ときどき日記 2012/10-12

2012年12月31日 月曜日

 コミケから無事帰還。
参加された方、お疲れ様でした。
 自分の本を用意できてないと、コミケはやっぱり寂しい…夏にもスペースが頂けましたら、必ずや新刊を。

 今年は娘に手が掛かってしまい、アニメ視聴・日記更新の時間がなかなか取れず、ここを訪れて下さった皆様に申し訳ないことをしてしまいました。
 来年は、もう少しマシな状態に…したいものです。なるといいなあ。


 本日はコミケ三日目。
 今更の告知ですが、東イ41a・白昼書房で参加します。
 ただ…カゼを引いて体調を崩したこともあり、新刊は間に合いませんでした……すみません。
 お立ち寄り・お声を掛けて下さる方。
喉を痛めて声が出づらく、マトモに受け答えできないかも知れませんが、何ら悪気はないことをお含み置き頂ければ有り難いです。


2012年12月30日 日曜日

『中二病でも恋がしたい!』最終12話.「終天の契約(エターナル・エンゲージ)」

 お気楽コメディーアニメとして中盤まで見て来たが、後半は結構なシリアス度合いだった。
 六花が中二病にかかった(自分でそうなる事を選んだ)原因を巡り、なかなか重いドラマ展開。

 「中二病だ、ということまで含めてその人。認めて・認められる関係を一つでも築けるなら、そのままで良い」
 「いつか、誰でも現実に向き合わなければならない時が来る。痛みを越え、しっかりと本当の世界へ歩き出すべき」
 どちらでもテーマになり得たし、感動的に描けそうであり、悪くない。
どうしたいかは、もう作り手の考え方次第。
 この作品では…うーん、ちょっと中途半端な終わり方だったようにも。

 中二病、というものについて、現実で最も問題になりそうなのは「日常生活への支障」だと思う。
周囲との会話が成り立たない、忌避される、より内に籠もる、といった悪循環が発生しがち。
 しかし、劇中で六花は別段クラスメートから嫌われているように見えず(人気者でもなかろうが)、あんな言動でもコミュニケーションは取れているようで、こんな優しい環境下にあるなら「中二病で居続けて何か問題が?」としか。
 元中二病だった主人公と、六花の関係は、現実を受け止めて生きることで上手く行く、というものではない。
かといって、双方が中二病である方が幸せかというと、必ずしもそうでなく……
 どういう形が最も良い終わり方であったかは、難しい判断。
恐らく視聴者一人一人に違った答えがあるのだろう。

 この作品での…六花の中二病は、現実と自分の間に距離を持って(感じて)しまった人間が、自身にとって扱いやすい形に現実の認識を変容させることで、それを埋めようとする心理機構。
 そこを代わって埋められるのが「恋」ということだろうけど、その恋の相手である主人公がそもそも中二病の発症原因であり、彼の彼女に対する望みは「現実 に帰れ」でも「中二病でいて」でもなく、「六花らしくあって欲しい」だろうから、スッキリした終わらせ方にするのはなかなか困難。
 また、六花に続けて完治の様相(フリ?)を見せる凸守、六花から見事に症状を伝承するくみん等、作品内で「中二病」そのものの定義が怪しくなるような所もあった。

 とか、考えれば考えるほど迷路に入り込むみたいで、容易に「こうだ」と断じきれない作品。
 現実を歪めてバトルフィールドにしてしまう演出が素晴らしく、対比して現実のショボさ(勇ましく巨大武器を振り回す六花が、実は腰が引けた情けない姿で 傘を振っているだけとか)にも笑わされ、他のアニメで「能力者同士の壮絶バトル」が繰り広げられるたび、「ああ中二病中二病、どうせ現実では…」とか変な ツッコミをしてしまう副作用も。
 ヒロイン・六花が素晴らしく魅力的で、引き付けられる。
 最後まで主人公を好きに「ならない」、ハーレム拒否の森夏も良かったなあ。
 バカだけど気の良い誠、くみん・凸守も可愛くて好きだけど、まだ彫り込んで魅力アップできたはずと思うと惜しい。

 この作品を、好きか嫌いかと言われれば、文句なく好き。
 出来が良かったかと言われると、まだ答えが出ない。
 もう少ししたら、最初から全部見直してみたいな。


2012年12月16日 日曜日

 WOWOWで映画『ワイルド7』を見る。
 望月三起也原作の傑作漫画を実写化したもの。
昔、テレビシリーズとして実写化されたこともあるが…主題歌以外、ほとんど覚えてないなあ。

 う〜ん、酷い。
 原作ファンとして、監督らはちゃんと漫画を読んだのか、面白い部分を多少なりと理解できていたのか、疑問。
 七人の描き分けが無く、個性を生かした活躍もほぼ無し。
特殊バイクの魅力は薄くて、バイクアクションへの拘りも無い。
 シチュエイションを徹底的に活用し、頭を使って危機また危機を切り抜ける、原作の痛快さなど皆無。
「とにかくバンバン銃を撃つ」「正面から突っ込めば後は何とかなる」こんな見せ方だけじゃ…
 続編を睨んでの都合もあるんだろうけど、危なくなったら抵抗せず降参して生き延びるワイルドの弱々しさにも、ガッカリ。

 単にアクション映画として見ても、飛葉の恋愛、セカイの親娘愛など、時間を無駄にしているとしか思えない余計な要素のお陰で、物語が恐ろしく薄っぺらい。
 ワイルドのメンバーがさっぱり凶悪に見えず、特に飛葉のミスキャストぶりは、演じた瑛太が可哀想になるぐらい。
 せめて「飛葉が罪を犯すに至った経緯」だけでも、きちんと映像化すべきだったのでは。
セリフでちょっと説明したから良いでしょ、って?
単純ではあるが、今回の事件と飛葉の過去を繋げる方法もあったろうに。
 深田恭子は、キャラとして消すか、もっと活躍させる手だったと思うけど、眠っているウチに最後の事件が片付いており、肩透かし。
 悪のボスに憎々しさが足りず、事件の解決もスカッとしない。

 期待していなかったから、取り立てて失望したということはなく、まあ普通に時間の浪費をした気分。


2012年12月11日 火曜日

『えびてん 公立海老栖川高校天悶部』最終10話.「ビューティフルドリーマーズ」

 最終話、臆面もなく冒頭から『『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のパロディー…というより、学園祭準備で狂躁状態の学内風景をそのまんま新作画で流していた。
 原典からヒネったネタを入れることで笑いになるんじゃないか、そのまま過ぎるのはどうだろ、と思いつつも、センスのない無理な笑いを入れられるぐらいならこの方が良いとも思え、懐かしさにうっかり喜んでしまう。

 このアニメその物は、最後まで名前も覚えないキャラが多いぐらいの集中力で見ていた。
 「ボケていて可愛い」という範囲を遠く過ぎ、ゾッとする狂った思考と行動を示すストーカー女教師は面白かったかな。
漫画やアニメに、異常な女教師はよく登場するけれど、なかなか例がない程に女性キャラとしての魅力商品化を一切目論まない、潔い造形。
 毎回、一作品のアニメ(特撮)パロディを中核に、三十分一話を構成する、珍しい内容の作品だった。
パロディと言っても、多くは今回のように「原典そのまま」を見せており、キレイにヒネってある訳でなく、上手くストーリーに絡められていたかも疑問だが…「次は何がネタ?」を楽しみに見続けられたのは、事実。
 一般視聴者への訴求力は分からないけれど、自分のようなオタクジジイには、それなりに効き目があったということか。


2012年11月30日 金曜日

『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』08.「からふる(水着買ったらファッションショーするべきだよねっ)」

 登場女性キャラの中では、無愛想なようで無表情にS気味異常なことを口走り続けるアナスタシアが、一番強烈かなあ。
 お金持ちの令嬢らしい(主人公の長々としたセリフで毎度説明)が、その財力・技術力を毎度全くムダな方向に費やしているのも可笑しい。
寮を買い取っちゃうとかすれば良いのに…他の女性陣が嫌いだという訳ではないから、追い出して主人公を独占する選択肢もないのかな。
 すぐに脱ぐ形で「オチ」に使われやすい会長、性格・スタイル共に地味すぎるのが特徴になっている春臣も、それぞれにキャラクターを主張。

 そういう中では、秋子が「妹」という設定特性以外に大きなアドバンテージがなく、目立ち方が弱い。
設定特性、と書いちゃったけど、「妹だからこその年月を経た兄への思慕」「僅かにでも感じさせる兄妹での愛への躊躇い」どちらもほぼ無いため、実の妹(本妹?)というよりは「主人公を『お兄ちゃん』と呼ぶ発情系キャラ」認識の方が強く、独自の個性が弱い。
 タイトルも、兄妹を中心に置くより、『聖リリアナ学園 学生寮の少女達』を表すモノに変えた方がしっくりくるぐらい。
 前回登場したありさと張り合うことにより、秋子のキャラクター性が強化できたのは救い。
これも…ありさは主人公への気持ちが暴走する余り腹黒い行いも平気な二面性少女、とした方が、対比して秋子を彫り込めたような。
とても良い子に描かれているので、秋子・ありさの違いは「発情系かそうでないか」ぐらい。
 原作は知らないけど、少なくともアニメの制作者には妹属性がなく、どうすれば「妹」の魅力を醸し出せるか、分からない・興味がないんじゃないかと思ってしまう。
興味はないけど妹物を異常に上手く描ける…らしい主人公少年に、その秘訣を習ってはどうか。

 ハーレム物では珍しくない、とはいえ、主人公少年の「好かれるべき要因」が全然見当たらず。
寮の女性陣も、妹達も、何が良くて彼に好意を抱いているのか、サッパリ。
 恋愛関係に疎いのはパターンとして、過剰な色気で迫る女性陣にも余り悩まされることがなく、出家僧のよう。
 まあ彼は、群雄割拠、それぞれに戦闘能力を備える女性達が争い合い、最終的に勝ち取ることを狙う「名誉の戦利品」なので、見た目が良ければ、中身や機能性は気にしなくて良いのかな。


2012年11月25日 日曜日

『ガールズ&パンツァー』06.「一回戦、白熱してます!」

 やりたいことがハッキリしている作品は、見易い。
 困るのは、例えばロボットアニメなのにロボットが格好良くない、「格好良くないところが魅力的」な訳でもない、ドラマは薄い、キャラクターにも興味を持たせない、そうなると、ドコをどういう風に楽しめば良いのか分からなくなってしまう。
 このアニメは、「とにかく戦車ありき」。
戦車を面白く・魅力的に見せるため、世界観からキャラクターまで揃えてある感じ。

 なんで学校が戦艦に乗っているのか、街中で戦車バトルが行われたり異常に見えるけど社会形態はどうなっているのか、世界全体を分からせるための詳細説明は省かれている。
「これなら戦車が存在してもイイかな」と思わせられればそれで良い、という割り切り。
 戦車にムサイ野郎を乗せたって今時誰も見てくれないから、乗員は全員美少女。
麻雀を美少女のアイテムにした『咲-Saki-』的(こちらは女の子優先に見えるけど)。
 競技とはいえ砲撃戦を行う訳で、どうしても死者・怪我人が出てしまいそうなところを、「安全に配慮した砲弾を使用」という無茶な一言でナシにしてしまうのが可笑しい。
拳銃で撃っておいて「峰打ちだ」ってギャグが昔、あったなあ。

 砲撃、えらく当たらないモノだと思うけど、こういうものなんだろう。
 もっと最新鋭の戦車を使わないのは、そこまで戦車技術が発達していない世界設定なのか、「弓道で狙いをデジタル機器により付ける」ような無粋な行為だからか。
いずれ超お金持ち学校がコンピューター制御戦車を持ち出すが、ヒロインらの恐ろしくアナログな戦術の前に敗れる、という話も?

 ヒロイン学校の女の子達は、戦車チーム毎に強く色分けされており、分かり易い。
 歴女というか、歴史上キャラクターになりきりっ子の少女達が楽しい。
今のところ、ヒロインの指示に「なるほど、○○(史実上の戦い)だな」と追従するに留まっているよう思えるので、いずれはサジェスチョンを与えたり自ら作戦立案するなど、より活躍する姿が見たいな。
 


2012年11月23日 金曜日

 劇場で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を見る。
 『序』『破』に続く、新劇場版シリーズ第三作。
 二作目『破』が非常に面白く、「これを見たかったんだ!」と思わせてくれる内容だったため、大きく期待をしての鑑賞。

 いや、面白かった。
 具体的に言いたいことあるんだけどネタバレてしまうので…テレビシリーズの構成を残していたりいなかったり、期待に応えたり乗り越えたり裏切ったり、過剰な情報量にこちらの処理が追い付かなかったり中だるんだり、様々な意味で上映時間いっぱい、楽しませて頂いた。
 「新劇場版」は、明快なストーリーで進めていくものと思い込んでいたが、新たなワード・展開が詰め込まれ、考察しがいのある筋立てになっていた…のだろう。
個人的には、色々考えられるだけの知識も情熱も足りず、諦めて聞き流し気味。
 魔法モノで詠唱される呪文の中身に意味を求めても余り意味が無い、みたいなもので、「なんか言っている」その結果として爆発したとか人が死んだとか笑ったとか泣いたとかいう現象が確認できれば、それで十分じゃなかろうか。

 風呂敷を広げた感があり、次の映画でキレイに閉じられるのかどうか、不安。
しかし、静かに片付けられているパーツもいくつかあるため、やりようによっては可能、かなあ。
 この『Q』であっても、旧作の「気持ち悪い」エンディングぐらいで良ければ、ラストに一言二言付け加えれば完結っぽい形に出来たような。
 「また十年後、新たな構想を加えて語り直す『真・エヴァンゲリオン』劇場版シリーズにご期待下さい!十年後もサービスサービスぅ!」ってのもイイかな。


2012年11月03日 土曜日

『ルパン三世 東方見聞録 〜アナザーページ〜』

 ルパン三世のテレビスペシャル、シリーズ23作目。
 監督・亀垣 一はスペシャル担当初…かと思ったけど、『セブンデイズ・ラプソディ』『ルパン三世VS名探偵コナン』に続く三本目の作品なのね。
 監督自身もアニメ『名探偵コナン』に関わり続けているせいか、キャラクターデザインや作画の雰囲気に似たところが多々あり(ゲストの女性など、そのまま)、違和感。

 内容は、可もなく不可もなく。
 銭形をイライラするような馬鹿に描かず、悪党を相手にしても、1人ずつの対戦であれば勝てる実力の持ち主としてくれたのは嬉しい。
 相手の裏を掻こうとする行動を見せるルパンも、結構。
ほとんどは既存のパターンだし、感心するほどでもないが、「何もやらない」よりずっとマシ。
 懐かしい警視総監(ICPO長官?)、『さらば愛しきルパンよ』からのネタなど、ちょっと懐かしいクスグリは楽しいところ。

 殺人の疑いについて釈明せず、ICPOだというウソをつき続けるルパンの気持ちが不可解。
ウソにウソを重ねたり、誤解の連続で笑いに繋げたい意図は分かるけど、余り上手くできていないし、ヒロインの成長?にもキレイに連結しない。
 バレバレではあるが…登場シーンが少なく印象も薄いキャラを真犯人?とする語り口が良くない。
 ルパン側に女性キャラを付けているのに、五右衛門にまで、しかも3人女性キャラを付け、長女以外は(いや長女も…)魅力など何も無い全くのムダ。
 迷いを抱えた五右衛門が、「守るべき何かのため、戦うべき瞬間のため剣を抜く」シーンがカタルシスになるはずだろうけど、これも上手くなく。
飛行兵器はルパンらが既に制圧した後で斬っているし、衛星破壊は単にギャグ。
 大した謎解きでもないのにややこしく思わせてしまう、アナザーページ関連の情報整理もマズい。

 このスペシャルに限ったことではないが…「いくら銃撃を浴びてもルパン達には絶対当たらない」と、視聴者のみならず制作者も考えて作っており、まるで緊張感がない。
 何を描きたい作品なのか絞り込めてない、というか、描きたいことは別にないんだろうけど。
例えば「疑うことを知らなかった世間知らずの少女が、いくつもの真実と疑惑を重ねる旅の中で成長する」というテーマにするなら、その方向を強化し、要らないところを厳しく削り落とさなければ。

 不満も多かったシリーズだけど、『峰不二子という女』の方が野心的であり、面白い部分も。
「次回スペシャルには、行方不明になったその後のオスカー警部が登場する」という希望的観測があった、そっちが良かったなあ。
 『峰不二子という女』の内容から、ウダウダ本筋を抜いて面白い部分だけ編集し、少々の新作も加えて二時間にまとめてくれたものが見たい。


2012年10月29日 月曜日

 映画『009 RE:CYBORG』を見る。
 石ノ森章太郎先生の名作『サイボーグ009』を、神山健治監督が再構築して映画化したもの。
麻生我等先生によりリニューアルされたキャラクターデザインを、3Dモデル化して動かすことで、元の漫画とは大きく印象が変わっている。

 事前に最悪の評判ばかり聞いていたためか、そこまで酷くは感じなかった。
 画面のクオリティーはドコにも手を抜かず高いし、アクションのアイディアや演出も素晴らしい。
 別人、と言って良いほど変えられたキャラクター達なのに、元の石ノ森デザインを思わせる瞬間が作られている、この演出力には感心。
 特に003・フランソワーズが色っぽく、3D造形であることを忘れそうになってしまう。

 問題は…
 描きたいもの、言いたいことに合わせるため、既知の性格付けとは違った内面にされているキャラクターが居ること。
ブロンクスのワルだったジェットが、アメリカ万歳な人間になるかなあ。
人情家、ではなく、容易に人を信じず冷静な指揮官ぶりを見せるギルモア博士に違和感(『攻殻』課長のよう)。
 メンバーのうち数人、祖国のために働いており…その選択が必ずしも「平和のため」役立っていると思えないのも残念。
 サイボーグ達はともかく、イワンとギルモア博士まで年月を経ても外見が変わっていないのは、??
時間経過を表し、青年(中年?)姿のイワンや死の床にあるギルモア博士を見たかったのか、と言われればそんなことはないんだけど、リアルにしてしまった世界観や劇中ハッキリ年数経過を口にすることと考え合わせ、気になる。

 危うく恐ろしいことをするところだった自分に、さして動揺していないジョーが不自然。
ナイーブ過ぎる性格を持つからこそ、記憶操作が行われていたんじゃないの?
 その記憶回復も、ギルモア博士のところへ連れて行けば安全に出来たんじゃないかなあ。
映画的ハッタリのため、とはいえ、フランソワーズらがあんなムチャをする理由がよく分からない。
 ドバイ上空でも、ジョーとジェットの目的は同じだったはずで、他の何よりも惨劇を防ぐべきだったのでは。
もう間に合わない状況だったのかも知れないけど、恐ろしい被害を出す前のプロセスなので(ジョーは一人助かっちゃうし)、もっともっと注意深く繊細な描き方をしないと。

 物語は、様々に謎を残して終わる。
目に見える形で「敵」だった企業さえ、まだ残ってるんじゃなかろうか。
 ジェットは「やっちゃった」のかそうでないのか、ジョーの同級生少女は「彼」か「フランソワーズによる干渉(守護?)」か。
 この作品での神とは、外的・内的どちらの存在だった?
特にラスト、不思議な力が働く訳で、外的「にも」存在していないと筋が通らない。
 分からない部分について、矛盾なくキレイに解き明かすことは、制作者にも難しいのでは。
「実はコレコレこういうことだったんですよ」と語るのは出来るけど、「それも一つの考え方だよね」ぐらいにしか受け止めてもらえない恐れ。

 聖書的モチーフだったのかな、と思う。
 「ソドムとゴモラ」で、穢れた街を滅ぼすという神の使いに、心の正しい者も居るはずなのでそれを思いとどまって欲しい、と懇願するアブラハム。
最後に、「もしも正しい者が街に10人いたら、その10人のために滅ぼすことをやめよう」という約束にまで漕ぎ着ける。
 結果、人数を満たすことは出来ず、街は滅ぼされてしまうのだが、「10人」って、サイボーグ戦士とギルモア博士を入れると丁度の人数。
 また、街から逃げ出すアブラハム一家に神の使いは、「命がけで逃げなさい。振り返ってはならない。立ち止まってはならない。さもないと滅ぼされてしまうだろう」と言うのだけれど、ドバイで加速装置を使うジョーの姿に重なる…ような。

 人の脳…心には神も悪魔もおり、善い面が勝れば穏やかな水の都を擁する地球に、悪い面が勝れば荒涼として生命のない月になってしまう、とか。
 水の上を歩くのは、キリストの奇跡。
 最後にフランソワーズが着ている純白の服は、何だかマタニティ・ドレスにも見えたので、そういう奇跡も…さすがに考え過ぎか。

 つまらない訳ではなく、それはそれなりに楽しく見たし、入場料損したとは思わせない。
 しかし、日曜日夕方の鑑賞で劇場は三割程度しか埋まっておらず、興行的に厳しそう。
続編やテレビシリーズ展開は難しいだろうな。
 もっと分かり易いエンターテインメントにしてくれた方が嬉しかった。
それでもテーマは描けるはず。


2012年10月25日 木曜日

『さくら荘のペットな彼女』03.「近すぎて遠い…」

 何も出来ないけれど抜群の容貌を持つ少女を、面倒に思いながら世話しつつ自由にも扱えてしまう幸せを描く不埒な内容になるかと思ったが…
 日常的生活能力には欠けるが天才的才能を持つ少女、学生寮の他住人達もそれぞれに欠陥を抱えつつ大きな才能を持つ。
 対して、主人公・空太は、能力や夢をまだ発見していないけれど、ごく普通に暮らせる問題のない少年。
 客観的にはどちらが優れているとは単純に言えず。
多くの若者は、空太と同様か、そこから更に欠損があるぐらいなもので、「悩むことはないのになあ」と思ってしまう。
 そういう彼が、自分を探し、見つけていく…それを縦糸に語る物語なのか。
 「ましろと二人ラブホテルに入る」ドキドキ、ドコまででも暴走できそうなお膳立てを整えながら、「全て自作品のため一直線」の、ましろを前にして沈む空太の気持ちに、よりウェイトが置かれているように見えた。

 意外と真面目なお話。
 しかしそうなると、「ペットな彼女」って何なんだ?という疑問は増してしまうけど。


2012年10月22日 月曜日

 映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』を見る。
 『宇宙刑事』シリーズには思い入れが深く、当然、見る目も厳しい。
 今年初めに公開された『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』は、その厳しい目で見ても面白く、ギャバンの描き方に喜んだもの。
 この好評を受けて、念願の単独主演映画化。

 一本の映画としてみると、もう全然ダメ。
ダサイ、ダルい、つまらない。
 ありふれた話を、情熱も工夫も「今更だけど、ちゃんと語ろう」という気概もなくダラダラ綴る、アクションの邪魔にしかなっていないストーリーが酷い。
途中で眠くなってしまった。
 「大人の鑑賞に耐えうる作品」への勘違いから入れてあるのだろう、何を描きたいのか作り手さえ分かっていない友情・恋愛話…全部ムダ。
『仮面ライダー THE FIRST』でも、同じような間違いを犯してたな。
 「恋愛を入れれば大人の物語」じゃないのは当然にも当然!

 「子供騙し」で良いのだと思う。
元々『宇宙刑事』は、そんなに難しいコトを扱う作品ではない。
 邪悪な敵を相手に、鍛えた体、決して折れない心で立ち向かう、その勇姿が見る者の心を震わせてくれればもう、他に望むものはなく。
 実際に出来たものは、大人が真面目に見られるような映画ではない、しかし、子供も騙せない…面白くないことをダラダラやっているから、実際、見に行った劇場では飽きた子供が走り回っていた。
結果として、どの層が見ても素直に楽しむことが難しい作品になってしまっている。

  余分な所を切り、二代目ギャバンが宇宙刑事養成所で修行する様子、優等生のシャリバンやパワーのあるシャイダーらと競い合い結ぶ友情、失敗する蒸着、不慣 れ故にコンバットスーツのパワーに振り回される格好悪さ、初代以外は誰も乗りこなすことが出来なかった電子星獣ドルとの信頼関係…こんなことでも描けば良 かったのに。
 初代も、登場までドコで何をしていたのか分からないし。
ドン・ホラーの復活には生け贄としてギャバンの命が必要、そのため初代は罠に掛かり拉致されている、彼を捜索するため実の息子でもある二代目ギャバンが地球へ…という話にでもすれば、オリジナル『ギャバン』の父子ストーリーをもう一度なぞることにもなったのでは。

 アクションは、非常に頑張っていると思う。
 迫力ある新ギャバンの戦闘、初代ギャバン・大葉健二の年齢を感じさせない圧倒的強さ、魔空空間でのコミカルでありイマジネーション豊かなバトル、初代・二代目のダブル蒸着、強力すぎる電子星獣ドル…見所は多々。
そこにもっと感情や物語の流れ、カタルシスを乗せてあればなあ……
 ラストに、大葉健二の出番が欲しかった。
「さあ行くぞ二代目!宇宙の平和を守るんだ!まだまだお前には教えることがあるんだからな!」とでも言わせてくれれば…
 もっといえば、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(これも内容は不出来)』みたいに、世代交代かと見せて「まだお前には譲らないよ!」で終わってくれても、オールドファンには嬉しかったな。

 役として精彩を欠いていたが十文字撃の石垣佑磨が悪い訳でも、大葉健二が悪い訳でも、『ギャバン』というタイトルが終わってしまった訳でもない、ただ今回の面白くない内容が問題だっただけ。
 猛省して、再度の映画化を望みたい。
 大葉健二が限界を感じて出演しなくなってしまう前に、彼をしっかりと中心に据え(若い者もオマケ程度に出して良いが)、これがギャバンの集大成だ!を見たい。
 ………もう無理かなあ(泣)。


2012年10月21日 日曜日

『蒼い世界の中心で』01.「コンシューム大陸ハード戦争」

 原作未読。
 サブタイトルから、『カノッサの屈辱』でもあったような、ゲームハード同士の熾烈なシェア争いを歴史物語風パロディーにしたモノかと。
 まるっきり普通の・よくある・工夫のないファンタジー漫画そのまま。
国やキャラクターの名前は、ハードの会社、ゲーム名をもじってあるのだろうが、分かり辛い上、元の個性をうまく生かせているとは言えず、面白味に欠ける。
 余りにもベタで、しかもチャカチャカと早回しみたいに展開していくストーリーは、逆にちょっと笑ってしまうぐらい。
「ツン」での登場から数分後、簡単に極端な「デレ」に変わる女戦士とか、凄すぎ。
 無用なまでエロを入れてサービスは結構だけど、オヤジギャグみたいなシモネタばっかり言う男は要らないかなあ。

 「第二話制作進行中」という予告の文句も壮絶。
呑気な話だけど放送はいつなの?と思えば、来春???
 視聴終了、というか、継続のつもりでも見忘れてしまいそう。


2012年10月19日 金曜日

 放送された韓国映画『第7鉱区』を見る。
 難民エイリアンを描いた『第9地区』とゴッチャになりそうなタイトルで、便乗かな、と思ったけど、超常的な存在が登場する以外、似たところはなく。
 第7鉱区、というのは現存する地域(海域)であり、韓国側の言い方で、日本からすると…いや、まあ、興味のある方は調べてみて下さい。

 海上の採掘基地を舞台にした、モンスター・ホラー。
有り体に言ってしまうと『エイリアン』風映画。
 孤立した環境・限られた登場人物が、謎の脅威により次々殺されていく。
 こういうタイプの映画、基本パターンそのままの内容。
悪人・善人に見えたキャラクターが、真実が明らかになるとその立場を入れ替える「意外性」までパターン通り。
「結局コイツは悪人だったのか善人だったのか、どっちだよ?」と思わせるところはパターンから外れるけど、それは面白さを狙ったと言うより、絞り込みの弱さ。

 この人は死ぬな、とか、コレは対モンスター戦で使うつもりの小道具だな、というのが誰でも読めてしまう。
読みを上回るか、いっそ大きく下回ってくれれば「お笑い」の価値が出るけど、真面目に堅実に撮ってあるのでそれは難しく。
 モンスターのCG造形が、ちょっと安っぽい。
外見、キャラクター性や能力設定に工夫してないのは残念。
「食べた人間の知性を取り込んで賢くなる」ぐらいやっても良いのに。
 ヒロインとモンスターのラストバトルが長く続くのは、エンターテインメントにしようという努力。

 どこかにオリジナリティーがあれば、ずっと良くなったのになあ。
一家が頑張る『グエムル-漢江の怪物-』ぐらいには。
 せっかく微妙な立地なんだし、派遣されてきた日本人技術者でも出して、「実は全てコイツの仕業では?」という疑惑展開を入れれば個性になったろうか。
いっそ舞台を海上基地じゃなくて某島に……怒られそうだからこの辺で。



『新世界より』03.「ミノシロモドキ」

 ストーリーは分かっている…つもりだけど、脇の事物や現象、引かれているのだろう伏線などについて、ちゃんろ理解して・覚えているかというと、自信がない。
 「何だこれは?」「一体どうなっているんだ?」と驚いてくれる、視聴者と同じ目線のキャラクターが出てこず、それでも分かり易いぐらい優しい作りにはなっていない(していない)から。
現在とは異質な世界で普通に生きる子供達、その彼ら彼女らでさえ違和感を持つ出来事はあるようだけど、答えが与えられる訳でなく。
 分かる部分、子供達の感情・行動の変化だけでも見ていられるが、「伏せられている謎が分からない」のではなく、「自分と物語が上手く噛み合っていない」ような物足りなさ。

 二話目で見られた超能力競技は、面白かった。
単純明快なルール、その裏を掻く戦いのアイディアがあって。
 これも、「ゴールとなるべき穴を偽装で塞いでしまう」閃きはどのぐらい革新的な、あるいはよくあるものなのか、審判のリアクションなどでちょっとでも示されると分かり良いかなあ。
 第一話のみかと思ったが、高い作画クオリティーを保ち続けているのは素晴らしい。
 次回、色々なことが明かされそうなので、それを楽しみに…


2012年10月18日 木曜日

『えびてん』03.「金平糖より愛をこめて」

 一話のエンディングが『ドルバック』だったことで話題騒然(近所二人ぐらいの間)のアニメ。
 次はどんなマイナーアニメで来るかと思えば、『クリィミーマミ』…結構メジャーなタイトルじゃない?
境界線ギリギリのアニメ選択で通した方が面白かったと思うけどなあ、そこも外すあたりが味かな。
 二話は、アバンや内容としては『セーラームーン』スタイル。
 内容とエンディング曲は変えるんだ、と思ったのに三話は全体が『ウルトラセブン』で統一される。
「エンディングも『セブン』かい!」「特撮もアリなんかい!」と二カ所のツッコミ所。
 実相寺演出風に仕上げた…つもりなんだろう意図は分かるけど、あんまりそれらしくない。
マニアックなコダワリがないところも、作品独自の味といえば味か。

 本編内容については、一応見ているはずだけどほとんど頭に入らず。
 気にならせたり、ましてや考えさせるようなところなど一切なく、薄目のパロディネタだけを投げ掛けて、すぅーっと見終わらせる、これだって大変な技術なのかも知れない。


2012年10月17日 水曜日

『マギ』01.「アラジンとアリババ」02.「迷宮組曲」

 原作既読。
 連載最初から面白くはあったが、宝を秘めたダンジョン攻略を中心にしそうだったため、よくあるRPG的な漫画になるのかとまだ侮っていた。
 作者による、ホントに脇のキャラまで注がれた愛情が物凄く、一人も無駄にしたくない作りの執念で、まず圧倒される。
 回を増す毎に感じられる世界の広がりも心地良い。
それぞれの国や地域の事情が、独立せず相互に絡み合い、全体として大きな世界を形作っていく…よくこんなに色々考えられるなあ。
連載を始める前、どれだけ膨大な設定を作ったんだろ。
あるいは、描き始めてから必要に応じ次々考え出した設定を、頭の中の地球儀に上手く貼り付けていったモノかも知れないが、それはそれで天才的。

 アニメ。
 第一話は、原作から相当に構成を変えてある。
二話以降出てくるはずだったアリババと、四話で初顔見せするモルジアナを登場させるため。
 この三人は、全員主人公格として個性が付加されており、ファンも居るだろうから、すぐ見せたい意向は理解できる。
 しかし…そのため少々ゴチャッとした印象になり、特異な設定を連続させたことで原作よりスッキリしない第一話に。

 第二話でも…一話の様子から、モルジアナが領主の奴隷になって日が浅いように思わせてしまいかねず、そうなると「領主の異常性」や「長い奴隷生活で曲げられたモルジアナの気持ち」が上手く伝わってこない。
 ダンジョンの仕掛けも大幅に略されており、恐ろしさと面白味が減少。
 確かに、ダンジョン攻略はこの作品が持つ魅力のホンの一部ではあるけれど…

 不満はあるが、第一話を「アリババとアラジンの握手で締め、二人の物語が始まる予感を醸し出す」作りは上手いし、原作での細かな描写を全部入れようとす るとここまでで三話…四話ぐらい使ってしまう恐れがあり、飽きっぽい視聴者に向けてポンポン話を進めることで、目を離させない効果はあっただろう。
 余り話を進めようとし過ぎ、細部を削ぎ落としてしまうと「よくあるアニメ」に堕してしまう危険性があるので、今後、時間を掛けるべき所はじっくり描いて欲しいな。

 作画、第一話は非常に良く原作絵を再現しており、クオリティーも高かったので安心したけど、第二話で早くも怪しい部分あり。
「崩壊」とかそんな騒ぎには遙かに遠いが、頑張りを期待。
 アニメならではの良さ、「アニメになって良かった!」が早く見たいところ。
原作を読めばそれでいいや(その方がいいや)、にならないと良いなあ。


2012年10月16日 火曜日

『ROBOTICS;NOTES【ロボティクス・ノーツ】』01.「ガンヴァレルが待ってるから」

 原作ゲーム未プレイ。
 一部以外、ほぼ現代と変わらない世界観、ロボット部の少女が夢に向かって頑張る姿を描く第一話。
 ロボット…といってもオモチャ大、NHKなんかでよく競技が行われているアレかと思えば、素直に巨大ロボット。
未完成ではあるが、よくあれだけ大きなモノを部活ベースで組み上げられたなあ。
 どれだけの予算を要求したんだろ?
数十万じゃ全然足りないような…百万単位?
 まあ、例えば「廃棄された巨大ロボットがそこらにゴロゴロしている世界」なら、安く上げられそうjか。

 目的に向かって突き進むヒロイン・あき穂。
ロボットオタクなのかな、『ガンダム』シャアの名ゼリフをやたら引用していたが。
 夢中になると周りが見えないタイプらしく、巨額らしい部費を当然のように要求、無関心な男子を無理矢理引き込もうとし、後先考えず学校側が出した交渉条件に乗ってしまう。
 物語を強引に進めてくれるのはこういう性格付けのキャラクターなので、作品制作上は有効だと思うが、独走が過ぎるのと他者への配慮の無さだけを第一話で強調されたため、あんまり応援する気にはなれないなあ。
 彼女が走り出すに到った動機や、現在の心境、困難にぶつかる様子など、今後様々なフォローにより「魅力的だ」と感じさせることは十分可能だけど。

 作画はプロダクションI.Gらしく高品質。
 バーチャルで猫耳メイド服に着替えさせられるヒロインが、あざとくも可愛い。
いっそ、現実でもこの格好で活動すれば、男子部員は入部し、男性教師からは部費認可をもらえるかも。
 視聴継続。


2012年10月15日 月曜日

『PSYCHO-PASS サイコパス』01.「犯罪係数」

 ノイタミナ枠オリジナル企画。
 総監督に『踊る大捜査線』の本広克行、脚本が『魔法少女まどか☆マギカ』ゲーム『Phantom』の虚淵玄という、なかなかにインパクトのある組み合わせ。
本広監督は、これまで劇中でアニメを使うことはあったけれど、「アニメーション作品」に本格的に関わるのは初めてか。
 キャラクター原案の『家庭教師ヒットマンREBORN!』天野明は「何故?」だったけど、思った以上にキャラの雰囲気を再現できている作画の頑張りがあり、ハードな内容に合って良い感じ。

 第一話は、新人女性監視官の目を通し、独特の少々閉鎖的な社会と、チームを組むメンバーの顔見せ(全員均等には「見せない」バランスが上手い)、対決する犯罪の概要と解決の仕方まで、手際よくざっと紹介した。
 危険性を秘めた人間を犯罪前に摘発できるのは凄いけど、「異常性アリの判断をされたらもう終わりだ」と追い詰め、犯罪を誘発してしまう逆転現象もあるのか。
 今回の犯人男は、いつか犯罪に走るヤツだったのだろうが、攫われた女性は?
死を間近にした恐ろしい経験から、「隠していた狂気が表面化した」のか「犯人を殺してやりたい、殺さなければ殺される」普通ではない(しかし無理からぬ)精神状態を危険と判断されたモノなのかな。
 後者だとすると、一時的な精神状態も処断対象になる恐れが…そのためにまず麻酔で眠らせ連行する、という段階を設けている?

 囚われていた女性を撃てないヒロイン・朱。
…殺す訳でなく麻酔モードなのだし、そんなに抵抗を感じなくても。
ためらわず撃つ訓練も受けてきたのでは?
 その迷いのため、相手の恐怖を暴走させてしまい、危うく射殺対象にするところだった。
 まあ、身を挺してその狂気から一段階正気へと引き戻したのも、朱ではあったか。

 彼らの使う武器が面白い。
 異常性の計測器であり、捕獲か殺傷かを監視官・執行官の判断に寄らず決める、刑の執行装置でもある。
 ちょっと『ジャッジ・ドレッド』で使われる銃に似ているかなあ…起訴・裁判を瞬間に終わらせる『デカレンジャー』のジャッジメント装備にも。
 執行官も、この銃に「異常」と判断される素養を持っている、というのがダーク。
見た目、彼らは常識的に思えるけど…他者を傷つけると分かっていても引き金を引けるのは、マトモと言えないのか。

 どう展開していく作品なんだろう、期待を持って見続けたい。



『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』01.「おにあい(お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ)」

 原作未読。
 タイトルは、「お兄ちゃん」が妹に対し抱く心情を表したモノなのかと思った。
 妹が兄に寄せる気持ちというか肉体的誘惑を描く、という意味で、義妹だけど『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』に通じる内容。

 妹の方に、兄を思慕する気持ちへの戸惑いや自制の気持ちがカケラもないのは、どうなんだろ。
妹だから、もう一歩踏み出せない躊躇いが「萌え」になるんじゃないかなあ。
オールオッケー!6年ぶりに逢った今夜もう最後まで行っちゃいましょ!じゃあ、ちょっと急ぎすぎ。
 ライトノベルだし、近親の禁忌とか小難しいことを描かないのは当然。
「妹からグイグイ迫ってくるので困っちゃうけど仕方ない」として、兄=読者・視聴者の精神的負担を極限に軽くするのも、まあ。
 しかし、余りにも明るく軽く突き進む様子を見せられると、これなら設定が「義妹」でも「兄妹のように育った幼馴染み」でも構わないんじゃないか、と思えて、せっかくの設定が不完全燃焼。

 兄妹が住む家の風呂、広すぎ!と思えば、ココは下宿荘だか寮みたいなモノなのか。
眼帯剣士や金髪、しっかりものといった個性の女子が兄妹と一緒に暮らすことになる、のだろう。
 ううーん、いずれこうなるとしても、第一話では「久しぶりに再会した兄妹の気持ち」に焦点を絞った方が良かったような。
楽しい幼少時の記憶、別れ別れになった事情と辛さ、妹の内面で育っていく兄への強すぎる愛情、再会したお互いをどう思ったのか、成長して過ごす初夜?のドキドキを更に…一話十分に埋められるぐらい描くことはあるんじゃなかろうか。
 『ラブひな』パターンは優れたフォーマットだし、決して嫌いではないが、「様々な個性を持つ同居美少女の一人として、『妹属性』の子が居る」という描き方になっては、作品の個性が薄れる恐れ。

 妹を、兄一直線!誘惑系のキャラにするなら、兄の同級生として「お姉さん系、知的な美人」でも一人出した方が、互いに引き立ちそう。
いずれヒロインの人数を増やすとしても、最初はこの二人だけで進めた方が…あ、これ『みゆき』だ(笑)。
 作画はキレイだし、妹・秋子にも「妹キャラに対するコチラの勝手な思い入れ」さえ除けば、魅力がない訳ではない。
 面白くなるのかどうか、視聴継続。


2012年10月14日 日曜日

『さくら荘のペットな彼女』01.「ねこ・しろ・ましろ」

 原作未読。
 結構グッと来るタイトルで、「多人数からペットのように愛玩され飼育される少女」をイメージしたが、ペットというか住人に都合良く扱われているのは主人公・空太の方。
 とはいえ、住人達はほとんど美少女・美人で埋められており(美形兄ちゃんも実は女だったら完璧…でも違う模様)、モテモテな状態ではないもののハーレム風か。

 タイトルにもなっているペットな彼女・ましろのキャラクターが、作品の出来を決める。
これが…ちょっと弱い。
 ツカミになるべき初登場シーンが普通だし、下着も含めて散らかり放題の部屋は「しっかりしていない」性格を思わせて良いとして、もっと「猫みたいに気まぐれ」「犬のように忠実」あるいは何も出来ない頼りなさなどキャラとして打ち出すモノでは。
 外観は可愛く描かれていても、こういう彼女と主人公が出会うことにより、これからどういう展開を期待できるのか、余り伝わってこない。

 初見のインパクトに勝負を賭けている訳でなし、彼女の能力や特色、困ったところや魅力がもっとハッキリしたエピソードから始め、「そういえば彼女との出会いは…」で次回以降にこの第一話を回しても良かったような。
 勿論、見られない内容ではないが、新規のアニメがドッと始まっている現状、埋もれてしまいそう。



『ガールズ&パンツァー』01.「戦車道、始めます!」

 原作は…アニメを前提としたメディアミックス企画なのか。
 冒頭から戦車に乗り込んで戦う女の子達を見せ、無理があるなあと感じさせるが、内容はもっと無理。

 華道や茶道と同一線上に「戦車道」を設定…無茶苦茶言い出した。
 これが学校教育の一環として存在しているのが無理だし、それを女子のたしなみ的に紹介するのも、皆が凄く楽しそうに戦車への興味を語っているのも、「男の子に戦車は似合わない」という逆転の論調も、無理無理無理無理。
無理すぎて笑ってしまい、逆にアリ。

 戦闘とは無縁そうな美少女と、銃器や無骨な軍装備・車両の取り合わせは、昔からイラストの定番。
 「女の子達が本物の銃を持って撃ち合いをする、しかし殺伐としない」作者理想の世界を描写するため、大きな無理をした『うぽって!!』と、どこか似たイメージの作品。
 「戦車が好き!」なのだろう制作者の思いが暴走していて、現実や常識を踏み越えていく感覚が、可笑しくて楽しい。
これで意外と戦車への愛情が薄かったりしたらガッカリだなあ…頑張りどころ。

 作画は可愛く、互いに思い合う女の子同士の友情も心地良い。
 面白くなるかはまだ判断できないが、想像を上回る作品になると良いなあ。


2012年10月13日 土曜日

『アイカツ!』01.「私がアイドルになっても?」

 トレーディングカードアーケードゲームを元にするアニメ、らしい。
 アイドルを目指す少女の物語。
途中にカードの概念がそのまま入ってくるのは違和感あるけど、まあそれは、商品の性格上仕方ないかな。

 問題はストーリーで、淡々と、ただ流されるままにヒロインがアイドル養成学校へ入るまでを描くのみ。
「アイドルになりたい!」譲れない夢を昔から持っていた訳ではなく、何か鮮烈な事件を切っ掛けにアイドル方向へと人生が変わる訳でもなく、友達に言われるまま「何となく」。
 現実にはこういうことが多いかも知れないし、さして強くない志望動機が幾多のイベントを経て変化する様子を描くドラマなのかも知れないが…第一話のツカミとしては、とにかく弱い。
 ヒロインを応援しようという気持ちが全く湧いてこない、だけならまだしも、「アイドルになろうがなるまいが、どっちでもいい」と感じさせてはマズいだろう。

 舞台での歌唱・ダンスシーンは3Dで描写。
造形が甘く、振り付けやカメラアングルもさして良くないし、ポツンと一人で踊るステージには寂しささえ。
 『プリキュア』エンディングレベルまで、とは言わないけど、多少は参考にした方が…

 子供には面白いのかなあ、これ。
子供相手にこそ、強烈なキャラクター性や分かり易い動機付けが必要と思うのに。
 視聴終了。



『イクシオン サーガ DT』01.「DT(Dimension Transfer)」

 原作はオンラインゲーム…未プレイ。
 よくある手合いの「主人公少年が突然、異世界へと紛れ込んだことから始まる大冒険物語」かと思えば、お笑い方向にずいぶんとヒネった内容。
主題歌はぶざけ過ぎに思えたが、作品にピッタリなのね。
 椅子に座ったまま異世界へ召還される主人公、というのは初めて見るビジュアル。

 異常事態にも余り長く戸惑わず「高い靴を買ってもらおう」などと考え、口上とポージングがダラダラ長い敵の隙を突いて倒す主人公は、逞しい。
 無愛想で威厳など無い幼女の王女、美女かと思えば女装(胸があるよね…)の男など、意外なほどではないが異色パーティーにしようという努力が見られる。
 もう一押し、笑いが欲しかった所ではあるけれど、楽しげな雰囲気は演出できている。
悪くない、しかし、年寄り視聴者にとってはほとんどがドコかで見た要素の集合体に思え、視聴を続けるかどうかはもう一、二回見てからの判断で。



『コード:ブレイカー CODE:BREAKER』01.「大いなる神の審判」

 原作未読。
 夜のバス車内から少女が目撃したのは、公園で複数の人間達が燃やされる衝撃的な光景だった…
 ツカミとしては強力、なんだけど、その後の「気になる転校生が…」以降は定番的展開を迎えており、悪くないけど少し弱いか。

 美少女の割に大食い、しっかりしているがちょっと変わってもいるヒロイン造形は魅力的。
 落書きみたいなショボイ犬(当然、ワザとそう描いている)が可笑しい。
外見はダメダメなのに、中身は忠犬というか根性のあるところを見せてくれ、酷い目に遭うのが可哀想すぎて涙。
 後ろ手に縛られたヒロインが、体勢を崩しながらもどうにか犬に駆け寄る、ココの動きは素晴らしい。
 面白くなっていくのかどうか…しばらく見ようかな。


2012年10月12日 金曜日

『リトルバスターズ!』01.「チーム名は…リトルバスターズだ」

 原作ゲーム未プレイ。
 青春物と思えばギャグ、でもやっぱり青春物か。
 ヘンな獲物を投げ与えられてのケンカにならないケンカ、幼少時代の仲間を一人「尊い犠牲」にした蜂退治、女子部員を勧誘しようとしてのゆるいドタバタ…チョイチョイ笑ってしまった。

 しかし、野球部を急場で作っても甲子園に出たりは無理だろうし(女子部員が居るだけでも)、「メンバーが意外な才能を持ち寄って勝ち進んでいく野球物」にしようという意図も無いと思われ、これが物語中でどんな意味を持ってくるかは不明。
 原作ゲーム中には、ミニゲームとして「野球」が入っているらしいけど。
 登場キャラクター達、最初に言い出した恭介でさえも、野球をすることで何がどうなるのか分かってないんだろう。
分からないけど、やがて来る「みんな揃ってバカみたいに楽しく過ごす時間の終わり」を前に、何かしないでは居られなかったものか。
そういう気分が青春っぽい。

 作画は良好、女の子が可愛く描けている。
 視聴継続。



『好きっていいなよ。』01.「キスをした」

 原作未読。
てっきりライトノベル原作かと思ったが、女性(少女)向け漫画なのか。
 融通の利かないヒロインが、気楽に生きている男の子と出会い、一話のラストはキスで締める…今期、『となりの怪物くん』もほぼ同じ構成(この二作品は同雑誌に連載されているらしい)。
 男性向け萌えハーレム作品は、「冴えない男の子が、住む世界を異にする美少女と出会い、何故か絶対的好意を持たれ、そこから付随して次々登場する美少女 達に僅かな理由で圧倒的に好かれていく」パターンで出来ているのと同じく、女性向け作品にも鉄板のフォーマットがある、ということか。

 「都合」を強く感じてしまうストーカー男、警察に相談する(無駄かも知れないが、一応)ことを考えないヒロイン、第一話だから…としてもキャラが薄い男の子、全体として吸引力が弱いかな。
 とはいっても酷く悪いところはないんだけど、オッサン視聴者にとって特に引き付けられる要素もなく、視聴継続の意欲は弱め。



『絶園のテンペスト』01.「魔法使いは、樽の中」

 原作未読。
 学園ドラマかと思わせて、突然、孤島へと樽に詰められた魔法使い?の女性が漂着する、かなり突飛な開幕。
彼女の事情が少し説明され、また冒頭の学園キャラクターに話が戻った、かと思えば両者の繋がりが示される。
 行方不明になっている友人少年、銃を向けてくる謎の女、イキナリ飛び込んでくる友人…
次の展開がどうなるか予想できず、引き込まれる第一話。

 理解すべきキャラクターの数を絞ってくれているので、見易い。
 女性に対しまるで容赦ない真広が凄いなあ…特にわざわざ「顔」を狙う非道さとか。
 次回以降、どういう話になっていくのかも簡単には予測できず。
ここからなら、まだどういう風にでも広げられる物語。
 先が気になる。


2012年10月11日 木曜日

『To LOVEる-とらぶる-ダークネス』01.「Continue 〜コンティニュー〜」

 原作は無印を連載で全既読、『ダークネス』は単行本で全部ではないが既読。
エッチなサービスシーンを多々入れながら、いやらしくも嫌な感じにもならず、可愛い雰囲気に留めているのは作者の巧さだなあ、と感心。

 『ダークネス』は、掲載誌の変更からだろう、かなりエロ度合いが増している。
そのままアニメ化は難しいかと思ったが、結構、妥協なく頑張った感じ。
 こういう作品では命ともなる作画のレベルが高く、ポンポン進む演出も軽快。
 難しいことを考えず、大勢出てくる可愛い女の子達のサービスを楽しめば良い作品。



『K』01.「Knight」

 タイトルが『K』…って、検索泣かせだなあ。
内容が全く想像できないし、補足的にでも何か他の言葉を入れてくれれば良いのに、まあ、コダワリなのか(現状、Google検索で二番目にアニメのオフィシャルサイトが出るのは大したものだけど)。
 Wikipediaによると、7人組の覆面作家集団「GoRA」原作によるオリジナルアニメーション企画…らしい。
この集団では初作品らしく、監督もこれが初監督だし、期待できるのか出来ないのか不明。

 イキナリ大量のキャラクターが出て来て戸惑う。
学園パートに出て来た男の子は、前半で既出なのかココから初登場なのかも分からなかったぐらい。
 謎の学生?集団による謎の襲撃、その彼らを待ち伏せる剣士集団…細かい説明は後回しに、アクションや見せ場から始める作り方は勿論アリなんだけど、面白さより取っつきづらさが勝り、制作者の語りたいことが優先されているように感じてしまう。
 学園部分以降は話が分かりやすくなり、作画・演出含みアクションを頑張っていて、見入らせるパワーがある。

 まだ何とも言えない第一話。
 「気持ち良く見られるアニメ」は目指していないのだろうから、好き嫌いがハッキリ出そうだなあ。



『ひだまりスケッチ×ハニカム』01.「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」「どこでもでっかいどー」

 原作未読。
 第四期…なかなかに長寿なアニメ。
全編通してのストーリー性が強くないところ、個性的キャラクター、雰囲気の良さ、アニメ化にあたってはスタッフの才能、それらが長く愛される要因なのかな。
 ずっと見てきているので、今更取り立てて書くことは…
参入した下級生キャラにも馴染み、相変わらず居心地の良い内容。
 最後まで楽しんで見たい。


2012年10月10日 水曜日

『ジョジョの奇妙な冒険』01.「侵略者ディオ」

 荒木飛呂彦による有名にも有名すぎる傑作漫画が原作で、シリーズは、最近になってくると全部カバーできてはいないものの、既読。
 第三部OVAは見ており、作画の良さとハッタリの強烈さに感心した記憶。
 第一部がアニメ化されるのはこれが初めて…かと思い込んでいたが、2007年に劇場アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』が作られていたんだっけ。

 原作は、連載開始からもう四半世紀。
ガツンと来たシーンやセリフはしっかり憶えているものの、細かいところがもうオボロ。
 こんな始まり方だったか。
激変する主人公の環境、人生の障害となる恐るべき相手、挫けずそれに立ち向かう闘志……どこか名作アニメのようだ。
 後のシリーズは、波紋やスタンドのバトルが中心となり、スピードに乗せた展開のため、主人公達の生い立ちや内面をこんなに細かく描いた(描けた)のはこの第一部のみだろう。
 ジョナサンの不器用さ、真っ直ぐさと、ジワジワ締め付け絶望に陥れようとするディオの非人間的な恐ろしさ。
石仮面が出てこなかったら、なかなかシンドくなりそうな重い話。

 作画は、テレビシリーズとしては頑張って原作を再現しようとしている。
有り得ないポーズの取り方や独特なセンスの擬音など、荒木ワールドの再現というにはまだ弱い…と感じるけれど、この辺が限界だろうな。
 気負わず視聴継続。
作画が崩れると辛くなりそう……



『武装神姫』01.「大切なもの見つけました。」

 PSPゲームが出ているのを雑誌で見た覚えぐらいで、詳しくは知らず。
アクションフィギュアのシリーズが元、それをメディアミックス展開しているもの…らしい。
 人間と等身大ではなく、製品フィギュアと同じ大きさ…なのだろう小型美少女メカがバトルを繰り広げる、ということでは『プラレス三四郎』か武装の装着イ メージなどは(人間だけど)『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』、彼女達が男の子の身の回りを世話するあたり『HAND MAID メイ』も思わせる。

 バトルは、いずれトーナメントなどの正式競技形態に変わるのか、このまま成り行きでちょっと戦うだけに留まるのか。
戦闘シーンは短かったものの、スピード感があってなかなか。
 複数の小型美少女がメイド的に主人である男を世話しつつ、彼の「一番」になるべく頑張っていく、という日常パートにどれだけのウェイトを置くか、それ次第で内容は違ってきそう。

 第一話は、ほわっとしたストーリーで特に強く何を描くでもなく終わった。
そのため、グイグイ引き付けられた、という程でもなく。
 雰囲気は悪くないのでしばらく見続けるが、早めにこの作品ならではの強みが欲しいところ。


2012年10月09日 火曜日

『BTOOOM!』01.「start」

 原作未読。
 ごく普通の?ネットゲーム廃人だった青年が、そのゲームと似た戦いの場に突然放り込まれる。
 「気が付けば訳も分からず、誰かが主催する生身のゲームに参加させられていて、生き残るには他の参加者を殺すしかない」ストーリーの作品を、一言で表すジャンル名が、そろそろ必要では。
「バトル・ロワイアル物」?それより前からある筋立てか。
 裏側の真実がまだまだ隠されており、視聴者は「???」だらけで見ることになるが、「殺さなければ殺される」目先のルールだけは提示され、その緊張感だ けでも(語り口さえ巧ければ)見続けさせるパワーがあるため、設定は合間に小出しで語れば良いし、割合作りやすく有効な構成法じゃなかろうか。

 殺人の武器として与えられる爆弾の扱いにはゲームで慣れていても、現実の対人交渉経験は乏しそうな所が主人公の特徴。
 今回、襲ってきた相手が使っていた衝撃起爆式の爆弾は、爆発力が比較的弱かったのかな…主人公の近くでドカンドカンやられたのにケガもしなかったみたいだけど。
 主人公の機転は面白い。
カウントを見計らい、投げつけて相手を爆死させても構わない気はするが…それじゃハッキリ「意図した殺人」になってしまうので、特に最初の戦いでもあり、「自分に止めを刺そうとさえしなければ生き残れるチャンスを与えた」ってことなのかな。
 敵の攻撃が主人公を直撃しなかったことから、爆弾は皆、投擲に向いていない(思ったように飛ばない)形状をしており、相手を殺すには単純攻撃でなくナニガシか計略が必要である、という設定?

 お色気強調で次回に続く。
 登場した女性は敵か味方か…エンディングからはペアを組むっぽいけど。
 見続けられそう。



『えびてん』01.「よみがえれ!天悶伝説」

 原作未読。
 ネット見たり少々の仕事をしながら、という鑑賞態度だったせいか、「『聖闘士星矢』パロディー」「エンディングが驚きの『特装機兵ドルバック』」ということ以外、印象に薄い。
 「地球に I LOVE YOU」は懐かしかったなあ。
『ドルバック』もう三十年近く前の放送なのか。
 語られることの少ない・これまた内容が余り印象に残らないアニメで、若い衆は存在さえ知っているか疑問だし、独立した歌としても盛り上がる訳でなく(個人的には好きだけど)、どういう意図のセレクトか謎。
 エンディングはコレで通すのか、毎回微妙なアニソンを選んで来るのか、そこは何だか気になる…『スラングル』『ガルビオン』『メタルジャック』『飛影』『ダイラガー』ロボット物に限ってもまだ色々あるぞ。

 このアニメに戻って…女の子達は可愛いく描けていて、パンツを見せるなどサービスもあるが、ギャグの切れが悪く、入り込ませるほどストーリーもない。
 多くを期待せず、そのままの意味で「このアニメは女の子の可愛さをお楽しみ頂くため、邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく番組です。」と割り切って見るなら、悪くないだろうか。



2012年10月08日 月曜日

『中二病でも恋がしたい!』01.「邂逅の…邪王真眼」

 原作未読。
 今期の京都アニメーション枠か。

 かつて重度の中二病(過剰な自意識を、妄想など交え「自分は特別な存在だ」とすることで充足させる困った症状)を患っており、回復後はそれを恥じてかつての 自分を知る同級生が来ない学校を進学先に選んだ主人公が、まだまだキツイ中二病の少女と出会うことから始まるストーリー。
 アニメであり、『涼宮ハルヒ』の京アニ作品なことで、彼女が語り続ける超常的設定が「バカな妄想」なのか「真実」なのか、視聴者に疑わせる作りが上手い。
「言動が中二病の超戦士」ってキャラが居ても、ライトノベル的にはおかしくない訳で。

 中二病…という言葉は当然ながらまだ無かったけど、自分もその頃はそういう部分、あったなあ。
 創作物の設定として、ではあったが、「地球に潜入した凶悪エイリアンを倒すため、衛星軌道の母艦から武器や特殊車両が転送により一瞬で送られてくる (『宇宙刑事』放送開始より前、でも転送技術は『スタートレック』からメジャーだった)」的なコトを、SFにさして興味がない友人相手にダラダラ語ってい たような痛い記憶がイタタタタ。
 でもまあ、創作を生業とする者であれば、こういう面を持ち続けていた方が良いのかな(言い訳)。
 『涼宮ハルヒ』の内容なんて、作者に創作的アウトプット能力が無く、他者にグダグダ話していたら、相当にヘンな奴だと思われそう。
 だから、この作品主人公達の気持ちが分かる。
分かるから、痛い。

 一歩間違えればただ馬鹿馬鹿しい話になりそうな所を、「青春」の空気で包み込み居心地良く爽やかにさえ見せるクオリティーの高さは、さすが。
 迷惑で困ったヤツだけど、可愛いところがあり放っておけないヒロインの造形に、惹かれる。
 彼女が見せるローラーダッシュの挙動など、作画も素晴らしい。
 思えば「俺の彼女は世界一可愛い」という恋愛時特有の精神状態も、「他者とは違う自分だけの(心地良い)価値観で貫かれた世界を見ている」意味では中二病と同様。
「夢…例え他人からすると下らないモノであっても…を捨てて、小利口に生きた方が幸せになれるのか?」、そういうことを描いてくれる作品になるのかな。



『獣旋バトル モンスーノ』01.「ロック!」

 ベーゴマ…ではないけど、自パーツを回転させてぶつけ合うゲームを元にしたアニメ。
 海外放送を前提に(日本でもついでに放送する、ぐらい?)作られたものらしい。
 だから、という訳ではないだろうけど、第一話だからとしても無理がある展開と、メリハリの薄い演出。
純粋子供向け作品なので、死をシビアに感じさせるまでの描き方は不要だが、それでも危機と、そこから脱出することによる緩和ぐらいはちゃんとやって欲しい。

 こういうウルサイことを言う視聴者に向けた作品ではないな、順当に視聴終了。



『ハヤテのごとく! CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU』01.「第一夜」

 原作は雑誌紙上で既読。
 漫画を面白く読んでいるため、アニメまで見る必要はないか…と思い、これまではほとんど視聴してこなかったが、原作者が今回のアニメのためストーリーを新たに構築している、ということらしいので、見てみる。

 アバン、『水曜どうでしょう』でお馴染みの公園イメージか。
こう来るとは予想せず、ちょっと笑ってしまう。
 内容は…確かにオリジナルなストーリーだけど、良くも悪くも、シリアスもギャグも、原作の雰囲気を再現している。
ファンにとっては、期待通りか、先が分からない分(面白くなるか外すかも分からず)ハラハラさせてくれて、楽しいだろう。

 原作、最初から考えていたのかどうか…大真面目なストーリーが時々顔を出す。
ギャグもだけど、こういうのも好きな人なんだろうな。
 今期の展開はどうなるのか、あと、次回も『どうでしょう』オープニングなのか、いずれ次回予告を『ガメラ』の曲に乗せて見せてくれるのか、気になることはあるが、原作だけで満足しているため、アニメ視聴継続の意欲は弱め。


2012年10月07日 日曜日

『新世界より』01.「若葉の季節」

 貴志祐介の小説が原作…未読。
 同作者の作品では『黒い家』のみ既読。
イヤな感じに這い寄ってくる「心の闇」描写が秀逸で、ゾワゾワさせられながら一気に読んでしまった覚え。
森田芳光による映画版も、気持ち悪くて面白かったなあ。

 アニメ。
 これは…取っつきが悪い。
隔絶された村で、超常的な能力を持つ少年少女が育てられている、ということだけを読み取れれば良い第一話なんだろうと思うけど、独自の用語や社会システムが分かり辛く、それら「余計なこと」に気を取られて本筋から注意が逸れてしまう。
 ヒロインが夜中、優しい両親の口論から耳にしてしまう、自分の他にも兄姉が(妹弟も?)居たのに死んで(殺されて)しまったらしい衝撃の事実など、もっと驚きをもって迎える展開だと思うのに、色々ありすぎて埋もれがち。
 こちらの常識で理解できる「普通の生活」部分を先行して描き込み、異常さはもっと小出しに見せていく手もあったろうが…原作に忠実だとこうなるのかな。

 和風にアレンジされた制服が可愛い。
 学校の庭に建てられたと噂の無数の墓、影のみ登場する化け猫、そして冒頭で示された無差別?虐殺の模様、気になるイメージは多く提示されている。
 作画クオリティーの高さは驚き。
このレベルで最後まで…は、なかなか難しいと思うが、なし得るならそれだけで見続けられるぐらい。
 「一話で挫折した」という視聴者がどれだけ居ても不思議ない内容で、それは残念。
物語が進んで後にこの一話を見返したら、なるほどこれで正解な作りだったな、と思えると良いなあ。



2012年10月06日 土曜日

『超速変形ジャイロゼッター』01.「ライバード 駆ける!!」

 ミニ四駆みたいなオモチャ先行企画かと思えば、トレーディングカード・アーケードゲームか。
 子供でも車が運転できる世界を作り上げ、その中で更に、ロボットに変形できる車を設定する。
無理がある内容だけど、年少視聴者向け企画としては勢いがあって悪くない。

 車に人工知能が搭載されていて、事故が完全に防止されているなら、まあ子供が運転しても良いのかな。
 駐車に苦労する少女…こういう時こそ人工知能の補助が求められるはずでは?
現実でも、モニターに走行ラインを表示したり、自動で停めてくれる機能の研究まで進んでいるはずだけど。
 便利すぎるシステムに頼り切っては、事故その他により機能が使えなくなった際、お手上げになってしまうので、基本操作ぐらいは完全マニュアルでも出来るよう教えているモノか。

 主人公や周辺キャラをざっと紹介し、メカとの出会いがあり、変形への驚きで「車がロボットになるのはこの世界でも特異なことである」をきちんと示し、バトルの勝利まで見せる、手際の良い第一話。
 「ならでは」の魅力に欠けていたけど、それは次回以降回しだろう。
 見続けられる内容だと思うが、純粋に子供向け作品であろうから、基本的に視聴範囲からは外れている。
もう少し見ての判断で。



『神様はじめました』01.「奈々生、神様になる」

 原作は、ヨメが作者の大ファンで単行本を揃えているため、数巻既読。
 『カラクリオデット』「鈴木ジュリエッタ」どっちが作品名でどっちが作者名?などと最初は思ったモノ。
『鈴木ジュリエッタ』をタイトルとして、「ロミオとジュリエット」に憧れるズレた女子高生ヒロインの、ドタバタと純愛のストーリーも展開できそうな気がして。

 原作にほぼ忠実なアニメ化…だと思う。
作画も頑張っていて、キャラクターの雰囲気を良く再現しており、崩した顔も可愛い。
 監督が大地丙太郎なのか…脚本・絵コンテを担当したこの第一話は、さすがにテンポ良く、奈々生の強さと弱さ、巴衛の魅力が印象的に表現できていて、掴まれる。
 このレベルでずっと行けるなら、視聴継続。



2012年10月05日 金曜日

『となりの怪物くん』01.「となりの吉田くん」

 原作未読。
 タイトルから、隣家にお供を連れた怪物王子が引っ越してくるファンタジー寄りの作品を、素直に想像していた。
『怪物王女』みたいに。
 ああ、「怪物」って、所謂「モンスターペアレント」的な人のことなのね。
行動や思考形態に理解できない部分がある男の子。

 対するヒロインも、普通…というよりは少々変わり者。
学業第一なのはともかく、拉致?されてまでも手空きの時間に勉強を始めてしまうのが異様。
 ダラダラしているように見える男の子に、実は成績で負けている、というのが面白い。
 第一話でもう相当に相互理解が進んだような、と思えば、男の子の唐突な行動で一気に突き放して距離を開ける、ドラマの作り方も結構。

 感想を書くようなタイプの作品ではないだろうから、気楽に見ていきたい。


2012年10月04日 木曜日

『氷菓』最終22話.「遠まわりする雛」

 今更ながら、大変に面白く見てきたこの作品にも、ちょっとだけ感想を。
 最終話、育っていった感情からか、える…はまだしも、奉太郎がああいうことを言う(言おうとする)とは。
 彼の能力は素晴らしいけれど、えるを補い、他者に指示するような立場に向いたモノであるかは分からず。
「少なくとも、えるが一人でやるよりはマシ」で十分なのかな。
 彼女の気持ちを読み解いて、「ごく普通に人生を送るのだろう奉太郎と道を同じくする」選択肢を生じさせる、という手も。
そういう人徳というか、事象や心情の理解は出来ても上手く活用できる要領の良さに欠けるのが、この主人公か。

 えるは魅力的だけれど、彼女が背負う様々なことを考えると、先に進むのはなかなか覚悟が要りそう。
 面倒くさがり・省エネ至上主義の奉太郎が、事件とそれに絡む人間関係とに逃げず(逃げられず)向かっていくことで、最も大変そうな「人生」が掛かった決断さえも下そうとする、そこまでの成長を描くのがこの作品だったのかな。

 開始当初、人が死なない推理物、ぐらいに思っていたアニメ。
 回が進むにつれ、「仕掛けられた疑問への答え」は明快に示されても、「何を描こうとしての事件であり推理なのか」は視聴者に考えさせる構成に思えてきて、より面白く見られるようになった。
逆に、この辺を考えに入れないと、例えば「クドリャフカの順番」エピソードはかなりの無理を感じさせてしまい、首を捻ることにもなってしまいそう。
 最後まで全く崩れない高品質な作画が素晴らしく、女性陣は可愛く魅力的で、推理をアンフェアにしない演出の水準も高いままだった。
同じ原作でも、制作会社が違ったら…これほど吸引力の高い作品に仕上げられたか、疑問。
 まだ原作は続いているようであり、第二シーズンを期待したいところ。
これでアニメ作品としてキレイに完結している、といえばそうなので難しいけども。



『人類は衰退しました』最終12話.「妖精さんの、ひみつのおちゃかい」

 最終前・後編が最も昔のエピソードだという、なかなかヒネくれた構成。
 ヒロインの謎が解かれた…ってほどではないけど、なるほどこういう過去があって現状に到っていたのか、と思わせる学生時代の有り様で、興味深い。

 百合アニメならファンタジーの園として描かれそうなハイソサエティ・のばら会。
そこに所属しているというだけで一目置かれるようだし、会のメンバーも穏やかそうに見え、居心地悪くなさそうだなあ、ヒロインが馴染めてないのは非社交的な性格故か…と思っていれば。
 覗いて明らかになる彼女達の恐ろしい素顔。
ゾワッとする、今後は出来るだけ距離を取らせて欲しくなる、攻撃を仕掛けてくるようなら逆襲して会ごと壊滅させずにはおけない集団。
 これに……
 しかし、正体を知って後も普通に付き合い、より仲良くなりさえして、大きな波風を立てず卒業にまで到る、このあたりがドラマとしては肩透かしだけど、現実的に考えると「あるなあ」。

 人間、大抵は明と暗の二面を持っている訳で、相手の暗黒面によりハッキリとした被害を与えられない限り、「それはそれとして」で置いておくこと、多い。
 彼女達にダークサイドが生じた原因を取り除く・善導しようとする、なんてのは大抵の場合、余計。
 ヒロインは、自身の内面に抱えた闇を自覚するが故か他者を容認する。
いや、諦めに近いのかな、その後の行動や考え方を見ていると。
 先輩の卒業を見送り、会の終了に泣く後輩を優しく抱きしめるヒロインの成長が嬉しい。

 不完全さを内包しつつ、成長の余地を持つのが人間か。
 妖精は基本的に充足されているが故、そういう所が薄い。
…と思ったけど、妖精にもイジメがあるし、欲望もない訳じゃなさそうだし、人間とあんまり変わらないかな。

 ふと。
 人間の次に地球の支配者になるのは、妖精…?
よく言われるのは妖精なんかじゃなく、生命力と繁殖力が旺盛な「G」。
 もしも…この作品で描かれる「妖精」が、視聴者に配慮して非常に可愛く描かれ、知性や技術力を高度に発達させた「G」だと想像したら……うわわわわ、まるで違うアニメに見えてくるなあ。

 単純に笑ったり飛んだ展開を楽しむのみならず、ちょっと考えさせる所もある、他には無い、面白いアニメだった。
 テーマを読み取ると、より興味深いんだろうな。



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