ときどき日記 2006/01

2006年1月31日 火曜日

『練馬大根ブラザーズ』04.「俺のカラクリ刑事(デカ)いでしょう」

 今回の女刑事は、三石 琴乃のイメージじゃないのかなあ?
ナベシンが非常に良く使う声優さんでもあり。
語尾への妙なクセの付け方といい、三石個人の芸風を移植したような雰囲気。

 警察ネタも、暴力団との癒着のような、アリガチ過ぎて余りダーティーさを感じられないものより、最近 起きている「ブラックなジョークの如き」実際の警察不祥事を元にしてギャグを作った方が良いような。
 歌と踊りが入ると、悪党の酷い行いが生み出す「面白さ」は軽減されてしまうため、ストーリー的には「やり過ぎ」ぐらい悪辣さを演出しないと、弱くなる。
主人公側も悪役側も みんなで楽しく遊んでいる雰囲気だって悪くはないけど、そればかり続けると、早く飽きられてしまう恐れが。



『魔法戦隊マジレンジャー』47.「君にかける魔法 〜ルルド・ゴルディーロ〜」

 ヒカルと麗、二人の関係は、これまで少しずつ、長く描かれては来たけれども、こんなにハッキリ「恋」という形で成就させるとは思わなかった。
動物園デートも微笑ましく、実に好感度高いカップルで結構。
 しかし…いきなりプロポーズ、結婚式にまでなだれ込んでしまうか。
そこいら辺りのストレートさ加減は、確かに「戦隊」リアリティーの恋愛なのだ、と感じられたり。
 オヤジは、何か言う事ないのかね?
ヒカルであれば、それ以上の娘の結婚相手もなかなか考えられないから、もうここでヨメに出してしまえ!という気持ち?

 微妙な立ち位置のスフィンクス。
何か彼女絡みで一山ありそうに思え、楽しみ。


2006年1月30日 月曜日

『よみがえる空 −RESCUE WINGS』04.「大切な人」

 2、3話は かなりの急展開であり、このままレスキュー物としてエスカレートしていくのかと危惧したが…
今回は一転、穏やかな、第1話を思い起こさせる日常話。

 とても丁寧に描かれた登場人物の心情、繊細な演出が、こんな静かなドラマに感動を生み出す。
 卒業式で めぐみに手渡されたテグジュペリの本を握る手に、大きな希望を持って力を込める主人公。
「仕事はどう?」と聞かれ、不安とストレスから、バッグを握る手に思わず力が入ってしまう めぐみ。
時間の流れに伴う感情の変遷、必ずしも思い通りに行かない現実、それらが、こんな何気ないシーンからも読み取れてしまう。
 本当に、繊細な作品。

 落ち込んだ自分も、何も無い町も、そのままさらけ出して、受け入れてくれる人が居る幸せ。
 見終わって元気が出る、良い話だった。



『魔弾戦記リュウケンドー』04.「氷結武装!アクアリュウケンドー!」

 ジャマンガの、驚くべき設定が明らかに。
あの町への侵攻が始まったのって、半年ぐらい前からなのね。
意外と最近。
そりゃあ、100年も こんな状態が続いていたら、住人なんか残らないか。
 今は派手(?)になっているジャマンガの活動だが、最初の方は、戦闘員がちょっと驚かすぐらいだった。
暴力団は勿論、不良高校生やら躾の悪い小学生より、ずっと可愛げがある(^ ^)。
 「シリーズの最初ぐらい、もっと悪の組織らしい恐ろしさを見せるべきでは」と思っていたけど、意図的にそうしてないんだなあ。

 彼らの悪行がエスカレートしてきたのは、リュウケンドーらSHOTが台頭してきてから。
ジャマンガは、人々の「負」のエネルギーを集めている訳で、しかし同じ事ばかり繰り返していても現代の人間がそうそう驚いたり怖がったりしてくれるはずなく…やむを得ない行為のエスカレートがあったためにSHOTが組織されたのか、SHOTの妨害があるので行為が大掛かりになっているのか、鶏が先か卵が先か。
 シリアスに言えば、「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」。
 実はSHOTこそがナニゴトか悪の企みを巡らす組織であり、ジャマンガは、その挑発にあって凶暴化しているに過ぎない…とかだと面白いんだけど、そこまではヒネくれないだろうな。

 何故か一つの町だけを襲い続けるジャマンガ。
呪術的に、「その土地に限定してエネルギーを集める」必要があるのか…
 だったら、あんまり嫌がらせがエスカレートすると、町の人達が こぞって引っ越し、元も子もなくなってしまう恐れが。
今回の、肉屋を焼き尽くしてしまったのだって(意図せぬ事故だったのかも知れないが)、店主夫婦は町から出て行っても無理ない所。
そこはフォローを入れて、コッソリ家屋を再建してくれるとか、せめてコロッケでもせっせと買ってあげないと、住人がドンドン減っちゃうよ。
 もしかして、まだ見せられていないけど この世界では、ヤクザの如く日本中ドコの町に行っても土地に根付いた悪の組織があり、ジャマンガなどタチが良い方、とかいう設定があったりして。
だから引っ越さない?

 やたら詰め込まれた脱力ギャグが楽しかった。
 戦いのエスカレートをコロッケの肉の割合に例えるオヤジによる、採算を無視した肉の増やし合いを続けると(対立する店同士は)結局どうなるか?という問いかけに、「(もうコロッケじゃなくて)メンチカツになる」と応えたのには大笑い。
スゲエ、スゲエや その外し方(^ ^)。

 いや、意外なほど面白いなあ、コレ。


2006年1月29日 日曜日

『仮面ライダーカブト』01.

 ああ、またサブタイトル無しに戻したんだ。
 という訳で、新たなライダー物語の開幕。
アバンで見せられた、イキナリの『アルマゲドン』的隕石落下シーンがハッタリ効いていて結構。
子供のナレーションは、仕方ないとは思うけど、ちょっと聞き取り辛い。

 事前情報で「ゼクトルーパー」というモノが出るのは知っていたけど、てっきり敵の戦闘員的な扱いかと思っていた。
ライダー側なのね。
話にならないぐらい弱いから、「戦闘員」である事は間違いないみたいだけど。
 アレでも一応は強化服なのか、単にプロテクターなのか。
 バタバタとゼクトルーパーが殺されていく危険な戦場に、ハンディカメラ一つ抱えて飛び込む加賀美。
…危険なんじゃないの?
せめてゼクトルーパー程度の装甲は身に付けさせても。
いや、あんなの無意味な飾りだから軽装の方がイイって?

 容器に豆腐を入れ、作務衣姿・下駄履きで街中を歩き、初対面の加賀美に「天の道を往き、総てを司る男」と決めゼリフを放つ総司。
そんなヤツぁ居ねぇ!(笑)
何というか、『よつばと!』の「変な奴だ──!!」というセリフがやたらアタマに浮かんでしまう。
 取っつきにくいキャラに見せて、次のシーンでは妹のために せっせと朝食を作り、ダシを変えたのに気付いてもらえたぐらいで満面の笑顔を浮かべ、気の良いお兄ちゃんな側面を見せて視聴者との距離を縮める、なかなか周到な作り。
かと見せて、アクセサリー売りの女達には厳しい言葉を投げかけ、また取っつきにくく…色々揺さぶりを掛けてくるなあ。

 新たに開発された極秘兵器であろうライダーベルトを、市井の人間なのに所有しており、悲壮な決意で戦場に向かった加賀美を置いてきぼりに変身、勝利を収める総司で、今回は終了。
 緊張感も、バトルでの迫力もあり、まだ伏せられている設定が多くて、内容に引き込まれる。
面白くなりそうな予感、アリ。

 ただ…今回は、視点が加賀美と総司の両方に分散しており、ちょっと年少者には取っつきにくい第一話だったかと思う。
 加賀美の目線で描き、総司を終始「謎のキャラ」として扱う。
 あるいは総司の視点で「何か不穏なことが起きている様子だが、一般人にはハッキリと伝わってこない(故意に伝えられていない)世界」で、戦う力を持った男の気持ち、そして妹との関係を中心に描く。
 どちらかに固定した方が、ドラマ慣れしない視聴者には分かり易かったかと。

 ライダーの歴史に残る、傑作になってくれる事を期待。



『タクティカルロア』04.「Kのある風景」

 ツッコミ所が一杯。
 漂介がすぐ船に戻ってきたのは都合上仕方ないとして(しかし、一度去らせる意味が無いなあ…)、その際に持ち込まれた機器により娯楽スペースが圧迫され、遊具を置いておく場所がなくなった…って事だけど、見る限り艦内ドコもかしこも余裕だらけのような。
だだっ広い廊下の端に置いても構わないぐらい。
 寝る場所を失った漂介を、女性キャラ達が争って自分の部屋へと招こうとする。
彼で遊ぶつもりなのだろう双子と、メガネのチビっ子ぐらいはともかく、他の女性陣に好かれる要因って何かあったかなあ?
特に活躍した訳でナシ。
彼の所属する会社が超一流企業であり、皆 玉の輿を狙っているとか?
女ばかりの船なので乗員は酷く男に飢えている、だから、もう相手が誰であっても自室に引きずり込みたい気分なのか?
 姉、という事が明かされた艦長と、弟・漂介が一室で一夜を過ごすや、「何かあったに違いない」と興味津々な所を見ると、欲求不満で ちょっとアタマが変になってる可能性が高い…?

 ご想像に応え、倒れた拍子に ちゅーなどしてしまう姉弟。
…古い演出…という部分は自分の首も絞めそうなので不問。
 二人の関係は、実の姉弟か義理か。
どちらかだけが過剰な気持ちを持っている…訳ではなく、双方 男女の仲を意識しているようなので、まあ常識的には「義理」になるのかね。
 お仕事相手である少女副大統領から、出会い頭に ちゅーされてしまう艦長。
彼女の国ではごく普通の挨拶なのか、見てイキナリ艦長が気に入ったから取った行為か…いや、まあどっちでもイイけど。

 「萌え」なアニメをやりたい、それにはまず周囲の女性キャラから主人公がモテモテになる事だ!…という「気持ち」あるいは「中途半端な知識」だけが先行しすぎ、そこに到るために必要な段階を僅かにも踏んでいない。
 弟の前で優しい顔を見せる艦長に対し、乗員達が「あんな顔もするんだ」と驚いて言っていたが、常に無表情な鬼艦長だというならともかく、二話のラストでは わあわあ泣いていたのだし、今更。
ココに限らないけど、キャラ勝負であろうアニメの割には、その捉え方が全然甘い。
真面目に魅力を付加しようと考えているのかどうか。
 それは、多くの部分について厳しく問われない「萌え」作品としても(だからこそ)、致命的な欠陥だと思うが。


2006年1月28日 土曜日

『ガイキング - LEGEND OF DAIKU-MARYU -』10.「ルルの危機!海底の恐怖!!」

 レギュラーキャラクターの設定を紹介する話が続く。
 それぞれトラウマを設定し、それを解消するようにバトルを組み立てる…工夫してあって悪くないと思うんだけど、何というか、普通だなあと贅沢な感想。
年少の視聴者に向けた作品なのだから、変にヒネらず素直に構成して正解なのだろうが、年寄りオタクには、そのストレートさが物足りなかったり。
 シリーズ構成の三条陸が、最近 自身では脚本を書いていないことが原因?
あの人は、子供とオタクの両方を満足させられるストーリーを作り出すのが巧みなんだけど。



『ウルトラマンマックス』31.「燃えつきろ!地球!!」

 長官のウルトラマン変身ポーズで幕を開けた今回、ボケた様子の長官、手が込んでいるんだか間が抜けているんだかの侵略方法を見せる宇宙人、ダメダメなDASH一行、と、また お笑いエピソード。
「手を離すとは卑怯な!」とか、脱線ナレーションとかギャグが決まっており、それはそれで良いかな、と思っていた所…

 後半は、一転してマトモに。
十倍のスピードで突き動かされる事で生じる闇雲な体内エネルギーにより、ほとんどの人達は暴走し、すぐ燃え尽きてしまったが、元々パワーが足りなかった長官は「丁度イイ」とばかり元気になり、久々の大活躍を見せる。
 同年代、という事で、桜井浩子も大車輪の頑張りぶり。
 以前のエピソード一度きりの出演と思われた二瓶正也が また登場するのも、オールドファンには嬉しい。
…これはまあギリギリ、旧作に思い入れがない若い視聴者にも、「ああ、前に出たジイサンか」と思ってもらえば済む事なので、酷い楽屋オチでもないだろう。

 お年寄りの奮戦に励まされてか、カイトが主人公らしく、限界を超えて立ち上がるのが感動的。
「宇宙人に舐められっぱなしでいる程、人間は弱くないぞ!」という気概を感じさせ、マックスの力にただ頼るだけではない!カイトの姿勢を見せる事で、前回の内容と繋げてみせるのが周到。
 毎度、ダメになった隊員達を無表情に事務的に回収していくエリーも愉快。
迷惑ばっかりかける人間どもの事を、本当は どう思ってるんだろうなあ、というのは次回エピソードで?

 『マックス』のスタッフは、円谷の旧作品が本当に好きなんだと思う。
それはもう、時に思い入れが強すぎ、若い視聴者を置いてけぼりにしてしまうぐらいに。
 今回も、出来れば爺ちゃん婆ちゃんだけで宇宙人を倒させて上げかったのではなかろうか?
 長官の盆栽が花を咲かせているシーンで、「(最後に)一花咲かせる」という言葉がふと浮かんでしまった…って、それは失礼か(^_^;)。



『半分の月がのぼる空』02.「多田コレクションの相続」

 一話はまだ、「病弱な彼女を連れ出して山に登る」という大きなイベントがあったが、今回は、せいぜいで「エロ本を彼女に見つかって怒らせてしまう」ぐらい。
 あるのは、病院での日常。
それなのに30分、引き込まれて見てしまうのが不思議。

 里香…感情的になっている女の子の所行とはいえ、まだ病人である男の子を、雪が降る中、屋上に夜まで閉じこめておくのは酷いなあ。
ヘタしたら「死ぬ」って話では?
ここはまあ、コミカルな描写に乗せて軽く流す所なのかも知れないが、今回最初で「無理をして熱を出してしまう主人公」を見せている事もあり、ちょっと無茶なイベントに感じてしまう。
 ドアを閉めた時、偶然モップが倒れてくるなどして内側からの つっかい棒になり、主人公は閉じこめられてしまう。
後でその「事故」を知った里香は、すぐ謝ろうとするが擦れ違い…ぐらいにしても良かったような。

 そもそも里香、男の子がエロ本を持っていたぐらいで そんなに怒らないでも。
高校2年生ともなれば、その程度の「穢れ」は許せるようになるモノかと。
幼い頃からの入院生活のため、現実の男の子に免疫がないのと、「本を読む」という事に特別な思い入れを持っているせいもあるのかな。

 看護婦・亜希子は相変わらず良いねえ。
主人公を馬鹿だ馬鹿だと罵りながら、認めている様子なんかが。
 看護婦を、ベタっと優しかったり、天然ボケであったりのキャラクター付けで魅力的に見せるのは、割と簡単だけど、表面冷たく、厳しいのに なお良いキャラに演出できるのは、大したモノ。
 新たに登場した医師・夏目。
なかなか、屈折したキャラで面白い。
 彼がどのくらい悪辣にドラマをかき回してくれるのか…と思えば、次回予告では大泣きしてるが…


2006年1月27日 金曜日

『落語天女おゆい』04.「落語天女おゆい登場!」

 メガネの女の子・妙が、急にガックリ落ち込んだのに戸惑う。
リアルに考えれば、突然、訳も分からず江戸時代に連れてこられ、お前達はコレコレこういう存在だから江戸を守って戦ってくれ、と言われて、ハイそうですかと納得できる、彼女以外のキャラクター達の方が異常なんだけど。
 ナニが常識で、ナニが非常識なのか、よく分からない作品だからなあ。

 さすがに、「縁もゆかりもない江戸時代の人々を助けるため、リスクを背負ってその時代に残り、危険を冒してまで戦う」理由らしき物ぐらい、提示して欲しいかな。
「先代天女達が、現代天女達の先祖。だから、先代に異常があると現代の彼女達は存在できなくなる」とか、もっと大きく『バック・トゥー・ザ・フューチャー』のように「魔物により生じた損害により歴史が曲げられ、現代が悪い方向に変えられて行く(何らかの手段でそれを知る)」とか、嫌だけど戦うしかない、と思わせる理由付けがあっても。
 どうせ お気楽なアニメ、深刻ぶらない方向もアリ。
『犬夜叉』をパクり、現代と江戸時代を簡単に行き来できる事にして、放課後、クラブ活動感覚で戦うだけなので悩む必要ナシ、ってぐらいの位置付けでも良いような(それは源内のタイムマシンで可能に?)。

 屋台で、寿司を大喜びして食べる唯。
そのヨロコビが生じた理由について、「経済的理由から、彼女は寿司を余り食べたことがなかった」からなのか、「環境汚染のない江戸時代の食べ物は、現代とは段違いに美味しい」からか、「たまたま食べた屋台が、凄く美味しい店だった」のか、きちんと説明されないのはマズい。
 町の人々を屋台に引き付けるにしても、単においしいおいしいと騒いで食べるだけでなく、「言霊使い」の落語家らしく、工夫した表現で味を伝えて欲しかった。
「味の黒船来航や〜!」「寿司の解体新書や〜!」とか、彦麻呂みたいなコトを言う必要はないと思うけど。


2006年1月26日 木曜日

 レンタルで映画『ヒノキオ』を見る。
 監督は、映画『FINAL FANTASY』や『河童』、ちょっとナニな所では『ノストラダムス 戦慄の啓示』などにCGディレクターやスーパーバイザーとして関わった、秋山貴彦。
これが初監督作品になる。
 心に傷を持ち、外に出られなくなってしまった少年が、自分の操作するロボットでバーチャルに、クラスメートらと関わっていく。

 「初監督作品」らしい映画。
とにかく面白い物を作りたいという大きな気負いがあったのだろう、色々と詰め込みすぎ。
 ロボットを通し、少年が、ある少女と出会う、ちょっと変なコミュニケーションから生まれた物語だけで映画一本、もったと思う。
 しかし…実際は、ロボットが作られた背景、少女に起こる大きなイベント、そして、不可思議なネット・ゲームが大きく関わってきてしまう。
少女のイベントはラストに繋げるため必要だったとしても、ロボット製造の意図については、結局 曖昧なままだし、特にネット・ゲームの未消化さが酷い。

 少年が操作するロボットと、次第に引き込まれていくネット・ゲームは、どちらも「モニター越しに見る世界」であり、それぞれ現実にまで大きな影響を与え始める、という意味で、相互にテーマを彫り込む予定だったのだろう。
残念ながら必ずしもその意図は達成されておらず、ネット・ゲームの顛末は ご都合主義に思え、それに時間を喰われてしまったため、「ロボットを通してのみ成り立っていたコミュニケーション」から「現実での対面」に到る、最も大事なシーンの印象を弱めてしまっている。
 いや、ネット・ゲームのネタも、それはそれで面白くなりそうに思うんだけど。
勿体ないから、もっと時間を掛け、これだけで映画一本 作ってしまうぐらいの気持ちで、もう一度アプローチした方が良いかと。

 中村雅俊 演じる主人公の父…
「仕事は出来るが、親としては頼りない」人物像だったのだろうけれど、役者さんのイメージとして「頼り甲斐のある人」としか見えず、ミスキャスト気味。
 同級生少女を演じた多部未華子も、とても男の子には見えないが、まあこれは可愛いのでオッケー。
 少年少女が(役者の実年齢により)小学生に見えなかったりする所は、ご愛敬。

 と、様々に不満はあるけれども。
見終わった気分は、爽やか。
 ヒネくれず、少年と少女の感情が変化していく様子を丁寧に描いているのが、ポイント。
 ゲーム感覚で操作する事で可能にした、ロボットのドラム演奏や超絶格闘技シーンが愉快。
ここいらはアイディアだなあ。
 ラストシーン…漫画やアニメでは割と お約束な展開だけど、やっぱりこういうのは嬉しくなってしまう。

 「涙が止まらない」というほど大袈裟なものではないが、胸にジンと来る感動があり、一生懸命なスタッフの姿が画面の裏側に透けて見える、気持ちの良い映画。



『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』03.「はずむの心、やす菜の心」

 はずむ、というキャラを、可愛く感じないのか?魅力がないと思うのか?といえば、そんな事はなく。
イイ子に描かれているし、無自覚に色気を振りまいたりしている様子も、悪くない。
 でも…何というか、「異質な姿に変わってしまった事の面白さ」が、やっぱり不足しているように思ってしまう。
 その立ち居振る舞いは まるっきり、生まれつきの女の子。
お約束だけど、「トイレでオロオロ」とか「仰向けに寝ると胸が重い」とか「ナンパされ、反応に困る」といったような戸惑い・困惑が描かれていないので、物足りなさにコチラが戸惑ってしまう。

 ある日 突然に超絶の存在から力を与えられ、スーパーヒーロー(ヒロイン)に変身できるようになった主人公が、その初めての変身からオノが異形の姿を普通に認識し、失敗無く、超能力を全開にして戦っているような違和感。
 ああ、でも考えてみれば、「女というものの強味・あるいは弱味」を学習していく様子を描くと、意図せぬテーマや思想を読み取られてしまう恐れがある?
…そんな深い話でなくとも、『ドラえもん』の「入れかえロープ物語」程度の見せ方で良いんだけどな…
 『ガンダム』アムロが「モビルスーツに乗った状態こそがナチュラルであるニュータイプ」であったように、はずむは「女性の姿の方が生き生きとするような性質を生まれつき持っていた」?
だから戸惑いなど無いのか。

 そこいら、個人的な拘りを忘れて見れば、今回は やす菜が抱える精神的な病と、その心を優しく・強引に開かせる はずむのアクティブな行動が丁寧に描かれており、気持ち良く見られる話だった。
 次回ぐらいからは、「元男であった特異性が薄くて云々」というような辺りを、割り切って見られるようになるだろう、と思う。


2006年1月25日 水曜日

『LEMON ANGEL PROJECT』03.「I will」

 芸能界物として、最近では余り見られないぐらいにベタな、垢抜けない内容。
 先代レモンエンジェルが、プログラムの中だけに存在するデジタルな存在だったのに対し、次世代エンジェル候補の一人は、ヤクザみたいな社長が経営する芸能プロダクションに所属しており、契約に縛られる奴隷のような状態を解消しようと、ヒロイン共々事務所に乗り込み、社長の股間を蹴り上げて契約書を奪い取り、その場でビリビリに破いて自由を得る、という、ビックリするぐらいアナログな少女。

 しかし…ヤクザ社長、事務所に置いといても、所属少女は大して金を稼げないんだろうに。
巨大プロジェクト(なんだよね?)であるレモンエンジェルに参加させるため、自分ちの契約を解除する条件として多額の違約金を受け取るなどした方が、効率良いような。
もしくは、彼女が今後 稼ぎ出す金額の一部を受け取れるような、有利な契約を新たに作るとか、もうちょっとアタマを使うべき。
 悪いヤツをやっつける爽快話にしたいのかも知れないが、敵役が『水戸黄門』悪代官並みの古い描き方で…

 とは言え、この場合の「古い」というのは「手堅い」という意味でもある。
誰が見ても理解できる お話で、ヒロインとメンバーの友情成立を、分かり易く描いていた。
 ただ…ここまで見てきて、ヒロインの素人声に慣れた事もあり、良くも悪くも見続ける価値を感じられず。
もう少しだけ見てみようと思うが、何か大きな仕掛けでも現れてこない限り、視聴脱落になりそう。



 レンタルで映画『ランド・オブ・ザ・デッド』を見る。
 監督は、今日のゾンビの生みの親、ジョージ・A・ロメロ

 あー、あー、うーん、なるほど。
余り芳しい評判を聞かない理由が、分かった。
 一番問題なのは、怖くない、という事であり、この映画に出てくるのはもうゾンビではない、という所だろう。
 ゾンビの恐ろしさは、「既に人でないモノが、人の姿をして迫ってくる」所にあると思う。
しかし、ここで出て来たゾンビは、生前の記憶に沿って楽器演奏の真似事をし、彼氏彼女で仲良く歩き、銃器を使い、リーダーを立ててグループの危機を切り抜けさえしてみせる。
 その溢れる「人間性」のため、逆に「普通に生きている人間が、人でないモノのフリをしている」ように見えてしまう。
つまりそのまま、「演技でゾンビをやっている人」に。

 ロメロは、頭の中で色々とシミュレーションし、かつてのままゾンビを見せては工夫が足りないと感じ、この「進化した」見せ方をしたのだろうが…
観客が見たかったゾンビ像とは、必ずしも合致しなかったのでは無かろうか。
 この映画は、社会情勢を反映し、様々なことをテーマとして描いてある。
ゾンビの描き方の変化は、それに伴うものだったのかも知れない。
 でも、結果、恐ろしさも、哀しさも非常に薄くなっている。
全力疾走ゾンビを反則技に感じた『ドーン・オブ・ザ・デッド』の方が、正統派に思えるぐらい。

 面白いところも、勿論ある。
 首の皮一枚で繋がっているゾンビの不意打ちは、これまでに見たことがないパターン。
打ち上げた花火に ぼんやりと見入っているゾンビ達は、ちょっと切なくて良いイメージ。
行く手を川に阻まれたゾンビ達が取る渡河作戦には、笑ってしまう。死んでいるからこそ取れる手だなあ。
 強力な装甲車は楽しかったんだけど、無敵のままで終わらせるのは…不満。
 嬉しげに悪役を演じているデニス・ホッパーも見所だったが、憎々しいにせよセコいにせよ、もうちょっとアクの強さが欲しかったところ。キャラクターとしては「よく居る悪役」としか言い様が無くて。

 主人公を、しがらみが無く、守るべき物を持っていないキャラクターに設定したため、喪う危機感や悲しさが演出できていない。
 人間関係にしても、映画が始まった時より、エンディングの方が多く得ている、というのはホラーの中で異色だろう。
後味が良いとも言えるけど、ゾンビ物としては、どうかなあ。
 単に「ゾンビ・ホラー」が見たかった人間には、不満が残る出来。
テーマを読み取れる人間には別の楽しみ方があるかも知れないが、そういうのを求める人間は、そもそもゾンビ映画なんて見るのかどうか。

 しかし…メイキングで、すっかりお爺ちゃんになったロメロ監督が、実に楽しそうに采配を振るっている様子を見ると、もう「生きて、元気で、新作を撮ってくれただけで、ありがとうございます」と思わないでもなかったり。


2006年1月24日 火曜日

『練馬大根ブラザーズ』03.「俺のお注射お尻にクラッシュ」

 回を重ねて、楽しくなった部分と、そうでない部分がある。
 楽しくなってきたのは、「使っちゃいなマネ〜」の曲など、お馴染みの歌がヘタすると歌えるようになってきて、独自のノリについて行けるようになってきた事。
毎回のパターン…何か悪辣な事をやっている連中と関わり、レンタル屋で武器を借り出して退治、でも結局お金にならないで終わる…が分かり、回ごとのバラエティー性を楽しめるようになった事など。

 マイナス部分は…
 ストーリーらしきモノは無い、どたばたギャグ作品なので、「パターンが読める」というのは「飽きる」という事と直結しやすい。
前回のように、「悪いパチンコ屋、経営は韓国人」というような反則ネタでも使わない限り、吹き出させるような笑いを取るのは難しくなってきている。
実際、今回の病院ネタは、まあ「普通」であり、全体として楽しげな雰囲気を出せてはいるが、何度笑えたかというと…少なくなっていないだろうか?
まだ三話目だというのに、これはちょっと厳しい。
 「ミュージカルにする」というのが、「発想を飛ばせる要因」よりも「制約」になっていないだろうか?
ギャグは、意表をつく、という事でもあると思うんだけど、「ハイ、ここいらでまた歌ね」と読まれやすくなっているような。

 いや、厳しい事さえ言わなければ、作画のレベルは高いし、無理矢理にでも画面のテンションは上げられているし、小ネタは楽しいし、で、悪い作品とは思わないんだけど。
 頑張って、時間を掛けて作られているアニメだろうから、「まあまあ」ではなく、「スゲー!」と言いたい・言わせて欲しいと、欲が出てしまう。



『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』03.「苦しい仕事」

 第一話を見た限り、もっと地味に推移するアニメになるかと予想していた。
この辺りでの出動はまだ、「事故があったとの連絡を受けて現場に赴いたところ、誤報で、ガッカリしたり安心したり」ぐらいの拍子抜けで終わり、地震による大被害が…なんてのは、せいぜいシリーズのクライマックスで起きるか起きないか、かと。
 日常で描かれる職場のドラマや、訓練風景、恋人とのすれ違いでも、十分もたせられる丁寧さが あったと思うから。

 これだけの非常事態に際して、主人公が割と的確に対応できているのが何とも。
新人なんだから、もうちょっと戸惑ったりミスしたりして良いような。
それだけ優秀な人材だった、って事か?
 嵐の中、上官がヘリで艦船に着艦するシーンにしても、とても高度な技術が必要なんだろうと想像は出来るものの、割とアッサリ決めてしまうので、かえって「凄腕」が伝わってこない。
「本当の名野球選手は、ファインプレーをしない。あらかじめ球の飛んでくる位置で待っているから」というような理屈?

 助け出した少女は結局…
ここ、かなりショッキング。
レスキュー物として、一番最初の救出劇では、なかなか起こさないイベント。
 主人公の動機付けとして、「隊に入る前、少女を(妹を、とか)助けられなかった」というのをトラウマに設定するのは、割とアリガチだけど。

 遺族に謝りたいと病院に残った主人公は、もし対面していたら何を言っていたのだろうか?
特に大きなミスがあった訳では無し、遺族から「あなたのせいではありません」と許しの言葉をもらいたいのか?と、本郷も厳しく言って良かったような。
そう言わない辺りが、鬼上官の、まだ甘いところなのかも知れない。


2006年1月23日 月曜日

『魔法戦隊マジレンジャー』46.「湖へ向かえ〜ゴール・ゴル・ゴル・ゴルディーロ〜」

 毎回 面白いんだけど、連続物っぽい色合いが強くなってきたもので、感想が書き辛かったり。
 お母ちゃんが生きていたのはともかく、お父ちゃんまで健在なのは善し悪し。
死んでいた方がドラマ的には深かったような…と思うけど、子供向け番組だという事を考えれば、生存を選んで正解なのかな。
冥府神を一閃する、そのデタラメな強さは気持ち良い。

 ティターン、本当に良い奴だったのね。
と見せてギリギリで邪悪な正体を現し…ってパターンかと疑ってた。
あんな悪い連中に混じり、よくこんなヤツが生きてこられたなあ。
 スフィンクスのキャラクターが面白い。
ただ悪辣なだけではなく、しかし勿論マジレンジャーの味方でもない、自分の考えに基づいてのみ行動する辺り。
マジレンジャーが勝利を収め続けられる理由を問い質す、質問好きのスフィンクスらしさが楽しい。
それに、ただ言葉だけでなく、行動で答える(応えさせるシチュエイションを設定する)巧さに感心。



『タクティカルロア』03.「微笑と素顔」

 うーん、軍内部は腐敗しており、ヒロインらが所属する組織にもロクデナシが沢山いる、って事なのかな。
軍は前回、捉えた敵艦乗員を、基地に対する破壊活動をオマケに付けて脱走させてしまった事からすると、腐敗というより単に酷く無能なような。
その敵艦にしても、主人公艦の さほどとも思えない戦術でアッサリ撃沈されてしまう程度のアタマ…
 要するに、主人公達以外はアホ、という世界観?

 会議の顛末はよく分からなかったが、つまり、マズい事の責任がヒロイン達に押し付けられるなら、軍のマズい部分も明るみに出しますよ、と交渉(脅迫)したって感じ?
 それにしても…事件に関連して、軍内部の人間でもないヒロインを理由付けて退職に追い込もうとしたら(退職を推進しているのはヒロイン社のオッサンだが)、自棄になり「全部暴露してやる!」と考えられて当然では?
適当に理由を付けて表彰するとか、便宜を図ってやった方が、逆に沈黙を守らせ易いかと。
 あの会議(聴聞会?)は、ヒロイン社の人間も出席していたみたいだけど、オープンなもの?
それなら、「軍の艦が乗っ取られていた」というような発言が成されること自体、マズいでしょ。
 クローズドなものだとすると、反証とした入国管理局の記録(急に、こういうものがあると言われても…)にしても、「どうとでも揉み消せる」とか「それを発表したら、仕事以上の物を失うかも知れんよ」と脅すとか、言い抜けようはあったろうに。

 艦長が会議で吊し上げられている間、ひたすらビーチで遊び呆けるクルー達。
「艦長を信頼しているから」って事かも知れないが…旧型艦(なんだよね?)を効率よく運営する才能ある人間達のはずなんだから、実は密かに会議をひっくり返す情報を収集していた、というような周到なドラマが見たかった所。
 敵艦との交戦データ、その乗員を撮影したものや、軍基地が破壊される様子(犯人も)を写したディスクなどなど、会議に出せる証拠はあるはず。
浜辺で遊んでいるように見せて、それらデータを、乱暴に扱うビーチボールに突っ込んでおくなどして、必死で探し求める軍の情報部から巧妙に隠し続けていたとか、「やるなあ!」が欲しかった。

 …と言うような細かいストーリーより、女性キャラの水着全開、無駄にエロなシーン バリバリ、って訳で、サービスを充実させる方向を重視しているなら、それは出来ているので、構わないのかな。
 それならそれで、話に凝っている「フリ」をするより、悪辣な軍の上層部オッサン達を、女性乗員達の巨乳でもって挟んでグリグリして懐柔し(あるいは その写真を撮って脅し)、危機を回避しました、というぐらいの展開の方がバランスが取れているような。


2006年1月22日 日曜日

『魔弾戦記リュウケンドー』03.「走れ!百獣の王」

 どっかの町だけの平和を守るヒーロー…という作品コンセプトは、当初はスケールが小さくなりそうで感心しなかったが、考えてみればライダーも戦隊も「危険な事態が起きている」事を すぐ察知できる程度の範囲しか守備していない訳で、同じ事なのか。
 今回は、この作品の特異性を、分かり易く映像にしてくれた。
ヒーローが格好良くメカを呼びつけるシーンで、スグ後ろに ご家庭の洗濯物が干されているのには、笑ってしまう。
ああ、ご近所の平和を守ってるんだなあ。
 家々の庭先を横切って警察署まで近道しつつ、四十過ぎた「林さんちの引きこもり息子」を心配する婦警コンビも。
…イイ子達だとは思うけど、今、そんな場合かなあ?

 「よしのぶ君(ミニパトの名前)…」「(巨大メカに対し、バイクで)幅寄せでも何でもして足を止められないの?」「キサマら!その若奥さんを離せ!」「(敵幹部が逃げていきながら)あ〜危なかったぁ」
調子ッぱずれの変なセリフが実に楽しい。
 ちゆ12歳に、『ガオレンジャー』放送時のごとく突っ込んで頂きたいぐらい。

 アホな話ながら、町の人達のために頑張る婦警二人の姿や友情は、なかなか感動的。
 「ジャマンガに対し、まるでやる気がない警察」ってのも、情けないと思うけど、警官が持っている程度の拳銃では敵に何のダメージも与えられない、というのを何度も見せられると、仕方ないのかと思える。
どうせ戦っても無駄なのなら、上層部が、警官に対して発砲を規制するのも分かる。
その確認をオチに持ってくるシナリオのセンスには、感心。

 一応はヒーロー物で、三話目にして早くも こんなに緩んだ話を持って来て、構わないのかどうか、笑いながらも不安になってしまう。
せめて最初ぐらいは、敵の恐るべき強さ、極悪非道さを、もうちょっとアピールしても。
 でもまあ、基本はコメディーなのだろうから、これで良いのかな。



『交響詩篇エウレカセブン』39.「ジョイン・ザ・フューチャー」

 突然のサッカー…フットサル話。
 面食らってしまったけれども、キャラクター達も、ノルブの意図を疑わないホランド、楽しんで(途中からは悩んで)しまっているレントンとエウレカ、以外のメンバーは同じように戸惑っていたので、見易く。

 パスが出せないレントン。
そういえば、他者に上手く悩みを相談したり出来ないキャラだったなあ。
 その気持ちをエウレカが上手く開き…というシーンより、ホランドへの連続「俺を踏み台にしたぁ〜っ!」アタックを経てのダブル・シュートをこそ、クライマックスに設定しているように思えた。
 ノルブの意図は、下らないが楽しい思い出を残させ、生きている実感を持たせる事で、「死んでもやり遂げる」気持ちから「生きて帰ろう」へと、心の向きを変えさせる事か。
 頑張って裏読みをする必要がないバカ話で(作画的にも少し息を抜いている印象)、気楽に見られ、きちんと作られている最近の話に混ぜるには、こんなのもまた良し。



『仮面ライダー響鬼』最終話.「明日なる夢」

 冒頭の、「一年後」にブッ飛ぶ。
ああ、オロチ封印戦は、作品にとって さほどの意味は無かったんだ。
 明日夢が鬼の弟子になる展開なら、ここをクライマックスに据えて じっくり描いても良かろうが、別の人生を歩く、という事なのだから、一通加点となってしまっても仕方ないのかな。

 明日夢って、医者になりたかったんだっけ?
パネルシアター少女の病気を救いたい、という気持ちが、その進路を選ばせたのかも知れないが。
 もう少し早くから、医者を志す切っ掛けや経緯を描いて欲しかったところ。
ブラスバンド部に所属していたが辞め、鬼の弟子になろうとしたがこれも辞め、今は医者志望、とフラフラしているだけに見え、感心しないから。
…まあリアルには、高校二年生ぐらいで将来の進路をカッチリ決められる人間ばかりではない、とも思うが。
 病弱少女が、今回は影も形もないのも、気になる。
絡ませれば、進路の選択に説得力が増したろう。
 ただでさえ詰め込みすぎの最終回なんだから、「土手から落ちかけている子供を助ける」エピソードは必要ないような。
成長を描いており、もちろん無意味ではないんだけど、唐突だし、電話かけて一分ぐらいで助けに来てくれる桐矢も何だか(たまたま近所を通りかかった桐矢を、もう一人の子供が呼んできた、で良いかと)。

 桐矢…割と好きなキャラではあるが、最後まで これまでの人生への深い反省も後悔も新生もなく、相変わらず明日夢に嫌味は言うし…という成長の無さは頂けない。
命懸けで魔化魍と戦っていたし、明日夢の医者志望を認めたりと、そりゃ全然ダメな状況からは抜け出しているんだけど。
 ドラマとしては、「コイツになら次世代の鬼を任せて安心」と思わせてくれるに足るイベントが欲しい。
 「学校へ行く事も必要だ」とヒビキが言っていたのに、結局 行かなくなってしまった、という扱いは宜しくないなあ。
 常人には不可能なほど厳しい修行、が見せられていないので、彼の鬼化に違和感。
やっぱり、「ちょっと厳しい運動部」程度の特訓で、鬼になれる?
 「桐矢は、体力的には鬼になれる状態にあったが、精神的な『鍛え方』が足りていないため変身できずにいた」というのを最終回の状況に設定し、明日夢との関わりを通じて、初めて変身して見せるとか。
シリーズ後半は二人の関係が大きく扱われたのだから、明日夢も、その姿を見て、改めて自分だけの道を確信して良いはず。

 もう主人公イベントを経験したトドロキはともかく、シリーズ最大の見せ場をヒビキに奪われ、香須実との仲も どうなったんだか分からないイブキの扱いは、憐れ。
 あきらは…福祉関係に進む、という事で、まあ悪くない未来だろうか。
 ひとみと明日夢は、最終的にくっつかないような気がするなあ。まあそれは主観の余談。
ザンキの役者さんのオールヌードにもだけど、ひとみも、水槽に(多分、割と長く)浸かるのは、役者根性の表れか。偉いなあ。
ところで、ひとみは水槽で何をされようとしてたの?
 洋館の男女、どういう謎解きを見せてくれるのかと思えば、何も説明しないばかりか更に彼らを上から操っているらしい洋装の男女が登場し、混沌とさせてみせる、開き直りとも思える ひっくり返し方に、驚いた後、大笑い。
まだまだ、黒幕の黒幕の黒幕の……男女が、果てしなく居そう。

 ヒビキ。
明日夢を、出逢った時から自慢の弟子だと思っている、というセリフは とても良く、ホロッと来る。
彼と明日夢の関係は、この詰め込みすぎた最終回で、満足がいくほど…とは言えないが、何とか描ききったように思える。
 ただ、明日夢の生き方を認めるのなら、最後は「ついてこい」じゃなくて、「同じく人のために在ろうとする者同士、頑張って、鍛えていこう」というぐらいの言葉が良かったような。
「一緒に頑張ろう、迷った時にはいつでも相談に来てくれ」といった意味だったんだろうが。

 全体に。
 製作裏の話も色々聞くので、簡単には言えなくなっているんだけど…
あえてそれを無視して、番組だけを見てきたファンとして言うなら。
 途中からの大きな方向転換が、残念。
前半・後半どちらかが、酷く劣っているというのではない。最初から最後まで路線を貫いていたなら、どちらの作り方でも特に問題は感じなかったろう。
宮崎アニメが途中から押井アニメに変わってしまったような、『Zガンダム』がシリーズ半ばで『∀ガンダム』になってしまったような(互いに入れ替え可)、それでは どちらかに優劣を付けるという問題ではなく、違和感を感じ、変更を歓迎できなくなって仕方ない。
 頑張ったスタッフにとっても、それは決して幸せな事ではなかったはず。

 勝手な、本当に勝手な視聴者の意見としては、たとえ番組が崩壊しようとも、最初の路線で最終回まで見せて欲しかった、と思う。
 ただ、前半のスローペースでは描けない可能性があった地点まで後半の加速で到達する事が出来、後半の全力疾走では物足りなかったろうキャラクターの内面が前半の積み重ねで補填される、意外に幸せな作品形態だったのかも知れない、と思う事もまた あり、フクザツ。

 『ネクサス』の不本意な終わり方で、ウルトラシリーズの方向性を大きく変える試みを今後 実行し辛くなったように、この『響鬼』の路線変更も、仮面ライダーの未来に制限をもたらす可能性がある。
 でもまあ、ウルトラも『マックス』で相当に変な事をやっているし、ライダーだって、スタッフの志さえ無くならなければ、まだ どんな事でも出来る素材ではある。
 次は、何を見せてくれるのか、『カブト』に期待。


2006年1月21日 土曜日

『ウルトラマンマックス』30.「勇気を胸に」

 好き放題やり過ぎなシリーズだねえ、というコチラの感想を見透かしたかのように、まっとうなウルトラ話。
 因縁のある怪獣との厳しい戦いを前に、自身がDASHに入ろうと決意するに到る経緯を語るカイト。
…これは、もうちょっと早く見せておけば良かったエピソードかも。

 マックスでさえ苦戦する、強化された怪獣ラゴラスエヴォ。
怪獣は、二つの光線(熱と冷凍?)を合わせる事で、より破壊力を増した攻撃を仕掛けてくる。
 今回は、この「二つの力が合わさる」というのをテーマにしていた。
 ショーンだけでは挫けそうだった、カイトだけでは迷いが出ていたのに、二人が語り合う事で、怪獣をも倒す力が生まれていく(それも、二機の攻撃を合わせる、というもの)。
 家族を亡くし、DASH試験にも落ち、失意の内にあったカイトが、マックス(本来の任務は観察員であり、怪獣と戦う事ではない)と出会う事で、地球の守護神が誕生。
 マックスと、DASHの連携があるから、強力な怪獣とも戦える。

 今回は(今回に限らないけど)ミニチュアワークを頑張っており、戦闘機と怪獣が対峙する場面の見せ方など、なかなか楽しかった。
 マックスはいずれ地球を去る、という伏線が引かれた事で、クライマックスへと向かう物語に勢いが付いたと思える。

 …こんな簡単なのに、これまでカイトとマックスは話した事ないの?とか、カイトが悩み出すのが唐突(家族を亡くしたのと重なるシチュエイションに直面するなど、扱いようはあったろう)、とか、上げれば不満もあるけど、ウルトラシリーズとして正しい方向へと帰ってきた事は、評価するべき。
 と、思う間もなく、次回はまた すっ飛んだ話になりそうな予感(笑)。
それはそれで、ヒネたオッサンには楽しみだったり。



『落語天女おゆい』03.「走れ!唯 妖魔を倒せ」

 予想した通り、第一話時点で江戸時代にタイムスリップしたキャラクターが居るため、ヒロイン達が遅れて来ても、インパクトは皆無。
どうして、主人公キャラに まず異変を体感させなかったのか、意図が分からない。
 セーラー服がキテレツな服装と思われ、同心達に追われて隠れていたのに、すぐ後になると平然と外に出てソバなど食べている、この緩み方も、どうだろ。
喋るタヌキ(人間界に修行に来たとか)が普通に町を歩いており、しかもその存在は特に隠さなければならないモノではないらしい、という事で、何でもアリの世界なんだろうとは思うが。
 だったら、最初に同心に追われるシーンは無駄だなあ。
「何だ お前ら、河原乞食か?それは出島から来た服か?」ぐらい軽く扱われた方が、バランスが取れていたかと。

 まあ、そんな細かいことなど、「やぶら小路のぶら小路」(落語「寿限無」の一節)を唱えて掌から光の球を撃ち出す、色んな意味で凄いバトルの前では、無意味かな。
「お目出度い陽の気を練り込んだ言霊で攻撃」というような理屈らしいが。
言葉として、ココだけを選び出した理由は何?
修行を重ね、「寿限無」の長い名前全体を高速言語の如く唱えられれば、更に攻撃力を増すことが出来るのか?(笑)
 しかし、凄まじく脱力する見せ方…今後の戦いが不安になるばかり。

 火焔太鼓の価値を見抜く江戸オタク少女のように、落語のエピソードと、現代の知識を持つキャラの優位性を絡めた展開がもっと出てくれば、面白いかも。
 唯達が小銭を稼ぐ際にも、単にケンカを見せるのではなく、何かそういった拘りがあると良かったな。
富くじでも当てさせ、唯のリアクション芝居を見せるとか。


2006年1月20日 金曜日

『マジカノ』03.「危険な兄妹ってマジですか」

 原作の2話分を30分に まとめた内容。
ただ、原作では出ていなかった生徒会長を無理に混ぜており、まあそれ自体は良いとしても、上手く絡ませられていないのは気になる。
願望を具現化する夢の世界で、彼女のパートだけ繋がりが変になっていたり。

 ヒイキしている長女の性格が、余り魅力的に描けておらず、残念。
いや、基本的には原作通りの行動を見せるのだけれど、アニメの製作スタッフは、どの辺りを強調し、どこを略すれば「良さ」を伸ばして伝えられるか、掴めていないような。
ただガチャガチャとウルサイ キャラでは、ないのに。
 相変わらず「筋トレ好き」という、アニメ独自の嗜好を発揮し、しかし そこにほとんど意味がない次女も、気になる。
原作を変えてまで入れた設定なのだから、活かさなければ。
このままだと、体育祭ぐらいでしか使いようが無さそう。

 早くも作画が崩れて来たのは、残念。
 別に自分を原作絶対主義者とは思わないが、上手い変更点や、動く事でより魅力を増しているような部分は見受けられず。
これ以上 見続けても、「原作と比べてアレがダメ、コレもダメ」しか言わなそうなので、ここまでに。



『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』02.「彼女は彼女であることを自覚した」

 驚くぐらいにアッサリと、自分が女の子になってしまった事実を受け入れる はずむ。
…つまりは、元々女性として産まれたかった、というようなジェンダーな悩みを抱えているキャラクターだったのか?
 それにしては、第一話で女の子に告白していたようだけど。
「女の子同士」「百合」な気分で付き合いたかった?
 あるいは、告白した相手である やす菜に拒絶された事で、男としての心に大きな傷を負ってしまい、女性になれば逃避が出来ると考え、体の変化を歓迎したいぐらいの気持ちになっているとか?
当の やす菜と会っても、特に動揺もしないみたいだから、違うな。

 男の子であった時の はずむに、それぞれ好意と友情を持っていた とまりと明日太が、彼の性別が変わることで気持ちを互いに入れ替えてしまう。
その事への戸惑いが この二人にはよく表されており、感情移入も出来るんだけど…
 とにかく、当人である はずむの精神状態がよく分からないのは、辛い。
暑いからとスカートをバタバタしたり、明日太に膨らんだ胸を見せようとしたり…「生まれつきガサツな女の子」ならともかく、「急に女の子になってしまった大人しい男の子」の行動としては変なような。
男だって、余程のお調子者か露出狂でもなければ、教室内でパンツを見せて(見られて)平気な奴ばかりじゃないと思うよ。

 でもまあ、逆に言えば、そういう「イキナリ性別が変わってしまった男の子」を「あー分かる分かる」程度にシミュレーションした作品など、結構な数あるので、このズレ方が作品としての個性に結びついてくるなら、それはそれで良いのかな。
 昔は女の子に守ってもらっていた泣き虫の主人公でしたが、成長して性別が変わってもやっぱり泣き虫で守ってもらいました…というズレ方にしても、同じ。
普通、ココは、精神の成長や変化を見せる場面だと思うが。

 はずむを「お姫様」として扱う、だから彼女には成長する必要など設定されておらず、周りのナイト達が懸命に頑張る姿をこそメインで描いていく、というなら、こういう構成もアリか。


2006年1月19日 木曜日

『仮面ライダー響鬼』47.「語る背中」

 「金のおの、銀のおの」の劇中劇は、明日夢に向けられたものだったか。
「お前が見失ったのは、強靱な鬼に変身できるようになって魔化魍と戦い人々を守る夢か、一人の少女のためにパネルシアターを上演できる男になる夢か」と、問いかけられている?
 どちらも望まず、ただ「良い人間」になれるよう今を一生懸命生きる、というのが、泉の女神にお喜び頂ける模範解答なのかな。

 尺が圧倒的に足りないので、仕方ないとは思うけど…
最近の、鬼になるべく必死の修行姿勢を見せている桐矢と比べると、明日夢のパネルシアターは いかにも ぬるい。
 もっと感情を入れ、客を引き付けられる読み方が出来るようになるため、喉が嗄れるほど練習を続けるとか、そういう真摯さが表されないと、ヒビキや桐矢の決死の戦いと交互に映すには、ちょっと重みが不足しているように感じられてしまう。
そりゃ桐矢もブチ切れるわ。
 「決して、楽な道を選んだ訳ではない」と、流れ的には理解できるんだけど、画面からもそれが伝わってくると更に良かったかなあ。

 鬼としての響鬼の弟子は、桐矢だという事になるのかも知れない。
 しかし、迷いながら、鬼になるよりも大事だと自分で考えた方向に向けて生きようとする明日夢は、ヒビキの背中を見て育った、「人生の弟子」。
 ヒビキは、鬼である自分の使命や技術、ではなく、鬼になろうと思った自分の最初の意志(人助けをしたい)をこそ、受け継ぐ人間が現れてくれる事を望んでいたのだろう。

 ヒビキ…儀式は、どうあっても達成しなければならないモノだろうに、イブキとトドロキを置き去りにしては、達成が難しいような。
 話し合いでイブキに引いてもらうのは無理、と判断したのかも知れないけど、しかし…
次回、まだ何かイベントがある可能性もあるが、イブキ一世一代の見せ場を割と間抜けな形で奪ってしまったのは、罪深い(^ ^)。
 それと、この重大事に、他の鬼達は どーしちゃったの?
その他大勢的にでも良いから、参加して「総力戦」を実感させて欲しかったなあ。

 スーパー童子と姫に、反逆を起こさせた意図は?
「金のおの…」からすると、「欲を掻きすぎたが故の自滅」という事になる?
といっても、彼らは欲望に突き動かされていると言うより、自分達の内に目覚めた自我に戸惑い、何を求めているのかさえ分からず暴走していたように見えたので、その最期は哀しく。
 ああ、迷いながらも独自の道を進もうとする時、明日夢はヒビキに認められ、スーパー童子達は一顧だにされず抹殺される、という落差を描いているのか。

 「紳士と淑女」って、結局 何者?
時間的に、そこまで次回で明かされるとは思えないな…
 取りあえず、どのような最終回になるのか、見よう。



『魔弾戦記リュウケンドー』02.「燃えろ!炎になれ!!」

 やっぱり主人公は新任の警察官だった。
…そこに意外性を設ける意味は無いと思うので、前回、それらしい伏線なり引いておくべきだったのでは?
 今回は、警察署への初出勤、気力の感じられない警察上層部と、特殊部隊S.H.O.Tの紹介、という基本が抑えられ、非常に見易かった。
これが第一話でも、別に構わなかったような。

 ちょっとヒネったセリフや設定が楽しい。
 「オスが美しいメスを欲するのは本能です。だが、あなたに かおりさんの遺伝子は勿体ない」…コレが小学生のセリフか?とか。
 「魔法や魔物は、現代の科学では解明できていない。証明できない敵を倒すための法律が、国会を通過するとでも思うかね?」「我々の活動は、超法規的にならざるを得ないんだよ」
なるほど!超能力や呪いによる事件が起きても現在の法律では罪に問えないからなあ、と、何だか変に納得(^ ^)。

 S.H.O.Tの活動は一切 他者に知られてはならない、何故なら、それが警察組織に属するものだと公表されては、「法を遵守すべき警察が、法律に沿わず市民を守っている」事になり、問題にされかねないから。
活動予算にしても、「存在しない」部隊を維持しようというのだから、警察内アチコチの部署から ちょっとずつ捻出してきたモノを集めて、ようやく成り立たせている…のかな。
司令官が署内の掃除をしているのだって、閑職に回された昼行灯だという事に…正体は公然の秘密だとしても…一応されているからか。
 ところで、ヒロイン・かおりが植物に襲われる瞬間、カメラが七輪で焼かれているサンマの目玉に寄っていく演出は、どういう意図?いや、変で笑ったが。

 観光名所っぽくなっている警察署内、スリー・アミーゴスそっくりな警察上層部、などなど、『踊る大捜査線』を意識している所が見受けられる。
これが、「パロディー」として有効に機能するのか、「単に面白かった作品のマネ」に留まるのかは、今後の活かし方次第。
…でも、これきりで段々設定を忘れていく可能性も、あるな。



『タクティカルロア』02.「彼女の理由」

 迫る強力な敵艦に対し、護衛官パスカルメイジが取った行動は…
う〜ん、意外な作戦に出た、という事なんだろうけど、見せ方が上手くないせいか元々大して考えられた内容でないのか…そんな事ぐらいで勝てる?としか思えず。
 敵が間抜けで、何の警戒もせず突っ込んで来てくれたから勝てた、って事?
そんな戦い、面白いかなあ?

 後半、捕まった敵を助けるため その仲間が破壊工作を行う。
これがまた、ロクに状況の説明もないまま、唐突に話を進めていくため、見ていても危機感を感じられず。
 離陸しようという戦闘機?の前に立ちはだかり、自分も姉を助けたいと言い、連れて行ってくれない限り離陸はさせないとゴネる主人公の行いには、「必死さ」より「愚かさ」のみを感じてしまう。
そんな事をしている間にも、姉は生命の危機に直面しているかも知れないのに(事実、到着は危ないタイミングだった)。
 こういう前置きを受けては、「姉が襲われる絶体絶命の危機を、主人公の思いつきや決死の行動が切り開く」とする事により、「連れて行って良かった、連れて行かなければどうなっていた事か」と視聴者に感じさせることが出来るんだけど…実際には、特に役に立っておらず。
 自分を助けに来たクルーを前に、わあわあ泣き始める艦長には、驚く。
船の上では厳格に、私生活では普通より弱いぐらいの「女の子」ぶりを見せ、ギャップで魅力を演出する…というのが狙いかも知れないけれど、その意図だけが先行しすぎ。

 何だか全体に、意図は理解できるが(アイディア不足、詰めの甘さのため)空回りしている描写ばかり目立つアニメ、という印象。
上手く噛み合っているのが「えっちなサービス」のみ、では困るんだけど。
 パスカルメイジの変な双子は、扱いによっては面白いキャラになりそう。
他の女性クルーも、もっと個性を見せて欲しい所。
 基地破壊のイベントとか、敵の姉妹(姉弟?)なんかより、レギュラーキャラの紹介が優先だろうに。


2006年1月15日 日曜日

 『ドラえもん』先週の、「新年だ!アラビアンナイト ランプのけむりオバケ」は、要するに「誰かを幸せへと持ち上げる時、誰かの不幸がその下敷きになる」という事を描いており、なかなかに深いエピソードで(「かさじぞう」の贈り物…実は全て盗品、ってネタを思い出した)、家の中だけならともかく、のび太が要求した金を求めて けむりロボットが通行人を襲い、銀行襲撃寸前まで行っては、「ごめんなさ〜い」じゃ済まなくない?等という事を絡めて色々書こうかと思ったけれど、もう お仕事〆切前スケジュールに突入。

 という訳で、木曜日ぐらいまでは更新が不安定になるものと思われます。
悪しからずご了承下さい。


2006年1月14日 土曜日

『ウルトラマンマックス』29.「怪獣は何故現れるのか」

 この番組は、開始当初こそウルトラシリーズのスタンダード、と言えるような内容だったが、次第に暴走を始め、今や歴代シリーズの中でも相当に異色な、やりたい放題やる作品に化けてしまった。
 今回も、『ウルトラQ』をメタ的に扱った、子供ほったらかしのストーリー。
 いい歳の人間からすると、それはそれで全然構わないんだけど…年少の視聴者はどうなんだろ?楽しんでる?

 『Q』は、さすがにリアルタイムで見た世代ではない。
しかし、再放送やソフト化で何度か見ることにより、それなりの思い入れが出来ており、そういう人間としては楽しく見られる内容だった。
 ロケ弁当が、「海苔を巻いてない、梅干しも入っていないおにぎり」(要するに、ただご飯を握ったもの?)だったというのは、史実なのかなあ。
過去においてゲロンガと対面した『Q』主人公三人組が、最近は余り見かけない、スクリーン・プロセスっぽい効果で戦っていたのが懐かしい。
 三人が顔を合わせるラストシーンには、ただもう「みんな生きていた」というそれだけで、ジンときてしまう。
…一ノ谷博士も居れば…残念。

 そういうノスタルジックな楽しさを除くと、お話としては余り出来が良いと言えず。
 怪獣は何となく出て来ただけだし。
せっかく「牙を折られた」設定があるのだから、喫茶店のマスターになった男がその先端を店に飾ってある事にして、怪獣はそれを取り返しに来た、というような繋がりを持たせても。
 劇中で役者だった三人が、男二人はともかく…桜井浩子だけ権威ある科学者になっている現在に、無理を感じる。

 「怪獣出現の理由」については、興味深い話で、皆の望む気持ちが怪獣を作り出している、というような解釈も面白いと思うんだけど、ただ唐突に語られただけで、本編とのリンクは弱い。
 この話の中に、ついでのように こういうテーマ?を入れなくても良かったのでは。
 扱うなら扱うで、一話丸ごとそれに割くぐらい力を入れて欲しい。
「大変な視聴率を稼いだ怪獣(SF)番組が、かつてあった」→「熱狂する視聴者も、全力で番組を製作するスタッフも、次第に『怪獣』が本当に存在するかのように思い始める」→「番組に登場したのと全く同じ怪獣が、現実に出現」→「怪獣は、人間の気持ちが生み出す」
というぐらいに…強引だけど…理由付けがあれば、まだドラマになったかと。



『Fate/stay night』02.「運命の夜」

 日常と非日常が、乖離してしまう事無く進行して行く。
主人公のキャラが かなり描き込まれているため、訪れる危機に緊張感を演出できており、上手い。
 ただ…
原作ゲームを省略しつつ進めているので、主人公と凜の関係がアニメではほとんど分からず…それはこれから説明されるのだろうが、リスクを冒してまで彼を助ける所は、少々唐突に感じられる。
そこで使われたペンダントの価値も、分かり辛い。
事前に父親との回想があるので、まるっきり分からない、という訳ではないが。

 かなり丁寧なアニメ化だと思うのに、それでも足りない部分が出て来てしまう。
膨大すぎると感じられたゲームのテキストに、実は、略して良いような無駄な部分など ほとんど無かったのだ、という事が、こうなって、より実感できる。

 二話目にして、ようやくセイバー登場。
 もう少しだけ先までゲームをプレイしているが、次回放送分の途中からは初見のエリアに入ってくると思う。
そこからは、「アニメで初めてこの作品に触れる人間の感想」になる。



『プレイボール2nd』01.「波乱のスタートダッシュ」

 しばらく期間を置いての続編だということを忘れてしまいそうになるぐらい、普通のスタート。
 取り立てて設定やキャラの立ち位置を説明する事もなく…そもそも、説明しなければならないような込み入った設定など無いのか。
「ど根性野球アニメ」だという事さえ知っておけば、問題ない。

 今期も熱い内容になりそうで、楽しみ。
 見て、アレコレ言いたくなるタイプの作品ではないので、最後まで見るつもりだが、感想は書かないと思う。



『怪 〜ayakashi〜』01.「東海道四谷怪談」序の幕

 フジテレビが深夜枠で放送してきた、『ハチミツとクローバー』『パラダイスキス』に続いて放つアニメ。
 …しかし、これはまた以前の二作と酷く毛色が違う。
OL層などに好まれそうだったライトな青春モノから、イキナリ怪談へ。

 誰でも大筋は知っているような四谷怪談を、今、アニメで作ることに、どういう勝算を見出しているのだろう?
余程 戦略を考えて始めないと、せっかく掴んだ この時間帯の視聴者層を、離すだけの結果にも終わりそうだけど。
 内容としては…丁寧に作ってあるし、特別 悪い点は無いが、特に引き付けられる要素も無く。
 「ホラー」と捉えると、画面に余り緊張感が無く、この演出テンションでどんな怪異を見せてくれても、視聴者に大した衝撃を与えられるとは思えない。
 「男女の関係」を中心に据えてある?
それにしては…伊右衛門の醜い変心、という辺りを さして彫り込んでおらず、物足りない。
 では、一体 何を見て欲しいアニメなのか?

 無理なく見られる限りは見ても良いけど、無理してまでは…という程度の関心。


2006年1月13日 金曜日

『半分の月がのぼる空』01.「亜希子さんと少女と芥川龍之介」

 余談だけど、今、「亜希子」という名前が一発で変換できることに驚いた。
キャラクター名として、自分でも使った事があるんだっけな?

 このタイトルからは、どういう内容だか想像し辛い。
実際は…ええと、難病もの?
 肝炎を患い入院した病院で、乱暴な看護婦に振り回されつつも退屈な日常を送っていた少年が、同じく入院している少女と出会う。
ここから、「SF」「ファンタジー」「各種女性キャラを取り揃えた萌え」…どういう方向にでも持って行けるなあ、と思いつつ見たが、今回 最後まで現実から飛翔する事なく、「ボーイ・ミーツ・ガール」を(若干駆け足ながら)丁寧に情感を込めて描き出してくれた。

 ツンデレを体現するヒロインも「野郎が思春期に抱く夢」っぽくて楽しいが、乱暴者でありながら ふと優しく、大人な側面を見せる事もある看護婦・亜希子の造形が素晴らしい。
こういうスーパーガール系お姉さんキャラが好きなモノで、すっかり惚れてしまう。
 主人公の馬鹿な友人達や、エロジジイなど、脇のキャラも悪くない。
特にジイサンは、一発ネタとして使い捨てにするのかと思えば、予告を見ると遺していったモノが波乱を起こすようで、楽しげ。

 今回のクライマックスで主人公が取る行動は、やっぱり無茶だと思うんだけど、まあ青春ってこのぐらい無鉄砲なモノかな。
ちょっと切なくて、好みの雰囲気ではあるが…所謂「難病もの」「入院もの」としてのパターンに入ってしまうイベントではある。
 SFにもファンタジーにも逃げないとなると、キャラクターの煮詰め方、ドラマのバリエーションなどの出来が、重要になってくる。
 次回以降も楽しみに見せてもらおう。



『落語天女おゆい』02.「学園祭で唯、反省!」

 学園祭で落語の出し物をする唯。
その妨害のため、全国から笑わない人間ばかりを観客として集めてくる お金持ち少女の情熱は、ドコから湧いてくるのか。
 それはともかく…
全然客が笑ってくれない唯の落語には、納得。
声優さんは頑張っているのだと思うが、「上手く読み上げている」レベルで、とても落語とは言えない。

 本職の小遊三が飛び入りで語り出すと、さすがにそこは「芸」だなあと感心させてはくれるけれど、心配していた通り、まるでなっていない作画に足を引っ張られている。
画面を暗転して、ただ語りだけを聞かせた方が効果的なぐらい。
 更に…「落語」は「漫談」と違うので、一部分だけチョイと切り取って面白く思ってもらおう、というのは難しい。
選択する場所によっては ある程度 愉快さを伝えるのも可能だろうが、今回のチョイスは拙いとしか言い様が無く。
 あの内容だけで、「笑わない客であっても、笑わせてしまう」落語のパワーを伝えるのは、不可能。

 もう少し時間を掛けて、作品その物のテーマを「落語の素晴らしさを伝える」という所にでも置かなければ。
 落語家を目指す少女が、ライバル達と競い合いながら高みへと昇っていく「落語版『ガラスの仮面』」にする訳には、いかなかったのかなあ?
それはそれで、きちんと作れば見られない内容にはならないと思うんだけど。
 いや、今のこのアニメの構成能力で作っては、悲惨な出来になるが。

 イキナリ江戸時代に送り込まれた女性二人は、さしたるピンチにも陥らず、携帯電話を売りつけることで生活の基盤を確保。
軽いけど、まあこんな所かな。
 彼女達を先にタイムスリップさせ、唯には今回まで現代で過ごさせた意味がよく分からない。
今回で得られた「落語家を目指す者として自分は まだ未熟」という自覚なら、第一話でも持たせられたろうし、江戸時代で初めて感じる事にしても支障ない。
 ヒロインなら…余程の理由が無い限り、一番最初に異変に巻き込まれた方が良い。
既に二人が江戸時代を体験しているので、今更 唯がそこで何を見て、何を感じようと、インパクトは弱くなってしまう。
 次回以降、彼女を後回しにした理由が明かされるのだろうか?


2006年1月12日 木曜日

『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』01.「少年はその日変わった」

 え?主人公の男の子は、「実は家庭の事情で男装している女の子」だとばかり思って見ていたんだけど、本当に男の子だったの?
と、いう事が一番の驚きで、それに比べると「宇宙人の手違いで女の子になっちゃいました」という事など、それほどの衝撃でなく。
 男女の変身に伴い、声優さんも変えれば良かったのでは?
男の子の時には男性声優にあてさせた方が、後の変化も生きたかと。
 性格的にも、大人しくて優しくてまるで女の子、という男の子が、内面通り女の子になった訳で、インパクトは弱い。
喧嘩っ早い暴力的男の子が異性に変身すれば…って、それだと『天使な小生意気』になるのか(笑)。

 強烈な個性には欠けるが不快感のないキャラクター達による、斬新さは無いものの安定した分かり易いストーリーだなあ、と思えば、原作は あかほりさとる
視聴者を喜ばせるコツを知っていて、自己満足方向への暴走を抑制してあり、「お約束」も多い事で安心して見られる、(飛び道具のような作品が量産される昨今では)貴重な人材かも知れない。

 ただ、「安定」は「先の方まで読めてしまう」という事にも繋がり、「もうこういうのは飽きたよ」と言われる恐れすらアリ、特にスレたオタ(自分も)には、見る価値について疑問を持たれてしまう恐れが。
 定番、と言って良い基本設定から、どう話を転がし、キャラに魅力を付加していくのか、楽しみに見せてもらおう。



 テレビで見損ねてしまったため、レンタルで映画『NIN × NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』を見る。

 こんな題材、アニメなら良いけど実写にして どう料理するのか、もう作る前からアホ映画になることが決まっているような…と思いながら見たが、意外、きちんと作ってある。
「ハットリくん」という原作をアニメにした、というより、香取慎吾にハットリくん役をやらせる映画を作るには どうすれば良いか、という事を一生懸命考えたような。
 香取慎吾が大人であるため、それに合わせてケムマキも、テロ忍者も大人になっている。
だったらケンイチも、せめて中学生ぐらいに年齢を上げる手はあったろうが、そうすると「恋」なんかがもっとリアルな扱いになってしまい、どこもハットリくんじゃなくなってしまうのかな。

 ケンイチ役の男の子が、パンツ一枚で激走するシーンには笑ってしまう。
バカバカしく見えるのは確かだけど、少年が初めて見せた勇気、という意味が込められた良いシーンでもある。
 田中麗奈による盲目の少女は…
非常に面白い、ドラマティックな設定をおったキャラクターだとは思うが、本編中では生かし切れておらず、残念。
この少女に関連したネタだけで映画一本になったろうから、今回は削り、part2で本筋に関わる存在として出すとか、もうちょっと大事に扱うと更に良かったかなあ。
いや続編があるとは思えないが。
 ゴリ演じるケムマキは、とても印象的なキャラに描かれており、儲け役。

 クライマックスの曲が似ている事で気が付いたけど、この映画は忍者来訪版『E.T.』と言える。
バトルを入れるために構成を変えてはいるが。
 忍者の有り様に絶望し、同じ忍者を襲ってしまった黒影。
彼を倒したのが、ハットリくんの忍術ではなく、もう一度 希望を抱かせるに足るケンイチの行動だった、ってのが泣かせる。
主である誰かに命をかけて仕える時代は終わり、誰かと共に一生懸命生きる、新しい忍者の時代が始まる。

 欠点も欠陥も沢山あるが、真面目に作られた、楽しい映画。


2006年1月11日 水曜日

『LEMON ANGEL PROJECT』01.「夢から覚めた天使」

 往年の、MON-MON先生キャラクターデザインによる異色アニメを…ええと、リメイクではなく、リファインでもなく…
アニメ企画その物よりも、レモンエンジェル、という名前で売り出された声優であり歌手ユニットの「伝説」を受け継ぐような内容?
 アニメ自体と新人声優の人気、その相乗効果で倍以上の効果を上げよう、ってつもりかも知れないが、ヒロインの声優さんが脱力するぐらい演技下手。
声優志望者の供給過多は続いているのだろうから、見てくれと演技力、両方の必要条件を満たす女の子も居そうなモノ。
 見ているウチに慣れるとは思うけど、正直、スタートから大きく視聴意欲を削がれてしまった。

 内容は、芸能界「イロモノ」アイドル路線として、まっとう。
先代に隠された秘密とか、興味を持たせようという仕掛けもあるが…個人的には余り引き付けられず。
 一応、3話ぐらいまで見続けるが、何か化けそうな予感でもない限り、そこまでになりそう。



『マジカノ』02.「生徒会長も魔女ってマジですか」

 一話目と比べると、煩悩方面へのサービス度合いがアップしている。
初回から飛ばさず、段々とエスカレートさせようという事なら、それはそれで結構。
 もう単行本2巻目の話に入るんだ。
生徒会長も、人気キャラクターなのだろうから、早めに出したかった?
 しかし、漫然とキャラを増やすより、取りあえずはヒロインと三姉妹の魅力を彫り込むのが先決かと。
あゆみの目的の確認、それに向けて彼女が日常的に行う迷惑行動の提示、辺りが二話目で描かなければならない事だろうに。

 舞台での変身コスプレ合戦が今回の見所だけど、ちょっとテンポが悪い。
衣装については、アニメオリジナルで数を増やして構わないと思うので、もっとポンポンと見せていき、スピード感・悪ノリ感を持たせて欲しかった。


2006年1月10日 火曜日

『練馬大根ブラザーズ』01.「俺の練馬大根をおさわりください」

 内容が想像し辛いタイトル。『ブルース・ブラザース』に引っ掛けているのか。
 中身は、それに負けずに すっ飛んでいる。
アニメで、ミュージカルだもんね。無茶するなあ。

 ミュージカルは、作るのに手間暇が掛かる。
特にアニメでは…内容に沿って曲を作り、それにタイミングを合わせてコンテを切って、作画も合わせて、声優さんに歌の練習をしてもらって…と、普通の何倍も余計な時間が必要。
 だから、遊びとしてちょっと入れる程度ならともかく、全面的にやろう、やりたいとは、余り思われないジャンルかと。
 そこに挑んだのは…
ああ、監督がワタナベシンイチで、シリーズ構成が浦沢義雄ね。
なんか、納得。
 『はれときどきぶた』のシリーズ中に、突然ミュージカル…もうとにかく会話を全部 無理矢理 歌にした異様な話があって、一話丸ごと「ネタ」として完結させてしまう徹底ぶりに驚き、笑ったものだけど、そのスタッフも この二人。
その再現を、シリーズ全部でやってしまおうという無謀な試み?

 声の主演が、『スペースアドベンチャー コブラ』でお馴染み(?)松崎しげるだというのにも、驚く。
毎回 歌の練習もしなければならなくて手間だと思うけど…よく仕事を引き受けたなあ。
 さすがにその歌声にはパンチが効いててノリが良く、ミュージカル・シーンをグッと盛り上げてくれる。

 ストーリーとしては…いや、筋について語ることは無い、全編ギャグ。
一つ一つの笑いのヒット率はともかく、歌に乗せて怒濤の勢いで押してこられると、何だか愉快な内容だったように思えてくるから不思議。
 ただ、この高いテンションは、監督のコンテだからこそ打ち出せるもので、他の人間に任さなければならなくなった時、どうなってしまうのか…
 不安要素も含め、無責任に楽しみに、見続けさせてもらおう。



『西遊記』01.「火の国」

 今のフジテレビが、月曜夜9時という時間帯で、どのような『西遊記』を見せてくれるのか、という所に興味があったんだけど、特に新しい・興味深い解釈は無く、フツーの内容。
 三蔵が悟空らを連れて旅をしているシーンから始めるのは、「原作を知らない人なんか居ない。だから説明など不要」という意志の現れ?
それでも「これから語られるこの西遊記は、こういう話です」を示す必要はあったと思え、ちょっと不親切。
「設定よりストーリーより、人気のある役者さん達の競演を楽しんで欲しい西遊記です。冒頭にはキムタクまで出してるでしょ?」というのが姿勢表明なのかな?

 香取慎吾の悟空が…演技を頑張っているという事なんだろうが、全編叫んでばかりという印象で、ウザったく感じられてしまう。
 内村はアクション好きらしく なかなかの殺陣を見せてくれ、冷静な突っ込み要員としては面白い。
でも、このメリハリが効いていないストーリーの中では、お笑いのセンスが勿体ないとも思える。
 伊藤淳史、別に悪くはないけど、八戒というより『電車男』の情けないイメージであり、アクが無くキャラとして弱い。
西田敏行が演じた強烈な八戒と比べてはいけないと思うけど…
 深津絵里…「まだ未熟な三蔵」という設定なのかなあ?ちょっと悟空達に責められただけで少女のように泣き出そうとしていたが。
これも女性三蔵では、夏目雅子版のイメージが どうしても強いため、比較すると、うーん、影が薄い。

 CSで再放送された堺正章『西遊記』をチョコチョコ見返してみると、ドラマの内容はこれと変わらないぐらいグダグダであり、無理な泣かせで話を締めようとする事も多く、感心しなかったが、役者の地のイメージまで含めた各キャラクターの個性は練り込まれ、分かり易く立てられている。
 ありとあらゆる、と言って良いぐらいのバリエーションが存在しているドラマ・漫画・小説などの『西遊記』を下敷きに出来る製作環境がありながら、今回のドラマには、何かを上手く参考・消化したり煮詰めた様子が見えない。
個人的には、山口貴由先生の『悟空道』をベースに作ってくれると凄く嬉しかったな…時間帯と視聴者層と予算を考えると、無理だと分かっているけど(笑)。

 かなり力を入れて番宣を打っていたので、潤沢に予算を掛けているのかと思ったが…
ロケやセットなどに、現代を舞台としたドラマよりは色々とお金が掛かっているのかも知れないけど、CG等は筋斗雲暴走の部分にぐらいしか使われておらず、『響鬼』や『マジレンジャー』の方が異常な画面の見せ方なら ずっと巧い。
 実際、別に『西遊記』に題材を限らずとも、香取慎吾がヒーローに変身して戦う、『龍騎』や『555』、『響鬼』から更に「職業としてのライダー」を突き詰めた風な路線であっても、十分大人の鑑賞に耐え、慎吾ファンの女の子達も食い付いてきたのでは?(「仮面」があるとファンが喜ばないので、素顔のまま戦わねばならないだろうな)
まあ、フジ月9で「ヒーロー物」なんてストレートな企画が通るとは、ちょっと思えないけど。

 次回予告にも余り期待が持てそうになく。
 取りあえず三話ぐらいまでは見ようかと思うけど、どこかが面白くなってこなければ、そこまでに。
 しかしフジテレビ…これで大丈夫なのかなあ?
「『SMAP×SMAP』のコントを拡大したもの」で、想定視聴者層は十分付いてくる?


2006年1月9日 月曜日

『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』01.「初めての仕事」

 これはまた、何とも ゆったりしたリズムのアニメ。
アニメは省略と誇張で成り立っていると思うんだけど、そういう部分を極力抑え、実写のドラマかと思わせるようなストーリーと演出が見せられた。
 タクシー車内での目的地はガソリンスタンドの近くかどうかなどという会話、大家さんの家で吠え掛かって来る犬、ゴミ分別情報など生活感溢れる会話…
まるごと略しても全く問題ない、特にアニメで、「レスキューを描く作品」であれば、それに即した…らしい用語を並べつつ自転車で走るシーンとか、無念さを滲ませて戦闘機を見上げるカット…を中心に並べて、早く本筋に入ろうとするのが普通。

 彼女との電話のすれ違い、厳しい職場の上司、寂れた喫茶店でタバコをくゆらす訳ありげなバーサン等々、実写ドラマを強く意識したような所も多々。
お陰で「自衛隊」が、「ジエータイ」というような、軽い、架空の組織にならずに済んでいる。
 今のところは、無用に思想的背景を疑わせないで済みそうなのも、結構。
 『踊る大捜査線』『海猿』辺りを目指した企画なのだろう。

 ただ、ゆったりと進めすぎ、この第一話では「日常」以外にこれといった見所が無くなっているのは、善し悪し。
派手なレスキューのシーンを少しぐらいは入れた方が、売りとしては強かったかと。
 商売になる「萌え」なキャラを あざとく出して「いない」作りは、最近じゃあ珍しい。

 とても丁寧に作られている作品のようなので、先行きに期待を込めて、視聴継続。
「実写へのコンプレックス」だけに陥ることなく、アニメならではの面白さを含んだ良い作品になってくれる事を、期待。



『タクティカルロア』01.「アイ、ショーティ!」

 かなり前、読んだ同人誌で、「新しい恋愛シミュレーションゲームを考えよう」というような企画をやっていて、その中に「戦艦が舞台。優等生の艦長、氷の副長、ツンデレから天然ボケまで各部署に個性豊かなキャラを取り揃え、敵と戦いながら艦内で生じる『萌え』も見せる」というモノがあり、無理のある企画だなあと笑った覚えがあるんだけど、それを本当にやってしまったようなアニメ。
 しかし…第一話から、前半「女性キャラのエロカット一杯萌え」、後半「戦闘シーン燃え(?)」とサービスを盛り込もうとした意図は分かるが、その両者がまるで融け合っていなくて戸惑う。
前半で紹介されたキャラの個性が、後半の戦闘時に活きてくるとか、もうちょっと考えて作って欲しかったな。

 世界観。
西太平洋上に消えない巨大台風が停滞しているので、飛行機よりも船が重要視されるようになった、というのはともかく。
航路の発達に伴い、海賊が出現して海が危険に…ってのは無理ありすぎ( ^_^ )。
少女ばかりで編成された護衛官の設定も無理だけど、まあ そこは目をつぶらないとイケナイ所だろうな。

 車に置いて行かれたメガネ幼女が とてとてと走って追い掛けていくんだけど、延々走行して砂浜で車がコケたすぐ後に、汗もかかず追いついているのが不思議。
実は驚異的な体力の持ち主?
 「出港してもう五日目かあ…同じ船に乗ってるってのに話す事さえ出来ないよ。でも仕方ないのかなあ、五年も会ってなかったんだし」
という主人公の独り言が、余りにも説明的でコケる。
五日間の経過を演出で表そうという意思が少しも無く、五年間のブランクもセリフだけで済ませていて、感心しない。
 船が、四発のミサイルを個別に撃墜するシーンも、「凄い」とセリフでは言われるが、絵的にはそんなに特別な事をしているように見えず。
現実の船では不可能な事?
少なくともアニメ戦闘では、このぐらい普通に行われている事なんだから、もうちょっと凄さを伝える工夫が必要。

 …罪は無いけど内容も無い「萌え」アニメに、無理して軍事とかヤヤコシイ人間関係を持ち込もうとしているようで、どうにも据わりが悪い。
回を重ねる事で、スタッフがこの辺の違和感を消化できるようになるのだろうか?
 取りあえず しばらく視聴。


2006年1月8日 日曜日

『ゾイド ジェネシス』39.「入城」

 非常に考えられたシナリオは、続く。
 前回、トラフ攻略のためルージが、非情とも言える、町を犠牲にする作戦を立案し、計画の脆弱性も理解して細心の注意の上で侵攻を実施、敵の有能さのため発見されてしまうが何とか一次攻撃に成功…
という事で、もう攻城戦は大勝利の内に終了、ルージ大手柄、勝ち鬨を上げて良いと思う。
 が、実際は城の防衛能力の高さにより、パワー任せの襲撃は失敗。
一時撤退を余儀なくされてしまう。
 勢いだけで突っ走らないんだ…というドラマ運びには、驚かされる。

 確保した僅かな時間を無駄にせず、籠城戦に備えて町の有力者達に事態の説明をし、協力を取り付けるディガルド司令官の、力押し方向に限らない有能さが凄い。
力と恐怖で人々を支配しようとするディガルドの中では、異色の存在?
 瓦礫の下敷きになった姿には、衝撃を感じてしまったが…何とか生き延びていたようで、幸い。
ルージ達の義に引かれ、「こちら側」に着いてくれる勢力になると、面白そう。

 再度の城攻めに、湿地帯を攻撃で乾燥させて駆け抜け、生じた水蒸気を目眩ましにも使う一石二鳥の作戦を用いるアイディアが素晴らしい。
それを立案したのが、ルージでは「ない」というシビアさが何とも。
 ではルージは、二次攻撃では目立たないまま終わるのかというと トンデモなく、ジェネレーターを破壊して街を壊滅させようとする非道な目的に、ただ一人、「未来を託されながら、結局救えなかった自分の村への痛み」故に気付き、怒りを込めて危機一髪で阻止する主人公らしい大活躍が設定されている。
実に周到。
テキトーな考えで、作れる話ではない。

 ロンの正体が、ルージに明かされる。
視聴者には情報が与えられているので、彼が怪しいと分かって当然だが、ロンについて前から疑問を感じていたというルージは、鋭い。
 天空の民からの全面的?協力が得られそうで、今後の戦いは いくらか有利に運べるようになる?
しかし、ディガルドがここまで圧倒的勢力になったのは、天空人が力を与えていたから、というのが大きく、その彼らの助力申し出を素直に受け入れて良いものかどうか。
天空人が皆 良い人ばかりとは思えないし、微妙な駆け引きになりそうかな。



『仮面ライダー響鬼』46.「極める鬼道」

 桐矢、一途さ必死さをアピールしつつ明日夢への優越感を持って、学校を退学します、と格好良く決めながら、ヒビキに意見されるや すぐ意見を翻して帰ってくる情けなさに、笑ってしまった。
 また担任教師も、退学の時はともかく、復学の挨拶はさせなくて良かったんじゃないか?
教師への態度も悪かったから、憎まれてる?
 格闘技物とかであれば、「学校をやめて修行に専念したい」というのは、取りあえず師匠格にダメ出しを されはするけど、基本的には「熱意の表れ」として肯定される姿勢。
ヒビキが問いかけた「今、魔化魍に襲われて死んでも後悔しないか?」という言葉への、彼なりの答えでもあろう。

 現在までに見られる修行(体力作り)の内容は、「そんなに厳しくない高校の運動部」で行われている程度の物で、これぐらいの事を いくらやっても鬼になれるとは思えず。
早く、超常の存在である鬼になりたいなら、学校へ行きながら…という常識的な、逃げ道を設けるような方法ではダメだと考えて当然。
 ただ…桐矢への修行は、欠けている体力面は勿論だけど、「鬼になる」事で、あるいは「その果てで勝手な理想に殉じて死ぬ」事で満足してしまいそうな精神面の脆さ(物を盗んだり他者を貶めたりも平気でするし…)にも必要だから、学校へ行く事は大切。
 修行内容を、「パネルシアターで拍手喝采をもらってこい」「孤児院で子供達を世話してこい」といったモノに変えてみるとか。
…もう、そんな時間は無いな。
もっと色々遊べたキャラだと思うんだけど。
 不本意であろうに、復学の指示に従うのは、彼がヒビキを師匠として…立派な父親と重なる存在として、認識し始めているからだろうか。

 闇雲に鬼を目指す桐矢に対し、明日夢には道を迷わせるようなイベントが。
パネルシアターを楽しみにする体の弱い少女のためには、「鬼の力」など何の役にも立たない。
 どうも、「鬼にならなくとも人のために生きる事は出来る」という方向に進みそうだなあ。
いや、強引には、少女が手術中の病院を魔化魍が襲い、危機に見舞われる事で、彼女らの『命』を大きく守るには誰かが戦わなければならないのだ、と自覚する、って展開ででも、鬼への道を強く動機付ける事は出来るけど。
 ……しかし、少女が倒れるのは唐突で(笑)。
 そういえば明日夢はザンキの死について、どう捉えているんだろ?

 「金の斧 銀の斧」の劇中劇は、「偽らず、正直である事の価値」か「本当に自分に必要な物を求めるべき」という意味か。
 イキナリ、死さえあり得る重責を担わされ、香須実に弱音を吐き本心を見せるイブキを表す?
 このイベントは、最近ヘタレて来ているイブキに最後に良い所を見せさせてやろう、という事かな。
彼は「おっとりした素直な兄ちゃん」だったのだから、最後まで期待に応えようとするのも良いけど、宗家からの指令を「他に援護の鬼を派遣するから、イブキは一時吉野へ(危険を避けるべく)帰還せよ」というモノにして、しかし逆らって残る、とする強固な意志発現の方向でも良かったかと。
 …どうも最終的には、重責をヒビキに代わってもらいそうな気がするが。

 劇中劇は、ザンキの死を受けて、今年も一年 生きていたいと願うヒビキが、金と銀の斧…明日夢と桐矢の事か、自身の命の事か…を得られるかどうか、にも掛かる?
 身の丈に合う・合わない進路の選択に迷う、明日夢にも?



『魔弾戦記リュウケンドー』01.「これがヒーローだ!」

 主人公は何をしに あの町にやってきたのかと思えば、公式サイトで見て初めて、新任の刑事だという設定を知る。
それならそれで、もうちょっと らしい行動とか言動があるんじゃなかろうか…

 第一話の内容は、戦隊シリーズの低年齢向けバリエーション…『ガオレンジャー』や『カクレンジャー』を思い起こさせる。
 戦闘員軍団、別に犬には害意を示していなかったと思うが、主人公は、襲われる警官隊を放ってでも抱きかかえて助ける。
こうして「優しい主人公ですよ」という所を見せるのが、実に低年齢向けで分かり易いトコロ。
 本当に段取り通り「説明すべき事を説明して、見せたいモノを一通り見せた」だけの第一話。
主人公に興味を感じさせられる所も無く(「闇に抱かれて眠れ」とか妙な事を突然 言い出すのは笑ったけど)、変身は唐突。
 まあ、こういう変身ヒーロー物は、最初に提示しなければならない情報量がどうしても多くなってしまうので、駆け足な内容になるのは仕方ないが。

 しばらく試しに見て、面白くなるようだったら継続視聴したいと思うけど…
日曜日は戦隊とライダー…実写ヒーロー物が二本も放送されており、裏番組としては『エウレカセブン』もあるので、「まあまあ」「悪くはない」程度の話が続くようだと、厳しい。



『陰からマモル!』01.「まもり続けて四百年」

 ライトなコメディーで、なかなかに楽しい。
…だけども、「どこかで見たような内容」と感じてしまうのは、どうしようもなく。
 多様化する読者のニーズに応えるべく、漫画でもライトノベルでも、思い付く限りの すっ飛んだ骨格の作品が送り出されており、そういう中で この作品のような筋立ては、「オーソドックス」とさえ言える。
 実際、こういう企画は自分も考えた事があるし…もうちょっと基本設定がゴチャゴチャしたモノだったけど。

 斬新ささえ求めなければ、この第一話は設定・キャラクター紹介編として無難に出来ており、「ぼんやりしているようで、実は少女を守るため超絶の能力を発揮する少年・マモル」は…まあ置いて、ネジが十数本ぐらいまとめて緩んでいるようなヒロインの天然ボケと、その過保護な親友と見せて本心はマモルに気があるのではないかと思われる同級生少女など、性格付けは なかなか巧い。
 それも道理で、原作の阿智太郎は、特出している訳ではない設定でもキャラクター同士の絡みで魅力的に描ける事を証明して見せた、『住めば都のコスモス荘』の人なのね。

 これから どうとでも展開できる第一話だったけど、バトル方向に特化していくのでなければ、人間関係をややこしくするレギュラーキャラを増やして、その組み合わせでドラマを作っていく手かなあ。



 うわああぁ、『BLOOD+』録画失敗したあぁぁ!


2006年1月7日 土曜日

『ワンワンセレプー それゆけ!徹之進』01.「てつのしん ヒルズに住む」

 え〜と、まあ、楽しそうな雰囲気があり、キャラも可愛くて良いんじゃなかろうか。
 ロクでもないジジババに経済状況を考えないヨメと、彼らに振り回されるお父さん、という図式は、転がしようによっては いい歳の視聴者も楽しめる内容に出来そうだけど…
ビジネス・サクセス物とか、そういうつもりでは当然、作られないんだろうな。

 ドジなメイドなど、もしかしたら回を重ねるウチに味が出てくるかも知れないキャラも居るが、とにかく見ていて「自分は想定視聴対象に入っていない」事をヒシヒシと感じさせられてしまい、どうにも居心地が悪いので、ここまでに。



『Fate/stay night』01.「始まりの日」

 大変な人気を博したPCゲームを、原作とするアニメ。
 ゲームは、最初の方だけプレイ。
面白かったんだけど、何しろテキストが膨大で、「まとまって時間が取れたらまたやろう」と思いながら、置いたままに。

 同社のアニメ化作品は、『月姫』が悲惨な出来だったため、過度な期待は持たない方が無難…と思いつつ鑑賞。
しかし、これならまあ、原作のファンでも そんなに違和感なく見られるのでは。
 さすがに、細やかに描き込まれたゲームのテキストを全く変えないでアニメへと移し替えることは出来ず、アチコチ省略してあるが、大事な所は抑えてあるし、作画もなかなか頑張っている。
 ポンポンと進んで行ってしまうから、アニメで初めてストーリーを知る人には、魔術師とか、呼び出した奇妙な人間と行動を共にする理由とか、ちょっと分かり辛いかも知れない。
まあ一話目は、「この町で何かが起こりつつあるらしい」という事と「主人公の性格付け」を理解できれば、それで良いのだろう。

 主人公の特殊能力設定が、『月姫』では「物体を破壊するための線が見える」で、この作品では「物の構造が見え、理解できる(だから要領良く修理可能)」。
「見える」ということに拘ってキャラ立てしてあるような。
 それは、ビジュアル面が重視されるゲームの特性を活かすためであろうし、普通の人間である我々…ゲームのプレイヤーと主人公とを同一化させるべく、絶対的な差を感じさせられてしまう能力の垣根を設けないため(「特殊な目」は、「日々の厳しい鍛錬による筋力」などより遙かに「身近」)でもあろうか。

 よほど破綻しない限りは、最後まで見続けるつもり。
「アニメさえ見ておけば、もうゲームをやらなくても良い」と言われるぐらい充実した内容になるとイイなあ。


2006年1月6日 金曜日

 レンタルで映画『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃』を見る。

 う〜ん…評判を聞いてはいたけど、映画の中盤辺りは やっぱりキツい。
変身した野原一家が怪獣と戦うんだけど、しんのすけ達が余りにも強すぎ、苦戦もないまま、特に面白味も無い怪獣軍団を淡々と倒していく様を延々見せられるだけなので。
 どこかで、物語上の大きな変化があると思ったんだけど。

 いや、変化も、あるにはある。
展開として予想できた、「自分達の強さに慢心し、正義の心が失われたため苦戦する一家」「現実まで広がってくる被害」「油断していた所に、恐ろしく強力な敵が出現」という事も、一応やっている。
 ただ、それらイベントが映画の後半で続けざまに…段取り的に起こるため、どうも気持ちを入れて見られない。
さっきまで変身の楽しさに取り憑かれ、先を争って出動していた父ちゃん母ちゃんが、少々苦戦した程度で「もう行きたくない、他の人に頼んでくれ」なんて言い出すかなあ?
 戦うのが野原一家でないとダメ!という理由付けも、酷く強引。
…それは映画の「お約束」だとは思うんだけど。
内容に乗れていないので、そこまでも不合理に感じられてしまう。

 監督が、この映画から『UG☆アルティメットガール』ムトウユージに替わっている。
あのアニメは…最初は巨大ヒーロー物のパロディーとして面白かったけれども、すぐにネタが切れ、気の抜けたコメディーを見せるだけの作品へと堕ちてしまった。
 今回の『しんちゃん』は、その「テンションが落ちてしまった話」を彷彿とさせる内容。

 液状の敵に苦しめられる一家…は良いけど、父ちゃん母ちゃんが何の考えもナシにただ突っ込んで行っては やられるのを、繰り返し繰り返し見せられ、飽きてしまう。
凍らせようとか火で炙ってみようとか、何か戦法を考えても良いのでは?
 クライマックスに繋げるための苦戦なんだろうけど、ギャグでもないのにキャラクターに考え無しの行動を長々と取らせるのは、拙い。
 お馴染みのキャラクターが助けに来るのも、もう「お約束」。
その実体は…らしいんだけど、別に優しくしてやった訳でもない彼らが助けてくれる理由は、よく分からない。
 意外(?)なラスボスとの戦いも、もっとシリアスにするか、ギャグの連続で見せるかした方が良かったかと。
とにかく印象が弱いので。

 冒頭、野原家の朝の風景を、非常に、執念を感じる程に細かく描いていたのが楽しかった。
 母ちゃんが変身したセクシーみさえXの巨乳描写は、なかなか えっち。
 映画全体としても、基本的なネタは悪くないと思う。
もっと煮詰め、客を飽きさせないような構成を考え、戦いにも少しアイディアを入れれば、ずっと面白くなったろう。
せいぜいで40分程度しかもたない内容を、倍の上映時間で見せたのが大失敗。

 残念ながら…劇場まで行かなくて良かった、と感じてしまう出来。



『落語天女おゆい』01.「花のお江戸に天女舞う」

 第一話から、内容には呆気にとられる部分が多い。

 時は江戸時代、落語の高座から戦闘に駆けつける青年。
え…これ、日常を寄席で送り、変身しては魔物と戦う青年と少女達の物語なの?
しかし落語って……
 いや、考えてみれば『サクラ大戦』は、西洋風の舞台でミュージカルとか何とか上演しながら、その影で戦う少女達を描いていた。
それを純和風に移植して、劇場を寄席に変えたと思えば…能とか歌舞伎とか そっちにいかないか普通?というのは置いといて…まあ分からなくもないのか。
 手にしている武器を見ると、別に少女達全員が落語家ではないみたい。

 などと考えている間に、少女達全滅。
 まあ、第一話だから、まだ戦力として弱い彼女達がこれから成長していく様子を見せるシリーズに…
えー?時代は飛んで一気に現代へ?
 落語家志望らしい少女が過ごす学園生活が示され、混乱。
つまり、現代に転生した少女達の戦いを描く?

 ヒロインらしき少女が弟子入りを志願する先が、『笑点』で お馴染み桂歌丸師匠の所で、声の出演もご本人がなさっている事にまたビックリ。
豪華だなあ…落語芸術協会の協力(協会員の落語家・桂歌若が原作らしい)を取り付けているのか。
 落語の高座の様子をアニメで表そうというのは、かなり無謀。
派手に跳んだり撥ねたりするスポーツやバトルと、落語は全然違っており、座ったままで見せる表情・僅かな動作・間で「世界の全て」を表現しなければならない。
ど素人が趣味でやっている落語ならともかく、名人格の高座など、テレビアニメベースで納得させられるほど巧くは、描けると思えない。
 といっても、ラジオやCDで「聞く」だけの落語ってのもあるんだから、声の演者が達者でさえあれば、絵は「添え物」と割り切る事で「見せる」手も無くはないだろうか。
客席の反応だけで、「凄く巧いらしい」と見せる演出もアリだし。

 さあ、転生ヒロインの戦いが始まる…かと思えば、それと関係ない女性二人の中に、時を越えて飛んできた宝珠が入り込み、そのまま体は江戸時代に引き込まれてしまう。
えー?結局 戦いの舞台は江戸時代なの?

 何というか、一つ一つの展開は特にどうという事ないんだけど、それを繋がりが弱いままガガガッと連続されると、面食らう。
 最初に江戸時代に引きずり込まれるのは、ヒロイン・月島唯であるべきでは?
冒頭で、江戸少女隊が全滅する様子を見せる必然性があったのかどうか、疑問。
 もっと刈り込んで、順序よく示せば、スッキリした構成に出来たろうに。

 演出には気合いが抜けている。
冒頭バトルの緊張感の無さは驚くぐらいで…カラクリで矢を射るシーンの脱力ぶり、それが刺さるシーンを見せない弱さなど…真面目に見ていられない。
 作画は、悪いというのは気の毒だけど、見続けたい!と思わせてくれる程には良くない。
 もうちょっと見て、何か面白さが出てこなければ、そこまでに。



『SHUFFLE!』最終話.「そして……大切なこと」

 やっぱり、亜沙の思考形態、行動に全く感情移入できず、「そんなに死にたがっているなら死なせてやれば良いのに」と突き放したい欲求さえ感じてしまう。
 彼女の境遇をもっと逃げ場無く固め、精神的に追い込まれる(自分を追い込む)様子に説得力を持たせて描かないと、「他者の言葉を全く受け入れず、死に向かって突き進もうとするキャラ」に好感など抱ける訳がない。
 ほんの少し前、楓の生き甲斐であった稟を「奪い取る」ような形で自分の恋人にしたというのに。
その際に生じた楓の酷い苦しみようも直接 目にしているというのに…それはそれとして、私は自分の意志に基づき稟を残して死ぬから…と考えるキャラを、好きになる理由があるかなあ?

 そうなると、彼女を死の運命から救い出そうと必死になる主人公にも、気持ちが入れられなくなる。
 カッターで手首を切って、自分の命を救うべく彼女に強制的に魔法を使わせようとする、ってのは、的確な方法なの?
この世界で「魔法」というのがどういう位置付けになっているのか分からないが…死にかけた人間への治癒魔法って、誰でも使えるもの?
例えば、プリムラに治癒系の魔法が使えるのかどうか、分からないと思うんだけど。
 しかも、亜沙はこれまでに魔法など使った事がない、初心者だし。
 「実際に命を救えた」のだから、この世界では「命を救う魔法は、魔力があれば誰でも使える」、という設定なのだと受け取るべきか。
これで良いなら、稟に丸投げせず、亜麻が手首切っても良かったんじゃないの?
 実は こんなのは些細な問題で、上手く見る側の気持ちを波に乗せてくれれば、「アレ?まあイイや」ぐらいで済んでしまう事なんだけど、乗っていないから いちいち引っ掛かってしまう。

 原作があるのだし、このエピソードを最後に据える事が決まっていたのなら、シリーズの途中からもっと周到に準備を進め、他のキャラが抱える「事件」の重さ配分も考えるべき。
 …と、何かちょっと苛立ってしまうのは、こういう大した事のない(としか見えない)理由で自ら死のうとする人間を、生理的に受け付けないからなのかな。

 行方不明の亜沙を必死で探している最中、思い浮かべるのが彼女の裸の姿、という稟の正直さとか馬鹿さ加減に爆笑。
…いや、こんな切迫した場面で変なサービスカット入れている場合じゃないと思うんだけど。
笑ったからまあイイや。
 いかにも「萌え」作品っぽいモテモテ状態継続エンディングは、明るくて悪くない。
ちょっと腹黒さというか辛辣さというか、変な個性を伸ばし始めたプリムラが楽しい。

 ただ、「途中のシンドイ展開を経たからこそ、このエピローグがある」って訳では「ない」ので、全体にもっとライトな内容で良かったように思えてしまう。
 前にも書いたが、元々「萌え」ラブコメを展開するために築かれた物語の骨格に、重すぎるエピソードを乗せては、土台をグズグズに崩してしまって当然。
楓話など、その過ぎた崩れ方が、他に無い この作品ならではの個性・味になっている部分もあるが、亜沙話になると、重い展開を迎えるのは「何かを語ろうとした結果」ではなく、「とにかく重くする事自体が目的」のようになっており、感心しない。
 作り方の危うさも含み、色々な意味で興味深く見続けられた作品だった。


2006年1月5日 木曜日

『鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』01.「A Rabbit-Hole」

 ゲームっぽいタイトルだけど、原作は漫画。原作未読。

 何となく窓から外を眺めた主人公が、屋根の上を跳ねていく少女を発見し、後をついて行ったらバトルに出くわして…
という導入部自体は、強引ではあるにせよ こういう作品として悪くはないだろうと思うが、演出も作画も冴えず、「何となく、パターンで」しか画面を作っていないので、どうも集中力が続かない。
 想像を絶するような事件に直面したはずの主人公が、それよりか(特にギャグでもなく)パンツが見えた事に反応したり、極秘に行われているんじゃないかと思われるバトルの理由を、女の子が主人公相手に軽くペラペラ喋ったりと、キャラクターにも物語にも興味が持ち辛い作り。
 少女の体(胸のあたり)に異物を差し込んで喘がせるシーンと、いかにもなブラコンっぽい妹が、視聴を継続させる原動力だろうか。

 アニメになるぐらいなんだから、この先の原作には、キャラかイベントか、大きく興味を引くような面白い展開が待っているのかも知れないが…
アニメーション作品として、この第一話の出来ではそれを上手く料理できるとは思えず、機会があれば原作を読む事にして、視聴はここまでに。


2006年1月4日 水曜日

『「生物彗星WoO」って?〜特撮TV大全集〜』

 四月からBShiで放送される『生物彗星WoO』の紹介に絡めて、円谷特撮の歴史を紹介する特番。
 出演していたローリー寺西が、『ウルトラセブン』の、「それは、血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」というセリフが印象的で、今でも週に一度は使ってしまう、と言っていたのに笑う。
誰に、どのタイミングで言うセリフなんだ?

 製作されている『生物彗星WoO』は…
 うーん、特撮はまあ、『ウルトラマンマックス』の普通の回レベル。
NHKのスペシャルでは、かなり頑張ったCGなどが使用される事もあるので、そのクオリティーを期待したが…
 企画意図が、「円谷英二の幻の企画を、今、初めて映像化」というモノだから、円谷っぽい「特撮」画面を作る事にも意味があるのだろうか。
 視聴率を見込めないBSハイビジョン放送(いずれは地上波でも放送されようが)で、そんなに予算が掛けられる訳も無かろうけど。

 あらすじとして語られたストーリー…
これを四十年以上も前に考えていた、円谷・金城の発想の先進性・柔軟さは凄いけれども、今日になって企画として拾い上げるとなると、相当のブラッシュアップが必要。
 見ている限り、ちょっと ぬるい内容になっていそうな…
いや、本編を見ない内には何とも。



『マジカノ』01.「彼女が魔女って、マジですか」

 原作は、単行本で既読。
独特の感性によるギャグと、登場する女の子達の個性豊かな可愛さ、1ページ1コマ以上入れられる「やりすぎ」とも思えるぐらいのパンツ露出などが魅力。
 アニメ化に向いた素材だなあ、と思っていた。

 で、放送された内容。
 うーーん…ギャグがちょっと古いというか強引というか。
キャラの顔を崩せば笑いになる、ってモノじゃないと思うが。
 原作の二話分を30分にまとめたため、タメとか間とかを設ける余裕が無く、とにかく詰め込まれたストーリーを消化しつつも愉快そうな雰囲気を出そうとして、非常にガチャガチャとしたテンポで全編進められている。
 この作品は、ギャグであると同時に「男の願望充足物」なのだから、女の子達の(強烈さ、黒さに負けない)可愛さを描く…「こんな女の子が側に居てくれたらなあ」という気持ちを視聴者に持ってもらうのが、最優先。
とにかく無理矢理にでも話を進めようとする事には、意味が無い。

 世話焼きで、致命的なほどブラコンな長女の魅力が上手く出せておらず、残念。
好きなキャラなんだけど。
 次女は原作では、「ちょっとボーッとしている食いしん坊」なのに、アニメで第一の願望を「筋トレしたい!」という風に変えられているのは、何故?
まあ、こう変えた事で物語が成り立たなくなるとか そんな騒ぎじゃないけど、逆に言えば変更に伴うメリットも認められない。
そういう、意味がよく分からない変更が他にもチョコチョコ。

 えっちなサービスの方は…
全然弱いなあ。
原作の二話目なんて、もっと もの凄いネタをやっていたぞ。
 個人的にはここを「そこそこ」に抑えてもらって別に構わないが、これも原作の大きなセールスポイントだったろうに。
放送形態として、下着を見せるぐらいは問題無いような。
 せっかく作画は良いのだし、直接見せないにしても、体のラインや動作などで、多少は男性視聴者の煩悩を刺激して良いと思う。

 崩し顔やギャグも、部分部分としては良い所があるので、スタッフが次第に乗ってきて面白くなる事を願い、視聴継続。


2006年1月3日 火曜日

『To Heart2』最終話.「はじまりの朝」

 このみエンド?
 うーん…全く恋愛感情などに縁がなかった二人が、そういうものを意識し始める切っ掛け、を描いたエピソードとしてはナシでもない。
ほのぼのしていて微笑ましい、とも思えるし。
 ただ…恋愛を扱うゲームが原作なのに、ここまで主人公が鈍い・疎いのは、どうなんだろ。
 それであっても、彼を囲むヒロイン達に恋愛へと向かう動機を強く設定し、「鈍さ」と並行してしか成り立たない「誰に対しても向けられる無邪気な優しさ」というようなモノで主人公を魅力的に描けば、もっとドラマとして見られる物になったと思うけど。

 シリーズの構成として…後半になり、環の衝撃的(?)告白が行われたが、このみを含み女の子達の心情に それがほとんど影響を与えていない、というのには強い疑問。
環自身にしても、自分がそういう行いをした事を どう捉えているのか…そもそもその時の事を憶えているのか?と思うぐらいフツーの様子しか見られず。
 キャラクターの心理シミュレートや、視聴者に好感を持たせる話の作り方が、まるで出来ていないアニメだった。
作画的にも、崩れた回が目立つ。

 前作ゲームは とても好きで、結構やり込んだもの。
 だから、原作ゲーム自体はこの『2』も面白いんじゃないか、と思うけれど、正直、アニメを見た後では遊んでみようという気持ちが起こらない。
どのキャラにも魅力を感じられなかったので。



 WOWOWで放送された映画『リディック』を見る。
 デヴィッド・トゥーヒー監督による、B級映画『ピッチブラック』の続編。
…といっても、ほとんど気にしなくて良いぐらいにしか連続性が無い。
そもそも、前作の主人公は続編を作りたくなるぐらいに魅力的だったかなあ…いや、まあいいけど。
 主演、ヴィン・ディーゼル。

 ドタバタ、ガチャガチャした内容。
舞台として色々な惑星を巡るが、その意味は薄い。
 一番面白かったのは、灼熱の監獄惑星からの脱出だけど…これもほとんど、脱獄シーンのアイディアだけを前提として設定されているような。
ストーリー的には、編集してここいらをカットする事も十分可能だったかと。
 前作を見たのがかなり前だったため、内容がほとんど記憶に無く、当然のように出てくるキャラクター達が誰だったか思い出せない。
…でも、それが前回どのようなキャラに設定されていたとしても、さほど深みのある性格に描かれている訳ではないので、関係ないと言えば関係ない。

 とにかくお金が掛かっていて、惑星攻略戦の様子など、見応えがある。
もの凄い巨大宇宙船を用いる侵略種族ネクロモンガーの個人武器が、手持ちの刃物だったりするのは、どうかと思うけど。
 この種族は、各惑星を侵略する事で何がしたいのか、よく分からない。
洗脳して兵士を増やしたいのかなあ?それにしては兵士達を大勢置き去りに出発しようとしてるし…
宗教がどうこう言ってるから、そういう方面の侵略が主目的?
 指導者の座を狙う内紛勢力の存在とか、まあアリガチ。

 無数の兵士群、惑星破壊すら可能な巨大宇宙船群…こんなモノを相手に、個人にしか過ぎないリディックが どう決着を付けるのか。
…ダメ映画の決着と言ったらコレしかないよなあ、と思ったその通りのクライマックス。
一応は、それが教義である旨 伏線が引かれていたけど…要するにアタマ同士のドツキ合いで全部ケリにしよう、というアホなシロモノだから。
 ラストも、この後どうするの?というB級テイスト全開。
 製作予算と、細かい所に対するアイディアは掛かっているけど、内実は前作と余り変わらない。

 さほどヒットしたとも思えない前作など関係ナシに、ここを起点とするオリジナル・ヒーロー・ストーリーで良かったような気が。
 製作も務めているヴィン・ディーゼルの、徹底した「俺様映画」。
もう少しストーリーを煮詰め、危機を設定して、クライマックスに爽快感でも設けられれば、『コブラ』みたいになれたかも。


2006年1月2日 月曜日

 WOWOWで放送された『S.A.S.英国特殊部隊』を見る。
商品のパッケージで言うと3本目…2本目と3本目は それぞれエピソードが二つ入っているので、実質5話目まで?見た。
 イギリスらしい、生真面目な作品。
特殊部隊が「ヒーロー」ではなく、「任務達成を第一に考えるシビアな集団」として描かれているのが、らしい。
 実際こういう物なのかどうかは知らないけど、『謎の円盤UFO』や『プリズナーNo.6』を生み出した国製のドラマ、だと感じられる。

 特に、第1話で、成り行きから銀行に立て籠もる事になってしまった強盗犯達に対する、彼らの戦いぶりが…
最後には「そこまでしなくても……」と思わされてしまう。
 でもまあ考えてみれば、銃器を持っている強盗犯なのだし、対応は断固としたものでなければ、一瞬の油断で人質にも、自分達部隊にも犠牲者を生み出しかねないので、これで良いのかとも思い…何とも言えないズシリとした物が腹に残る。

 2話目前半、テロリストにより占拠された研究所を開放する作戦。
オッサンキャラであるヘンノが、絶体絶命の危機に見舞われ瀕死の重傷を負いながら、最後の最後まで逆転を狙って行動する、恐ろしいまでのプロフェッショナルである事が描かれる。
いやもう、その冷静さは驚異的。
 後半。
入隊テストのサバイバル研修中、紛れ込んだ殺人鬼による襲撃が…
研修を受けている新人に犠牲者が出て、怯える彼らに対し、「いいから最後までサバイバルを続けろ、ココでやめるんだったら君達、テストは不合格だよ」と平然と言い放つヘンノが凄い。
「この程度の」非常事態に対応できない人間は、部隊に必要ない、という事か。
 3話目も面白かったけれども、後半、大勢の敵に対して部隊が強すぎ、地味さが薄れハリウッドっぽくなった事に贅沢な不満を感じてしまう。

 作戦に掛かる前に豪華な食事を取ったり、苦労して入隊しながら「付いていけない」と脱落する隊員が居たりと、妙にリアリティーがあるのがまた、イギリス。
 銃撃戦を、無闇な迫力だけで「押し切らない」、妙に客観的な描写も楽しい。
 士郎正宗の世界・実写版。


2006年1月1日 日曜日

『ドラえもん大晦日3時間スペシャル』「雪山のロマンス」「ラジコン大海戦」「竜宮城の八日間」

 「どくさいスイッチ」などの再放送を混ぜたスペシャルだったため、視聴意欲が削がれがち。
完全新作で行ってもらいたかった。
『クレヨンしんちゃん』の年末スペシャルも全部放送済みのエピソードで埋めていたし、テレビ朝日はアニメにお金を掛けたくないのかな?
 あと、各話の間を、「世界中の人間がドラえもん放送に熱狂している」という嘘設定の映像で繋ぐんだけど、コレが全然意味ない上に非常に うざったく、構成を行った人間の感性を疑ってしまう。

「雪山のロマンス」
 のび太と しずかが結婚するに到った切っ掛けとなる事件を描く。
 ああ、なるほど。
「のび太は、しずかと結婚できるような男になった」のではなく、「しずかだけが のび太に愛想を尽かさず居てくれ、彼を救うために人生を投げ打ってくれた」訳ね。
大人になった のび太の側にドラえもんが居ないのは、代わりに しずかが居て、大失敗しないよう世話を焼いてくれるので、もう必要が無くなったから…なのかも。
 そうとしか思えないぐらい、ダメダメな のび太。
タイムふろしきで大人になった実際は子供の のび太がダメなのはともかく、その時代に存在する普通に大人になった のび太も、風邪を引いていたとはいえ…危険な登山に しずか達だけを向かわせていて感心しない。
もっとも、精神的に成長する事で「一緒に山に行っても、どうせ自分は足手まといになるだけで役に立たない。ましてや風邪気味の体調だし」という認識を持ち得ていたなら、しずかにどう思われようとも「行かない」決断を下す方が「大人」と言えるだろうか。
 映画『のび太の結婚前夜』で見られた のび太は、間が抜けていようとも もっと包容力を持ち、「自分が付いていないと心配」よりは「この人と一緒に居たい」と しずかに思わせられるだけの人間になっていたと思うんだけど。
今回の事で反省し、多少なりと良い方向へ人生を修正して、『結婚前夜』に続く、という形になるのだろうか。

「ラジコン大海戦」
 ラジコンの船や戦闘機を使った戦闘の激化が楽しかったが…
作画がふるわず、戦いにも迫力が足りなかったため、まあ こんなモノかという印象しか残らず。

「竜宮城の八日間」
 自由研究で浦島太郎を調べに行く、という冒険の切っ掛け、そこから迷い込む異世界「竜宮城」、ポケットの中の道具が全部ダメになり捉えられて絶体絶命の のび太達一行…と、内容は劇場版のフォーマット。
 あちこちのアイディアは面白く、特に牢屋からの脱出方法には唸らされた。
道具が全部ダメになっても、ああ、こんな手が残っていたか!
 タイムマシンが使えなくなった状態で、現在に帰ってくるネタも、多分に無理は感じたモノの、面白い。
 ただ…劇場版であれば もう一捻りあるところを、竜宮城での誤解で終わってしまったこと、海底の異空間が生まれるに到った経緯で描きたい事は分かるけど、そのため浦島太郎が放りっぱなしになってしまい、エンターテイメント性より「お説教を聞かされて終わった」印象になってしまう。
戦いに明け暮れる地上を批判する竜宮城にも、のび太達のような子供を とにかく殺してしまおうとする勢力はおり、果たして平和な場所と言えるのかどうか。



 2006年、あけましておめでとうございます!

 旧年中は大変お世話になりました。
 今年も、更に図々しく ご面倒をお掛けする事と思います。
余り気は進まないかも知れませんが、諦めて、また一年間お付き合いを頂けますと幸いです。


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