ときどき日記 2014/09-12

2014年12月31日 水曜日
『結城友奈は勇者である』最終12話.「貴方に微笑む」

 特にフィクションでは、キャラクターが何か能力を発揮する際、「ただ叫ぶだけで凄いパワーが無尽蔵に湧いてくる」だと、ご都合主義に思われ、説得力を欠いてしまう。
「血筋や他者からの力の継承がある」「そうなっても良いと視聴者に思わせるだけの辛い特訓に主人公は耐えてきた」といった物語的理由付けが必要。
 昨今は、ストレートに「力を使う代償」を設定する作品も…『DARKER THAN BLACK』やドラマ『SPEC』など。
いや、力を放出しすぎるとお腹が空く、老化する、なんて設定は昔からか。

 このアニメでは、最強の満開モード発動に伴い、少女たちの体機能が一つ、失われてしまう。
 なかなかキツい設定で、失われる部位やその数によるけど、物語としては死んでしまった方がダメージ軽いぐらい、かも。
 大切な人の体や思い出が失われるなら、いっそみんな一緒に、ひと思いに、キレイなまま死んでしまおう、という東郷の考え方は、まだ若く・純粋で・失うことに慣れていない少女のそれとして、理解できる。
 世界の現状を思えば、大赦が憎まれ役となり、もっと説得や脅迫をしてでも感情の整理を付けて上げるべきなんだろうけど、この作品で大人達は優しくて理解があり少女らを追い詰めようとしない。
…大人の存在感がほとんど無い、とも言えるか。

 作品で描いていたのは、現代的「戦争」だったのだと思う。
 国のため、無辜の人々のため、ましてや正義のためには、命を(大事な体の欠損を)賭けて戦えない。
部活ぐらいまで身近な、手が届く範囲の友達のため(家族や部活外の友達、恋人などがほぼ居ないため)、ようやく戦うべき理由を見いだすことが出来る…という考え方か。
 舞台の途中で友奈が倒れ、部の全員が駆け寄ることで演劇としては台無しになった…と思うのに、観客から拍手を浴びてしまうこの「部活内だけで閉じた」描き方が何とも。

 感情を入れて見ていたこともあり、救いのあるエピローグは嬉しいが、突然には感じてしまう。
もっと広がる作品のようだし、まだ続編(次世代?)があるかも知れず、全てをここで説明することもない…ということ?
 「決して死なない戦い」なんてものを実現できるのは、戦いが八百長の場合のみ…と考えると、神樹が、世界の壊滅・バーテックスの存在まで含む全ての黒幕じゃなかろうか。
信仰を試すため、親に、何より大切な我が子を生け贄に出させようとし、街を焼き滅ぼしたり世界を水没までさせた「神」のように。

 女の子達はみんな可愛く、作画を頑張っており、バトルに華やかさと迫力があって、最後まで目の離せないアニメだった。
 面白かった。

2014年12月29日 月曜日
『selector spread WIXOSS』最終12話.「この選択は…」

 二期に入り、内容がダーク…というか悲惨すぎて、途中からは、真剣に見ていたと言い難い。
 考えていたよりずっと幸せなエンディング。
それ自体は文句を言う筋合いでもないけれど…
 不幸にする、精神を追い込む辺りは「楽しげ」とさえ思えるぐらいグイグイ描いていたが、救済にはあんまり力が入っていないような。
 るう子の祖母、WIXOSSが強かったり意味ありげなことを言ったりと、「実は…」を予感させる所があったと思うけど、特に何もなし。
全ての悲劇の根源は彼女にあった、という真相なら嬉しかったかというと、そうでもないが。

2014年12月21日 日曜日
『SHIROBAKO』11.「原画売りの少女」

 一話分のアニメを作るに必要な原画の振り分けについて、「多分こうなんだろう」という想像はしていたけれど、事実(に近い?)プロセスが見られて、興味深かった。
 作品としての見せ場…にしても、面倒なシーンを描きたがるアニメーターさんとか、凄いなあ。
「珍しい病状の手術を行いたがる医者」みたいなものだろうか。
 とても間に合わない、と見えた作品内アニメも、大変ではありつつ、最終回進行へ。
何とか、どうにかなってしまうモノなんだなあ。
もしかして望んだクオリティーには達していないのかも知れないが、それでも穴を開けず放送できるようにするのがプロの矜持、というか仕事。

 ヒロインの同級生であるアニメーター女性が、作画について全くのダメを出され、落ち込む所、全然他人事じゃなくて胃がキリキリ。
 「趣味を仕事にするな」というのは、人生を構成するその大きな二つの要素が同一になってしまうと、それを否定された時、人生そのものを否定されたように感じてしまうから。
意に染まぬ仕事をしている場合、完全否定を受けても「知らないよ、だってこんなのオレのやりたい仕事じゃねーし」という自己正当化?が出来なくもないけれど。
 大好きなことを毎日でき、仕事の充実が人生の喜びと一致するのは、それでもシアワセだとは思う。
だから、酷く落ち込んでも「また頑張ろう」と思える場合があるのだし。

 作品内アニメの最終回について、イメージが固まらない監督と話し続ける(監督から話を引き出す)ことにより、無事着地点を見つけさせる脚本家氏が凄い。
漫画編集者さんとかにも是非欲しい才能じゃなかろうか。
 このアニメのエンディング。
少女とクマのぬいぐるみがただ座っている冒頭シーン、ちょっと長すぎて単調に思え、少しだけでも動きを付ければ良いのに…と思っていたけれど。
ああ、これ、「仕事」あるいは「人生」ってことなのね。
夢を見るだけで何もしていない・何も出来ない長い期間があり、ぎこちなく人の真似をすることから覚え、ようやく自分なりの動き方を掴んでいろいろなことが 出来るようになる、しかし、全てが上手くいく訳などない、というようなストーリーが人形によって表現されていると、ようやく気がついた。

2014年12月17日 水曜日
『アカメが斬る!』最終24話.「アカメが斬る!」

 開始当初はファンタジー世界版「必殺仕事人」を予想していたが、重要に思われたシェーレが余りにも惨い最期を遂げたのを皮切りに、敵も味方も死ぬ死ぬ。
殺し合いのバトルが主題とは言え、登場人物がこんなに死んでしまう作品も珍しいような。
 何しろ、最終回一話前で、主人公…と思われたタツミさえ死亡するのだから、ビックリ。
当然「実は生きてました」か「便利な帝具能力で生き返らせる」ものだと思ったのに、死んだっきり。
意外、凄く意外。
 作品タイトルは「アカメが斬る」なのだし、本当は彼女が主人公だった…のかな。
どうも、強いことは恐ろしく強いんだけど他の強烈個性なキャラクター達と比べれば押しが弱く、彼女を中心とした話だという気はあんまりしないんだけど。

 見た目の異様さに反して家庭的なボルス、正義に異常なコダワリを持ちそのためには自身の体さえ手段と考えるセリュー(もう怖くて怖くて)、ツンデレの魅力溢れるマイン、魅力的なキャラが実に多い作品。
 しかし、一番引き付けられたのは、やはりエスデス。
冷徹さと優しさ、恐ろしさと可愛さ、凄まじいまでに両極端な内面を圧倒的な強さで包み込む、この造形は素晴らしいの一言。
タイトルを「エスデスが斬る(凍らせる?)」にしても良かったと思ってしまうぐらい、作品を代表するキャラクター。
 タツミの死をどう受け止めるのか…泣き出す・何事もなかったかのように切り替える、辺りかと思っていたけど、どちらでもありどちらでもない上手い描き方に、納得。

 幼さと愚かさを自覚した皇帝が、最期は可哀想だったかな。
名君に成長する可能性の片鱗が見えたこともあり、生かしておく選択も有り得たろう。
ただ…余りにも人が死んでいるため、そんな結末では納得されないか。
 原作は継続中?
新たな帝具使いを大量に設定して続編、ということも考えられなくはないけれど、終わりなんだろうな。
 面白かった。

2014年12月16日 火曜日
『棺姫のチャイカ AVENGING BATTLE』最終10話.「機杖(ガンド)担う少女」

 最終戦は…消化不良という事もなく、ごく妥当に完結した物語ではあるが、食い足りない。
 チャイカが負った使命の真実、皇帝の企み、激闘と決着、全て駆け足で語られ、「話は分かった」というに留まる。
筋自体は悪くなかったため、余計に時間・描写の不足が惜しまれる。

 それでも、チャイカは可愛く、「愛」や「萌え」に傾かないトールとの関係も独特であり、異常性を抱えるアカリもそこが妹キャラとして魅力的だった。
他のチャイカ達、ジレット隊の面々、旅で出会った人々、皆個性的で印象深い…ジレットの生存と記憶の復活についても、もうちょっと葛藤が欲しかったかなあ、盛り上がりそうに思っていたので勿体なく感じる。
 作画は最後まで頑張っており、女の子達が可愛く描けていて嬉しい。
 続刊中らしい原作のため、こういう終わり方になってしまったのか、しかし続編が作り辛い(作れなくはないにせよ)エンディングであり、とにかく残念。

2014年11月30日 日曜日
『結城友奈は勇者である』08.「神の祝福」

 何かを目指してひたすら迫ってくる異形の敵のコアを破壊する戦いから『エヴァンゲリオン』、グループで少女が変身する所は『プリキュア』、といった類似性が見て取れたこのアニメ。
集団で登場した敵に対し、割と都合の良いパワーアップフォームで挑み、全員が無事に戦い終える…なんてのもまあ『プリキュア』後半辺りにアリガチな流れ。
 片目が見えない・声が出ない・味が分からないといった戦闘後遺症も当初はコミカルなぐらいに扱われ、いずれ回復するんだろうと気軽に見ていたけど……

 生涯、失われたまま戻らない?
重い、重いなあ。
 フィクションで「死」は一瞬。
残された者のリアクションにも寄るが、そんなに悲惨ではない。
 しかし肉体機能の欠損は…少女らが生きている限り(死にはしない、と言ってた)抱え続ける苦しみであり、明るい日常生活に生じた黒いシミのよう。
その痛みが視聴者にも想像しやすく、キツい。
 戦いで少女が死亡する、魔女へと転落してしまう『まどか☆マギカ』との類似も感じていたけど、この作品のもまた辛すぎる代償。
 体機能の多くを失いベッドに居る以外ほとんど何も出来なくなってしまった先輩勇者の姿は、ただただ惨い。

 少女らは勇者であり、自らを守ってもらうべく神樹が力を分け与えた存在、だと思っていたら、実は「供物」、神の力を借りるたび体の一部を差し出す(奪い取られる)生け贄だ、というのが衝撃的。
 勇者候補を多く用意し、満開ごとに次々交代させて戦わせれば、園子ほど酷い目には遭わせず済みそうなのに…だけど、勇者の選定は神樹に寄る所が大きく、大赦の自由にならないのか。
「供物」を捧げる回数が増えるほど、失う体機能が酷くなるほど、より強い神の力を借りられるようになる?
 バーテックスより神樹の方がワルモノに感じられてしまう。

 一人だけ満開せず無事な夏凜、12体と戦い終わったはずなのに現れるバーテックス、園子と美森(両足は過去、既に供物になった?)の関係など、まだ伏せられてる真相が色々ありそうだなあ。
 面白い。
 ところで、言葉を失った樹役の声優さんは、ホントに仕事させてもらってないのね。
普通こういうのは、溜息とか、「ん……」ぐらいの意味を成さない声の出演なら許すものなのに、徹底してる。
最終回までに声は戻るんだろうか、アニメ内容とは別に声優さんが可哀想で、気になる。

2014年11月27日 木曜日

 明日、28日、単行本「母子相・談」が発売になります。
 宜しければお求め頂けますと、とてもとても助かりますです。
 内容サンプルのページを作りました(成人された方のみの閲覧をお願い致します)

2014年11月17日 月曜日
『宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION』『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』

 『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』でのギャバン復活が素晴らしく格好良く、宇宙刑事シリーズの復活か、と思わせながら、続く『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』ではグダグダな盛り上がらないストーリーにガッカリさせられ、一条寺烈を最悪のキャラ付けで出した『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』(制作者はオリジナル『ギャバン』を見た事がないか大嫌いなのだとしか考えられない)に絶望、もう宇宙刑事は作らない方が良いか も、と思っていたが…
 この二作は、素晴らしい!
見たかった、現代風、少し大人向けの宇宙刑事が実現できている。

『シャリバン NEXT GENERATION』
 二代目シャリバン・日向 快は、余りにも初代とイメージが違う役者さんのせいもあり、これまで感心しなかったが、この作品でヒーロー然とさせない見たままのキャラクターから、その殻を破り、伊賀 電に認められる存在となるまでを描き、上手く次世代襲名を披露してくれた。
 物語は…ゲストキャラが出てきた瞬間に「こう思わせて、実はこう」というのが誰にでもバレてしまう、よくあるパターンではあるけれど、特に「宇宙刑事」で奇をてらいすぎても意味が無く、正しい判断。
骨格は『ギャバン』映画と似ていつつ、描きたいことがしっかりしているせいか、説明不足も気にならない。
短い時間で、アクションを多めに詰め込んでいるのも良かった。
 やたら血が出るのは、テレビ放送じゃないからこそ出来ること、とはいえ、「子供にも見せたい格好いい宇宙刑事」を見せ辛くしてしまう意味でちょっとマイナス。
大人向け、を履き違えてベッドシーンを入れたがるバカ制作者よりは、ずっとマシだけれど。

『シャイダー NEXT GENERATION』
 こちらも初代・沢村 大の生真面目で硬いイメージからは真逆の、力強く女にだらしない砕けた二代目。
 認めてもらうべき初代を演じていた円谷 浩が既に故人なのは残念。
烏丸 舟を新世代の中で最も年上の岩永 洋昭にキャスティングすることで、継承に拘らなければならない未熟さと無縁にしたのは、計算かたまたまか。
 エンディングの歌詞である「面白いことが大好きで、悪いことは許せない」は、初代よりこの二代目の方にふさわしい言葉。
 シャイダーのパートナー・タミー。
アクションを見事にこなしており、初代アニーに引けを取らない存在感…しかし体の動きを犠牲にしてでも、もっと美人の方が良かったかな……いや、悪くない顔立ちなんだけど個人的好みとして。
外見が十分すぎでないと、「少々残念な容姿のラムに追いかけられる、あたる」のように「可哀想」にもなりかねないので。
 物語は、パターン通りの所もあったが、ラスト辺りの手際よい片付け方には感心。
キレイに解決しすぎていて、更に続編を作る引きが弱くなってしまいそうに思うほど。

 両作とも、画面作りや音楽の使い方、小ネタまで、原作シリーズへのリスペクトが感じられ、見ていて気持ち良い。
脇で捜査をしているギャバンが、主役を張った『ギャバン THE MOVIE』よりもずっと輝いている。
 オールドファンも、新規視聴者も、見て損のない力が入った作品。
 このスタッフでなら、シリーズを続けて欲しいもの。
Vシネマでも良いし、予算的には厳しくなるだろうが…深夜枠テレビシリーズでも。
 納得のいくストーリーで、初代シャリバンの引退劇を見たいなあ。
画面登場の最後があんまりだったギャバンへのフォローもお願い!

 余談、メイキングオブで見られた監督の体術が凄い。
あの早さで打撃を喰らわされたら、「何が起きたか分からないうち、地面に倒されている」感じになるんだろうな。

2014年11月15日 土曜日
『甘城ブリリアントパーク』07.「プールが危ない!」

 同原作者の作品『フルメタル・パニック!』が、キャラの構成から関係性、筋立てに戦いの組み立てまで、非常に良く考えられたものであったため、このアニメにもついそういう方面で期待してしまったが、これはもっとゆる〜い、呑気な物語。
ギャグ主体だった『フルメタル・パニック? ふもっふ』でも、もっと色々仕掛けてあったような。

 危機的状況を打開する策を用意していそうに見えた西也だけど、実は行き当たりばったり。
 入場料を取らない方法で集客数を上げるのは良いとして、それに伴い発生が予想される金銭的問題について、特に考えていないのは…どうだろ。
スマホゲーム的にサービスを上積みする課金システムを取るとか、グッズ展開での儲けを織り込むなど、多少の対策ぐらいは。
 パークのキャスト達が実は現実ならざる存在である、ということを利用すれば、いくらでも来客を増やせそう。
巨大で自由に稼働するドラゴンなんて、それだけでも他テーマパークをブッちぎれる出し物。
「正体が露見しては困る」から相当なセーブが必要だとしても、ここまでで売り物になるキャストに不自由してないよう、思える。

 そういう経営シミュレーション的側面への関心は薄い作品なのか。
 ドタバタと、主人公・いすずのラブコメ…萌え?を中心に見れば、画面クオリティーの高さもあって悪くないが。

2014年11月14日 金曜日
『ヤマノススメ セカンドシーズン』18.「アルバイト、始めます!」

 ほのぼのアルバイト話。
 危機状況に陥ったアルバイト先を機転で救ったり、大失敗あるいはあおいが居たお陰で千客万来となる…なんて都合の良い事件は起こらず、「頑張った分だけ前に進む」この作品らしい誠実な描き方。
 先輩バイトは、何かしら意外な繋がりがあるか、あおいらと同じく登山を好む人、だと思い込んでいたけど、普通のゲストキャラ?
また、後に絡むこともあるのかな。

 特番明けだった13話「不思議なホタルの物語」、ここからサードシーズン開幕でも良いぐらい(間違えたのでフォローに必死)、キャラの基本的性格付けや立ち位置をさりげなく確認させてくれる内容だった。
不可思議な蛍に関わる、あおい・ひなたの食い違う記憶、これに、何気なく引かれたここなに関する伏線が最後で活かされ、キレイに謎が解けて「ヤマノススメ」らしく終わる、実に良く出来たエピソード。
感心したなあ。
 15話「雨具の記憶」での、てっきり亡くなった…少なくとも遠くへ引っ越して音信不通になってしまった友達の記憶を語っていると思わせて、実は……という、肩すかしで微笑ましい意表の付き方も上手い。
 17話「高いところって、平気?」普段と少し違うディフォルメで、可愛く崩しつつ良く動かし、雰囲気を変えるのも楽しかった。

2014年11月09日 日曜日
『山賊の娘ローニャ』06.「にらみあう山賊たち」

 うううーん…「日常を丁寧に描いている」というのではなく、「特に何も起きていない状況を工夫なくダラダラ見せている」ことが多いアニメ。
 今回、マッティスが木椀を投げるシーン、「投げられた椀を配下の山賊が慌てて避ける」「壁に当たって椀が跳ね返る」「ローニャらの前に落ちて転がる椀を止まるまで」と、三カットにも分けて描く。
元々さして必要でも無いシーンなのに、カットを三つに割って見せることで、とにかく間延びした、退屈な画面を作ることに成功。
 しかも、「激怒した表情で椀を投げるマッティス」という、最も分かり易いシーンだけは描いていない…そういう演出法はもちろんあるんだけど、逆に投げるシーンだけしっかり描けば他はナシでも良いぐらいなのに。

 マッティスがローニャに山賊行為の真実を隠しているのは、何故?
彼が、元は普通の生活をしていたが食い詰めて山賊になった、というなら、不法行為を恥じて隠すのも分かるけど、先代からの家業みたいだし。
意味ありげに描いているから、何か特別な理由があるのかな…納得のいく理由があれば良いな。
 前回、危機に陥ったビルクを助けるローニャのアクションが割合面白く描けていたので、一話に一度ぐらいこういうハッとさせるシーンを設ければ、もうちょっと視聴者の集中力を喚起できそうに思う。
いや、前述の「椀を投げるシーン」でも、凄まじい怒りの形相を見せるマッティスと、その後の力が入らない対応ぶりに、演出で大きな落差を設ければ、見所にできたはずなんだけど。

2014年11月08日 土曜日
『ガンダム Gのレコンギスタ』07.「マスク部隊の強襲」

 大きくストレスを抱えて居るであろう状況で、カバ首の壁掛けオブジェを見て異常なぐらい笑い始めるベルリ母に、ギョッとさせられる。
その後の行動も、単なる息子溺愛母ならともかく、責任ある立場につくだけ能力がある…のだろう人間としては異常なので、ちょっと精神的均衡を崩している描写?
 富野アニメでは、フツーにエキセントリックな人間が(大勢)出てくるため、意図して何かを描いているのか日常描写なのか、判断が難しい。

 アメリア軍のメガネ整備員お兄ちゃんが、「メンテナンスハッチを勢いよく閉めすぎて反動でまた開いてしまい照れ笑い」とか「うっかりシートを滑り落ち る」なんて演出、ストーリーとしてはほとんど意味が無いと思うんだけど、意外と粗忽だという性格を表現できているし、良い意味で人間っぽい動作だとは言え るか。
 「踊り」も今作テーマの一つなのだろうと思え、セリフのみに寄らず、体の動きで何かを伝えようとしている。

 メカ戦闘の迫力は、さすが。
どちらかの陣営を応援させるとか、キャラ誰かの視点で戦いを見せる、なんて分かり易い作りにはしていない(できていない)のに、引き込まれて見てしまう。
 デレンセンを殺してしまったことは、ベルリの今後に大きな影響を与えていく…んだよね?多分。
また平然と戦いに出て、もしかすると殺してしまうかも知れないのにキャピタルのモビルスーツから戦闘力を削いでいたみたいだけど。
落ち込んで参戦を拒否するような役立たずをアメリア軍が艦に残してくれるとは思えず、目的を果たすまでは、ということか、元々そういう変なヤツだという理由も?
まあ、デレンセン死亡でベルリが思い出すのは彼からの酷い扱いぐらいみたいだから、深く悲しむ関係でもないんだろう。

2014年10月20日 月曜日
『結城友奈は勇者である』01.「乙女の真心」02.「ろうたけたる思い」

 いかにもライトノベル原作に思えたけれど、アニメオリジナル企画。
 少女たちが脅威に見舞われ成り行きで変身ヒロインになってしまう、というだけなら「プリキュア」的だが、ストーリーの流れや、不可思議な敵、ヒロインらの特殊能力と戦いの見せ方、音楽まで、『まどかマギカ』を思わせられてしまう。
敵の形状と「対象への接触」という目的、コアを破壊することによる戦いの決着は、『エヴァンゲリオン』。
 見た人それぞれ、他作品との類似を感じそうな素材。

 演出・作画は凄く頑張っていて、変身したばかりでパワーの制御が出来ていない少女の動きなど、すっと腑に落ちる上手さ。
少女らの肉体を感じさせるフォルムも上手い…寝転んで狙撃体勢を取る美森のお尻なんて、感心するぐらい。
 スマホを利用した変身や戦いが今風。
敵と命懸けバトルの最中、片手を潰してスマホを握り仲間と通話する辺り、オッサンからすると「そんな場合か!」なんだけど、若い視聴者には当然・必然なのかな。
 いつでもドコでも会話が可能になっているため、「言うべき時に、言うべきことを言わなかった」せいで生じる誤解も葛藤もない。
それ自体はストレスがなくて見やすいとも言える…が、この状態でドラマを作るには一段階上の工夫が必要かも。

 少女らは可愛く描けており、特に部長・風の、しっかりしているようで結構大きく抜けているキャラ付けが可笑しい。
 四人四様の戦いぶり、武装も楽しげ。
狙撃専従少女の存在、こういう作品の中でも珍しい。
変身しても足が動かないままの美森、彼女を動かすための服飾的工夫がいい…しかし、シリーズ中には歩けるようになって欲しいかな。
 ここから、少女たちの友情と戦いを描く王道変身ヒロイン物にも、ダークな『まどかマギカ』路線にも行けそう。
 どういう物語になっていくのか、作画が酷く崩れない限り、見続けたい。

2014年10月18日 土曜日
『ガンダム Gのレコンギスタ』04.「カットシー乱舞」

 前話で一番驚いたのは、やっぱり「モビルスーツ内の座席はカバーを上げるとトイレになっている」という設定。
最初、クリム機にだけ付けられた機能で、それは「体質的にトイレが近いのでワガママ言って改装してもらった」とかいう彼の個性を表す小道具かと思った…どうやら全機に装備されてるのね。
 合理的に考えて、要るかなあ?と思うし(機械に頼らずともパイロットスーツや個人への装着で間に合いそう)、こんなもの付けるより、緊急脱出装置を充実させるとか宇宙遭難時用に酸素ボンベでも余分に詰め込んだ方が良さそうな。
 本当にモビルスーツが開発されたらどうなるか、というシミュレーションではなく、「監督(作品に合わせると、モビルスーツの設計者)がこういう機構を付けてみようと思った」ってことだろうから、文句言っても仕方ないけど。
 更に凄いのは、女性三人が同乗するコックピットで、ベルリが用を足し始めること。
地球上なのだし、ちょっと着陸させてG-セルフから離れ、そこいらでやれば良いのに。
 この時代、人前で排泄行為をするのは何ら恥ずかしいことではなくなってる?

 アイーダによるG-セルフ奪還をベルリらは止めるでもなく…どころか、ノレド、ラライヤまで乗り込んで、敵基地までうかうかとついて行ってしまう、この辺もちょっと理解できない。
ベルリなんて相手のパイロットを殺してる訳だから、敵陣でどんな目に遭わされても文句言えない所。
 まあ、敵味方の区別が結構、曖昧、というのは富野アニメの特徴か。
 今回も、重要な情報を得られるはずのベルリらへの、海賊…アメリアによる尋問は生ぬるさを極め、(女の子二人を確保しているとはいえ)せっかく回収したG-セルフにベルリを乗せてしまう、呑気っぷり。

 話は分からなくないんだけど、キャラクターにサッパリ感情移入できない。
それもまた、富野アニメの特徴ではあるが。

2014年10月17日 金曜日
『SHIROBAKO』02.「あるぴんはいます!」

 ああ、あおいと高校の同級生だった絵が上手い女の子・絵麻は、もう同じ会社に居たのか。
しかし商業アニメの世界は甘くなく、まだあおいの窮地を救えるような立場ではない、というのがリアル。
 前回倒れた美里は、致命的な病状ではないものの、作監作業を続けるのが難しい体調。
代わりに三話作監を代理に立て……胃がキリキリしてくるような綱渡りの制作状態は続く。

 そういう状況を認識してかせずか、作画リテイクを出す監督が凄い。
拘ってより良い物を上げたい、は分かるんだけど、突っ込まれていたように生じる遅れは後々に響いてくる。
現実的妥協は必要…なんて考えるから箸にも棒にもかからないんだろうなあ自分は。
 子供っぽい、とさえ言えそうな監督の熱意が、周囲の気持ちを動かしていく。
浪花節というか根性論というか、でもそういうモノなのかな。
世界に誇る日本のアニメーションは、実に日本人的なこういう「気持ち」で成り立っているのかも。

 強大な悪と戦ったり、仲間と悲劇の戦いを繰り広げるドラマティックな作品より、ハラハラしながら見てしまうアニメ。
 スケジュールの遅れは大丈夫なのか、「ウソ」の話だというのに、もう心配で心配で。

2014年10月16日 木曜日
『山賊の娘ローニャ』01.「かみなりの夜の子」02.「はじめての森へ」

 原作児童文学未読。
 3DCGをアニメ調に処理した画面は、特番で見た際、不自然さが目立つよう思われ、出来を危惧していたけど…まあ悪くない。
画面そのものは、少し見ていれば慣れる。
 演技の付け方などにまだまだ硬い所があり、引っ掛かりつつも、「一生懸命に見る」のでなければさして気にならないレベルではあるだろう。

 困るのは、ストーリーと演出。
 二話連続放送しながら、その内容は、せいぜい一話分ぐらいにしか感じられない。
無駄なシーンをモタモタと見せる所が多く、途中で退屈してしまう。
 例えば『ハイジ』なんか、「ハイジが山小屋に着いた」から始めれば一話目はナシでも構わないはずだけど、それを面白く、興味を引いて、感動さえ生じさせるよう構成・演出されていたもの。
 大した事件が起きる訳でもないのに飽きさせず見せる、というのには、恐ろしく高度な技術が必要。
誰でも出来るものでなく。
 ダレさせる余分を削ぎ落としてテンポ良く見せれば、別段、お話自体は問題なかったろうに。
「しっかり日常を見せる」というのと「制作者だけが必要と考えている面白味のないシーンを長々見せる」を間違えているような。

 演出的にも、さして楽しくもない山賊行為を長く見せる割、一話のハイライトだろうローニャ誕生に至る出産過程にはほとんど触れず、泣いてるオヤジだけ大写しされても満足感に欠ける。
「村から呼んできた産婆に産室から追い出されるオヤジ」「部屋の前をウロウロ、苦しむ妻の声にハラハラ」「誕生を告げる産声に歓喜」といった分かり易いパターンに落とし込んだ方が良かったんじゃなかろうか…アリガチ過ぎではあるけど。
 初めて城の外へと出て行くローニャ、その感動が上手く伝わらないのも宜しくない。
音楽を盛り上げて、やり過ぎぐらい大げさにやって良い所では。
 そこいらのダメアニメと比べれば、表現したいことは分かるし、呆れるほど悪い部分はない。
しかし凡庸で、視聴者を驚かせる工夫どころか、キーになるはずだろうポイントも適切に見せてくれないので、次第にフラストレーションが溜まってくる。

 「ウルサいオタクにはウダウダ言われたけれど、本来のターゲットである子供たちは喜んでくれた」…なら、問題ないが。
 もうちょっとだけ見て、判断したい。


『ガールフレンド(仮)』01.「はじめての約束」

 原作ソーシャルゲーム未プレイ。
元のゲームが、途中のCMを見るまで分からなかった…ああ、凄く力を入れて売り込んでた、あれがそうなのか。
 アニメの内容。
ちゃんと見ていたつもりだけど、見終わってほとんど何も印象に残らない。
 ふわっとした空気を心地よく感じさせるのが主題、事件や葛藤で視聴者を引きつけることは意図していないというより忌避しているアニメ、これまでもあったが、ヒロインあるいは周囲のキャラを強めに立てたり、笑わせたり、まだ何かを見せようとしていたような。

 キャラの可愛らしさで勝負しよう、というなら、もっと美麗な作画であって欲しかった…いや悪いってことではないけれど、第一話にしてはピシッとしなくて残念。
 これは、ここまでに。

2014年10月15日 水曜日
『俺、ツインテールになります。』01.「地球はツインテールの星」

 原作ライトノベル未読。
 「ツインテールが大好き」という主人公・総二のキャラ立ては、まずまず普通。
これぐらいじゃそんなにインパクトは無いなあ…と思っていたけれど…
 ツインテール少女だけを狙う(子供のイタズラみたいに髪をほどいてしまう)敵、それに猛烈な怒りを抱く総二、変身して総二までもツインテールの少女に変 わり、言動・行動も少女化、当然のように無敵の戦闘力を発揮して敵を撃破、そうすると何故か髪をほどかれた少女たちがまたツインテールに戻る。
こうまで徹底して「ツインテール」に拘ると、面白味が醸し出されてくる。

 作画はまずまず。
 物語の構成も、変身ヒーロー(ヒロイン?)物として妥当、というところ。
ただただ、髪型へのコダワリだけが作品を独特な物としている。
 しかし、この一話のみでネタとしての消化は終わってしまったような…
 まだ面白くできる奇策は残っているのかどうか、三話までは見て判断。


『四月は君の嘘』01.「モノトーン・カラフル」

 原作漫画未読。
 最初は、漠然と青春物になるのかと思っていたが、音楽(演奏)を中心としたドラマ…ちょっとコメディーって感じなのかな。
 元気いっぱい暴走気味の椿が可愛い。
当然、彼女をヒロインと考えたけれど、主人公にとっては後半で出てきたヴァイオリニスト少女が、より重要な存在になりそう。

 楽しむことが出来なくなっていた音楽。
主人公をその呪縛から僅かに解き放った、かをりの演奏する曲が、「託された遺産に束縛され自由を失った少女」をヒロインとする『ラピュタ』の、しかも追い 詰められた気分だろうシータの気持ちを大きく切り替える切っ掛けとなった「ハトと少年」だというのが、実に上手い…よく使えたなあこの曲。
 かをりはともかく、子供たちまで揃って上手に演奏できたのは、こういうのに慣れている子らだったから?
 ストーリーの積み重ねに寄らず、この曲だけでホロッとしそうになる、これが音楽の力。

 作画は良好。
 ここから、凄〜く重い話にもできそうだけど、まあまあ、一話のようにコミカルな描写も入れ、あんまりシンドくならない程度だと嬉しい。
 視聴継続。

2014年10月14日 火曜日
『SHIROBAKO』01.「明日に向かって、えくそだすっ!」

 アニメオリジナル企画。
 タイトルから内容はサッパリ分からなかった。
 開幕からしばらく続く、高校での自主制作アニメ作り過程に、部活物かと勘違い…アニメ業界内幕劇なのね。
 「制作会社が納品するビデオテープを入れる白い箱」から、タイトルは付けられているそうな。

 アニメ業界についてある程度以上、知っていることを前提とした作り。
 当たり前のように自宅で作監作業をやってる女性アニメーターが出てくるけれど、ジブリの特番ぐらいでしか制作現場を知らない視聴者は、「アニメって会社で机を並べて作る・描くもの」と思ってないかなあ。
 走り回る制作進行のヒロインが、リアル。
昔、進行をやっていた友人は「限界まで車のスピードを出して、絶対捕まらず、死んでも事故は起こさないことが求められる過酷な職場」だと、よくボヤいていた。
 三話の大事なカットが間に合わないため、所謂「三話切り」されないよう四話作監に無理を言ってクオリティーの高い絵を上げてもらおうとするが、そのため に四話の作業が大きく遅れてしまい、その進行であるヒロインが厳しい立場に…なんての、詳しくない人には分からない話じゃなかろうか。
用語や状況の説明がほとんど成されないため…まあ、「仕事は辛いよね」ぐらいには受け取ってもらえる?

 そもそも、こんな深夜枠アニメを見ている人間がアニメ業界に無知、なんて事ないはずで、そんな心配、必要ないかな。
 女性作監が倒れてしまう引きにハラハラ、何だか〆切直前に体調を崩す漫画家を見ているようで他人事と思えずドキドキ。
 非常に絵が達者だった…様子の、ヒロイン同級生女子が助けてくれるような展開に?
他の部員達も、ヒトカドのアニメ関係者となって集合し、一つの作品に関わり、やがて企画を立ち上げて自分達を中核とするアニメ作品を制作…まではいかないのかな、『バクマン』じゃないし。
 先が気になる。


『寄生獣 セイの格率』01.「変身」

 原作は、漫画史に残る傑作で、発表当時に頭をガツンとやられた覚えがあり、もちろん既読。
 『ターミネーター2』が公開されてCG技術が大きく広まった際、「これで『寄生獣』が実写映像化できる!」と、よく言われたもの。
 人体が異形へと変化する、ビジュアルのインパクトに留まらず、異質な存在である者達の視線を通し「人間」を冷たく・優しく見つめ直す、腹に堪える深い物語でもあった。

 アニメ。
 ちょっと軽め・今風にされたキャラクターに、最初、違和感。
すぐ見慣れたが。
 お話しは基本的に原作通りなんだけど、演出や作画がちょっと淡泊であるせいか、恐ろしいことが起きている実感に乏しい。
 変更点。
他の人間に寄生成功する重要なシーンが抜けているため、人知れず寄生された相手に殺される恐怖や、ミギーの「失敗」が伝わり辛い。
不良の絡みを自動車事故に変えた意味は?人間を殴るだけなら右手一本で出来そうだが、車を止めるとなると体…足の踏ん張りが必要になるはず。
苦手だったはずの虫を掴むシーンが追加されているけれど、こういう精神的変化はまだ早い(しかも「情のカケラも無い、虫と話しているような」という原作通りのセリフを残しているのに)。
 原作未読であったりさして思い入れのない視聴者には気にならないぐらいのことかも知れないが、個人的に、チョイチョイ引っ掛かってしまう。

 作画はかなり良い。
 まだ見続けるつもり……「これなら原作読み返した方が良い」と思わせられない限り。


『棺姫のチャイカ AVENGING BATTLE』01.「遺体あつめる皇女」

 第二期開幕。
 この作品の最重要ポイントであろう、ガズ皇帝によるチャイカ計画と死の瞬間が描かれはしたが、割合静かな、先週放送分の続きですといった第一話。
 そういえばジレット死亡?という大変な事態が起きた、その後だっけ。
悲しみに沈み、変貌を遂げたヴィヴィに波乱の予感。

 チャイカ達は、今回、「特に殺意なく敵対する」タイプの遺体所持者と戦っている。
 呪文の詠唱時間を縮めようという努力が面白い。
そういうの、アリなのね。
いや、対するクローディアの方に、他者にはマネ出来ない「短縮詠唱を可能とする真の理由」が設定されている可能性もあるか。
 前期同様、安定してレベルの高い作画。
 見続けるのに何の問題もなく。

2014年10月13日 月曜日
『大図書館の羊飼い』01.「図書部結成」

 原作ゲーム未プレイ。
 普通の学園ドラマ…かと思えば、予知能力なんてSF設定が急に登場、そちらを発展させる物語になるかという予想を外し、後は普通にコメディー。
 列車事故は死者さえ出しかねず、学園内でもっと話題になって良さそうな。
それより主人公の「痴漢」的な行動の方が騒ぎになってしまう世界観。

 キャラの取りそろえ方も、ふわっとした内容も、悪くはないけれど心を掴まれる所まで行かず。
 少し見続けて判断したいと思いつつ、今期は視聴本数が多そうで…


『トリニティセブン』01.「魔王候補と第三の選択」

 原作漫画未読。
 幼馴染みの従姉妹に朝、起こされる主人公。
日常描写と、さりげなく?挿入される異常事態。
そこから、従姉妹…と信じていた相手の正体への疑問が生まれる辺りまでは、面白かった。
 しかし、「従姉妹に見えていたのは魔道書?」「実は既に街は滅んでおり、本物の従姉妹はその魔道書を渡してから消失している」「乱入してきた魔道師少女 が無茶な二択を突きつける」ここまででも相当に急転直下だが、「イキナリ魔道学園へ転入する主人公」「拍子抜けする呑気な学園内の雰囲気」「分かり易い主 人公への目標提示」「とってつけたような風呂場でのサービスシーン(ほとんど何も見えないが)で従姉妹に似たキャラを紹介」と、一話としては詰め込みすぎ も良い所で、面白がる余裕もなくポカーン。

 超然とした主人公、ということなのかなあ、とても処理し切れそうにない異変が次々起こっているというのに、彼がさして驚く様子もないため、視聴者としてどう事態を受け取れば良いのか困惑。
 一つ一つの出来事は、漫画的世界観からするとそんなに斬新ではないため、飽きさせないようスピードで勝負した?
 この後、作品世界やキャラクターをどんな事件が見舞おうと、もう驚けない気分。
 第一話から作画がピシッとしないのは残念。
 余裕があれば三話ぐらいまでは見たいところだけど……


『甘城ブリリアントパーク』01.「お客が来ない!」02.「時間がない!」

 原作ライトノベル未読。
 『フルメタル・パニック!』のボン太くんが登場しており、世界観を同じくする作品かと思ったが、名前も違うし、まあキャラクターシステムというかお遊びというか、なのだろう。
 その『フルメタル…』と同じく京都アニメーション作品。

 タイトルから内容が想像できなかったけど、最初「無表情に銃で脅しをかけてくる女の子との奇妙な恋愛モノ」かと思い、次に「遊園地を通した異世界モノ」を予想したが、結局は「異形の者達が集う遊園地を建て直そうとする企業再生モノ」…?
 主人公が元々備えた驚異的な頭の良さと、与えられた読心能力。
彼がキャスト達を突き放し、憎しみさえ自身に集めることによるドラマの予感など、引きは悪くない。
 京アニの演出と作画は相変わらず高いクオリティーを保ち(いつもに比べると肩の力が抜けている感はある)、画面への集中力を維持させてくれる。
 いすずの低血圧な凶暴さ、王女の可憐さがしっかり描かれていて、魅力的。

 『フルメタル…』は、世界の組み立て、キャラクター造形、シリアスとギャグの落差など非常に上手く出来ている作品だった。
 今作は、かなり違う方向に進みそう。
集客数を跳ね上げるためのアイディアが視聴者を納得させられるものに出来ているかどうか、楽しみ。
 問題なく、最後まで見続けたい。

2014年10月12日 日曜日
『曇天に笑う』01.「三兄弟、曇天に立つ」

 原作漫画未読。
 もう二話まで放送済みだけど、録画失敗してしまったので一話のみ感想。
 年齢順に成長度合いが違う(当たり前か)三兄弟を主人公に据えた物語。
 未熟…ということを表したいんだろうが、次男が「敵と戦った際、途中で気を抜いてしまったため逆襲に遭う」のはともかく、同一の相手に、しかも続けざまにだと、次男の油断ぶりよりストーリーの流れが停滞しているように思え、感心しない。

 見ていけば、キャラや物語に魅力が増してくる…んだろう。
ただ、一話で掴まれなかったのと、二話録画失敗のため気力が削がれたせいもあり、継続視聴の意欲は低め。


『暁のヨナ』01.「王女ヨナ」

 原作漫画未読。
 美少年キャラがドッと出てきそうなことから、女性向け「萌え」アニメかと思い、一話で視聴終了だろうと予想しつつの鑑賞。
 意外なぐらいしっかり出来ている物語。
ヒロインの視点から、必要な情報を紹介しつつ、憧れ・葛藤・幸せへの予感を描き、想像すらしなかった急転直下の絶望へと至る。
侮っていたためかこの流れは予想せず、驚かされて、引き込まれた。

 『グイン・サーガ』を思い出してしまう王宮ファンタジー・ストーリー。
 ちょっと韓国を連想する要素があるけれど、架空の世界が舞台…なんだろう。
 美少年が揃った所から作品の本領発揮かと思われるが、そうなったら個人的な視聴意欲はどうなるか不確定。
まあ、しばらく見て。

2014年10月11日 土曜日
『異能バトルは日常系のなかで』01.「『異変』アルファ・エピソード」

 原作ライトノベル未読。
 世界征服も可能?なぐらいの凄い超常能力を持ちながら、正義を行ったり邪悪な敵と戦ったりする訳ではなく、気合いの抜けた日常を送る話…なのかな、タイトルからしても。
 部員同士の疑似バトルや、時間停止能力へのツッコミ(『ジョジョ』DIOの力に同じこと思った覚え)、侵入してきた生徒会長とのシリアスになりそうで全くならない対立模様など、ネタとしては悪くないと思うけど、テンポが緩いせいなのか笑う所まで行かず。
 日常描写の細やかさとド派手な脱力バトルのギャップが魅力になるはずだと思うので、このアニメでも作画レベルは高い方だと思いつつ、更に京都アニメーション並みのクオリティーが必要なのかも知れないな。

 つまらなくはないが、掴まれた、とまで言えない第一話。
 三話ぐらいまで見て判断したい。

2014年10月10日 金曜日
『なりヒロwww』01.

 『gdgd妖精s』監督による、変身能力を得たヒロイン三人がグダグダと戦ったり延々喋ったりする、まあ、毎度お馴染み楽屋オチ3DCGアニメ。
 悪側として男性キャラが登場し、彼だけでヒロインら不在のネタもある、というのが珍しい…かな、これまでのシリーズを残さず見ている訳ではないから断言できないけど。
こちらでちょっと笑った。
 好きな人は凄く好きだし、そうでない人は見なくても困らないアニメ。
これまで通り、見られたら見る、ぐらいの姿勢。


『魔弾の王と戦姫』01.「戦場の風姫」

 原作ライトノベル未読。
 冒頭で異様なセリフのみ提示し、その言葉が発せられるに至るティグルとエレオノーラの戦闘過程を描写した後、そうなった戦場全体の状況を説明する…普通とは逆の物語行程だけど、上手く分かり易く出来ていた。
 「萌え」で通すなら「お姫様の一目惚れ」だけで構わない所、一応の理由付けをしているのが丁寧。

 捕虜…ということで捉えられた敵軍の兵士・ディグルを、姫様のみならず他の兵士達までほとんど無警戒で迎えてしまう、のんびり加減が佐藤 竜雄作品っぽい。
いや、「姫の賓客」として受け取られているのかな。
 自分を必要としてくれる居心地の良い敵国、正当に評価してくれない自国、しかし自身の領地は大事、という、なかなか複雑な主人公の心理状態。
一兵士であれば、巨乳美女が手招く敵国に寝返って当然。
そうは単純にいかない状況が、次回への引きを面白くする。

 作画はキレイだし、自身の剣を抜き臨戦態勢に入ってから、弓で馬を射られ倒れたリムアリーシャの無事を目の端で確認し、走り出すエレオノーラなど、演出も細かい。
 佐藤 竜雄作品は、最近ちょっと合わないことが多かったんだけど、これは見通せるかも。


『神撃のバハムート』01.「Encounter Wytearp」

 ソーシャルゲームを原作とするアニメ、ゲーム未プレイ。
 キャラクターデザインと総作画監督・恩田尚之、シリーズ構成・長谷川圭一という布陣は、一昔前を思い出させる。
 物語の作り方も一昔前、じゃなくて堅実で、しっかりキャラを立てて紹介し、世界観のあらましを説明して、引きを設け、続く形。
ジジイ視聴者にはとても入りやすくて好印象。
 作画レベルが高く、OVAで金が取れるぐらいの美しさ。
 カーリーヘアでドコとなく『イデオン』ユウキ・コスモを思わせる、主人公・ファバロが格好良く描けていたけれど、作画が崩れたら悲惨な顔立ちになりそう。
 男性キャラにもしっかり「唇」を描いているのが特徴。
これも作画が良くないと違和感なく維持出来ないだろう…頑張って欲しい。

 ファバロは、ノリが軽く無責任で頭が切れ、転がる大型車輪状物体に乗ってアクションを見せる所からしても、『パイレーツ・オブ・カリビアン』ジャック・スパロウ船長をモデルにしているのかな。
 冒険を予感させて、次回を楽しみに思える出来だった。
 視聴継続。

2014年10月09日 木曜日
『繰繰れ!コックリさん』01.「人形少女・ミーツ・コックリさん!」

 原作漫画未読。
 ギャグがポンポンとテンポ良く詰め込まれたアニメ。
 ただ…ネタがブツ切れ気味で、それぞれの繋がりは弱く、特に前半、「これこそ五分アニメで気楽に見せるのに向いている」と感じてしまう。
 後半に入り、物語っぽさが出てくると、一つながりの作品として見るのが楽になったけれど。

 崩した女の子の顔は可愛い。
余りに電波っぽい言動・行動が痛々しくて辛いなあ。
 バカ陽気なコックリさんと絡むことで、ようやく緩和されるぐらい。
 幸せになっていくお話であって欲しい。
 もうちょっと様子見。


『グリザイアの果実』01.「普通の学園生活」

 原作ゲーム未プレイ。
 学園転入から始まるストーリーは王道だけど、異様な情報がところどころ挟まれ、普通のラブコメで終わりそうにない雰囲気。
 内容は…相良宗介が『悪魔のリドル』クラスに入ってきたようなもの?
 可愛くありつつ、腹の底に何か怖いモノを隠し持っていそうなクラスメート少女たちが不穏。
 メイドさん、お姉さん、カッターで切りつけてくる少女まで、個性豊か…ではあるけれど、どこかで見たような。
もしかして、ワザと萌えキャラのフォーマットを踏襲して性格付けしているのかと勘ぐってしまう、特に「セリフの練習までしてツンデレになろうとしている少女」は強くそう感じられる。

 作画は良好。
崩し顔の女の子も可愛く描けている。
 不自然なクラスに隠された秘密が、次第に明かされていくのかな。
 シリーズ構成・倉田英之…期待と不安。
 当分、視聴継続。


『天体のメソッド』01.「円盤の街」

 アニメオリジナル作品。
 転校…昔住んでいた街に再び戻ってくる少女、という分かり易い導入部でありながら、当たり前のように空に浮かぶ巨大なUFO?に驚かされる。
えっ、SF?ファンタジー?しかし、第一話ではこの異常事態に殊更触れることはない。
「そこに異物があって当たり前」の世界になっているのか…(幼少期のヒロインらが呼んだ?)
 それと、乃々香が最初、部屋で座り込むノエルに気づかなかったことに、意味があるのか演出の都合でトボケているだけなのか。
 再会のドラマを一話では見せたいんだろうけど、この辺が気になってしまい、ストーリーに上手く入り込めず。

 世界の違和感と、ヒロインらが抱える葛藤を共に解消し、感動に繋げる物語になる?
 思い出の母親写真を入れたフォトフレームをノエルが割ったと誤解する、この辺りの流れが余り上手くないように思え、個人的に作品に馴染めるかがちょっと不安。
 三話目ぐらいまで様子を見て。

2014年10月08日 水曜日
『オオカミ少女と黒王子』01.「自縄自縛 -Liar-」

 原作少女漫画未読。
 タイトルから、月夜になると変身して恐るべきパワーを発揮する人狼少女と、彼女を使役して王国統一を図る腹黒王子の、アリガチなライトノベル・ファンタジーかと。
「嘘つき」という意味のオオカミ少女なのね。

 うわべの友人関係を維持するため、苦しいウソを重ね続けるヒロイン・エリカ。
このウソに、随分と性的なモノまで入ってしまうのが、今風。
 腹黒い美少年の豹変ぶりが可笑しい。
一話なのだし、もうちょっと悪辣だと良かったかなあ…心根の良さを窺わせるのは早いような。
ツンツン美少女がデレるのを男性視聴者は待てるけれど、黒い美少年が優しさを見せるまで女性はそう長く待てない?
 楽しく鑑賞したが、視聴本数の多くなりそうな今期、これはあと少しだけ見て…


『七つの大罪』01.「七つの大罪」

 原作未読。
 鈴木央の漫画はとても好きで、ゴルフをキャラと物語でグイグイ読ませてくれた『ライジングインパクト』、フィギュアスケートでガラスの仮面をやってみせ た『ブリザードアクセル』、バトルのエスカレートが暴走する「ジャンプ」的(「サンデー」連載だけど)展開に大笑いした『金剛番長』等々、面白かったな あ。
 『七つの大罪』は、完結してから一気に読もうと思って油断していたところ、長期連載となり、アニメ化。

 アニメ、分かり易い第一話。
作画も原作絵をよく再現していると思え、キャラが揃っていくのだろうこれからが楽しみな出来。
 岡村天斎が監督なので、クオリティー維持については安心してよさそう。
 しばらく視聴継続。


『ワールドトリガー』01.「異世界からの来訪者」

 「少年ジャンプ」の原作は、連載で既読。
次第に明らかになる世界・能力の設定と、遊真の考え方や行動が独特で面白く、引きつけられて読んでいる。
最近のバトル展開も、限界までのパワー同士がぶつかっており、楽しいけれど、特に男前キャラの見分けが付き辛く混乱するのと、人数が増えたため遊真・修・迅ら非常に魅力的に感じたキャラの登場頻度がググッと下がってしまい、ちょっと残念でもある。
 同原作者作品では、前作『賢い犬リリエンタール』が更に好きだったなあ。
ふざけた犬キャラの存在を、のほほんとした空気で包み込み、シリアスな流れも迎えながら「深刻」「悲惨」とまで感じさせない抜群のバランス感覚に、感心しながら読んだ覚え。
現代風の藤子・F・不二雄作品、といった味わいさえ。

 アニメ。
 シリーズディレクター、一話目のコンテは本郷みつるなのか。
 原作に沿って過不足なくアニメ化してあり、これで初めて作品に触れる視聴者に十分な出来。
作画が若干鈍く感じられたのは残念…バトルなんかは頑張っていたけれど。
 色が入って声が付けばキャラの見分けも容易になるだろう、と思いつつ、原作で満足しているため、アニメの鑑賞はここまで。

2014年10月07日 火曜日
『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』01.「堕とされた皇女」

 アニメオリジナル企画。
 『機動戦士ガンダムSEED』等で監督を務めた福田己津央が、クリエイティブ・プロデューサー。
OPなんか『SEED』そのまんま…と感じさせて可笑しい。
 監督は芦野芳晴で、『魔法少女隊アルス』好きだったな。

 ロボット戦闘中にコックピットを開け放す自殺行為をしながら、「私は生きる」などと正反対に思えることを叫ぶヒロインに違和感。
そうでなければ戦えない(トドメを刺せない)設定があるのか、単にハッタリか…
 などと考えていたが、彼女が皇女から、プライドまで粉々にされる最低の扱いへ、凄まじい転落を遂げる第一話を見ていると、「殺して、生きる」という執念のセリフへの繋がりが感じられてくる。
 特殊な世界設定や皇女としての生活が視聴者に馴染むのを待たず、人生を変転させてしまい、ちょっと急ぎすぎか…とは思うけれど、「子供を取り上げられる 母親にかけた皇女の余りに無情な(悪気は無いのだろうが)言葉」だけを見せられて第二話に引かれた場合、視聴意欲がどうだったかは疑問だし、回想の形で フォローは出来るので、まあ。

 世界から忌み嫌われる能力を持つ人間(少女)だけで、戦闘部隊を結成することになるのかな。
 「普通」である多くの人間と、特異な力を持つ者達の葛藤…というのは、『SEED』でも描いてきた図式。
 見られる限り見続けたい。


『失われた未来を求めて』01.「失われた未来」

 原作ゲーム未プレイ。
 作画が妙に3DCGを思わせる…手描きなんだよね?
美しく・可愛く見せたい、という意図によらないアングルからの描画が見られ、無機質な表情や特に(CGキャラにアリガチな)指先の不自然さが多くあったため。
 崩れている、ということはないけれど、第一話にしては微妙な作画。

 物語としては、「ある部活に異能力の美少女が集まり、皆そろって主人公少年に好意的」という萌えストーリーそのまんま。
 幼馴染み、格闘スーパーガール、裏から事態を解決する策士少女と、パターン気味ながらそれぞれ魅力を持たせるのに成功。
プラネタリウムの準備を進めつつ、それぞれ恋愛関係を勧めていくのだろう、と思えば……
 えええ、幼馴染みヒロイン、突然の死。
ほのぼの(たまにギスギス)ラブストーリーを予想していたので、これはビックリ。

 エンディングを見ると…不幸なルートを回避すべく、ループするストーリーが始まるのかな?
 策士・凪沙が持っていたキューブ状の物質、あれが超自然的現象の原因となる?
 絵的にはあんまり引かれないんだけど、物語には興味を喚起され、もうちょっと見ていたい気分に。


『牙狼-GARO- -炎の刻印-』01.「業火 HELL FIRE」

 特撮『牙狼』は、四作シリーズを重ね、劇場版も多く作られたヒット作。
雨宮慶太のビジュアルイメージと、魔戒騎士の格好良さ、『仮面ライダー』より更にアダルトなストーリーなどが魅力だったものか。
パチンコとのタイアップが非常に上手くいった、という理由もあり?
 その、初となるアニメーションによるテレビシリーズ。
 特撮第一期は全話見たけれど、その後は見たり見なかったり…不真面目な視聴姿勢なので、全作通しての知識は持っていない状態で鑑賞。

 魔女狩りの行われる中世が舞台。
現代、ビル街を背景に異様な姿の騎士と魔物が、CGを駆使した戦いを繰り広げる、この辺がシリーズの特性だと思え、「なんでもあり」っぽい中世の物語にしては個性を損ねそう…と思い、開始早々から視聴意欲減退。
 売春宿?で女を相手にする屈強でだらしない男、ここいらまで、本当に一話で視聴終了だと思っていたが…
 そこから、状況の真相がパパパッと続けて明らかになり、一気に引き込まれる。
 手描きでは恐ろしく困難だろう、表面の鏡面に映り込みの処理が施されたCG魔界騎士イメージが美しい。
バトルにも迫力があって、クライマックスはとても良い出来。

 脚本は小林靖子なのね、なるほど。
 ちょっとこれは、続けて見たくなる。

2014年10月06日 月曜日
『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』00.「プロローグ」

 原作ゲームは途中まで遊んだ覚え。
以前のテレビアニメと劇場版も見ている…と思う。
 それらから得た知識とストーリー記憶があるため、今回のアニメ版単体として話が分かりやすいのかどうか、初回の設定説明は十分かどうか、判断できない。

 原作ゲームに凄く忠実な作りだと思える。
 遠坂とアーチャー、懐かしいなあ。
 ゲーム発売から十年になろうというのに、まだこうしてテレビシリーズが作られるのは、元のストーリーやキャラクターがいかに魅力的であったかの証明。
 大体の物語を知っていることもあり、構えず楽な気分で見続けたい。

2014年10月05日 日曜日
『selector spread WIXOSS』01.「この開幕は無音」

 前期放送終了から三ヶ月程度を経て、第二期の開幕。
 変化(ルリグ化した遊月など)に馴染み、大きな変化(伊緒奈が体現するバトル闇の面)から出来るだけ目をそらすことで、割合と普通の生活を送る、るう子達。
 中断期間が短かったため、ボケた自分でも設定や物語を忘れてしまうには至らなかったけれど、バトルの真相を何も知らない(知ってる?)陽気な少女・ちよりを登場させ、彼女に説明する形でおさらいしてくれて入りやすい。
 ちより・エルドラのコンビは、とぼけているのか本当に知識を偏らせているのか分からなくて、面白い。
エルドラの声が新井里美なので更に、セリフから企みを感じてしまう。

 今期で作品として完結、するのかな。
 誰も幸せになってない物語だけど…伊緒奈は楽しそう?…ラストには救いがあるのかどうか。


『ガンダム Gのレコンギスタ』01.「謎のモビルスーツ」「G-セルフ起動!」

 ガンダムという括りでは『∀ガンダム』が1999年、他のテレビ…WOWOWシリーズでも『OVERMANキングゲイナー』が2003年まで放送されて以来だから(『リーンの翼』はどう扱うべきか)、本当に久々の富野 由悠季による新作シリーズ。
 『Ζガンダム』劇場版はあったものの、もう新しく「ガンダム」を手がけることは無いだろうと、新作制作中の噂を聞いても思っていたため、こうして見られるのが単純に嬉しい。

 一話冒頭、前置きもなくイキナリ物語の中に放り込まれて戸惑い、二話から見てしまったかと不安になる。
あるいは『Vガンダム』のように、先の話を第一話として無理矢理放送させられたのか、とも。
 この戦いがちょっとゴタゴタして展開早く、ガンダム(G-セルフ)を巡り二つの勢力が戦っている、というのが最初、分からなかった。
一言セリフを足したり、状況を俯瞰すれば誰でも分かるように出来たと思うけど…まあ、それが富野アニメか。
 富野作品では、アニメでの「よくある・お約束のパターン」に乗っからない事が多いため、こうきたから次はこうなる、という予想がすぐ裏切られてしまう。
既存のアニメに慣れていればいるほど、違和感あるかも。
…という自分だって、これ何・どうしてそうなる・この人何してるの?と思わされた所、一杯。

 お話自体の理解は難しくない。
謎のガンダム型モビルスーツ登場、何故かその操縦適正を持つ主人公、G-セルフに最初乗っていた不思議少女と攻撃してきた海賊?少女の紹介、急襲してくる敵とG-セルフに搭乗して戦い、初戦果を上げる主人公…大筋としてロボットアニメのラインから外れず。
 不明点は沢山あるけども、まだ第二話だし、それはこれから説明してくれたり説明してくれなかったりするものと。
 ギュギュギュッと内容が詰め込まれすぎていて、余韻なく・理解の間もなく次のシーンに移ってしまうため(ベルリしかG-セルフに乗れない異常さは普通もう少し大きく扱う)、より分かり辛い印象になるのかな。
一度見直せば、「ああ、そういうことか」になり、「キャラが訳の分からないことを言っている」も「変なこと言ってるよコイツ」に、なるんだけど。

 便利な博士が的確に状況を説明してくれる、みたいなことはしたくないんだろうに、軌道エレベーター関連で、今それ必要?ぐらいの知識を授業形式にして語り出すのが可笑しい。
 捕らえられて泣きながらアイーダが呟く「時間的には、降下するクラウンを制圧したカーヒルの部隊がフォトンバッテリーを回収したはずだけど、私って、時々これだから…」というセリフなんて、驚くぐらい説明的だし不自然。
これが、好きな人にはたまらない、そうでない人には??と思わせる要因の一つ。

 大きな戦艦に乗って全員で旅をする、お馴染みのガンダムフォーマットに入るのかな?
 宮ア 駿が長編劇場アニメ引退を宣言した今、同じ歳でテレビシリーズに挑む富野 由悠季は、作品を通して何を語ってくれるのか、楽しみ。

2014年10月04日 土曜日
『デンキ街の本屋さん』01.「ラブ&エロス フォー オール」「ナイトメア ビフォア カルナバル」

 原作漫画未読。
 本屋さんというか「うまのほね」…「とらのあな」?
通常の書店エピソードでは余り取り扱われないだろう、少なくとも第一話では触れるはずない「エロ漫画」「都のチェック職員」などガンガンに登場し、関連する商売の人間としては有り難いやら気恥ずかしいやら。
 先生による漫画の作成工程が、手描きアナログのみではなく、完全デジタル移行でもない、ペンまでアナログ・仕上げはPCというのが、現在のネタとしてリアル。

 前半なんか、問題提起すら出来そうな内容だったけど、そこまでは踏み込まず、ライトに終わった。
そういうテイストの作品なんだろう、深刻になる必要も無く、それで良い。
 ギャグが個人的にハマらなかったのは残念。
もうちょっとテンポアップするだけでも笑えたりできたんじゃないかと思うが。
 見られる時は見る、ぐらいの気楽な鑑賞姿勢で。

2014年10月02日 木曜日
『ヤマノススメ セカンドシーズン』最終12話.「Dear My Friend」

 富士登山エピソードの息苦しさは、相当なものだった。
のんびり、のほほんと登山を描く癒やし系作品、だと油断していたため、見ていてシンドイ気分。
 三つ峠頂上付近でも、あおいは辛さを味わったが、今回その比ではなく、まさかの途中断念。
「ギリギリ回復し登頂、奇跡的にご来光に間に合い、高山病も良い思い出」「登り切ることは出来なかったけれど、そこから見る日の出も美しい。今度こそ!と闘志を燃やす、あおい」そういったぬるい展開を予想していたため、ショッキングですら。
 そういう視聴者・読者の反応は予想出来たはず、しかしそれでも都合の良い嘘をつかず、登山の厳しさをきちんと描く、題材への真摯なアプローチと誠実さに感心。
 触れるのが難しい話だけど…現実の噴火により登山者に大きな被害が出てしまった現在、余計にこの甘くなさが染みる。

 緩やかに立ち直り、思い出の登山(ハイキングぐらい?)で、ひなたとの関係も修復するのが嬉しい。
 また、みんなで楽しく・苦しく山を目指していくことになるんだろう。
原作は未読だけど…アニメ放送終了後の特番で、原作者がそのように連載の現状を伝えていたし。
 十分感動的な終わり方だとは思いつつ、どうせなら富士登山を完遂する所までアニメで見たい!
だから、第三期を希望。
(追記・メールでご指摘を頂きました。これが最終話ではないそうです…うわあアホな勘違い。キレイに終わっているように思えたもので。すみません。ホントの最終話まで見続けます)

2014年10月01日 水曜日
『ばらかもん』最終12話.「かえってきてうりしか」

 清舟が書いた「星」という文字はとても良かったけれど、そういう字を書けるようにしてくれた皆の名前を書き連ねた最終作品は、ちょっと泣ける出来。
 とにかく、なるが可愛くて可愛くて、それだけでもう次回を楽しみに思えるアニメだった。
可愛い、といっても「萌え」ではなく、ましてや「幼女の色気」などカケラもない、おバカさんで元気でいつでもパワー全開、そういう正しい幼女の魅力が横溢するキャラ。
 ギュッとしたい、一緒に遊びたい、ウチの子にしたい可愛らしさ。
いやー、こんなジジイじゃあのパワフルさにとても付いていけないか。

 何気なく、大事なことに気づかせて、思い出させてくれる作品。
バーサンが語る「餅投げの時の心得」なんて、腹にズシリと堪える教訓を孕んでいる。
 舞台である五島列島に行ってみたくなった。
まあ、清舟のような心根の良さを持たない人間では、どんな環境でも何一つ大事なモノを受け取ることなど出来まいが。
 なるにまた会いたい!だから、第二期を楽しみに待とう。

2014年09月29日 月曜日
『スペース☆ダンディ』最終26話.「ネバーエンディングダンディじゃんよ」

 作画の爆発というか暴発が多々あるアニメだったが、最終話は一昔前のロボット・SFアニメのクライマックスから頂いたようなシーンが連続し、ストライクな世代としては単純に喜んでしまう。
金田火炎龍も懐かしかったけど、全体に『イデオン』のイメージが多くて嬉しい。
 思いつき、行き当たりばったりで投げっぱなしだったこれまでのエピソードが、ダンディの特殊性に集約されて、何となく繋がって感じられるのが可笑しい。
 ダンディ救出のため、ハニーが同行するのはともかく、いつも冷静・冷徹なスカーレットまで、というのが普通なら変なんだけど、後に引くとは思わなかった…カレシ代役をダンディがこなすエピソードを経ているので、流れとして自然。
しかし、僅かに重ねたダンディ・スカーレットの関係も、宇宙ごとやり直してしまうラストでチャラ、なんだろうなー。

 「能力不足でつまらない作品になってしまった」のではなく、「全力で下らないアニメを作りたい!のが最初からの制作目標」だと思え、それは見事に達成出来ている。
作画も演出も音楽も凄く頑張ってまでその目標をクリアすることにどれだけの意味があったのか、そこいらはちょっと分からないんだけども(笑)。
 「二次元からの侵略」なんてネタを大真面目にやれるのは、このアニメぐらいなものだろうな。
SFとナンセンスを強く感じられる、すげーエピソードだった。
 下らなさすぎて付いていけないネタも多く、正直、途中で集中力が途切れることもあったが、次回は何をやってくれるのか…期待と不安がこれだけ大きかったシリーズも珍しい。
 このアニメを新作劇場版にしたなら、その内容が「傑作」「上映時間が長く感じられすぎて耐えられない」どちらなのか非常に危険な賭けとなり、恐ろしくてなかなか映画館まで足を運べない予感。

2014年09月28日 日曜日
『残響のテロル』最終11話.「VON」

 周到な計画や頭脳戦を期待していたので、後半のアクション寄り展開が残念、それも「徹底した面白いアクション」というようなモノではなかったし。
 核爆発は結局、電子機器を破壊したのか?
直接間接に結構な死者を出しそうだけど…それはもういいの?
 最後の妨害は日本政府のせいではないのに(こういう事態を生んだ根本原因はともかく)、日本にばかりダメージを与えるのは納得いかない、せめて最後の爆弾ぐらい「実は米国内原発に仕掛けていた」程度の仕返しをして欲しかったもの。

 母親に行動を縛られていたリサは、どうなったのか。
壮絶な体験を経た今、「たかがそんなこと」平気になったんだろう、とは思うけれど、そこは見せて欲しかったなあ。
 ハイヴは、もっと恐るべき知性の発揮があるべき。
どうも、日米関係の悪化を考慮せず乱暴な指示を出す人、以上でなく。
これは随伴のオジサンが出してくる頭の悪い案として扱い、それを一蹴、「さすが」の対抗策を提案するのがハイヴ…なら良かったのに。
 迷惑の度合いが大きすぎるハイヴだったため、見捨てられ・最後を迎える流れも、悲劇性より「ようやく片付いた」感が強い。

 自分達に関わる真実を暴露したいなら、もうちょっとマシな手段があったんじゃなかろうか。
利用していたネット動画で告発しても良かった訳で(マスコミ操作によって潰される可能性があるけど、それは最終回の事件後でも同様の恐れ)。
 ハイヴの行動動機が愛?だった、という辺りはまあ理解可能として、どうもアテネ計画の被験者は余り優秀と思えない…だから中止された計画でもあるのかな。

 このアニメは、「知恵を尽くしたテロリストの、そしてそれと対抗する人間の戦い」ではなく、「心と体に深い傷を負った少年少女の悲劇」を描いたモノだと、最後まで見て思う。
 被験者全員が死亡し、最期に望むことが「覚えていて欲しい」だというのが切ない。
 彼ら彼女らの生き様が、残響となってリサの中にあり続け、人生に負けてしまいそうだった彼女を変えていく…それが一番の「テロル」だったのかも知れない。
いや、「VON」って「希望」だっけ。
 そうは俯瞰できるし、シーンでは面白い部分が多々ありつつ、全体としてみると傑作とは言いがたい中途半端な味わいが残る、惜しい作品。

2014年09月27日 土曜日
『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』最終12話.「【ろこどる】やってみた。」

 フェスティバルに出場する流川ガールズ。
優勝を目指し必死になるとか、ライバルと火花を散らすような派手展開にはならず、あくまで「ろこどる」らしく地味に、ほのぼの進んでくれて嬉しい。
 地元を大事にする彼女らの姿勢は、トップアイドルとなったかつての「ろこどる」にも届き、出自に合った・テーマに沿ったアイドルの有り様はどういうものだったか示していて、作りのブレなさが強く感じられる。
 ライブも盛り上がったのだし、優勝でも良かった気はするが…お祭りに間に合った、応援してくれた人々との繋がりを再確認できた、ということの方が、彼女らには価値があったんだろう。

 全体に、とても可愛らしい、気楽に見られるシリーズ。
 頑張る姿が魅力的な奈々子と、無駄に高スペックでありながら奈々子を偏愛する縁の、互いに助け・助けられる関係が良かったなあ。
 後に加わったゆい、みらいは、流川ガールズの「愛」を邪魔せず、しかし個性を主張するポジションには居続けさせていて、上手い。
 そういう少女たちに若干ストーカー的な?愛情を向けるマネージャー・沙織も面白いキャラ。
 ふわふわ〜っとしたことを喋る予告、好きだった。
 二期があるなら、また気楽に見てみたい。

2014年09月26日 金曜日
 映画『ルパン三世』を見る。
 小栗旬主演・北村龍平監督による実写版
 そりゃもう、ダメダメなのを覚悟して見に行ったんだけど…

 配役やキャラの描き方は、良いと思う。
 最初、コスプレ隠し芸としか感じられなかった小栗旬が、次第にルパンっぽく見えてくる不思議。
切れる男「風」の描き方は嬉しい。
 次元、外見も行動も、ファンが納得できそう。
料理担当…アニメシリーズでも何度か次元の料理シーンはあるんだよね、この辺ある意味、忠実。
ガンマンとしての活躍をもっと見たかったけど、逆転劇の小技もあり、個人的に最も好感の持てる造形。
 五ヱ門。
ちょっとイメージと違う配役、いや、ちょっとだけ。
金銭交渉から仕事に入るビジネスライクな所は旧ルパン的。
何でも真っ二つの斬鉄剣にしては車が切れないなど、不満はありつつ、ここはリアル寄りな描写に止めたのだと思えば文句を言うほどでもない。
 不二子。
男を手玉に取るだけの悪女、ではなく、見事な体術を見せ一人で何でも出来そうなクールさは、好み。
もっと裏切っても良かったかなあ…最初だし、こんなものか。
 銭形。
ルパン逮捕に固執させた方が良かったが、まだルパンを泥棒組織の一人だとしか捉えておらず、この映画を終えることにより「許さんぞルパン!」方向に凝り固まってしまうのだと思えば、自然。

 ゲストのマイケルは、アニメスペシャルならそのまま女性キャラが演じる役割。
復讐を胸に抱き、ルパンと敵対するが、和解して手を組み、最後は…実に良いヒロインっぷり。
 ヒロインを不二子一人に絞ったのが結構。
特に『カリオストロ』以降、毎回ゲストのマドンナを無理にも入れて、そのため物語が破綻さえしかかる不手際をさんざん見せられてきたので、男同士の友情・信頼といった描き方に限ったのは嬉しい(上手く出来ていたかはともかく)。
 映画、一番の弱点は物語。
荒唐無稽とリアルの間をフラフラしており、見終わって充足感が弱い。
ラストの舞台になる要塞なんて、嘘なら「ルパン一家が死力を尽くし、仕掛けを一つずつ突破していく」ような見せ方か、「街中に立つセキュリティ厳重なビル、『ミッション・インポッシブル』的潜入方法で挑む」どちらかの方が良かったような。
ロクに作戦も無く突入、大人数の敵を相手にそれで何とかなってしまう本編の流れは、悪いとまで言わないけれどアニメスペシャル並み。

 全体に、数多いルパン作品群の中で、完成度が高いと言えるかはちょっと疑問…ながら、少なくとも真ん中より下ではないと思われる。
 最初に宝を盗み出すルパンのアイディアは、個人的に「ルパンだなあ」と思っていた『ミニミニ大作戦』冒頭とよく似ている、が、それより分かり辛くて爽快感に欠けてしまう、けれども、ルパンで感心させてくれる盗みのアイディアがこれまでにいくつあったかと考えれば及第点。
 大仕事を前にそれぞれ真剣に準備をする一家、なんて絵、アニメでもほとんど見せてくれたことが無い「見たかったシーン」。
 同じキャストで、ストーリーをもうちょっと頑張ってくれるなら、次回も見たいと思わせてくれる映画。
 ああ、大野雄二のテーマ音楽がなかったのは残念、アレがあると無いではルパン気分が全く違ってくるので、次回作では使えると良いなあ。

2014年09月25日 木曜日
『アルドノア・ゼロ』最終12話.「たとえ天が堕ちるとも-Childhood's End-」

 圧倒的戦力を備える敵に対し、決め手となるオーバーテクノロジーを有さない地球側が、知恵を振り絞りギリギリの抗戦と勝利を積み重ねていく…物語になるものと期待していたので、途中からの失速が残念。
 段々とショボくなるアルドノア・カタクラフトの武装。
最初に出てきた無敵バリアが、その威力と欠点を突く逆転劇として最も面白く、ビームサーベル、ロケットパンチと順調に物足りなくなってきており、それもあって一応のラスボスが用いる合体と既出武装の複合ワザにも切迫感が無い。
また、「複数武器により互いの弱点をカバーする」発想を敵パイロットが持っていないことで、実にアッサリ倒されてしまうし。
 知恵比べのネタ出しは、本当に大変だと思う。
なので「全て傑作アイディアで構成せよ」なんて言えないけれども、せめて登場順番を入れ替え、バリアカタクラフトを最後の方に持ってくるような構成に出来なかったのかなあ(初出武装がビームサーベルでは視聴者の期待感を下げてしまう恐れはあるか)。

 ドラマ。
 天才パイロット、戦争の切っ掛けになってしまった姫様、その姫を慕う火星側の地球人少年、裏切り者の娘、PTSDの軍人…それぞれ、深く掘り下げられたとは言えず、消化不良。
 主人公を心配する余り、ではあるが、対案も無くその作戦行動に反対し続ける姉、なんてのはあっても無くても構わない要素であり、何を優先して描くシリーズなのか、絞り込みが不足しているように思える。

 最終回、三十分ではとてもキレイに終わらせられそうにない…と思えば、最近珍しくないが、二期に続く。
 クリフハンガーな終わり方、というつもりかも知れないけれど、バタバタ人が死んでおり、うーん。
姫様なんてこの前、死んで(割合安易に)蘇生したばっかりなのに。
 「また蘇生させました」「脳死に至ってませんでした」では安易に思われそうだが、「瀕死状態を治療するアルドノア・テクノロジーがある」「姫はデューカ リオン、主人公はカタクラフトに脳(あるいは脳内データ)移植を行う」「実は途中からスレインが見た夢(カタクラフト能力による未来予測)になっている」 「フツーに二人とも死んだまま、他キャラを主人公に格上げして続ける」……どれも、どうだろうなあ。
 納得の解決法は考えてあるんだろうか、第二期でそれは興味ある。


『ハナヤマタ』最終12話.「ハナヤマタ」

 前回、ハナの渡米でシリーズ終わり…なのかと思った。
もう一話ある、ということで、ハナが帰ってくるのは当然。
 イヤな部分にまでは踏み込まないスタンスで、しかし少女たちの心理が細やかに描かれ、見応えがあった。
 引っ込み思案な少女・なるの成長と解放がメイン。
初回で、何者にも(重力にも?)縛られないスーパーガールぶりを見せたハナ、そんな彼女に憧れる なる、という風に示された関係が、なるは友人達と自分自身のワダカマリを解いて身軽になっていき、ハナの方が母親への思いのため自由を失う、上手く出来た構成。

 クライマックスのよさこい踊りは、躍動感があってなかなか。
 癒やし系、ほのぼのアニメとして、気持ちの良い作品だった。
 好評なら第二シーズンもすぐ作れるし、キャラクターに愛着はありつつ、ここで余韻を残し終わっても悪くない。

2014年09月23日 火曜日
 衛星で放送された映画『めめめのくらげ』を見る。
 アーティストの村上隆原案・監督による実写作品。
 評価を耳にすることさえ無いぐらいマイナーな映画で、つまらなかったら途中でも視聴を終えようと思いつつの鑑賞。
 が、最後まで見た。

 傷を乗り越える少年の成長、少女との淡い恋、不思議な存在と結ぶ友情、陰謀によるサスペンス、CGを駆使したアクション…雑多な要素をギュッと詰め込んでいるが、全部中途半端。
 特に最初の三つ、震災による父親の死を心に重く抱える少年がそれを克服する過程、なんてのはほとんど無く、淡い恋も淡すぎて食い足りず(女の子の可愛いさに凄く助けられているが)。
何より、不思議な存在・くらげ坊と主人公の間に通り一遍の交流しか無く、それがクライマックスやラストを「都合」ばかり感じさせるものにしてしまっている。

 黒ずくめの四人組は、最初、何かのギャグかと思った。
目的や、持っているオーバーテクノロジーの根拠が分からず、言動・行動の馬鹿馬鹿しさから悪役としても不足。
 新興宗教に狂っているヒロインの母親は、どうにもならない現実を表す存在としてリアル。
大学を指して悪の総本山であるかのように叫び続ける様子は常軌を逸しているが、実はその通りである所なんて面白い。
ただ、異常であるにしては母親の娘への干渉が弱く、クライマックスにも絡んでこないし、母親の変化が描かれないなど、出しただけで扱い切れていない印象。
 恐ろしくスペックの高い少年…一人だけ美少女フィギュア的キャラクターを用いていることからも監督自身を表す?…により、困難がアッサリ解決してしまう。
「少年の日の思い出」にして良かったような。
これじゃ精神的成長もままならない。
不思議キャラクターを創造する立場の監督としては、それらと別れて欲しくなかったのか。

 これら様々な疑問も中途半端も全て、エンドテロップ後に付けられた『2』予告編に繋げるため!だと思われるのがオドロキ。
うううーん、「凄く面白かったから続きが見たい」と観客に感じさせたならともかく、「もやもやするでしょう、それは次作で解消するんですよ」といった作りには感心しない。
 実際、興業成績は悪かったようで、続編の制作はかなり困難かと。

 文句ばかり書いたけど、『E.T.』か『のび太の恐竜』みたいにするつもりだろうと侮っていた所、転入したクラスの全員が不思議存在を伴っている展開には意表を突かれた。
 CGはかなり頑張っていて、実写との合成に違和感が無い。
ラストバトルもそれなりの迫力…ちょっと『大日本人』を思い出したけど。
 ツリ目のヒロインが可愛くて、惹かれる。
彼女の孤独、絶望、ふれんどと出会って救われる過程など、もっとちゃんとした形で見てみたい。
 後半部、ハア?誰これ?何それ?どうしてそうなる?の連続ながら展開は早く、飽きる隙が無い。
 きちんと出来上がった価値ある映画を求める人は見ない方が良い、しかし、未完成さやダメ加減も楽しむ余裕があるなら、眺めてみるのも一興。

2014年09月06日 土曜日
『残響のテロル』08.「My Fair Lady」

 緊張感が続いており、きちんと頭脳戦が描かれるなど、手のかかった、満足度の高い作品。
 都庁爆破については「謎の方法で行った」描写に止めるかと思ったのに、(ホントに実行可能かはともかく)原理が示されるのに驚く。
現実の模倣犯、あるいは模倣犯だと言い張る人間を生み出しては、放送・作品公開を継続する都合上の危険があるため、ぼかすのが普通。
結構な覚悟だなあ、油断?

 新キャラ・ハイヴの登場によって、更に高い知能戦が展開される…のだろうが(まだハイヴの作戦は雑に思える)、何というか、物語がフィクション方向に大きく振れてしまったようで、個人的にちょっと残念。
 ナインとツエルブ以上の極悪な攻撃方法を採るハイヴ。
しかしやり過ぎで、真相が明るみに出た場合は日米関係にまで影響が及んでしまいそう。
 リサの存在をハイヴが把握したことから、母親を使って脅迫するのでは、と思ったけど、意外に本人を直接捕獲。
ナインらも、リサにもう少し配慮して上げれば…そういう心理的機微を捉えるのは苦手なのか。

 もう後半戦?
 どうなって終わる話なんだろ、ナインらが何を目的としているのか、に寄るのか。
虚しすぎる終わり方にはならないと良いなあ。

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