳ではないけれど、身を隠すため潜り込んだ娼館で、危うく体を売らされそうになる王女。
 世間知らずにも程がある(^ ^)。
いっそ、一人ぐらい客を取らされた方が、世界最古の職業・娼婦の大変さを、文字通り体で理解できたろうに。
 しかし、考えてみれば政略結婚させられそうだった王女自身も、国家というエラく大きな代償を背負った「娼婦」として扱われた、と言えるのか。

 娼婦も、娼館の女主人でさえ荒んだ様子が無く、男達などより遙かに正しい心を持っている様子なのが、深い。
「戦いや、日々の生活で疲れた男達を、あたし達が慰めて・救ってやってるんだ」という職業的誇りを持っていて良いかも…だけど、視聴対象年齢を考えねばならず、全面的肯定も否定も極論になってしまう部分があり、描き方は難しい所。
 ストレートな描写は勿論 出てこないんだけど、それでも、「娼館」なんてものが登場するだけで、テレビ東京辺りの規制には引っ掛かるぐらいだろうし。

 中だるみを見せたら視聴を終えようかと思っていたが、毎回 趣向を変えたネタを入れてあり、飽きさせない。
 戦車爺や・ボルジュラックは、オーバーテクノロジー過ぎるかな。
隠密行のハズなのに、こんな物 連れて移動していたら、それだけで注目を浴びるはず。
また、追っ手を撃退するにも、鉄の装甲で覆われた戦車を突っ込ませれば それで事足りると思え、緊張感を削いでしまうし。
 戦車の存在理由が語られれば、違ってくる?



『キスダム -ENGAGE planet-』05.「深淵」

 うう〜ん、さすがに、この作画は酷い。
初登場の女の子達を、平然とガニ股の色気などカケラもないポーズで立たせてるし…それ以前に、円も直線もマトモには引けないようだが。
 作画に引き摺られてなのかどうなのか、脚本も演出も総崩れ。
疑問に思った部分が多過ぎ、いちいち突っ込んでいられないぐらい。

 「次回がどうなるのか分からない、破天荒な破綻ぶり」を面白く見てきたが、行き当たりばったりの物語なりに まとめようという姿勢が感じられるようになると、普通に「不出来なアニメ」だと思えてしまう。


2007年5月1日 火曜日

『sola』04.「ネガイフタリ」

 一話のラストからして、伝奇アクション的な色合いを濃くして行くものと思っていたが、予想に反してギャルゲー的 穏やかな日常が続く。
 今回なんて、真名の妹・こよりが、入院中にすっかり親しくなった蒼乃に、退院が決まったことを告げる、ただそれだけをエラく細やかな心情の描き方で追う、それだけの話だし。

 ヒロイン・茉莉の正体について、溜める事無くアッサリと語ってしまったのが意外。
やはり、要するにヴァンパイアだと考えて良いのかな。
 まだ、追っ手である男の素性や、彼が連れているヒラヒラ服少女との関係など、説明されていない事はあるけど、ヴァンパイア・ハンターかなあ、とか、その戦力となる少女なんだろうとか、おおよそ想像が付かなくはない。
 しかし、そういう彼に、狩りのため必死で標的を追っている様子が無く、少女と食事をしているシーンばかり描かれるため、緊張感はほぼ皆無。

 成り行きで主人公と同居する事になる、茉莉。
 普通は、女の子の方が迷惑を考えて家を出、主人公に連れ戻される事により関係を強化する段取りを踏むものだけど、何度も「もう出ていったのでは?」と思わせながら、実はそのまま家に居ました、という見せ方をするのが、新鮮といえば新鮮。
メリハリに欠けると言えば、そうも言える。
 主人公に好意を寄せているのだろう真名が、特に葛藤無く茉莉との同居を許すのは、不思議。
茉莉に性的アピールが欠けているからか、主人公を(その甲斐性の無さを)信じているからか、あるいは真名自身の頭がオクテに過ぎるのかも。

 真名と妹の関係が、「お姉ちゃん」とさえ言えないなど、どうもギクシャクしている事に意味はあるんだろうか。
血の繋がった姉妹ではない?それとも単に、妹は生まれつき そういう遠慮がちな性格でした、というだけ?

 丁寧に作ってあって、見続けるのに支障はないけれど、ちょっとパワー不足を感じてしまう。
 主人公がハンターに見つかった事で、物語の本筋が大きく動き始める事を期待したい。



『らき☆すた』04.「やる気の問題」

 監督交代が取り沙汰されている本作。
 しかしまあ、楽屋オチが多かったとはいえ今回は結構笑ってしまったし、ボチボチ波に乗ってきてるんじゃなかろうか。
つかさの『To Heart』類似ネタなんて、言うちゃならん事というかキャラにとっての最終兵器みたいなもので、こんな早い時点で普通に使われるとは思わなかった。



『スカルマン THE SKULL MAN』01.「仮面が踊る街」

 実写版だった先週放送分は、話数にカウントしなくて良いんだろう。
 気を取り直してスタートした本編は、『009-1』等の「石ノ森先生にそっくりな絵」でのアニメという訳ではないが、それなり以上に高品質な作画と演出で、なかなかの出来。

 現実とは違う歴史を辿った日本、という手の掛かる舞台設定を、ニュース映像や駅での剣呑な検問、右から左へ読むレトロな文字、自動販売機上に設けられた公的放送用のスピーカーまで用いて意味のある物にし、面白く見せていく手腕が見事。
ちょっと、『紅い眼鏡』や『人狼』など、押井 守世界に近い雰囲気。
 トップ屋とドジな女カメラマンが出会い、一緒に行動を始める基本構成は、懐かしいというか、もう一周回って逆に「新しい」ぐらい。
そのトップ屋が、実は政界に巨大な影響力を持つ大企業の関係者、という正体の明かし方も同じく。

 まだ物語が始まったばかりなので、どうこう言えず。
しかし、ダークな雰囲気には引き付けられる物がある。
 面白くなってくれる事を祈って、視聴継続。


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