ときどき日記 2013/01-03

2013年03月31日 日曜日

『ネオ・ウルトラQ』最終12話.「ホミニス・ディグニターティ」

 WOWOW放送のこのシリーズも、最終回。
 その終わり方は…意味不明気味。
 「寄生生物による人類社会への侵略」という古典的なお話でなく、「メリットのある寄生生物を受け入れるべく自らを合わせようとする人類社会」という非人間性を描いている?
寄生=(人間らしい権利の)規制というシャレであったり。

 体制側が高圧的でなく、今回登場の少女らも迫る危険を感じたり感情を爆発させることがないので、対立点は曖昧。
悪意や個人的欲望によらず、「善意」でさえあるものが社会や個人の権利を抑圧し、息苦しくしていく、という現代的恐怖を描いた?
 それならそれで、もうちょっとアプローチの方法がありそうな…
 主人公然としてシリーズに顔を出し続けていた南風原、彼も実は…として意外性を出そうとしたのは分かる。
しかし、それが物語としてそんなに大きな意味を持っておらず、「驚いたでしょ?」とコチラを伺う制作者に対し、視聴者は困惑顔を晒すのみ。

 シリーズ全てをほぼ一人の脚本家が担当し、それでも色々なタイプのストーリーを作り得たのは大したものだと思うけど、面白かった!と感じられたエピソー ドは少なく(「洗濯の日」「もっとも臭い島」「東京プロトコル」などコミカルなお話ぐらい)、数人で競作し得意なジャンルを分け合った方が全体の出来は良 くなった……かも知れない。
それは勿論「他にも仕事を受けてもらえる才能ある脚本家が居れば」の話だが。
 ストーリーのパターンなど出尽くし、ヒネったものまで陳腐化してしまっている現在、三十分一話完結で面白く見せられるアイディアを出すのは至難。
巨大怪獣を出して暴れさせれば取りあえず喜んでもらえた昔とは違う上、それをストレートにやりたくても予算的都合があるんだろう。
  ある程度のフォーマットがあり、それを崩す面白さも設定できて、変身しての戦いがあれば視聴者に酷い不満を残さないで済むウルトラマンやセブンらの路線 (比較的満足感を残しやすい、という意味であり、だから簡単だと言っている訳ではない)と違い、『ウルトラQ』はホントに難しいなあ、と感じさせられた続 編。



『ノラゲキ!』

 テレビ放送されていたのを、何だか知らずに見る。
 『エウレカセブン』の佐藤 大が脚本を手掛けた、OVA作品。

 うーん…不条理で謎を孕む導入、老若男女五人のキャラクター、脱出までのプロセスと葛藤、そしてオチ、どれも頑張ろうとしている事は分かるんだけど…
短い時間内で色々やろうとしたばっかりに、どれも薄味になってしまい、ここが面白かった!を残せないアニメになってしまっている。
 編集者が付いていれば、まず「この作品で最も描きたい事は何?」と問われ、作者が答えた所で、厳しい他要素の削ぎ落としと再構成が行われるはず。
 密閉空間からの脱出を目指す多人数キャラクター達、という基本アイディアでは、個人的につい映画『CUBE』あるいは『ソウ/SAW』的なモノを勝手に期待してしまい、それには応える内容でなかったため満足度低め。

 独特のタッチを付けたCGキャラクターは低い品質じゃないし、時間が短い中にネタを詰め込んであるから退屈もしないが、酷く悪い作品でないことにより余計印象には薄くなってしまいそう。


2013年03月25日 月曜日

『ヤマノススメ』最終12話.「そして、次の景色へ」

 短時間アニメの中でも、この作品だけは最後まで見続けられた。
 登山を好きになっていく全体構成と、ごく短い一話毎に上手く設定された「描きたい・伝えたいこと」、重ねられていくキャラクター描写…全話通しても三十分程度の作品時間だろうが、少々短めの通常シリーズアニメを見たような感触を残す事に成功。
 原作のペースでもあるのか、無理して大きな登山に挑まず、「閉じ気味だったあおいの心が開かれていく過程」を描き、登山をその「手段」とする割り切りも正しい。

 女の子達にはそれぞれ魅力があり、可愛い。
途中で加わる楓もここなも、好きだなあ。
 もうちょっと見たい!という気持ちにさせられたので、第二期を期待しつつ、出版社としては「単行本を読んでくれ!」って感じだろうか。


2013年03月24日 日曜日

『ネオ・ウルトラQ』

07.「鉄の貝」
 科学が明るい未来を開く、とは信じられなくなった現代のストーリー…なんだろうけど、論の根拠とする科学性が余りに薄く、バカなオッサンがバカな結論に飛びついているだけでハラハラもドキドキもしない。
 ガストロポッドに怪獣としての魅力が皆無なのも面白味に欠ける原因。
ならばそれを埋めるべく、科学者同士の対決をもう少し気合い入れて描かないと。
 最期を迎えるガストロポッドを前に、泣きじゃくる幼女に貰い涙。
「小さい子供が泣いている」という絵に無条件に弱くなってしまったのは、やっぱり歳か。

08.「思い出は惑星(ほし)を越えて」
 チベット、ダライ・ラマ辺りをイメージして作った話なんだろう。
 地球人青年を迎えに来た侍従武官のアクションやキャラクターはそこそこ描けていたけれど、青年の方は影が薄いため、「武官が任務を遂げられない話」に終わっており、何を受け取れば良いストーリーなのか戸惑う。
 甦る前世の記憶によるメリットとデメリット、地球に残る理由と星を越えねばならない気持ちの芽生え、武官と暗殺者が対立する理由付け…色々膨らませられる所はあったと思うのに。

09.「東京プロトコル」
 温室ガスの排出量に制限さえなくなれば、日本経済は再びバブルに突入する、といった無茶苦茶な理屈はともかく。
 怪異な事件・事象が世界に影響を与え、主人公の人生も変えていく、『ウルトラQ』の一断面として正しい話。
 加熱していく好景気、経済に目を奪われ穏やかさや冷静さを失っていく大人達。
 膨らんでいく怪獣プラーナは、そのままバブルの象徴なんだろう。
それが弾け、破滅の姿を現しても、なお「見ないフリ」で浮かれ続けようとする大人の狂いっぷり、困った目で見つめる子供達の対比が可笑しい。
 ラスト、一言でも気の効いたナレーションが入れば、更に作品印象は強くなっていただろう。

10.「ファルマガンとミチル」
 イイ話…系統の内容だったけど、怪獣ファルマガンが少女のために身を犠牲にまでしようとする理由付けが弱い、というかほとんど無く、少女が怪獣に向ける気持ちも描き切れていないため、うーん。
 少女自体は助けられた訳で、南風原が何を恐れていたのかも不明確(怪獣の体を案じていた?)。
 我が身を削って人々に施す「幸福の王子」怪獣版。
その基本は悪くないし、見終わってイヤな感じも無いが、もう少し絞り込み、感動の強化をして欲しかった。

11.「アルゴス・デモクラシー」
 人質を取った立て籠もり事件に、宇宙人の介入が……
 エフェクトを掛けた宇宙人の声が聞き取り辛く、途中で面倒になってしまう。
 立て籠もり犯人と、宇宙人の行動は上手く噛み合っていたのかなあ?
怪獣撲滅か保護か、犯人・人質らの命か総理大臣か…選べと言われても困るモノを並べた、という意味で通じ合ってる?
 何か描きたいテーマはあったのだろうが、伝わってこないし、単純にストーリーとして面白くない。
 「そう言われても困る」としか思えない視聴後感の話が、このシリーズにはやたら多いなあ。


2013年02月27日 水曜日

『ヤマノススメ』08.「高尾山に登ろう!」

 短いアニメであり、その分、求心力は低めだと思われ、見続けるつもりは本来無かったのだけれど、作画が良いし女の子が可愛く、山に対する気持ちの変遷も しっかり…というには時間の都合で弱いが、ほのぼの見られるぐらいには描けており、スタッフの真摯な姿勢から、ついつい視聴を継続している。

 今回登山?した高尾山、個人的に一度は行ってみたいと思いつつ果たせていない場所で、興味深い。
 ごく短く、登る楽しさを凝縮してあり、手際の良さに感心しつつ、しかしもう少しゆっくり見せて欲しい気持ちも。
多分最終回まで思い続けるだろうが…三十分、せめて十五分の枠でアニメ化して欲しかった作品。
そうであれば、もっとずっと面白く、キャラクターへの好感のみならず「山登りって楽しそうだなあ」という気分を伝えることにも成功できただろうに。
 やはり、興味を抱いた人は原作漫画を読んでね!かな。


2013年02月25日 月曜日

『獣電戦隊キョウリュウジャー』02.「ガブリンチョ!カミツキがったい」

 新戦隊。
 恐竜をモチーフにしながら、サンバのリズムを取り入れる関係性はよく分からないけど、賑やかなリズムが画面を楽しくしている。
 …それを言うなら、恐竜と電池アイテムを結びつける理由付けは「充電・獣電」というシャレ以外、もっと不明か。
充電池って子供に人気あるアイテム?不自然じゃない?…とは思うが、ベルトのギミックと、巨大メカ合体にまで電池を使う徹底ぶりにより、力業で納得させられてしまう。
 滅びた恐竜の魂が充電されているのか。
チャージが必要なため、長時間の使用や連続変身は不可能?
シリーズ後半では大容量バッテリーが登場したり、電源ケーブルを引きずって無制限に戦えるようになるとかそれが断線したら活動時間が(以下略)。

 王道っぽくストレートな話運び。
 メンバー五人がバラバラに集められたため、最初は互いに正体を知らないのが珍しい所。
変身前でもごく近くにいて、危機に際しては協力し合う間柄でありながら、変身プロセスを見せず、正体を知り合わない戦隊、というのも面白いかも。
「隊員全員がウルトラマン的変身を遂げる科学特捜隊」みたいな。
 正体秘匿の描写に時間を取られそうだし、ストーリーが制限される上、信用できていない関係性は「戦隊」に相応しくないか。

 ブルー。
ヨメ・子持ちのヒーローも居て良い、と思ったんだけど違って、妹とその子。
同じく恐竜モチーフの『アバレンジャー』でも、主人公は、兄夫婦の娘の父親代わりをしている設定だったなあ。
 ピンク。
お金持ちのお嬢様、しかし意外なほどの格闘能力を持つ、という所、後の『ドキドキ!プリキュア』ありすと少々被るかな。


2013年02月17日 日曜日

『ネオ・ウルトラQ』05.「言葉のない街」06.「もっとも臭い島」

5話
 エピゴノイド、という相手の心を理解できる人造人間が登場する。
 心が分かりすぎる者同士では愛が成り立たない、とする考え方は面白かったけど、それだけ。
 愛を生じさせるため、「相手の心が分からない機能」を望んだ彼らが、それを装備した時に起こること……その辺がアイディアのキモになりそうなのに、そこまで到達せず話は終わってしまう。
 発想は悪くないが、それをネタにまで昇華させていないため、「それで?」と視聴者に思わせるに留まる。
このシリーズは全体にそういう話が多いような。

6話
 ユーモラスな形状の怪獣が登場する、それだけでも好感度上がる。
 外見の不細工さと、放つ酷い悪臭による大きなマイナス。
それに対し、優しさ、知能の高さ、時間経過により芳香に変わる悪臭…といったプラス面も持っているのが面白い。
匂いの要素を除けば、孤島での出会いや悲劇の運命など、そのまま『キングコング』。
 悪臭を有毒ガスと捉えられた、ということで、基本設定と運命はリンクしているけれど、「怪獣の体液を用いて香水で大成功する女」の方をメインで展開した方が、美と醜の対比を出来たような。
「金の亡者となった女が、より効率的に体液を入手したいと考え…」とか「ライバル企業に怪獣の秘密を知られて捕獲され…」「寿命を迎える怪獣を前に、事業の失敗ばかり気にする女。最後に怪獣が送ったものは…(オチは現行のままで行ける)」等々。
 でも、シリーズ中では洗濯怪獣エピソードと並んで楽しく見られた。
二作品とも、監督が田口 清隆なんだなあ。


2013年02月14日 木曜日

『直球表題ロボットアニメ』01.「ダイイチワ」

 プレイステーション、せいぜいPS2ゲームのムービーレベルで展開するオープニングから、力が抜ける。
 さすがにこれで真面目にやるつもりはなく、『gdgd妖精s』風、画面より声優さんの芸に頼るお笑い会話劇が本編。
 面白ければ何でも良いのだけれど…うーん、薄いネタを悪いテンポで見せられるため、開幕後すぐに辛くなってしまう。
 監督の石舘光太郎は、『gdgd妖精s』構成でもあったのか。
もしかして、スタッフが乗ってくれば笑えるようになる可能性も……だけどまあ、ここまでに。


2013年02月13日 水曜日

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』06.「灰色の世界を切り裂く修羅場」

 鋭太を中心とする三角関係がしっかり作られており、好印象。

 非道な男子から千和を救うべく飛び出していく鋭太…ここからは、「ガムシャラに戦い、漢を見せる」手だろうけど、患っていた中二病設定を活かし、妄想超絶攻撃で対抗しようとするのが面白い。
当然、全く通用しない訳だが、これは、奇矯な行動と言動で周囲の注意を引き、(学校内での男前イメージを損なわないため)相手をその場に居辛くする戦法だったのかな。
 最終救済策として、「真涼の怜悧な攻撃」を予想したものの、これも外れ、そういえば千和は幼い外見に似ず強いんだっけ──を再確認させてくれる、彼女自身の剣術で撃退。
 千和、相手男子に対し怒りの言葉を投げつけるかと思えば、好きじゃないのに騙す形になってごめんなさい、と謝るのも意外。
 ちょっとずつ予想をずらしつつ、しかし期待には背かない、考えられた構成に感心。

 この三人でラブコメ要素は一杯一杯。
 もう一人加えるのは難しそう、と思ったが、中二病要素に呼応する少女、という飛び道具を使用。
延々引き合いに出される鋭太の恥ノートといい、この要素がこんなに引っ張られるとは。
 中二病患者の内面に相応しく、傷つきやすさを伺わせるイベントを経て、好感度を上げる手際も見事。

 真涼の描き込みが、まだちょっと弱いような。
 妹の言動から覗かせる家庭内の問題を絡め、シリーズ最後の方で盛り上げる手だろうか。


2013年02月07日 木曜日

『琴浦さん』04.「変わる世界」

 一話で真鍋と出会うことにより、運命は明るい方向へと変わった…と思われた琴浦だが、そんなには簡単でなく。
 真鍋に好意を持つ森谷。
しかし…琴浦との仲を妨害しようと「真鍋を襲わせる」というのが意外。
普通、どうなろうと構わない琴浦に暴行を加えさせそうなもの。
泥棒ネコ女ではなく、泥棒されてしまう迂闊な(自分を裏切った)男の方に罰を与える、個人的にはまだしも公平に思える対処法。
 琴浦を訪ねた先で真鍋らが出会う住職、そういえば彼女の幼少期に登場させており、超能力に興味を持ち、心配する気持ちに無理がなく、上手い。

 琴浦の読心能力が及ぶ範囲は、表層意識に限られている?
強烈なことを考えて裏側の意図を隠そう、とする企みを、見破ることは出来ないみたいだけど。
 人間の思考は一つのラインだけに限らず、一瞬で様々なことに思い及ぶ場合があり、その中で最も大きな「声」だけが読み取れる感じなのかな。
 それなら万能ではなく、過度に恐れる必要もない。
対応する思考形態を身に付けることで、隠したい部分をガードすることが十分可能では。
 …まあ、面倒臭いし、意識すると余計に秘密なことを考えてしまうものだったりするけど。

 拒絶と容認、誤解と理解、波乱を経て次第に広がり、深まっていく人と人の絆が感動的。
琴浦を追いかけて来る森谷のイベントは、過程を含めもうちょっと時間を掛けても良かったかな…分からない所など何も無いけれど、丁寧に描けばもっと泣かせられたと思うので。
 心が読めても真意は受け取れず、しかし常人であっても琴浦の考えなど容易に読み取り・予測できる。
超能力も「一個性」に過ぎないのかも知れないなあ。


2013年02月03日 日曜日

『ネオ・ウルトラQ』04.「パンドラの穴」

 WOWOWで放送されている、伝説的特撮番組『ウルトラQ』の続編(『ウルトラQ dark fantasy』は「リメイク」扱いらしい)。
 今までのところ、色を抑えた画面作りが成されており、「巨大怪獣が町を破壊する」ような派手な内容でもないためか、限られているであろう予算内でも安っぽくなく見せられていて、感心。

01.「クォ・ヴァディス」
 怪獣…怪異、というものが、「日常」ではないけれど「隔絶した非日常」でもない作品世界の提示を、上手くできている。
 人類の脅威になる行動はまだ示さず、ただどこかに向かい歩き続ける怪獣に対し、「殺すべき」「いや何もしていないのだから見守ろう」両派が入り乱れるのも、かつて怪獣による被害が生じた世界を思わせて良い感じ。
闇雲な恐れと憎しみから怪獣を攻撃してしまう一般大衆に、何ら反撃しない怪獣、どちらが恐ろしい存在なのかと考えさせるのも結構。
 しかし…とにかく淡々と描かれるドラマで、見終わってもズシリとテーマが伝わる訳でなし、印象に薄い。
 怪獣の目的(ラストで物語を引っ繰り返すことも可能)、宮司のリアクション、事件を見つめる主人公らの視線…上手く展開できれば、ずっと面白く出来たろうに。
 半端な大きさの怪獣(実物大で作られたんだっけ)が見せる存在感、それだけかなあ。

02.「洗濯の日」
 クリーニング店を営む怪獣・ブレザレンの、いかにもウルトラ然とした外見が楽しい。
 見事な仕事ぶりにより、ご町内で「怪獣だ」という偏見?から開放され、信頼されている。
この辺り、異物が入り込んだ日常の面白さがあり、オリジナルのカネゴンなど連想。
 老人達との交流、一度壊されてしまった信用とそれを取り戻す努力…一気に大きなスケールとなる最終展開まで、見入ってしまったけど……
 ラストが弱いかなあ。
ブレザレンは、クリーニングではなく「穢れを払う」能力を持っていた、ということ?
「洗濯」と「選択」を引っ掛け、人類は大きな選択の間違いを犯してしまった、と。
 しかし老人達の体はキレイにしてたみたいだし、分かり辛い。
 「真っ白に仕上げてくれ」と言われた柄物の服、柄を全部消して純白に染め上げてしまうとか、伏線となるような描写が欲しかったところ(そうするとオチは読まれるけど)。
 でもまあ投げたような馬鹿馬鹿しいラストの絵には笑ってしまい、ここまででは一番良い感じの話だった。

03.「宇宙(そら)から来たビジネスマン」
 不気味な外見と機械的直訳のような喋り方が特徴で、契約を重んじるビジネスマンというか対価を求める悪魔のようなヴァルカヌス星人。
その有り様や、契約者である女性を救うべく交渉を持ちかける主人公達の行動は面白かったけど、物語としては肝心な「意外な方法での女性救済」「助けられた女性の心境と選択」に面白味が足りず、何となく見終わってしまう。
 負のエネルギーをロクデナシの男から集めると…という辺りは、興味を引かれる描き方だったのにな。
ヒロインが言うように、あんな男を放置しておく方が問題、と開き直り、ブラックな展開にする手もあったろうに。
 オリジナルの時代ならともかく、現在、ゲスト女性の選択はよくあるパターンとしか思えず、「ご自由に」「どうでもいい」。

04.「パンドラの穴」
 抽象的、哲学的?問答に終始するお話。
だから穴の中は、ゲスト男性の心象風景かと思ったけど、現実に存在してるのね。
 駆け引きに深みが足りず、最終展開は???の連続で「脚本の都合」しか感じられなくて、うーん。
 こういうパターンの話は、悪魔的存在がラストで仕掛けてくる罠の出来が面白さの大半を占めてしまうため、そこにアイディアや練り込みが欠如しているともう、何とも評価しようがない。


『ドキドキ!プリキュア』01.「地球が大ピンチ!残された最後のプリキュア!!」

 新シリーズ開幕。
 シリーズ前作である『スマイルプリキュア!』が、キャラ人気も商品展開も好調と聞いていたので、もう一年、キャラを加え敵を一新して続けるものかと思っていた。

 ヒロイン・相田 マナを、しっかりしておりスポーツ万能の生徒会長に設定したのが目新しい。
大抵、明るく頑張り屋だけれどちょっとドジで未完成な女の子、という視聴者に身近なキャラ付けにするので。
 滅びた王国を背負う異世界プリキュア、舞台となったタワーのオーナーであり大金持ちの黄色少女と、「普通に学園生活を送る少女」では「ない」、何らかの責任を持つ設定アリなのが、今回の特徴か。
青色少女は生徒会長の補佐としての責任?
 黄色少女、単に大金持ちのお嬢様とせず、親の資産を元手にはしているが、独自のビジネス展開で事業を拡大、より大きな収益を上げている『こち亀』中川や麗子みたいなポジションにすると、面白いかな。

 ブローチをもらった露天商のお兄さんは何者?
変身スマートフォンをくれた妖精達とは別系統?
 アイテムはまとめて妖精が授けてくれた方がスッキリするような…後々意味を持ってくるのかなあ。
 ヒロインが見た、ブローチの中に自分自身が吸い込まれていくようなイメージと関係する?
実は少女の魂は身体から切り離されてブローチに入れられている、『まどか☆マギカ』ソウルジェムのような物だったり。

 自己中モンスターにお説教をするヒロインは、可笑しかった。
厳しく言い聞かせ改心を迫るバトルもアリ…ただ、年少の娘さん方に受けるかどうかは分からないが。
 変身した所で、次回へ続く。
 全体としては『プリキュア』のフォーマットから外れていないが、工夫次第で面白くできそうな所も見受けられる。
過度に、ではない程度に期待しつつ、視聴継続。


2013年01月28日 月曜日

『ビビッドレッド・オペレーション』03.「本当の強さ」

 アニメオリジナル企画。
 キャラの雰囲気や物語の作り方が『ストライクウィッチーズ』っぽい、と思えば、監督・キャラクターデザインが同じく高村和宏。

 とにかく、女の子達が可愛い。
 彼女らを魅力的に描く作画に命がかかっており、多用される、股の間から向こう側を見るカットでのお尻の描き方なんか、タメイキ。
 体のライン、まだ硬さを残しつつ柔らかさも感じさせる抜群の表し方で、さすが。
 スピード感とパワフルさ、少女ならではの色気をも醸し出す変身バンク作画は、数あるこの手のアニメでも出色の出来。
 三話目、少女二人による学内追いかけっこの緊張感とコミカルさは今回必要不可欠だったとして、姉がラブレターをもらったと聞くやスライディングで突っ込んでくる妹の作画にまで力が入っており、過剰なまでの気合いを感じてしまう。

 世界の有り様を変えたエネルギーシステムは、『ジャイアントロボ』か『ゴーバスターズ』か。
 その中核を目指し押し寄せる異形の敵は、まあ『エヴァ』だけどジャパニウムを狙う『マジンガーZ』も連想してしまったり。
 少女二人の合体は『バロム1』『仮面ライダーW』…こやま基夫先生の 『めんたるダイバー』が近いようにも。
互いの気持ち(この作品では記憶も)が一つにならないと完全合体できない面倒さは、『コン・バトラーV』っぽい。
 まだ大して隠したいモノのない少女だから、全てを融合する合体が可能になるのかな。
一度合体が成功していても、ケンカしたり隠し事があると、次はどうなるか分からない…んだろう。
「ナイショにしているが好きな男の子が出来る」「それは、友達も好意を寄せている男の子だった」という辺りが物語の波乱としては面白そうだけど、『ストライクウィッチーズ』のパターンから言うと(視聴者の最近の嗜好からしても)、やらなそう。

 相手の記憶を我が物とする合体があるので、初めての変身のハズなのに全てを心得ているような少女達の振る舞いにも、理解が及ぶ。
 情報を詰め込みすぎず、しかしスカスカにはしないで視聴者の興味を引っ張り続ける、この辺りの巧さに変わりなし。
 『ストライク…』は、傑作と言えるかどうか分からないけど凄く好きな作品。
今作も、そうなってくれると嬉しいなあ。


2013年01月26日 土曜日

『ささみさん@がんばらない』03.「働いたら負け」

 原作未読、「サンデー」連載の漫画版のみ既読。
 完全引きこもり少女と、異常なぐらい甲斐甲斐しく世話を焼く兄の物語。
こんなのどう展開させれば良いのか、と思えば、その小さな設定から世界の改変とか神とか超巨大な展開へと繋げていく、発想の飛び方が面白い。

 漫画版を先に読んでいると、アニメの方はセリフやタメや「もう一歩」が足りなく感じられる。
そのため、特に一話二話では、面白さのポイントを上手く視聴者に伝えられていない恐れが。
 代わりに、印象的な演出やアクション作画に力を入れ、カバー…ということかな。

 三話で物語に一応の決着が付き、ヒロインは引きこもり状態も脱し、「がんばらない」を卒業しており、何となく最終回の気分。
余りにもキレイに終わっているため「もう見なくても良い」感じにさえ。
 新キャラを出したりイベントを起こし、何とでも物語は続けられるけど…次回でもう一度グッと心を掴まなければ、視聴意欲を薄れさせてしまう恐れも。

2013年01月25日 金曜日

『たまこまーけっと』03.「クールなあの子にあっちっち」

 原作未読…と思えばアニメオリジナル企画か。
 今期の京アニ枠。

 ブランドの名に恥じず、高いレベルの作画や演出により、心地良い空気感を醸し出している。
…というか、今のところ空気感しか無いというべきか。
 ズシリと込められた画面内情報量に比べ、語られるストーリーの情報は少なく、こんな理解に留めていて良いのかどうか、何か大きなメッセージを見落としているのではないかと不安になってしまうぐらい。
 『けいおん!』であれば、最初から、音楽にかけた(音楽も含めた)少女達の日常を描くことがハッキリしていたため、受け取り方に迷う必要はなかったけれど、今作の場合、不可思議な鳥デラ・モチマッヅィの存在とその目的、という異質なモノが入り込んでいるからなあ。

 普通なら「平然と日本語で喋る異様な鳥が周囲に受け入れられるまで」を、時間を費やして描きそう。
しかし、鳥は特別なイベントを経ず普通に馴染んでおり、目的を果たそうとする行動が事件を巻き起こす…という程でもなく、「変な鳥も居る、少女達と商店街の日常」が繰り広げられている。
 それはそれで面白くできており、今回のメガネ少女・史織など、どうやったらこんな風に育つのかと思わせるぐらい可愛い描写が成され、ギュッと心を掴まれるのだが。
 藤子・F・不二雄先生的なドラマの作り方かな。
王子の結婚相手を云々、という意味では『チンプイ』とか。
今までのところ、この作品の方が闖入者の存在はずっと軽い扱いだけど。

 今後、鳥の負った使命がドラマに大きな影響を与えるのか、日常に呑み込まれる形で、さしたる事件も起こさず終わるのか。
 「たまや」の餅をちょっと食べてみたいなあ、と思わせる丁寧な世界の描き方。
これだけでも十分に作品を見続けさせる力がある。
 先の展開を(あるいは、展開しない面白さを)楽しみにしたい。

2013年01月22日 火曜日

 劇場で『宇宙戦艦ヤマト2199』第四章「銀河辺境の攻防」を見る。

 独自色が強くなってきて、それはそれで面白い。
 地球・ガミラス・ヤマトそれぞれに問題を抱えており、波乱を予感させ、楽しい。
 被害者としての側面が強いけれど、地球も軍部が大きな力を有する政治形態に思え、「暴挙」が大戦果を上げ評価されて件の軍人が権力を掌握する事態になった場合、ガミラスと同等に軍事行動が突出した惑星へと変貌した可能性も。

 登場キャラが増えた分、各人の思惑が入り乱れており、同盟・反乱・暴走など、行動によってはどういう展開にも導けそう。
 余りにも強大なガミラスに対し、ただ一隻のみのヤマトでは「絶対に敵うはずない」というのが出渕監督のリアリティーだと思う。
戦力差を埋めるには、ガミラス内部の騒乱を設定すれば上手く回るだろう、と考えて?
シュルツの娘・ヒルデやメルダが、軍部の腐敗による悲劇を知り、民衆蜂起の中心になっていくとか。
 地球を脱出し人類移住惑星を探すイズモ計画がまだ燻っており、その流れから繋げると、イスカンダルで一部乗員が見せた愚挙も自然になりそうかな。

 相変わらず古代のキャラクターが薄いのは残念。
オリジナルでの彼のイベントが数人のキャラに分けられていて、割を食う形。
 その結果、彼を美女達と関わり合う「萌え」風フォーマットの中心に置いても、アクが無いことで違和感がなくなっている(アリガチで感情移入容易な無色透明主人公然としている)のは良し悪しか。

 第14話「魔女はささやく」が、ストーリーの必要上仕方ないことではあるけれど、分かり辛くなっている。
悪夢を漂うように…は良いんだけど、もっと伝わるよう描くか、見る者のトラウマになるぐらい強烈なイメージで貫くか、徹底して欲しかったなあ。
 最後、「沖田の鉄の意志を前に、手を引く」といった思想上の決着ではなく、物理的にバッサリ破っているのが容赦なくて可笑しい。
可哀想ではありつつ、「何しに来たんだ?」という冷静なツッコミセリフに吹き出してしまう。
 こういう、母艦に帰ってみれば異常事態のストーリー、『スター・トレック』で何度かあったような。

 次元の狭間にヤマトが閉じこめられるエピソードを経ることで、奇想天外な次元潜航艦の存在にも理解を及ばせるのは上手い。
 ちょっと突き放して、冷静に描きすぎる監督の資質は、良い方にも悪い方にも出ている。
 文句が無くはないけど、次回上映を楽しみに思う気持ちの方がずっと強く、完結まで…テレビ放送を待たず劇場で付き合っていきたい。

2013年01月20日 日曜日

『琴浦さん』01.「琴浦さんと真鍋くん」

 原作未読。
 人の心を読める(嫌でも読んでしまう)ヒロインが辿る運命。
 前半は、『七瀬』のようなダーク展開。
周囲から浮いてしまい、友達など出来ず、遂には両親からさえ疎まれてしまう春香が余りにも可哀想で、辛い。

 しかし…他者の都合など意に介さない幼少期ならともかく、酷い目に遭い続けてきたことから学習するだろう少女期ぐらいには、「読心能力がない、普通の少女のフリをする」スキルを身に付けていても良さそうな。
 分かったことをそのまま口にしてしまうのは、目にした通り「ハゲですね」「不細工」「その服ダサイ」と相手に言ってしまうのと同じく、単に無神経・思慮が足りない行動であり、超能力の有無にかかわらず嫌われるのは仕方ない。
 相手の求めている・言って欲しいことを選んで口にする、例えば「(気にしている理容後の髪型)すごく可愛くなったね」「(ケンカしている両者の心を読みタイミングを見て)今、謝ったら絶対仲直りできるよ」などと言えば、好かれる可能性だってあったろうに。
 他者の顔色(心中)を伺う余り常にビクビクする疲れ、相手の心理を上手く操って自分に有利な状況へと持っていくことへの嫌悪、そういった、一歩先の苦悩を描くなら分かるけど…
いや、「作品をスタートさせるため必要な設定」にゴタゴタ言うのもナニか。

 後半、変人…いや思春期男子としてはフツーの範疇か?の真鍋が登場し、一気に物語のトーンが変わる。
 自分がこのぐらいの年代だったら、心の内を読まれることにめげないでいられるかどうか。
実のところ、大して危険だったり汚染された思考を(その後の人生に比すれば)溜め込んでいる年齢じゃないんだけど、まだ脆いアイデンティティーしか持ち得ていないため。
 真鍋を、萌えアニメ主人公にアリガチな「性方向への興味が薄い」キャラクターにしなかったのは、身近で結構。
 先を楽しみに見ていきたい。

 内容とは離れるけど、ウチに娘が生まれる際、「テレパシーで心の内を読む娘だったらどうするか」考えた。
もっとフツーの困難をシミュレーションしろよ!とは思うけど、何というかなあ、中二病親?
 結論としては、読みたいだけ読ませてやれば良い、ということに。
 自分の内側など、そりゃもう汚泥にまみれているし、清廉潔白さとは無縁、外で無思慮に語られたらマズいことがギッシリ。
 読まれたくない!のは本音、しかし子供が嫌でも読んでしまうなら…全部知っちゃえば良い。
それで子供から「こんな親イヤだ!」と思われたら仕方ない。
でも、たかがそれぐらいのことで、こちらから子供を疎んだり遠ざけたりはしない。
 テレパシーで他の人の心も読んでいるなら、比較するとパパは「人間として中の下」「大した人じゃないけど最低最悪って程でもない」、それから「私を好きというのは本当らしい」ということは分かってもらえるかと。
 それなら、ワダカマリもなく、その辺の親子より意思疎通がスムーズになって良いぐらいじゃないのかなあ。

 …現実、親の職業をいつまで隠しておくか、いつ話すか、その程度で悩んでいる人間がエラソーに言うことじゃないなー。

2013年01月11日 金曜日

『GJ部』01.「私がグッジョブだ!」

 原作未読。
 男の子まで含めて登場キャラクターが全員、心を掴まれるぐらい可愛くデザインされている。
 作画レベルも高いし、画面に目を向けさせる力は十分。
 しかし…内容がサッパリ頭に入ってこない。
 何も考えさせず気持ち良くサラッと、ふわふわっと見終えさせるのが狙いの作品だろうから、内容をどうこう言う必要は無いんだろうけど、ギャグのヒット率が低く、キャラ付けも出来合のモノを集めたように思えてしまうため、集中力がもたない。

 部員達の個性が彫り込まれ、会話やリアクションの応酬で笑わせられるようになるのは、まだ後のことかな。
 時間があれば、また見たい。

2013年01月10日 木曜日

『ラブライブ!』01.「叶え!私たちの夢――」

 原作…は無くて、アイドル企画から生まれたアニメなのか。
先行する漫画があるようで、こちらが原作?いやこれもプロジェクトの一環としての位置付けかな。

 CGキャラクターと手描きアニメを切り替え切り替え、大人数アイドルグループの歌と踊りを見事「絵」にして見せるオープニングで、引き付けられる。
全く違和感ない…というのはさすがにウソだけど、何となく見ていればさして気にならないレベルには、両者を共存させられていると思う。
 音楽に合わせた人間のリズミカルな動きをアニメで実現するのは、そりゃあ上手いアニメーターさんなら見事にこなすだろうが、多くの場合難しく、「ありゃー」という変なシーンを見たこと、数え切れない。
 モーションキャプチャ…なのかな?
それぞれ振り付けの違う、大人数のダンスが華やかに繰り広げられると、単純に楽しい。

 内容。
 学校を廃校の運命から救うために生徒が頑張る…という筋立て、流行り?
目的をハッキリさせ、退路を断ち、少々強引な展開も良しに出来る、便利な状況設定。
 いきなりヒロインが歌い出し、友達二人も加わるエンディングに驚き、笑ってしまう。
ミュージカル?
まあ、楽しい雰囲気は醸し出せていたと思う。
 女の子達は、まだ個性を強く感じられるほどではないが可愛く描けており、回を重ねる毎に魅力を演出できるだろう。
 力が入っている歌と踊りのシーンだけで、次回も見られる出来。


2013年01月09日 水曜日

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』01.「高校生活のスタートは修羅場」

 原作未読。
 幼馴染み・千和の描き方について、「寝坊する主人公を若干のサービス込みで羨ましく起こす美少女」というパターンにせず、「料理を主人公に頼り、精神 的・肉体的にも未熟であることにより、恋愛対象と捉えられず完全な『妹』ポジションにいる」のをしっかり感じ取らせてくれるのは、丁寧で結構。
 恋愛オンチ、というより恋愛を忌避する主人公にとって、楽に過ごせるという意味では彼女は、世界で唯一かも知れない特別な少女だろう。

 恋愛にネガティブな気持ちしか持てないその主人公の設定も、酷い両親の事情をサラッと語ることで、何となく納得させてしまう手際の良さ。
 かつて中二病的な疾患だったらしいが、『中二病でも恋がしたい』六花であれば認めたくない辛い現実からの逃避として機能していたのに、この作品では、否 応なく対応しなければならない現実により強制的に完治させられた・病気に逃げ込んでいることも許されなかった(のだろう)、真逆の扱いになっているのが面 白い。
……「恋愛とか興味ない」という態度もまた、中二病っぽいといえばいえるか。
 アニメとしてはこの作品が後発なので、『中二病…』の後追い?と思ってしまうけど、原作一巻の発売時期はこちらが先らしい。

 そういう彼の恥部を淡々と暴いてしまう非道なヒロイン・真涼も面白いが、魅力を本当に描き出すのは次回以降。
 各キャラクターのポジションがハッキリしているので見易く、絶賛するような内容になるかは分からないけれど、見続けるのに問題のない第一話。



『幕末義人伝 浪漫』01.「ババンと小判が、大盤振舞!」

 原作?であるパチンコ機を知らず、事前情報ゼロで見たため、最初、ビックリしてしまった。
『ルパン三世』のパロディーから開幕とはイイ度胸だなあ、と。
 「ルパン」も「銭形」も、堂々と登場する本編キャラなのね。
 原作者の許可は取ったのか?と思えば、パチンコのキャラクターデザインからモンキー・パンチ。

 今風ではないが安定した作画、良くはないけど分かりやすい演出やギャグ、ルパンと仕事人と変身ヒーロー物を混ぜて薄ーくしたようなストーリーも、変なようでいて平易。
第一話以下に内容が落ちることはなかろうし、キャラの個性や関係性で楽しませようという努力は次第に見えてくるのだと思う。
 「まあまあ」ぐらいな『ルパン三世スペシャル』を見る気分でいれば、問題ない作品だろう。
 視聴はここまでに。


2013年01月08日 火曜日

『まおゆう魔王勇者』01.「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

 原作未読。
 「まおゆう」って、『僕は友達が少ない』の「はがない」や、『バカとテストと召喚獣』「バカテス」のように、本来の題名とは別に付けられた略称かと思った。
 冒頭の設定説明ナレーションに難点を感じたが、本編もダダダーッと続く説明ゼリフが大半。
「魔王は本当に悪なのか、単純に倒しただけで世界が平和になるのか」という視点は別に目新しいものでなく、作画レベルは高いものの魔王の巨乳以外にさしたるサービスが無いし、淡々とした画面で見せており、本来、途中で退屈しそうな内容だが……
 面白く見られてしまう不思議。

 「魔王」に代表される、世界に負の影響のみ与えそうな存在を、社会システム的・経済的に有用、というか長く「ありき」で成り立ってきた世界であるため急な殲滅・除去は魔王の悪行による被害以上に大きな混乱をもたらす、とする、冷静な描きようが楽しい。
 人間なのだから感情的に「イヤ!」って部分も無下に扱うべきではなかろうが、全体を客観的に見る一視点として、経済効率を考えることも良策。
 全て上手く行き、誰もが幸せになれる方法があり、簡単に実現できるなら、それが一番良いのだけれど、現実にはなかなか、そうはいかない。
どこを我慢するか、何を犠牲にするのが最も効率的か、考えなければならない。

 ゴジラをイメージしたのだろう怪獣が出てくる昔の短編漫画で、「定期的に怪獣が出現し、被害をもたらすことで、復興予算が回り、混乱していた都市計画をやり直せ、防衛組織への予算も通しやすくなる」として必要悪に描いたモノがあり、感心した覚え。
 このアニメ世界での魔王も、同様の存在。
 ただ、魔王自身が立場に甘んじず、「その先」を目指しているのは面白い。
「幸せは犠牲なくしては得られないのか(『ジャイアントロボ』)」、善と悪の代表たる勇者と魔王が手を組み、どういう変化を社会にもたらすのか、展開が楽しみ。

 あー、監督・脚本は、「経済」をアニメで見せようとした『狼と香辛料』の高橋丈夫・荒川稔久なのね。
 それなら、こういう題材は慣れているだろう。


2013年01月07日 月曜日

『ヤマノススメ』01.「山だけはダメ!」 『まんがーる!』01.「こちらコミック アース・スター編集部」 『石田とあさくら』01.「あさくらと将来」

 僅か数分のアニメ、流行り?
 事前の新番組チェックをロクにしておらず、HDDレコーダーの番組表で初めて開始を知ることが多い自分としては、見過ごしやすいショートアニメの網羅は難しい。
既に見逃したものがあるかも。

『ヤマノススメ』
 山ガール…登山をテーマに据えるアニメ。
 まるでやる気のない、地味な趣味のヒロインが可笑しい。
超強引な友達を出し、無理矢理登山に引きずり込もうとする展開が早くて結構。
 女の子達は可愛く、面白くなりそうな所も見えるんだけど、時間の短さが災いして、内容へと入り込む前に今回終わり。
これは30分枠でやった方が良い作品のような。

『まんがーる!』
 萌え女性編集者物。
あー、こういう手もあったか。
 ドジっ子編集者が、電車に原稿を忘れたり、ページ数指定を間違えたり、誤植したり、修羅場の漫画家に無神経な暴言を吐いたりしながらも「テヘッ(はぁと)」で可愛く誤魔化すとかイロイロできそう……いかん殺意が。
 編集用語や雑誌制作のプロセス、舞台裏のリアルな苦労を交えていくのだろうか。
 これも、第一話の時間内では魅力が伝わりきらない。

『石田とあさくら』
 原作未読(他二作も)ながら、短いギャグ作品であるためか、どういうモノなのかは分かり易い。
本来、このぐらいの軽い・内容の無い作品が、ショートアニメに向いてるんじゃなかろうか。
 女性キャラのムダな可愛さは凄い。

 三本とも作画は頑張っており、『ヤマノススメ』『まんがーる!』は先を気にさせる部分さえあるんだけど…
 短い時間のものは「見るのに負担が少ない」代わり、「見ても充足感が少ない、フラストレーションが残る」とも言えてしまう。
 アニメ単体で勝負!というより、雑誌や単行本CMの一環、といった位置付けなのか。
その辺、編集部やアニメ会社・放送局の思惑を、『まんがーる!』で扱って欲しいモノ…もしかして原作ではもうやってる?


2013年01月06日 日曜日

 うわっ!もう六日。
 今更ながら、あけましておめでとうございます!
 昨年中は大変お世話になりました、本年もどうぞよろしくお願いします。
 …恐らくは今年も更新が滞りがちになるかと思われますが、宜しければ時々覗きにいらして下さいますと、大変に嬉しいです。


『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』最終12話.「あいだね(愛はあるけど妹だから問題あるよねっ)」

 嫌味な所が無く、女性キャラクターはそれぞれに魅力を持っていて、見続けるのに問題のない作品だった。
 一番面白かったのは、ボソッと異常なことを呟くアナスタシアの性格付け。
彼女をヒロインに据え、他キャラは大きく脇へ追いやって、調子が外れた行動や言動のアナに振り回されながら、主人公と二人の恋愛を少しずつ進展させていくストーリーに変えた方が、個人的には好みだったかな。

 残念だったのは、やはり秋子。
可愛くない訳ではないものの、「本妹」である設定上の優位性とデメリットを上手く活かせているとは言えず、途中参加する妹「的」キャラ・ありさとの間にほとんど差を感じられなかった。
 「料理が上手であり主人公の世話を完璧にこなす」「性的積極性が高い」「言動が変」…どれも他の女性陣が各員の主要特性として備えている要素であり、秋子は「何でも出来るが個性が薄い」キャラに見えてしまう。
 最終話で明かされる設定により、最後の砦「本妹」のポジションすら危うくなっており、この先は、うーん、どうなるんだろ。
血の繋がった妹、という所にさして面白味を感じていないよう思える作り方なので、いっそその設定は御破算にしてしまった方が、まだしも魅力を付加しやすいのかも知れないか。
 妹か義妹か、主人公と秋子の認識、残された書簡等をめぐり、二転三転させてみる遊び方もあるかな。


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