ときどき日記 2009/07
2009年7月31日 金曜日

 衛星で放送された映画『最後の恋のはじめ方』を見る。
 ウィル・スミス主演の、恋愛コメディー。
 恋愛下手な男達に雇われ、上手く行くよう指導する仕事をしている主人公。ある日、彼は一人の女性と知り合い…

 恋愛の切っ掛けを作る、コンサルタントの作戦がベタで楽しい。
本当にもう、「コンサルタントがヤクザに扮装して因縁を付け、彼女が困っている所に、依頼人が颯爽と登場して助ける」ぐらいベタベタ。
 こんなんで上手く行くのかなあ、とは思うけど、恋ってそういうモノだと言われれば、そうかも。

 こういう設定ならすぐ考えそうな、「コンサルタントが依頼人と同じ女性を好きになってしまい、苦悩」とか「『仕事』として、イヤな男の手助けもしてしまい、後でトラブルに」といったイベントさえ入らず、非常にスッキリした内容。
 恋愛の全てを見通す百戦錬磨のコンサルタント、だが実際は…という設定…それであんなに上手く行くものか?
結構 手間暇が掛かる仕事に思えるけど、代金は いくら取ってるんだろ?
疑問が色々。

 そういうヤヤコシイ部分に触れず、先が読めるストーリーになる事も恐れずに、恋愛の一番楽しい所だけを取り上げる事で、軽快なテンポの映画に仕上がり、最後まで気持ち良く見終えられる。
 劇中で語られるアドバイスについて、「そうかなあ?」もあるけれど、「なるほど」も割合多くあり、実恋愛の参考になるかはともかく、話の種にはなりそう。
 男前のウィル・スミスは当然ながら、依頼人として出てくるデブのオジサンまで、ストーリー進行と共に段々キュートに見えてくる、悩みのない、ハッピーな映画。


2009年7月30日 木曜日

『宙のまにまに』04.「夜明けまで」

 告白への美星の「妨害」に めげず、朔の、取りようによっては のろけに聞こえそうな話も素直に受け取って感動を分かち合う、姫は良い子だなあ。
外見から、もうちょっと傲慢であったりツンデレでも構わない気がするが、驚くぐらい素直で可愛い性格。
 美星よりヒロイン向き、かも。

 こちらは正しくツンデレの美味しい所を持っていきそうな、メガネ高飛車女子・文江もイイ感じ。
お互い通じる所を感じているようで、僅かな切っ掛けさえ あれば、一気に朔側に崩れてきそう。
 後は、小夜から強く好意を持たれれば、朔を中心としたハーレム構造が明確になるなあ。
 中では、美星が一番「女」としてのアピールに欠けており、幼馴染みとしてのアドバンテージ以外、朔争奪戦への勝ち目はほとんど無いかと。
現在は、ストーリーを引っ張り、コミカルな味付けを加える役割を果たしている彼女が、そこから はみ出す行動を見せ始める時、物語は一気に動き始めるのかな。

 合宿先、皆で見上げる満天の夜空は美しく。
やがて次第に明けていく朝の光に星が隠れていく様子を、清涼な空気さえ感じさせて見せる演出力が、素晴らしかった。


2009年7月29日 水曜日

『戦場のヴァルキュリア』17.「精霊節の贈り物」

 このアニメは、良く言えば「戦闘その物をテーマとしていない」、悪く言うと「真面目に戦闘を語れるだけ考えて作られていない」ため、今更だけど…
 『プライベート・ライアン』オマハビーチを思わせる、非常に困難な海岸要塞攻略。
遮蔽物もない海岸から、崖の上に数多く設けられた敵の射撃拠点をどう攻めれば良いのか、多少は練った戦術が見られるものと思っていたが、力業と言うにも余りに何も無い戦いぶり。

 どうやったのか、味方の軍は戦車も含め敵に気取られず海岸へと上陸を果たしており、視界が全く効かなくなる程の煙幕弾で敵の攻撃を遮断、なのに自軍戦車の砲撃は確実に敵拠点を潰していく。
 もう少し どうにか出来たのでは…
 大した傷でもない女性兵士の周りに隊長はじめ隊員達が集まり、一気呵成の進行を止めてしまうのも、どうだろ。
 いや、今回だけの話じゃなし、本当に今更か。

 部隊から初の戦死者が出た、らしい、というのが、今回描きたかった事なのだろう。
 こういう重いテーマを扱える程、しっかりした骨格を持つ作品なのかどうか。


2009年7月28日 火曜日

『うみねこのなく頃に』04.「EpisodeI-IV blunder」

 美少年使用人と当主が片付いた事により、生き残りは八人。
 スッキリ分かりやすくなってきた…けど、この人数で最後まで進めるのは難しそう。
『ひぐらし』と同様に、バッドエンド?を繰り返しながら、全ての謎が解かれるラストを目指す構成なのか。

 夏妃が、怪しい。
 テーブルの上に残されたメッセージを戦人が読み上げた際、取りあえず一段落付く所まで読んだのに、先を読むよう促したから。
内容について一瞥すらしていない訳で、全文の長短を判断できるはずがなく、確信を持って「まだ続きがある」と考えた理由は無いはず。
既に内容を知っていた…という以外。
 いや、「そんな短文じゃ意味が分からない、いくら何でも もう少し何か書いてあるだろう」と判断しただけかも知れず、読み上げて驚く戦人に対しカウンターを当ててテンポ良く進ませる演出かも知れず、「特に意味は無い」可能性すらあるか。

 『ひぐらし』からの お馴染み、コワい顔を やたら見せる真里亞。
 二重人格か憑依現象を表しているのだと思っていたが、戦人達は特に気にして居ない様子。
劇中人物には、「普通の子供の顔」だと見えている?
あるいは、異常性を秘めた子だし そういう事もあるよね、とか鷹揚に構えているのか。
 夏妃が疑心暗鬼から使用人達を追い出した際、犯人が居るかも知れない その中にフツーに真里亞を含めたが、戦人を含め全員、特に異を唱えず。
やっぱり「気持ち悪い」と思われている、あるいは他者の事なんて気にしている余裕がないのか。

 まだまだ、どうとでも取れる程度の情報しか提示されていないため、推理は難しく。
 でも、見ながらふと考えたりしてしまうのは、だいぶ内容に引き込まれてきたという事かな。



 衛星で放送された映画『スピード・レーサー』を見る。
 『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟監督による、『マッハGoGoGo』の実写リメイク。

 原作となっているアニメは、子供の頃見たっきりで、「ボタンで特殊装備が発動する車に乗った主人公がレースをする」という基本設定以外、ほとんど憶えていない状態での鑑賞。
 こんなにガッツンガッツンぶつけまくるレースだっけ。
純粋な腕で他車を抜いていくより、ぶつけて落としてクラッシュさせ、リタイアにより競争車を少なくして優勝しているような印象。
主人公側からすると、「仕方なく応えている」という事なのかな。
 反則となる装備の設定があったけど、ジャンプするのは別に構わないのね。
いや、現実のF1とかでも、ジャンプしたけりゃ ご勝手に、かも知れないが、普通一度で自爆するか。

 物語は、単純明快の勧善懲悪。
巨大企業は汚くて、家族経営工場は正しい。
ファミリーの絆は固く、努力は必ず報われ、正義は絶対に勝つ。
 今時なかなか見ないぐらいスッキリした、誤解しようがない話。

 予告では、とにかく画面が安っぽく見えて、もっとリアルなレースを描けば良いのにと思っていたが、映画全体を見ると、最初から最後まで、作られた、加工された、ケバケバの漫画っぽい画面で通しているため、気にならない。
「ある美意識で全体を統一する」というのは、大切。
 コースの構成や、CGによる車の走りからは、ゲーム『F-ZERO』を思い出す。
無茶苦茶なスピードでの ぶつけ合いなど、特に。

 画面の動きが速すぎて、何をしているのか分かり辛い所があったのは残念。
『トランスフォーマー』でも、今 誰と誰がどういう戦いを繰り広げているのか見失う事があり、情報量を均等に盛り込みすぎてしまう傾向のあるCGの弱味、だろうか。
描き手が適宜情報を整理する「高いレベルの」手描きアニメでは、余りこういう事は無いのだけど。
 人の顔や体をスライドさせて場面を転換する、昨今 見ない古い演出を多用。
原作がこうなのかな?独特の効果を上げていたと思う。

 最後までハイテンションを保ち、闇雲なレースの迫力で見る者を圧倒し、「雑味」が無く後味のスッキリした、良く出来ている娯楽映画。
 劇場で見た方が、音と画面が織りなすトリップ感覚を堪能できたろうな。


2009年7月27日 月曜日

『かなめも』04.「はじめての、プール」

 新聞販売店、という舞台を活用して物語を作っているのが、楽しい。
 配達名簿に書かれた記号の意味とか、今回なら販売促進用チケットの存在。
チケットは、「勧誘される側」として自分も提示された覚えは多々あるけれど、「勧誘する側」が それをどう思い、客側からの要求をどう捉えているのか、という視点で描いているのが、面白い。
 チケットを、どういうルートからどのように入手し、新聞一ヶ月分の代金では元が取れない高価なモノに対して どう採算が取られているのか、まで踏み込むと更に興味深かったろうが、それは ほのぼのコメディー作品で やる事じゃないか。

 ツンデレライバルなようでいて、既にヒロインに籠絡されまくっている少女・久地院美華。
ヒロインが、「新聞販売店で生きていく自分」を自覚するのに必要なキャラだと思え、笑いを生み出すだけでない存在感が。
 テレビやネットに押され、厳しい局面にある現実の新聞業界を思えば、美華と仲良くするヒロインより、敵意剥き出しにする所長代理の方がリアルだろうな。

 水着姿でのミュージカルを披露し、契約を取る配達ガールズ。
こういうサービスがあるなら、新聞を取ろうかという気分にもなるだろう。
 必ずしもプラスなばかりとは言えない新聞勧誘員のイメージを、向上させてくれるアニメ(向上・補正対象は、美少女から美女に限られるが)。
 朝日も毎日も読売も、CM枠を取って応援すべきじゃないか?


2009年7月26日 日曜日

『化物語』04.「まよいマイマイ 其ノ貮」

 分かったような分からんような、キレイに決まっているような言い掛かりのような、理屈と言葉遊びを多用し、かなり力業で話を進めていく作品。
 キャラクターが二人以上集まり、話し始めると、もう止まらない。
延々と続く妙な会話劇は、それ自体として面白いものではあるが、下手をすると「これなら音声のみで良い」と言われかねない所を、奇妙さ加減では引けを取らない演出により、画的にカバー…というか真っ向勝負のぶつかり合いに近い体裁。

 声だけ聞いても、画面だけ見ていても、ダメ。
両方をバランス良く取り入れて咀嚼し、バランス良く聞き流し・見流す事が必要。
 視聴者に楽を許さない、面白い、しかしシンドさも若干含むアニメ。
 会話・画面について、過剰なデコレーションを取り除けば、割合シンプルで、まっとうなストーリーかと。
その余剰こそが、この作品の面白さだと思うけど。



『狼と香辛料II』03.「狼と埋まらない溝」

 ホロに対し、余りにも真っ直ぐな気持ちをブチ上げるアマーティ。
 しかし、ロレンスとホロの関係がそう簡単に揺らぐはずはなく…
と思えば、思わぬ所から入る亀裂。

 動揺と孤独感に突き動かされ、子供を作ろうともちかけるホロ。
妄想やら同人誌展開的には大変嬉しい言葉だけれど、こんな状態に付け込むようなマネをするのは、ロレンスのプライドが許さず、ホロへの想いも そこまで安っぽくなかった、という事かな。
 ショックを受けても、ホロはロレンスを拒んで逃げ出したりしなかった訳で、子作りはともかく、いくらか気が利いた言葉や態度によって割合簡単に関係は修復できそうに思う。
別にウソをつく必要はなく、ホロが求めているモノはロレンスの内に元からあるだろうに。
 悪いヤツじゃないけど、男として・商人としても、まだまだ だなあ。
 いや、自分が彼の立場に置かれてベストの対応を取れるか、そもそも「そういう対応を求められる関係」をホロとの間に構築できるか、といえば、はなはだ疑問ではあるが。

 二人の絆が強固なものであるのは確かでも、意外にまだ「恋」という段階に達していなかったのだろうか。
 この大きなイベントを経て、ようやく一歩を踏み出す事になるのかな。


2009年7月25日 土曜日

『涼宮ハルヒの憂鬱』17.「エンドレスエイト」

 このタイトルを何度も打っているため、「エンドレ」ぐらいの時点で「エンドレスエイト」が変換候補として出てくるようになってしまった。
 いや、それはもう何回も前からだっけ?
もう一万回以上も同じタイトル入力を繰り返してきたのではなかったか?

 そうそう、書き忘れていたけど、みくるの言葉の中に強制的に割り込んでいるかのような「禁則事項」という単語。
 うっかり ぼんやりの みくるが、自覚して危険なワードだけを飛ばして(伏せ字変換して)いるとは思えず、過去に来る際、未来技術により脳の一部知識へとブロックが掛けられ、そのことを口にしようとすると本人の意志に寄らず「禁則事項」に誤変換されているのかな…と思った。
だから、本人はアレでフツーに話しているつもりではないかと。
 …「何話前のネタだよ今更」とか言われかねない話題だけど、ほぼ同じ内容を繰り返してくれているお陰で(一回目にだけはなかったんだっけ?)、別に今書いても時季外れにならない。
有り難いんだか有り難くないんだか。

 既に多くの視聴者を振り落としているのではないかと思われる、六回目。
 作画の頑張りは変わらず、だけれど、さすがにずっと内容を注視する事は出来ず、申し訳ないけど気が付けばネットを眺めていたり。
 本放送でさえ集中力が欠如してしまう騒ぎなのに、これをいつか、購入・レンタルの形で お金を払ってまで見返したいと思うだろうか……

 意図が分からないなあ。
 前代未聞の挑戦をしたいだけなら、繰り返し三回ぐらいで、もう今後アニメ界において同様の試みが成される事はないと、断言できる。
想像を絶する馬鹿制作者と馬鹿上層部の揃う作品が現れない限り、だけど。
恐らくは、ここ数話をソフト化した際の売り上げが、追随作品の制作を更に難しくするだろう。
 話題作りにしても、とうに限界を超え、「完結編になるまで見る必要がない」「最後の数分間だけ見て『またか』を確認すればもう十分」という宜しくない話題にしか、ならなくなっているかと。

 繰り返しにしたって、ドコか一部が大きく変わりつつ、しかしループからは逃げ出せないとするとか、視点を一回ごとに変え、キョンの次は みくる、長門、古泉が体験した「エンドレスエイト」という形態で見せれば、こんなに飽きられる事はなかったろう。
 ……そんな事ぐらい分かってるんだよね、制作者。
分かった上で、客を振り落とすだけの「ほとんど変わらない繰り返しを今週も」見せてるんだよね。

 これで「オチ」が上手く決まらなかった場合、そのダメージは大きすぎる物となりそう。
 六回目まで来た、という事は、本当に「エイト」で八回目までは繰り返すんだろうな。
 果たして奇跡のラストは有り得るのか?
どうまとめれば良いのか、自分などには想像も付かないけれど。
視聴者の興味は、今もう、そこにしか無いと思うので。
 既に、「実はハルヒは こういう事(デートしたいとか、みんなで宿題やりたいとか)を物足りなく思っていました」というだけのオチでは、納得できない気分。
物語として、じゃなく、異様な構成を取ったアニメとしてのオトシマエが必要。

 演出・作画・声優さんなどスタッフは、頑張った結果として「つまらない、出来が悪いと言われた」ならまだしも、「同じ事の繰り返し何回目かなので、必要を感じず見なかった」と言われては、立つ瀬が無かろう。
 そういう事態への責任を、上の人はどう考えているのかな。


2009年7月24日 金曜日

 衛星で放送された映画『呪怨 パンデミック』を見る。
 日本のホラー映画『呪怨』の、ハリウッドリメイク二作目。
 監督は、日本オリジナル版と同じく、清水 崇。

 ビデオ版から ずっと見てきた身としては、さすがに限界を感じてしまう。
 白塗りの子供が膝抱えて座り込んでニャーと鳴き、白塗りお母ちゃんが怖い顔して迫ってくる、という、ほぼこれだけしかパターンがないため、もうほとんど怖くなく。
 かといって、CGを用いてみたりヒネったパターンを使ってみたりすると、「こんなの『呪怨』じゃない」になってしまうのが、難しい所。

 舞台を日本と海外に分ける構成が、追い詰められるような怖さを分散させてしまっており、残念。
 時系列をいじる作りも、恐怖に繋がらないのは勿論、なるほどと感心させてくれる事さえなく、ただ分かり辛くしているだけかと。
 お母ちゃん誕生の秘密は、明かす必要があったのかどうか。
『呪怨』は、道理の通らない気持ち悪さがキモだと思うので、変にスジを通してしまうのは良くないような。
まあ、山奥の寒村に住む老婆が英語ペラペラなのは、スジが通らず居心地悪かったけれど。

 長い廊下の向こうから、天井の灯りが次々に消えていき、闇が迫ってくる度、一瞬だけ お母ちゃんの姿が見える演出が妙に格好良い。
バットマンに似合いそう。
 学校教員室で、友人二人が行方不明になった(死んだ)と怯える女生徒に向かい、女教師が「何言ってるの?あなたの横にずっと居るじゃない」というシーンは、怪談っぽくて楽しい。

 国内・海外と、時間も場所も問わず飛び回り、呪い殺す人数の増加に多忙を極める白塗り母子の奮闘ぶりを、「なんでだよ!」「そんな所から出てくるのか!」「いくら何でも頑張り過ぎだろ!」等と突っ込みつつ、楽しむ映画。
 海外で起こした事件により、新しい「呪いの家」が誕生した、って事で、次作に続ける目論見なのかな?



『東京マグニチュード8.0』03.「燃える、橋」

 子供達と保護者が歩いていく際、苛立った人々に突き飛ばされたり怒鳴られたりするのは、リアル。
 しかし、コンビニ放出の食糧を食べる事により さして飢えてもいないなら、ベビーカーが引っ掛かって難儀している母親に、誰も手を貸さないのは不自然。
困難な事態下でも変わらない真理の優しさを演出しようという意図なんだろうけど、うーん。
 未来が、悠貴が、はぐれてしまったかと見せて、すぐ何事もなく再会できるイベントを続けてしまう工夫の無さも、うーん。

 劇中で言われていたように、真理が、見ず知らずの姉弟に関わって行動を遅らせ、子供の元への帰宅を伸ばしてしまう理由が、少々分かり辛い。
 他に頼るべき人の居ないヒロインらを見捨てていけない性分だろうし、余り構えなかった実子に対する罪滅ぼし、といった気持ちもあるのだろうが。
もっと自宅の心配をして良いかと。

 ビル倒壊や橋梁落下による大波など、大きなイベントは、なかなかに迫力をもって描けている。
 こんな風に崩れるものなのか…?とは思うけど、その辺は調べて演出しているのだろうから。


2009年7月23日 木曜日

『青い花』04.「青春は美わし」

 百合、とかいうイメージにある、萌えや浮ついた気分が無く、対象が同性だという部分を除けば、胸が苦しくなるぐらい真面目に描かれた「恋」の物語。

 先輩と両思い?になってしまう ふみだが、あきらに遠慮して先輩と一緒に通学する事を躊躇う。
また…かなり大きな決断が必要だと思うのに、あきらには自分の本当の姿を告白。
 ふみにとり、あきらは特別な存在だと感じさせる積み重ね。
 遊びや馬鹿馬鹿しさのない作りに、困難な先行きが予想され、とにかくもう、胸が苦しくなるばかり。

 引き込まれて見ている。
 けど、感想が書きにくい作品だなあ。
 無理に書こうとすると、文学作品を読んだ時と似た、カタい内容になってしまいそう。



 金田 伊功、逝去。
 絶句して、しばらく動けなくなるぐらいの衝撃。

 日本アニメ界を主に作画面で引っ張っていった旗手であり、天才であり、憧れの人だった。
 高校・大学時代…高いレベルの基礎を持ち、卓越した感性と計算能力があって初めて為し得る超絶の芸なのだ、という事も分からないまま、あの特徴的な作画を闇雲に真似しようとしていたのを、昨日のように思い出す。
いや今でも、「パワー溢れる絵」と言われてまず連想するのは氏の画面で、メカや爆発を描こうとすると、まだその影響下から抜け出せない。

 『ザンボット3』『ダイターン3』『劇場版・銀河鉄道999』『幻魔大戦』『ナウシカ』、数々の作品OP…
楽しませて頂いた、魅了された作品は、数え上げればキリがない。
 現実を ただ写したものではない、圧倒される迫力のパース、動きの気持ち良さ、天才としか言い様のない仕事ぶり。
日本のアニメを どの国の物とも違えさせ、遙かな高みへと押し上げた、巨人の一人。
 もう新しいお仕事を目にする事は出来ないのだと思うと、たまらなく悲しい。

 ありがとうございました!

 心より、ご冥福をお祈り致します。


2009年7月22日 水曜日

『プリンセスラバー!』03.「剣と舞踏会」

 相変わらず作画は高い品質を保っている。
 女の子達が可愛く、色っぽく描けているのは、「萌え」な作品として非常に大きな利点。
 今回、ほとんど意味がないのに廊下を背景動画にしてあった。
枚数的にかなりの自由が許されているのか、逆に「最低これぐらいは使うべし」と言われてるんじゃないか…と思ってしまうぐらい。
 その割に、認められるに到る品格ある所作の発表を、ほぼ止め絵で処理してあり、不満。
武術の礼儀を発展させて身に付けた優雅さや気品、というモノをセリフと周囲のリアクションのみで終わらせたのは、物足りない。
まあ、絵で表すのは難しいよね、とは思うが。

 メインヒロインとなるのだろう四人は、パターンと言えばパターンなんだけど、それぞれ個性的であり嫌味が無く、しっかり描けば魅力をアピールできそう。
 主人公と初めて出会ったのは お姫様だが、一緒に過ごす時間の長さや、抱えている過去の傷痕まで開けて見せた事から、メイド娘が最終的に心を射止める事になるのかな。
 豪邸で大勢のメイドにかしずかれる生活への戸惑い、元の暮らしに戻りたいという気持ち、辺りは、視聴者に感情移入して貰うべく もうちょっと丁寧に描いても良かったかと。
そんな段取りより、女の子達を見せた方が視聴者は喜ぶ、という判断なら、間違ってはいないけれど。


2009年7月21日 火曜日

『仮面ライダーディケイド』25.「外道ライダー、参る!」

 前代未聞の東映二大特撮シリーズコラボ話、終了。
 もっと何かトンデモない展開を期待してしまったが、無理のないカッチリした構成すぎて ちょっと不満、というのは勝手な言い分だろうな。
 放送開始前は、ライダー世界を巡るにあたり、出来るだけ元通りの俳優を使い、忠実な作品世界へディケイドがチョイと お邪魔する、ぐらいの内容かと思っていたが、俳優を替え、世界もオリジナルの「匂い」ぐらいを残して大きく変える事で、また新しい楽しさを感じさせてくれていた(そういう話が多い)シリーズとなっているため、今回は、劇場版を盛り上げるイベントとして十分すぎるぐらい面白かったのだけれど、つい「もっと踏み込んで!」を望んでしまう。
 現在放送中の『シンケンジャー』に、勝手なイメージ改変など加えられる訳ない、とは思いつつ。

 シンケンジャーらのピンチに颯爽と登場する、合作相手に配慮しない士が愉快。
脚本が、その『シンケンジャー』の小林 靖子だから許されるネタ、かなあ。
 ディケイドとシンケンレッドが、互いの剣を取り替えて見せるトドメの一撃は、熱くて嬉しい。
 等身大バトルが終わった所で、ライダー世界には余り縁がない戦隊巨大ロボ戦へと突入してみるのも、楽しかったろうか。

 次回、初の昭和ライダー(平成にかけての放送だけど)『BLACK RX』世界へ突入。
 オリジナル俳優が出演?どういう風に料理してくれるのかな。


2009年7月20日 月曜日

『うみねこのなく頃に』03.「dubious move」

 シリーズ開幕から一気にドドッと出された登場キャラクターの多さに、血縁関係や職業設定・名前は勿論、誰が誰の親・兄弟なのか、という事すら見失いがちで(公式サイトで予習復習すれば良いんだろうが、まだ面白さに引き込まれてもいない段階で そういう情熱は湧いてこない)、視聴を脱落しようか、と思っていたが…
 一人ずつなどとケチらず、キャラが複数まとめて殺され、画面から退場していく事で、だいぶ分かりやすくなってきた。
もっと速いペースで減らしてくれると楽なんだけど、次回は何人ほど片付くのかな、という興味で見続けるのは正しいのかどうなのか(笑)。

 不可解な殺人事件について、動機やらトリックが、いずれ誰かにより説明されるのかな。
推理物は形だけの事、本当のテーマは他にある?
 シリーズを通して謎の解明を引っぱっていくなら、途中で何度も事態を取りまとめ、分かりやすいよう提示し続けないと、視聴者は(自分は)前の事など すぐ忘れてしまいそう。
今日的な推理モノの在り方は、アニメ『名探偵コナン』のような、基本二週間で事件が解決する形態がベスト…限界ではないかと思うため。



『GA 芸術科アートデザインクラス』01.「えがいてあそぼ」02.「神様の鉛筆」

 原作未読。
 誰しも思う事だろうが、四コマが原作で、芸術学校に通う女の子グループをメインに据え、ほのぼのコメディーを展開する内容から、まず『ひだまりスケッチ』を連想。
 実写をチョイと混ぜる作風から、監督も同じ新房 昭之かと感じてしまうけれど、こちらは桜井 弘明が手掛けている。

 『ひだまり〜』より、舞台となっている芸術科の学習内容を多く描いてある。
紙の使い方や、鉛筆での質感の出し方、出される課題など、多少なりと絵を描く人間なら(美術授業の記憶ぐらいでも)あるある、そうそう、を感じさせてくれ、楽しい。
 ああ、標識とか案内板の図案をピクトグラムって言うんだ、と、雑学知識になる部分もあり。

 ネタとしては、爆笑!まで行かないが、それは元々強烈な刺激を狙いとしていない作品なのだろうから、問題なし。
 ポーッとした癒し系コメディーとして、何度も挙げてしまうけど『ひだまり〜』を見る気持ちでいれば、十分楽しめるかと。
 二話目、文房具屋のイタズラ婆ちゃんエピソードを、イイ話として締めたのが意外。
何が出てくるか分からないなあ。

 気負わず、力を抜いて、視聴継続。


2009年7月19日 日曜日

 映画『トランスフォーマー/リベンジ』を見る。
 ロボットアニメを原作とする、大ヒット映画第二弾。
これまた驚異的な大ヒットを記録している模様。

 マイケル・ベイ監督作品は、矛盾や構成ミス、雑な部分を上げていくとキリがない。
だから、その映画の核になる部分を楽しむ、という姿勢が大事なのであって、減点方式を採ると0点からマイナス点にもなりかねないのは、毎度。
 今作は、前作と同じく「巨大ロボット同士がガッチャンガッチャン大バトルを繰り広げる」様を迫力をもって描くのが、テーマ。
余計なドラマ部分が短くなり、最初からサービス過剰気味にCG映像を見せてくれる事で、それは十分実現できていると思う。
 後は、自分に合うか合わないか、映画に乗れたか乗れなかったか、それだけ。

 前作は割と楽しんだが…今作はちょっと、乗れなかった。
 理由を挙げるなら、サム同室の子の存在理由が薄い、サム親のギャグがウザいし感動シーンには感情変化の裏付けがない、オプティマスの元へ急ぐ際どうしてバンブルビーに乗らなかったのか不明、前作登場元政府側オジサンと双子オートボットの連携が皆無だし活躍に無理がありすぎ、突然でてくる米軍の超兵器、オプティマスが決戦に必要だった訳ってパワーが凄まじく強いから…だけ(オプティマスの顛末から、プライムはプライムでしか倒せないとは思えず)?等々。
 でも、こんな事ゴタゴタ言うのに意味があるとは、考えてない。
これぐらいのマイナス点、前作にもあったのだし。
 今作が凄く面白かった!という友人達に上記の事を言ってみても、返ってくる答えは、「何でそんな どーでもイイ事を気にするのか理由が分からねー」「マイケル・ベイに何を期待してるんだよ」であり、それはもっともだと。
 この映画は、後から理論的に納得して面白さが増す内容ではなく、見ている間 楽しめたか楽しめなかったか、乗れたか乗れなかったかが全て。
自分は、上手く乗れなかった、それだけ。

 吹き替え版で見た。
 やたら口が悪く、相手をボロカスに言いながらボッコンボッコンにドツキ倒すオプティマスに、笑ってしまう。
もうちょっと知的なリーダーかと。
いや自分を鼓舞していたのかも知れず、迫力と変な可笑しさがあって楽しかったんだけども。
 オプティマスが、他トランスフォーマーから受け取った遺産とも言うべきパーツを、戦闘後「邪魔」とばかり こともなげにパージしてしまう非情さがまた、愉快。
 前半に出て来る、生物に偽装したトランスフォーマーが面白い。
やり過ぎると『ターミネーター』に なりそうだけど。
爆煙を背中に歩いてくるシーンなど、映像監督マイケル・ベイの面目躍如でヤタラに格好良い。

 これだけ当たったからには、『3』も出来るんだろう。
 次は、素直に楽しめる精神状態で見たいモノだなあ。



『獣の奏者エリン』28.「ジョウンの死」

 死んでいたかも知れないエリンを助けてくれ、育て、学問する事を教えてくれた「父親」、ジョウンが亡くなる話。
 彼が危篤状態だ、という事を知らされ、エリンが慌てて駆けつけた死の床で最後の言葉を交わし、泣かせに繋げるのが妥当な構成だと思うけれど、そっけなく短い手紙を学園内で読み、ただ死の事実を知らされる、酷く突き放された作り。
 今回は、この受け入れがたい方法で知らされた受け入れがたい現実を、ゆっくりと受け止めるための お話。

 号泣、といった激しい感情の爆発に寄らず、何度も小さな波を越えていく押さえた語り口が、渋い。
 学園長に連れられ、エリンはジョウンの死を確認する旅に出るのだが、彼と過ごした家に行く訳でなく、葬儀(あったのかな?)に出席する訳でもない。
彼ゆかりの地を訪れる渋さも良いんだけど…うーん、子供には ちょっと難しい内容だったかも(意図自体は理解できたろうが)。

 死の予感は前回もうエリンと視聴者に感じさせているし、「お父さん」と呼んで、「二階級特進」的な称号を与え、別れは既に済んでいる、と取る事も出来ようか。
 とかヒネた事を言いつつ、悲しみを少しずつ乗り越えていく過程の巧さと、今回も「お父さん…ありがとう」でホロリ。
いやあ、このセリフはイイ歳のオッサンに堪える、ジジイ殺しだなあ。


2009年7月18日 土曜日

『涼宮ハルヒの憂鬱』16.「エンドレスエイト」

 ええと、16話でいいんだっけ?
ウィキペディアでタイトル一覧を見ても、ここ5話分は全部同じだし、放送日を書いてないんで判断し辛い。
 …というぐらい、視聴者大混乱の構成。

 ほとんど同じ内容を、演出的に手を替え品を替え、しかし「同じ事やってる」という印象だけは替えないよう注意を払い、見せ続けている。
恐らくはドンドン新しいストーリーを語っていくより、遙かに手間が掛かり、大変だろう。
 しかし…そういう方面で評価してくれるのはオタク寄りな人間ぐらい。
今回、ヨメと見ていたのだが、余りにも同じ内容なのに飽きたようで、途中から台所に立ってしまった。
こういう視聴者数、このまま回を重ねるごとに増えていくのでは。
 割が合わない手法だなあ。

 DVD等の売り上げにしても、全話コンプリートしたい人や「繰り返しの度に変化する みくるの表情が凄くイイ」といった細かい事に拘る人、この手法に「京都アニメーションは神」を感じ取れた人以外は、歯抜けで構わないや、って気分にならないだろうか。
 普通に一話を作るのと、少なくとも同じ予算を掛けて(脚本代金は値切れそう?)、しかしセールスが下がる可能性はあっても上がる期待は余り持てない。
現場はともかく、よく上層部が許したなあ、このやり方。

 個人的には、物語の行く末から制作外部事情まで、色々な事を想像(妄想)させてくれる事を含め、まだ楽しく見ているが。
 8月30日、喫茶店で、ハルヒを呼び止めようとして出来ないキョンに対し、「今回こそは呼び止めるのか」という期待と、「呼び止めろよ!お前が何とかしないと来週もまたコレじゃないか!」という苛立ち?ハラハラ?の気持ちが、超越している長門、一回ごとにリセットされているためまだ焦燥感が弱い他キャラクターを置いて、視聴者である自分の胸の内にのみ凄く高まっているのを感じる(感じさせられる)、もの凄い構成なのだし。
 ただ、あと数回このまま見せられたら、さすがに感想がネガティブ方面に転びそう。
「傲慢だ」とか「高い技術力に溺れ視聴者を軽視している」などと言って。

 勝算があってやっている事なら、いいなあ。
 解決編を見せられた途端、なるほどここに到るべく設けられた長いタメか、繰り返しの一話たりとも無駄ではなかった、ソフト化されたらエピソードの最初から見返したい…と思わせ、カタルシスと感動を与えてくれるような。



『東京マグニチュード8.0』01.「お台場、沈む」02.「壊れた、世界」

 地震災害をテーマとした、オリジナル作品。
 もっと「地震に遭った時の心得や避難の仕方」を教える教材アニメ然としたモノになるのかと思ったが、フィクションとして まっとうな作り。

 第一話で描かれた、とにかくイライラとしていて反抗的なヒロイン・未来の有り様が、特に反抗期の娘さんを抱えた友人達から「リアルだ」と好評。
 自分で どうにも出来ない心の荒れようのため、弟を一人にしてしまい、手助けしてくれる大人の女性・日下部を信じられず、ネガティブな考えを持ち…と、性格設定を彫り込みつつ、基本的には悪い子じゃないと感じさせてくれる作りが嬉しい。
 素直でいい子の弟、非常事態下で頼りになる日下部、と、パーティー編成もマトモ。

 地震発生時の描写に、リアリティーと迫力がある。
これが主題なのだから、絵空事で終わらせない説得力を持たせるのは当然なんだけど、実現するのは難しい、なかなか出来ない事だろう。
 自宅を目指す事になる…と思われる旅路を、御都合主義の連続で楽なモノにしてはダメだし、余りに重苦しく絶望的にしすぎても、視聴意欲を減退させてしまう。
その辺りは、どのぐらいの匙加減で考えられているのかな。
 今後を楽しみに、視聴継続。


2009年7月17日 金曜日

『宙のまにまに』02.「ファーストスター」

 新規に部員となるキャラクター、蒔田 姫が加わる。
 高慢気味ツンデレ…かと思えば、イキナリ主人公への激しい片思いぶりを表明する、分かりやすい少女。
 本来は少々毒を持っているキャラなのかも知れないが、ライバルとなるべき美星の無邪気ぶりに、すっかり牙を抜かれてしまう。
それは、まだ「恋」というものを理解せず、「みんな大好き」に留まっている美星だからこそ持ちうる強さか。

 上手く自分の気持ちを伝えられない もどかしさに煩悶する姫の様子は、実に可愛らしく、好み。
 彼女が主人公へ最初の好意を抱いた理由に、コミカルながら無理が少ないのは、イイ。
一番星の説明に寄せて前途多難な恋を自覚していく、天文部の設定を活かした上手い持って行きようも、素晴らしい。
 現時点では、感情移入を誘う「葛藤」を持たない美星より、姫の方が共感を得やすいんじゃなかろうか。



『大正野球娘。』03.「娘九つの場を占めて」

 もっとライトな雰囲気になるのかと思っていたが、意外にも地道な、しっかりした内容。
 武道に優れているとか、転びかけながら荷物と おにぎりをキャッチする運動神経とか、野球が上手くなりそうな素養は感じさせつつ、しかし実際は「ようやくキャッチボールが出来るようになった」程度しか練習が出来ておらず、男子相手の試合では当然ながらボロ負け。
 少女各員の能力を活かした必殺技が出るとか、なんだかんだで結構 互角の勝負に持ち込めてしまうとか、そういう少年漫画的…悪く言うと安易な「燃え」を持ち込まないのは、好感度高い(いや、それはそれで好きなんだけど)。

 何となくファッションで大正、なのではなく、時代背景を感じさせる、少女達になかなか自由が許されない社会の有り様を描こうとしているのが面白い。
 ただ、やり過ぎるとドラマが重くなってしまうので、匙加減は難しい所。


2009年7月16日 木曜日

『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』16.「内なる敵」

 映画ではもちろん触れられず、このテレビシリーズでも故意に避けられてきた部分へと、触れるエピソード。
 「クローン兵達は、戦って死ぬためだけに生み出された自分達を どう思っているのか。共和国の人民を守るためとはいえ、こんな非人道的なクローン生産を止めるどころか、作られた自分達ばかり前線へと向かわせるジェダイを、怨んだりはしていないのか」。

 当初、クローン兵は、成人し完成した戦士の姿で作り出され、戦いに必要な知識だけ脳の中にポンとインプットされて、ロボトミー手術的なモノにより反抗する力を消去された上で、輸出されているのかと思っていた。
 かなり自由意志が残されていたんだなあ。
 いや、敵側の手に落ちた際、手術等により非情にも「自分は何者で、何のために戦うのか」考える能力を「回復させられて」釈放、という事があったのかも。

 この話の中で反抗兵士は、クローンの兄弟達をも危険に晒す行いをした、と責められていたが…
一人で軍を離れ通商連合側に付く、あるいは戦闘参加拒否を兄弟達に呼びかける、兵役拒否権をも含めた人権の付与を求める、といった反抗だった場合、ジェダイはどうしたのだろうか。
 口封じに殺す、不良品として返品・分解処理してもらう…のはあんまりだから、発言を一切封じた上で どこぞの惑星に隔離、ぐらいかな。

 共和国側も、通商連合と同じようにドロイドの大量生産施設を持てば良いのに。
まあ、この世界ではドロイドも、ある程度 人権を持つ者が居るみたいだけど。
 クローン兵が抱える問題について、様々なメリット(市民の人命を失わずに済む、訓練された兵士を ほぼ無制限に補充できる、等々)の前に目をつぶってきた「自由と正義の守護者」ジェダイが、その強烈な しっぺ返しとして『Episode3』では、皇帝により予定された兵士の反乱のため(自由意志を認められないクローン兵だから起きた事態でもあろう)、ほぼ壊滅状態に陥ってしまう、と考えると、シリーズの大きな悲劇は ここにも仕掛けられていたのだと思え、味わい深い。



『獣の奏者 エリン』27.「ヒカラにおちて」

 凄く良くできたアニメ…と言えるかどうかは分からないが、堅実に、しっかり作ってある作品。
学園編に入って しばらく経っても、それは変わらず。
 王獣の世話をしていく下りに、身に染み込んだ闘蛇の知識をベースとし、かつて見た野生王獣の姿をヒントとする、無理の少ない構成が素晴らしい。
 学園内では、もうちょっと厳しい状況に直面しても良かったかな。
皆、理解があって優しい人ばかりなので。
いや、あんまり辛い事があると見ていてストレスを感じてしまうから、このぐらいが丁度良いとも思うんだけど。

 今回は、夢の中で久しぶりに再開したジョウンに対し、かなり躊躇った末、ようやく「お父さん」と呼ぶシーンで、ホロリ。
ジョウンはずっと理想的父親像であったと思え、もっと早くに そう呼んで上げても良かったぐらい。
 しかし…次回で彼の死を知らされるのか…
今回姿を見せたのは、最後の別れを告げるべく夢枕に立った、という事になるのかな。
船で流れを渡り、既に亡き母親の元に送り届けてくれるイメージが、死を感じさせてはいたけれど。


2009年7月15日 水曜日

『狼と香辛料II』01.「狼とふとした亀裂」

 第二期放送開始。
 旅をしつつ商売する、という この作品の大きな特色については、アニメだと「面白い!」と感じられるまで描いていないため、ホロの魅力のみ一点突破を計っていた印象のある前作。
 今作はどうなのか…と思えば、冒頭の数分間でイキナリ、ホロの可愛らしさ、意外な老成ぶり、と見えて やっぱり幼いような、う〜〜んと伸びをするポーズが色っぽい、等々、作品の魅力を全開にして見せてくれた。
 基本設定である商売の様子を示し、楽しげに思える旅の終わりを予感させる事で、今後の展開への興味も喚起する、文句のない再開第一話。

 ホロは、一緒に居ると迷惑な面があるのは否定できないけど、商売上も生活の潤いとしても既に重要な存在となっているはずで、ロレンスとしては別に別れたいと考える対象ではないような。
 その時…今シーズンでそこまで辿り着けるか分からないにせよ…が来たら、二人はどう行動するのか、ちょっと辛くも、見物。
 期待を込めて、最後まで見続けたい。


2009年7月11日 土曜日

 あああああ『涼宮ハルヒ』今週も…すげえぇぇぇ!
こんな恐ろしい事が よく出来る!
 これは、後で見返すと「なるほど、一話ごとにこういう物語上の仕掛けがしてあったのか」と感心・納得できるようになっているんだろうか。
それとも「単に最終展開へと向けたタメ」だけか。
 いや、タメだけだった場合、ソフト化された際の売り上げにも影響してくる気がして。

 という所で、なし崩しに非常スケジュール入り。
 火曜日には復帰したいと願っております。


2009年7月9日 木曜日

『宙のまにまに』01.「天文部へようこそ!」

 原作未読。
 主人公少年が持つ幼少期のトラウマな思い出から、ヒロイン・美星の事を本当に嫌っているのかと思えば、引っ越しの際 見送りに来てくれないなんてヒドいや、とか、そんな可愛い拗ね方をしていただけなのか。
 高い木の上から落ちてきた体の重さ(子供とはいえ)を、幼い少年の腕力で支えきれるものだろうか…この辺は作品の基本的な考えに寄っており、「現実に照らし、受け止めようとした側だけでなく、落ちてきた方もケガをする」「奇跡的に無傷」どちらだったのかは視聴者に判断し辛い。
この作品では、前者なのね。
そういう世界観、という事。

 しかし朔、美星もケガをしたのでは、という疑念ぐらい持っても良さそうな。
美星も、手紙を書いてみるとかコミュニケーションの継続を計れば。
…子供だから仕方ないか。
 第一話は、前半一杯を掛けて朔と美星のキャラクターを立て、関係の修復を描き、後半で天文部の状況と周辺キャラを紹介。
難しい所など無い、明るく分かりやすく、楽しい内容。
 内向的でネガティブ気味な朔を、行動的で何があっても挫けそうにない美星が引っ張る…幼少期から変わらず、この先も続くのだろう関係を提示。
 癒し系ラブコメ作品になっていくのかな。

 元気な作画が嬉しい。
 「天文部」の要素を強め、星への興味を喚起するような部分があれば、NHK放送にも向いていそう。
 視聴継続。


2009年7月8日 水曜日

『仮面ライダーディケイド』23.「エンド・オブ・ディエンド」

 平成ライダー世界を一巡りし、ディエンドの物語も片付き、いよいよシリーズを締める最後の世界に突入か、あるいは劇場版への橋渡しとして昭和ライダー世界に顔を出してみるのか…ぐらいに思っていたけれど…
 まさか こう来るとは思わなかった!
驚きすぎて、「げええええ!」とか声に出してしまうぐらい。
 一応コレも劇場版に向けての仕掛け、という事になるのだろうか。

 小ネタぐらいの扱いで互いの世界を意識する事はあっても、ここまで正面切って融合させるのは初めてかと。
 うううーん、次回はどうなるんだろう。
 これがアリなら、『プリキュア』とコラボするのもナシじゃないなあ。



『プリンセスラバー!』01.「馬車と姫君」

 原作ゲーム未プレイ。
 とにかく作画に力が入った第一話。
カーチェイスや剣劇を非常に頑張って動かしており、どちらもハラハラさせるような物語の裏付けには欠けていたものの、面白く見る事が出来た。
 こういうジャンルに必須である「女の子の可愛さ」にも不足はなく、登場シーンと共に、視聴者の印象に残せたのではなかろうか。
力が入りすぎて、主人公のお母ちゃんを どう見ても「お姉ちゃん」ぐらいに可愛く描いてしまい、乳揺れまでさせたのは行き過ぎ気味…いや個人的には主人公と同年代のヒロイン達より好みだけど。

 主人公の両親を死によって片付け、しかもそれが謀殺らしいと匂わせるシリアスな部分と、突然お姫様が乗る馬車が登場し、暴漢とスーパー執事がバトルを繰り広げる馬鹿馬鹿しさの落差。
 まだ、どちらの路線をも取り得る第一話かと思うけど…どうするのだろうか。
 ヒロイン候補が増えていくみたいだから、ドタバタコメディー路線かな。
それなら、「実は両親は生きてました」ぐらい軽くしてしまっても良いような。
まあ、この手の作品にとって男の子の両親など「邪魔者」以外の何者でもなく、それを片付けた事にフォローなど要らないのか。

 まだ面白くなるかどうか判断は付きかねるけれど、作画パワーだけでも見続けられるレベル。
 視聴継続。


2009年7月7日 火曜日

『涼宮ハルヒの憂鬱』14.「エンドレスエイト」

 これは…アニメ界初の試みだろう。
三週間にわたり、ほぼ同じ(もちろん変化はあるが)内容を、意図的にくり返し放送する、というのは。
 二週目で まだ引いたのはともかく、てっきり完結編になると思っていた三週目でもループは終わらず、続く形になった事に驚愕。
 演出や作画まで一緒なら、酷い手抜き、で済むけれど、ほぼ同一のイベントを、アングルを変え視点を変え演出を変え、逆に大変なぐらい手間を掛けて再度作ってあるため、そんな簡単に切って捨てられない。

 12話から、タイトルも三話続けて同じ「エンドレスエイト」のまま。
 ソフト化されてからでは難しい、まだ結論が出ていないリアルタイム視聴だから味わえる不安とワクワク、「一体、この繰り返しはドコまで続くのか」。
 サブタイトルからすると、まさか「エイト」で八回?
そうすると、まだあと五回ぐらい繰り返しが……

 『涼宮ハルヒ』だから許される(許していない視聴者も居ようが)挑戦的な構成、これでも見放されないと考える自信と実績とクオリティーの裏付け。
 フツーのアニメでこんなアイディア出したって「アホか」で却下されるだろうし、仮に通っても視聴者が付いてこない。
 とにかく、破格だとしか言い様がない作り。
 あらゆる意味で、面白いなあ。
次回放送が楽しみで仕方ない。



『懺・さよなら絶望先生』01.「楽園への道」「春の郵便配達員二度ベルを鳴らす」

 三度目のTVアニメ化。
 元々、アニメにするには不向きな原作だと考えられていた…んじゃないかと思うけれど、スタッフが良かったのか、時代に合っていたのか、すっかり人気シリーズ。
 監督以下、スタッフは前作・前々作とかなり重なっており、定番商品として安定した出来の第一話。

 「コミケカタログで撲殺」ネタに、ちょっと笑ってしまう。
確かに厚くて重くて、十分 鈍器代わりになるからねー。
 たまに入るキテレツな異色話を楽しみに、視聴継続。


2009年7月6日 月曜日

『うみねこのなく頃に』01.「opening」

 原作ゲーム未プレイ。
 最初 情報を耳にした時、開発が同じであり、余りにもタイトルが似ている事から、てっきり『ひぐらしのなく頃に』の自主パロディー的な内容なのかと思ってしまった。
独立した新作なのね。

 孤島推理物…になるのかな。
 冒頭から、多数のキャラクターがまとめて登場するため、名前はおろか、作品内で占める位置設定まで ほとんど憶えられず。
 オジサンはともかく、女性陣が かなり若く描かれているのも(実際若い?)、設定理解を困難にさせている要因。
母親だか娘だか、立ち位置が分からないので。
 これから一人ずつ、個性や背負った設定を彫り込んでいく事になるのだろう。
あるいは、殺して片付けるのか。

 内容に入り辛い上、第一話では心を掴まれるような大きなイベントが起こらない事で、視聴意欲はまだ さほど高くない。
 『ひぐらし〜』も、最初からツカミが強かった訳ではないし、既に人気を博しているタイトルなのだから、面白くなる…はずだろうけど。
 しばらく視聴継続。



『かなめも』01.「はじめての、ひとりぼっち…」

 原作未読。
 タイトルから内容は想像できなかったが、まあ仮名四文字のタイトルは、『まほらば』『まぶらほ』『みなみけ』『らきすた(☆マークが入るけど)』等々から、「萌え」路線だと思って間違いない。
 一軒家に様々なキャラクターと人生模様を詰め込んだ、グランド・ホテル…じゃなくてグランド・下宿形式の構成。
 『めぞん一刻』『ラブひな』のような、単なる下宿荘にせず、「新聞販売店」という職業で全体を結びつけているのが特色。
 配達や勧誘の時間以外は自由な行動が許されているし、そんなに酷い苦悩を抱える仕事でもないと思うので(大変なのは知ってます)、ライトな女の子達のコメディーを展開するのに、悪くない舞台設定。

 キャラクターとしては、妥当なラインを取り揃えてある印象。
次回以降、各人の個性を彫り込んでいく事になるのだろう。
 テンポの良い、コミカルな演出が愉快。
作画もレベル高く、キャラの崩し顔が可愛い。

 肩が凝らず見られる ほのぼの作品になりそう。
 感想を書くタイプの作品になるかは分からないが、気負わず視聴継続。



『CANAAN』01.「洪色魔都」

 キャラクターの雰囲気から、てっきり『月姫』『Fate/stay night』系列のアニメ化作品かと思ったが、チュンソフトの『428』が原作…題材?なのか。
 『428』は、購入していながら未プレイ。
やってみなきゃなー。
 このゲームのボーナスシナリオを、奈須きのこが手掛けている…らしい。

 アニメは、視点がコロコロと変わり、主要キャラクターをとにかく ざっと登場させて見せる構成なので、分かり辛い。
 カメラマン女性を もっと中心に据えて、彼女とカナンの再会を主軸に情報を整理すれば、スッキリしたかと思うけど…
いや、実はそういう形になっているのか。
散発的に、説明の加えられないキャラやイベントが挟まれるから、難しく見えるだけで。
 カナンが見せる、超絶のガンアクションが面白い。
 第一話はもう、このシーンで視聴者にアピールできるかどうか、そこだけに賭けたような内容。
それが上手くいっているのだから、大したモノ。

 『月姫』も『Fate』も、アニメとしては もう一つ食い足りない終わり方をしたような。
 今作は、面白くなると良いなあ。
視聴継続。


2009年7月5日 日曜日

『エレメントハンター』01.「異世界へ!」

 久しぶりに見たなあ、こんなアニメ。
 コドモが考えたような思いつきが連続するだけのストーリー、何を見せたいのか不明確な演出、崩れが目立つ作画、他が良ければさして気にならなかったかも知れないが不慣れな声優の演技もマイナスにしか働かず。

 ダメ出しをすると、キリがないぐらいだけど…
 山の上に謎の城が建っている事に ふと気が付いたから主人公は少女と二人で そこへ向かい、何となく中に入ってみたら何故か友達が先に居たけれども特に不思議とは思わず、奥へ進むと謎の少女アンドロイドが居て、「説明は後です」で特に抵抗なく謎の球体に触ったら転送され、謎のモンスターと戦い元素を回収する事になるのだった。
 …こんな話を作って良いのは、中学生までかな。
 視聴者の事も、登場キャラクターの事も考えていない、ただ「設定を消化し、展開させて、次回に繋げるのが仕事だから書きました」という作り手の都合だけしか感じ取れないシナリオ。
 いや、シナリオからは相当 変えられてしまったのか…荒川稔久なんだけど。

 埋まった植物が爆発したりしなかったり、主人公はフツーの少年だったり超パワーの持ち主だったり、よく分からない目的のために躊躇無く(見る側の理解を置いてきぼりに)命を賭けてみたり、マズい所を上げると、本当に果てがない。
 元素記号を織り込んだエンディングの歌詞といい、「学習アニメ」にしたいのかな?
それにしても、分かりやすい訳でなく、面白い訳では更になく。

 先行きにも興味は持てず、素直に視聴終了。



『化物語』01.「ひたぎクラブ 其ノ壹」

 原作未読。
 西尾維新、という名前は、美麗な装丁を付けた小説が速いペースで刊行されているのを書店でいつも目にしていた事により、既知。
「少年ジャンプ」で連載が始まった『めだかボックス』は、設定自体は さして目新しくないのに、漫画家さんの高い画力と、通り一遍でないキャラの立て方が実に面白く、楽しみに読んでいる。

 アニメ。
 この恐ろしく特異な演出は、クレジットを見るまでもなく新房 昭之監督作品。
文字の使い方やマッドな雰囲気から、『絶望先生』風。
 教室で生徒二人が話しているだけ、という地味な開幕ながら、画面も視聴者の集中力も もたせられるのは、上手いセリフ運びに加え、この強烈で独特な演出力があるから。

 しばらくの「静」から、少女の襲撃により一気に「動」への転換。
 主人公を脅す方法が文房具…カッターとホッチキスを口の中に突っ込む、といった、なかなか思い付かない奇異なものであるのが凄い。
コレが頭に浮かんだ瞬間、少女のキャラクターがガツンと立つだけでなく、もう「この作品一本、いける!」と手応えを感じられただろう。
 体重が異常に軽くなったのは、ナニガシかの原因を持つ超常現象だとして。
全身に大量の文房具凶器を仕込んで使いこなす戦闘力は、それに付随して得られたもの?
躊躇いもなく主人公に暴行を加える酷薄さも、関連している?いや生来の性格か。
 インパクトの強さに引っ張られ、作品への興味が一気に湧いてくる。

 「バナナの皮」とか「自称するツンデレ少女」、「体中に文房具を仕込んであるのでカバン不要」「私の肉体は案外、法を犯してまで手に入れる価値はないかも知れないわよ」「蟹と神」……
脳に食い込んでくる、鮮烈で歪んでいて変なセリフとビジュアルのイメージ。
真面目にやっているのか、ふざけているのかさえ、不明確。
 これは、面白い。
 冒頭でパパパッと見せられた先行カットから、対妖魔バトル物…になっていくのだろうか?
 当然ながら視聴継続。



『NEEDLESS』01.「アダム・ブレイド」

 原作は少し読んだ程度。
 今井神先生作品は、画力の高さとテンポの良さ、ちょっとヒネさせた感性が魅力で、『かたつむりちゃん』の可愛気持ち悪さなんか面白かったなあ。

 アニメ。
 うーん、まあ妥当な作りの「世紀末救世主伝説」。
世界観やキャラクターの行動動機について、第一話では細かく説明されないが、既存の作品パターンから十分推測可能。
 よく言えば分かりやすい、悪く言うとアリガチな内容。

 動かしやすいのかも知れないけど、視聴者の視点となる少年に絡むのが、乱暴者の少女ばかり、というのは どうだろ。
少年の傷ついた心を慰めるイイ場面も持って行ってしまう事で、彼女のキャラは確かに強くなったが、代わりに神父・アダムの方は「敵を片付ける役割の人」ぐらいにしか受け取れず、印象が薄い。
 「一度見た敵のワザを自分のモノに出来る」「変身能力」…戦いに使う特殊なパワー設定は さして目新しいものでなく、それを特別な物に押し上げなければならない演出も、ごく普通レベル。
第一話なのだし、ドカンと来るハッタリが欲しかった。

 作画に冴えない部分があり、残念。
 エロ方向に突き抜けたエンディングには驚く。
この辺が作品の売りになっていくなら、余計 作画は頑張って欲しい所。
 出来の悪い内容ではないが、同様の作品を多数見てきたジジイとしては、低めの視聴継続意欲。


2009年7月4日 土曜日

『青い花』01.「花物語」

 原作未読。
 幼少時を描くアバンでは分からなかったけれど、OP映像を見れば内容は明確。
『マリア様が〜』のような、少女達の愛情関係を描く、百合物…だろう。
少女のウチ片方がミッション系学校に通ってはいるようだが、それでも画面の作り・キャラクターの雰囲気から、もっと現実寄りな物語になりそう。
ヒロインを二人とも、「絶世の美少女」まで行かない、「結構可愛い子」ぐらいの段階で留めているし。

 背が高く泣き虫な少女と、小さいが元気いっぱいな少女、という取り合わせ。
 それぞれの家庭環境と、学校での立場を ざっと見せ、同性に対する基本的な考え方まで紹介してみせる、手際の良い第一話。
 スケールが大きい・手に汗握る内容…になるはず無く、少女二人の間に生まれる理解と誤解と拒絶と許容を通して、気持ちの変化を中心に追っていく お話かと思う。
 シンドイ描写があると辛くなりそうだけど、取りあえず視聴継続。



『うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜』01「海の心 空の心」02.「指輪の心 巫女の心」

 パチンコの凄い人気台をモチーフにした新作。
 不景気な世の中だというのに、パチンコは強いなあ、儲かってるんだなあ。
『エヴァ』復活だって、大きく そのお陰かも知れないし。
 こういうゲーム?は胴元ばかりが儲かるシステムになってる…と思う上、何しろパチンコ店内は一般的に空気が悪く ちょっと入っただけでも息が詰まりそうになるんで自分では やらないんだけど……いや、もしかして「エロ漫画大全集」みたいな台が企画された際、著名バカ売れ作家さん達に混じって労働年数だけは長いって事で賑やかしに使ってもらえるかも知れないから(無い)、余計な事は言わない方がいいか。

 垢抜けないパチンコのキャラクターに比べ、アニメ版は、とにかくレベルの高いデザインと作画。
細ーい、薄ーいボディーラインの中、柔らかさを ちゃんと見て取らせてくれるのが素晴らしい。
 内容。
第一話では方向性が分からず、『ARIA』タイプの癒し系ほのぼの日常ドラマになるかと思ったけど、第二話では、ヒロインらが変身して妖魔と戦う『セーラームーン』系に。
例に出した両作とも このアニメの監督・佐藤 順一が手掛けているとはいえ、結構、意外。

 ポジティブで みんな大好きなマリンと、ネガティブで誰の事も愛さない(愛され辛い)夏音の対比が面白い。
マリンが可愛いのは勿論だけど、どろどろに「邪悪」なオーラを発する夏音を、明るく楽しく可愛らしく見せる演出力は、さすが。
 細さ、薄さの限界なキャラであろうウリンは、「そういう手の人々」に凄くウケそうだなあ。
自分の失敗を隠さず述べる正直さが、好感度高い。
 敵妖魔は、元に戻さない方が良かった……せっかくキレイなお姉ちゃんだったのに、タコなのか……

 バトルにも迫力があり、ドコを切っても高品質な仕上がり。
 この雰囲気の良さ、キャラクターの可愛さが作品の大きな魅力だと思うので、作画の崩れだけは心配。
パチンコ・マネーがあれば、そういう心配は無用?
 楽しく見続けられそう。


2009年7月3日 金曜日

『大正野球娘。』01.「男子がすなるという、あれ」

 原作未読。
 大正時代、野球をしようという女の子達の物語…なのだろう、タイトル通り。
 第一話では まだほとんど部員が集まらず、多難な前途を予感させて終わった。

 野球部を作りたい、と考えた女の子の動機について、笑いと勢いで誤魔化す作りではなく、かといって視聴者が納得できる程のしっかりした理由付けがある訳でもない。
そのため、部の設立に向けた関心の度合いは、低いまま。
 女の子部員達の特性を活かし、男相手にも勝ち進んでいく正統派野球物になるのか、少女達のコミカルな やり取りを中心に据え、野球は添え物とした癒し系作品なのか。

 大きく悪い所はないが、特に引き付けられる部分もない第一話。
 少女達の魅力を、出来るだけ早く、強力に打ち出すべきだろうな。
 しばらく様子見。



『宇宙をかける少女』最終26話.「あしもとに宇宙(そら)」

 沢山の設定を作り、登場キャラクターも人間やら機械やら どっさりと用意し、どんなドラマも語れるし、どんなテーマでも具体化できる舞台は整えてあったのだと思う。
 しかし、それが結局は仇になってしまったのか、ドラマもテーマも語りきれず、設定すらきちんと消化できないまま、終局。

 秋葉とレオパルドの関係、獅子堂一家の個性、ダークサイドに堕ちていくナミの心情、「意志を持ち自由に行動するコロニー」という独特の設定とバトル、ネルヴァルの内面…ここを彫り込めば面白くなったのではないか、と感じられる箇所は数限りなく、観た人それぞれに全然違うかも、と思われるぐらいある。
個人的には、「箱人間」の扱いを酷く中途半端に終えてしまったのが、残念。
 作画は良好だったし、女の子達は誰も可愛く、もう少し魅力を強く演出して上げられれば「人気キャラ」を大勢生み出せる可能性があったろう、と思うと、また残念。

 切り取り方によっては、これ一作から、何本ものTVシリーズが作れそう。
それは「よくも頑張って こんな複雑な素地を作り上げたもんだ」という賞賛でもあるけど、「詰め込みすぎ」のヒトコトで編集者から切って捨てられるアリガチな失敗を意味してもいる。
 何を描きたいのか、シリーズを通しての目的が絞り込めていない、しかし「頭カラッポの お馬鹿アニメだよー」という所まで開き直る事も出来ていない、とにかく残念な作品。


2009年7月1日 水曜日

 映画『ターミネーター4』を見る。
 監督は『チャーリーズ・エンジェル』のMcG。
主演、クリスチャン・ベール。

 とにかく お金が掛かっていて、連続するアクションには見応えがあり、つまらない!という事は無いのだが…
 このシリーズの核は、現実の風景に異質な「恐怖」が混入する所にあった、のかも知れないなあ。
異質な廃墟の風景の中、異質なターミネーターが いくら動き回っても、余り面白味が感じられない。
 『マトリックス』ほどガツンと来るイメージの提示もないし。

 遙かに低予算ではあっても、「人類を支配する邪悪な帝国にレジスタンスが戦いを挑む」作品なら、いくらでもあった訳で、「ガイコツ型ロボットが出てさえいればそれで満足」とはいかなくなってしまった観客に、この設定で その他の作品と差別化された魅力を提示するのは難しい。
 旧来の『ターミネーター』型ストーリーで新味を出すのも、考え付く事はやってみたのだと思う『3』が余り上手く行かなかった事から、困難を極めるのだろうが。

 シリーズは、「コナー母子の物語」でもあった。
それが今回、視点をジョン・コナーと新キャラクター・マーカス・ライトに分ける事で、どちらにも感情移入する事を難しくしてしまった。
 中盤まで、謎を抱え苦悩を見せるマーカス・ライトの方が主人公然として存在するため、彼を信じないジョン・コナー(無理はないんだけど)に、ちょっと苛立ちさえ感じさせられ、更に応援する気になれず。
 マーカス自身は、深く彫り込めば面白くなりそうなキャラながら、そこまでの深度に達せず、ためにスカイネットとの関係やラストの有り様に疑問が生じてしまう。

 シリーズのファンへ向けたサービスのアレコレは、上手く物語に組み込めていたり そうでなかったり…だけど、楽しくはあった。
 口がきけない少女の存在意義が薄いとか、播かれた謎の解明が終わっていないのは、新三部作構成を睨んでの事なのか。
 …今作は大ヒットといかなかったみたいで、続編の先行きは不透明みたいだけど。



『ドラえもん』1時間お26(ふろ)スペシャル「のび太を愛した美少女」

 登場する少女ロボットが、造形・性格付け共に とにかく可愛く、満足できる内容だった。
 ドラえもんとの差別化を図るには、優秀・完璧なロボットとする手もあったと思うが、パワーの暴走が止められない、という致命的な欠陥を最初から明らかに。
まあ、完璧な機能を発揮しているロボット、という意味では、妹のドラミが既に居るからなあ。

 いつまでも手を繋いで学校までの道を歩き、見放されようとするや わあわあ泣きながら のび太の足にしがみついて放さない、ドラえもんの「友達」というポジションとは違う、「恋人、彼女」の役割を果たすリルィ。
 のび太が一段階成長するためには、ドラえもんとは別に、彼女のようなロボットの存在も必要なのかも。
…いや、萌えアニメでもないのだし、こんな都合の良い彼女が常に側に居ると、逆に成長は阻害されかねないか。

 悲劇的な幕切れは、恐らく誰にとっても想定内で、パターン通り。
それでも、キャラクターの作り方が良かったのでホロリと来そうになったが。
 彼女の献身的な姿により、不良品として扱われてきた同型シリーズへの再評価が始まった、とするのは大きな救いで、嬉しい。
しかし、厳しくリミッターを設けないと事故を起こしかねないような。


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