ときどき日記 2008/01

2008年1月31日 木曜日

『俗・さよなら絶望先生』04.「路傍の絵師」「恥ずかしい本ばかり読んできました」「薄めの夏」

 最初のエピソード。
 パロディーとして描かれる地球侵略の様子。
降下してくる巨大な母船、地上に降り立つ人型巨大兵器、その圧倒的な攻撃力の前に呆気なく壊滅する防衛軍戦力、御都合主義も極まれりの地球人によるデタラメな対抗戦力登場、戦局を瞬時に逆転させる無茶苦茶な超兵器(人面決戦兵器?)パワー…
 凄くベタなネタだけれど、見ていてやたら楽しかったのは、パターン外しやらリアリティーに遠慮してか、最近こういうアホみたいな侵略物が滅多に見られなくなっているから。
 『エヴァ』劇場版からのイタダキアクションも、「パンツを見せるサービス」を主眼に馬鹿馬鹿しく見せると、また違った味わいがあるなあ。



『シゴフミ』04.「ナミダ」

 四話目まで来て、初めての良い話…というか、まあ普通なら第一話に持ってきそうな「シゴフミ」の価値が普通にある話。
 これまでは、ちょっと変則的な意味を持たせていたので。
 死んだ人間が、生前には伝えられなかった気持ちを手紙に書き、それを読んだ対象人物の心が救われる。
 素直な話すぎて、何か、物語中の大事な部分を見落としたように思えて仕方ない。

 直接的な描写にせず百合のドキドキを感じさせる演出は良く、新たな配達人少女も登場したけれど、もっとヒネくれた内容でないと、物足りなく感じてしまったり。
 前回引いた、フミカの内面に迫る話の続きは、また次回?
シゴフミ配達エピソードの合間に挟んで、少しずつ進めるのかな。


2008年1月29日 火曜日

『ARIA The ORIGINATION』04.「その 明日を目指すものたちは…」

 掲示板でも言われていたけれど、今期は、灯里の成長を描き、やがて辿り着く物語の最終到着点までの距離が、確かに短くなっていく様子を表していくのか。

 今回は、お馴染み仲良しトリオから離れた灯里が、別の場所に存在した、彼女らと似て非なる…少し先の未来とも言える?三人組に加わる。
 プリマを目指す勇気が挫けかけている少女、何度失敗しても立ち上がりプリマを目指す少女、二人とはまた別の「ゴンドラと共に生きる」道を元気に歩んでいこうとする少女。
それぞれ、外見が可愛いのは勿論として、なかなか魅力的に描けており、灯里が旧トリオを解散し、ここに加わって新たにカルテットを結成しても、物語は十分に成り立つだろう。

 同年代ぐらい?に見える少女らが、既に何度もプリマ試験を受けているらしい事からすると、灯里らはちょっと遅れ気味なのかな?
「凄く大事に育てられている」とも言えようか。
 三人組の中で飛び抜けて技量に優れている訳ではない灯里が、今回登場した三人に感心されるほど、優れた腕前を持っていた、という事は、トリオ揃って普通ならもうプリマになっていておかしくない段階にありそう。

 プリマになる事、だけが物語の目標ではあるまいが、大きな目標の一つに到る道筋がスッキリと見えてしまったようで、ちょっと寂しい。



『ゲゲゲの鬼太郎』42.「オベベ沼の妖怪かわうそ!」

 深夜枠の『墓場…』を見ているせいか、普通に正義感を持ち、ねずみ男とも「悪友」としてとても良い関係を築いている鬼太郎に、すっかり和んでしまう。
 こうして見ると、ねずみ男ってイイ奴だ。
深夜枠の酷すぎる人格とは、大違い。

 二人の和やかな旅、かわうそへの疑惑と彼の誇りを賭けた戦い、真犯人だった一目入道の犯行動機と優しいエピローグ、等々、三十分には詰め込み過ぎと思えるプロットだったが、見事な捌き方で、どれも不足無く仕上がっていた。
脚本の三条陸は、凄いなあ。


2008年1月28日 月曜日

 レンタルで、映画『大日本人』を見る。
 ダウンタウンの松本人志が、監督。

 かなり悪い評判を聞いていたため、警戒しつつ見たけど…
うーん、どう見るかで評価はまるっきり違ってくるだろう。
 「映画」としては、話らしい話が無いし、盛り上がらず、終わり方もヒネった末にポイと捨てたようなもので、面白いと言えるかどうか。
 「お笑い」を中心に見ても、爆笑できるようなネタは意外なほど少なく、物足りない。
 これは、『ごっつええ感じ』で時折挟まれたシュール系のコント、アレの尺をやたら長くして無駄にお金を掛けた物、として見るべきなんだろう。

 もうちょっと安っぽい物を想像していたので、CGの かなり本格的な出来に驚く。
獣の、よくここまで…と思わされるデザインや挙動の気持ち悪さと相まって、異様で巨大なモノ同士が見慣れた風景をバックに対峙する何とも言えない違和感を、上手く表現できていた。
 正統派ヒーロー物・怪獣物にするのも可能な技術の高さ。
この「無駄遣い」が、気持ち良い。

 全体を構成するインタビュー形式も、フツーであった前半から次第に逸脱し、無駄な部分に延々時間を掛けたり、主人公への態度が失礼さを増したりと、笑うほどではないが微妙に可笑しい。
 カメラワークは美しく、「インタビュー画面」とするとリアリティーが無いけれど、目には嬉しい。

 そういう、時間を掛けて積み上げてきた形式と、どういう終わり方をするのか、という観客の期待を、全部放り投げ台無しにして「オレの本職ってこうやろ?」とばかり開き直ってしまうクライマックス・エンディングが、凄い。
 凄いけど、コレは怒られる。
 怒られるだろうけど、ちょっと笑ってしまった。
「是非」とか。
 この衝撃度合いは、お金を払ってわざわざ劇場で見た観客の方が、より強く味わえただろう。
レンタルではショックが弱く、テレビ放送で見たら、なんて事もなく(長くてダルいコントの一本として処理され)見過ごされそう。

 個人的には見て損したと思わないが、他人様にはお勧めし辛い。
 ヨメに見せても、多分、途中で飽きてしまうだろうな。



『みなみけ〜おかわり〜』04.「片付けちゃっていいですか?」

 この後期シリーズで初めて、かなり大きな作画崩れが見られた回で、ちょっと辛い。
のんびり まったり愉快に見せるのが売りの作品だから、作画レベルは是非 維持して欲しいところ。

 内容としても…
町内清掃にクラスメートを巻き込んでバタバタ、という辺りはいつも通りなんだけど、新キャラであるメガネ少年を扱いかねているようで、彼が出てくる度にコミカルな雰囲気が停滞してしまう。
 彼に対し、三女が、真面目でまっとうな意見を言うに到り…うーん、青春モノ?中学生日記?という気分に。

 三姉妹の強烈なキャラクターで包み込んでしまえば、メガネ少年の「生真面目で要領が悪い」所も お笑いのポイントとして活かせると思うんだけど、そうしようという意図は無いのかな?
 「彼が出てくると、普通のドラマになってしまう」という事そのものを、作品のアクセントとして使う手もあるか。


2008年1月27日 日曜日

『仮面ライダーキバ』01.「運命・ウェイクアップ!」

 むーうー…
いや、いつものように、先に進むほど面白くなる作品なのだと思う。
数週間後には、どこかにハッキリと賞賛できる、早く次回を見たいと思わせる要素が現れてくるのだろうと。
 しかし、これは余りにも未整理な、「考えた事を出せるだけ出してみました」という第一話。

 こういう作品では、第一話で説明すべき・見せておくべき事柄が多すぎ、どうしても混乱しがち。
 だから、「これだけは見てください」「ここだけは面白いと思って見終えてください」という部分、つまり「一年を通し、このシリーズでは ここが一番見て欲しいところ、面白いところになっていきます」を示し、視聴者に受け入れてもらうことが重要になってくる。
それだけ出来ていれば、逆に他の何が不足していようが、第一話としては成功。

 今回見せられた内容は…
 話が進んでいけば「ああ、そういう事だったのか」「ここに繋がるのか」というものであり、後で見返す事により「シリーズの先行きを かなり遠くまで見通して作られた第一話」と思わせられるものなのかも知れないが…面白くなければ、視聴者を引き付けられなければ、最悪 第一話で視聴を終えられてしまう恐れがあり、意味無し。
 軸にするなら、やはり、「まるで冴えない、異常行動すら取るダメダメな主人公が、格好良いヒーローに変わる」という所だろう。
ライダーやモンスターの造形・アクション・必殺技のスタイリッシュさは、素晴らしい出来なのだし。

 過去と現在が入れ替わりつつ進む、独特の構成は「売り」なのだろうが、視聴者に負担を掛けてまで、第一話から見せなければならないものでは、ない。
 時間を入り乱れさせるのは次回以降から、にするとか、出すとしても もっと作中に占めるウェイトをずっと減す、あるいは誰かの回想という視点を入れ分かり易くする、モンスターが起こした事件の原因と結果を示し時間の流れに筋を通す(『電王』っぽい)、等々、いくらでも やりようはあったかと。

 せめて、主人公のキャラクターがガツンと強く描かれていれば良かったけれど。
 余程 貧乏なのか、他人様の魚の骨を集めまくる異常行動(魚屋とか、ゴミ捨て場を漁った方が効率良いような)は印象に残ったが、それとヴァイオリンは上手く結びつかず。
 「この世アレルギー」というのも唐突で無理な設定だが、『からくりサーカス』「ゾナハ病」だって最初は相当に無理を感じたし、展開次第で活かしようはあるかな…と思う間もなく、第一話で既に「アレルギーじゃないんじゃないか」という概念まで出すのは、無茶苦茶。
この設定を、どう捉えて欲しいのか。

 商品のコアになるのだろうキバットを、既に普通に存在している形式で出してしまったためインパクトが無く、その行動・言動が熱血でも厭世でも乱暴でも丁寧でも主人公を馬鹿扱いでも保護者気取りでもなく、キャラクターが薄い。
 こういう変なモノに、変な性格付けをしていくのが、脚本家氏は上手い人なんだけど…
これぐらいなら、『カブト』ゼクターのように、無人格(でもないか)にしてしまった方がスッキリしたような。
 主人公と関わる少女の方に、面白い部分を持って行かれてしまったのが拙かったか。

 例えば、この第一話の内容を「原稿の持ち込み」として編集部に持っていったなら、まず「それで、これは何が言いたい作品なの?」「君は、これのどこを一番面白いと思って描いたの?」と聞かれ、主人公のキャラクターである・ヒーローの格好良さだ・設定への凝りように自信あり、と答えたなら、「じゃあ、それをもっと活かす事を第一に考えて、あらゆる要素を整理・強調・排除しなさい」と言われるはず。
 いや、編集さんが番組スタッフよりエラいとかそういう話じゃなく、全体を客観的に見て判断するプロセスが必要、という事。
 考えた様々な事柄を要点まとめず ずらりと並べ、どこかに面白味を感じてください、という作り方は、一番マズい。
 「何を言いたい作品なのか、言葉で簡単に表現できるなら そもそも作品にしない」というのも真実だけど、余りにも漠然と作り始めると、面白くするのがとても難しくなる。

 ライダーの背中に凶器が飛来する、「コレで、次回、ライダーが大変な事になってしまうのでは、なんて誰も思わない」次回への引きが、何だか懐かしくて笑ってしまう。
 初回の出来が悪く、ツカミが弱いライダーなら、これまでにもあった。
 第一話で視聴者に負担を強いただけの事はある、あの始まり方でなければ後の盛り上がりは無かっただろう、と思わせてくれる尻上がりの面白さを、期待。



 うわー、映画『クローバーフィールド』、結構楽しみにしてたんだけど…こうなのか
 『ブレアウィッチ』を家のテレビで見て、時々視線を逸らしてもなお画面酔いで気分が悪くなってしまった身としては、大いに不安。
劇場の大画面で見ると、更に症状は悪くなりそうだし。
 酔い止めの薬でも飲んでおけば少しはマシ?(3Dゲーム酔いには効果があるとかないとか)


2008年1月26日 土曜日

『機動戦士ガンダム00』16.「トリニティ」

 ハッタリの効いた登場で、前機体よりも圧倒的に強いことをアピールしてみせる、新ガンダム三機の演出が楽しい。
 ただ、これだけ機体(操縦も?)能力差があると、既存四機が色あせてしまいそう。
 新機体に何らかの制約を設ける、もしくは旧マイスターズが奮起して操縦能力の向上を図る、等して、性能を並べていくのかな。
新しい武器を装備して強くなる、割と簡単な性能差解消法もあり?

 まるで知らされていなかった新機体・新マイスターの登場に、ボロボロの敗戦で打ちのめされたはずの旧マイスターズはどう対応する?という興味で、今回後半を楽しみに見たが…
ありゃ、総集編?
 ソレスタルビーイングの行動を監視する(拒否権を持つ)上部集団の存在が示され、新マイスターズ三兄妹のキャラクターが描かれたけれど、今 見たいのはそればかりではなく。
面白くなりそうな所だったので、ちょっと失速感。
 まあ、昨今のアニメ制作事情からして、「16話まで総集編が入らなかった」事を誉めるべきかも知れないが。

 三兄妹の性格付け、既出キャラのパターンと似通ってしまいそうで、不安。
既に、結構 色々なキャラクター・バリエーションを使っているからなあ。
 どうやって差別化を図り、魅力を付加していくか、制作者の腕の見せ所。

 しかし上部組織。
これだけ失敗続きのスメラギや、命令違反が甚だしい上パイロット能力にも疑問が残る刹那を罷免できないのでは、結局「別に力など無い」って事?
 アレルヤが、脳量子波の干渉によって正常な行動が失われる、という事を知っていて(知らないのかと思ってた)、別に手を打たないのも不思議。
脳量子波の研究は人革連が先んじているのだとしても、「ソレスタルビーイング驚異の科学力」があれば、どうにか出来そうなモノ。
せめて、ソーマの機体が出てきた際には全力で逃げ出すよう指示するとか、パイロットに異常があれば自動操縦・撤退モードに強制移行させるとか、何らかの対策を講じたらどうか。



『CLANNAD』15.「困った問題」

 主人公達の会話をブチ切り、突然に世界観を違えた「魔法少女変身中」みたいなキラキラ(ヨロヨロ)回転登場を果たす風子に、驚く。
 彼女のエピソードは終わったというのに、何度も出てくるなあ。
 幻ではなく、きっちり この世界に実在しているのか。

 こういう形式を取った作品で、風子のように姿を消す切っ掛けを与えられた訳ではないため、仕方なくはあろうが、前回までメインで描かれていた ことみが、すっかり存在感のない「その他」キャラに。
ここに突っ込んじゃいけないとは分かっていつつ、何だかちょっと可哀想。
 今回は、誰、といって中心ヒロインを決めず、全員横並びで描写されたような印象(部の命運を背負った渚が目立っていたが)。

 昇格を賭けて演劇部と対立することになる部の美少女三人とか、そういえば居たなあ、の図書資料室のヌシ少女など、魅力を描いていけば新たにヒロインズの一角を占められそうな女の子達が画面に。
いや、そこまで主人公争奪レースを混沌とはさせないんだろうけど。
 友人のため汚れ役も引き受けようと、渚宛てに脅迫状を出してくる少女など、少々マイナスの印象を与えるイベントからスタートしているせいもあり、内面描写により評価をプラスに持っていけば、メインヒロイン達に負けない輝きを放てそう。


2008年1月25日 金曜日

『H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-』04.「はまじ」

 水着のサービス話。
作画としては、悪くないけれど感心するほどでもなく、ちょっと残念。
 村八分娘・はやみがほとんど絡まないと、フツーの萌えハーレムアニメだなあ。
ここまで主人公がモテる理由もないと思うんだけど、まあそれは「お約束」という事か。

 そういえば居なかった「主人公を殊更に敵視し、暴行を加えてくるヒロイン」が参入。
彼女の意識を変えていくフラグは今回既に立てられており、この後どうとでも出来そう。
 彼女が拘る はまじが、実は…という辺り。
普段は まるっきり女性として描かれている(水着の胸もある)し、声にも行動にも男だと思える要因が無く、かなり無理のある正体。
 こういうキャラは意外と人気を取ったりするので、女性陣のラインナップに加えておこう、という事か。

 この作品の骨格は、これぐらいの気楽なエピソードを支えるべく構築されている物。
 「酷いイジメにあっている少女」を描くには、脆いと思える。
…この少女の存在だけが、他の萌え作品とこのアニメを差別化しているんだけど。



 レンタルで映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ歌うケツだけ爆弾!』を見る。
 シリーズ通算15作目で、監督がムトウユージに替わっての劇場版三作目。

 タイトルに「歌う」とある事から、今作の大きな売りなのだろうが、ミュージカル・シーンが何度もあり、それぞれ長いのに特に意味はなく、ダレる。
 踊りの作画としては、頑張っている所もあるんだけど、アニメでのミュージカルは全ての要素が揃って高いレベルにないと面白いとは思ってもらい辛いため、「これに全てを賭ける」ぐらいの制作姿勢でない限り、やらない方が良いかと。

 爆弾がもたらす危機と、その対策について、敵の機関の方が正論を述べており、野原一家・しんのすけに余りにも公の理が無く、見ていて複雑な気持ちに。
 コミカルさや画面のアイディアが薄い逃亡シーンが延々続くのも、子供ならまず飽きてしまうと思えて、良くない。
 敵勢力を二つも出したが、その一方、歌劇団の方は、削ってしまっても物語が成り立つぐらいの意味しか持っていない。
 「顔」を持つキャラを作りすぎ、散漫な印象。
どのキャラも、彫り込めばそれなりに面白くなりそうではあったけれど、時間は足りないのだから、最初から整理した方が。

 テーマであろう「家族愛」については、良く描けていると思う…劇場版であれば、構えてテーマにせずとも毎回描いている概念ではあるが。
 犬を飼っているので、シロの健気さには泣く。
ウチの駄犬じゃ、こんなこと絶対無いなあ。
 家族のため強くなる父ちゃんと母ちゃんも格好良かったが、紳士的・知性派であると見せて、柄が悪く乱暴な側面も見せる機関リーダーは、なかなか魅力的な造形。
実際、彼の非情さがなければ地球はどうなっていたか分からず、酷い目に遭わされるばかりなのが ちょっと可哀想(ロクデナシだとは思うけど)。

 ムトウユージ監督作品では、これが一番まとまり良く、キレイに閉じていると思う。
が、『3分ポッキリ』の無軌道な夢の楽しさや、『踊れ!アミーゴ!』の子供ならトラウマになりそうなホラー描写のように、「突き抜けて凄い」所が無く、物足りなく感じるのも事実。
 「ミュージカルのパワー」を柱にしたかったかも知れないけれど、前述のように かえって作品のテンポを悪くし、マイナスの効果さえ上げているからなあ。

 取りあえず次回作に期待…次は、監督が初期劇場版の本郷みつるに戻るのか。


2008年1月24日 木曜日

『シゴフミ』03.「トモダチ」

 「特に理由が無く行動した」、というのは、作劇上かなり扱いが難しい「理由」。
 確かに、ある意味リアルではあるんだけど、これが無制限に許されると「特に理由無く恋した」「特に理由無く別れた」「特に理由無く殺した」…等々、物語の作り方が楽になりすぎてしまう恐れもあるから。

 という前提の上で、「理由が、他者はおろか本人にも定かではない自殺」を描き出していく今回の話は、なかなか面白く、また「分からないでもない」と感じられた。
 確固たる理由がある場合を除き、自殺する人としない人の差はほとんど無い、本当に、あと一歩を踏み出してしまうかどうか、跳んでしまえるかどうか、ではないかと考えているので。
 こんなデリケートな、複雑すぎて 取り留めが無くなってしまいそうな所に触れてくるアニメを作るとは、チャレンジャーだなあ。
 「イジメの果ての自殺」とかいう分かり易いものではないため、どうしても「分かる人には分かる」になり、共感できなかった人には価値のない話にもなりかねず。


2008年1月23日 水曜日

 明後日、25日に、単行本「MAMAMA」が発売になります。
 出版不況の折、本を出して頂けるのは大変有り難いことなのですが、それだけならまあ、いつもの事。
 今回違うのは、初版のみ限定でドラマCDが付いている事、です。

 以前出した単行本『HA-HA』の内容を、ライターさんにシナリオの形で起こして頂き、それにぼくが「個人の趣味」で かなり徹底して手を入れました。
えっち漫画で読んだ事はあっても、実際に聞いた事はなく、聞いてみたかった…でしょうセリフを目一杯入れたつもりです。

 録音にも立ち会いました。
 いやー、声優さんは凄いですね。
 「一般的とは言えないドラマ(母子相姦物)」だというのに、嫌がる様子も照れも躊躇いもなく、全力で演じて下さるのに、感動。
 声優さん選びの段階で、「こういうのはやれない」と断る方も、当然ながらいらっしゃいましたので、プロとしてのお仕事ぶりに余計胸を打たれました。

 素人のぼくには「良いんじゃないかなあ」と思えるテイクに、録音監督が何度も演技指導をして、それに声優さんが何度でも応え、回を重ねる毎に「確かに良くなってる」と感じられたのも、凄い体験でした。
 漫画で、編集部から直しの指示が出ると「えーっ」とか文句を(聞こえないように)言う自分の甘えた姿勢を、反省。

 例えば声優さんが「それ違うよ」と読んだのに対し、監督が「それ『は』違うよ、だね。『は』を飛ばした、もう一回」と指導するのに、驚きました。
いやいや、倉本聰やらそんなエラい人のドラマじゃありませんから、「は」を入れるかどうかなんて大した問題じゃないでしょう…と思ったのですが、真剣な お仕事中に、「もっといい加減でイイです」とか言えるはずもなく。
 逆に考えれば、セリフの一言一言って、こんなにも大事な物なんだなあ、と。
これからはもっとよく考えて、CDになる予定があろうが無かろうが、演じて頂くだけの価値をもったセリフを書かなければイケナイ、と思いました。

 数時間にわたる長丁場の録音を、全く疲れた様子もなく最後まで声を張って乗り切る声優さんの体力に、ただ感心。
…録音室で ぼんやり座って聞いていただけの ぼくとヨメが、迫力にも押されて段々グッタリしてしまったのとは大違い。
 また、声だけで感情や演技を表すのは勿論、場の「空気」のようなものまで表現するのには、驚かされるばかり。
「ベッドに座った声」なんて、溜息のような声だけなのに、何も無いスタジオにベッドと、座った際スプリングで僅かに体が弾む様子まで感じ取れましたよ、本当の話。
 声優さんって凄い、と思ってきましたが、実際間近で見ると、考えていたよりずっと凄い!
ポッと出のアイドルや お笑いは当然として、いくらベテランの俳優さんでも、「声優」としての勉強や修練を積んでいない限り、いきなりプロ声優並みの表現をするのは無理、もう圧倒的に無理です。

 持ちうる限りの愛情と情熱(ぼくなどのCDに対して、でさえも)と技術で、作品をより完全に近付けてくれようとする「声優」という職業に、もっと敬意をもって接するべきでしょう。
 あ、CDとは関係ない話になってますね。

 こういうジャンルに興味がある方もない方も気持ち悪くてイヤな方も、是非是非お聞き下さい。
いくらかでも趣味の合う方には必ずやご満足頂ける内容かと思いますし、まるで関心の無い方もお聞き頂ければ「うわー、世の中にはこんな歪んだ事考えてる人が居るんだ」って事で世界を広げるお役に立つでしょうし、声優さんによるプロのお仕事を純粋に楽しむだけでも、一聴の価値はあるかと。
 売り上げが良ければ、またこういう酔狂なCD企画が(ぼくの作品に限らず)通る可能性もありますので、一つ、よろしくお願い致します。

 こちらで、CDの内容から切り出してきたサンプルボイスが聞けます。



 書き忘れていたけど、映画『ボーン・アルティメイタム』を見る。
 大ヒットシリーズの完結編。

 これまでの二作に並び、順当に面白い。
 アクションや、敵の裏を掻く方法について、なるべくパターンを避け、主人公の無茶苦茶 優秀な知力体力を前提に、驚くような やり方で見せていってくれるのが、シリーズの大きな魅力。
今回は、少々お馬鹿さんな行動を取り自業自得のピンチも招くけれど、一匹狼の気楽さ、責任は一人で負って一人で解決するため、ストレスにならない。

 物語としては、二作目で主人公にとって とても大事なものを無くしており、その怒りが上手く三作目まで引けていないように思えることで、連続性としてはちょっと弱い。
 「俺は何者か」という疑問への回答、が今作にあったけれど、驚くようなものでもなく。
もっとも、「軍が作り上げた人造生命体」とかSFなことを言われても、困るが。

 現代の『007』として、まだまだ作り続けられるのでは。
ただ、「世界に対し、悪行をなす者達とボーンが戦う」という筋にすると、途端に今日的な雰囲気は失われてしまいそう。


2008年1月22日 火曜日

『ヤッターマン』02.「ナニワのたこ焼王決定だコロン!」

 CSで再放送中のオリジナルシリーズを ちょっと見たけれど、その中に今回の話が混じっていても、まず気が付かないと思う。
 どこが良くなっているという事も無い代わり、悪くなっている部分も無く、旧作の「だらけた話」そのまんま。
…新作の絵は、旧作より随分マトモになっているが。

 せっかく現代に作り直すのだから、何かしら「今」を感じさせる要素を入れ、リニューアルするものではないか…と思っていたが、「旧作のファンだったお父さんお母さんが、子供と一緒に ご飯を食べながら見る」事を前提に考えると、ヘタにいじらず そのまんまの方が良いのかな。
 普通程度な思い入れの『ヤッターマン』だから改変を望んでもみるけど、『宇宙戦艦ヤマト』とか『ルパン三世ファーストシリーズ』を作り直そう、という企画が持ち上がった場合には自分でも、「とにかく余計なことを考えず、間違っても新機軸など打ち出さずに、旧作のテイストを出来るだけそのまま受け継ぎ、作画だけ頑張ってくれればそれで良い」と言うだろう(余程優秀なスタッフが付いている場合を除き)。


2008年1月21日 月曜日

 映画『28週後...』を見る。
 人が居なくなったイギリスの町並みが印象的に撮れており、ゾンビ映画(厳密にはゾンビじゃない?)としてなかなか面白かった、『28日後...』の続編。

 後半、ちょっと代わった展開を迎えた前作に比べ、今作は割と忠実にゾンビ物のパターンを踏襲している。
 といっても「ありふれた話」にならず、こうなったからには次はこう来るはず、というこちらの予想を裏切り続け、しかし破綻させない構成能力に感心。

 一つの家族を中心に据え、日常であれば十分「幸せな一家」で過ごせただろうに、恐ろしい事態に見舞われ、引き裂かれていく様子の描写が見事。
 お父ちゃん、可哀想だなあ。
ゾンビ映画のパターンとしては、冒頭のあの行動は間違ってない。
勇気が有れば何でも出来る世界じゃないので。
 ただ、ホラー映画ではまた、不道徳だったり非情な行動を取った人間は必ず罰を受けることになっており、イチかバチか賭けてみるなら、「愛」の方向だったろう。
 安全な位置から見ている観客だから、言えることだけど。

 全力疾走し、物凄いパワーで過剰な暴力を振るってくるゾンビ(凶暴化ウィルス感染患者)。
怖いことは怖いんだけど、やっぱりワビサビに欠けていると思え、モタモタと歩いてくるタイプが懐かしくなったり。
 そういう、テンポを悪くする描き方は、もう流行らないのかな。

 非人間性と人間性の対比が効いており、特に「お前、漢だなあ」と思わせてくれる場面では、ホラーだというのに ちょっと泣ける。
 この手の映画が好きな観客にとって、久々にズシリとした手応えのある、満足の度合いが高い作品ではなかろうか。



『仮面ライダー電王』最終49話.「クライマックスは続くよどこまでも」

 う、うーん…感想がまとまらない。
全否定も全肯定も出来る、呆れたとも感動したとも無茶苦茶だともキレイにまとめたとも言える最終話。
 恐らくは、作り手自身も まとめきれないまま、終わらせてしまったのだと思う。

 結局、イマジンとは何だったのか、デンライナーは誰が作り・何のために走らせていたのか、カイがイマジン達のボス然として振る舞っているのは何故か、ハナの設定が不可解…等々、疑問点やアラを上げればキリがなく。
様々考え合わせれば、サッパリ分からない、という事ではないにしても、相当に分かり辛いものであり、整理すればもっと平易に伝えられたのではないかと思える。
 時間テーマの宿命…という部分もあろうが、設定や物語の分かり辛さがネックとなり、単純に面白がって見ることを難しくしていた。

 せっかく感動的に分かれたキンタロス・ウラタロスが、クライマックスで何気なく現れてしまうのも、どうか。
一緒には居られなくとも、時間の壁を隔てても、心は共にあり戦っている、という事で良かったような。
 とは思いつつ、四人組の揃い踏みを喜び、全員が生き残ってしまう「締め」としては弱いエンディングを嬉しく思ってしまうのは、とにかくキャラクターの強力な魅力が故。
 この終わり方を褒められる一番の理由は、「大好きなコイツらがみんな生き残って良かったから」という物になると思う。

 キャラを活かすには、もっと単純な物語で構わなかったろう。
「悪の時間王に立ち向かう、消えかけた未来から派遣されたデンライナーと、王に反旗を翻すはぐれイマジン四人組」といった話に単純化して、分かり辛さを一切排し、キャラクターの魅力だけで勝負してくれた方が、感動は深くなったはず。
 そういうスッキリした話は戦隊シリーズでやっているため、差別化を図っている…のかな?

 時間の定め…というより「物語の都合」に圧迫され、存在を消されかけたイマジンズが、かなり強引な理由付けで のうのうと生き残ってしまったことを、「キャラクター側の勝利」と取ることも出来ると思う。
 物語に疑問を感じてきた視聴者としては、キャラの勝利を素直に喜びたい。

 「良く出来た作品」であったかどうかは分からないが、圧倒的に「好きな作品」。
 もっともっと、を望むのは簡単だけど、これだけ魅力的なキャラクターを作り上げてくれたスタッフに、感嘆し、感謝するべきだろう。
 一年間、楽しませて頂きました、ありがとうございました。


2008年1月20日 日曜日

 ダウンロード販売サイト・DMM様にて、特集ページを作って頂いております。

飛龍 乱特集

 書店販売に先駆け、新刊単行本「MAMAMA」をダウンロード販売中。
 こちらでは、声優さん達のお陰をもって素晴らしい出来になっているドラマCDが付かない、という所のみ残念ですが、当然ながらその分 値段は安くなっておりますので、お好みにより ご利用頂ければ、と思います。



『CLANNAD』14.「Theory of Everything」

 ことみエピソード、完結編…かな?
 家に閉じこもってしまった ことみのため、出来る限りの事をしてあげようとする主人公とヒロインズ。
優しい対応ばかりでなく、「アンタ、甘えるのもいい加減にしなさいよ!」といった厳しい言葉がつい出て来そうなものだけど、皆、驚くぐらい良い子達なんだなあ。
 主人公争奪レースの渦中では、迂闊な行動が命取りになるから…って部分もある?とか考えるのは汚い人間であるが故か。

 ことみの両親が、最期の瞬間、娘に宛てて残した手紙。
幼い娘のため分かり易く、しかし胸に残る、真理を表す短い言葉が染みる。
 現実の飛行機事故(9.11テロだっけな)に遭った旦那さんが、地上に残した奥さん宛てに記したメモで、「この後の人生について、君が下す選択の全てを、僕は支持する」というものがあった…と思う。
最期になるのに「再婚はしないで」と縛ってしまうことは出来ず、かといって「再婚しちゃえよ」と無責任にも言えない…自分がすぐ死んで奥さんには二度と会えない、という現実を受け入れることさえ困難な状況だろうし。
実際に残した言葉は、愛情と信頼に溢れた、これ以上は望みようのないものだったと思う。
 ああ、話が脱線してる。

 「世界中の人の手を経て、縫いぐるみが旅をする」というのは、現実にもニュースで聞いたことのある話(こちらかな?意図して旅をさせているHPだけど。他にも類似の話はある?)。
 世間に対して扉を閉ざしてしまった少女のため、見も知らない世界中の人々が、何の得もないのに手から手へと縫いぐるみを渡してくれ、やがて受け取るべき本人の元へと辿り着かせる奇跡。
このイメージは大変にキレイで、素晴らしい。
 非常に近い範囲で閉じていることが多い複数ヒロインの恋愛物で、パッと視点を切り替え、世界を見せようという閃きにも、感心。

 常々の頼りなさと、頼る相手を主人公しか持たない ことみの事情を考えれば、彼女を選択するエンディングしか無いように思える。
 しかし…アニメでは、違うんだろうなあ きっと。
「彼女の才能を最大限に生かすべく、海外へ留学」という展開など用意し、遠ざけてしまう片付け方はあるか。


2008年1月19日 土曜日

『機動戦士ガンダム00』15.「折れた翼」

 わざわざ危険な処理施設を含む地域を演習場に選び、三大国の巨大な戦力を集中しておき、そこにタイミング良くテロリストが破壊工作を仕掛ける…という並びから、戦術予報士ならずとも誰だって「罠」と気が付くだろう。
 なのに、どうも勝算のあった戦いとは思えず。
 マイスターズがここで「死ぬ」事により、大義が完成するはずだった?
それなら、せめてティエリアぐらいは躊躇無く自爆スイッチを押して欲しいところ(故障とかで自爆はしなくても良いから)。

 テロ行動の阻止だけが目的なら、以前あったのと逆に、衛星高度から地上を狙撃する、という事ではダメだったのかなあ。
 「負け戦」は好きなので、基本的にはとても楽しく見た話だけれど、もうちょっと工夫があると更に好み。
 スメラギの立てた二段三段構えの作戦が、相手の物量と損害を恐れず闇雲に突っ込んでくる勢いに負けて崩れ、次第に絶望的な状況へと追い込まれる…そこを段階を踏んで きっちり見せて欲しかった。
 大国にガンダム対策が進んでおり、「ヴァーチェの大出力攻撃で血路を開き、そこからとにかく逃げる」ぐらいのアバウトな考えじゃ通用しなくなっているのは、宇宙での苦戦からも分かっているはず。
 とはいえ、作戦アイディアを考えるのは大変かと思うけど。

 敵が入り乱れているのを利用し、どこかの陣営MSの認識コードと外装を偽装し、どさくさ紛れに逃げるとか。
ガンダムが周りの風景に同化したりしている、アレで見た目を誤魔化せないのかなあ…「変装」ではなく「光学迷彩」みたいな物なので無理?
 敵指揮官機を人質に逃げる。
ヒキョーだし、人的損耗を気にしていない戦況下では、無駄っぽい。
 いっそ、処理施設に逃げ込めば、迂闊な攻撃は出来なくなったはず!
…この作戦自体の目的を見失っているようにも思うけど。

 「ああっ!そんな手があったとは!さすがはソレスタルビーイング・スメラギ!」と感心させてくれれば完璧だったが、まあ今回は、「危機一髪の戦況を切り開いてくれる新しいガンダム登場」を演出したい話だったのだろうから、こちらの期待と違う展開になっても仕方ないか。
 ようやくマイスターズ四人のキャラクターが馴染んできたところなので、更に三人?新キャラが増えるのはキツい…かも。
新キャラを強烈に立て、彼女らと摺り合わせることで四人組の個性を更に彫り込んでいければ、理想なんだけど。



『AYAKASHI』02.「覚醒」

 不思議な少女が転校してきて、事件の背後にいるらしい勢力の影が見え、前回因縁を結んだ先輩は「なんでそこまで」と思うぐらい悪いことをして主人公を追い詰め、ついに主人公の超絶パワーが発動する。
 …とにかく基本に忠実。
こういう物語の、最もベーシックなパターンに乗せて作っている、と思える。

 主人公の内面がよく分からず、追い詰められていく過程や怒りが頂点に達する重要なシーンに、もう一つ、見ているこちら側の感情が乗せられなかったのは残念。
演出力の不足で、盛り上げ方が足りない、という部分も。
 今回のキモであろう、主人公の片腕が変容し、力を発動させる辺りには、もっと「やり過ぎ」ぐらいのハッタリが欲しい。
異様な形になったのは良いけど、そのままその手でフツーに相手を殴るとは思わず、ちょっと笑ってしまう。
 作画の弱さのせいか、手足があり得ない方向に曲がってしまった悪者の姿が、「グロテスク」とかいうより「変な絵」に見えて…

 「よくある話」は「王道」だとも言える訳で、それ自体は何も悪くないが、特に深夜枠で放送する場合、作品中の何を最大の魅力だと捉え、それをどう見せれば視聴者相手に最大の効果を発揮させられるか、の絞り込みが必要。
「何となく」では拙い。


2008年1月17日 木曜日

 締め切り前スケジュールに入ります。
 土曜日には復帰…の予定。


2008年1月15日 火曜日

『みなみけ〜おかわり〜』02.「味は代々受け継がれていくもの」

 とにかく作画の良い回で、キャラクターを難しいアングルで何気なく描いたり、はっとさせられる動きの演出があり、目の離せない三十分だった。
 ネタその物は、以前も出た「長女番長伝説」を引いており、通常のレベル、という所なんだけど。

 劇中で何気なく南家のお隣が引っ越していった…ように見えたが、三姉妹のリアクションも無く、何か意味があったのかどうか。
南家がウルサイもので、嫌になって引っ越した?



『ヤッターマン』01.「ヤッターマン 誕生だコロン!」

 「奇跡的な」というか「何で、今?」と思ってしまう復活を遂げた、懐かしのアニメ。
 そういえばこの作品は、タイムボカンシリーズでは珍しく、タイムマシンで時間を移動しない設定なんだっけ。
代わりに、同一時代にあるとは思えない無茶苦茶な国へ旅をしていたが。

 リメイクの内容は…
CS等での再放送でオリジナルを見ると、爆笑の連続、と言えるほどギャグが冴えている訳ではなく、新作も それと同じ程度には出来ている。
 ただ、作品が作られた「時代」というものがあって、三十年前ならそれで良くとも、今、わざわざ新しく作り直して「昔と変わらない」物にする意味があるかは、疑問。
これなら、旧作の画面をデジタルでキレイに処理し、そのまま再放送した方が良い。

 「ヤッターワンって何?」とか、「イキナリ出て来たドクロベーって何者?なんで三人組は言うこと聞いちゃってるの?」「メカの素?何それ?」といった疑問に全く応えておらず、「皆さん、お馴染みでしょう?」で済ませてしまうのは、どうだろう。
詳しい説明は次回以降なされるにしても、もう少し扱いようが。
 お約束で成り立っていたタイムボカンシリーズ放送時でも、新シリーズが始まった際、ここまで投げた描写にはなっていなかったと思う…いや、こんなものだっけ?
 旧作のファン、もう「分かってる」人だけを対象にしたアニメだ、というなら、OVAで ずっと面白い『タイムボカン王道復古』が既に作られている。

 細かいことを言わず、「再放送だ」と思って見れば、お年を召しても頑張る三悪の声は それだけで嬉しいし、ここから「旧作ファンに嬉しい お遊び」や新作ならではの展開も入れられなくはない。
 …どうも、感心しない内容に終わった『きらめきマン』が脳裏をよぎって不安だけど。
 とりあえず、視聴継続。


2008年1月14日 月曜日

『シゴフミ』02.「ロケット」

 前回ラスト、「衝撃の展開」を受けての後編。
 少女が凶行に及んだ動機付けも、事件の結末も、ある程度 物語に慣れた人間には意外性の薄い、予想の範囲内(ストーリーのフォーマット)に収まるもので、そこは物足りない。
 しかし、心情演出には非常に細かく神経が配られており、見応えのあるシーンが多々。

 フミカに斬りかかる明日奈。
払ったナイフの先から瞬間に消え去ったフミカを、見失ったものと考えて しばらく辺りを捜すが、本当にどこにも居ない、と知るや、自身の「正気」を疑う。
 翔太を刺した事からして幻ではないか、と思い振り向けば、そこには確かな死体が。
 「自分が、まだ狂ってはいない」事を、「狂った行為」の結果をもって確かめ、安心したような、諦めたような表情を見せる明日奈。
この正気と狂気の境目にある顔が、ゾクッとするぐらい良く描けていて、これだけで今回見た値打ちがあると思える程。

 父の刺殺を回想する際には全く変わらなかった表情が、翔太を思い出すと、痛みに歪む。
 普通、「私の何が悪いっていうの?あんな父親、死んで当然よ!翔太だって、秘密を守るには殺すしかないじゃない!」とかいう内心説明のセリフが入るものだけど、前述のような演出と作画で十分伝えられると踏んだのか、無し。
 言葉での説明が足りないため、警察の姿を見て明日奈が まず逃げようとする事とか、翔太のシゴフミを読んでロケットを打ち上げようとする行動について、問題なく理解できる人と、断絶して感じられる人が居るかも知れないな。

 シリーズ開幕のエピソードから、かなり虚しい後味を残すストーリー。
 それならそれで、もう一捻りあっても…とは思うが、蒼穹に吸い込まれていくロケットのイメージと、肩の荷を降ろしたように死を迎える明日奈の顔がとても良くて、うーん、「良い話だった」「面白かった」というのは違うと思うけど、見終えて心に何かが残る話ではあった。


2008年1月13日 日曜日

『CLANNAD』13.「思い出の庭を」

 こういう作品の主人公に、「記憶喪失」という設定が多いように思うのは、そうする事で、作品世界への知識がゼロの状態からスタートするプレイヤーと同じ視点に立たせられるのと、展開をドラマティックにし易いから、かな。

 両親の死を受け止めきれず、家中を探し回って「いい子になるから」と泣き続ける ことみの姿は、余りにも弱く、幼く、不憫で、ほろほろともらい泣き。
 これでもか!と迫り来る渾身の泣かせ演出で、大変結構でした。

 しかし、あの後はどうやって生きていったんだろう?
両親の残した遺産でお金には困らなかったとして、頭は良いが生活能力には欠けていると感じる彼女(しかも少女期から)に、食事や掃除・洗濯など無事こなせたのかどうか。
本を読んで、要領を吸収しさえすれば、さして難しくない?
 庭が荒れ放題だった事からして、家事を完璧には出来ていなかったみたい。
庭の放置は、辛い思い出に関わるところにだったので、触れたくなかった?
 いや、普通に誰かの世話になっていたのかな?


2008年1月12日 土曜日

『機動戦士ガンダム00』14.「決意の朝」

 今回は、大規模軍事演習のフリをしたガンダムチーム殲滅・捕獲作戦に向けての各キャラクターの動きを描く話だったので、特別 大きな出来事は無し。
 三大陣営がエース級のパイロットを投入して展開する作戦に向け、次第に盛り上がって行く空気が楽しい。
これを受け、次回は凄まじい展開が待っている…と期待。
 ガンダムに大きな損傷が出て、新機体を投入する?

 演習地域にテロの兆候があるから介入、と言っていたが、情報をリークしてテロリストを呼び込んだのは大国自身。
テロを予測させる情報自体が罠の可能性も。
 だったら、放って置いて(警告だけして)、現場での対テロの戦いは三大国に任せて良いのでは?
 テロが本当に起きるとすると、そこに介入しては、「大規模演習勢力との戦い」に加え、「その戦いの隙を突いてテロを行おうとする者との戦い」も展開せねばならず、しかも後者に失敗してはソレスタルビーイングの大義は消滅する。
 ずいぶんリスクの高い作戦かと。
それでも、全てをやり遂げてこそのソレスタルビーイング、か。

 世界中をヒョイヒョイと飛び回るエクシア。
さっきまでは日本、次はアザディスタンと。
 そうしてアザディスタンを再度訪れた目的は、刹那と姫様の恋愛フラグ強化?
刹那の内面に「どうしても今、あいつに会って言いたい事がある」というまでの気持ちの盛り上がりは無いと思うし、そこでの一言が姫様に後々大きな影響を与えていく、というほど意味のあるものとは考えにくく、本当に「二人の関係を進めたいシナリオの都合」。

 日本にも、何のため帰った?部屋なんか無駄だから、引き払った方が足も付きづらかろうに。
これも「沙慈と絡ませる都合」か。
 いや、実際は「都合」で構わないんだけど、もう少しだけ「こういう理由があっての行動か」と感じさせてくれれば…
 生身でもガンダムに乗っても、マイスターズの中で一番弱いんだし、休暇など関係なく ひたすらトレーニングしてれば良いのに。

 戦闘シーンが無かった代わり、女性キャラのサービスが多かったのは、商品として結構。
 スメラギは戦術予報士より、視聴者サービス要員としての能力が優れているなあ。



『H2O 〜FOOTPRINTS IN THE SAND〜』02.「はやみ」

 第一話ラストで、見えなかったはずの主人公の目が見えるようになる衝撃の(基本設定ブン投げの)展開を迎え、それを受ける第二話はどういう内容になるのか、と思えば…
「え?主人公って目が見えなかったんだっけ?」というぐらい、本人も周囲もフツーに過ごしている。

 これはどうだろ…
このぐらいの扱いなら、最初から主人公の盲目設定など無い方がマシ。
 後々、光を取り戻した「奇跡」に意味を持たせていくのかも知れないが、これほど大きなイベントをこの程度にしか演出できないようでは…

 案内される村の牧歌的な様子は悪くないし、高飛車お嬢様キャラかと思われた少女が せっせと畑仕事に励む割合と良い子だったりする、キャラの肉付けも良いんだけど。
 作画は崩れがちで、厳しい所あり。
 生徒ばかりでなく教師にまで黙殺され、ひたすらイジメられる少女・はやみの抱える事情に興味はあるが、「盲目」の扱いからすると、過度な期待厳禁?



『のらみみ』01.「居候の世界」「うたうコトリ」

 『ドラえもん』『オバケのQ太郎』『ど根性ガエル』等々に代表される、主人公である少年の傍らに ちょっと不思議なキャラクターが同居し、一緒に笑い、泣いて、共に成長していく作品。
 そういったキャラクターが余るほどいて、居候先を捜す会社がチェーン展開まで出来る世界。

 自分でも、「不思議キャラが山ほど居る設定はどうだろう」と考えたことはあったが、せいぜい読み切りのアイディアで、これを広げて連載のネタにし、しかも就職浪人キャラクターと斡旋所をメインに物語を構成する、なんて事は思いつきもせず。
 人外キャラが やたら多い、となると、『ドラえもん』的世界よりは『ポケモン』に近づくと思え、連続物にするなら、自分では「キャラ同士のバトル」で展開を考えるしか。
 この作品は、あくまで のんびり、ゆったり、ユーモアとペーソスを大事に進めていく…のかな?
原作未読だけど。

 「大人になっても、居候キャラと決別できない男性」を描く前半。
あの熊キャラに、「どんな夢でも叶えてくれる」ようなスーパーパワーは無さそうなので、要するに「彼女が出来ない」事の言い訳に「男同士、気心の知れた者だけで ずーっとつるんでいる方が楽しい」とする代償行為なのか。
 上手く「しずかちゃん」にパートナーの役割を引き継いでもらえなかったが故の、不幸。
 でも、やっぱり巨乳の彼女には負けてしまうのね。
何というか、こういう作品の触れてはいけないところに触れる話で、「コレを描いてしまったらもうお仕舞い」という気も。

 後半。
 一転してネタ方面は弱く、主人公である のらみみの内面を描く。
 うーん、のらみみへの感情移入度が低いせいか、ネタが薄いと不満。
ゲストキャラは可愛かったが。

 どうなっていく作品なのか興味があり、しばらく視聴継続。


2008年1月11日 金曜日

『墓場鬼太郎』01.「鬼太郎誕生」

 日曜朝にも『ゲゲゲの鬼太郎』を放送しているのに、いくら大元になった原作に忠実なアニメ化で、差別化が図られているとはいえ、『鬼太郎』には違いない物を週二本流して見てもらえるかなあ、と思っていたが…
 なるほど、これは全然違う。
 何が違うかといって、「嫌」さ加減が。

 原作は、読んだかも知れないけど よく憶えていないので、どれぐらい忠実なのか分からず。
 可愛らしさのカケラもなく、人間とは容易く相容れない「何か」を感じさせてくれる鬼太郎の描き方が、嫌だなあ。
 立派な人、とは言えないが、一応は鬼太郎を拾って育てる優しさを持っていたのだろうに、妙な好奇心から身を滅ぼす男が憐れ。
 鬼太郎も、養父を助けてやって良いのでは…ああなっては救えない?
その末路に一片の同情をも示すことなく、逆上した その母親も破滅(自滅?)させてしまう徹底ぶりが、不気味。

 ちょっとコミカルな味付けが成されているため、「ホラー」という意味では怖くないけれど、「人間は、理解不可能な物が怖い」事から、内面を明らかにしない鬼太郎は、十二分に怖い。
 これから、どういうエピソードを見せてくれるのか、期待。
 視聴継続。



 既刊単行本や、まだ単行本化されていない作品のダウンロード販売を、DMM様で行って頂いております。
 もう絶版になった物も読めますので、宜しければご利用下さい。


2008年1月10日 木曜日

 WOWOWで放送された映画『どうぶつの森』を見る。
 任天堂のゲームが原作。
ちょっとだけ遊んだ事あり。

 『クレヨンしんちゃん』映画なら、襲い来る巨大な敵とか大きなイベントを設定できるし、日常を描く『あたしンち』にしても、主役キャラクター達に強烈な個性があるため、それを入れ替えることで大きな物語を構成し、映画の長尺をもたせていた。
 これらと同様の手段は、「特に何も起こらない不思議だけど穏やかな日常」を遊ばせるゲームであり、主役である「自分」にキャラクターが無い『どうぶつの森』では使い辛いと思え、どうやって映画化するのか、不安に思いつつ見た。

 いや、割合と面白い。
 主人公を「村に越してきた頑張る女の子」に設定し、彼女と、ゲーム中にも登場した村のキャラクター達を絡ませることで、上手く物語を作り上げている。
 女の子が体験する、友情と、夢と、ファンタジックな出来事。
 ヒロインの内面年齢を、新入OLぐらいにする事で、ゲームの大きな顧客である女性層にもアピールしやすい内容になっていると思う。

 自分は、さほどゲームをやり込んでいないから普通に見る場面が多かったが、ヘビーユーザーのヨメなど、あちこちで大喜び。
 「このキャラはこんな事しない!」と言わせない、原作咀嚼力は大したもの。
 …どうせならヒロインに家の借金を背負わせて欲しかったんだけど、アニメでやると変に重くなっちゃうか(笑)。
子供を映画に連れてきたお父さんが、辛い現実を思い出すかも知れないし。

 村の四季は美しく捉えられ、作画も整っており、キャラクターは皆 可愛く、ビアンカの色っぽさに時折ドキッとさせられる。
 「見なければならない」映画であるはずはなく、「見ておいた方が良い」訳でもないが、何かの機会があって見てみれば、何となく爽やかな気分で見終えられると思う労作の佳作。


2008年1月9日 水曜日

 WOWOWで放送された映画『着信アリFinal』を見る。
 ホラーシリーズの第三弾…完結編なのかな?
 前二作は、それなりに楽しんで見ている。
 今回は、一つの学級内で次々生徒が殺されていくのと、死の着信を誰かに「転送」する事が出来る、という辺りが新味。

 ええと、三人目が殺されるぐらいまでは真面目に見ていたと思うけど、その後は ながら見。
 とにかく、まるで怖くないのに驚いてしまう。
ショック・シーンも、前二作からの…しかも大きくレベルダウンした焼き直しばかり。
前二作にしても、『リング』『呪怨』等からのイタダキが多かったのに、それより遙かに落ちるのでは…
 演出も悪ければカメラワークも酷く、ただ白塗りしただけの女の子をその辺に ぼーっと立たせておいて「怖がってください」と言われても無理な話。

 舞台を韓国にした意味がまるで無い。
生徒がホテルでバカバカ死んでいくのに韓国警察が介入してこない、というのは時間的都合に寄るものとしても、それなら泊まる場所を推理物でお馴染み「山奥のホテル、道路が土砂崩れで下の街と連絡が取れない(でも携帯着信はする)」とか「孤島の別荘」にでも設定すれば良いのに。
 韓国の観光ガイドになっている訳でも無し。
 「この方が韓国での映画公開の際、受けが良いだろう(二作目も台湾に行ってる)」という商売上の理由か。
しかし、必然性も何も無く、物語に無理をきたす形で自国を絡めてもらっても、韓国の人は喜べないでしょ?

 「死の転送」は思いつき以上の意味を持たず、割と大勢の生徒が緊張感無く生き残ってしまい、事態の解決法も疑問符ばかり浮かぶもので、イイ話っぽくまとめようという あざとさも感心できず。
 「バカ映画」なら そういう方向で楽しめるんだけど、何か突き抜けた所もなく。
 見所は、出てくる女の子達が可愛い事だけ。



『狼と香辛料』01.「狼と一張羅」

 土着の信仰のようなものとか儀式に、いかにもありそうなリアリティーと説得力があり、面白い。
 その儀式の場で主人公が土地を守る神様に出会う…という筋からは、雰囲気が民話っぽかったりファンタジーっぽくなりそうなものだけど、神様がネコ耳じゃなくてオオカミ耳・全裸の美少女だと、途端にライトノベル色全開。

 花魁風の喋り方が印象的な少女(実年齢は不詳)・ホロ。
 土地に豊作をもたらし続けていた…のは良いが、豊作を続けると土地が痩せてくる、だからといって不作にすると村人に咎められる、ここに居ても誰かと親しく交わることはない、というような理由で旅立ちを決意。
 なるほど、絶対的な力を持つ神様でもない限り、土地の疲弊までは回復させようがない。
 「ホロの力により村はずうっと豊作が続き、栄えたのでした」といった お伽噺ハッピーエンドの、その先、を描いているみたい。

 ホロの守りが無くなった村は、どうなるのかな?
豊作でなくなったこと、守護神が居なくなったらしいことの責任を、儀式により閉じこめられる対象になっていた少女が(勝手に抜け出したから)取らされる、という可能性も?
 少女の元を訪れた村人達の表情が不穏だったようだけど。

 作画は高品質。
 次回以降、主人公と商売をしながらの旅が どういうものになって行くのか…『キノの旅』風にも、バトル物にも、ホロの魅力一点突破の萌えにも、ここから何にだって出来ると思う。
 視聴継続。



『GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-』01.「二人の距離 兄妹」

 アニメの続きが作られる作品だとは思わなかったな。
それだけ、前作の人気があった、という事か。
 作画の雰囲気が随分と変わっての、続編。
といっても、随分(約四年)間が空いており、前作DVDのCMが挟まれなければ、デザインの違いなどロクに分かりはしなかったろうが。
 制作会社から何から、総入れ替えになっている様子。
 第一話から、絵に乱れが見られたのは、残念。

 原作未読。
 前作放送時、少女達の設定…過去を奪われ、命令に絶対服従、対人殺傷用のマシーンとして教育され、担当官への気持ちまで偽造され、そう長くはない寿命まで生きていく、という余りにも非人道的な設定に驚かされた記憶があるけど、四年は長い、今見ると さほど飛び抜けて悲惨な話でもないなあ、と。
 それは、今回の敵が悪辣テロリストで殺しても胸が痛まない連中だったからか、少女らの「悲惨」に触れられない内容だったからか、人(視聴者)は何にでも慣れる、という事か。
 この先、そういう視聴者にでも「うわー」を感じさせられる展開に出来ると思うが…今作は、どの辺りを狙いとして行くのかな。

 久しぶりの作品鑑賞だったもので、つい「どうしてわざわざ少女を選んで改造し、任務に就かせているのか」疑問に思ってしまう。
 多分、「何で戦闘機や戦車でなく、非合理的な巨大ロボットなんかで戦争してるの?」という疑問に対するものと、同じ答えなんだろう。
 しばらく視聴継続。


2008年1月8日 火曜日

『ARIA The ORIGINATION』01.「その やがて訪れる春の風に…」

 穏やか うららかヒーリング・アニメのテレビシリーズ第三弾。
 新シーズンの開幕だからといって、何が変わった訳でもなく。
ヒロイン三人組はウンディーネ見習いのまま、昇進しようとしないし、惑星アクアに環境破壊だの海面上昇が迫る事態など起きるはずもない。
居心地の良い「今」を保ち続ける所にこそ、価値がある作品だという事を、スタッフもよく分かっている。
 原作(未読)に変化がないため、変えようがないって部分も?

 ヒロイン三人の紹介と、彼女らが先輩に向ける視線、世界の基本設定を おさらいする、分かり易い第一話。
 先輩三人の優れた所を、アリシアは藍華が言葉を失うほど恥ずかしいセリフ(それを裏付ける運と技量も)で、晃はパワフルなアクションで、アテナは歌…かと思えば変さ加減でそれぞれ見せつけ、後輩の目標となるにふさわしい格の違いを示す。
 特にアテナが、船から落ちかけた乗客を助ける動作は上手く描けており、船の反動を使って体を引き起こすのが格好良くて、何度か見直したり。

 作画クオリティーは、これまで通り高い。
「心地良さ」を演出するのに、作画の美しさは絶対条件だと思え、最後までこのレベルを期待。
 何か大事な物を教えてくれているような、そうでもないような作品。
 好きなシリーズでありキャラクター達なので、またしばらく独特の雰囲気に浸かっていられるのが嬉しい。



『AYAKASHI』01.「はじまりの血」

 アニメキャラにこういう事を言うのはどうかと思いつつ…どピンクやら真っ青の髪の毛が周囲から浮いており、気になる。
他の生徒達が ほとんど黒や茶色というフツーの髪色をしているため、余計。
 それにしても、光の状態に応じ少しは色合いを変えてみるとか、もうちょっと不自然に見せないための努力は出来たかと。

 内容は、超能力(スタンド?)バトル物として、実に無難、というか何だか懐かしい気分にもさせられる物。
見ながら先が次々と予想できてしまい、それは決して裏切られない。
 悪く言えば「どこかで見たような…」ストーリーとキャラクターで構成されており、こういうパターンの作品をいくらか知っている視聴者なら、特に第一話は別段 見る必要がないぐらい。
 勿論それは「基本に忠実」という事でもあって、独自性を狙う余り意味不明な第一話にしてしまい、視聴者を置いてきぼりにするようなアニメと比べれば、ずっと堅実で見易い内容でもある。

 「応用」ばかりでなく、こうして「基本」をしっかりと伝える作品も、アニメ視聴者層が常に入れ替わっていることを考えれば、あるべき。
 ただ、ヒネた年寄りオタクは視聴対象に入っていないと思え、当然、視聴継続意欲は低め。
取りあえず三話目ぐらいまでは見て、判断したい。


2008年1月7日 月曜日

『世界名作劇場 ポルフィの長い旅』01.「父さんからの手紙」

 世界名作劇場、シリーズ復活後の第二作。
 タイトルさえ知らない原作のため、全く白紙の状態で鑑賞。

 とにかく、何も起きない第一話。
 主人公が、自分の無責任な行動のため迷子にしてしまった家畜を探し(簡単に見つかる)、母親と妹に謝る…事件と言っても これだけ。
 話らしい話が無いため、物足りないのは事実だけど、最初から色々と詰め込んだ事で「??」という部分が生じ、乗り切れなかった『コゼット』より、個人的には見易い。
 ごく基本的な設定については、しっかり理解できたかと思うし。

 物語が大きく動き出すのは、当分先になるのかな?
 「特にイベントが起こらない日常の生活を飽きさせずに見せる」演出力こそ、『世界名作劇場』スタッフには求められていると思う。
 今回は、初回だという事もあり退屈せず見たが、次回以降もこういう感じで しばらく進むのだとすると、色々工夫しなければ厳しくなってくる…かも知れない。
 後は、登場キャラクターの魅力をどのぐらい出せるか。

 望月智充監督の手腕に期待。



『みなみけ〜おかわり〜』01.「温泉、いただきます」

 スタッフを総入れ替えし、そのまま始まった続編…第二シーズン?
 冒頭の脱力ナレーションが無くなっているのが、まず違う。
割と好きだったので残して欲しかった気はするけど。

 キャラクターデザインも大きく変わっているのだが、声優さんが同じなので、少し見ていると慣れてしまい、特に差異を感じなくなってくる。
 内容としては…うーん、ギャグを しっかり「ギャグ」として演出している…かな?
しかし、これも余り大きな違いではなく、同一シリーズでの各話演出の個性による差、ぐらい。

 第一話に温泉話を持ってきて、テレ東系としてはギリギリ、というか よく許されたなあ、ぐらいのサービスシーンを設けて見せる商売の上手さが、無印との最大の違いか。
 さすがに、毎回サービスする訳にはいかないだろうが。

 好きな作品なので、新シーズンになってもクオリティーが落ちていない事を喜びたい。
 これまで通り、普通に、構えず見て、楽しめそう。



『シゴフミ』01.「コクハク」

 生者の元に、死者が書いた手紙を届ける仕事をしている、少女と生きた杖の物語。
 どことなく以前アニメ化された『しにがみのバラッド』に似ているような印象。
 手紙のあて先が「娘の恋人」となっていたため、それを受け取るべく、友達から恋人へ昇格しようと懸命に頑張る男の子、という持っていきようは面白いが、特に大きな独自性は無く、こんなものかな…

 と思えば、えええええええ!後半で作品に対する印象が ぐるりとひっくり返されるのに、驚く。
 考えてみれば、差出人は病死など自然死を遂げた訳ではないのだから、手紙の内容が「娘をよろしくお願いします」で終わるはずないのは当然。
 男の子と違い、特に理由が無ければ廃ビルの屋上になど上ってくるはずがない少女。
ビルの一室でフミカが見た幻。
この辺を考え合わせると、「こういう事があったのか」は分からないでもないけど…
 いや、しかし ほのぼのラブコメ的な雰囲気を、ここまで変えられてしまうとは思わず、一話が終わって口から出て来た言葉は「ええええええええ」ばかり。

 作画は高品質。
 霊的な存在ではなく、主人公のピザを全部食べてしまうなど、肉体性を持っているフミカ。
無表情・無感情気味な彼女の魅力を、『ナデシコ』ルリを作り上げた佐藤 竜雄監督らしく、上手く引き出している。

 まだ、次回の流れによっては感動に持っていく事は十分可能だと思う。
が、どうするのかな、誰も救われないダークな話にも出来るんだけど。
 ハッキリと引かれている伏線からは、もう一度シゴフミが書かれそう。
 とにかく早く続きが見たい気分で、視聴継続。


2008年1月6日 日曜日

『君が主で執事が俺で』01.「君が主で執事が俺で」

 執事ブームかぁ…
 メイドさんは、「家事一切から格闘までこなすスーパーメイド」と「役に立たないドジっ子メイド」という極端な二分化が見られる。
 執事は、男性キャラであるせいか「何にも出来ないけど可愛い」方向への展開は余り無く、「スーパー執事」が多い…ような気がする。
『ハヤテのごとく』他少々しか執事物 読んでないのに、総論を語るのもナニだけど。
 冒頭のエピソードで見る限り、主人公は完璧執事を目指し、成長を遂げていくのかな。

 主人公に逆境でも めげないパワーがあり、その姉に無駄な母性と包容力と意外な黒さがあって、楽しい。
 雇用側であるお嬢様達や、執事長・メイドもアクが強く、料理の仕方では面白くなりそう。
 地味な三女とかメイドらは、第一話で一度に出してしまわず、順を追って印象的なエピソードと共に見せていっても良かったと思うが、憶えるのが負担になるほどのキャラ数でなし、構わないか。

 ちょっと滑りがちではあったけど、連発されるギャグにより、楽しげな雰囲気は出せていた。
 路頭に迷っている男の子を執事に雇うのは『ハヤテのごとく』、傲慢そうなお嬢様との関係は『怪物王女』、元傭兵の執事長は『ケロロ軍曹』風……
独自性は薄く、どこかで見た物を集めたような話だったけれど、分かり易く、鑑賞が気楽。

 しばらく見続けようかと思うが、「このアニメは絶対に見逃せない」と思わせるほどの強烈さに欠けているので、今期の視聴本数が増大していった場合、視聴終了の検討対象になる可能性アリ。
 次回以降、しっかりと魅力が積み重ねられ、切ろうにも切れない作品になっていく事を期待したい。



『破天荒遊戯』01.「永遠のともしび」

 う、う〜ん…普通に言えば、とても褒められた内容じゃない。
 突然ポンと家から放り出されたヒロインが、行きずりの恐喝美形男に声を掛けて一緒に旅をすることになり、何だか幽霊退治の仕事を引き受けていて、ヒロインはイキナリ魔法なんか使い、説得力のない言葉を連ねて事態を解決し感動的っぽくまとめ、二人旅かと思えば三人旅でした、って訳で第一話終わり。
はあ?と思うだろうけど、本当にこんな内容なんだから仕方ない。
 後々補完していく予定があるのだとしても、不親切さは否めず。

 第一話で基本設定の説明をする気がない、というなら、三人組が事件の依頼を受けている所から始め、ヒロインは何者なのか、三人はどういう事情で仲間になった どういう立場の人間なのか、一切説明しない作り方もあったと思う。
 ちょっとだけ、しかもキャラクターを見せていく時に適切と言えるかどうか分からない場所のみ抜き出して、説明に換えているため、余計 混乱させられてしまう。

 原作もこうなのかなあ?
 原作では段階を追ってきちんとしたキャラ紹介が成されている、というなら、アニメのスタッフはそこに、まるで興味を持てなかったんだろう。

 では全然ダメなアニメなのかというと、色々すっ飛ばして無茶苦茶なスピードで猛進していく物語としての、妙な魅力がある第一話で、ツッコミながらも割合と楽しく見終えてしまった。
視聴者を選び、多くを振り落としてしまう危険な作り方だと思うけど、まあこれはこれでアリ。
 ただ、第二話から普通に丁寧に物語や基本設定を描かれると「何だ、普通じゃん」になり、第二話からもこの調子ですっ飛ばすと「付いていけない」視聴者を更に生み出しかねず。
 次回以降、真価が問われてくるだろう。
 取りあえず、三話目ぐらいまで見ての判断。



『true tears』01.「私…涙、あげちゃったから」

 萌え物…と言って良いのかどうなのか。
 旧家の雰囲気や、幼馴染みの少女が主人公と一緒に暮らすことによって生じる「あだち充的ドキドキ」より「気詰まり」、微妙に嫌な母親の描き方、等々、アリガチにしないよう一工夫加えた世界の捉え方が面白く、引き付けられて見た。

 この手の作品では、一緒に暮らす、あるいはお隣に住んでいる女の子は、朝、主人公である男の子に対しサービス満点の目覚めをプレゼントするもの、という絶対的ルールがあると思うんだけど、ここではそれどころか一緒に登校さえせず、口もロクにきかない。
 幼い頃はもっと陽気だったという彼女・比呂美が変わってしまったのは、親の死が原因か、引き取られた先の主人公家に問題があるのか。
 主人公母はハッキリと彼女を余計者扱いしており、父は殊更に無関心。
父親の隠し子だとか、そうでなくとも初恋の彼女の娘だったとか、まさか主人公父と直接関係が…とか、母親が「女」として忌避する理由を設定してあるのだろうか。

 不思議少女・乃絵。
 「木から下りられなくなり、主人公の抱き止めを信じて飛び降りる」パターンを二度使い、あやふやな「呪い」を主人公と双方が「有る」ものとして扱うことで、キャラを印象づけるのが上手い。
 キャラクターの性格描写において重要な意味を持つのだろう「飛ぼう(己の限界を超えよう)とする鶏を世話している」という部分が、鶏が辿るザンコクな運命により、もう片付いてしまいそう。
実は生きていました(エンディングを見ると可能性薄そう)、とか、生き残った鶏が志を継いで空を目指す、という展開により、ここで立ち消えにはならない?

 安易に涙を見せないことについて、サブタイトル通りの不思議な言葉を発する乃絵。
 主人公に向けられる全開の笑顔を見てみたい比呂美。
 二人が気になるので、視聴継続。



『俗・さよなら絶望先生』01.「ほら、男爵の妄言」「当組は問題の多い教室ですからどうかそこはご承知ください」

 前のシーズンとはまるで関係のない、すっ飛んだ主人公の紹介と、デタラメな展開から始まる続編。
 仮面ライダーのパロディー…なのかどうなのか微妙だけど…も、割合に楽しく、このぐらいの分かり辛さ、不条理さがあってこその『絶望先生』だと思わせられる。
 …って、これアニメのオリジナルじゃなくて、原作単行本にあったネタなの?

 それと比べると、後半は、続編の始まり方として実にまっとうなキャラクター紹介話。
 第一部が終わったのが9月末だから、まだ三ヶ月ぐらいしか経っておらず、おさらいをしてもらう程には記憶が風化していないんだけど。
まあ、親切に作っておくに越した事はないか。
 ギャグの有り様としては、今回メインに据えられた女の子が気にしている表現ではないけれど、「普通」という所。
 前期の通常話と変わらないレベルを維持できているから、これまで通りには楽しめる作品になるだろう。

 視聴継続。
ただ、感想は、よっぽど「うわー」と思わせられるようなネタでも出てこない限り、書かないと思う。



『PERSONA-trinity soul-』01.「特A潜在」

 原作ゲームは、シリーズのどれかを少しだけ遊んだことがあったと思うけど、ほとんど憶えていない。
魔物が跋扈するようになってしまった現実世界の街中を、『ジョジョ』スタンドのような能力を備えた少年少女が歩き回る内容…だったかな。

 アニメは、とにかく淡々としている。
 過剰な説明ゼリフで事足れり、とする作品はよく見るけど、これは逆に、普通の会話っぽいセリフや見せ方に拘ってあり、視聴者は「傍観者」として、切り取られた作品世界の断片を見せられているような気分に。
 独特の雰囲気が出ていて面白くはあるが、分かり辛い、とも言え、この先もこういう作り方で続けるなら、余程強力な構成能力がないと厳しい。

 作画は高品質で、登場キャラが男女問わずキレイに描かれている。
 主人公と一緒に街へとやってきた子は、妹だとばかり思っていたが、弟?
男女の双子だったらしいし、一人で亡き妹と言葉を交わす不思議な子だから、何か事情が隠されているのか。
 バトル演出は、まるっきりスタンドであり独自性が薄かったけれど、その代わりに分かり易く、迫力を持って描けていたと思う。

 取りあえず、もうしばらく見てみないと何とも。
 第一話としてこういう作り方は悪くないが、このまま何話も続くようだと、作品への没入度の低さから視聴継続意欲を欠き始めるかも知れない。


2008年1月5日 土曜日

『機動戦士ガンダム00』13.「聖者の帰還」

 姫様の居室へ、ボディーチェックも無しに侍女?を入れるとは、ゆるい警備体制だなあ。
持っていたのが銃だから射殺で済んだけど、体に爆弾でも巻き付けていたら、逃れようがなかったろう。
 王宮内に「姫様を殺したい派」や、そこまででなくとも「他者が企む暗殺計画なら見過ごしてもイイやと思う程に反感を抱いている派」が混じっているのかな。

 またも生身で現場に出て行く刹那。
 相手の直感が鋭すぎたから、ではあるけど、またまた正体を知られる危機に直面してしまう。
 現場近くに人家はあったんだっけ?
内乱テロの続く不穏な国内では特別珍しくもなかろう、攻撃が行われた場所を、わざわざ物見遊山に訪れる子供も妙だと思うが。
 テロが頻発している訳ではない国からやってきた兵士相手の弁明、という事なので、「子供らしい好奇心」と理解させようとして、正しい?

 グラハムらとの対面で、「平和」を語りながら、後ろ手に隠した銃を看破されてしまうシーンを入れることにより、王宮にガンダムで乗り込む際、危険を承知で武装解除する行動に繋げていく構成は、上手い。
 これまで、あんまり相手の事情を斟酌せず武力介入を続けていたと思うので、突然「事態を平和に向かわせるための勇気」なんて示されると、戸惑ってしまうが。
 まあ、刹那がソレスタルビーイングに参加した大きな動機になっている特別な国の事情であり、自分達は冷酷非情なばかりの組織では「ない」と示す事で、今後の活動に多大なメリットが生じる可能性もあるか。
いつも「悪役」でいて、たまに善い部分を見せた方が、周囲に与える印象は強く、良くなるし。

 姫様の呼びかけに、普通に応えてしまう刹那。
…ちょっとはトボけても良いんじゃないか?
 この行動からすると、以前、姫様相手にペラペラと自己紹介してしまったのは、本当に何も考えていなかった?
 刹那本人としては、特にソレスタルビーイングの大義より自己の過去に絡む事情を優先する場合、「正体を隠す意味をさほど感じていない・堂々と名乗りたいぐらい」なのかな。

 内乱は終わらないが、アザディスタンのエピソードは一段落かと思う。
 どうにも分かり辛かった刹那の内面が少し描かれることで、主人公っぽく見えてきた…部分も。



 地上波で放送された映画『半落ち』を見る。
 妻殺しを行った男は、自首するまでの空白の時間に何をしていたのか…
その謎を巡り、男と、関わった人間達の人生が次第に浮き彫りにされていく。

 地味でウエットで垢抜けず、正しく日本映画といった内容で、それだからこそ日本人の胸の中に すぅっと染みてくる。
 「推理物」という訳ではないが、なかなかに意外な、しかし自然な真相が明かされていく過程には引き付けられた。
 犯人ばかりでなく、周囲を固める人物達も それぞれ強さ弱さを持つ個性的なキャラクターに設定されており、違う事件を放り込めば、世界を同じくする続編的作品が作れそう。

 命の尊厳や その価値、同じ立場にあったら自分はどうするか、色々と考えさせられる、胸にズシリと来る重い、でも優しい映画だった。


2008年1月4日 金曜日

 WOWOWで放送された映画『DOOM/ドゥーム』を見る。
 大ヒットゲームの映画化。
 ゲーム未プレイでの鑑賞。
 ザ・ロックが出ているから、彼が主人公かと思えば、そうでもないのね。
いや、最後まで大活躍してくれてるから、主人公だと捉えるのも間違いじゃないか。

 画面が暗く、何をやっているのか分からない場面が多い。
物語の進め方は強引、一部を除き登場キャラの性格付けが薄い、バトルの迫力も褒められる程でなく…と、途中まではかなり低い評価だった。
 が、後半、超絶の破壊力を誇る秘密兵器銃をザ・ロックが嬉しげに振り回す辺りから、おバカさん映画としての面白さは加速していく。

 その頂点であろう、実写で、一人称視点のシューティング・ゲームを見事再現してくれるシーンが楽しく撮れているのに、感心。
 本来、敵と戦いつつ突き進んでいく主人公の姿や心理状態、リアクションを描かなければならない所だと思うけど、そもそも馬鹿映画なので細かいことなど気にならず。
 「主人公に魅力がない」というのが、こういう形でプラスに働くとは思わなかった。
 こんな感じに問答無用の映像パワーで全編突っ走ってくれれば、もっと高く評価できたのに!

 C級映画だと思って見れば間違いない、それにしては割合と楽しい映画。
 つまらない物語部分なんて見ても仕方ない訳で、前半は飛ばしてしまう判断もアリじゃなかろうか(転送ギミックとか、SF設定に面白いところもあるが)。



『H2O 〜FOOTPRINTS IN THE SAND〜』01.「琢磨」

 田舎を舞台に、多種多彩に取り揃えられた美少女キャラから愛される主人公を描く、萌え物。
 …なのだが、いきなり少女が男子から鉄拳制裁でイジメを受けていたり、主人公の目が見えていない、という所が大きな独自性。
余り嬉しい独自性ではないけれど、これをどう上手く物語の中に活かしていくのかが、今後の見物。

 盲目の主人公、という設定は、それなりに使いこなせていたと思う。
見えないので触覚に頼ることになり、「無遠慮に女の子の体を触りまくる」行動に必然性を与えていたし。
 しかし、匂いで教室の中身が分かるほど嗅覚鋭いなら、すぐ側に女の子が居ることとか、ましてや顔にパンツが押し付けられていることを分からない訳なかろうに(笑)。
 イジメられている少女の方は、まだ見ていてストレスを感じさせられるだけに留まるが、そうなるに到った理由や主人公との関わりにより、魅力に変換することも出来るかな。

 主人公の目が見えるようになる瞬間を、作品としてのクライマックスに設定しているんだろう…と思えば、第一話のラストで もう見えるようになってる?
このままでは余りにも基本設定の意味がないので、一時的な回復か。
 先が読めなくて、視聴継続。



『ロザリオとバンパイア』01.「新生活とバンパイア」

 冒頭から、無理矢理にでも女の子のパンツを見せようという姿勢は、商品として間違ってないと思うが…
それを支えるべき作画が、第一話だというのに乱れがちで、悪い部分は相当に悪い。
 最近の読み切り作品しか知らないけど、原作は絵が上手く、圧倒的な女の子の可愛らしさを大きな魅力にしていると思うのに、これでは厳しい。

 演出的にも…今回のキモである、ヒロイン・萌香が ぽえ〜っとした普段の性格から、一転して恐ろしさと美しさを兼ね備えたバンパイアに変身する部分に、凄味も色っぽさも現せておらず、油断していると、変身前後で何が変わったのかさえ定かには感じ取れない不出来ぶり。
 アクションにもパワーが乗っていないし、とにかく、厳しい第一話。

 「人間社会(学園生活)に、妖怪など異質な存在が入ってくる」パターンはよくあるけど、「妖怪ばかりの中に人間が一人だけ異物混入」というのは…無くはないけど珍しい。
 萌香の性格付けは可愛いと思うし、引き付けられる部分も有りつつ、しかしそれはいずれ原作を読めば良いと思うので、アニメの鑑賞はここまでに。


2008年1月3日 木曜日

 WOWOWで放送された映画『頭文字<イニシャル>D THE MOVIE』を見る。
走り屋達の激しいカーバトルを描く、大ヒット漫画の実写版。

 撮影場所は日本だが、主演俳優の大部分は日本人以外で占められている。
どうせなら、「香港での走り屋物語」に翻案すれば良いようなものだけど…風景が日本で、ヒロインは鈴木杏、しかし他の俳優の顔ぶれが日本人でなく、映像の作り方にも香港っぽさがあるため、とにかく違和感(次第に慣れはする)。
 お陰で日本映画的「アク」を感じずに済んでいる部分も、あるが。

 内容は、熱心なファンの人達から変更点が不評みたいだけど、薄いファンとしては大きく気になる程でなく。
 これより酷い改悪を施された原作付き映画などいくらでもある…というか、この程度で留められた映画の方が少ないぐらい。
「思いつきでオリジナルの主人公を設定してみました」とか、「女好きの拓海が初めて本気で好きになった相手・なつきは、金持ちの涼介と援交していた。それを知った拓海は、彼女を賭けて勝負を申し込むが負け、泣きながら恋を諦める」なんて物語に変更される最悪の事態を避けられただけ、運が良かったものと。

 カーバトルの出来は、なかなか。
 さすがにアニメ版ほどの分かり易さは無いものの、実写ならではの迫力や説得力に満ち、見入らせるパワーがある。
 映像だけで勝負せず、「解説者」によるセリフをもって凄さを伝えていく漫画的手法を多用。
この辺は善し悪しだろうが、原作(アニメ?)に忠実だとは感じる。

 原作の一番面白い部分を映画化しているだけあり、ほとんど退屈することなく(一部、香港映画っぽい無駄シーンあり)見終えられた。
「アニメ版を見ていれば別に無理してまで見る必要のない映像化作品」だと言えるけど、まあカーレース・シーンだけ飛ばし見しても良いんじゃなかろうか。



『ウェルベールの物語 第二幕』14.「再会の章」

 ええと、第一幕は どんな終わり方をしたんだっけ?
極秘兵器だった巨大戦艦がアッサリ破壊され、狂人王子が死に、書状を届ける、という物語の目的を果たさないうちに戦争回避が成された…のだったか。
 間が空いての続編なんだから、ざっとでも「ここまでのあらすじ」を入れた方が親切だったろうに。

 内容としては、銃で撃っているのに「峰打ち」だとか、余りにもアホみたいな事でボロを出し情報をベラベラ喋るオッサンとか、相変わらず…と思わせられる。
 盗賊姉ちゃん・ティナが復讐の旅に出るのに、わざわざ姫様を攫っていく理由がよく分からない。
「戦車ジイサンも合わせ、かなりの戦力になるから」か、「だってお友達じゃん」という事なのか。
 姫様の方に、堅苦しい王宮の暮らしに戻るのを心底嫌がっている様子が有れば、お互いの事情が合致した、と理解も出来るんだけど。

 いや、この生ぬるさが作品の持ち味であり、美点でもあるのだと思う。
人気があったから続編が作られたのだろうし、変わらないテイストを喜ぶべきだろう。
 前作を最後まで見た身としては、もう十分に魅力を堪能したと考えているので、時間があれば見る、というぐらいの鑑賞態度に留めたい。


2008年1月2日 水曜日

 映画『AVP2 エイリアンズ VS.プレデター』を見る。
 前作の完全な続編である今作は、エイリアンの新種・プレデリアンとプレデターの激闘、その間に挟まれて酷い目に遭う人類を描く。

 メインで描かれるのは、刑務所帰りの兄とイジメに遭っている弟。
兵士である母親と、その旦那、彼女がまとう「死(戦場)の匂い」に馴染めないのか ちょっと距離を取る娘。
 色々なドラマを予感させるキャラクターの基本設定だと思うのに、途中からまるで関係なくなってしまう。
 「錠前破りが特技だという兄」とか「母親の土産に暗視装置をもらい、気に入っている娘」なんて、戦いの中でもっと有効に活かせたと思うが、ほとんど意味なし。
 せめて、母親と娘の関係が修復されていく過程、これぐらいは入れるべきだったんじゃないかなあ。
 まあホラー・アクション・バトル映画だし、そもそも「立派な・良く出来た物語」を期待して見る作品じゃないんだけど。

 ではアクションは面白いのかというと…とにかく人間の殺され方が淡々としていて感情が入っておらず、いつの間にか接近していたプレデリアン「キシャー!」人間「うわー!」の繰り返しばかりで工夫もなく、見ていて余り楽しくない。
 画面が暗くて、誰が何をやっているのか分からないカットが続出するのも、集中力を途切れさせてしまう要因。
 プレデリアンとプレデターの外見が似ていることで、この2体の戦いは、今どちらが優勢なのか非常に分かり辛い。
 任務を持って地球に来たはずなのに、狩猟の本能が疼くのか罪もない人間を狩る無駄な行動を取り、生皮を剥いで これ見よがしに放置するヤンチャなプレデターは、ちょっと可笑しかったけども。
 同様に ひたすら戦う内容でありながら、段階を追って上手くバトルを盛り上げていき、大きな満足感を持って劇場を後にさせてくれた『エイリアン2』キャメロン監督は凄かったんだなあ、と今更ながら思い知る。

 途中からの展開が、驚くほど『バイオハザード2』に(『バタリアン』にも?)似ている。
こんなに一緒じゃイカンだろう…もうちょっと独自性は出せなかったものか。

 子供だろうと弱い女性だろうと、容赦なくザンコクに殺す、徹底して悪趣味な画面の作り方には、こういうジャンル好きとして感心もしたが。
 『アイ・アム・レジェンド』といい、本当に今のハリウッド映画はストーリー部分が弱い。
前述したように、こういうジャンルなので素晴らしく良くできた物語は必要ないけれど、それでも「せめてこれぐらいは押さえておいてくれ」という最低ラインはあると思う。



 WOWOWで放送された映画『シャギー・ドッグ』を見る。
 ある事情から、犬に変身する能力を持たされてしまった お父さんが繰り広げる、コメディー。

 ストーリーとしては、ぬるい。
 犬に変わってしまう事の利点や困難の描き方が弱く、悪役は驚くぐらい間が抜けており、主人公の仕事関係や裁判の有り様など、余りにも話の流れに都合良く動きすぎていて拍子抜け。
 ただ、この映画は「家庭の危機」を主題として描いているので、その外に存在するアレコレは彩りぐらいの物だと考えて差し支えないだろう。

 その家庭の危機は、地味ながら それなりに実感を持って描写され、父親が経験する異常により家族関係が修復されていく様は、パターンではあるけれど楽しく、気持ち良く見られる。
 娘の活動とか、息子が不得意としていたスポーツは、もっと上手く物語に織り込めたと思うし、それによりカタルシスを倍加させることも出来たろう、とは思うが。
まあそれは贅沢。

 ティム・アレン演じる主人公による犬っぽい演技が、いかにもそれらしく、犬好きとしては大笑い。
本当、犬が好きな人間であれば、細かいことは全部置いて楽しめる映画ではなかろうか。
 残酷さや嫌な後味とは無縁なため、家族で見るに最適。


2008年1月1日 火曜日

『みなみけ』最終13話.「恋のからまわり」

 冒頭のナレーション通り、まるでそれらしくない、「南家の日常を淡々と描く」最終話。
 それでも、キャラクターの魅力と、それぞれが織りなす妙な関係、調子の外れたギャグは好調で、ここまでの積み重ねがあったから、あり得た終わり方だと思う。

 ダメダメな次女は当然のこととしても、しっかり者に見える長女が帰宅後イキナリ前のめりに倒れて寝てしまうようないい加減さを持っていたり、賢そうな三女も小学生にしたってこれぐらいは…と思える常識に大きく欠けていたり、「当初予想していたキャラクター・イメージ」を少しずつ壊していく構成の作品。
これは、ギャグによる浸食がキャラクターの核に到達したところで限界を迎えてしまう作り方で、物語を始める前に どれだけ個々の魅力を作り込んでいるか、破壊しながらの創造が上手く行っているかにより、作品寿命が決まってくる。
 この作品だと、全てを「日常の穏やかさ」で包み込むことにより破壊を最小限に止めているため、「人間、そういう面もあるよね」と感じさせることさえ出来ており、まだまだ、大丈夫かな。

 もう少し三姉妹を見ていたく、最終回を迎えたのが残念…
と思えば、そうか、制作会社を変え、このまま番組としては続くんだっけ。
 ここまでが割合と高品質に出来ていたことで、滅多な物を作ると「前の方が良かった」と言われかねない。
 同じ原作から、また違う面白さを掘り出すことが出来るのかどうか、楽しみ。



 コミケ参加の疲れから、家に帰り着いてすぐ爆睡してしまい、目覚めれば越年。
年明けまで起きていられなかったのは何十年ぶりか。

 あけましておめでとうございます。

 去年は幸せとばかり言えない事もあったため、年賀のご挨拶を して良いのかどうなのかと思わないでもないのですが、当人がそういうのを余り気にしない雑な人間であるため、普通にさせて頂きました。
 今年が皆様にとり、幸いに満ちた、実り多い年でありますように。

 コミケに参加された方、お疲れ様でした。
 朝まで原稿を描き、コピーしていたため、遅刻ギリギリで会場到着。
 開場後も、せっかくスペースを訪れて下さいました方々に対応する余裕もなく、友人達の手を患わせてひたすらコピー誌を製本する、という不細工な有様。
ご迷惑をお掛けしました。
 コピー誌としては限界ぐらいまで冊数を用意したつもりだったのですが、お陰様ですぐ完売。
ありがとうございました。
 次回はもう少し、しっかりした体制で臨みたいと…それは毎回思っている事ですが。


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