ときどき日記 2007/01

2007年1月30日 火曜日

『ファイテンション★デパート』03.

 感想を書いたものだかどうだか分からない、タレントによる変なバラエティーと短いFLASHアニメを詰め込んだ、妙な番組。
 堀内 健は結構好きなんだけど…突っ込んでくれる相手が居てこそ活きる人のような。

 アニメの中では、蛙男商会による不条理ギャグアニメ『電脳戦士 土管くん』が面白い。
いつも通り、と言って良い無茶苦茶な内容・チープな画面なのに、それで十分楽しませてくれるんだから、凄いなあ。
 『アームズラリー』の方が、アニメとしての出来はずっと上だと思うんだけど、それと「面白さ」とは、やっぱり別。



『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』04.

 ほわほわーとした可愛い内容で ずっと行くのかと思っていたため、かなり重い今回の内容は、意外。

 頼られる事も群れる事も好んでいるようでありながら、一歩引いたポジションに居ようとした(居られなかったけど)のは、単に「ツンデレだから」ではなく、こういう過去があったから。
なるほど、実に納得がいくキャラ設定。
 そういう彼女の心を、自分達の側に引っ張り込むべく まなび達が用いた方法は、頼らない事、利用しようとしているのではないと示す事。
 …芽生が居なければ凝ったCGは完成させられないと、さしもの脳天気少女も分かっていたはずで、実際の所、アテにせずには居られない状況だったと思うが。
全てひっくるめて、まなびの計画通りに運んだ、とも考えられるけど、そんな小狡いキャラじゃないか。
 いや、デモを完成させられた上、芽生の心は癒せ、誰も損などしていない訳で、そういう計算高さを持っていてくれた方が「生徒会長向き」だと言えるのかな。
覗き見る芽生に対して行った(?)「友達になりたい」演説など、おバカさんキャラじゃ とても出来そうにない完成度で。
 ヒネくれた見方をしているのは承知の上。

 芽生の部屋を訪れながら、何も言わない むつきは、なかなかに男前。
 CGの完成を、「小人さんのおかげ」と本気で信じる光香の天然ぶりが可愛い。
 キャラの魅力、出て来たなあ。


2007年1月29日 月曜日

『ウルトラマンメビウス』41.「思い出の先生」

 『80』放送時は、年齢的に特撮物から距離を置いていた時期であり、また造形にも難を感じ、ストーリーとしても「教師で防衛隊員であり、なおかつウルトラマン」という無茶な設定に乗り切れなかったため、リアルタイムでは ほとんど見ていなかったと思う。
後に…再放送時か、レンタルビデオの形で かなり補完しているつもり。
 「マイナスエネルギーが怪獣を産み出す」という考え方は面白かったし、その矯正のため学校教師になるヒーロー、というのも、今なら もっとシリーズとして成立させ易い方法があると思うが、当時の『ウルトラマン』のフォーマットには なかなか乗り辛い物だったろう。
 消化しきれない「教師」という設定を途中で捨ててしまう判断は、巨大ヒーロー物として間違っていないけれど、それがまた作品としては中途半端な印象を残させる要因にもなっていた。

 そこに、今回のエピソードでフォロー。
 なるほど、本編では到達できなかった、生徒達の矢的学級からの卒業を見せることで、『80』という作品そのものをキレイに閉じて見せてくれる、非常に上手い作り。
UGMの仲間達と再会させるよりも、この方が遙かに正しく、『80』らしい。

 80を「仰げば尊し」で送る、成長した生徒達のシーンにはホロリ。
 ただ…
そこが非常に良かっただけに、その後で、人間体の矢的が登場し、改めて生徒達と再会するのが蛇足にも感じられてしまう。
 ウルトラマンの正体を知らせる訳にはいかず(堂々公開してしまったメビウスの作中で?)、生徒達とは80の姿のまま別れていくとか。
ちょっと寂しい終わり方になってしまうなあ。
 同窓会を先にやり、後で現れた怪獣を倒し、そのままの勢いで生徒達に別れを告げ80は地球を去る、とか。
それだとマイナスエネルギーから「卒業」したかのような、「優しい怪獣」の設定が使えなくなってしまう…
 80を相手に、不本意な形で中断させられてしまった矢的先生と生徒達による学級の関係を、一度しっかり終わらせて見せ、そこから心新たに「同窓会」を始めた、という理解で良いのかな。
 このタイミングで矢的として登場したことにより、逆に、「80ではないか?」とする疑問を払拭できたり?

 『メビウス』は、こうやって旧シリーズにフォローを入れるのが巧いなあ。
 『仮面ライダー』も、ぼちぼち歴代シリーズ全肯定な作品を作って良いのでは。
『電王』なら、時間を超えられる設定を持つようなので、先輩達の活躍を紹介するに都合が良かったかも。


2007年1月28日 日曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュ』15.「喝采 の マオ」

 マオは、ルルーシュと同じギアス使いとして、先読みの能力で対立していくキャラになるものと思っていたので、こんなにも早い退場に驚く。
他にも魅力あるキャラが多数登場しているため、これによって困るような事はないだろうが…
 マオは能力が拡大していると語られていたから、体の再生能力もC.C.のように強化され始めており、死んだ、と見えたがいずれ復活して再登場する、という手もある?
 しかし、既に「ルルーシュの敵じゃない」テイタラクを見せてしまっており、今となっては そこまでしてフォローすべきキャラなのかは疑問か。

 他にもギアス能力者は何人も居たり?
 超能力なら、瞬間移動や念動力、変身能力など いくらでも設定できるけど…ルルーシュ、マオと見てくると、ギアスは精神的方面の力に限られている?
そうなると、幻覚を見せる力とか、完全に精神支配して「体を乗っ取る」ような事が出来る力とか…うーん、ルルーシュのバリエーションに過ぎないな。

 シャーリー、普通に学校に来てるんだ。
ルルーシュが生徒会長に苦しい言い訳をしていたが、いずれ無理が出て来そうな。
 もう少し大きめに記憶を欠損させ、病院送りにしてしまうとか…それじゃ可哀想すぎるなら、父親の死のショックから、記憶が欠落するような憂慮すべき状態にあると彼女の親族にでも連絡し、本国に引き上げさせてしまえば良いのに。
 まあ、この詰めの甘さこそ、ルルーシュらしい個性とも言えるんだけど。

 ヴィレッタは、やっぱり記憶喪失になっていたか。
そうでなきゃ、ゼロの正体がすぐバレてしまうから。
 いつ記憶が戻るか分からない状態で、レジスタンスのリーダーに拾われ…と、物語に不安定な「引き」を設けるのが上手いなあ。



『仮面ライダー電王』01.「俺、参上!」

 電車に乗ってやってくる、微妙な感じのデザインをしたニューライダー・電王、初登場。
 主人公は、驚くぐらいの平和主義、というか弱虫?
自転車で何気なく木の上に飛び移れるぐらいの脚力があり、体を乗っ取られた時には街のワル相手に超絶の戦闘能力を見せつけた(これには魔物の力が介在している?)所から、体力的に劣る訳ではないのかも知れないが。
 脚本・小林靖子らしく、シリーズでは『龍騎』主人公に近い造形。

 主人公と不良の一人は、体から魔物となる砂を落とし続けていたので、「ベルトにより生じた磁界により、砂になった魔神を身の回りに纏う事でライダーへと変身する」とかいう設定なのかと思えば、それとコレとは別?(本編だけの情報で見たいと思いつつ…公式サイトを ふと見てしまうと、メカニックなだけの変身ではなく、やっぱりそんな感じらしい)
 「変身」するのに重ねて、魔物に人格を明け渡す「変心」も遂げているのが、ちょっとヤヤコシイ。
これはつまり、ライダーになると同時に主人公自身は「居なくなる」し「要らなくなる」って事?
 いずれは主人公が強くなり、自身で戦闘を完全に支配できるようになるのかも知れないが…
まず示された この変身は、「強くて格好いいライダーに自分もなってみたい」子供達の願望に応えられるものだったか?
 パターンが確立し、馴染んでくれば、特異な設定は逆に独自の面白さを主張できる利点にもなるので、慌てず見ていくけど。

 第一話だからか、CGは頑張っていて目に楽しい。
一般道を、自転車と併走して列車が走り抜ける所(通りすがり母子に見られていたが…歴史に悪影響を与えてない?)なんて、なかなかのイマジネーション。
 「最初からクライマックスだぜ」とかいうような、妙で、子供から大人オタクまで喜んで使ってくれそうな印象に残るフレーズを考え出すのが、上手いなあ。
 不安だったヒーローのデザインも、まだ格好良く見えるようになった、とは言えないが、変身ギミックの面白さなどもあるから次第に気にならなくなるだろう、とは思う。
 小林靖子の腕力で、どうにもグズグズな進行になりがちであるライダー・シリーズを、今期はキレイにまとめ上げてくれるよう、期待。


2007年1月27日 土曜日

『SHUFFLE! MEMORIES』02.「芙蓉楓編 前編」03.「時雨亜沙編 前編」

 あー、このシリーズは、普通にストーリーのダイジェストを やっていくものと思い込んでいたが、登場少女キャラクター一人一人に焦点を絞り、その魅力を見せていく作りなんだ。
 初っ端は、全キャラの中でも格段に強烈な印象を残した、楓編。

 主人公との間に一番深いドラマを形成し、寄せる想いは「狂気」にも達しており、とにかく こちらの心を揺さぶるキャラだったので、出来ればハッピーエンドにして上げて欲しかったと、当時思ったもの。
 でも、こう整理して見せられると…
 楓のために嘘をつき続けていた主人公。
 それから、「復讐者」として少女期を過ごし、真実を知った瞬間から「全てを犠牲にして主人公への懺悔をする者」へと人格を一転させ、そのどちらも本人にとって自然体であるのかどうか分からない楓。
 どちらも「嘘」が介在していると考えると、恋愛に真実だの真心だのといったファンタジーを期待する若い衆なら特に、関係を結実させてしまう事に躊躇いを覚えてしまうものなのかも知れない。

 こういう編成なら…後は楓編の後編だけ見れば、それで良いかな。



『ショートDE アニメ魂』05.

 『猫ラーメン』は、原作コミックを買って読んでしまった。
 確かに、このネタで三十分のアニメを見せられるとキツいかという気はするけど、連続して読む事で段々と面白くなってくる作りのため、僅か数分のアニメを週一で見せられても、評価の仕様がないような。
まあ、漫画も連載そのものは、更に間を空けて行っているんだろうが。

 あと、『花山院ですが何か?』って、本当に前回で終わっちゃったのね。
チープな画面とか しょーもないギャグに馴染み、クセになって来ていた所なので、終了は寂しい。
この番組の中では、一番楽しく見られるアニメだったと思うが。
 公式HPでの配信で更に続く、という事だけど…チェックを忘れそうだなあ。



『Project Blue プロジェクトブルー 地球SOS』03.「要塞島出現!メトロポリタンX危機一髪!(前編)」

 そういえば感想を書き忘れていた新番組。
というか、OVAで発売された作品を、テレビ放送したもの。
 第一話はストリーミング放送か何かで発表当時見ており、画面クオリティーには感心した覚えが。

 小松崎茂の世界を、現代のアニメーション技術で甦らせる、というコンセプトなせいか、あちこちアナログな手触りの残る作品。
「SF」というより、「空想科学冒険物」と呼びたい。
 登場メカニックにしても、図解で「スーパーせんとうき・スカイナイトのすごいせいのうがあきらかになったぞ!」とか「恐ろしい ようさい島の全てを大こうかい!」とか描き現して欲しい気分に。
 科学者達が作り上げた巨大都市要塞。
…そんな資金をドコから調達?これだけデカイ物が建造中に気付かれなかったとは考えにくい、なんて現実に即した事を考えてはいけないアニメ。
 リング状のビームやらエアカー等、ノスタルジックな画面作りが気持ち良く、全編それで通して欲しかったけど…巨大UFO登場の演出なんかは明らかに『インデペンデンス・デイ』以降を感じさせ、少々不徹底(あれが斬新だったって事でもないが)。

 科学と勇気を用い、無闇に悪い宇宙人を倒せ!という、今日日 流行らないストーリーを、ハッタリの効いた画面と、高いレベルの作画で楽しく描き出せており、見応えがある。
 細かい事は気にせず、人類対宇宙人の戦いの帰結を見守っていきたい。


2007年1月26日 金曜日

『ひだまりスケッチ』03.「またはインド人」

 こういったキャラクターが織りなす、こんな感じのアニメで、ちょっと えっちなシーが見られるとは思わなかった。
といっても、少々色っぽい格好をして胸を強調してみせるとか、その程度の可愛いものだけど。
 担任の吉野家は、前々からコスプレをしてみたり生徒に自分の写真を送りつけたりと、こうなる素養を備えた困りもの教師だったっけ。
 美人(可愛いタイプ?)だし、スタイルも良いようなので、普通なら野郎共の妄想対象になりそうなものだが…
逆に、こうも あからさまだと萎えそうだし、「この女性に手を出すのはマズい」といった本能的恐怖を感じさせてしまうかも。

 雨漏りと、床下に敷き詰められた乾燥剤がもたらす、危機。
そういえば前回だっけ?そんな事を言っていたような。
 伏線だったんだ…意外。
結局は大事にならず、終わってしまったが。
 「アパートに色々な仕掛けをしていったらしい先輩」というのも、また出てくる設定なのかな?


2007年1月25日 木曜日

 ソフト化されたので、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』を見る。
 監督も主演俳優達もほぼ同じの、大ヒット映画第二弾。

 馬鹿馬鹿しくて楽しかった。
…という以外には、特に感想が出てこない映画。
 最初の方の、串に通されたジャックと球形檻に入れられた仲間達による大脱走、後半の、水車を転がしながら展開するドタバタ剣劇など、アクションにアイディアを掛け、見応えのある物にしようとする努力は大変なもの。
ピクサー社作品のように、妥協無く全編を面白さで覆おうとしている印象。
 そういえば、キャラの煮詰め方や、考え抜かれたアイディアの大量投入など、3DCG映画の作り方と酷似しているような。
 それをベースに、ジョニー・デップら、魅力のある生身の俳優が出ている訳で、そりゃ興行的にも強くなるはず。

 視覚効果の進歩は素晴らしく、ウネウネと動き続ける悪い船長の顔触手など、無駄なまでの懲りよう。
 陽光の下、船を襲う巨大な触手の群れ…なんて、これまでは、企画できても説得力のある映像化は相当に難しかったろう。
 相変わらず無責任でテキトーで格好イイ、ジャックの造形が良い。
他のキャラも頑張っているんだけど、彼の強烈さに負け、「ジャックの引き立て役」という色合いが強くなってしまう。

 三作目に続く…けど、これ、ちょっとだけ切り詰めれば この映画だけで普通に完結できていたのでは?
どうにか、化け物海賊船長を倒してしまえば良いだけの話だし。
 次作への引きは恐ろしいぐらい強力にされているので、またヒットさせられるだろうが。
 商売、上手いなあ。



『レ・ミゼラブル 少女コゼット』03.「新しい友だちシュシュ」

 コゼットが預けられた当時は、「対等な友達」として接していた宿屋の娘姉妹。
 汚い、キツい仕事をコゼットが常に押し付けられている事実と、母親が彼女について娘達に「差別して良い・対等に扱ってはならない人間」扱いするよう躾けている、その教育効果がメキメキと出て、「蔑むべき相手」という認識に変わっていく。
 しかし姉妹、もらったオヤツをわざわざ隠し、コゼットの仕業と言い付けて母親に叱らせ、その後になってようやく食べる、というのは、別に楽しい事じゃないのでは?
コゼットを虐める名目なんて何とでもなる訳で、楽しみなオヤツを後回しにしてまで虐める理由とするのが、不思議。
彼女への認識として、「虐めても構わない」のではなく、「あらゆる手段を用いて虐め『なければならない』」相手、になっているが故か。
 ごく当たり前にウソをつき他者を蔑める オカミさんとは違い、姉妹にとってそれは、心に負荷が掛かり続ける辛い状態なのかも知れない。

 五感を用いて相手の言葉を判断する、オカミさんの野性が楽しい。
警官とか、名探偵になれる素養があったかも(総合的には あんまり確かな能力じゃないから無理?)。
 仕事を得て、精神状態に余裕が出来たように見えて、つい嘘をついてしまうアランも、人間味があって結構。
 思えば この作品は、ジャン・ヴァルジャンによる大きな嘘ばかりでなく、登場キャラクターが、必要に迫られて・好んで・誰かのために・独善的な理由でつく大小様々な「嘘」というのが、テーマにもなっているのかな。

 脇キャラの面白さに比べ、通り一遍の描写に留まるコゼットや、まだ重要な設定に触れていないせいもあるが余り興味を感じさせない市長などは、魅力に欠ける。
 酷いのはファンティーヌで…
僅かでも余裕があるなら娘に会いに行けよ!と思え、「物語上それは出来ない」という都合ばかりが目に付いてしまう。
 朝から夜まで仕事に追われ、部屋に帰った頃には(彼女に余り体力が無いせいもあり)もう目を開けていられない。
休日はあるのだが、コゼットの居る街まで帰るには数日の日程が必要なので、思うに任せず。
加えて…第一話であったように、娘が居ると言っては雇用上 不利になってしまう社会情勢のため、居ないという嘘をついており、より行動の自由が効かなくなっている…とか何とか、もうちょっと会えない理由を具体的に見せて欲しかった。

 コゼットが受ける虐待が、さほどシンドく描かれていないのは、時代に合わせたものか。
 それは、物足りなくさせる要因でもあるけど、見ているのが本気で辛いような内容だと、自分も どこまで視聴を継続できるか疑問なため、この程度に留めるのが良いのかとも思う。


2007年1月24日 水曜日

『東京魔人學園剣風帖 龍龍』01.外法編 第壱夜「逢魔ヶ刻」

 ゲーム版は、頭の方をちょっとだけ遊んだ事がある。
 という程度の知識しか持たないせいか、それとは関係ないのか、かなり不親切な第一話。
主人公の設定も、同級生達との関係も、これだけでは よく分からず。
 確かに、こういう語り出し方もあるんだけど…
意味ありげに出て来ながらアッサリ殺された、妙な術を使うジイサンとか、ただでさえ入りづらい内容を無為に複雑化させる役にしか立っておらず、登場させない方が良かったような。
 この手の作品のパターンで読み解けば、そんなに難しいストーリーじゃないと思うが、とにかく不親切な作りには違いない。

 誰に感情移入が出来る訳でなし、視点すら定まらず…
アクションにはハッタリが効いていて見応えがあるし、作画もかなり高品質だと思いつつ、しかし「面白い」とは感じられなくて、残念。
 主人公が転校してくる所から始める、無難な作りではダメだったのかなあ?

 取りあえず視聴継続。
 ただ、こんな感じのまま回を重ねていくのだとしたら、早めに視聴を終えてしまう可能性あり。



『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』03.「月曜日じゃ遅すぎる」

 さすがに、無茶苦茶動き回る、という程の作画ではなくなったが、水を浴びて振り返る まなびの表情、ラーメン屋で一人だけ猫舌な様子を見せる芽生など、細かいところに拘った印象的な絵作りが素晴らしく、不満無し。

 キャラクターの中では、ツンデレというか、押しに弱く付き合いが良すぎる芽生が、とにかく可愛くて印象に残る。
 様々な方向の知識を持ち、的確なアドバイスも出来るけれど、それを自身に活かす力は無い、という軍師向きの性格付けが楽しい。
ドッジボールで顔面に続けざまに球を受け、模様が突いたまま取れなくなっている今回一番のギャグにより、すっかり まなびを喰ってしまった。
 常識を備え、しかし非常識…というか行動力が余りすぎている まなび達に引きずり回されるキャラなので、彼女をヒロインとし、その視点を通して世界を見せる事により情報を整理する事も出来たのでは。
 まあ、そんな分かり辛い世界観では無し、まなびが中心で困る事など無いんだけど。

 ドッジボール後の お茶会で、生徒会長らしくない、楽しいばかりの話題を提案し、皆から醒めた対応を取られてしまう まなび。
ああ、他校は ごく普通の生徒会なのね。
 「学園が生徒達の生活の中心では、必ずしも無くなっている」という設定があったような…そうすると、生徒会は旧来通りの そういうものであり得るのかどうか。
 多佳子が属する学校は、裕福な子女向けに作られた私立校っぽいので、下々の者達が通う学園とは生徒の有り様が違って当たり前かも知れないが。
 その他の学校は、真面目・常識的であろうとする生徒会と、それほど学校に重きを置いていない生徒達の間に距離が出来、悩んでいる、それを解消できる糸口が まなび達の活動にあり…という風に提示する事も出来たかと。
 一度に全部 見せる必要も無いのだし、もしか それをやるとしても、追い追いで構わないか。

 おバカさんだけど純粋で、闇雲な夢と希望に溢れた まなびの言葉が、周りの女の子達にパワーを与え、前向きにしていく。
…そもそも大きく後ろ向きな子が居ないので、落差は出ていないけれど、心地良いパターンを構築し、「こういう女の子がいれば、学園生活も楽しいだろうな」と視聴者に感じさせる事に成功している。


2007年1月23日 火曜日

『仮面ライダーカブト』最終話.

 第一話からグッと心を掴まれ、途中までは本当に面白いと思って見ていた作品なので、見終わって、どうにもこう、否定的な感想しか出てこないのが辛い。
 三島との決着がどうなるか、根岸の狙いは何だったのか、ネイティブと人類の関係はどうなってしまうのか、というような事項について、大きく興味を持って最終話に臨んだ人はどのぐらい居たのか、また、その人達にとって満足のいく最終回であったのかどうか。

 多くの謎を孕んだ作品だったが、その解消によって新たな地平が開けてくる、という構成には必ずしもなっておらず、明かすべきタイミングを逸したまま終盤を迎えてしまったモノもあり。
 とにかく強烈な魅力を発する天道というキャラクターの造形に成功したのだから、謎などの仕掛けに頼り過ぎず、彼を生かし切ることで作品を成立させる事だって十分可能だったと思う。
が、ストーリーの迷走に引き摺られるように彼から輝きは失われ、「物語を切り開いていく」力の無い、「引っかき回す」だけのキャラになってしまった。
 「天の道を往き、総てを司る男」が道を失っては、話が成り立たない。

 もっと、ずっと面白い作品に出来ただろうに…
ただ、残念。


2007年1月22日 月曜日

『月面兎兵器 ミーナ』02.「プロレス大好き」

 ラビットフォースというモノの説明が、凄く ざっと成された。
スポーツ好きの宇宙人を退治する、というのは、エラく限定された成立目的だなあ。
 今回は、「猪木対馬場」という幻のカードに拘るエイリアンの言動が、プロレスに さほど思い入れが無い自分に取ってさえ共感を呼べるもので、結構だった。
十代の若い衆には こんなネタ、年寄りの懐古趣味としか感じられず、「何丁目の夕日見てんだよ」と呆れられるかも知れないが。

 月面で、ウサギをモチーフに、ニンジンが飛んで…という絵柄に何かしら覚えが、と思えば、イニシエのシューティングゲーム『ガンナック』か。
 ニンジンメカの発進シークエンスは楽しいけど、運搬車両を走らせ、リボルバーに詰め込んで回転させ…という部分だけでも数十秒は経過しているような(笑)。
変身してから、メカが到着するまでタイムロスが長いと、間抜けになってしまいそう。
 スポーツの番組は余り見ないから知らないけど、プロレスについて語らせるというコーナーで、VTRも入れずアナウンサーの顔アップだけでもたせる事なんて、まあ無いと思うが。
大抵はリアルタイムでの語りすらさせず、録音に、タイミングを合わせたVTRを被せて流す形になるだろうし。
 いや、まあコメディーに そんな細かいこと突っ込んでも仕方ないんだけど。

 とにかくストレスを感じさせないライトな内容なので、何も考えず ぼーっと眺めているほど、楽しめる。
深く考えたら負けっぽい。


2007年1月21日 日曜日

 ソフト化されたので、映画『ユナイテッド93』を見る。
 監督は、『ボーン・スプレマシー』のポール・グリーングラス
 劇場で見たいと思いつつも、見終わった後ずしーんと落ち込んでしまいそうで怖く、行きそびれていた映画。
 さすがにDVDの家庭内鑑賞であれば、さほど衝撃を与えられることもあるまいと思い、見たが…

 てっきり、飛行機内の様子ばかりを描く映画なのかと思っていたので、前半、テロを受けて動揺し、苦慮しつつも何とか対応しようと努力する航空管制官や軍人達の様子が、かなりの頻度で登場し、「アメリカ」の緊張感を上げつつも、機内に視点が集中しないよう構成されていて、意外。
 客観的に、しかも既に知識を持っている身として見ていると、ツインタワーに飛行機が突っ込んだ時点で「テロ」を予想し、全航空機に着陸を指示すべきだったんじゃないか…などと思うが…
飛行機ごと建造物に突っ込む特攻テロ、なんて普通には考えつくものでなく、手探りの状態から、巨大な損失を産む全フライト禁止に持って行く決断など、早いぐらいだったろう。

 映画後半は、機内にカメラが固定され、緊張感は一気に高まっていく。
 「主人公」というものを設定しておらず、乗客達の様子を客観的に…というか、カメラの主観的に撮ってあることで、観客も客室内に同乗しているような気分にさせられる。
 つい、「あの映画の、テレビシリーズのヒーローがここに居れば、僅か四人ばかりのテロリスト、一分で片付けたはず」とか、フィクションと混同してしまう。
 起きている事件は、アクション映画としか思えないぐらい理不尽で恐ろしいものなのに、その劇中に絶対必要とされる無敵のスーパーヒーローは、居ない。
捨て身で戦った名も無い乗客達が(いや、どの人にも名前があり、家庭があり、人生があった)居ただけ。

 自分だと、アホなことばっかり日常的に考えているため、こういう、とても現実とは思えない事態への対処は遅れそう。
「機内に、拳法の達人が一人ぐらい乗っているだろうから、任せよう」とか「もうじきステルスがこの機と接舷し、特殊部隊が救助のため乗り込んでくるはずなので、待とう」とか、「全員パラシュートを着けて機体後部のハッチから脱出しよう」とか考えつつ、震えているばかりだろうな。

 テロリスト側も、恐れや迷いがある「人間」だと描いていたのが、印象的。
 悪魔や怪物によって引き起こされた事件ではなく、あくまで当事者は、同じ人間。

 機内の状況は絶望的なものだけど、決して希望が皆無という訳ではなく、「もしかしたら」を感じさせる所がまた、緊張感を上げていく。
 「ヤケになって逆上した」のと違い、「生存に向けて精一杯努力をした」というのは、遺族にとって救いだろうか。
 フィクションとしてキレイに終わらせようとしていない、プツッとしたエンディングがまた、ズシリと腹に堪える。
この飛行機に同乗していた「観客の人生」は、墜落の瞬間、終わりにさせられてしまったのだ。

 凄いものを見た、というのが素直な感想だけど、これをどう受け取れば良いのか、ここからどのように考え、また自分の人生に活かせば良いのかは、まだ分からない。
映画内容を消化し切るには、かなり長い時間が必要になるだろう。
 9.11については、この映画だけで完結するものでなく、多くの情報と共に考え続けなければならないし。

 見て良かったし、現代に生きる人間であれば、見ておくべき映画かと思う。



『ひだまりスケッチ』02.「ニッポンの夏」

 ああ、今回 演出を担当したのは、『ぱにぽに』でOPを手掛けた方なのか。
それらしい、とにかく早いカット割りと、意表を突きつつ納得させられたり やっぱり意外で驚かされたりのカットの繋がりと、画面構成に、引き付けられっ放し。
 不思議で、ちょっとだけ不気味な伝説を混ぜつつも、穏やかな日常話だったんだけど、演出により精神的な揺さぶりを掛けられているもので、語られる怪異に、それ以上の意味があるようにも感じてしまう。
虚実を混ぜつつ今回の話を引いていけば、『ひぐらしのなく頃に』みたいに出来てしまうが…勿論そんなの、製作者の意図では無かろうな(^ ^)。

 女の子達に個性が見えてきて、掛け合いが楽しく見られるようになってきた。
 キツいツッコミを入れるキャラがいれば、もっとギャグっぽく出来そうな気もするけど、ほのぼの癒しの雰囲気が壊れてしまうので、このままでも良いか。



『デルトラクエスト』03.「黄金の騎士ゴール」

 第二話では、森に棲む生き物の生態について、獲物が得られない時は おこぼれを頂く小型怪物達が何体か犠牲になって巨大怪物の胃を満たす事になっているらしい、とか、考えている雰囲気があり、それはそれなりに面白かったけど…
 今回は、永遠の命に固執する騎士・ゴールを相手に、ヒキョーというか そんなのアリ?というような手段で勝利を収めており、どうにも。
 利を求める余り仲間を殺してしまうという騎士にあるまじき愚挙を犯しておきながら、なお騎士である事に拘りを持っているキャラらしかったので、正々堂々と勝負して誇りを満たした上で成仏させてやるのが、正統派の解決法。
 奇策を用いて勝利を収める、という事でも構わないが、その方法が何かしら面白いものでないと…
ジャスミンに助けてもらっただけだからなあ。

 宝石が世界に散ったのは、元鍛冶屋の初代国王の時代からかなり後のはず。
しかし騎士はその初代国王すら知らなかった。
では、いつ、騎士の剣の束にトパーズが入る事になったのか?
 割合 最近になって、たまたま拾った宝石を、たまたま空いていた剣の束に嵌め込んでみました、ということ?

 今回、一話冒頭以来またも初代国王の伝説が語られた。
親切と言えるかも知れないけど、くどいとも感じる。
 ここで設定を紹介する段取りなら、第一話では省略して良かったんじゃ?

 作画が安定しているし、酷く悪い内容ではないんだけど、このまま冒険を最後まで見続けるだけの価値があるかどうかには疑問が。
 あと一、二話だけ見て、このままのレベルで進んでいくようなら視聴終了にしたい。


2007年1月20日 土曜日

『ウルトラマンメビウス』40.「ひとりの楽園」

 うーん…イジメを苦にした自殺が相次ぐ世相から、こういう作品を作りたくなる、テーマを語りたくなる気持ちは、よく分かる。
その主旨には決して異を唱えるものではないが…
 純粋にストーリーだけを抜き出してみると、良い出来とは言い難い。

 人間を客観的に見てしまうミライの視点を混ぜたせいで、イジメられている少女の孤独が弱く感じられるし、その少女と植物男との出逢いも「傷を手当てしてあげる」というものである理由が薄く、後に生きていない。
 少女の彫り込みが弱いため、犠牲になろうとした人達に語りかける彼女の「お説教」が、取って付けたモノに聞こえてしまう。
 「孤独が埋められた幸せな世界」を、具体的に見せて欲しかったなあ。
少女は一度、その世界に取り込まれて良かったのでは。
それが幾分か気持ち悪いものであれば、彼女の立ち直りに説得力が生まれるし。

 植物怪獣に、悪気が無いのが凄い。
人々の孤独を埋めてあげようと心から考えているように思え…いずれは捕まえた人間を栄養源にしようというのかも知れないが…それでもなお、怪獣による補完を望む人間は多く居るだろう。
 皆の心を結びつけて一つにし、大きな力にする…という意味では、この怪獣とメビウスの存在理由に さほど大きな違いは無い(強烈な独善性が違うけど)ようにも思え、興味深い。

 「テーマを訴えたい」気持ちのみが先行してしまい、「どうすれば上手くそれを伝えられるのか」についての練り込みが足りていない印象。
 物語としても、もう少しで「面白い」という所まで突き抜けられた部分があるのではないかと思え、残念。
 でも、未完成でもこれを今 語る事に意味がある…と考えたんだろうな。
それはよく分かるし、心意気や良しと思うんだけど。



『コードギアス 反逆のルルーシュ』14.「ギアス 対 ギアス」

 シャーリーに、ゼロとしての正体を知られてしまうルルーシュ。
 てっきり今回は、ルルーシュを前に葛藤するシャーリー、その彼女の後ろからヴィレッタが…という、前回の直後から話が始まると思っていたので、気が付くと誰も居らず、不可解な現場の状況に動揺するルルーシュから まず見せられるのに、驚く。
ここで、瞬間に何が起きたのか推察できた…「一瞬で十四の可能性を考えつけた」ような人は、ゼロになる素養があるかな。
 すぐに、無傷なシャーリーの涙と、持って帰った銃が示されるので、そうなると事態は想像できるようになるが。

 他者の考えを読む能力者・マオが登場。
彼とルルーシュによる読み合いが非常に面白く、納得できる形で描かれており、感心。
 逆上するシャーリーに掛ける言葉の選択は難しかったと思うが、ルルーシュの「人殺しが罪だというなら、罪を重ねるな」は道理に沿い、彼女の自己矛盾に言及していて説得力があり、それを「上手い!モノは言い様だね」と鋭く突っ込んで台無しにしてしまうマオには、掛け合い漫才のような楽しさがあって、笑ってしまう。
 ルルーシュにとり、戦闘能力が恐ろしいのはスザクで、先読み能力で拮抗してくるのは このマオになるのか。

 シャーリーの記憶を奪う事態解決法では、ルルーシュに都合が良すぎて面白味に欠ける…と考えていたが…
 彼女に「ヴィレッタを殺してしまった(死んでないけど)」負い目を設けたことで、記憶消去を彼女への「救い」にし、またルルーシュにもそれにより大きな大きな「失うもの」があると表現して見せられたことで、身勝手さの無い、切ない幕切れに繋げてみせる、構成の妙。

 こうなるかな?と考えた予想とは大きく違う展開を迎えつつ、新キャラ(とは言えない?)・マオを強く印象づけて絡め、僅か一話でシャーリーとの関係をキレイにまとめ上げて終わらせ、不満を残させない。
これがプロの仕事だなあ、と感心するばかり。
 しかし、シャーリーは学園生活に必要なキャラだったと思うが、事件に関するものだけでなくルルーシュの記憶まで消してしまったとなると…
今後はもう出てこない?本国に帰ってしまうとか?
「初対面」のルルーシュに対し、一から愛を育んでいくのか。
ギアスの力が、かなり長いにせよ期間限定であれば、いずれ記憶が戻ってヤヤコシイ事になったり?


2007年1月19日 金曜日

『Venus Versus Virus』02.「イケイ セカイ」

 バーサーク状態をコントロールできないスミレの、内面を描く話。
 とにかく作画も演出も冴えなくて、女の子達を可愛らしく描き出せておらず、アクションにも気合いは抜けっぱなしで、画面から興味が逸れてしまう。
 ショボいヴァイアラスのデザインは、さすがにどうにかした方が良いかと。
セーラームーンなどの敵みたいに、半分ネタが入っている馬鹿馬鹿しいデザインまで突き抜けるなら良いんだけど、ただ単に魅力がない、精彩を欠いた敵では…

 ストーリー。
こういうパターンなら、「寮の友達が襲われる」「彼女達を守るため、封印したかった自分の力を使ってしまう」「もう友達と無邪気に遊んでいられない、日常には帰れない自分を自覚する」辺りが無難なところ。
 そりゃ、必ずしもパターンに沿う必要なんか無い訳だけど、その場合は「沿わない事でより良くなった」と感じられる内容にする事が肝要。
今回の内容は…うーん…変えようとしない方が良かったような。

 作品のどこからも魅力を感じられず、次回までは見るかも知れないけど、そこで余程 大きく化けない限りは、視聴を終了したい。


2007年1月15日 月曜日

 『ウルトラマンメビウス』39.「無敵のママ」
 久々の大変結構なバカ話。
 正しい勇気を示して命を落とした人間に、復活のチャンスと特別な力を与える、ウルトラ族の お約束を悪用した、詐欺っぽいサーペント星人の悪巧みが楽しい。
 てっきり最後は、宇宙人を追い払うのには成功したがママの命は尽きてしまい、子供達と涙の別れになるかと思っていたが…修復された体を使いっぱなし、しかも(次第に失われるという事だけど)超能力までそのまま残った、という恐るべき無反省かつ無責任な終わり方で、大笑い。
ママさん、ウルトラシリーズの長い歴史でも、最も強力なバイタリティーを備えた一般人ではなかろうか。

 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』02.
 とにかく細かいところまで良く動くアニメ。
お弁当に詰めるウィンナーが軽く押し戻されたり、勢いよく開けたドアが反動で少し閉じてきたりと、「そこまでせんでも いいだろう」な凝り方が全編に溢れており、テレビでここまでやってしまう情熱には降参。
 キャラクターに個性が出て来たし、それぞれの掛け合いも楽しく、所々に挟まれるギャグのヒット率さえ上がり、グッと面白くなってきた。
 この頑張り過ぎな作画は、さすがに長くもたないと思うけど…
代わってキャラや楽しげな雰囲気の魅力が強く出るようになれば、十分、最後まで視聴者を引っ張っていける作品になるだろう。

 と、いう所で、〆切前スケジュールに突入。
 今週一杯、更新は不安定になるかと思われます。
悪しからず、ご了承下さい。


2007年1月14日 日曜日

『月面兎兵器 ミーナ』01.「はじめての汁実」

 情報を仕入れないので全然知らなかったが、このアニメは、実写ドラマ『電車男』OPで、『DAICONオープニングアニメ』のパロディーをやっていた、そのキャラクターを主人公に据えた作品だ、という事なのか。
 突然に宇宙人と戦う事を宿命付けられてしまうのは、「お約束」で問題なく受け入れられるが、「普段は高校生女子アナウンサー」という設定の方は異色で、付いて行き辛かったり。
 「月のウサギ」キャラなのだし、要するに『セーラームーン』をやりたいのかと思え、それなら別段 普通の女子高生でも問題はないと思うが…
『ウルトラマン』で主人公が防衛隊に所属しているのと同じで、アナウンサーなら事件の現場に立ち会っていても不思議がない、そういう所をストーリーに活かしていく予定?

 作画はキレイだし、演出的にも不足が無く、ギャグっぽい雰囲気も(笑えはしないものの)良く出せている。
深夜アニメっぽく、ちょっとえっちなサービスカットも挟んであり、そういう面では不足のない第一話。
 アリガチな内容には感じられてしまうが…
シリーズ原案を鶴巻和哉が手掛けている、という事で、いずれ何か一筋縄ではいかない要素が顔を出してくるのかも。
 「アニメーション制作・GONZO」の表示は、必ずしも高いクオリティーを保証するものではなくなっており、作品によっては大きく作画が崩れたりするので、不安。
頑張ってくれると、いいなあ。

 視聴継続。



『コードギアス 反逆のルルーシュ』13.「シャーリー と 銃口」

 まだまだ甘い…というか非情になり切れないルルーシュの内面が、より明らかに。
 見も知らない他者の命(撃たれる覚悟を持っていなければならない者が多かろうけど)は平然と奪えても、身内とも言える親しい者の苦しみや悲しみには、年齢相応の少年として反応してしまう。
 特に、「愛する母の命が失われたことを省みず、自分にも妹にも関心を向けない父親」への怒りが彼の原動力だろうから、シャーリー父を巻き込んで殺してしまった事実について無感動では、自己矛盾を抱え込む事にもなるだろうし。
 仲間も肉親も平然と犠牲にしていく『デス・ノート』キラの超越ぶりにも惹かれた・憧れたが、まだ人らしさを残すルルーシュの葛藤には、同じ人間として感情移入しやすい。

 迷いを感じてしまうカレンの相談に答え、今後の道を問いかけるルルーシュ。
 共に進むという彼女の言葉は、彼にとり、戦闘力として この上なく貴重な存在を失わないで済んだ実利的な有り難さもあったろうが、自分の心にも光を(あるいは闇を)与えてくれたという意味で嬉しさがあったと思え、呟く「ありがとう」の言葉に、計算ずくではない本心が感じ取れる。
その一言は、カレンの彼への気持ちを、「有能なリーダーへの尊敬と畏れ」から更に一歩進めたのかも(もう、かなり進んでいる?)。

 ルルーシュとスザクが叫び合う、「貴様さえ居なければ!」と「お前が居るから!」は、言い方を変えつつ同じ意味を持っており、言葉選びのセンスに感心。
 ぼちぼちスザクの側にも、彼と似て非なるキャラを配すれば、より深く彫り込めるような。
日本がもの凄く嫌いな日本人は、現実にもいくらでも居るだろうから、征服したブリタニアに絶対の忠誠を誓い、他国人よりもなお過酷に、憎しみを込めて同国人を弾圧し、殺していく兵士を。
今回の遠距離狙撃中にも、「日本人がゴミのように死んでいくのは爽快だ、なあスザク、お前もそう思うだろう?」と語りかけさせるとかすれば。
 そんなに分かり易くしないでも、今回、虐殺に近い命令に初めて葛藤を感じていたので、十分ではあるか。
 ルルーシュもスザクも、抱く理想に辿り着くためには、遙かに遠回りのイバラの道を歩まねばならないのだと改めて気付く、転機となるエピソードだった。

 シャーリーの前に、素顔を晒してしまうゼロ。
こうなっては…さすがにシャーリーを黒の騎士団に入れるとかは無理だろうから、殺すか、ギアスで(彼女にはまだ使っていない、よね?)記憶を奪うしか。
 ラストで、はっきりした彼女のリアクションが見られた訳ではないので、実はハッキリ顔を見ていないまま、彼女が、あるいはルルーシュが戦場から遠ざけられる、という事で危機を脱する可能性も。


2007年1月13日 土曜日

『セイントオクトーバー』02.「ロリ吃驚(びっくり)!噂の美女が超襲来!」

 相変わらず、ゆる〜い内容。
 せっかく落ち目の女性タレントを出したのだから、下降気味の知名度など用いて、もうちょっと笑わせようがあったかと。
「ウソ乳」という非常に辛辣な指摘にしても、男の子から揶揄されても本人が「根も葉もないことを言うなと激怒」「うっかり認めてしまう」等のリアクションを取らないため、ギャグになっていないし、最初に言い出したヨシュアの目が確かだったのかどうかも分からずじまい。
 どうとでも遊べるキャラだったと思うのに、勿体ない。

 ヨシュアが、小十乃を心配する余り手を上げるシーンは、血は繋がらずとも実の親子以上の関係を築き上げている二人を、印象づけようとする意図があったのだろうが…
それにしては、危険な探偵業に就くことを許しており、不可解。
 小十乃が捜査する事件については、事前に厳しい審査を行っており、危険があるとヨシュアが判断したものについては参加を許さない、とか。
 常に物陰から義娘を見守り、危害を加えそうな物を排除しているとか(第一話で、もう危ない目に遭っているが)。
 彼には、「この世のこと」なら未来まで全て見通せる不思議な力があり、娘は怪我などしないと「知って」いるが、「超常の力」が娘の周りに加わってきたことで先が見えなくなり、ようやく普通の父親らしい心配をするようになった…とか。
 何でもイイけど、少しは筋を通すべく考えている様子でも見せないと、「取って付けたような関係描写」としか思えず。

 悪者達。たかが子供を攫うぐらい、魔物の正体?を現さなくとも、出来るだろうに(ボス含め、お間抜けばかりのようなので難しい?)。
ヒロインらにしても、飛行機械を初めとする発明品を用い、生身で、パワー不足を知恵と勇気で補いつつ やり合う方が面白かったような。
 敵も味方も変身して戦う、というのが企画意図で、仕方ないのだろうが、変身のカタルシスを演出できていないしバトルもつまらないもので、ついそう言いたくなってしまう。

 取りあえず次回は見て、今回と余り変わらない内容だったら、そこまでに。


2007年1月12日 金曜日

『のだめカンタービレ』01.

 原作は、途中までだけど既読。
 実写ドラマ化に続いてアニメ化されるとは、相当な人気だなあ。
 ドラマの方も最後まで見ていたので、イメージの違いを心配したが…
のだめの「ぎゃぼー」とかいう変な叫び声の演技に、声優さんならではの何というか良すぎる発声があって、若干違和感を感じたぐらいで(これもすぐ慣れるだろう)、手堅く、不足のない作り。

 友人の弁当を盗み食う のだめ、といった、彼女のダメダメさ加減を彫り込むエピソードが削られていたのは気になったが、この第一話は千秋の視点で統一しようという意図があったと思え、それなら納得。
 余裕があるなら、次回以降に挟み込めば良いだけの話だし。

 原作には、音楽を「聞く」だけならともかく、「演奏する」人の気持ちなど ほとんど分からない自分にも、誰かと共に楽器を奏でる難しさや喜びとは こういう物なのか、と感じ取らせてくれた部分がある。
教師の前で、のだめと連弾をしてみせるシーンでの、「飛んだ!」「はねた!」というセリフなんかも、そう。
 ここが削られていたのは、残念。
漫画よりも、実際の演奏を聴かせる事が出来るアニメの方が、伝えやすかったと思うのに。
いや……想像に任せる事が出来ない分、逆に難しいのかな?
 特に、ドラマ版で、「素晴らしい」と言われる演奏も、「なんじゃこれは?」と評されるものも、聞き分けが出来なかった自分のような視聴者に、「決してヘタなのではなく、個性が強い演奏」を感じ取らせるのは。

 原作・ドラマを既に楽しんできたせいもあり、アニメ版が何か余程 変わった事でもしない限りは感想を書かないつもりだが、最後まで見ていきたい。



『VenusVersusVirus』01.「アオイ サソイ」

 原作未読。
 異形の物と戦う、退治屋少女達のお話。
 …余りにも よくある設定とストーリーとキャラクターすぎて、何を語れば良いのか。

 強烈な印象を残すのは、ヒロイン?ルチアがしている眼帯ぐらい。
ヒラヒラの服を着た少女が、あんなゴツイ眼帯をしていれば、初対面の人間は何らかのリアクションを取りそうなもの。
 左目を封じられれば良い、という事なら、メガネに偽装して塞ぐ形でも良かったような。
それじゃあ、絵的なインパクトが無くなってしまうだけだけれど。

 バトルに迫力や工夫が足りず、作画的にも冴えない。
 「拳銃をブッ放す美少女」ってのは とうに見慣れた「違和感」で、それだけじゃ面白く感じられる訳もなく。
 「バーサーカー化する少女」は、少し珍しいかな。
それにしたって、暴れっぷりがパワフルだとか変わった描き方をしているという事ではないため、普通に見終えてしまうが。

 キャラやストーリーの魅力が次第に出てくるのだろう、と信じて もう少し見てみるかな…



『ひだまりスケッチ』01.「冬のコラージュ」

 原作未読。
 総監督が『ぱにぽにだっしゅ!』の新房昭之だからといって、変則的な演出やテンポの速さ、強烈な印象を残すキャラクター描写ばかりを期待すると、肩透かし。
 実にノンビリ、ほのぼのとした第一話で、基本設定とキャラ紹介以外、特に描いている物は無い。
 とは言いながらも、コミカルな描写など やっぱり上手いもので、所々、「爆笑」とはいかないが笑わせられる部分も。

 時系列に沿ったシリーズ構成では無い…のかな?
冬を描いた今回の次は、イキナリ夏へと季節が飛んでしまうようだけど。
 第一話で見る限り、恋愛とか少女達の成長とか、そういうものを追う作品ではなく、居心地の良い雰囲気を楽しむ作品になりそう。
悪意のないキャラ同士のやり取りを楽しませる、「癒し」を中心に据えた作り方は、『ARIA』に近いだろうか。

 視聴継続。
 ただ、見逃した事を酷く後悔するとか、そういうアニメにはならないだろうな。


2007年1月11日 木曜日

『パンプキン・シザーズ』13.「粗野にして美味」

 去年の内に放送されたものだと思うけど、今頃見て、面白かったので感想。
 隣国のお姫様、セッティエームが登場。
奇行に走りがちなようだが、生い立ちなどから性格に歪みが生じる理由を納得でき、それでもなお見える素直さと可愛らしさのアンバランスぶりは、実に魅力的。

 王国では、王位の継承を巡り、肉親間で「暗殺」まで含んだ競争が行われている、というダークな設定が面白い。
 彼女と関わってしまうキャラクターは、3課の誰でも良かったろうが、地味な印象しか残さないマーチスにした選択で、良かったのではないか。
オーランドやオレルドでは、キャラが強い上に普通のコミュニケーションが取りづらく、一話でまとめる事が難しくなったかも知れないし。
 自分の身代わりとなって毒見で命を落とした侍女の記憶が心の傷になっているセッティエーム。
その事に気付いてやり、先に一口、ホットドッグを食べて安心させるマーチス。
僅かなシーンで、両名の性格付けと関係性を彫り込むのが、実に上手い。

 爺やを一人だけ連れて隣国へ…という行動は、邪魔者の排除を狙う兄姉達に絶好のチャンスを与えるだけじゃないか。
後半、お姫様が襲われるのは、街のチンピラでなく、差し向けられた暗殺者の方が良かったかと。
 ただ、そうすると、彼女が感じるのは「マーチスへの好意」だけで済まず、「手段を選ばない兄姉達への恐れと怒り」が混入するだろうから、爽やかな終わり方になり辛く、難しいところ。
 「ローマの休日」を経て、人間的に大きく成長した お姫様だったが…
暗殺も辞さない王宮の状況だと、本当のところ、得た美徳がどれぐらい有用なのか、疑問ではある。
爺やが、彼女には見えないよう、汚れ仕事を一手に引き受けてやるべきだろうな。

 また どこかで作品に出てくるのかなあ、セッティエーム。
 彼女の元に出向させられたマーチスが、意外と戦闘プロフェッショナル(だという設定にしてしまう)の爺やと共に、お姫様を守り、戦い、王位の継承を目指していくスピンオフ・シリーズさえ作れそうな、魅力あるキャラだった。



『SHUFFLE!MEMORIES』01.

 WOWOWで放送されたアニメ『SHUFFLE!』を再構成したもの。
 しかし、局を変えた最初に放送する内容として、コレはどうなんだろう?
延々と続く主人公のナレーションによるキャラクター紹介に合わせ、本編画面を断片的に流すだけで、三十分が終わってしまったんだけど。
 既に本編を見た人間でも楽しめるような面白い解釈やキャラへのツッコミが聞かれる訳で無く、未見の人間にとっては こんな怒濤の紹介をされても何が何だかだろうし、プラスの効果は あったのかどうか。

 今回は全何話放送の予定?かなり短いのかな?
それにしても、オリジナルの二、三話目ぐらいまでを再編集して、一話にまとめる形で良かったような。
 元の第一話は、まさかシリーズ後半で あんな展開を迎えるとは想像も付かせない、「萌え」アニメとして無難でキャッチーな出来だったと思うので、この構成には余計に疑問。
 まあ、そのままで流しては既に発売しているDVDソフトとの差別化が図れず、これはこれでまた別物としてソフト化し、セールスしようという目論見に支障が出てくるのかも知れないけど。

 新作部分もある、という事なので、視聴継続してみようかな。


2007年1月9日 火曜日

『レ・ミゼラブル 少女コゼット』01.「ファンティーヌとコゼット」

 世界的名作文学である『ああ無情』こと『レ・ミゼラブル』のアニメ化作品。
 制作が途切れていたアニメシリーズ、「世界名作劇場」の新作。
 原作は、遠〜い昔、確かに読んだはずだけれど、もう大まかな粗筋とかシーンの断片しか憶えていない。

 「世界名作劇場」は、作品毎に出来のバラツキが激しく、素晴らしい傑作もあれば、「世界駄作劇場」と言われる程ダメダメなものもあった。
 放送が途切れる前の…特に、旅芸人の生活をリアリティー皆無で甘ったるく描く酷さを見せた『家なき子レミ』などと比べれば、この『コゼット』第一話は、遙かにマシな仕上がり。
だが個人的に、放送が無い間『ハイジ』や『三千里』、『赤毛のアン』などの傑作を見返してしまっているため、ついつい視線は厳しくなってしまう。

 母子でずっと一緒に旅を続けてきたはずなのに、今更、突然 母が付けているペンダントにコゼットが気付き、またそれに込めた気持ちを母親が説明する、余りにも段取り通りの会話は、宜しくない。
後々使われる大事な小道具なのだろう事は分かるんだけど、早く設定を消化したい気持ちばかりが先走っているようで、不自然。
 あからさまに怪しい初対面の宿の夫婦に、大事な娘を預けてしまうファンティーヌ。
それだけ彼女が追い詰められていた、という事ではあろうが、服も顔立ちもキレイで、切羽詰まっている様子が感じられないため、単に頭の悪い行動に見えてしまうのが難。
 宿に娘を預け、独り身として、同じ村にあった仕立屋で働かせてもらえば良かったのに。
仕立屋では働けない理由を追加…そこのオバサンが、何気ない言葉に過剰反応して怒りだすとか…するか、いっそこの店は出さない方が良かったような。

 窃盗少年にパンを食べさせ、妹達の分までパンを持たせて返す市長。
「市長の優しさ」は確かに感じられるんだけど、これじゃ単に「持つ者の、持たざる者への施し」であり、あるいは少年のプライドを踏みにじる行為になってしまう。
 だから、「これは『あげる』んじゃないぞ。これからここで働く君の給金の前渡しだ。しっかり働いて、明日からのパン代も稼ぎ出しなさい」とでも言わせることで、少年を対等な人間として扱っている態度を見せて欲しかった。
 まだ市長も、そこまでは人間的に成長できていない、という事を踏まえているのなら、構わないけれど。
 (掲示板で、直後にある「アラン、君を雑用係として雇いたい。明日の朝8時にここに来なさい」という市長のセリフが、少年に配慮したものだという指摘を頂きました。考えてみればその通りで、自分の指摘通りか、それ以上に少年の事を考えた市長の気持ちが込められていると感じられます。こちらの読解力が足りなかったと反省。スタッフの皆様ごめんなさい)

 宿に起き去られ、早速虐待を受けるコゼット。
 一人で旅を続けて仕事のある街にたどり着き(急ぎすぎで、すぐ近くにあるよう思えた)、就職するファンティーヌ。
 窃盗少年を助け、自分が受けた恩義に思いを馳せる市長。
 …第一話から視点が三つにも分かれているため、まとまりも、これからどうなるんだろうというドキドキ感も弱い。
 一年間の放送を予定しているのなら、もうちょっと ゆっくりしたスタートでも良かったかと。
母子の元々の生活と旅立つ理由、厳しい旅の内容と それ故なお強まる互いへの愛情をしっかり描き、物語としては極悪宿屋にたどり着くぐらいで終わっても。

 監督は桜井 弘明、脚本・シリーズ構成が金春 智子。
この布陣は悪くない…どころか、かなり良い。
 波に乗って面白くなってくれる事を願って、視聴継続。
 しかし、こういうシンドイ所のあるアニメを好んで見たい気分ではないため、今回ぐらいのレベルで推移するようなら、早めに視聴を終えてしまう可能性もあり。


2007年1月8日 月曜日

『マスター オブ エピック〜The Animation Age〜』01.

 これは凄い…
こんなに何も面白くなかったアニメは、珍しい。
 見た事もないゲームについて、その内容を知らないと全く楽しめないタイプのパロディー漫画を読まされているような気分で、ただ苦痛。
 パロディーでも、その作者独自の解釈によるキャラクターを きちんと提示すれば、独立した作品として面白がってもらえる場合もあるのだが、そういう作り方をしようという意図は無かったようで。
 ギャグにしても、「お馴染みのホラ、あのキャラクターが、こんなにドタバタしていればもう、それだけで大爆笑でしょ?」というパターンのものばかりに思え、ゲーム内容を知らない自分にとっては、三十分間、疎外感を感じさせられただけ。
 ゲームを知っていれば笑える?
普通に見て、ギャグとしてのクオリティーは大変に低いと感じるんだけど。

 原作ゲームのプレイヤー以外に楽しんでもらいたいとは、これっぽっちも考えていないのだろうアニメ。
それはそれで清々しい、妥協のない制作姿勢だと言える。
 対象ではない自分としては、問題なく、視聴終了。



『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』01.「学美星人、あらわる」

 『ニニンがシノブ伝』『フタコイ オルタナティブ』など、クオリティーの高いアニメを送り出しているufotableの新作。
 今作も…画面的には、冒頭から圧倒されるほど凝っており、美しい。
アニメ塗りに寄らない髪の毛と頬の処理により、ちょっとした「イラスト」が動いているぐらいの驚きを持って見られる。
 可愛らしいキャラクターが、コロコロと表情を変え、画面内を動き回る様子には、有無を言わさず視聴者を引き付ける魅力あり。

 まなびが未来的エアー・ボードを用いて行動するキャラである所から、多少はSFっぽい内容になるのかと思ったが、『あずまんが大王』とか『よつばと!』あるいは『苺ましまろ』的なラインを狙っているのかな。
 学園をまとめる生徒会が、恐ろしく強大な権力を持っていたりエリート集団であったり、というのはよく見るパターンだけど、何の魅力も無く、なり手が居ないため現在 生徒会長が不在、といった不遇な扱いを受けているのは珍しい。
 そもそも「学校がほとんど求心力を持たなくなってしまった世界」のようだし。
…それにしては、生徒総会に乱入して騒ぎを起こしたとはいえ、まなびにバケツを持たせ立たせる罰の与え方は、現在でさえリアルには もう見られないもので、「学校が絶対であった時代」を感じさせるが。

 停滞した つまらない学園が、バイタリティーに溢れた まなびにより、ワクワクする面白い場所へと変わっていく…ストーリーなのだと思う。
 そうなると、一番求められるのは「奇想天外な まなびの行動」だろう。
第一話では…うーん、「プールに足から飛び込んでコースロープに絡まる」のもだけど、「自分を認めさせるため、歌を歌い出す」のは、「意外な行動」としての「よくあるパターン」で、ちょっと拍子抜け。
 そりゃ、あれだけポップな校歌なら、生徒の心も動かすよなあ。
ウチの高校校歌なんて捻りが皆無の「ド校歌」だから、どう歌っても、ああいう風に感動を与えることは不可能だろう(笑)。

 第一話としては、闇雲なキャラの可愛いらしさもあり、悪くない出来と感じられた。
今後、まなびと仲間達が、どういう関係を結び、共に何を成していくのか、期待して見守りたい。
 ここの前作、『コヨーテ ラグタイムショー』が、第一話のツカミは良かったものの、回を重ねる毎に破綻やキャラクターの見かけ倒しぶりが明らかになり、魅力を失っていったので、今作は そうならないよう、頑張って欲しい。


2007年1月7日 日曜日

『花と少年』

 テレビ神奈川で…だっけな?放送していたので見てみる。
 単発のスペシャル、というか、OVAをテレビに掛ける形なのかな?
 原作は、選挙が近くなると ご近所に関係者の方が多いことに嫌でも気付かされる創価学会の、池田大作。

 百年に一度しか咲かないという竹の花を探しに、お婆ちゃんの家を訪れた男の子二人の物語。
…という導入部はともかく、その竹の花を食べる鳳凰が唐突に現れ、鳳凰が飲む泉の水を守るため自然保護が訴えられ始め、最終決戦は よく分からない裁判の形で行われる、何というか思いつきを整合性を取ることなく並べただけのようなストーリー。
 裁判の場で、被告の人間的欠点を突いて有罪の判決を下す裁判長に対し、主人公の男の子が、そういうキャラだという前提も無しに、イキナリ立派な演説を始めてしまい面食らう。
 あと、裁判長に言い勝った少年を鳳凰が讃える際、「言葉の戦いに勝った」と言うのはどうだろ。
実際の画面では確かに そうなっているんだけど、嘘でも良いから「正しい心が勝った」とか何とか、特に宗教的には言うべきなんじゃないかなあ。
「困難は口先で乗り切れ」みたいな…いや、これで教義に沿っているのなら構わないが。

 描こうとしているテーマ自体については、別に間違ったことは言っていない。
というか、まあ昔ながらの「自然を大切に」とか そういう事なので、間違いもヘッタクレもないし。
 物語を夢オチで投げ出してしまう無責任さには、笑う。
別に不思議裁判所が存在する世界のままで終わっても問題ない…ぐらいの内容だと思うのに。

 全体的には、破綻ぶりが物足りないので そういう意味でも見る価値が薄い、「教材アニメ」のような、説教っぽいばかりの作品。



『京四郎と永遠の空』01.「永遠の空」

 介錯先生の作品は、一杯アニメ化されてるなあ。
 原作未読。

 何よりもまず、ヒロインの性格付けが よく分からない。
 「憧れの先輩」が居るようなのに、「夢の王子様」への気持ちを抱き続け、しかし「謎の転校生」にイキナリ恋してしまう。
学生時代は発情期だって事かも知れないけど、いくら何でも節操が無さ過ぎ。
 王子様と転校生の京四郎は、重ね合う存在なのだとしても…先輩の立ち位置が不明確になってしまう。
彼を出さない方が良かったような。
先輩の設定は、今後生きてくるのかな。

 ヒロインを、例えば「王子様への気持ち」を頂点として整理するなら、先輩をダンスパーティーに誘おうという行動は「ごめんなさい王子様、でも、あなたは来て下さらないでしょう?一人だけで行くパーティーなんて可哀想だと思って、許して下さいね」という言い訳を伴い、転校生には、王子様に似ている事による好意を第一印象として、胸をはだけられた所で「何なのあの人?あんな人、王子様とは似ても似つきません」というような反発のモノローグを使う事により、感情面に少しは説得力を与えられたかと。

 それにしても、公衆の面前で制服の胸をはだけられたのに、そのこと自体には特にショックを受けた風でないヒロインの面白さ・浮世離れぶりが凄く、笑ってしまう。
欲情に人格を支配されている、というか。
 男女を入れ替えれば、冴えない男の子の前に突然現れた転校生美少女が、「私と子作りしましょ」と言って主人公の服を脱がしてきても、驚きはするけど嫌いになる訳はない…それと同じ理解で良いのかな?
といったって、セオリーとしては男の子、一応「なんだアイツ?イキナリあんなマネして、頭が変なんじゃないか?」ぐらいの抵抗は示す事になっているものだけど。
 授業中、突然 教室にズカズカと入ってきた機動風紀委員の面々を目にした女生徒達が発する第一声が、「何あの人達、カッコイイ!」という、リアリティーのカケラもない「段取り通り」のものであった世界観からすると、細かい事を言うだけ無駄か。

 超能力バトルの様相は、『ジョジョ』スタンド戦そのまま。
そこそこ迫力をもって描けているので、見応えはあった。
 しかし、戦闘に巻き込まれ危機に陥ったヒロインを助けるべく、馬にまたがって現れる、余りにも図式的に王子様を表現した転校生のインパクトには敵わない。
 「笑われる」事まで意図に入れた表現なんだろうけど、まあ何というか、介錯先生作品だなあ、としか。

 全体に、いつも通りの介錯先生アニメ化作品。
 見続けても構わないぐらいの出来ではあるが、最終回を見終わった時の気持ちまで だいたい想像が付いてしまうため、意欲は低め。
 取りあえず視聴継続。



『デルトラクエスト』01.「リーフ冒険の旅へ」

 冒頭、長々と「このファンタジー世界の歴史」を語り上げるのに、めげる。
 作品の始まりに当たり、ダラダラとナレーションで何か語っても、「私は一応説明しましたよ、それを理解できていないのは見る側の問題ですよ」という言い訳に使う程度にしか役に立たない。
視聴者は、内容にまだ興味を持っていない段階で示される説明など、憶えようと思わないし、ヘタをすると そこで「何か うざってぇ」と思われて、視聴を打ち切られる恐れすらある。
 こういう事を やっちゃダメ、というのは、シナリオ学校の最初の授業で教えられる基本だと思うんだけど。

 …という構成の問題を置けば、冒頭で語られている内容はファンタジー物の よくあるパターンなので、理解は容易。
 魔王を倒すため、バラバラになった七つの宝石が必要で、それらを探すため少年が旅に出る。
とりあえず最初の一つは割と近くにあるみたいだから、その入手から冒険をはじめてはどうか、とする物語の持って行きようなど、まるっきりファミコン時代のファンタジーRPGそのまんま。
 「少年より世慣れているはずの両親は旅立ちを見送るばかり(一緒に行っても足手まといか)」とか「未熟な少年を補佐すべく、イキナリ旅の仲間(急に正体を明かされても…)が出来る」など、いかにもアリガチな要素で、RPGなら「お約束」「その方がゲームを進めやすい」で済む所ではあるが、アニメなのだし、もうちょっと丁寧な物語運びを心懸けても良いような。
 少年は、両親の実の息子ではなく、王族の血に連なる者…だったりすると、パターンも過ぎるか。

 アクションの演出も作画も、非常に高品質。
 冒頭で、もの凄い数の軍勢同志が激突する所など、『ロード・オブ・ザ・リング』並の迫力。
いや、3Dと作画を上手く取り混ぜた演出の仕方は、それ以上かと感じられる。

 過剰なほど説明が挟まれ、基本的な知識は全て与えてくれる第一話。
それは、丁寧だとも言えるし、物語として次回へと引いて行く力が弱いとも言える。
 もっとキャラクターが揃い、よくあるパターンではない「この作品ならではの魅力」が現れてこないと、何とも。
 しばらく視聴継続。



『ひまわりっ!!』01.「忍者の敵も、また忍者」

 再放送か?と思えば、エクスクラメーションマーク(!)が一つ増えて、パート2、という事らしい。
 前作は、特にどこが悪いとも思わなかったけれど、個人的に引き付けられる物を感じず、途中脱落となった。
 監督等スタッフも変わらないようだし、この第一話を見ても、やはり心引かれる要素を弱く感じてしまうので、ここまでに。



『恋する天使アンジェリーク〜かがやきの明日〜』01.「新たな使命」

 前シリーズから、物語が連続しているらしい続編。
ここまでを見てきていないため、冒頭でざっと あらすじは語ってくれるんだけど、話に入れず。
 見続ければ それなりに面白い作品なのかも…と思いつつ、放送本数過剰の現在、女性向けに作られている作品は視聴対象から外すのを原則としているため、ここまでに。


2007年1月6日 土曜日

『コードギアス 反逆のルルーシュ』12.「キョウト からの 使者」

 ブリタニアが侵攻を行った大きな理由である、希少鉱石を発掘する富士鉱山が、実際に絵で示された。
ここを舞台に物語を展開させる可能性があるかどうかはともかく、重要な場所であるのは間違いない訳で、しっかり見せる事で説得力をグッと上げられたと思う。

 C.C.の顔はカレンに見られており、その繋がりからルルーシュの正体が露見する恐れもあるため、あんまり外出させない方が良いような。
止めても、素直に従う女じゃないんだろうけど。
 C.C.を、「ルルーシュと近い存在として知っている人」「ゼロの片腕として知っている人」に分け、しっかり管理するのは(シナリオ的に)なかなか大変だと思う。
『デス・ノート』死神リュークは、ほとんどの人間に見えない、という設定があったので、扱いやすかったろうが。
 彼女への理解に差がある事をも利用して、トリックを仕掛ける展開も考えられるかな。

 富士鉱山で見せたゼロの逆転劇は…
説明が余り無かったけど、運転手の意識を支配した事でルルーシュ自身は車のトランクにでも隠れて施設内に入り込み、自由に行動してナイトメアに乗り込んだ、という事だろうか。
 この辺りは、ギアスの力がある限り特に実現困難な事だとは思えず、「実は…」というような謎解きを くどくどとやらなかったのは、正しい。

 ところで、メガネっ子ニーナは、シルエットでナニをしていたのか。
みんなエロ妄想しちゃったでしょ?そうじゃなくて本当はエアロバイク漕ぎで息が上がっていただけ…という肩透かしも無かったから、見た通りだと考えて良いのかな。
 さすが深夜枠!
 彼女が向ける歪んだ?愛情も、いずれストーリーに影響を与え始めるんだろう。

 京都勢力の後ろ盾を得、状況を大きく好転させられそうなゼロ・黒の騎士団。
 しかし、戦いの中でシャーリー父の命が失われており、学園生活でルルーシュに向けられる好意とは逆に、ゼロとしては彼女から憎まれる、という欠損を抱える事になった。
 得て行くものと失われるもの。
良く出来てるなあ。



『セイントオクトーバー』01.「ロリ誕生!少女が超ゴスロリに!」

 うーん…かなりシンドい内容。
 間の抜けた ゆるいコメディー、という事ではあるんだろうけど、結局ボスはモニター越しに子供を確認するだけなんだから攫う意味は無かったんじゃないか、とか、顔を見られた事を気にしていた誘拐犯が「相手は子供だし構わない」と吹っ切ったのはともかく、その後 大人が居る場所でもわざわざ自ら仮面を取って素顔を見せている、とか、「笑い」にも繋げられていない、ただダルい気分にさせられるシーンが一杯。

 特殊な飛行メカで飛び回れる科学力を持っている少女達なんだから、「変身」も、ゴスロリ・パワードスーツを着込むような形で科学的(?)に行って構わないような。
 変身シーンは…「汚濁を纏う」イメージを演出したつもりなのかなあ?
ドブ泥みたいな色した液体を飲んでみたり、あんまり華麗じゃないんだけど。
 ちょっとセリフで語っただけの両親の思い出を、クライマックスでカタルシスに繋げていく要素に使おうというのは、さすがに無理。
設定をセリフで端的に示したら、もう「そういうキャラ」だと思ってもらえる、と考えるのが製作者の やりがちな間違い、って言っていたのは押井 守だっけ?
 目の前に、関わりを持ち、今まさに攫われようとしている少年が居るのだから、偽の両親など出さず、普通に、その子の運命に思いをはせて怒りが燃え上がる、で良かったろう。

 演出には力が入っていないし、作画にも乱れた所が散見される。
 取りあえず次の話までは見ようと思うが…



 同人誌(こちら堀博昭先生のHP「同人誌情報です」へ)に寄稿させて頂いた事のある麻生 我等先生が、NHKの新作アニメ『精霊の守り人』でキャラクターデザインを手掛けておられるのを知り、驚く。
 何と…「こちら側」の作家さんが、しかもNHKアニメのキャラクターを描くとは。
骨格から正確で魅力的な絵を描かれる先生だし、実力的には不思議でも何でもないんだけど…凄いなあ。

 監督は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の神山 健治、制作がプロダクション I.G、という事で、かなり注目度の高い作品になると思われる。
 放送開始は四月。
楽しみなアニメが一本、増えたなあ。


2007年1月5日 金曜日

『009-1』最終12話.「夜明け」

 今頃な感想だけど、本放送では録画を失敗してしまい、BS放送で ようやっと見られたので。

 最終話で気になったのは、ジェリー・アンダーソン作品のメカが無意味に出てくること。
イーグルとかマックスカーとかシャドーモービルとか。
 こういう「遊び」、昔は流行ったものだけど、最近では、著作権意識の高まりもあって余り見かけなくなったもの。
特に海外版権だと、なあなあで済まず訴えられたりするし。
 どうにかして版権をクリアした上で使ったのかなあ?
多数のメカに紛れて何気なく、という遠慮がちな使い方でなく、堂々と出してるし。
 しかも、必ずしも上手くネタとして引っ掛かっている訳でもなく…マックスカーに月面を飛ばせても…せめてムーンモービルにするとか。
違和感狙い?それにしてはシャドーモービルは普通に地上を走ってるし。
 細かなことだし、懐かしい気分になったので別に文句は無いんだけど、モメないといいねえ。

 最終話の内容は…
三話連続で描いてきたエピソードだったが、爽快でないのは いつもの事としても、そんなに複雑な内容でもないのに間延びした描き方ばかり しているようで、詰めれば一話にでも収まったかと。
 作画はともかく、ストーリーとしては盛り上がらず、シリーズ全体の印象さえ下降させてしまいかねない終わり方だったのが残念。

 全体的には、とにかく石ノ森先生のタッチを、格好良く、今風に、色っぽくブラッシュアップして見せてくれる作画に、大きな見所のある作品だった。
 途中の話には、スパイの非情さ…というかヒロインの非道さ(^ ^)を感じさせる問題作もあり、「??」な内容の物もあったけれど、おおむね楽しいアニメだったと言って良いと思う。


2007年1月4日 木曜日

 ソフト化されていたので、映画『バタリアン4』を見る。
 『1』『2』は、ギャグテイストを入れたゾンビ物として結構楽しく見た。
『3』に当たる『リターンズ』は…うーん、安っぽいのはともかく、愛だの何だの要らないモノを入れようとしてパッとしない内容になっていたような。

 続く『4』だけど、シリーズで共通しているのは「ゾンビ化ガス」の設定ぐらいで、もうほとんど別物。
 お金の掛かったシーンは ほとんど無く、どーでもいい若者達が どーでもいい活躍を見せる本編は、C級映画度合い満点。
 この映画でのゾンビ、十分に知能が残っているし、「人を食べたい」欲求もさほどではない…個体も居るみたいで、邪悪さが剥き出しになり少々超人化する描き方は、ゾンビよりか「ヴァンパイア」とかそういうジャンルに似ている。
お陰で、喰われる、という恐怖がまるで無く、ゆるんだ映画を致命的に ゆるませてしまう。

 機械化兵器ゾンビには期待したんだけど…
「超パワーでゾンビの群れを瞬殺」というようなバカ痛快な使われ方ではなく、単に主人公達への追っ手が増えただけだし、しかもウルトラがっかりな事には彼ら、弱い、弱すぎる。
大した活躍もなく片付いてしまうため、印象にも残らない。
 ホラーとしてもアクション物としてもバカ映画としても、ここは最大限に遊べる場面だったろうに、この力の抜け具合・やる気の無さ加減は、もう笑ってしまうほど。

 まあ、普通に時間の無駄をしたかなあ、という感じ。


2007年1月3日 水曜日

 BSで放送していた映画『怪談新耳袋劇場版 幽霊マンション』を見る。
 テレビシリーズ『怪談新耳袋』の映画版、第二弾。
 ボロボロのマンションに引っ越してきた父娘。
そのマンションには奇怪なルールが存在し、破った住人は必ず死んでしまう。
 逃げ出すことも許されなくなった父娘の、そして他の住人達の辿る運命は…

 見終わって、ほとんど怖く感じるようなシーンは無かったんだけど、それはテレビシリーズから、恐怖だけを目指して作られているものではなく、「怪異を含んだ奇妙な話」然としていたので、これで良い…のかな?
 それにしても、大阪へと越していった一家の長男への「ドッキリ」なんて、おおよそ考え得るパターンの中で、わざわざ最も怖くないモノをチョイスしているみたいで、拍子抜けというか笑ってしまう。
 小さな男の子が、寝ながら部屋の中をズルズル引きずり回されている様子は、変な面白さと不気味さがあったけれども。
 作中で一番怖かったのは、失業中夫婦の夕食風景。
何というか理解を絶していて、マンションにかけられた呪いとかとは別次元の、生理的気持ち悪さが全開。
霊だって この有様には、「引く」だろう。

 怪異の解明自体は、よくあるパターンとしか言い様がないもので新鮮味など皆無だったが、主人公父娘のラストショットには驚かされた。
そういえばチラチラと伏線を引いてあったなあ、と思い当たる部分があるし、構造を多層にしてあるのも結構。
 ただ…やっぱりホラーとして考えると、こういう意外性とかカタルシスとか因果応報とか、そういう理に落ちた「正しい」要素が入ってくると、恐怖の度合いはガックリ落ちてしまう。
 呪いは本当に解けたのか、この後ヒロインはどうなってしまったのか、消化不良気味のエンディングだけど、それもまた『新耳袋』としては正しい姿なのかな。


2007年1月2日 火曜日

 地上波で放送された映画『私の頭の中の消しゴム』を見る。
 流行り(もう過ぎた?)らしいけど、余り見たことがない韓国の映画。
 日本のテレビドラマが原作になっているそうだが、そちらは未見なので、新鮮な気分での鑑賞。

 ベタベタの泣き作品ではないか、という先入観があり、そういう傾向の物を楽しめるのか不安だったが、なかなかに良く出来た映画で、抵抗は少なく見られた。
 主役の男女ともに美しく、物語も…悲劇ではあるが「リアルな悲惨さ」は薄く、少女漫画タッチの「夢みたいな悲しみ」に留めてあるため、軽く見終えられる。
そこは美点でもあるが欠点でもあり、所詮は絵空事と感じさせてしまう事で、誰からも深い共感を得られる…とは いかなくなっている。
 しかし、描きたいのは、ラブストーリーを期待して来た観客には重すぎる「アルツハイマーの真実」などではなく、「大きな障害を越えて愛を貫く男女の姿」であろうから、これで悲劇の配分は丁度良いのかも。

 僅かな時間で男女のキャラクターを立てる、構成に見所が多い。
 単に会社員としては特性を彫り込み辛かったろう男に、建築関係の仕事を設定する事で、病魔に冒される彼女のためにしてあげられる事の幅が広がる。
 男が母親に抱く積年の憎しみに対し、職業を活かし建てられる「家」に例える言葉で その心を癒すエピソードが、ヒロインの存在を強烈にし、「彼女が忘れようと自分は忘れない」と誓う男の気持ちに説得力を与える。
 思い出の場所としてのコンビニ、コーラの缶、カードを用いた(イカサマ?)ゲーム、等々、印象づけて後に活かす小道具や伏線の使い方も上手い。

 ただ…そのコンビニのシーンなど、余りにも「泣かせ」方向に頑張って作りすぎており、ヒネた観客としては逆に無理を感じてしまう。
余りに分かり易い「泣き」場面になると、かえって身構えてしまうのが、素直でない人間(自分)の扱いづらい所。
 アクション映画で見応えのあるバトルシーンが多いのは良い事であるように、悲劇の映画で泣かせるシーンが多いのは、正しいサービスだと思うんだけどね。
 某大ヒットした日本の悲劇映画などより、遙かに無理なく、きっちり作られているのは分かるし。

 男を演じたチョン・ウソンが、外見・キャラとしての描かれ方 共に抜群に格好良く、女性なら誰しも「こんな男性に、こんな風に愛されたら幸せ」と感じられるだろう。
 男性観客も、「そりゃ相手がヒロインのソン・イェジンみたいな子なら、人生を掛けてイロイロと お世話しても構わないけどさあ」と感じるだろうが、純愛に心打たれている女性客と違い、そこには多分に不純な思いが混入しているため、この映画を見終わった後 率直に話をすると、齟齬とか問題が生じそうな気も。



『魔弾戦記リュウケンドー』最終52話.「さらば魔弾戦士!」

 大魔王を倒した後も普通にストーリーが続いており、もしかして『リュウケンドーG』とかいうタイトルに変わってそのまま二年目に突入か?と思い始めた頃に迎えた最終話。
 主人公らがゲキリュウケンと別れ、それぞれ自分達の道を歩み出す、その別れのためだけにこの最終一話がまるごと割かれており、ドタバタと駆け足に終わるよりも遙かに気持ち良く見終えさせてくれ、好印象。
ゲキリュウケン達を「単なる変身アイテム」として扱ってこなかった(人間体さえ見せた)構成が、実を結んでいる。

 大魔王が割合にスッキリと片付いてくれたが故の不満はあり、しつこくしつこく復活して主人公達に恐怖を与え、迫って欲しかったし、ジャマンガのDr.ウォームなども「よくいる悪役」の枠から外れようとしていたので、その最期にフォローが足りないように思え、残念。
この辺はもう、無い物ねだりだとは感じつつ。

 『戦隊シリーズ』『仮面ライダー』という強力すぎるライバル達に、敢然と戦いを挑んだ作品。
 開始当初は、安っぽさと無理矢理なストーリー展開をネタ的な意味で楽しんでいたけれども、物語とキャラクターの描写を積み重ねることで、次第に重みと加速が付き、純粋に「面白いドラマ」として見られる作品に化けていった。
 頑張ったスタッフに、拍手。


2007年1月1日 月曜日

 2007年、あけましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になりました。
 今年もきっと、驚くぐらい頻繁にお世話になったりご迷惑をお掛けする事と思いますが、もう成長など見込める年齢でもない事から、例年通り なんとか大目に見て頂きたいと甘える気満々。
 皆様の忍耐力がもつ限り、出来るだけ長いお付き合いをお願い致します。


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