ときどき日記 2012/08-9


2012年09月23日 日曜日

『機動戦士ガンダムAGE』最終49話.「長き旅の終わり」

 う、う〜ん…前回と同じか更に詰め込みが酷い。
 最終回は描くべき事がどうしても多くなり、急な展開があったり消化不良に終わったりしがちではあるけど、これはその中でもずっと不出来な方。

 長く…もないのかな?伏線として引いてきたゼラ・ギンス、満を持して、というより「片付けないと仕方ないからとにかく出しちゃえ」ぐらいの勢いで出撃。
新型MSの機能もよく分からないまま、何故かシドと合体し、意味不明な破壊行動を取り始める。
 「連邦勢力の殲滅」が最優先で脳に刻まれているため、ヴェイガンの被害を考慮に入れず、地球への「セカンドムーン落とし」を強行するとか、戦争への忌避 感を強くしようとするイゼルカントの意志が彼の中で暴走し連邦・ヴェイガン見境無く虐殺を始める、ぐらいの描き方が妥当じゃなかろうか。
 廃棄コロニーをいくつも取り込んだ超巨大なシドが現れ、両勢力を壊滅させようとするのに対し、ゼラを含む人間達は手を組んで対抗しようとする、というのでも、まあアリガチなパターンではあるけど分かり易い。
 本編の描き方には、ただポカーン。

 この非常事態に対するイゼルカントのリアクションが薄すぎるのも宜しくない。
ゼラは、他者の意見を受け入れず敵味方を危機的状況に追いやり続けた醜悪な自分を映す鏡、とでも取るべき。
ここへの深い反省がないので、現状とキオを受け入れる気持ちの変化が、どうにも薄っぺら。
 フリットの変化もまた同じ。
最終的に彼を変えたのは、ユリンなのか…エミリーではなく。
「超現実的に魂が繋がった故の邂逅」「勝手な幻を見ている」どちらか分からないユリンとの会話には、ちょっと笑ってしまった。

 キオの主張もまた薄い。
 彼が救えたのは、結局ゼラだけ?
 ゼラの暴走とセカンドムーン危機があったから、結果的に戦いは収まったが、そうでなければイゼルカントの改心(諦念)は有り得ず、そうなると戦争継続が不可能になるまで連邦・ヴェイガンの戦力が減少する…兵士が死ぬのを待つしかない。
 「これ以上、連邦側にだけでも戦死者を出さない」目的のためなら、フリットが取ろうとした行動は合理的。
 セカンドムーンに突入し、病床の狂った指導者イゼルカントを殺す、もしくは人質にとって戦闘停止を呼びかける、という汚れ役を引き受けるならまだしも… キオの方法論では、最悪ディーヴァの乗員が全員死ぬことになったって「ぼくは誰も殺さなかった」からオッケーというだけのもの。
 「両陣営に大量の死者を出そうとも、生き残った人達が仲良く生きられる未来が有り得るならそれで良い」という考え方は、もしかしてイゼルカントと共通するのかも知れないな。

 キオの考えが幼いのは、本当にまだ年若いので仕方ない部分もあるか。
 馬鹿が付くほどの愚直さにより彼の考え方が次第に受け入れられていく、または、厳しい現実の前に少年っぽい理想は破られ血まみれになりながらしかし平和 を希求し続けていく、どちらかをドラマとして周辺キャラクターやエピソードでフォローしつつ描くのが、作品というものでは。
 話の都合でイゼルカントが彼を受容することにしたから、何となくキオの理想は通ったような感じ、で終わらせちゃ、もう何というか思いつき以上のモノじゃない。
 しかしイゼルカントも酷いなあ、ゼハートが後継者じゃなかったのか、ゼラは何のために作ったのか、ストーリーの都合で動いているだけに思え、考えがサッパリ理解できない。

 ドタバタと終戦、マーズレイについてもナレーションで片付け、ユリンが心の傷ではなくなったのだろうフリットとエミリー、理由があったとはいえ海賊だったアセムその後の人生、これからが想像し辛いキオ…それらは放り出して、いつも通りのエンディングが流されるのに驚く。
ここでイメージ的に、せめて笑顔のキャラクター達を見せてくれると思った。
 ディーンとルウの墓を建てるキオ、セリックの記憶を胸に新造艦艦長として立派な姿を見せるナトーラ、地球に降りたヴェイガン市民の笑顔、戦う以外何も知 らなかったが温かく迎えられ子供のような表情を見せるゼラ、ウェンディとディーヴァに乗艦していた子供達の再会、家族に看取られつつエミリーの手を握りし め穏やかに逝くフリット…
余韻を残すべく見せた方が良いイメージは、多々あったと思うが。

 全体に。
 一言で表すなら、不出来なガンダムとしか。
 何を描きたいのかハッキリせず、テーマ(ご大層なモノに限らず、例えば「ガンダムかっこいい!」だけでも十分テーマ)を絞って、面白く見せることがまるで出来ていなかった。
 キャラクターもメカも設定も、魅力的に描けたはずの布陣であり、シリーズ途中にいくつも良い方向に進ませる分岐点があったにも関わらず誤り続け、力足らずを感じさせられるばかりの内容に。
 このアニメが「叩き台」「素案」なのであれば、構成を整理することで、作り直して面白い作品に仕上げることは可能だと思う。
…「このままじゃ全然ダメ」を素直に認められる制作者であるなら(未読の小説版は良いらしいし)。



2012年09月22日 土曜日

 録画してあった映画『魔法にかけられて』を見る。
 ディズニー映画。
魔女の罠に落ち、手描きアニメのお伽噺世界から、実写の現実世界に飛ばされてきたお姫様が巻き起こすドタバタを描くコメディー。

 悪くはないにせよ、「この設定だとこういうストーリー展開になるかな」という予想から、欠如したところはあっても、過剰であったり上回るところが無く、物足りない。
 「結婚して二人はいつまでも幸せに暮らしました」で終わるのが絶対だったお伽噺ヒロインが、現実で離婚しようとしている夫婦に出会うあたり、凄く面白くなりそうなのにアッサリ片付けられすぎていて不満。
 男性の弁護士設定もさして意味を持たないし。

 現実に、別段問題のない婚約者を持つ男性が、偶然出会ったお姫様に惹かれていく…この三角関係が見所。
しかし、「どうしてそういう気持ちになるのか」の理由付けがお伽噺レベルで、恋に恋する訳でもないオッサンが素直に納得するのは難しい。
まあ、「ファンタジーと現実の落差を描く『ファンタジー』」だと受け取るべきか。
 邪魔なキャラの片付け方を恐ろしいぐらい割り切っており、伏線も心情変化も追わず「何にせよ幸せになったんだからイイでしょ?」というぐらい投げ出していて、いっそ心地良い。

 頭カラッポで見られる(見るべき)ハッピーな映画だから、ヨメにも見せようかと思ったけど、姫様の歌に応じて大量の鳩やネズミに混じり、排水溝から大量の「G」出現シーンがあって、アレをこの世で最も苦手としているヨメは絶対見られないと思った。
野良犬・猫・お化け、何を出しても良いが、「G」だけは勘弁って女性、多いと思うのに、なんで使っちゃったかなあ。



2012年09月20日 木曜日

『機動戦士ガンダムAGE』48.「絶望の煌めき」

 え?あと一話で終わりなの?
それはムチャだー、と思ったけど、今回は、どうにか片付けるべく最も楽な「殺す」形で、人員と背負った背景の整理を猛スピードで進める。

 前回、セリックを犠牲にしてまで砲撃したことによる戦局の変化は、どんなもんなんだろ?
見る限り連邦に有利になったとも不利になったとも思えず、相変わらずの乱戦模様。
 砲撃で敵の戦列に穴が空き、本拠地・セカンドムーンへと至る道が開かれる。
そこへとガンダムを先頭に突っ込んでいくディーバ、後を追う連邦部隊…という見せ方があれば、一閃で片が付くこともあり、ゼハートによる、味方を犠牲にしても行おうとするディグマゼノン砲攻撃に説得力があったろうに。
 ゼハートが、ガンダム・ディーヴァをそうまでして仕留めようとするのは、世界観が「スーパーロボット物」だからなのか。
ガンダム一機で戦況などガラッと変えられそうだし。

 一部隊を費やすならともかく、フラム一人にガンダム・ディーヴァを足止めさせようとするゼハートの判断は酷い。
ヘタすれば三世代のガンダムが出てくる訳で、彼女にそこまでの戦闘力がないのは明かだろうに。
ゼハート、どうせ汚れるつもりなら、「停戦交渉をしたい」として艦船を接近させ、油断したところを…とでもすれば(ファーストをなぞることにもなる)。
 ディーヴァからの退艦には、もう少し感慨が欲しかったかなあ。
艦長が「艦と運命を共にする」と騒ぐ、オペレーターが「この艦は一人じゃ動かせませんよ」などといって付き合う、といった愁嘆場が皆無なのは、逆に気持ち良いぐらいだけど。

 何かやりそうなのに、実質ほとんど活躍ナシのレイル哀れ。
 フラムと差し違える形で最期を迎えるオブライトは、まずまず死に花を咲かせたと言って良いのか。
レミが迎えに来てくれる幻覚でも見ると、泣かせだったろうが。
同時にフラムも幻を見てるし、あんまり重ねるのもうざったいけど。
 しかし、唱えるお題目とは裏腹に、人の生死にまるで関わらない・関わらせてもらえないキオはどうしたことなんだろ。
せめて「突撃して助けようとするが多数の敵機体に邪魔されて(不殺を貫く効率の悪さもあり)動けない」ぐらいの描き方をすべきだろうに。
その場に赴き、言葉を尽くして戦闘停止を訴えるもどちらにも通じず、目の前で命が失われることにより、キオの苦悩や成長が描けるんじゃないのか。
どうにも「面倒なことを言うキオが絡むと話がヤヤコシくなりそうだから、遠ざけておいた」事情ばかり透けて見えてしまう。

 何だかついでに片付けられるザナルド。
ヴェイガンに大きな混乱を起こす重要キャラクターだと思ったが。
 逆上して自ら戦場に出るゼハートにビックリ。
冷静さを失っているためか、パイロット能力もレギルスの性能もまるで発揮できず、アセムにより瞬殺されてしまう。
…フラムの奮戦の方が、まだ時間を掛けて・愛情を持って描かれていたような。
 ゼハート…アセムとの学園生活を思い出すのは良いとして、イゼルカントの期待に応えられなかったこと(この司令能力欠如が期待通り?)、フラムら部下を無駄死にさせたことを、もうちょっと悔いたらどうか。
 まあ人間、追い詰められると、楽しかった昔の思い出に逃げ込みたくなるモノだけど。

 あと片付いてないのは…イゼルカントとクローン?、フリットの憎しみ、EXA-DBとガーディアンMS、こんなところか。
地球の大半を制圧していたヴェイガン勢力はどうなった?とか、まだ取りこぼしは沢山ある気がするけど、そこまで描く気力も時間もあるまい。
 ディーヴァと共に、AGEビルダーは破壊されたのかな。
半壊しつつも製造機能は健在で、キオの「戦いを止めたい」気持ちを受け取り、戦場での大量破壊兵器使用を困難にする物質を精製する。
レーダーを使用不可能にするその粒子の名前は……
AGEビルダーは、今でも宇宙のどこかで、その粒子を撒き散らし続けているということです(海を塩辛くする石臼みたいに)。
 ハッキリ破壊される場面は描かれなかったので、その内側に未完成の「ガンダム最終モード」を内蔵して漂流している可能性も…そんなの描いてる時間がないか。

 次回を見てからまた、だけど、月面基地攻略戦、ゲストキャラのジラード・スプリガンなんかにゆっくり時間を掛け、重要だったろうキャラクター達をバタバタッと、さしたる意味も持たせず片付けてしまうのは、構成の失敗と言うしか。
 そんな難しい話じゃなくて、各話の内容をざっと書き出してみれば、「48話でキャラが一度にこれだけ死にます」というのはバランスを欠いていると、誰でも分かりそうなもの。



2012年09月11日 火曜日

『機動戦士ガンダムAGE』47.「青い星 散りゆく命」

 『鉄人28号』に出て来たモンスターのような、世界観の違いを感じるMSに乗って出撃してきたゴドム。
大丈夫か?と思うデザインとは裏腹に、強い強い。
 今回、猪突猛進型であるこのMSの利点と欠点が描かれ、それを正確に見抜いたセリックにより適切な対応が取られていて、考えた跡が嬉しい。
 アセムが目指していたはずの「スーパーパイロット」こそ、こういうものであって欲しかったかな。
超越的パワーに頼らず、機体性能にも過剰に寄りかからず、鍛えた操縦技量と長年の戦闘経験で培われた目・判断力により、旧人類であろうともXラウンダーと変わらず、いやそれ以上の戦果を上げることが出来る、といったような。

 セリックの健闘は、見応えのあるものだった。
…が、所謂「死亡フラグ」の呪縛からは逃れられず。
 行動不能に陥った機体が、母艦による起死回生の攻撃を阻害してしまう。
妙なところに機体が引っ掛かったなあ…は良いとして。
 キオ、バーストモードを使えばサアッと助けに行けたのでは?
他の人達はMSパイロットまで事態を把握していたっぽいのに、キオだけ知らされていない様子なのは何故?
 キオが持つ「不殺」の理想と、厳しい現実を対比させるチャンスだったのでは。
セリックの元に駆けつけようとするキオだが、AGEの前にディーンのMSが立ち塞がる。
猛攻にAGEは動きが取れず、しかし超高速で動き回るディーンの機体にはピンポイント攻撃が難しく、コックピット直撃の恐れがあって身がすくんでしまう…とか。
 セリックを死亡させ一段落したところで、次はディーンのエピソード、といった描き方では効果が薄い。

 ナトーラ艦長とセリックの会話が泣かせる。
恋にまでも発展することはなかった二人の関係だが、ナトーラは彼を忘れることはないんだろうな。
 恐ろしく辛い決断を迫られる局面、ここでこそフリットが出て来て欲しいモノ。
艦長に代わり砲撃命令を出し、死刑を執行するようなその発射スイッチまで自ら押し、艦内の嫌悪感や憎しみを全て引き受けて。
「これが戦争だ!」「キオ!お前の甘さがセリックを死なせたのだ!目を覚ませ!」「私も…自分の弱さで大事な人達を殺してしまった、だから、もう躊躇わない!」
 それは、ディーンを殺されたことで逆上し、怒りのままにザナルドの命を奪おうとしたキオの気持ちと直結し、キオによる祖父への理解と、復讐の塊となって振るう力の恐ろしさ、ギリギリで攻撃を思い留まる理性、それらを深くしたと思うのに。

 物語として必要だったのは分かるけど、フォトンブラスターがディーヴァにしか搭載されていないのが不思議。
ディーヴァって、現連邦の中ではさして重要視されていない戦艦だったような(AGEシステムを重用しないのと同じく、連邦の無能さか)。
 月面基地攻略の脅迫材料にしたミサイル?があったはずなので、それを一斉発射し、一発でも要塞に当たれば足りそう。
 要塞前面にバリヤーが展開されているとか、砲撃以外の時は要塞が透明化しているとか、それに対応した攻略法を考えられる戦場にすると良かったかなあ。

 ディーン、戦う背景が弱すぎる。
彼の家に尋ねてきていたのが連邦ガンダムのパイロットだと周囲に知られる→内通者の嫌疑を掛けられる→自分だけならともかく、妹を裏切り者呼ばわりするのは許さない→ガンダムを撃墜しない限りセカンドムーンに帰らない・帰れない
戦時中だし、このぐらい追い詰めても良かったろうか。
 さして強くもなく、キオと少々お話ししただけで背後からザナルドに撃たれ、死亡するディーン。
…存在感が薄いなあ。
 洗脳され、記憶を書き換えられてキオを憎悪し、改造XラウンダーとしてAGEを苦しめる、ぐらいのことはやって欲しかったけど、もう話数がないのか。
 まだ消化しなければならないエピソードやキャラクターが詰まっているだろうから。



2012年09月08日 土曜日

『じょしらく』09.「しりとてちん」「上野のクマ」「ねごと」10.「唐茄子屋楽団」「新宿荒事」「虫歯浜」

 9話「ねごと」
 異常事態の提示から原因の判明、欲望に任せた周囲の暴走、その果てに訪れる破滅まで、キレイに出来上がったお話で好み。
 魔梨威の寝言から起こる様々な吉事に対し、彼女の影響で変えられているのが世界ではなく、夢の産物でしかない自分達自身ではないか(自分達をも含む世界そのものが夢か)と不安に思い始める引っ繰り返し方が凄い。
 「寝言では良いことばかりを言う約束」があるように見せて、最後に「そんな約束していない」とばかり恐ろしいことをポツリと呟き、誰も居なくなってしまうブラックなオチも素晴らしい。
他の女性陣を夢見ている魔梨威、彼女もまた「胡蝶の夢」に過ぎず、その終わりを願ったことで彼女達全てが消えてしまったモノか。
 「芝浜」かと思ったよー、「また、夢になるといけねえ」というか「恐ろしい夢を見ちゃいけねえ」であり更に「自分達みんなが夢と消えちゃいけねえ」。
この落語の題名は、10話「虫歯浜」の方で使われてるけど。
 この作品(原作者)らしい内容、シリーズ最終回でも使えそうなラストだった。

 10話「新宿荒事」
 ロフトプラスワン、一度も行ったこと無いので…あんな建物なのか。
 途中からの剣呑な新宿イメージは、看板だらけのビル上空に飛来する兵員輸送機とか、押井 守版『攻殻機動隊』を思い起こさせる。
暗視ゴーグルがあると、更に「らしい」んだけど。
 そういえば新宿も昔から相当に変わったなあ、と感慨。

 「虫歯浜」
 心の痛み止めを処方された以外の人間が飲んで、狂躁状態になってしまうネタ…
いいのかコレ?「アメリカネズミ」とか、もう怖いモノ無しだなあ、いや笑ったけど。



2012年09月05日 水曜日

『機動戦士ガンダムAGE』46.「宇宙要塞ラ・グラミス」

 決戦を前に緊張を隠せないナトーラに対し、声を掛けるセリック。
セリックの死亡フラグ…かと思うけど、そう見せて女性の方を殺すオブライト-レミのパターンもあるから油断できない。
 ナトーラの、艦長職への慣れとまだ残る不慣れさ加減が、素質に大きな疑問がありつつ実戦をくぐり抜けてきたキャラとして、妥当。
成長を彫り込むエピソードそのものは足りていないけれど、時間経過に比しては納得できる範囲。

 ザナルドにわざわざ通信を送り、ゼハートへの助力・忠誠を求めるイゼルカント。
うーん…敵愾心を煽って内乱を起こさせようとするイゼルカントの計略か、と思ってしまう。
 イゼルカントの妄想を実現しようとする(そんな強い意志はないのかな…)ゼハートに、これまでヴェイガンが被ってきた無用な被害の責任を全て負わせ、「ヤツの 狂った野望が全ての原因」として殺し、イゼルカントあるいはその正統な後継者は無垢なまま支配者の席に居座り続ける、という計画なら凄い。
無理がありすぎるプランだけど、このアニメなら実現も不可能じゃないような。

 そもそも、なんでゼハートに全権を委ねたんだろ。
ザナルドでも能力は似たようなモノだろうし、キオ誘拐など成功させた功績があるのに。
 イゼルカントには、フリットのような「敵は皆殺し」といった思想が無く、逆に「敵に限らず味方にさえ犠牲を出しつつも、理想人のみを残さねば(作り出さねば)ならない」という考え方なので、能力値が高くない残念な人間に指揮を執らせた方が良いのかな。

 キオが考える平和への道程は、ヴェイガン兵士を殺さずMSなど兵力だけは壊滅させて戦闘継続を不可能にし降伏させるか和平に持ち込むつもり、なのか。
 連邦勝利がその終着点となりそうで、戦いもせず負けを認めろって話に乗ってくる敵兵士は(普通)そうそう居ない。
 戦闘中の敵に停止を訴えるなら、まず自分の武装を全部解除して見せるべき。
全然誠意が感じられない。
 妄執に突き動かされるフリット、家族も捨て理想?に走るアセム…キオも彼らとそう変わらず、「暴走して、やりたいことをやっているだけ」なのか。
 出撃したディーンとの関係変化、生と死の結末によって、キオの夢が実現可能か試されそう。

 ヴェイガンの艦隊も空域に居るから、ラ・グラミスの強力な砲撃は使われないと油断していた連邦。
…フリット編では、ヴェイガン、死を恐れない・仲間の死を何とも思わない兵士に描かれていたような。
 すぐ無人と分かってしまう雑な戦艦の運用。
志願兵を艦内に残す、遠隔操縦するなど、もう少し丁寧に扱えば良いのに。
 ただ、前述のようにヴェイガンは勝ちすぎてもイケナイため、作戦に迂闊なところを残し敵に生き残るチャンスを与えるには、これで正解か。

 ちょっと不満はあるけど頭を使った作戦が展開され、AGEとレギルスが光の筋になって激闘を繰り広げる様子は絵的に面白く、ゼハート謀殺を狙うザナルドの介入、ディーンの参戦など、後半はなかなか盛り上がる内容だったと思う。
話数が少ないので一気に片付けにきた、とも言えるが、突然の新キャラでもたせたり意味の薄い話を挟んだりするより、ずっと良い。
 この後は、テンションを落とさず最後まで駆け抜けて欲しいもの。



2012年09月04日 火曜日

『人類は衰退しました』09.「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」10.「妖精さんたちの、ちきゅう」

 アニメ化にあたり原作の順番をシャッフルしてある、という話は聞いていたけど、この十話が最初のエピソードと理解して良いのかな?
ヒロインが赴任してくる様子、妖精とのファーストコンタクトを描いてあるので。

 他の話もそうだけど、この九、十話は特に、妖精達の驚異的技術力とおバカさん加減、突き進む情熱と決意と飽きっぽさ、対する人間の責任感と無責任、優しさと見渡す視点の高さとやっぱりおバカさん加減を余すところなく描いてある。
 妖精達、お菓子が大好きなのに自分達で作れないのは、何か意味がある?
通常の食料から都市国家まで、あっという間に作り上げてしまう技術力を持ちながら…
 必要不可欠な(…と自分達が考える)モノは作成可能でも、趣味嗜好品に関しては作る理由が分からない、ということ?

 「個」が存在しないのか名前を持たず、また必要とも感じていなかった様子で、しかしそれは「要らない」とイコールではなく考えてもみなかっただけであり、もらえるとなれば長い行列を作ってでも名付けて欲しがる。
個人で名前を所有する欲求を動機付けてくれる者が、これまでは居なかった、ということなのか(名付けられてもすぐ忘れるようだけど)。
 無駄なモノを作って・消費して喜ぶのは、人間特有の個性なのかも知れないなあ。
いや、妖精達も漫画読んだりしてた…とはいえあれも、人間達が楽しんでいる対象を模倣し、舞台は整えても娯楽本質の創造は人任せにしていたが。

 高度な文明を作り上げながら一夜にして瓦解させる妖精達。
 何を目標とし、どのような方法でそれを実現させていくのか、明確なビジョンを持たないのが妖精と人間の差。
…と言おうと思ったけど、人類社会だって猛スピードで進む文明進化の先に何を見据えているのか、ハッキリ分かっているとは思えないなあ。
 大した事を出来る訳でないヒロインに対し、女王様やら神様扱いする妖精に笑ってしまったけど、考えてみれば人間が仮定する神だって、(宇宙を創造したとか死後の世界を支配するとか確認不可能なこと以外)そんなに大した事してくれる訳じゃない。
 妖精に地球を任せてしまって大丈夫?と思うが、より知的な生命体からすれば、人間に地球を任せるのも酷く不安なことだろう。
 信じて委ねるしかないのかな。
悪意がないところだけでも、妖精は人間より上等。
…でも、妖精間にイジメとかあったな(笑)。



2012年09月02日 日曜日

 映画『ダークナイト ライジング』を見る。
『バットマン ビギンズ』からの三部作、完結編。

 クリストファー・ノーラン監督は、「現実」の切り取り方が独特。
『インセプション』なんか、昨日見た夢みたいな理不尽内容だけど、この「現実」感覚で観客には不思議とリアルに感じさせてしまう。
 バットマンだのジョーカーだの現実離れしたキャラクターが跳梁跋扈する有り得ないゴッサムシティーを、だから他の監督達は、「嘘を混ぜても違和感がないぐらい嘘に満ちた世界」として描いてある。
 しかしノーラン監督は、キャラそれぞれにちょっと理屈っぽすぎるぐらい裏を付け、「それなら無いでもないか」と思わせる方法で来る。
いや実際はそれでも「無い」んだけど、あるかも、と感じさせるのが腕。

 何でもアリのデタラメではないが、リアルに押される訳でもない、ハッタリの効いたアクション演出は今回も健在。
飛行機内で、カーチェイスで、見応えのあるシーンを展開してくれる。
 アン・ハサウェイが可愛く美しくて嬉しい。
キャットウーマンのイメージではあろうが、『キャッツアイ』を連想。
恐るべきスタイルの良さと、無骨なバイクを乗り回す華麗さに魅了される。
 しかし、「見るからに良い子」なので、敵か味方か…というハラハラには欠けるかな。

 後は、何を書いてもネタバレになってしまう。
面白かったり興味深かったりする部分は、大半がラストに直結する要素なので。
 一応改行して…



 このへんから。

 今回、街を壊滅の危機に陥れる融合炉。
別に悪党がロシアから手に入れた核爆弾とか、そういう設定でも良かろうに、急にそんなモノ作ってしかも厄介なことになる話の運びはどうだろ?と思ったけど…
 これは、バットマンだ、ということなのね。
 街のためであり、「闇を払うもの」として作り出されたはずなのに、それ自体の存在が最悪の危険をもたらす。
 今回は、悪党に利用される武器類も、大きなモノはバットマン…ウェインの会社が所有していた。
彼が居なければ、強力な武装を整えていなければ、ここまでの事態にならなかったかも知れない。

 今回の悪役は、恐怖のカリスマで悪党達を統率し、バットマンを打ち破るパワーや計画性を持ちながら、影が薄い。
ベインなど、まさかと思われる形で退場してしまうし(絶対に再登場すると思ったが…)。
 彼らがこの映画で担っている役割は、「恐るべき強敵」というより、「バットマンの存在にタイムリミットを設けること」。
 バットマンは、自分自身の存在により、常軌を逸した悪が街に流れ込んで来ることを知る(前作…一作目から理解していたか)。
それでも、義務感、いや復讐心?悪を許すことが出来ない「常軌の逸し方」により、前作で登場したモノマネ・バットマン達を一切認めず、一人戦い続けてきた。
 そんな彼が、誰でもバットマンになれると語り、自身こそ危険なのだと悟り、己に重なる融合炉と共に消え去ることを選ぶ悲劇が、今作の骨格。

 ラストシーンは…現実か、幻か。
アルフレッドの叫びが胸に迫るせいもあり、現実であって欲しい。
 ゴッサムシティーに悪が絶えることはあるまいし、「バットマン」の戦いも終わらないだろうけれど、それはもう、ブルース・ウェインの戦いではない。
「戦いと縁を切って愛する者と穏やかに暮らす」ことこそ、彼にとって厳しい、過酷な毎日になるのかも知れないが。

 実は疑問点が多々あるし、不満なところもあるが、バットマンそしてブルース・ウェインの死と再生を描くテーマ性の高い作品として、深く満足。
 ここまでハッピーに感じられるエンディングが、『バットマン』という作品に有り得るとは思わなかった。

 根強く人気があるシリーズなので、再度仕切り直して始めるんじゃなかろうか。
 今度は、『ブレイブ & ボールド』のように割合真っ直ぐで元気なバットマン像にするか…
老齢のブルース・ウェインが若い新世代バットマンにアドバイスを与える『ザ・フューチャー』形式なら、この映画と何となく繋がりそう。



2012年08月27日 月曜日

『機動戦士ガンダムAGE』45.「破壊者シド」

 シドのことを語るレイル。
前回は、レーダーに映った影のようなモノだろうとしか言ってなかったような。
それにしては、「EXAーDBを守護し、自己防衛機能(?自己修復機能か武装増設機能の方がピンと来る)まで備えた無人MS」「EXA-DBからデータを引き出し、生物の様に生長するモンスター」と、妙に詳しい。
 知ってることはゼハートに教えてやれよ。
レイル、援護に出ようとしたフラムを止めたり(言葉は全く正しいが)、実はゼハートの謀殺を企んでいるとか。

 シド、MSレベルで透明化するのは確かに特殊なんだろうけど、他の武装はさほどでもなく。
曲げたりホーミングできるレーザー(光学兵器)は凄い…と思うが、今じゃ他MSもフツーに装備してる技術だからなあ。
 EXA-DBのデータを無制限に使えるはずで、もうちょっと超越パワーを実感させて欲しいところ。
でないと、EXA-DBそのものの価値に疑問符が付いてしまう。
まあ、この武装で一般MSを破壊するには十分であり、これ以上成長する必要ナシと判断したのかも知れないか。

 アセム、フリットと理解し合うことを放棄しようとするキオに対し、意志を伝えるのは困難だが諦めず続けろと語る…のは父親らしく立派であり正しい意見だ けど、親父と対話するどころか死んだフリまでして失踪し、息子もヨメも捨てて楽しげに宇宙海賊やってた男が言って良いセリフかどうかは分からない。
 フリットもアセムも、既にキオもそうだが、唱える立派な信条をそれぞれのヨメ(彼女)に伝えてみて欲しいモノ。
怒られると思うよ、そりゃもう、すっっっっっっごい怒られると思うよ、というか怒れヨメ達。

 イゼルカントの後継者を目指すゼハートに、衝撃を受けるアセム。
 その非道な行いを示す証拠も渡したはずなのに…ということで、二人の距離が遠くなってしまう重要なシーンではあったろうが、ゼハートが後継者になること を承認した直接の原因は、狂った理想への深い理解でも恭順でもなく「イゼルカントの急な吐血に動転して思わず」だとしか考えられず、ごく軽いので、またす ぐ仲良くなれそう。

 EXA-DBがある岩塊を自ら示してしまうシドは、迂闊。
 岩塊に近づく者があると何を放り出してでも防衛のため戻ってしまう、と分かったのだから、透明化を無意味にする攻撃プランが立てられたのでは。
 フックを掛けて引き摺られながら、ワイヤーの先を攻撃するよう促すが、最初は意味を取れなかった様子のゼハート。
…ちょっと鈍いんじゃ…「アセムを巻き添えにしかねず躊躇する」というなら分かるけど。
 突然レギルスの力を掴んだと言い始めるゼハートに驚く。
どのへんが掴んだ実証?
「レギルスのパワーは強力すぎ、パイロットが本能的に出力を抑えてしまう」→「アセムの危機に、我が身の危険を忘れてパワーを全開にしてしまう」といった流れにするとか…

 結局破壊できていないEXA-DBとシド。
そうなるとこれは、シリーズも残り少ないのに一話かけてやる内容だったのか疑問が(毎回言ってるような)。
 「アセムとイゼルカント後継者を自認するゼハートは決定的に道を違えてしまったように思えたけどそれほどじゃない気もする」以外、別に展開が無く。
 死にかけると戦闘力が上がるサイヤ人のように、大きく破損させられたことでEXA-DBからより強力な装備データを引き出して自己改装するのだろうシドの再登場を予感させるのが主題?
 EXA-DBを体内に取り込んでより巨大化し、破壊神と化したシドが、地球あるいはセカンドムーンの壊滅を目論んで襲いかかり、連邦とヴェイガンが恩讐 を超え手を組んで撃滅にあたるクライマックスに、「私が理想とした世界はもうここにあったのかも知れない」とイゼルカントが納得して終わりとか。



2012年08月26日 日曜日

『織田信奈の野望』07.「信奈上洛」

 安定して面白い。
 シリアスな部分もありつつ、「そんな訳ない〜」現実離れした所については、武将がほぼ美少女だということによる萌えアニメ特有の緩さで誤魔化してあり、さほど違和感なく見せてくれる上手さに感心。
そういえば「美少女」と「武将女(ぶしょうじょ)」って似てる…どうでもいいな。
 史実から、離れそうで離れないバランスの取り方も良い感じ。
あんまり「見知らぬ歴史」度合いが勝ってしまうと、単なるファンタジー戦記物になりかねないから。
この辺が、作劇上の制約であり面白さであり、作者の腕の見せ所。

 敗れた武将を自軍に加えていく信奈だが、広い度量で許した(道三への気遣いが大きいのか)斎藤義龍は軍門に下らず。
『信長の野望』でも、攻略した陣営の武将は、感謝して仲間になったり、捨てゼリフを残して立ち去ったり、なので、正しい描き方。
 岐阜の由来が義父から来ているなど、ムチャ言うなあと笑っていたけど、実際に信長命名だという説があるのね。
よく調べた・よく考えたなあ。

 現代の男に過ぎない良晴が、自らの危険や命を省みない活躍をし過ぎているように思え、そこはちょっと不満。
既知の歴史を武器として、周到に計画を立案、「死ななくて済みそうだ」と確信してようやく戦場に出るような臆病さ・戦国武将っぽくなさがあって良いと思え。
 この辺は適当なところで留めないと、ライトノベル的にキャラの魅力を損なう危険性があり、このぐらいが妥当かな。



2012年08月23日 木曜日

 月曜からMXで放送されている『タツノコプロ 名作アニメ総選挙』
一日二本ずつ、合計十本のタツノコアニメ第一話だけを放送し、視聴者投票一位になった作品を全話放送する、という企画。
 懐かしいアニメが並んでおり、お祭りのようで楽しい。

 この中なら、全話見たいのは『ムテキング』『ウラシマン』『イッパツマン』『ゴールドライタン』かなあ。
 『ムテキング』は、前半のパワフルさ、タコミの困難な恋など非常に面白かったけれど、日本に引っ越してくる後半以降、ちょっと失速気味だったような。
 『ウラシマン』は、大きな謎をめぐる大河ドラマと、犯罪に立ち向かう各話バラエティー要素が充実しており、好き。
謎の解明について、当初の予定とは違う形への変更を迫られたそうだが…やっぱり相当に無理が感じられて残念。
 『イッパツマン』マンネリとパターン破りをテーマとするタイムボカンシリーズの中でも、一番の異色作。
ギャグもありつつシリアスな危機に見舞われる展開が多々あり、三悪が醸し出すサラリーマンの悲哀と、主人公やメカの容赦ない格好良さが印象深い。

 個人的には、全話をマトモに見たことがない『ゴールドライタン』放送を希望。
なかむらたかし作画回だけでも録画したい。

 タツノコなら、シリーズ後半の不合理なメカ変形が強烈な『ゴーダム』、訴訟の関係か再放送がなかなか行われず、サイコーユ鬼に時代を感じる『ドテラマン』、調べて知っ たコレもそうだっけ、暴走ギャグに大笑いした覚えのある『キャッ党忍伝てやんでえ』なんかもラインナップに加えて欲しいところ。
 それは、総選挙第二弾で、ということになるのかな。



2012年08月22日 水曜日

『人類は衰退しました』08.「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」

 時間ループネタ。
夏の終わりに同じシーンの繰り返しを見せられると、忘れていたトラウマがズキズキと痛んでしまったり。
当然ながら八話も繰り返すことはなく、主人公のモノローグ等に変化が付けられ「物語が進んでいる」実感を与えてくれるので、気楽だが。
 理解しようと真剣に見ていた…とまでは言えない鑑賞態度だったためか、分からないところもあるけど、ヒロインによるボケていたり気が利いていたりするツッコミが可笑しく、妖精の何でもアリっぷりも楽しく見られたので、問題なし。

 以前語られた、妖精の存在量により現実世界のリアリティレベルというかフィクション度合いが変わる、という話が面白かったなあ。
 妖精が存在するだけで幸運の確率を押し上げるのか、妖精自体が直接に人間を助けるため行動することで人間にとっては幸運な出来事が多くなるのか。
高所から落ちるヒロインを救うため、妖精が数珠つなぎのロープ状になって向かってきていたような気がするから、彼ら自身の行動により助けている、ってことなのかな。
 時間も空間も自由に出来そうなので、体を張らなくともあらゆることが可能なようなものだけど、まあ、そんなに深く考えてなさそう。
あるいは「全てが恐ろしく大きな計画の一部」なのかも、と思えたりもするけれど、その辺が明らかになることはあるのかどうか…描こうとしていることからは外れるような気がするので。

 童話「小人と靴屋」で…これは小人であって妖精じゃないけど…素晴らしい靴を仕立て上げた技術は、彼ら自身が持っていたものか、靴屋の作業を見て覚え、体が小さいため細かなところにまで気を配れたため仕上がりが良くなっただけなのか。
 模倣が上手、ということであれば、妖精達が本編中で使っている魔法のような技術も、元々は衰退する前の人類が所持していたモノなのかも。
そういう意味では、彼らは『ガンダムAGE』EXA-DBのような存在と言える…?



2012年08月21日 火曜日

『機動戦士ガンダムAGE』44.「別れゆく道」

 接近しつつあるヴェイガン本拠地セカンドムーン。
地球占領部隊とも呼応して、最後の激戦が幕を開ける…かと思えば、そうでもなく。

 EXA-DBのこと、フリットや連邦は知らないんだっけ?
何も知らされていなかった視聴者はともかく、この世界に生きる人間であれば、連邦より遙かに進んだ技術を持つヴェイガンに対し、可能性が当然考えられるべきでは。
 EXA-DBの存在は都市伝説的なものだったか。
「不合理な事件が起きたのを、妖怪の仕業かと考える」ぐらい、検討に値しないモノなのかな。
 また、そのオーバーテクノロジー無しでも同等のMSを作れるマッドーナ工房があるし。
…そういえば、「マッドーナ工房がヴェイガンに技術供与している」疑いって持たなかったのかね。

 イゼルカントは、EXA-DBから一部情報を持ち出してきたはず。
なら、その存在位置について、もう少し覚えていても良いような。
 一部データだけでもこれだけの軍事力。
全てを入手してはヴェイガンの圧勝により戦争がすぐ終結する恐れがあり、彼の企むプロジェクト・エデンにとって逆に障害となりかねず、曖昧なことしか伝えていないのか。

 イゼルカントに詰め寄るゼハート。
 しかし、その非効率も極まれりな戦争の進め方について、これまで疑問を持たなかった?
まあ、「非効率的」の中には「失敗続きのゼハートを要職に据える」ことも含まれているので、見ない・見えないフリをする気持ちは分かる。

 イゼルカント、ゼハート会談は…
・イゼルカント、都合の良い嘘を語ってだます。
・実はキオに語ったことが嘘、ゼハートにのみ真意を明かす。
・副官フラムやセカンドムーン全体を「人質」に、疑念を捨てて自分に仕えるよう命じる。
・ゼハートの役職を解任・拘束し、ザナルドを後任に据える。
・ゼハートは、自己目的(ヴェイガンの幸福、連邦壊滅、軍人としての任務完遂、アセムを亡き者にしロマリーと再婚w)と一致もしくは利用できそうな計画と考え、自ら進んで協力を申し出る。

等々、色々に展開できたと思うけど…
 実際は、キオに語った通りの狂った内容を繰り返し、大きな動機が、他者にはどうでもいい「息子の死」であると明かし、吐血で何もかもウヤムヤに。
 よくこれで納得したなあ、ゼハート。
 好意的に取れば、ゼハートが死をも覚悟して臨んだのであろう詰問にイゼルカントは全て答え、これまでが狂った行動であっても吐血によりもう長くない命 (愚行の限界)が見て取れ、解任も拘束もなく逆に疑問を持っている自分に全権を委任する度量を驚き、連邦との決戦を前に体制が崩れることはヴェイガンに とって得策ではない、という判断から、取りあえずこのままで、としたものか。

 突然出て来たEXA-DB守護MS(モビルアーマー?)。
多少は伏線があっても…
 調査隊では確認も出来なかったのに、ゼハートに襲いかかってきたのは何故だろ。
ヴェイガンの他MSには使われて無い、ガンダムの技術がキー?
EXA-DBには存在しないMSデータの収集、あるいは宇宙を危険に晒す未知の兵器を排除するのが目的だったり。
 しかし…この最終局面に来て、責任者ゼハートがこんなことやってる場合なのかな。
「レギルスの性能試し」でもあろうが、月面基地攻略戦でのジラード・スプリガンを思わせる散漫な印象を与え、構成の不備を疑わせてしまう。

 少しは穏やかになったかと思えば、やっぱりヴェイガンへの殺意…皆殺しへの執念を剥き出しにするフリット。
ブレないなあ、息子も孫も引いてるよ?
 狂った理想を持つ者同士、という意味ではフリットとイゼルカントは同等であり、イゼルカントの計画が生み出してしまった意図せぬ結果・鬼子がフリット。
どうも二人相打ちで消える以外のキレイな片付け方を思い付かないけど、このアニメは想像を絶する展開を迎えたりするからなあ。
 キオ、ヴェイガンとの戦争終結を目指すのは良いが、孫の優位性以外に爺ちゃんを説得する方策すら持たないようでは、道は遙かに遠い。



2012年08月20日 月曜日

 コミケ疲れと、連日五話ずつ放送されるWOWOWのハイビジョン・リマスター版『ウルトラマン』を見るのに精一杯で、更新遅れました。
すみません。

 ハイビジョンはさすがにキレイで見とれる。
元々画像が甘いモノはどうしようもないみたいだけど、時折ハッとするぐらい繊細な画質で映像が見られるのは素晴らしい。
着ぐるみの質感まで伝わってくるからなあ。

 しかし今更、『ウルトラマン』って凄い。
 横に二人並んで入る着ぐるみデザインのペスター。
舞台劇の馬のように、前後に二人並ぶのはそう珍しくないが、横に二人…は、なかなか例がないのでは。
 ハヤタとウルトラマンの意識を明確に分けるテレスドン回。
洗脳してムリヤリ変身させたのに、その際、発せられた光で地底人が全滅?するという悲劇だか喜劇だかが凄い。
ウルトラマンに、「地球人」とも言える地底人へ攻撃の意志を持たせないことで、後の『セブン』ノンマルトのような重いドラマを回避している。
 訳が分からないブルトン。
人間でも動物でもない形態をしており、攻撃方法も不可思議。
シリーズが安定した後ならともかく、最初の作品でよくこんな冒険したなあ。

 イメージとして、毎回スペシウム光線で怪獣を倒していたように思うけれど、実際はそうでもないのね。
「カラータイマーが赤にならないとスペシウム光線を出さない」訳でもない。
 科学特捜隊の攻撃で怪獣を倒すケースが何度も。
彼らは名前通り「特捜隊」であり、怪異事件の調査と対策立案が主な任務。
緊急事態、あるいは特殊な方法がある場合は自分達でも立ち向かうが、怪獣への攻撃自体は通常、自衛隊?防衛軍?が担当する。
 後のシリーズでは崩れてくる様々なことを、しっかり描こうとしていた部分が見受けられ、逆に新鮮。



2012年08月13日 月曜日

 昨日は、夏コミケ参加日でした。
 ほぼ完徹でコピー誌をデッチ上げ、会場入り。
 スペースを訪れて下さった意外なほど多くの方から、暖かいお言葉を頂きました。
ありがとうございます!ああ、頑張って仕事しなきゃ。
 寝不足で頭がシャッキリせず、何だかぼんやりした対応だったかも知れません…その場合すみませんでした。
次回、また参加できたなら、もうちょっと体調を整えていきたいと思います。

 コピー誌も有り難いことで早々に売り切れ、無事帰宅してバッタリ倒れ熟睡、その後も寝たり起きたりを繰り返しつつ現在に到ります。
 録画した放送アニメなど、ぼちぼち見ていきたいと。


2012年08月06日 月曜日

『機動戦士ガンダムAGE』43.「壮絶 トリプルガンダム」

 とりあえず、月基地攻略が終わったことを喜びたい。
本当に、ここが最終決戦の地になるんじゃないかと思い始めていたので。

 前回一話を費やして背景を描いたジラード・スプリガンが、結局は魅力の無いキャラとして散るのみに終わり、残念。
 Xラウンダー能力の暴走により、周囲の同能力者にプレッシャーを与え戦闘継続を難しくし、各機の遠隔攻撃兵器を奪い取って自分のモノにした上、敵味方関係なく破壊しようとする狂いっぷりは面白かったんだけど。
そういえば、デシルが他MSを自由に操っていたのを思い出す。
 いっそ、デシルの怨念が取り憑いた…彼が最期に宇宙へと放った憎しみと破壊の衝動に精神が同調してしまっている、といった流れにする手もあったような。
それなら、同様に死んだ彼氏の遺志を受け取ることも出来たろうし。

 Xラウンダーパイロットが皆、共振現象を起こす中、一人仲間はずれのアセムを可哀想にも思ったけれど、狂気に引き摺られ戦えない父・息子に代わり「普通の 人」であり「スーパーパイロット」でもある彼だからこそ事態の解決が図れる局面で、久々のアセム大活躍が見られるか、「皆殺し」のフリット、「不殺」のキ オ、どちらとも違うはずのアセムは彼女相手にどういう戦い方をするのか、見せ場だなあ…
 えええ別に活躍無し?
操作されているゼハート機に遮られて終わり?
 せめてキオらを襲うビットを破壊して助けるぐらいのことはして欲しかった。
 ジラード機を破壊する一撃は、「彼女の異能力は戦力バランスを大きく崩す」とするアセムからのものでも良かったぐらい。

 ジラードが最期に見たのは、ゼハート?
彼女の意志にかかわらず強制的に精神世界へと侵入してきたキオであるか、「幻」なら死んだ彼氏であるべき。
 まあ、彼氏が登場した場合、彼女の健闘を讃える・狂った行動を咎める、どちらがふさわしくなるかは難しく、微笑んで立ちつくすのみ、あるいは両手を広げて魂を迎えるポーズ、ぐらいに留まるだろうが。
 しかしゼハート(彼女が勝手に見たイメージでないとして)、憎しみを暴走させガンダムのみならず自分達まで危機に陥れた厄介な女を「戦士として尊敬する」なんて言えるモノか。
自身、正義も悪もなく、ただイゼルカントの夢、というか妄執に準ずる覚悟を持つが故の言葉?

 Xラウンダー達が戦う一方、それとは関係なく月基地が攻略される。
 言葉にしない上官の意志を読み取って行動しろ、って軍隊も凄いなあ。
 突入の際、MSに混じって強襲揚陸車両が登場したので、「ここに白兵専用の兵士が大勢積まれていて基地内に一気に攻め込むんだな。以前、ブリッジ要員だけで基地攻略を行った無理を反省したものか」と感心したが、んん?何か役に立ってた?と思うぐらいに活躍せず。
一応、生身の兵士数が増員されてはいたのかなあ、よく分からなかったけど。

  元は自軍の基地だった場所なので、『銀英伝』のようにシステム完全無力化コードを打ち込み、明かりさえ消えた基地内で相手に降伏以外の選択肢を無くする… のかと思えば、「降伏しないと、じきに凄いミサイルが撃ち込まれてみんな死ぬぞ」と脅迫し、勿論ヴェイガンは徹底抗戦…せずに条件付き降伏、という肩透か しぶり。
 ??これなら戦艦内から通信で同じ内容を送っても良かったのでは?
内部から強制的に基地全体への放送を行い、下っ端兵士達の戦意を挫くのが狙い?
 何の裏付けもない言葉だけの脅しで、降伏を決意する基地司令官にも驚く。
被害の大きさから、戦闘を終えるタイミングを計っている段階だったのかも知れないが、絵として上手く表現できているとは言えず。
 ヴェイガン兵士は最後まで戦うことを主張するけれど、怯えた裏切り者連邦士官が司令室内で銃を乱射、連邦に通信を送り「私の勇気ある行動で基地は無力化 された、今すぐ突入を」と言うも、直後ヴェイガン司令に撃たれて死ぬ、ぐらい、小物連邦士官には活躍してもらって良かったような。
フラムにコクピットごと潰されるのも、死に方として悪くはなかったが。

 次回、ありゃ、セカンドムーンが接近中?前回ギャグとして書いたことがその通りに。
 こんな事が出来るなら最初から…って、このアニメを見ている間に呟くのは何度・何十度目だろう。


2012年08月05日 日曜日

 レンタルで映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』を見る。
 2011年作品。
見て初めて知ったけど、監督はジョー・ジョンストンだったのか…『ロケッティア』『遠い空の向こうに』『ジュラシック・パークIII』と、結構好きな作品を撮っている。

 原作アメコミは未読だけど、昔作られた映画を見たことがあるし、基本的な知識ぐらいは。
 虚弱だった青年が、強化されて客寄せ…戦意高揚広告塔のキャプテン・アメリカになり、やがて本当のヒーローになっていくまでを丁寧に描いてある。
 体は弱いが心は強く、正しい勇気を持ち続ける主人公スティーブの造形が素晴らしく、引き付けられる。
 ガリガリとマッチョ、両極端に変化する体付きを自然に、「本当はどっちの体なの?」と思わせられるぐらいに表現するCG技術も凄い。
 アメリカ国旗を巻き付けたような、隠密行動とかそういう概念と縁がないアホみたいに目立つコスチュームとシールドを、ステージ衣装とし、そこからの変遷を見せることで割合無理が少なく描いてしまうのに感心。

 ただ…
 キャプテン・アメリカになってからは、敵基地侵入と破壊成功を楽〜に延々繰り返すばかりで芸が無く、またヒーロー自身も「力が強い」と「シールドを投げつける」ぐらいしか能力を持たないため単調さをより増してしまい、面白味に欠ける。
宿敵を倒すのも非常にアッサリしており、もう終わり?と驚いてしまうぐらい。
 途中、「悲しむべき出来事」があるのだから、「戦う気力を失う」か「復讐に取り憑かれ暴走」どちらかに行って良かったような。
 彼女との関係にしても、少しは波乱を起こすモノだろうに。

 人間・スティーブ・ロジャースは愛情を持って描いているが、ヒーロー・キャプテン・アメリカになると途端に制作者の興味が失せている、というのを露骨に感じてしまう映画。
 『アベンジャーズ』の予習として見たけれど、本当にそれぐらいの意味しかなかったのは残念。



2012年08月02日 木曜日

『DOG DAYS'』04.「ビスコッティ夏合宿!」

 相変わらずほのぼの〜とした戦興行と、戦意はありつつ敵意はカケラもない第三の勇者レベッカ誕生、新たな国もやはり良いところで王女・国民とも気持ちが良く、何ら心配要らず、うにゃ〜と見ていられる第二部。
 殺傷力ありそうな剣や爆発する兵器が乱舞する戦場にあって、まるで死者が出ない、怪我人すら?というのはやはり少々都合が良いと思うんだけど…
 ゆる〜い・呑気な・緊張感に欠ける作品の雰囲気を、制作者が全力を上げて作り出そうとしているその努力はとてもよく伝わってきて、そこに乗ることに抵抗を感じない。

 まるっきり子供で恋愛感情に疎いシンクと違い、女の子達は一歩先行。
 レベッカも彼に好意を持っているんだろうとは思うが、ミルヒオーレやクーベルに対しても同じぐらい強い好意が感じられ、まだ未分化。
それは、遊んで・撫でられて嬉しい気持ちが強いのだろうミルヒオーレも同様。
 エクレールが恋愛意識には最も近いのかなあ。
ただ、ツンデレな性格と親衛隊隊長であるが故の自制、姫様への遠慮などにより、なかなか自由に動けないみたいだけど。
 どのあたりとくっつけようとしているのか…この辺りを突き詰めると多少の衝突を描かない訳にいかず、作品テーマと離れてしまう恐れがあるため、第一部と同じく曖昧に終わらせる可能性の方が高そうか。

 ストーリーを盛り上げるには、第一部のように強力なモンスターや敵キャラ、謀略を用いて国家間を深刻に分断し対立させようと企む者、より強くなりたいと 求めるレベッカに取り憑く悪意…なんかを用いる手だろうけど、このままふわふわっと、可愛く心地良く終わらせてくれる方が好み。



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