ときどき日記 2008/07

2008年7月31日 木曜日

『魔法遣いに大切なこと 夏のソラ』04.「豪太」

 魔法遣いへの依頼の有り様については、前シリーズで説明されてた…んだっけ?
どういう条件で選別し、優先順位を付けてる?
「散らかった部屋の中から捜し物を見つけてくれ」なんていう依頼、警察は勿論、大家や不動産屋、依頼人の肉親友人でも「知るか、自分で探せ」と言って終わる話だと思うんだけど。
 受けるとしたら「何でも屋」的な職業で、それも十分な報酬の提示無しでは断られるだろう。
 魔法依頼の料金体系は?公的機関が行っていることなのでタダ?

 女性依頼人についても、そんな思い出の飲み物なんか出させてないで、病気を治療してもらえば良いのに。
命に関わる依頼については応えられない?
 全く何も無いところからホイと母乳を出すのは、凄いなあ。
これなら、金でもダイヤでもウランでも創出できるのでは。
魔法遣いの数も相当数居るのだろう事を考えると、社会の形態が変わってきそうな…

 魔法が遣えると分かった途端、学校で無視されてしまう豪太。
こうなった原因は、「魔法遣いが嫌われているから」か「魔法遣いだと隠していた、(母親が家を出た原因と同じく)嘘をついていたから」か、割とギリギリの所で付き合っている高校生時分の若い衆にとって例えば「親がエロ漫画家だ」とバレたようなもので「普通じゃない・変わった部分を持つ」事がそのままイジメられる原因になったのか。
 母親の別居要因は、嘘をついた事そのものではなく(さすがにそれは短絡的すぎる)、旦那に対する長年積もった不満に「嘘」が最後の一押しを与えた、という事だと思うので、豪太も学校で実はウザがられていたのかな。

 「依頼の範囲を外れることについて、魔法を使うのは拒否します」と応えても良さそうなものだけど、豪太、そして指導教官は我慢する。
 魔法で何でも出来そうな世界観なので、どこまでそれを使って依頼を解決して良いのか、個人が現場で判断するのは非常に難しいと思え、だからこそ依頼の範囲を決して外れないよう教える事が教官の役割じゃなかろうか。
 非礼な依頼者に対しても低姿勢で、少々依頼の範囲を外れていようとも とにかく解決してやるのが魔法遣いの仕事、というのでは、(「大人」としては大したモノでも)同級生から向けられる嫌な視線は仕方ない、というか。



『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』04.「噂の編入生」

 学園に編入してきたティファニアの巨乳と、ツンデレというよりデレデレのお馬鹿さんになってしまったルイズと、才人の男気を楽しむ話。
 身分的な差別はともかく、宗教についての厳しい制約もある世界なのか。
普通に魔女…というか魔法遣いが居るのに。
その存在まで織り込んだ宗教がある、って事だろうけど。
 魔法の強力さ、危険性が周知のものであるからこそ、宗教的な統制が必要とされ、異教徒の混入・攻撃を恐れているのかな。

 「モテない男の妄想」みたいなモノを、一人芝居で延々と開示してみせるルイズが可笑しい。
 そういえば、才人が「ああルイズルイズどうしてオレの気持ちを分かってくれないんだ」とか言って悶々とした事は、珍しい?
 もう主導権は完全に才人側にあるようで、どうとでも、したい放題だなあ。


2008年7月30日 水曜日

『ストライクウィッチーズ』04.「ありがとう」

 隊員一人ずつにスポットを当て、ヒロイン・芳佳との関係を通じてキャラクターを彫り込んでいく、地味だが堅実な構成。
今回は、ゲルトルート。
 戦場では非常に有能であり、性格的な弱さも無いが、自分の命を意に介さないような戦い方が問題。
前回扱われたリネットが、精神的に弱く、自分の能力を十全に発揮できない少女だったのと、対照的。

 ゲルトルートが持つ長所と短所、対面する危機、ヒロインのお陰でそれを乗り越えて もたらす勝利と、短所の克服(への第一歩)。
その間に、やたら芳佳への反感をあらわにするぺリーヌとの関係性を描き、非常事態下での協力で僅かに融和を見せる。
 不満を言う所がない、上手くできた構成で、結構。

 次回は、「パンツアニメ」らしい弾けたエピソードになりそう。
ここいらで ちょっとは隙を見せてくれた方が、作品の体裁には相応…というのも勝手で贅沢な言い分だけど。


2008年7月29日 火曜日

『World Destruction -ワールド・デストラクション-』03.「人間には二通りある」

 約束の桜の木を守る人間(の霊)と出会う話。
 …この世界の「霊」は、どうなってるんだろう?
昼間から実体としか見えない姿で行動でき、普通に話をするのはともかく、手を握ることも出来るし、呪い(?)のパワーで強固そうな橋を壊すことも出来る。
 霊となった男、人間時はごく普通の人だったんだよね?
なら、「永遠を生きてきた桜の巨木が持つ魔力と、融け合った存在」とでもしないと、ちょっと便利過ぎというか。
 最後、桜へと向かう約束の老婆の出現に、主人公達が全く関わっていないのも、どうだろう。
彼らが街中で派手な騒ぎを起こしてしまったことが、「桜の呪い」として他の街まで伝わり、それが老婆にかつての約束を思い出させ…ぐらいの関連性があっても良かったような。

 クマクマ語尾に付けてしまう割には、クマと呼ばれるのを嫌がる複雑なトッピーが可笑しい。
可愛い外見と、戦闘力の異常な高さと、古谷徹の声と、妙な付き合いの良さ等々のアンバランスな要素が魅力となって、面白いキャラになっている。
 リ・アは、主人公に惚れたのかと思っていたけど、そういう訳ではない?
以前、打撃を喰らわす寸前に、主人公の顔を見て頬を赤らめていたのは、何だったんだろ?


2008年7月28日 月曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュR2』16.「超合集国決議第壱號」

 ブリタニアに対抗すべく、超合衆国なるものを立ち上げるゼロ。
巨大帝国と戦うには、自分達の後ろ盾も大きくしなくては、という訳だろうか。
 国ごとの単位では軍事力を持たず、黒の騎士団へと依頼する形を取る超合衆国。
どこやらで聞いた事があるような気がする、理想的?国家の有り様。
 しかし…今は良いけど、黒の騎士団の編成が日本人に寄りすぎている事、日本の奪還が他の国々にとって継続して優先すべき目的ではない事で、戦いが長期化すると不満も顕在化して来そう。
いや、ブリタニアと戦う気持ちを持つ国々は、自国を戦場とせず、彼の帝國に一矢報いられるのだから、喜んで当然?

 ブリタニアの脅威に怯える、極限状況で組み上げられた合衆国は、そう遠くない時期にバラけてしまいそう。
ゼロの目的は「恒久平和」などでなく、身近な、ほんの小さな(しかし実現が難しい)ものなので、しばらくもってくれれば十分なのか。

 そのナナリーを救ってもらうべく、スザクに全力で頼み込むルルーシュ。
以前ならまだしも、現在の、だいぶ危ないところで精神がフラフラしているスザクに縋ろうとするのは、無謀。
 ジェレミアの力で、一度スザクにかけたギアスを解除してもらい、改めて「ナナリーを守れ」と命令した方が確か。
 ふと思った事。
スザクは、皇帝の能力で「父親を手に掛けた」記憶を消去されたら、どういう人間になるのだろう。
どうであれ、ゼロの味方になる方向には変わらない、のかな?

 怯えた無力な少女に戻り、ひたすらビクビクしているC.C.が可哀想。
ピザが好きなところは元通りで、可愛いけど。
 これはこれで萌えなキャラだろうとは思うが、以前の不敵な彼女の方が面白かったと思えるため、個人的には元に戻ってくれる事を期待。


2008年7月27日 日曜日

『仮面ライダーキバ』26.「メトロノーム・記憶のキセキ」

 ライダーの変身アイテムが敵に奪われる、というエピソードは これまでのシリーズでもあったが、うーん、本来の所有者である名護にキャラクター的魅力が無いせいか、あんまり関心が湧かない。
最後、反省したようなフリをしてニヤリと笑う、名護のヨゴレっぷりの凄さには、逆に面白さを感じたけど。
 音也と渡の複雑な恋愛模様が描かれていく等、物語は大きく進展してきた…のだろうと思うが、どうにも没入度が低い。
記憶喪失が簡単に治ったり、無くした指輪を海中からすぐ見つけたり、ファンガイアを前にして彼女の命よりキバだとバレる事の回避を優先する、荒さの目立つ作りが原因か。

 劇場版のCMに出てくるイマジンズを見て、30分で一番喜んでしまうのは、マズいんだろうな。
 先週のCMで、リュウタロスが何度も「『キバ』終わっちゃったの?」と言うのが可笑しかった。
 しかし、今年のライダー映画を宣伝するのに、前年のキャラを持ち出すのは前代未聞?
それだけ『電王』が愛される作品であった、という事だし、『キバ』が苦戦中、という事でもある…?



 映画『ハプニング』を見る。
 M・ナイト・シャマラン監督作品。
『ヴィレッジ』までは それなりに楽しく見られていたが、『レディ・イン・ザ・ウォーター』は見終えてガッカリ感が強く、評判の余り良くない最新作はどんなもんか…と思いつつの鑑賞。

 人類を襲う正体不明の脅威。
事態の把握が出来ず、抵抗する力も持たずに、ひたすら怯えて逃げまどう主人公達。
 …9.11以降、こういう映画が特に目立つような。
 『宇宙戦争』や『クローバーフィールド』『ミスト』に雰囲気が近い?
日本の映画で言えば、『回路』に似ているかな。

 お金が掛かっていたり(いや『ハプニング』も低予算じゃないが)、デジタルでモンスターの姿をハッキリ造形している前述のハリウッド作品と違い、「死」の正体が全く見えないのが特徴的。
なので対抗策の取りようもなく、不安感だけを募らせる構成。
 「風が吹いて木や草が揺れる」だけでドキッとさせるサスペンス演出の力は、さすが。
 死に方のバリエーションに「馬鹿馬鹿しい」モノまであるのが、楽しい。

 ただ、被災する主人公達の人間関係が そう面白いものではなく、割合と良くあるパターンで、しかもドラマを上手く描ききったとは言い難い。
特に少女について、もっと内面を彫り込むことは出来たんじゃなかろうか。
 後半に出てくる婆ちゃんが、正気と狂気の境目をフラフラしているようなキャラで引き込まれたけど、その魅力を全うしないまま片付いてしまったようで残念。
だから印象が強くなっている、という部分も無くはないが。
 『クローバーフィールド』よりは きちんと終わっているけれど、『宇宙戦争』ほど事態の解決に到っていない、中途半端なエンディングも物足りない。
こういう終わり方もあるのは分かるが、その形を取ることでテーマを深化させられたとは思えず。
また、アリガチなパターンでもあるし。

 ドキドキしながら見たから、入場料分損をしたとは思わないけど、しばらくするとスッキリ内容を忘れてしまいそう。


2008年7月26日 土曜日

『ルパン三世 Sweet lost night〜魔法のランプは悪夢の予感〜』

 『アイアンリーガー』『マクロス7』のアミノテツロを監督に迎え、『ルパン』のスペシャル三本目(OVA含む)の大川俊道を脚本に据えた、シリーズ20作目。
 うーん、まあ全体的には これまでとそう変わらず、さして面白いものではない。
監督の個性、といったモノがほとんど感じられない作品ばかり、スペシャルで続いているのは、余程プロデューサー等 上層部による締め付けが厳しいのか。

 今回 良かったところは…
 冒頭のルパンVS銭形の追いかけっこが、割と面白かった。
ルパンの手を読み切っている銭形が、スペシャルでは珍しく「敏腕警部」を感じさせてくれて、嬉しい。
 「記憶が飛んでしまう」仕掛けが、ルパンと同時に視聴者も「何が起こったんだ?」と混乱させられる描き方で、興味を引かれる。
 ルパンの補佐役に徹して有能さを見せる次元、「邪念がある」と言われただけで次元に対し剣を抜きかけるギラギラした五ヱ門、といったレギュラーキャラの捉え方。
 ルパンが車から車へと飛び移って見せるアクションの楽しさ(『旧ルパン』でこういうのあったなあ)。
他、アクションの一部はよく考えられていて、見応えがあった。
 魔法のランプへのアプローチである「願いを一つ叶える」というセリフが、ラストで意味を持ち、キレイに物語が閉じている。

 で、悪かったところは…
 オープニングぐらいは ちゃんと作って欲しかったなあ。
エレベーター・ロケットが各地を飛び回る様子で良かったと思うんだけど、途中から本編映像の先行使い回しになってしまい、それがまた特別面白そうでもないシーンを選んでいる事で、視聴意欲が削がれる。
 作画の乱れが激しい。
良いところもあるんだけど、崩れた部分は ちょっと見ているのが辛い程。
 右腕を負傷する次元に意味がない。
五ヱ門は「他者から与えられた煩悩の削除」に価値を見出さないと思うが、脳処置が解けた後も それに対するフォローが弱い。
 ランプから最初に立体映像(ルパンの見た幻?)が現れるシーンが意味不明。
ラストでキスをする展開から逆算して入れたものだろうけど、処理が乱暴すぎ。

 記憶を失った銭形の扱いがヒドい。
冒頭の大活躍と相殺して余りある哀れさ。
ルパンの記憶消去と上手く対象(相乗)効果を上げている訳でもなく、うーん。
 「記憶」を物語の核に据えるなら、それをルパンが取り戻していくストーリーにすべきだろうが、消えている記憶その物は他者からのフォローで埋め合わせが付いており、その復活に意味はないし、最終的に「もう一度記憶が消去されたらサルになってしまう」というような妙な方向へブレるのも感心しない。
 今回の敵である大佐も小物だったけど、彼がボスの座を追われ変わって現れる博士は更に敵として魅力無く、双方が潰し合うクライマックスは本当に盛り上がらない。
 銃撃戦をしても「主要キャラはどれだけ弾丸の雨を受けた所で被弾しない」お約束が強力すぎて。
 ヒロインが背負う悲惨な過去話は、長い割に特別面白いものでなく、無駄。
厳しく切り詰めるべきかと。

 ヒロインにぶつかり、ルパンを見て過剰なほど怯え、ペコペコと頭を下げて走り去る変に印象的な「通行人A」は、何か楽屋オチ的なお遊びだったのだろうか。
こういう事をするな、とは言わないが、視聴者には全く面白くないのだし、もうちょっと目立たないように やって欲しい。
 フツーに五ヱ門に斬られて倒される大佐、爆発に巻き込まれ死んだのかヒロイン兄、と、盛り上がらない結末。

 それから…増山江威子、井上真樹夫、納谷悟朗の三氏は、役を演じるのに声が限界を超えていると思え、ファンの身としては辛いんだけど、入れ替えを…いっそルパンも含め全員の若返りを図った方が良いかと。
 声優さんの限界に伴って、『ルパン三世』という作品そのものを完全に終結させる、という手もあるけど、商売になる限りまだまだ作り続けられるのだろうから。

 物語に「水増し」と感じられる部分が多く、本当なら、ちょっと詰めて30分、せいぜいで1時間程度しかもたない話を、無理矢理引き延ばしてスペシャルにしているような印象。
 『ルパン』で長時間作品向きのアイディアを絞り出すのは相当に難しいと思えて…ワン・アイディアで勝負できる30分ぐらいのエピソードを、3本ほど連ねて一本のスペシャルにする、という制作形式を、本気で検討してくれないだろうか。
二時間の作品に対して抱く期待水準と、30分作品へのそれでは、全く違ってくる(楽に作れて、楽に見られる)と思うし、実験的な・変わった内容の物も作れる可能性があるから。


2008年7月25日 金曜日

『セキレイ』04.「出雲荘奇談」

 キャラクターの個性が彫り込まれ、また戦いのルールも明確化していくことで、大分 面白くなってきた。
 にこやかだが怒らせると怖いアリシア…じゃない管理人がイイなあ。
 他セキレイも それぞれ魅力的に描けているけど、「その他」っぽい印象の薄い位置から、ダメ葦牙を得て世話女房的ポジションへと急上昇(?)することで、いきなりイメージアップした(所帯臭くなった)光・響の二人組が面白い。
「ウチのが迷惑掛けてすみません、悪い人じゃないんですよ」なんてセリフを吐く萌えキャラは、珍しい。
 もっと瀬尾に振り回されて困りながらフォローを入れつつ付いていき、古女房パワーを全開にすることで、更に個人的好みのキャラになるなあ。

 毎度 格闘シーンの作画を頑張っていて、見応えがある。
 今回は、衛星高度からのレーザー攻撃(?)を受けながら、「あらら」ぐらいの顔で特に焦ることなくかわし、商店街を駆け抜けていく結が、シチュエイション・作画共に楽しかった。


2008年7月24日 木曜日

『RD 潜脳調査室』16.「透明な力」

 ホロンと同型のアンドロイドを使う風俗店へと、調査に赴くソウタ。
 『攻殻機動隊』なんかだと、アンドロイドが「モノ」として扱われるのは普通で、壊れようが個人に囲われていようが、「趣味が悪い」と言われるぐらいなもので、法的には勿論、道徳的にも責められる事はなかった…ような。
 この作品でも、違法流出アンドロイドでなければ、性的用途に使う事は問題ないのか。
ホロン自身も、そういう意味の事を言っているし。

 ソウタが抱くホロンへの特別な思いは、ホロンの原型(の一人?)が評議会書記長だから、なのか、ホロン自身に芽生えつつある個性や感情らしきものに引き付けられたからか。
あ、そういえば以前、何か幻を見せられてソウタが顔を赤らめていた事があったけど、今回の話から、相手は彼女に間違いないだろう。
 彼がどうしてもホロンに勝てなかったのは、彼女が彼に取り特別な存在になっているからだ、と気付くラストが爽やか。
 でも…士郎正宗的(にしては柔らかな方だが)シビアな世界で、人間とアンドロイドが恋愛関係を成り立たせるのは難しそう。
いや、士郎作品では、驚くほどロマンチックな関係が成立していたりもするか。

 風俗店のオーナーを、「単なる酷い奴」ではなく、客のプライバシーに配慮し、アンドロイドに違法な真似をする客を罰し、ソウタを「殺さない」命令を出す、節度あるプロフェッショナルに描いていたのが印象的。
もっとも、最初のは客のプライバシーと言いながらマズい部分を含む店内の様子を隠そうとしていたのであり、商売道具であるアンドロイドに勝手な事をされて困るのは当然で、ソウタに対しても「殺人事件」まで起こしては後々面倒だという判断があったのだろうから、誉める筋合いでもないが。



『Mission-E』02.「女子校潜入大作戦!」

 捜査のため、山奥にある女子校に潜入する二人。
 …特に警備が厳しい訳でもない女子校で、ヒロイン二人にも潜入の緊張感は薄く、クライマックスのアクションは相手がザコ過ぎて面白味に欠け、うーん。
豪華な学食を脳天気に楽しんでいると見せて、不審な添加物が入ってないかチェックしている千波美は、意外なプロフェッショナルぶりで感心したけれど(能力者にはそういう事が分かるモノなんだろうか?)。

 スーパー・エージェントの大活躍を描く事が主題ではない、のかも知れないが、その場合、キャラクターの魅力をもっと引き出してくれないと、見る価値に疑問が生じてしまう。
 22歳にして女子高生に化ける千波美の図々しさ、未だに大人になった自覚を持たない呑気さ、そういう彼女を見る麻織の冷たい(もしくは暖かい)視線、といった部分等を、強く彫り込んで欲しかったところ。
 さすがに無理があり学校内で他女生徒から千波美が不審がられる、あるいは逆に「美人で優しい先輩」として「お姉さま」扱いされる、とか。
麻織も、うっかり生徒の前で超絶の体力を披露してしまうことにより、純粋お嬢様達に好かれる、もしくは敬遠され千波美との絆の特別さを再確認する、といったイベントを組んでも良かったろうか。

 前シリーズに出ていた場所の名前が再登場するのは懐かしかったが、独立したシリーズとして この作品から見始めた視聴者には、説明が何も無いことで不親切かも。
これから、改めて説明の機会は設けられるのだろうと思うが。



 昨日、新宿ゲーセンで、編集さん達とチームを組み『機動戦士ガンダム 戦場の絆』を初プレイ。
 最初は操作がサッパリ分からなくて、単に戦場をモタモタ歩く的になっていたが、ちょっとだけマトモに動かせるようになってくると、いや、これはなかなか面白い。
 3Dモデルで巨大ロボットバトルを体験させるゲームは これまでもあったけれど、思い入れの強い『ガンダム』が素材になっている事による没入度の高さと、操縦席型筐体により醸し出される「らしさ」が、戦場の空気を実感させてくれる。

 …が、3D酔い し易い体質の悲劇、4回目ぐらいの出撃からもうフラフラで、5回目ぐらいには移動をほぼ諦め「自分のことは拠点を守る固定砲台ぐらいに思ってください」状態。
 筐体から這い出ると汗が止まらず、自覚は出来なかったけど編集さんからは「凄く顔色が悪い」と言われ、そこでギブアップ。
 密閉型筐体、視界を覆うスクリーン、上手く戦うには画面をガクガク揺らして移動せねばならず、酔いやすい体質の人間にはキツい状況。
 ゲーム自体は面白いんだけどなあ、3D酔いさえなければ。


2008年7月22日 火曜日

『乃木坂春香の秘密』02.「初めてなんです…」

 ラブラブ秋葉原デートの巻。
 前回、自分のことを名前で呼んで欲しがった春香だが、主人公、「さん」も「ちゃん」も付けずイキナリ呼び捨てにするとは思わなかった。
それはちょっと、途中の段階を飛ばしすぎじゃないかなあ…「初めて名前だけで呼んでくれましたね」といった嬉し恥ずかしのイベントを組んでも良かったはずだし。

 第一話と同じく、こういうパターンのお約束に100%沿った、「この作品ならでは」という部分がほとんど無い内容。
街を歩いていれば周り中から春香の可愛さを羨望の眼差しで見られ、友人に見つかりそうになり危機一髪の状況を(凄く楽に)乗り越え、メイド喫茶では「春香の可愛さに引かれたメイド達が強引にメイド服を着せてしまう」イベントが発生。
何でも出来るスーパーヒロインと学校では思われている春香だが、主人公の前では意外にドジな、親しみやすい姿を見せてくれる。
 学生時代、ぼんやり夢想する「ギャルゲー的楽しいデート」とは こういうモノじゃないか、という典型。
 いくらか目新しい内容にも出来たはずだけど、「典型」を作るのが、正に このアニメの目的なんだろう。

 だから、「この手のパターンは見飽きた」とか「何十年前のアニメだよ」とか言い出す人間は、視聴対象に考えていないものと思われる。
 対象としているのは、この形式に初めて(まだかなり少ない回数で)触れる新しい視聴者、あるいは、確かに心地良いこのパターンを何度でも楽しめる視聴者。
 この後も、シリーズとして意表を突くような展開は考えられていないと思うし、せっかくの「価値」を損ないかねない そういう事はしない方が良いと思う。



『ストライクウィッチーズ』03.「一人じゃないから」

 ストライクウィッチーズに入隊した芳佳。
芳佳と同じく、能力を秘めながらも戦闘で十分に発揮することが出来ない少女・リネットとの交流を中心に、隊の女の子達をざっと紹介し、クライマックスは新人二人が協力しての活躍により危機的状況を見事打破、気持ち良く終わってみせる。
 実にしっかりと基本を押さえた、文句の付けようがない…「余りにも教本通り過ぎる」とかいう事ぐらいしか…第三話。

 「パンツを見せるアニメ」としては凄く真面目に作られているし、「真面目に何かを語ろうとするアニメ」にしてはパンツが見えすぎている(今回は巨乳成分もある)ため、ちょっと混乱してしまう。
いや、どちらも素直に楽しめば良いんだけど。
 半人前でも二人合わせれば一人前になれる、といった言葉を体現し、肩車の体勢で狙撃を行うアイディアが素晴らしい。
芳佳について、「魔法出力が大きすぎて飛行制御が上手くできない」というマイナス点を設けておけば(第二話はそんな風でもあったけど)、「リネットの重さを背負う」マイナス要因により逆に姿勢が安定した、とも出来たろうか。

 これから、まだ個別の認識が難しいウィッチーズ隊の面々を、順に描いていくのかな。


2008年7月21日 月曜日

 映画『崖の上のポニョ』を見る。
 言わずと知れた、宮ア 駿監督の最新作。

 見たのは昨夜のことなので、もう24時間ぐらい経っていると思うけれど、感想がまるでまとまらない。
「楽しい」が「構成は無茶苦茶」に見え、「泣ける・笑える」けれど「呆れる」内容でもあり、「良く出来た面白い映画」とも「全然ダメな取り留めもない映画」とも言い切ることが出来る。
 『千と千尋の神隠し』でも思ったけれど、既存の物語フォーマットからは評価しづらい内容。
いや、『千と千尋』の方が、まだ一本の、一つの世界観で語られるストーリーとして、分かり易いぐらい。

 物語としての縛りが弱いためか、全編、監督の凄まじい演出パワーと見たこともないイメージが嵐となって荒れ狂っており、ただ翻弄されるばかり。
 特に…海が大変なことになるシーンのビジュアルが素晴らしく、圧倒される。
映画の制作風景で、イメージボードが提示されていたが、動くと こういう画面になるのか…
 宗介母が運転する車の挙動、幻想的な海の生き物たちの有り様、『パンダコパンダ』を思い出させる子供達の大冒険など、作画的な見所は上げればキリがない。
 ハムやインスタントラーメン(こういう「体に悪そうな」食料を出すのは『カリ城』以来?)等、食べ物を美味しそうに描く作風も健在。

 キャラクターも、可愛らしい(でも時々…)ポニョは勿論、優しくて賢くはあるが普通の子である宗介、子供を「叱らない」その母・リサ、過保護なポニョ父(科学者…というより錬金術師?)、海を体現する不可思議な存在であるポニョ母・グランマンマーレ、出番が少ないのが勿体ない、気が強そうな宗介のガールフレンド(?)、老人ホームの婆ちゃん達(ヒネた婆ちゃんでもっと泣かせられたのに)等々、魅力に溢れている。
 総じて あんまり役に立たない父親に代わり、母親の力が強い印象。
リサの恐るべき決断力と行動力、全てをあるがまま受け容れる度量の広さ、「保護者」としての強さとは逆になる「女」としての弱さ・可愛さ。
これまた些事に拘らず、いずれ訪れるかも知れない娘の死についてさえ 大らかに受け止めようとするグランマンマーレ。
 娘を闇雲に保護しようとするポニョ父に比べると、その大きさが際立つ。
生と死に関する考え方が、男達とは違うモノなのか。

 ポニョ父・フジモトが見せる過保護さについて。
 ポニョの妹達は大勢居るのに、ポニョの世代は彼女一人しか居ないところから、「ポニョにも大勢の同世代姉妹が居たのだが、海の厳しい試練に遭い、ほとんどは死んでしまった」と考えると、フジモトの過保護さも理解できるような。

 ストーリーについて。
 ヨメと話し、「宮崎版『不思議の国のアリス』」だとか色々解釈しようとしてみたけど、一番近いのは『墓場鬼太郎』かも知れない。
よくある物語のフォーマットに全く則っておらず、事前に立てていた「要するに『のび太の恐竜』でしょ?」とか「『E..T.』の変形か」といった予想をまるっきり裏切り、意外な(しかし納得できる)所へと引き摺って行かれるから。
 善と悪の対立など この作品には無く、それどころか「常識」まで、途中から揺らぎ始める。
映画前半はまだ、異界の住人が現実に関与してくる『トトロ』形式だけれど、後半は異界に現実世界そのものが浸食される『パンダコパンダ』に近く。
ラストでは、それまで割と気を遣って保ってきた空気中と水中の区別さえ曖昧になってしまう。
 デカいパンダが女の子と一緒に住んで、動物園まで通勤している世界を受け入れる気持ちが無いと、後半は混乱させられかねない。

 まあ、あの、良くある解釈法で、「物語途中で登場人物は死んでいる、あるいは後半は意識不明状態になった誰かが見ている夢である」と考えると上手く説明が出来たりするんだけど、監督がそういうシロモノを作る訳が無く、一番怒られる考え方だろうな。

 この映画は、一度見て全体を理解できるようには作っていない。
 DVDでまた見れば良いし、テレビ放送を何度もするだろうから好きな時にそれも見ればいい。
 今 見た感想と、10年後、20年後では感想が変わってくるだろう。
 子供の時見て、責任を負わされる大人になって見て、独身の時見て、結婚してから、子供が出来てから、子供の成長過程で、家を巣立っていってから、それぞれ見てみると、違う映画に見えてくるかも知れない。
 そういう映画を作った。
今すぐ全てを理解する必要はない。
 …というのは、『千と千尋』を見た後、ウチの弟が監督の気持ちを勝手に代弁して語っていた言葉。
 そういう映画、なのかも知れない。

 ゴタゴタ書いたけども、別に難しい映画ではなく、『人魚姫』だと思って見れば混乱する所などドコにも無い。
好きか嫌いか、楽しかったか つまらなかったか、それだけで判断して問題ないだろう。
 『ハウル』よりずっと、「もう一度見たい」気分にさせてくれる映画だと思う。


2008年7月20日 日曜日

 レンタルで映画『デス・プルーフ』を見る。
 クエンティン・タランティーノ監督が、『グラインドハウス』という二本立て形式の上映のために撮った映画。

 B級映画の香りが凄く(もちろん意図的に)強く、時代や上映状況の有様を再現しようとしての事らしいが、劣化していたりフィルムが切られているためセリフが飛んでたりする部分が(故意に)沢山あり、何だか笑ってしまう。
 子供の頃、田舎の映画館で見た映画は、実際このようにセリフがブチ切れるとかフィルムチェンジの失敗で しばらく上映が途切れるとか、よくあったなあと懐かしく思い出したり。

 映画のほとんどを占める女達のウダウダ話は、タランティーノらしいとは思いつつ、飽きてしまって画面への集中力が途切れがち。
そこも含めてB級映画のテイストなのかも知れないが、何しろ出てくる女性は みんな…リアルではあろうけどロクデナシだから、そんなに長くは会話に付き合いたいと思えなくて。
 売りのカースタントやアクションになると、さすがに面白い。
特に、映画のクライマックスを飾るカーチェイスは、「手に汗握る」というより「何をしてるんだろうこの馬鹿な人達は」というモノで、ちょっとでも冷静に考えると不合理極まりないけれど、そこを悪ノリに悪ノリを重ねていく疾走感覚で乗り切る演出力が素晴らしく、笑わされっぱなし。
 不気味だけどヘタレなオヤジを演じるカート・ラッセルに、笑ったり、勝手に『ニューヨーク1997』スネークの面影を重ねて哀しくなりつつ また笑ったり。

 二本立ての もう一本、『プラネット・テラー』も続けて見てみようかな。



『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』02.「森の妖精」

 契約解除により、関係に確かなモノが無くなってしまったルイズと才人。
この二人の間に、今がチャンスとばかりコレまで正面切っての介入を躊躇っていた者達が参戦し、三角、四角関係を構成してドタバタのコメディーを見せるのが今期最大の売り…なのだろうと考えていたが、意外、契約は二話にしてもう結び直されてしまう。
 ガンダールヴの力を失った才人が、自分の力だけでルイズを守ろうと修行を始め、戦いの中で身に付けた才能が僅かに顔を覗かせたりと、「人として在る」事による成長の可能性が見えてきた所なので、余計に驚いてしまう。

 う、うーん…再契約は、シリーズのクライマックス辺りに持ってきても良かったんじゃなかろうか。
二人の関係の安定こそが、ファンにとって作品の最も大きな「魅力」なのかな。
 確かに、ルイズの召還に対し、イケメンで武術も優れた非の打ち所がない別の男が現れた、とかいう事になると、少々 面倒臭くはなってしまうが。

 せっかく登場した妖精なのに、同じ話の中で、彼女とは直接関係のない形で「再契約」という大きなイベントが起こされてしまったため、すっかり影が薄くなってしまう。
印象に残るのは、胸の質感の表し方が上手い、とかそういう事ぐらい(^ ^)。
 妖精を狙う?敵は出現したけれども、この作品の主題はあくまで「ルイズと才人の関係」にあると思え、それが再度安定した事で、シリーズに一区切り付いたような気分。
 ここから、どのように視聴者の興味を再喚起していくのだろう。


2008年7月19日 土曜日

『魔法遣いに大切なこと 夏のソラ』03.「ソラ」

 大きなお屋敷に住む夫人から、魔法の依頼を受けたソラは…
 『夏のソラ』は、無印に比べ、上手い…と言えるかどうかは知らないが、個人的にはそんなに問題なく見られるなあ、と思っていたが、来た来た、「らしい」話。
 少女の無垢な(無配慮な)行動が、閉じた夫人の心を開かせる、という、パターンながら別段 悪くない筋立てなのに、こんなにも違和感を感じさせてくれるのが凄い。

 事情もロクに分からないだろうに、金庫のカギを壊し、大事そうに仕舞ったアルバム(?)を持ち出し、その上で人生の大先輩に臆面もなく説教をしてしまうソラの暴走ぶりには、ただ唖然。
その行為のどこかに、取り返しが付かない致命的な要因が含まれていたら、どうするつもりだったのか。
 魔法を使うより先に夫人の抱える事情を知りソラが行動指針を決定する、もしくはソラ個人の中に「孤独に引き籠もる」事をどうしても容認できない理由がある(亡くした父親・一人置いてきた母親が関係?)、あるいは「魔法制御に失敗したことを起点に、ほぼ偶然により夫人の心の問題が解決されていく」ストーリー展開にする、など、無理を少なくするべく どうとでも構成を いじれたろうに。

 ソラの独善的な行動に対し、夫人が激怒する、魔法指導員が厳しく叱責する、というワンクッションを入れておけば、彼女が許される過程も いくらか受け入れやすかった…かも知れないが、夫人は突然の変心で「ソラちゃん大好き」ぐらいになっているし、指導員に到っては「イイ話」を受けて泣いていたりする役立たずぶり。

 この手のストーリーには強固で安全な基本パターンがあるので、そこを踏み外しさえしなければ、誉められはせずとも貶されることはない。
特に考えが無く、そのパターンを改変したり省略すると、独創的というより「変」なモノになってしまう。
 アニメや漫画の専門学校で、「この作品のどこに問題があると思い、自分ならどうするか考えなさい」といった教材にするのには、丁度良いかと。


2008年7月16日 水曜日

 〆切作業中。
 ううう、土曜日が『ポニョ』の封切りだというのに…それまでに終わらせるのは難しそうだなあ。
 取りあえず、日曜には復帰したいと思います。


2008年7月14日 月曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュR2』14.「ギアス 狩り」

 シャーリー殺害犯が、前回からの順当な流れでロロな事に、驚く。
殺傷のシーンを見せなかったので、てっきり何か大仕掛けがあるものと…
 取りあえずは反抗の意志を見せず、割と本気でルルーシュに従っているジェレミアも、意外。
 普通のアニメなら「そりゃそうだろう」で済むんだけど、この作品はとにかく意表を突くことをまず考えているように思えたもので、この素直さが不気味。

 溢れ出しそうな憎しみと殺意を押さえ込み、ロロに笑顔を向けるルルーシュが凄い。
利用価値を考え、しばらくは生かしておくのかと思えば、やっぱり爆殺しようとする複雑さ。
しかし、結局は殺せないで終わる運命の巡り方が、彼らしい。
 「兄」のため命を賭け、必死の行動を見せるロロを、妨害がなければ、判断にまだ甘さが残るルルーシュは殺せていたのかどうか…

 甘い、とはいえ、今回は無抵抗の教団に対し、断固とした処置を取ってしまうのだが。
ルルーシュは、ギアス能力により「データを不正改造して遊ぶRPG」にも似た有利な状況を作り上げているので、恐れるべきは「所詮人間に過ぎない世の多くの者達」より「対等の(まだ未知の)ギアス能力を持って現れる不正改造者」なのかも。
 彼自身は ほとんど手を下していないが、戦う意志を持たない人間達…老人や幼い子供まで…殺してしまっては、常識的な物語として「許されて」終わるのは、難しい。
地獄への送致申請書類に自ら進んで認可を与えた、といったところ。
まあ、元々 自分自身が幸せになれると考えて始めた戦いではあるまいが。

 V.V.は、ブリタニア皇帝の兄だった?
…ってこれは、既出の情報だっけ?
 C.C.らに関する部分については、まだあんまり気にしなくて良いだろう、と思って油断していたため、頭の中で情報が整理されていない。
 ぼちぼち、この作品に残された一番大きな謎である、彼ら彼女らについて語られていくことになるのか。


2008年7月13日 日曜日

『ストライクウィッチーズ』02.「私にできること」

 ヒロイン・芳佳が実戦に遭遇し、初めての出撃を行う。
 次々に撃沈されていく戦艦、苦戦する美緒、芳佳が乗る艦にも直撃があり、傷を負った兵士が血だらけで転がる。
「パンツアニメ」と侮れない緊張感があり、芳佳の選択は、震えて死を待つか、飛行ユニットを装着して一人で逃げるか、戦う…しか無いので、無謀な出撃にも説得力を持たせられている。

 「ケガをした兵士を魔法で治療して回る」手もあったろうが、衛生兵(?)に邪魔者扱いされてしまったから。
この世界では、魔法による治療は余り効果を認められていない?
死に至るほどのケガでは無い、という事で、時間の掛かる魔法より包帯でもグルグル巻いておいた方が早い、と考えたのか。
芳佳の家系は治癒魔法能力が高い、と知らなかったので、余暇に治療を行うような魔法少女一般への扱いとして、邪険にしたのかな。
 「ここはお前みたいな子供の居る場所じゃない」とか言っていたが、芳佳と美緒では5歳ぐらいしか年齢が変わらないはずだけど。

 ほとんど全滅する艦隊、飛来する恐ろしい敵相手に通常の兵器ではまるで通用しない。
絶対的危機の戦況を挽回すべく、戦う決意を胸に秘めた少女が、決戦兵器と共に出撃する。
しかも、漂う白煙の只中に、艦の中央からエレベーターに乗って せり上がってくる形で登場。
 う〜ん、『トップをねらえ!』。
戦いと、SFと、お色気と…考えてみれば作品のコアも、同じなのか。
 『エヴァンゲリオン』の後追いはイヤになるぐらいあったけど、『トップ』にオマージュを捧げた作品は、珍しい。

 芳佳は、強力な魔法力を持ちながら、その使用について不慣れなため上手く制御できず、思い通りに飛ぶことも出来ない、とする見せ方は、「これから」の伸びを予感させて、正しい。
 父親に別れを告げ、多数の美少女キャラに混ざっていく事になる、次回からが本筋の始まり、だろう。



『鉄腕バーディーDECODE』02.「THE PARTNERED ONE」

 主人公が遭遇する異常事態と、そうなるに到った説明が行われた。
 「目は見えていながら体は動かせず、その体は軽く車を追い越しビルを飛び越えてしまう」…スーパーマンになったような感覚を視聴者に実感させるため、かなり頑張った作画とCGを駆使。
ラストのアクションもそうだけど、作画面では充実してるなあ、このアニメ。

 主人公の肉体は瀕死(死?)の状態にあり、現在はバーディーの体の中に共生することで ようやく命を繋いでいる、というだけで、真面目に説明しようとすると結構大変だが(手を抜くなら「要するにウルトラマンとハヤタだ」と言えば済む)、それにこのアニメ版では「バーディーがアイドル業に就いている」設定が加わっており、事態を一層ヤヤコシくする。
普通、犯罪者を追いかけてきた宇宙捜査官は、天然ボケのアイドルになんか成り済まさないから。
 この設定は無しにする、あるいは、主人公と合体してからアイドルの仕事を始める事にすれば、説明は簡単だったかな。
 もう面倒なところは越えてしまったので、芸能界設定が今後それに見合う面白さを発揮することを、期待するのみ。



『Mission-E』01.「OLさん誘拐大作戦!」

 事前情報無しで見たため驚いてしまったが、まいなーアニメ、だと思う『CODE-E』の続編。
こういう企画が通るほどには商売になっていたのかな。
 電子機器に悪影響を与える体質であるOLの日常を、最初の方で時間を取って見せていたため、彼女がシリーズの主人公なのかと勘違い。
第一話の保護対象、というだけなのね。
それなら、「彼女を見つめるヒロイン二人組の視点」も混ぜて見せておいた方が、親切。

 前作では、引っ込み思案で おっとりしていたヒロインが…もの凄い体術を駆使し屈強な男達を圧倒するスーパーヒロインになって再登場。
イメージの落差が大きすぎて、戸惑う。
 特殊なスーツを着ているとはいえ、性格も体力も ここまで変わってしまうのは無理…(掲示板でご指摘を頂きました。前作のヒロインは武闘シーンで全く活躍しておらず、相棒任せだそうです。スーツが似てるので、二人を混同してました)
まあ、そんな気にするほどの話じゃ、ないか。

 アクションは頑張っているし、ヒロイン二人組の個性付けも悪くない。
しかし…自身の能力に戸惑うばかりだった前作に比べ、能力を100%有効に使ってミッションを遂行するエージェント物にした事で、割と良くある、どこかで見たような印象の作品になってしまった。
 このまま、敵対組織と熾烈なバトルを繰り広げる展開になっていくなら、その戦いの帰結には余り興味を抱かないが…
 もうちょっと見てみるかな。


2008年7月12日 土曜日

 WOWOWで映画『HERO』を見る。
 木村 拓哉が検事に扮したテレビドラマの劇場版。
 テレビ版は、だいたい見ていると思う。
第一話に あった「推理物」っぽさが次第に薄れ、本当にキムタクを格好良く描くだけのヒーロー物になってしまったのが、残念。

 映画。
 開幕当初、地検で働く人間達の様子や、世間で起きている事件につき、非常に断片的な情報が断続的に語られ、頭の中で上手く整理できなかったが…
話が進むにつれ、それぞれの関係性が理解できるようになってくると、割合 面白くなってくる。
 キムタクを巨悪に直接挑ませても良かったはずだけど、ヒネりを加え、彼の担当する小さな事件が、無関係に思えた大きな事件と密接に繋がっている事にする…このアイディアは秀逸。
 余り視野を大きく取らず、小さい、卑近な事件を取り上げて、それに対しキムタクに熱血反応を示させ、その範囲に於いては問題ない「正義」を語らせることでカタルシスとする作り方は、彼を総理大臣に設定した『CHANGE』でも全く同じ(脚本家含むスタッフが重なってる)。

 犯人のアリバイを崩す捜査をキムタクらがするんだけど、情熱をもって犯行車を探し出す、とかいうのは(そこに時間を使いすぎとはいえ)良いとして、中に「えっ、そんな基本的な事を、誰も調べてなかったの?」と思わせられる物があるのは、感心しない。
 犯人側の事情を まるで描かないことで、ドラマに厚みが無くなっている…しかし、それは最初から描く気がなかったと思われるので、仕方ないか。
「犯人には犯人の『正義』があった」とか言い出すと、確かに ややこしくなるし、キムタクの演説によるカタルシスも薄れる。
 キムタクと松たか子が演じるキャラ二人の恋はどうなるんだろう?なんていう興味をまるで持っていなかったので、蛇足に思える描写が目立ったけれど、ファンにはコレがたまらないんだろうから、どうこう言う筋合いでは無いな。

 そこそこ面白い。
しかし、「映画ならでは」という部分は見受けられず、テレビで見れば十分なような。



 地上波で放送された映画『スパイダー・パニック』を見る。
 あー、何だか久しぶりに見た堂々たるB級…C級?映画で、嬉しくなってしまう。
 見え見えだけれど伏線が張られていたり、安っぽい人間ドラマの安っぽさそのものを逆手に取ったようなギャグが入っていたりで、割と頑張って、こういうジャンルの映画に対する愛情を持って作られた作品であることが伺える。

 このぐらいの映画だと昔は、巨大グモが、呼吸が止まるぐらい不出来な作り物だったり、本物のクモを哀しくなるほど適当な合成で画面上大きく見せていたり、というのが お約束だったけれど、CG技術の進歩と普及の恩恵、そこそこキレイなデジタル合成で登場させている。
 かなり最初の方から、出し惜しみ無しで、しかもバカみたいな数のクモが登場。
「バイクで全力疾走しても逃げ切れない」「車に逃げ込んでもドアを引きちぎられる」パワフルで厄介な見せ方が愉快。
 一般町民はもちろん、保安官も、襲われる人に対して「助けよう」という意志を ほとんど見せず、逃げて逃げて自分の命を守るのに精一杯、というのも、シビアであり、安手のパニック映画テイスト満載で楽しい。

 巨大グモにより、猫が壁にガツーンとブチ当てられると、反対側の壁に苦悶する猫顔のレリーフが浮かび上がるバカギャグに、大笑い。
大向こう受けを狙った映画では大事にされる動物の命が、ここではめっきり軽視されており、猫も犬もアッサリ殺されてしまう、「どうせ俺ァC級映画だし」という開き直りが心地良い。
 余りグロい見せ物にせず、ほとんど血さえ見せない上品(?)さ。
速いテンポで展開する物語の中に、意識して「笑い」を入れてあるのもイイ。
 拾い物だったなあ。


2008年7月11日 金曜日

『乃木坂春香の秘密』01.「もう、ダメです…」

 タイトルから、つい『涼宮ハルヒの憂鬱』を連想してしまう。
スタッフも、その当たり方に学んだのか単に最近の流行りか、エンディングを女性キャラによるダンスで飾っているし。
 ただ、内容は『涼宮…』と大違いで、新しさや驚きは全く追っておらず、伝統的な、分かり易い物語作りに終始。

 願望充足物として、合格点の出来。
 学園のアイドルに、冴えない主人公が好かれる理由は、「ヒロインが深夜美少女アニメのファンだった事を偶然知ったが、軽蔑せず、他の人達にナイショにしておいてあげた」という、コレだけ(イベントとして、深夜図書館の下りもあるが)。
ビックリするようなハードルの低さで、これぐらいなら、どれほどダメダメな視聴者でも実行できるだろう。
 主人公が「野球部のエースで、次の対戦相手である強豪チームへの対策のため、毎晩遅くまで泥だらけになって練習している」男の子で、ヒロインの理想が「心から尊敬できる、互いに励まし合い、高め合っていけるような男性」とかいうのでは、余りにも実現が難しく、何だか遠い世界のヒトゴト話にしかならず、話として面白くとも「願望充足物」としては失格だから。
 「イヤイヤ、オレなら彼女のアニメ好きを軽蔑せず黙っているに留まらず、ディープなオタク蘊蓄トークで3、4時間は軽くもたせるぜ」とかいう所まで行くと、ハードルを高く跳びすぎで、ヒロインも引いちゃうんだろうな。
同属嫌悪として、視聴者も引く?

 話の作り方は、とにかく分かり易いけれど、ええと、伝統的。
 ヒロインを紹介するのに、主人公の知識に寄らず友人からの言葉として、「文武両道、才色兼備、良妻賢母の完璧超人。それでいて、それを鼻にかけない性格の良さ。コクって玉砕した奴は、老若男女合わせて三桁を下らない、って話だ」と設定書 読み上げの如く言わせるところ。
 ヒロインの危機と見るや、現れる無数の親衛隊員(彼女が持つ価値の実証)。
 主人公宅の、露出過多な同居女性。
 図書館で見せる、パンツ露出や事故による体の接触を含む、都合が良いドタバタのやり取り。
 他人行儀を嫌い「私のこと、(性ではなく名前の)春香って呼んで欲しいんです」とか言い出す段階は、さすがにまだ早いと思うけど…
 この手の作品のパターンに乗っ取っており、それ故 何の不明点もない。
これらは、物語を進める上で非常に便利な、短時間で理解してもらえて有効な、先人が苦難の末に作り上げたテンプレートであり、自分も よく使わせて頂くので、あんまり語ると自縄自縛になりそう(^_^;)。
 それらにより組み立てられた作品を、「気持ち良く、楽しく見られた」と取るか「ちょっとはオリジナリティーを持たせたらどう?見終わっても何の印象も残らないぞ」と取るかは、見る側のアニメ(物語全般)に対する鑑賞数の多少と、登場キャラクターに対する好感度の高低と、「こういう作品がそもそも好きかどうか」と、視聴時の精神状態…辺りに寄るか。

 作画は頑張っていて、女の子が可愛く描けている。
 第一話で抱いた「期待」は(余り面白く感じなかったならその「失望」も)、最後まで裏切られる事はないと思う。
 もう少し見続けてみよう。


2008年7月10日 木曜日

『セキレイ』02.「新屋ノ扉」

 雲の上まで飛び上がったは良いけれど、降りる方法を考えていなかった結、そして皆人。
落ちてきた所に たまたまあった下宿荘で夕飯をゴチソウになり、入居者を募集していたので そのまま転入する事にしたら、そこにはセキレイも居れば何事か企みがあるっぽい男(女?)も居ました。
 …見事に段取り通りで都合が良すぎるけど、こういう手の作品でリアリティーやら余計な部分での苦労に一定以上の手間を掛けるのは無駄とも言え、展開の速さを喜ぶべきだろう。

 結が意外と好戦的なのは驚き。
相手は明確に戦いを嫌がっているのに、お構いなしだし。
 前回は逃げまどっていたけど…羽化を迎えた事で戦闘力が充実し、ちょっと拳を交えてみたくなったのかな。
皆人を守る、という気持ちより先に、スーパーサイヤ人的「強い奴と戦いたい」本能が現れてきた?

 今回もサービスは充実していて、結が全裸で皆人に抱きついたりするが、規制により大事な部分が全て隠されている事もあり、どちらかというと皆人妹が持ってきた学校の制服を ぱつんぱつんに着こなした結の、四つんばいで短いスカートの裾を揺らせながら掃除をする姿の方が、色っぽい(全裸より着衣の方に色気を感じるようになったらオッサンだ、という話も)。
またこの着替えに何の意味もない辺り、「分かってるなあ」(笑)。
 ちょっと出た妹は可愛く、下宿荘の未亡人も美しい。
同人展開には不足のない、というか、迷ってしまうぐらいの多彩な布陣だろう。



『魔法遣いに大切なこと 夏のソラ』02.「東京」

 写真のような背景は健在…というか、人工物が多くなったことで益々写真っぽい。
 「写真をデジタルで加工した絵、あるいはそういう部分を含む絵」なのか、「写真は参考にしただけで、実写っぽく見えるよう努力して描かれた絵」なのか。
ビルの壁面などに、写真をデジタル加工した際に特有の汚れ模様が見える時があり、それも「やっぱり写真加工だから」なのか「そう錯覚するように描いてある」のか。
 日本の背景美術レベルの高さなら、写真に見える背景を描くことも十分可能だと思うので、分からない…
 問うべきは、「それが作品の完成度を高めることに貢献しているかどうか」だろうが。

 背景の凄さを除けば、ヒロインが東京に着き、迷いながら学校に顔を出して、下宿先に到着するまでを三十分掛けて見せる、のんびりした内容。
チョイチョイと詰めて、先週の第一話と合わせ一本にまとめることは難しくないだろうが、テーマとして「ゆったりとした気分」を味わって欲しいアニメなのかな?
 それにしては、もの凄い挙動でトレーラーが高速道路の高架を乗り越えて(先に事故った軽自動車などをジャンプ台に飛んでしまった、という事なのか)落ちてくる所なんて、とても「ゆったり」ではなかったが。

 そのトレーラーを空中で支えたソラの魔法。
これだけの突発的緊急事態に、完璧な対処魔法であり、お兄ちゃんの言い分ではないが確かに「要らねえだろ、そんだけ遣えたら、研修なんて」と思わせられる見事さ。
 パワーの配分を間違えて車体を歪ませてしまうとか、全力で弾いたためにトレーラーが遠くまで飛んで行ってしまう、あるいは偶然居合わせた他の優秀な魔法研修生に助けてもらう、等して、まずヒロインの「荒削りな未完成さと可能性」を感じさせるのが、パターンなんだけど。
 これだけ凄い物を見せられた後で、「水を凍らせるテスト」なんかされても、遙かにスケールダウンした魔法の遣い方な訳で、ハラハラもドキドキもしない。
 なら逆に、「事故の際自分で語っていたように、無意識ではともかく、意識しては魔法を上手く遣えない」「そのため、全く何も出来ず周囲から見下される」といった意外性を設けるべきかと。
これも普通に成功してしまい、そのパワフルさに賞賛の声を受けるのでは…うーん、妥当だ、としか。
 ソラは「魔法遣いとしてほぼ完璧な才能を持っている」という事なのか。

 研修教室で、ソラにライバルの子が話しかける「あなたも魔法、遣えるんだ」というのは、どういう意味?
元々そういう才能を持った人間が集まってくる教室じゃないの?
 突然「死んだ人間を生き返らせる」魔法について質問する唐突さにも、面食らう。
ライバル女性のアイデンティティーに関わる重要な意見提示だったのだろうと思うが、何もこんな脈絡無く、焦って言わせなくても。

 不都合や不思議なことは多いけれど、それでも前作よりは ずっとマトモに構成できている…ような気がする。
多々ある問題も、何となく見ていれば看過できる物が多いと思うし。
 前作と同じ原作・脚本氏の、作劇レベルが上がった、という事だろうか(エラそう)。



『RD 潜脳調査室』14.「波と風」

 シリーズも折り返し点を(多分)迎えて、初めての総集編。
 制作上の都合もあり、こういう話も必要かな、と思っていれば、後半ミナモが海に潜る展開になって、ああ総集編だけで終わらせず ちゃんと新作画も挟むんだ、と喜んでいれば、イキナリ実写で見せられる海の中の風景。
 アニメに全くの実写動画を入れるのは、余程の演出的意図でもない限り、止めて欲しいなあ。
しかも、わざとなのかエラく荒れた画質で。
 うーん、ウミガメが泳ぐところとか、どうしても必要なシーンとは思えず、「ミナモ自身が海に潜りながら、メタルの海にダイブする波留を思い出す」事にして、これまでの彼の勇姿を音楽と共にでも見せれば良いのでは?
そうすると、彼女が見る幻覚(?)としての波留、の意味が分かり辛くなるか…

 本来は全編総集編で終わるはずだった、と考えれば、些細なことだし文句を言う筋合いでもないが。
 「海のシーンになると突然実写」という事では、劇場版『イデオン』とか『バルディオス』のラストを思い出してしまったり。



『恋姫†無双』01.「関羽、張飛と姉妹の契りを結ぶのこと」

 本当、『三国志』はよく題材にされる。
 『一騎当千』と同じく、これも『三国志』から、美少女キャラの名前と性格付けや設定の一部を借りた、バトル物になっていく…のかな?
時代設定や雰囲気は、まだしもこちらの方がオリジナルに近く、ここから壮大な物語を紡いでいくことも不可能ではあるまいが。

 キワキワの企画物だし、一話だけ見て視聴を終えて良いだろう、と思いつつ見たが、意外と まっとうに作られている。
 張飛を幼い少女に描き、体に似合わぬ戦闘力を持ちながらも内面は寂しがりの子供、とする事で、年長の関羽と「姉妹の契り」を結ぶ展開を自然に。
勇ましさも志もない契りだけど、ほのぼのとして可愛らしくはある。
 張飛を慕う子供達の姿を、パターン気味ではあるが しっかり抑えていたし、宿女将の人使いの荒さなど、細かいキャラの捉え方も楽しい。

 作画は、必要十分なレベル。
 見続けても損はないように思う…けれど、目新しさやオリジナリティーという部分では弱いため、三話ぐらいまで見ての判断で。



 お仕事で、かなり出来ていたネタが全ボツを喰らって、あわわわわ。


2008年7月9日 水曜日

『一騎当千 Great Guardians』01.「兵は国の大事なり」

 美少女による現代版三国志…というか、その名前をイタダキながら激しいバトルを繰り広げる美少女格闘物。
 もう三作目。
これも息が長い…一度アニメ化して成功を収めた作品なら、続編の成績も読みやすい、という意味で、企画を通すのが容易なのかな。

 初見の視聴者には分かり辛い第一話だったが、そもそも そういう人間を対象に作られた作品ではないと思うので、問題ないだろう。
 女の子達は可愛く、色っぽく描けており、露出した部分をボカして隠し「全部見たい人はDVDで」という所以外は、楽しい雰囲気。
 さして難しい設定は無いのだろうし、見続けていれば全体像も理解できるはず、と思いつつ、前2シリーズを見ていないので、今期も視聴はここまで。



『ウルトラヴァイオレットコード044』02.「…初恋」

 これは、キツい。
 アチコチ作画が乱れがちだし…
全話の脚本・演出を務める出ア監督の、個性が素材と合っていないのか、個性がもう時代と合っていないのか、自分と作品の相性が悪いだけか。
 監督の最近の作品でも、劇場版『AIR』や『雪の女王』は、凄く面白かった…とは言えないが、特に問題なく最後まで見続けられたのに。

 「感情を殺されている」設定ではあるが、それにしてもヒロインが魅力的に思えないし、そこから人間性を回復する「声」も よく分からず、説得力を感じない。
 彼女に取り、大きな存在になっていくのだろう若者にも面白味が足りず、物語としてその生死に興味を持たせられていない。
 それでもアクションで引き付けられれば何とか…なのだが、やはり監督独自の演出が迫力を削ぐ形になっており、刀で相手を斬りつけるシーンばかり見せられても、辛い。
昨日記述の『ワールド・デストラクション』なんかだと、ヒロインの華麗なアクションだけで、十分 画面への集中力を維持させられたと思うんだけど。

 これ以上見ても、文句ばかりになりそうなので、ここから本当の物語が始まりそうだという予感はありつつも、視聴脱落。


2008年7月8日 火曜日

『World Destruction ワールド・デストラクション〜世界撲滅の六人〜』01.「勇者には二通りある」

 原作ゲーム未プレイ…と思えば、これから発売になるのか。
9月発売であれば、丁度アニメがクライマックス近くになっているだろうから、ゲームのプロモーションとしては良いタイミング。

 冒頭、簡単なナレーションで世界観を説明するのに抵抗を感じたが、食堂で出されるメニューにより「砂の海」という特殊な舞台を身近に感じさせ、獣人ではない事が分かった途端 命を軽視される主人公で「獣人優先・人間虐待」の状況を実感させる、なかなか巧い導入部。
 ドタバタで偶然に同行する事になった男女二人が、事件を通じ、関係性を深めて、旅の仲間になっていく…こういうパターンのお手本の如くカッチリ作られた第一話。
 そこに、猫族にイケニエを取られる村人達で「獣人優先社会」設定にダメ押しし、もう一人の仲間とも邂逅させて、主人公・ヒロインVSモンスターVS猫族VS世界救済委員会VSクマ、という複雑な状況下でのアクションで一話を締めくくってみせる、ソツのない仕上がり。

 さすがプロダクション I.G、と思わせられるほど作画は良好。
ヒロインが可愛く、アクションも迫力をもって描けており、見応えアリ。
 主人公男性を女性に偽装するため胸に入れた詰め物が、何かの折に揺れ、「男」だし「単なる詰め物」だと思いながらも、絵的には変わらない事もあり、つい喜んで見てしまうのが男のサガで哀しい(笑)。
 普通、「世界を救う」のが主人公達の役割だろうに、「世界を撲滅する」ヒネくれた目的を持っているのが楽しい。
確かに、人間には住みづらそうな こんな世界、滅びたって痛痒を感じる理由は無いか。

 面白くなってくれる事を祈って、視聴継続。



『夏目友人帳』01.「夏目友人帳」

 原作は、ヨメが大ファンなので、既刊単行本を途中まで既読。
 アヤカシを出しながら、戦うでなく退治するでもなく、「友人」と接するように話を聞き悩みに応える主人公のスタイルが、独特。
 アニメとしては…素晴らしく優れている訳ではないが、問題もない出来映え。
もうちょっと作画や演出で「アニメになって良かった!」を感じさせて欲しかったけれど、そういう派手さには原作も縁がなく、地味で、ジワジワと胸に来るのが美点なので、この作り方にして間違いはない。

 原作でも第一話は設定紹介に終わっており、次回以降、物語が面白くなっていくから、しばらく見てみようかな。


2008年7月7日 月曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュR2』13.「過去 から の 刺客」

 ルルーシュがかけたギアスは解除されたものの、シャーリーは回復した記憶内容を触れ回ったり、巧く利用してやろうと企むような女の子ではなく、とりあえずギリギリの均衡を保つ。
 彼に対する様々な思いが渦巻き、混乱を来しつつ、しかし誰も信用できず頼ることも出来ない その孤独な心を誰よりも理解するシャーリー。
 でも、ルルーシュに協力して、無邪気さを装いスザクを遠ざける手腕は、割と策士な感じ。
いや、これぐらいの策略は、(恋する)女の子なら誰でも用いるのか。

 ロロとも折り合って、ルルーシュにまた一人、戦力には直結しないけれど、精神的支えになってくれるだろう仲間が…
と思えば、えええええええ!死んだ?
 まさかここまで悲惨な目に遭うとは予想もせず、本当に、見ながら「ええええ」とか声が出てしまう騒ぎ。
彼女は最後まで生き残ると思ったのになあ…ユーフェミアもそうだったが、このアニメ、「いい奴ほど先に死ぬ」を地で行ってるのかな(いい奴でないのも死んでるけど)。
 瀕死のシャーリーを、ギアスの力を借りても生き続けさせようと必死なルルーシュが、泣ける。
 シャーリーの目が赤く光っていた所からすると、一度キャンセルされた後は、再度ギアスを かけられる?
それなら、キャンセルさせる間もなくジェレミアをまた「オレンジ」にしてやれば…

 そのジェレミアが、実はルルーシュの味方、というのは本当なのか罠なのか。
いかにも罠っぽいんだけど。
シャーリーを撃ったのは、ロロに思えるけど、実はジェレミアとか?
 ジェレミア、ここまで重要な役割を果たすようになるのは、最初からの計画通りだったのかなあ。
本当は「使い捨て」予定のキャラが、便利に使われているウチにスタッフからの「愛情」を集めて…という事なんじゃないかと思うんだけど、そう見せて乱れのない進行なのかも知れず、読めない。
 最終的に、『マトリックス』エージェント・スミスみたいなボスキャラにまで化けるんじゃないかと、怖かったり楽しみだったり。

 化けるといえば、咲世子の出演率上昇ぶりも、凄い。
 オープニングの割と良いところに、トンでもない格好で出て来ているし。
 今回も、「アニメやゲームに出てくるメイドさんは、万能スーパーマンか可愛いだけで全く使えないかの両極端」という法則(そんなの無い)に従い、恐るべき体術でジェレミアと互角の戦いを見せた。
 ナイトメアに乗せれば、カレンの代理ぐらい務まるのでは。
実は、皇帝が兄妹の身を思って付けたナイトオブラウンズの一人だったりすると、ヒネり過ぎか。
 斬りつけられたばかりの体で無理をして、ルルーシュのため、ロロをヘリで運ぶ苦しそうな姿が変に色っぽく、ちょっとドキドキ。



『ゼロの使い魔〜三美姫の輪舞〜』01.「使い魔の刻印」

 これも息が長い、シリーズ第三弾。
毎年新作が放送されている、というのは凄いなあ。

 今作も、作画レベル・演出共に落ちること無く、ファンの期待を裏切らない出来。
 冒頭から、最終段階に進もうとしている才人とルイズにビックリ。
てっきり どちらかの見ている都合の良い夢なんだろう、と思えば、現実だった。
 ここまで気持ち的に盛り上がってしまうと、ツンデレな関係を保つのは無理としか考えられないが…
ああ なるほど、使い魔としての契約が解除されて、「絶対に二人は共に居なければならない」ある種「安心」な条件が消滅、不安定なところから もう一度、男女としての関係を結び直すシリーズになるのかな。
…第一話で、もうハッキリ答えは出てしまっているけれど。

 超人的な力を失っても懸命にルイズを守ろうとする才人が、健気で格好良い。
 どたばたのコミカルさは、今シリーズでも健在。
過剰なシリアスに流れず、見やすさと楽しさを保って欲しいな。
 視聴継続。



第6回アニマックス大賞受賞作品『タカネの自転車』

 CSのチャンネル・アニマックスで、オリジナル脚本を募集し、大賞を取った作品をアニメ化する企画の第6回目。
 今回は、とにかく残念な作画内容。
キャラに崩れが目立つし、止め絵を連続して苦しい内部事情を伺わせるのも頂けない。
 演出的にも、短い作品なのに なんで長く無駄なシーンを見せているのか?と疑問に思わせる部分があり、感心せず。

 そうなると、大賞を受賞した脚本にも、疑問符。
 そもそも、主人公が不思議な商売をする存在に出会って、苛立たされていた妹(弟)を売り渡し、自分の願望を叶えるが、後悔してアクションの挙げ句に取り返す…という筋立ては、前回受賞作と ほぼ同じ。
受賞者の責任ではないが、どうしてこう、似たような内容のモノを賞に選んだのだろうか。
 どこまで脚本に忠実にアニメ化されたのか分からないけれど、やっぱり妹を選ぶ選択の唐突さ、主人公の実力に寄らない勝負の行方、放り出されたようなラスト等、説得力や丁寧さにも欠ける。

 神社のイメージ、妹の造形、狐と狸を絡ませようというアイディア等々、基本の発想として面白い部分はあり、ここから「仕事」で揉まれてレベルを上げていけば将来期待できる、と判断されたのかな。
 受賞者さんは、頑張って、将来の映像世界を支える人材になって下さい、と今更なフォロー(こんなトコ読んでないだろうが)。


2008年7月6日 日曜日

『薬師寺涼子の怪奇事件簿』01.「銀座クライムタワー(前編)」

 田中 芳樹による原作小説は、何冊か読んでいたと思う。
 やりたい放題・言いたい放題のヒロインが、真面目な部下の男性を引き連れて、怪奇な事件を解決したり、作者の分身として世の中の不正を皮肉りつつ不正主に ご無体な事をしたりする作品。

 スーパー・ウーマンが痛快な活躍を見せる作品なのだし、「ノイタミナ」枠でも良いんじゃないか、と思っていたが、こうしてアニメ化されてみると、思った以上に男性視点で描かれていることが分かる。
ワガママな女性に引きずり回される「男性の喜び」、涼子の麗しい姿を「男性視点で鑑賞」、といったポイントに注力しており、女性が容易に感情移入して面白がれるような作り方をしていない。
 『涼宮ハルヒ』にも似ているだろうか。

 物語としては、まだ前編であり、どう話を閉じていくのか分からないけれど、特に難しいところなど無く、気軽に見られている。
 作画は、特に優れてはいないけれど、必要十分。
 シリーズとして物語の盛り上がりがある作品ではないと思うので、一話ずつのバラエティー性と、何より涼子の魅力をどれだけ演出できるかが成否を決めるだろう。
 しばらく視聴継続。



『ストライクウィッチーズ』01.「魔法少女」

 体の一部のみを覆う飛行ユニットを装着し、露出の多い姿で、空を自由に舞い敵と戦う少女達。
…あれ?コレもう見たんだっけ?『スカイガールズ』の再放送?と思ってしまうほど既視感。
 原作に関わった人間が同じ、という事で、似た雰囲気になるのは当然なのか。

 内容としては、もうパンツ・パンツ・パンツの連続。
ヒロインがセーラーの下に履いているのはブルマだとばかり思っていれば、もっと上の方まで繋がってるみたいだから、スクール水着かレオタードに近いモノ?
 作画が良好なので、少女達のお尻から太腿にかけてのラインが実に美しく、色っぽく、肉感的に描けている。
 敵の設定も、軍隊の有り様も、勿論飛行ユニットの無茶な形状まで、全てこの「少女らの肢体…特にパンツを見せるため」用意されている作品なのだから、絵を崩さないよう頑張って欲しいところ。

 他にも、魔法少女・軍事モノの微かな雰囲気・ケモノしっぽ等々、受けそうな属性を目一杯搭載。
 そういう作品としての形態を保つため、スタッフはよく考えて、「あんまり考えないようにしている」。
色々な所が すっ飛んでいる第一話だったけど、物語の進み方が早く(普通なら、前半だけで一話使って不思議ないぐらい)、余り気にならない。
真面目に突っ込んでも、「えー?パンツ見せたいだけのアニメだよ?」で、話が終わってしまいそうだし。
 男性向け作品だと、こうして割り切りやすいなあ。
女性向けの『図書館戦争』では、見方が分からず苦労してしまったが。
あれも、図書隊が全員美少女でパンツが見えるような制服を着用、良化隊はムサいオッサンばかりの画面構成なら…もしくはマトモな格好のヒロインに対し、下半身はパンツ一枚きりのケモノ尻尾つき美少年・美青年(美中年も?)で図書隊を編成してあれば、ウダウダ文句言わずに見られたか、安心して一話で視聴を終えていられたろう。

 取りあえず、視聴継続。
 しかし、何しろ既視感の強い作品なので、早めに何かしらの「見続けるオリジナルの価値」を感じられない限り、すーっとフェードアウトしてしまいそうな気も。



『マクロスFRONTIER』13.「メモリー・オブ・グローバル」

 マクロス型に書かれていた「グローバル」の文字は、初代マクロスのグローバル艦長と関係があるのかなあ?
 最初は、一条輝やミンメイが乗っていたマクロスその物か、と思ったが、それよりはずっと後の世代の、ランカも搭乗していた機体なのか。
 巨大移民宇宙船や、変形バルキリーも楽しいんだけど、やっぱりこの型のマクロス艦が出ると一気にワクワク度が上がってしまうのは、旧世代視聴者のサガ。

 前回、到着した惑星で待っていたのがブリタイとエキセドルに似たコンビで、反抗的な兵士はカムジンに似ており(ゼントラーディの設定から、似た姿の者が居て不思議はないが)、危機的状況をランカの歌で解決してしまうところからも、初代『マクロス』のストーリーを ざっとなぞったように感じられる。
 『マクロス ゼロ』を劇中劇として再現したこともあるし、『FRONTIER』では、シリーズの総決算をして見せようとしているのかな。

 怪しかったグレイスは、やっぱり敵側の人間(バジュラ?)だった。
これからもシェリルの側で、信用ある立場を利用して策略を巡らすのか…と思えば、死んだ?
 シェリルに何だかマズい感じの薬を飲ませていたし、ここで片付いてしまっては、今後 仕事や私生活でもシェリルが困らないかな。
グレイスが、量産の効くタイプであれば、「危ないところで助かった」とか何とか言いつつ、記憶を受け継いだ次の個体が しれっと登場する可能性もあるのか。
 オリジナル・シリーズに似たゼントラーディ人達も、カムジン似 含めて消滅?
 アルトが死ななかっただけ良かったか…危機一髪のシーンで、オリジナルでの柿崎の悲惨な死に方を、ちょっと思い出してしまったから。

 物語に加速が付いて来たと思え、次回が楽しみ。


2008年7月5日 土曜日

『鉄腕バーディー DECODE』01.「ONE PLUS ONE」

 原作連載開始から13年、二度目のアニメ化。
原作は一度中断し、また最初から語り始める形でリメイクされている。
 「宇宙人と合体した少年が、犯罪宇宙人と戦う」筋立ては、『二十億の針』であり『ウルトラマン』でもあり、第一期連載当時でも「斬新」というアイディアではなかったが、第二期連載時からはもう「古典的」なぐらいに。
それを、「ロボットを一人混ぜた学園物」→『究極超人あ〜る』、「巨大ロボット警察」→『パトレイバー』といった例で実証されているように、ゆうきまさみ先生独自のモノの見方・物語の作り方でもって、「見たことがない・面白い作品」へと組み替えてある。

 冒頭部は、既に新旧原作で二度読んでおり、OVAでも確か…憶えてないけど原作から大きく改変してはいなかったと思うので、この第一話はその再確認にしかならないだろう、と思っていたが…
 とにかく、どれからも かなり変えられているのに、驚く。
 バーディーをアイドルにしてあるのが今風。
上手く使えば、学園と宇宙人バトルに もう一つ視点を追加できて、面白くなりそう。

 作画は高品質で、アクションの間にバーディーの体の柔らかさがチラリと表現されている所など、巧い。
 『バーディー』という「題材」を用いて、どれぐらい新しく、面白いアニメを作り上げられるか、に挑んでもらえると、個人的に見る価値が大きく出来てくるな。
 視聴継続。


2008年7月4日 金曜日

『ひだまりスケッチ×365』01.「はじめまして! うめてんてー」

 一年チョイの時間をおいて、アニメ第二期のスタート。
 再開第一話として、入試の様子とアパートに入居したばかりの時期を描く、「エピソード・ゼロ」を選ぶ親切さが結構。
分かり辛い設定など無いため、ここから始めなくても視聴者はさして混乱しないだろうが、見易くするに越した事はない。

 ヒネった、面白い演出が連続する作り方は、健在。
しかし…前シーズンでは「作画の負担を演出で軽減」という意図が感じられた…ような気がするけど、今期は「手間の掛かった、レベルが高い作画を前提として演出を組み立ててある」と見える。
 全力疾走する母娘の迫力や、ベッドに腰掛けて母親にもたれかかり甘える ゆのの「体重」を感じさせるスプリングの揺れ、両親との別離を前に見せる ゆのの殊更元気で軽快な ぴょんぴょんジャンプ……作画的な見所が多い。
これを毎回維持できるかは、分からないが。

 入試の日に遅刻してくる吉野屋先生、丼を持って図々しく引っ越し蕎麦を要求に訪れる宮子(今後も食生活を頼る気満々)、優しく後輩や友達の面倒を見るヒロ、徹夜の連続でドアから手だけ見せる沙英、そして、とても良い子の ゆの(まだ お父さんにチョコレートをあげている、というのが、オッサン視聴者にはツボだなあ)。
 変わらず愉快で、好感が持てるキャラクター達と再会でき、ただ嬉しい。

 当然のごとく、視聴継続。
最後まで楽しく見続けられそう。



『西洋骨董洋菓子店 〜アンティーク〜』01.「再会の酸味」

 原作未読。実写ドラマ版は所々見ている。

 うう……
 第一話から「魔性のゲイ」とか言い出す同性愛風味は、まあ良いとして。
いや個人的趣味としては良くないんだけど、取りあえず置いといて。
 作画や演出が、ツカミとなるべき冒頭部から冴えないのは、辛い。

 キャラクターデザインと特殊な色の塗り方は、意図的なものだろうから構わないが、背景から浮いてしまい、違和感を感じさせるのは拙い。
『魔法遣いに─』のキャラも背景と融け合っていなかったけれど、あれは「高いレベルでの食い合わせの悪さ」であり、ただ画面の貧しさ…アマチュアアニメっぽさ さえ感じさせる この作品とは、違う。
 せめてキャラをカッチリと上手く描いてくれたら、画面の問題はかなりカバーできたろうに、顔の崩れや体付きの おかしさばかり目立つ作画で残念。
 意味の無い間を取ったり、ギャグのテンポが悪かったりと、演出の不手際も多々。

 お話として、まずまずの出だしだとは思うが、次回へと興味を引っ張っていく要素が弱い。
 小野が作るケーキを一口ぐらい、食べてやるべきじゃなかったろうか。
「洋菓子店」は舞台に過ぎず、そこでの売り物の美味い不味いを追求していく作品ではないのかな。
 他に従業員を集めようとはしていないみたいだし、店が抱える問題は「『魔性のゲイ』の魅力に抵抗し続けられるのかどうか」だけ?

 「ノイタミナ」枠は、題材が個人的好みに合う・合わないの差はあったものの、どの作品もクオリティーが高く、最後まで見続けさせるだけのパワーを持っていた。
 しかしこれは…
文句ばかりになりそうなので、視聴終了。



『スケアクロウマン SCARECROWMAN THE ANIMATION』01.「20年目の朝」

 番組予告は見ていて、3Dアニメだという事は既知。
 いかにも子供番組っぽい雰囲気から、「コレはさすがにいい歳の大人が見るアニメじゃない、視聴終了」か…予想を嬉しい方向に裏切ってくれた『ファイアボール』の奇跡再び、を期待して見た。
 3Dアニメの出来自体は、必要十分、という所。

 毒のあるブラックな内容ではなく、子供向けの幼い内容でもなく、癒し系作品。
 スケアクロウマンは、お爺さんが作った普通の案山子なのだが、自意識を持っており、落雷と共に現れた光の球が体に入ることで自由に動けるようになった。
…何故?は無い。
ただの案山子が動いている所を見ても、彼が世話になる母娘を始め、誰も驚かない。
 そういう世界。

 特に何が起きる訳でもなく(案山子が動き出して母子の店の二階で色々なモノを修理したり作ったりしている、という異様さを忘れれば)、ふわふわっと第一話は終わった。
 夜中に放送しているのがよく分からない、子供が見られる時間帯にNHKで放送するのが相応しい、絵本のような作品。
 しばらく見続けたい。


2008年7月3日 木曜日

『セキレイ』01.「セキレイ」

 原作は、一巻目だけ読んでいる。
…が、ちょっと前に読んだので、比べてどうこう言えるほどは記憶になく。

 とにかく、作画の良さに引かれる第一話。
 アクションも頑張っているけど、それよりヒロインの巨乳とパンツ描写に全勢力を注入しているように見え、勿論それが商売として正しいと思う。
胸の軟らかさの表現は相当に優れていて、参考になる・見習いたい部分が多々。
 ただ、「エッチな格好をした美少女達が格闘戦を繰り広げる」作品なら他にもあり、差別化を図るには、作画クオリティーを保ちつつ、キャラクターとしての魅力も付加しなければならないだろう。

 お話は、冴えない主人公男子と不思議な少女が出会い、同居生活を送るようになって、強いキャラクター性を持つ訳ではない どちらかというと内省的な大人しい主人公に対し、少女は無条件の好意を示す…といった、こういうパターンの実にスタンダードなもの。
 ヒロインは、大食いではあるようだが、普通に食べられる食事を作るようだし、特にマイナス要因はなく、困った点と言えば裸を主人公の目に晒すのに抵抗がない事、ぐらい。
実に居心地が良く、願望充足モノとして合格の造形。

 どこも悪くない、良く出来ていると言える第一話だったが、「この作品ならでは」の魅力には欠ける。
それは、対戦相手の美少女キャラが出揃ったり、世界の全貌が見えてくると、感じられるようになるのかな。
 しばらく見続けよう。



『スレイヤーズREVOLUTION』01.「AMAZING 驚愕のドラグスレイブ!?」

 久々の復活。
最初のアニメ化から13年、最も近い年に公開された『スレイヤーズぷれみあむ』からでも、7年近く経っている。
 息が長いシリーズだなあ。

 かなり時間を置いた再開にしては、少々不親切。
リナのキャラクターだけはドカンと強烈に立てられていたが、突然現れたゼルガディスやアメリアとの関係など、ここから見始めた視聴者には分かり辛かったろう。
 …まあ、この作品は何よりもまず「リナ=インバース」の個性でもっており、彼女の事さえ理解してもらえれば、他のキャラや世界の設定は、「リナの仲間・味方」「リナの敵」「リナも知らない謎の存在」といった割り切り方で問題ないけど。

 ブランクを感じさせないドタバタギャグの雰囲気は懐かしかったが、「あの頃と変わらない」のは「もう時代からズレている」という事にも繋がるので、年若い視聴者に受け入れてもらえるかどうかは不明。
 今作では、新しいエピソードを語りつつも、狙いとしては『ヤッターマン』復活に近いものなのかな。
 悪くない第一話だったし、ここからガクンとレベルが落ちて失望させられる事は まず無いと思うけれど、『スレイヤーズ』に期待するものは既にほぼ見せてもらった、と考えているため、視聴継続の意欲は低め。



 無理だー、無理だよー、さすがに押井 守を『笑っていいとも!』に出すのは無理すぎたよー。
もっと夜中の番組ででも、じっくり時間を掛けて、話を聞いて上げて欲しい。
 しかし、飛行機に関するマニアックな話題を普通に振れるタモリは、さすがだ。



『魔法遣いに大切なこと 夏のソラ』01.「美瑛にて」

 前作アニメの放送は、もう五年ぐらい前になるのか。
 魔法へのアプローチや物語の作り方、ヒロインの有り様が好みに合わず、文句ばかり言っていたような印象。
ええと、東京タワーを曲げちゃったりしたんだっけ?もう余り憶えていないが。
 ヒロインを変え、新たに語り始められるシリーズ。

 とにかく、背景美術が凄いのに驚く。
写真か?と思わせられたシーンがいくつも。
 余りにもリアルな背景と、デフォルメされたキャラが独特の雰囲気を…個人的には少々違和感を…醸し出している。
嘘のない世界背景の上に、「魔法」という嘘を、今後、どうキレイに乗せていくのだろうか。

 物語は、東京に旅立つヒロインの前日の行動を丁寧に追ったもので、彼女の性格や周囲の環境、友人との関係に加え、魔法が普通にあるらしい世界観を示す、ソツのない内容。
 ただ、次回への引きは弱く、「東京に何が待っているのか」といった期待や不安を抱かせてはくれない。
 もう少し…「ヒロインが魔法を使うシーン」にでも物語を絞り込み、驚異・感動といった感情を演出した方が、一本の話としてまとまりは良くなったろうか。

 ちょっと気になったのは、畑の中から娘に向け走って来ようとする母親が、途中でコケたのに、ヒロインは声を掛けるだけで特に動きを見せないところ。
反射的に駆け寄らせるべきでは?
 その後、母親が、東京から連絡が来たことを告げると、ヒロインは力一杯母親の元に駆け寄って抱きしめるのだから、「畑に入れない」とかそういう理由付けがあった訳ではない。
 まあ、ヒロインも若いのだし人間だし将来のことで頭が満たされ余裕も無かろうと考えれば、不自然だったり非情だったりする演出ではないが、やたら周囲が彼女を「良い子だ良い子だ」言うので、それにしては気になる描き方をしてるなあ、と。

 旅立つ娘を見送る母親が、車が走り去るのと反対の方向を向いて娘の名前を呼ぶシーン、泣き顔を見せたくないんだろうな、と感じさせる、なかなか細かい芝居付けが成されていた。
 単純に「萌え」には繋がり辛かろう、アクのあるキャラクターデザインは、吉と出るか凶と出るか。
 視聴継続。


2008年7月2日 水曜日

『RD 潜脳調査室』13.「もうひとつの海」

 波留の記憶の海へと静かに潜っていく、穏やかで心に染みる話。
彼を理解する上で、もっと早くやっていて良かった、見せて欲しかった内容。
 少年時代のエピソードは、彼を形作る際のイメージ元になっているのであろう、『グラン・ブルー』のワンシーンを思い起こさせる。

 回想シーンで、セリフの代わりに心情を表現するBGMが良く、特に矢沢永吉の「時間よ止まれ」は…
タイトルがそのまま、過ぎ去った帰らぬ時を振り返り、残り そう長くない彼の人生を表し、醸し出される「夏」と「海」の空気が作品内容を更に豊かにする。
 また、二十年ほど昔のヒットソングを流すことで、(年長の視聴者を)その時代の気分に引き戻し、波留が感じている「過ぎ去った長い時間」を、同様に体感させる働きもあったろうか。
個人的には、新宿駅構内の、もうとっくに無くなったカレー屋で、映画上映時間までの僅かな間に、焦ってカレーを掻き込んでいた際、店のスピーカーから この曲が流れていたことを鮮烈に思い出し(年寄りは古い事を急にハッキリ思い出す)、あれからもう二十年も経ったのかと思い、目眩が。
それにしても、自分などは無為に過ごした期間が長いにせよその間の記憶を持っているが、数十年の時間が飛んで気が付いてみれば年老いて不自由な体になっていた波留は、どういう気持ちだったのだろう。

 そんな波留の心をミナモは知る由もないけれど、それ故の屈託の無さが、彼の心を救っていく。
その出会いが人生を変えたイルカに、ミナモを重ねる波留の心情表現が上手い。
 ちょっと「お年寄り萌え」っぽく、波留の言葉に頬を赤らめるミナモに、笑ってしまう。
外見ではなく、心の内の若さ・格好良さに惹かれているのかな。



『ウルトラヴァイオレットコード044』01.「旅立ち・・・」

 ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のSFアクション映画から新たに企画された、オリジナルアニメーション作品。
 しかし…あの映画そのものが、大ヒット!という程でもなく終わったような。
これでイケる!という確信は、どの辺りから湧いてきたのだろう?

 映画についての記憶は、もう薄れている。
派手なアクションが連続したことと、CGが少々安っぽかったこと、『攻殻機動隊』素子を彷彿とさせるイメージでミラが撮られていたことのみ、鮮烈。
 ストーリーは「分かったような分からんような」…アクションとヒロインの魅力だけで勝負しようとしてたため、物語への拘りや分かり易くする語り口には興味がなかったと思える。
 これをアニメ化するなら、監督には『攻殻』の押井 守か、同シリーズの神山 健治あたりがベストだったろう(彼らが引き受けたかは別にして)。

 出ア 統監督は…年寄りアニメファンとしては、かつて傑作を連続して作り上げて見せてくれた、「信仰」の対象にもなるぐらいの名監督だし、ゴタゴタ言いたくないんだけど…余り、この作品に向いているとは、言い難い。
 そのアクション演出は「ストーリーを語る上で必要な部分を『動』として描いている」といった扱いで、最近の傾向である「アクションの凄さを見せるのが目的であり、ストーリーは添え物」とする作り方は、出来ないのだと思う。
 監督を監督たらしめている個性の、所謂「出ア演出」が また、斬新さや派手さより、現在となっては「様式美」とさえ捉えられる…若干古い、スタンダードな演出法になってしまっており、ハッと目を引くものに成り得ないのも辛い。

 それでも、映画とは別物として、アクションを出来る限り多用し、美しいヒロインの謎めいた魅力や次々襲いかかる危機で視聴者の興味を繋ぎ止め、次回へと引き摺っていく作り方は可能だったろう。
 しかし、実際の第一話は、ヒロインの出自や現在の仕事内容・心理状態、世界の基本設定から、ヒロインを診察する医師の心の内側まで語らせるモノローグで全体を埋め尽くす、面白味に欠けた内容。
 SFならではの分かり辛さを排除しようとした「親切」な作り、とも言えるけど…
キャラクターや物語に興味を抱かせる前に、延々と続くセリフで処理する設定紹介は、多くの視聴者にとって「負担」にしかならない、という事ぐらい、大ベテランの監督に分からないはずがないのに。

 まだ本筋が動き出していない段階なので、取りあえず三話目ぐらいまでは様子見。
 面白くなってくれると良いなあ……


2008年7月1日 火曜日

『ファイアボール』最終13話.「夢の生まれる場所」

 またも人類側の猛攻撃に遭い、危機に瀕している王城。
 いつものように のほほんと乗り越えるかと思えば、割と本当に危ないっぽい。
 ふざけるのを止め、誇りを守るべく、カポエイラ…空手の構えを取り、初めて正しくゲデヒトニスの名前を呼んで、事態に対し敢然と立ち向かうことを示すドロッセルに、不覚にもジーン。

 崩れた広間の壁越しに覗く、美しい外界。
 タイトルにもなっている「ファイアボール」が、父親の時代に作成された作戦(?)だと、ようやく明らかになる。
「新しい希望」とEpisode4みたいなサブタイトルが付けられている所からすると、絶体絶命状況から起死回生を図る内容なのか。
それとも、前置きからすると、人類との共存を目指すもの?
 ゲデヒトニスが言いかけた、「良い知らせ」とは?

 大した期待もなく、ディズニー短編らしい お行儀の良さで、正しく子供向け作品になるのだろう、と侮っていた本作。
蓋を開けてみれば、ブラックであったりシュールであったり意外なほどシリアスな設定背景が ほの見えたり、とにかく僅かな放送時間へとタイトに絞り込んだネタを詰め込んであり、次回は何を見せてくれるのか予想も付かず。
 とても楽しく見ていた作品なので、終わってしまうのは寂しい。
ドロッセルが可愛く思えてきたし、ゲデヒトニスの徹底した冷静さ・ツッコミ能力も冴えてきた所なのに。
 「危機は何とか回避しました」として、同じ大広間でまたグダグダと会話劇を繰り広げる続編を、希望。
 面白かった!



『コードギアス 反逆のルルーシュR2』12.「ラブ アタック !」

 生徒会長主導による、番外編的 学園バカ騒ぎエピソード。
 替え玉を務めていた咲世子の独断により、正体はバレなかったものの、地味な窮地に追い込まれているルルーシュが楽しい。
 「モテモテで、目立ちたがり体力馬鹿ルルーシュ」のキャラクターは、本人は不本意だったようだが、ルルーシュを見る周囲のイメージに沿ったモノなのか。
それとも…影の存在である事に普段から僅かなフラストレーションを感じていた、咲世子の内面が発現したもの?
 襲い来る花火ミサイルを華麗にかわし、空中で奇矯なポーズを取ってみせる咲世子ルルーシュに、大笑い。

 お笑いエピソードではあったけれど、その中に、ルルーシュへの気持ちを募らせていく(しばらく扱いが薄かった)シャーリーへのフォローを織り込み、チラチラと描かれてきた生徒会長の人生選択について、気持ち良く、力強いエピローグを用意してあげる優しさ・キャラへの愛情が嬉しい。
 生徒会長、ロイドの婚約者のままなら、今後も普通に出番がキープできたろうに。
いや、一応はマスコミに就職した(バイト?)ということで、騒動の際に駆り出されてゼロと対面、という展開も考えられるか。
……もの凄い数のキャラクターが出ているので、ぼちぼち整理していく事を考えなければなるまいが。

 今回は、ほのぼのと終わり…かと油断していれば、ギアスキャンセラー能力?
もう何度書いたか分からないけど、本当に次回への引きが上手いなあ。
 コレは次回を見ない訳にはいかない、早く見せて欲しい。
 シャーリーがまた、ギアス能力により色々とヤヤコシイ部分を封じ込めてあるキャラなので、面倒になりそう。
 他に…ギアスの継続能力で行動・記憶を統制しているキャラって、居たっけ?
スザクは死ぬなとかそんなんだし、ああ、学園の壁にずっと×印を描き続けている子が止めてしまう!(それが?)
今回、ルルーシュの帽子を取ったのが その×印の子かと、だからギアスが効かないとかそういう展開を予想したが、違った。


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